説明

四置換ピロリジン化合物の製造方法

【課題】選択的なエポキシ環開裂反応を用いることにより、毒性のある青酸を使用することなく、かつ短工程で四置換ピロリジン化合物の製造方法およびその製造中間体の提供。
【解決手段】特定の工程に従って、式(6)で示される化合物を製造する。


(式中、Rは、水素原子またはアミノ基の保護基を示し;Rは、置換基を有していてもよい炭素数1から6のアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数6から10のアリール基を示し;nは、2から5の整数を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キノロン化合物の置換基の構築に使用する化合物を製造するために有用な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キノロンカルボン酸誘導体は合成抗菌剤として多くの化合物が医療に供されている。一方、感染症治療薬に対してはMRSAに代表される耐性菌が出現し、治療上の大きな障害になっている。キノロンカルボン酸誘導体は、このMRSAに優れた殺菌力を示すばかりでなく、MRSA以外の薬剤耐性菌にも抗菌活性を示し、各種耐性菌の問題を解決できる化合物として期待されている。
【0003】
この様なキノロンカルボン酸誘導体として、例えば下式(A)で示される化合物がある;
【0004】
【化1】

【0005】
この化合物は、スピロ環状構造の他に二個の置換基を有して四置換となった7位のピロリジニル基が特徴である。この構造のキノロン化合物を製造するために、中間体として式(B)で示される化合物、とりわけその光学活性体が重要である(特許文献1および2参照)。
【0006】
【化2】

【0007】
この式(B)で示される化合物およびその光学活性体の製造方法は、既に知られている(特許文献1および2参照)。
【0008】
【特許文献1】特願2005−146386
【特許文献2】特願2005−148121
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
四置換ピロリジン化合物である化合物(B)についての従来の製造方法は多数の工程を含み、かつ毒性のある青酸化合物を使用するストッレカー反応を経由するため、工業的製法としては回避すべき点があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は鋭意研究の結果、次の製造工程に従うことで目的の通りに必要な化合物が製造できることを見出し本発明を完成した。すなわち、容易に入手可能な環状構造を有する化合物(1)から得られるエポキシ化合物(2)を、アジド化剤、例えばトリメチルシリルアジドまたはアジ化ナトリウム等、を反応させると、ヒドロキシメチル構造を有する化合物が生成する選択的なエポキシ環開裂反応が進行して化合物(3)を得ることができ、これから化合物(4)を経てスピロ環状構造の化合物(5)を得、次いで化合物(5)のアジド基、アミドを還元することで、従来の製造中間体である化合物(7)が得られることを見出し、簡便かつ単工程で化合物(B)が得られることを見出した。さらに、化合物(1)から得た化合物(6)を経由しても化合物(2)を得ることができることも見出した。本発明は、これらに基づき完成したものである。
【0011】
すなわち本発明は、下記のA法またはB法によって式(2)
【0012】
【化3】

【0013】
(式中、Rは、酸素原子またはメチレン水素(=H)を示し、Rは、水素原子またはアミノ基の保護基を示し;Rは、置換基を有していてもよい炭素数1から6のアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数6から10のアリール基を示し;nは、2から5の整数を示す。)
で示される化合物を得;
A法:
トリメチルスルホキソニウム塩またはトリメチルスルホニウム塩に塩基を作用させた後に式(1)
【0014】
【化4】

【0015】
(式中、R、R、R、およびnは、前記に同じ。)
で示される化合物を反応させる方法。
B法:
式(6)
【0016】
【化5】

【0017】
(式中、R、R、およびnは、前記に同じ。)
で示される化合物にエポキシ化試剤を反応させる方法。
この式(2)で示される化合物にアジド化試剤を反応させた後、所望によって脱シリル剤と処理して式(3)
【0018】
【化6】

【0019】
(式中、R、R、R、およびnは、前記に同じ。)
で示される化合物を得、この式(3)で示される化合物にハロゲン化試剤またはハロゲン化置換スルホニル化合物を反応させて式(4)
【0020】
【化7】

【0021】
(式中、R、R、R、およびnは、前記に同じ。Xは、置換基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールスルホニルオキシ基、またはハロゲン原子を示す。)
で示される化合物を得、この式(4)で示される化合物を塩基で処理して式(5)
【0022】
【化8】

【0023】
(式中、R、R、およびRは、前記に同じ。)
で示される化合物を得、この化合物を還元することを特徴とする式(6)
【0024】
【化9】

【0025】
で示される化合物の製造方法に関するものである。
さらに本発明は、式(2)
【0026】
【化10】

(式中、Rは、酸素原子またはメチレン水素(=H)を示し、Rは、水素原子またはアミノ基の保護基を示し;Rは、置換基を有していてもよい炭素数1から6のアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数6から10のアリール基を示し;nは、2から5の整数を示す。)
で示される化合物、および式(3)
【0027】
【化11】

(式中、R、R、R、およびnは、前記に同じ。)
で示される化合物にも関する。
【発明の効果】
【0028】
優れたキノロン誘導体の原料として有用な式(B)で表される製造中間体を、従来法よりも短工程で、かつ毒性の高い青酸を使用することなく、容易に合成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に本発明を詳細に説明するが、本発明の製造方法の反応工程および各工程の中間体化合物は下記に示す通りである。
【0030】
【化12】

【0031】
(式中、Rは、酸素原子またはメチレン水素(=H)を示し、Rは、水素原子またはアミノ基の保護基を示し;Rは、置換基を有していてもよい炭素数1から6のアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数6から10のアリール基を示し;nは、2から5の整数を示し;Xは、置換基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールスルホニルオキシ基、またはハロゲン原子を示す。)
すなわち、容易に入手可能な化合物(1)をエポキシ化合物(2)に変換後、アジド化剤を反応させることによって選択的なエポキシ環開裂を行い、必要に応じて脱シリルして化合物(3)を得、さらに脱離基を導入して化合物(4)に変換し、塩基を作用させることで分子内環化させて化合物(5)を得る。さらに還元に付すことによってキノロンカルボン酸誘導体の7位置換基の構築に重要な化合物を得ることができる。また別法として、化合物(1)から化合物(6)を経由してもエポキシ(2)を得ることができる。
【0032】
以下にこれらの化合物の置換基について述べる。置換基Rは、酸素原子またはメチレン水素(>C=Hであり、2個の水素置換であることを示す。)を示す。すなわちこの部分の構造は次のいずれかである。
【0033】
【化13】

【0034】
これらのうちでは、Rが酸素原子であるものが好ましく使用できる。
【0035】
置換基Rは、水素原子またはアミノ基の保護基を示す。アミノ基の保護基としてはこの分野で通常使用されるものであれば特に限定されないが、例えば、第三級ブトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基類;ベンジルオキシカルボニル基、パラメトキシベンジルオキシカルボニル基、パラニトロベンジルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基類;アセチル基、メトキシアセチル基、トリフルオロアセチル基、クロロアセチル基、ピバロイル基、ホルミル基、ベンゾイル基等のアシル基類;第三級ブチル基、ベンジル基、パラニトロベンジル基、パラメトキシベンジル基、トリフェニルメチル基、α−メチルベンジル基等のアルキル基類、またはアラルキル基類;メトキシメチル基、第三級ブトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、2,2,2−トリクロロエトキシメチル基等のエーテル類;トリメチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、第三級ブチルジメチルシリル基、トリベンジルシリル基、第三級ブチルジフェニルシリル基等の(アルキルおよび/またはアラルキル)置換シリル基を挙げることができる。
【0036】
置換基Rとしてはアミノ基の保護基が好ましく、より好ましくはアラルキル基類である。アラルキル基のうちでも好ましくはベンジル基構造を有するものである。この様なベンジル基類はフェニル基部分およびメチレン基部分に置換基を有していてもよい。フェニル基部分の置換基としては、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、ハロゲン原子およびニトロ基からなる群の基から選ばれる1から3の基であればよく、複数の基が存在する場合は同一でも異なっていてもいずれでもよい。メチレン基部分の置換基としては炭素数1から6のアルキル基が好ましい。このうち好ましくはメチル基またはエチル基である。
【0037】
ベンジル基類としては、ベンジル基、α−メチルベンジル基、α−エチルベンジル基が好ましく、さらにこれらのフェニル基部分に、メチル基、メトキシ基、ハロゲン原子、またはニトロ基が1個、あるいは同一または異なって2または3個置換していてもよい。
【0038】
置換基Rは、置換基を有していてもよい炭素数1から6のアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数6から10のアリール基を示す。
【0039】
がアルキル基であるとき、直鎖状または分枝状のいずれでもよいが、メチル基、エチル基、プロピル基、またはイソプロピル基であることが好ましく、これらのうちではメチル基またはエチル基が好ましく、さらにメチル基が好ましい。
【0040】
アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1から6のアルキルチオ基、および炭素数1から6のアルコキシ基からなる群の置換基から選ばれる基であればよい。
【0041】
がアルキル基であって水酸基を置換基として有する場合、アルキル基は、炭素数1から6の直鎖状または分枝状のいずれでもよく、またこれらの置換基はアルキル基の末端の炭素原子上に置換するのがより好ましい。水酸基を有するアルキル基としては炭素数3までのものがよく、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基等が好ましい。
【0042】
がハロゲン原子を置換基として有する場合、アルキル基は、炭素数1から6の直鎖状または分枝状のいずれでもよく、ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。またフッ素原子の数は、モノ置換からパーフルオロ置換までのいずれでもよい。モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基等を例示することができる。
【0043】
がアルキル基であってアルキルチオ基またはアルコキシ基を置換基として有する場合、アルキル基は直鎖状または分枝状のいずれでもよく、アルキルチオ基またはアルコキシ基もアルキル基部分は直鎖状または分枝状のいずれでもよい。アルキルチオ基を有するアルキル基としてはアルキルチオメチル基、アルキルチオエチル基、アルキルチオプロピル基が好ましく、さらにはアルキルチオ基も炭素数1から3までのものが好ましい。さらに好ましいものとして、メチルチオメチル基、エチルチオメチル基、メチルチオエチル基を挙げることができる。また、アルコキシ基を有するアルキル基としてはアルコキシメチル基、アルコキシエチル基、アルコキシプロピル基が好ましく、さらにはアルコキシ基も炭素数1から3までのものが好ましい。さらに好ましいものとして、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基を挙げることができる。
【0044】
が、置換基を有していてもよい炭素数6から10のアリール基のとき、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましい。アリール基上の置換基としては、メチル基、メトキシ基、またはハロゲン原子が1個、あるいは同一または異なって2または3個置換していてもよい。
【0045】
置換基Rとしては、置換基を有していてもよい炭素数1から6のアルキル基が好ましく、より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、またはイソプロピル基であり、さらに好ましくはメチル基である。
【0046】
は脱離基として機能する基であれば特に制限はないが、置換基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールスルホニルオキシ基、またはハロゲン原子であればよい。置換基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシ基としてはメタンンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基を挙げることができ、置換基を有していてもよいアリールスルホニルオキシ基としてはベンゼンスルホニルオキシ基、トルエンスルホニルオキシ基等を挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨード原子を挙げることができる。これらの脱離基のうちでは、ハロゲン原子が簡便で好ましく、特に塩素原子が好ましい。
【0047】
nは2から5の整数を示すが、nが2の化合物が最終物として好ましい。
【0048】
以下に各工程の製造方法について述べる。
【0049】
化合物(2)は、トリメチルスルホキソニウム塩またはトリメチルスルホニウム塩に、塩基を作用させた後に、化合物(1)を反応させることにより得ることができる。
【0050】
トリメチルスルホキソニウム塩またはトリメチルスルホニウム塩に塩基を作用させるには溶媒中で実施すればよい。この溶媒としては反応を阻害しないものであればいずれの溶媒を使用することができる。この反応は、トリメチルスルホキソニウム塩またはトリメチルスルホニウム塩に塩基を作用させることで発生すると考えられるイリドのカルボニル二重結合への付加反応であると考えられる。
【0051】
トリメチルスルホキソニウム塩またはトリメチルスルホニウム塩に反応させる塩基は、これらの塩との反応でイリドを発生させることができるのであれば特に制限はなく、いずれのものを用いてもよい。このような塩としては、例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属の水素化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等の、側鎖を有してもよいアルコキシ基を含む、アルカリ金属アルコキシド;メチルリチウム、エチルリチウム、t−ブチルリチウム等の、置換基を有してもよいアルキル基を含むアルキルリチウム;およびメチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムブロミド、イソプロピルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムクロリド、イソプロピルマグネシウムクロリド等の、置換基を有してもよいアルキル基を含むグリニャール試薬;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基性化合物;または1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、ジメチルアミノピリジン等の有機塩基;等を挙げることができる。
【0052】
反応温度は−30〜170℃の範囲でよく、好ましくは0〜100℃の範囲であり、反応時間は通常30分から20時間の範囲であればよい。
【0053】
トリメチルスルホキソニウムまたはトリメチルスルホニウム塩の使用量は、化合物(1)に対して1〜10倍モル、塩基は1〜10倍モルでよい。
【0054】
トリメチルスルホキソニウムまたはトリメチルスルホニウム塩を構成する対アニオンは、エポキシ基の構築反応を阻害することのないものであればいずれのものを用いてもよい。このようなアニオンとして、例えば、ハロゲン化物イオン、テトラフルオロボラート等を挙げることができる。このような塩としては例えば、ヨウ化トリメチルスルホキソニウム、臭化トリメチルスルホキソニウム、塩化トリメチルスルホキソニウム、トリメチルスルホキソニウム テトラフルオロボラート、ヨウ化トリメチルスルホニウム、臭化トリメチルスルホニウム、塩化トリメチルスルホキソニウム、トリメチルスルホニウム テトラフルオロボラート等を挙げることができる。
【0055】
反応は窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行うのがよい。
【0056】
また、化合物(2)は化合物(1)のケトン部位をオレフィン化反応に付して二重結合を有する化合物(6)とした後、この二重結合をエポキシ環に酸化することのできるエポキシ化試剤(酸化剤)を反応させることによっても容易に合成される(例えば、Org. Lett., 6, 4595(2004))。この反応は溶媒の存在下に実施すればよいが、溶媒としては反応を阻害しないものであればいずれの溶媒を用いてもよい。
【0057】
化合物(1)のオレフィン化反応としてはこの分野で通常用いられるWittig反応、Horner−Wadsworth−Emmons反応、Peterson反応、Tebbe反応等を挙げることができ、オレフィンが合成できるものであればいずれを用いてもよい。
【0058】
化合物(6)をエポキシ化酸化する試剤としては酸化剤を使用することができる。オレフィンをエポキシドに変換できる酸化剤であればいずれを用いてもよい。この様な酸化剤としては、過酸化水素;t−ブチルヒドロペルオキシド等の置換基を有してもよいアルキルヒドロペルオキシド剤;過酢酸、2−メチル過プロピオン酸等の置換基を有してもよいアルキル過酸化物;過安息香酸、m−クロロ過安息香酸等の置換基を有してもよいアリール過酸化物;等を挙げることができる。なお、これらを使用して反応を実施する際に、必要であればマンガン、チタン、モリブデンなどの遷移金属を触媒として用いてもよい。
【0059】
化合物(6)から化合物(2)への反応温度は−30〜170℃、好ましくは0〜100℃の範囲で行われ、反応時間はオレフィンをエポキシドに酸化できる酸化剤と化合物(6)とを30分〜20時間反応させればよい。
【0060】
酸化剤の使用量は化合物(6)に対して1〜10倍モルでよい。
【0061】
反応は窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下に実施するのがよいが、空気中で行ってもよい。
【0062】
化合物(3)は化合物(2)とアジド化剤を反応させることによって得ることができる。すなわち、アジド化試剤によってエポキシ環開裂反応が進行するのであるが、驚くべきことに、アジド基がエポキシ環の嵩高い炭素原子上に選択的に導入されるエポキシ環の開裂反応が進行することが判明した。
【0063】
本工程において使用するアジド化剤としては、トリアルキルシリルアジドまたはアジ化リチウム、アジ化ナトリウム等のアジド化剤を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。なお、シリル系のアジド化試薬の場合、開裂して生成する水酸基へのシリル化が進行するので、フッ化水素、テトラアルキルアンモニウムフロリド、またはフッ化ナトリウム、フッ化カリウム等の脱シリル化剤との反応で脱シリル化して水酸基を回復させることが必要である。
【0064】
また、アジ化リチウム、アジ化ナトリウム等のアジド化剤を用いる反応では、通常、化合物(3)または(3’)
【0065】
【化14】

(式中、R、R、R、およびnは、前記に同じ。)
が得られるが、酸を添加することで望ましい化合物(3)を得ることができる。
【0066】
ここで添加する酸としては、酢酸、プロピオン酸、2−メチルプロピオン酸等の置換基を有してもよいアルキルカルボン酸化合物や安息香酸、p−メトキシ安息香酸、p−ニトロ安息香酸等の置換基を有してもよいアリールカルボン酸化合物、または塩酸、硫酸等の無機酸および置換基を有してもよいアルキルスルホン酸、置換基を有してもよいアリールスルホン酸等のスルホン酸等を挙げることができる。
酸は二種以上を混合して用いてもよい。酸の使用量は、1〜20倍モル量でよい。
【0067】
この反応の溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系化合物;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物;塩化メチレン、クロロホルム等の塩素系化合物;を挙げることができる。また、酸を用いる反応では溶媒として水を用いてもよく、このためには酸と混ざり合う溶媒が好ましい。
【0068】
アジド化剤の使用量は、化合物(2)に対して2〜20倍モルでよい。
反応温度は−30〜170℃、好ましくは0〜110℃の範囲で行われ、反応時間は化合物(2)とトリアルキルシリルアジドまたはアジ化リチウム、アジ化ナトリウム等のアジド化剤とを5〜20時間反応させればよい。続いて、必要ならばフッ化水素、テトラアルキルアンモニウムフロリドまたはフッ化ナトリウム、フッ化カリウム等の脱シリル化剤を混合し、30分〜3時間反応させればよい。
【0069】
反応は窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で実施するのがよい。脱シリル化については空気中で実施すればよい。
【0070】
化合物(4)は通常行われる方法に従い、化合物(3)と置換スルホニルハライドまたは水酸基のハロゲン化剤との反応によって得ることができる。置換スルホニルオキシ基化合物を得るには置換スルホニルハライドとの反応を実施すればよいが、この様な置換スルホニルハライドとしては置換基を有していてもよいアルキルスルホニルハライドまたは置換基を有していてもよいアリールスルホニルハライドを挙げることができる。ハライドとしては、クロリド、ブロミド等でよいが、好ましくはクロリドである。このようなアルキルスルホニルクロリドとしてはメタンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホニルクロリド等を挙げることができる。また、アリールスルホニルクロリドとしてはフェニルスルホニルクロリド、p−トルエンスルホニルクロリド等を挙げることができる。
【0071】
置換スルホニルハライドを反応させる際には塩基存在下で実施すればよい。この様な塩基としては、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、炭酸水素塩または水酸化物塩;トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン等のトリアルキルアミン;ピリジン、1,8−ジアザビシクロウンデセン、N−メチルピペリジン等の含窒素複素環化合物;が使用できるが、トリアルキルアミン類、具体的にはトリエチルアミンが好ましい。
【0072】
また、化合物(3)の水酸基をハロゲン化体としては塩化物、臭化物、ヨウ化物などに変換すればよいが、これらのうちでは塩化物とするのが好ましい。塩化物を得るには、化合物(3)に対してチオニルクロリドを塩基存在下で反応させるか、またはトリフェニルホスフィン存在下の四塩化炭素との反応等の通常行われるアルコールの塩素化反応を行うとによって得ることができる。ここで使用する塩基は上記のものを使用すればよい。
【0073】
化合物(5)は化合物(4)を塩基存在下に処理して閉環させることによって得ることができる。この様な塩基としては1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、ジメチルアミノピリジン等の有機塩基(含窒素複素環化合物);水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属含有水素化物;ナトリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシドなどの置換基を有してもよいアルカリ金属含有アルコキシド;さらには炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの無機塩基性化合物を挙げることができる。反応溶媒は反応を阻害しないものであればいずれの溶媒を用いてもよい。
【0074】
反応温度は、0〜40℃、好ましくは10〜30℃の範囲で行えばよく、反応時間は1〜20時間でよい。
【0075】
この閉環反応においては使用する化合物(4)の置換基によって2種の化合物が生成する。すなわちRが酸素原子で、環状アミド化合物であるピロリドン化合物の化合物(5[O]):
【0076】
【化15】

そして、Rがメチレン水素のピロリジン化合物である化合物(5[H2]):
【0077】
【化16】

である。
【0078】
いずれの化合物も次の還元工程によって、化合物(6)に変換できる。
【0079】
化合物(6)は化合物(5)に還元剤を反応させるか、還元条件で処理することによって製造できる。還元剤としてはジボランや水素化アルミニウムまたはリチウム水素化アルミニウム、ナトリウム水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウム等を挙げることができ、化合物(7)を得ることができるものであればいずれを用いてもよい。
【0080】
また、別法として、化合物(6)のアジド基を炭素に担持されたパラジウム、白金に代表される遷移金属による水素添加反応に付し、アミノ基とした後、さらにジボランや水素化アルミニウムまたはリチウム水素化アルミニウム、ナトリウム水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウム等の還元剤を用いてアミド部位の還元を行うことでも化合物(7)を得ることができる。
【0081】
化合物(5[O])の還元は、アミドの還元のためジボランや水素化アルミニウムまたはリチウム水素化アルミニウム、ナトリウム水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウム等の還元剤を用いるのが有効である。また化合物(5[H2])の還元は、還元剤としてジボランや水素化アルミニウムまたはリチウム水素化アルミニウム、ナトリウム水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウム等を用いることができ、また炭素に担持されたパラジウムや白金に代表される遷移金属による水素添加反応でも還元することができる。
【0082】
本願発明の方法で得られる各工程の化合物の光学活性体は、特願2005−146386、特願2005−148121に記載の方法で分離することができる。例えば、光学活性な酸類を使用した光学分割によって分離やジアステレオマーを製造することによってクロマトグラフィーにて分離する方法などを用いることができる。
【0083】
さらに光学活性体は、Sharpless不斉エポキシ化、マンガンやクロムのSalen錯体またはランタンやイッテルビウムのBINOL錯体などの一般的に知られている不斉エポキシ化反応を利用することで得ることができる。
【実施例】
【0084】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0085】
実施例1 1−(2−メチル−オキシラニル)−シクロプロパンカルボン酸ベンジルアミド
アルゴン雰囲気下、60%水素化ナトリウム(27.6mg)をジメチルスルホキシド(1ml)に加え、70℃で加熱攪拌した。1時間後、室温まで冷やし、ヨウ化トリメチルスルホキソニウム塩(162.1mg)を加え攪拌、溶解させた。続いて1−アセチルシクロプロパンカルボン酸ベンジルアミド(100mg;特開平5−221947号公報)のジメチルスルホキシド(1ml)溶液を加え、4時間攪拌した。得られた反応溶液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を水で3回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、濾過し減圧下、溶媒を除去することで無色オイルを得た。得られた残留物をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、目的物を無色オイル(84.1mg,収率79%)として得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:7.38−7.25(m,5H),6.64(br,1H),4.56−4.43(m,2H),2.72(d,J=4.8Hz,1H),2.66(d,J=4.8Hz,1H),1.48(s,3H),1.35−1.29(m,1H),1.13−1.06(m,1H),0.83−0.71(m,2H).
【0086】
実施例2 1−(2−プロペニル)−シクロプロパンカルボン酸ベンジルアミド
アルゴン雰囲気下、メチルトリフェニルホスホニウムヨージド(24.2g)をトルエン(390ml)に加え、懸濁液とした。続いて、t−ブタノール(14.3ml)を滴下した後、室温でカリウムt−ブトキシド(6.71g)を添加し、1時間攪拌した。その後、1−アセチルシクロプロパンカルボン酸ベンジルアミド(10g)を加え、20時間加熱還流した。得られた反応懸濁液を濾過後、トルエンで洗浄し、減圧下、溶媒を除去することでオイルを得た。得られた残留物をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、目的物を淡黄色粉末(9.4g,収率95%)として得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:7.39−7.23(m5H),6.31(br,1H),5.14−5.09(m,2H),4.44(d,J=5.6Hz,2H),1.85(s,3H),1.40−1.34(m,2H),0.86−0.80(m,2H).
【0087】
実施例3 1−(2−メチル−オキシラニル)−シクロプロパンカルボン酸ベンジルアミド(別法)
アルゴン雰囲気下、1−(2−プロペニル)−シクロプロパンカルボン酸ベンジルアミド(100mg)を塩化メチレン(2ml)に溶解させた。室温でm−クロロ過安息香酸(112.2mg)を添加し、2時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を添加後、酢酸エチルで抽出する。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下、溶媒を除去することで無色オイルを得た。得られた残留物をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、目的物をオイル(80.4mg,収率76%)として得た。
【0088】
実施例4 1−(2−アジド−1−ヒドロキシプロパニル)−シクロプロパンカルボン酸ベンジルアミド
アルゴン雰囲気下、1−(2−メチル−オキシラニル)−シクロプロパンカルボン酸ベンジルアミド(51.0mg)をテトラヒドロフラン(1.0ml)に溶解した。室温でトリメチルシリルアジド(254.6mg)を添加し、19時間、加熱還流した。反応溶液を室温に戻した後、70%含水テトラブチルアンモニウムフロリド(247.6mg)を加え、17時間攪拌した。水を添加し、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下、溶媒を除去することで無色オイルを得た。得られた残留物をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、目的物をオイル(32.2mg、収率53%)として得た。また、副生成物として1−(1−アジド−2−ヒドロキシプロパニル)−シクロプロパンカルボン酸ベンジルアミドをオイル(21.4mg、収率35%)として得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:7.40−7.21(m,5H),6.53(br,1H),4.43(d,J=5.6Hz,2H),3.73(d,J=12.0Hz,1H),3.67(d,J=12.0Hz,1H),3.30(br,1H),1.30(s,3H),1.12−1.03(m,1H),1.00−0.93(m,1H),0.88−0.78(m,2H).
【0089】
実施例5 1−(2−アジド−1−ヒドロキシプロパニル)−シクロプロパンカルボン酸ベンジルアミド
アジ化ナトリウム(140.5mg)を36%v/v酢酸水溶液(0.55ml)に溶解させた。室温にて1−(2−メチル−オキシラニル)−シクロプロパンカルボン酸ベンジルアミド(105.2mg)を添加し、16時間、室温で攪拌した。ジエチルエーエルで3回抽出し、有機層を減圧下、溶媒を除去することで無色オイルを得た。得られた残留物をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、目的物をオイル(35.0mg、収率28%)として得た。
【0090】
実施例6 1−(2−アジド−1−メシロキシプロパニル)−シクロプロパンカルボン酸ベンジルアミド
アルゴン雰囲気下、1−(2−アジド−1−ヒドロキシプロパニル)−シクロプロパンカルボン酸ベンジルアミド(47.7mg)を塩化メチレン(1ml)に溶解させた。室温でトリエチルアミン(34.3mg)を添加し、0℃に冷却した。続いて、メタンスルホニルクロリド(38.8mg)を添加し、徐々に室温まで昇温した。2時間攪拌後、水を加え、塩化メチレンで抽出した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下、溶媒を除去することで無色オイルを得た。得られた残留物をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、目的物をオイル(41.0mg、収率67%)として得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:7.39−7.22(m,5H),6.51(br,1H),4.50(d,J=10.8Hz,1H),4.43(d,J=10.8Hz,1H),4.40(d,J=5.6Hz,2H),3.01(s,3H),1.47(s,3H),1.17−1.03(m,2H),0.93−0.82(m,2H).
【0091】
実施例7 7−アジド−5−ベンジル−7−メチル−5−アザスピロ[2,4]ヘプタン−4−オン
アルゴン雰囲気下、1−(2−アジド−1−メシロキシプロパニル)−シクロプロパンカルボン酸ベンジルアミド(41.0mg)をテトラヒドロフラン(1ml)に溶解させた。0℃で60%水素化ナトリウム(10.5mg)を添加後、室温まで昇温した。15.5時間攪拌後、水を加え、酢酸エチルで2回抽出した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下、溶媒を除去することで淡黄色オイルを得た。得られた残留物をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、目的物をオイル(15.6mg、収率52%)として得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:7.39−7.21(m,5H),4.59(d,J=14.8Hz,1H),4.46(d,J=14.8Hz,1H),4.44(d,J=10.2Hz,1H),4.27(d,J=10.2Hz,2H),1.19(s,3H),1.41−1.32(m,1H),1.14−1.03(m,2H),0.95−0.89(m,1H).
【0092】
実施例8 7−アミノ−5−ベンジル−7−メチル−5−アザスピロ[2,4]ヘプタン
アルゴン雰囲気下、7−アジド−5−ベンジル−7−メチル−5−アザスピロ[2,4]ヘプタン−4−オン(15.6mg)をトルエン(1ml)に溶解させた。室温で65wt%ナトリウム水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムのトルエン溶液(70.2μl)を添加し、80℃まで昇温した。3時間攪拌後、5N水酸化ナトリウム水溶液(350μl)を加え、トルエンで2回抽出した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下、溶媒を除去することで無色オイルを得た。H−NMRで定量したところ目的物の収率は約100%であった。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:7.40−7.17(m,5H),3.66−3.55(m,2H),2.75(d,J=9.6Hz,2H),2.56(d,J=9.0Hz,1H),2.48(d,J=9.0Hz,1H),0.96(s,3H),0.68−0.55(m,2H),0.47−0.35(m,2H).

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のA法またはB法によって式(2)
【化1】

(式中、Rは、酸素原子またはメチレン水素(=H)を示し、Rは、水素原子またはアミノ基の保護基を示し;Rは、置換基を有していてもよい炭素数1から6のアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数6から10のアリール基を示し;nは、2から5の整数を示す。)
で示される化合物を得;
A法:
トリメチルスルホキソニウム塩またはトリメチルスルホニウム塩に塩基を作用させた後に式(1)
【化2】

(式中、R、R、R、およびnは、前記に同じ。)
で示される化合物を反応させる方法。
B法:
式(6)
【化3】

(式中、R、R、およびnは、前記に同じ。)
で示される化合物にエポキシ化試剤を反応させる方法。
この式(2)で示される化合物にアジド化試剤を反応させた後、所望によって脱シリル剤と処理して式(3)
【化4】

(式中、R、R、R、およびnは、前記に同じ。)
で示される化合物を得、この式(3)で示される化合物にハロゲン化試剤またはハロゲン化置換スルホニル化合物を反応させて式(4)
【化5】

(式中、R、R、R、およびnは、前記に同じ。Xは、置換基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールスルホニルオキシ基、またはハロゲン原子を示す。)
で示される化合物を得、この式(4)で示される化合物を塩基で処理して式(5)
【化6】

(式中、R、R、およびRは、前記に同じ。)
で示される化合物を得、この化合物を還元することを特徴とする式(6)
【化7】

で示される化合物の製造方法。
【請求項2】
がメチル基である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
Rが酸素原子である請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
nが2である請求項1から3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
がアミノ基の保護基である請求項1から4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
アミノ基の保護基が、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアラルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいエーテル類、または置換シリル基である請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
アミノ基の保護基が、第三級ブトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、パラメトキシベンジルオキシカルボニル基、パラニトロベンジルオキシカルボニル基、アセチル基、メトキシアセチル基、トリフルオロアセチル基、クロロアセチル基、ピバロイル基、ホルミル基、ベンゾイル基、第三級ブチル基、ベンジル基、パラニトロベンジル基、パラメトキシベンジル基、トリフェニルメチル基、α−メチルベンジル基、メトキシメチル基、第三級ブトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、2,2,2−トリクロロエトキシメチル基、トリメチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、第三級ブチルジメチルシリル基、トリベンジルシリル基、および第三級ブチルジフェニルシリル基から選ばれる保護基である請求項5に記載の製造方法。
【請求項8】
アミノ基の保護基が、置換基を有していてもよいアラルキル基である請求項5に記載の製造方法。
【請求項9】
アミノ基の保護基が、ベンジル基、パラニトロベンジル基、パラメトキシベンジル基、トリフェニルメチル基、α−メチルベンジル基、またはメトキシメチル基である請求項5に記載の製造方法。
【請求項10】
アミノ基の保護基が、ベンジル基である請求項1から5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
式(2)
【化8】

(式中、Rは、酸素原子またはメチレン水素(=H)を示し、Rは、水素原子またはアミノ基の保護基を示し;Rは、置換基を有していてもよい炭素数1から6のアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数6から10のアリール基を示し;nは、2から5の整数を示す。)
で示される化合物にアジド化試剤を反応させた後、所望によって脱シリル剤と処理することを特徴とする式(3)
【化9】

(式中、R、R、R、およびnは、前記に同じ。)
で示される化合物の製造方法。
【請求項12】
がメチル基である請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
Rが酸素原子である請求項11または12に記載の製造方法。
【請求項14】
nが2である請求項1から3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項15】
がアミノ基の保護基である請求項11から14のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項16】
アミノ基の保護基が、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアラルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいエーテル類、または置換シリル基である請求項15に記載の製造方法。
【請求項17】
アミノ基の保護基が、第三級ブトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、パラメトキシベンジルオキシカルボニル基、パラニトロベンジルオキシカルボニル基、アセチル基、メトキシアセチル基、トリフルオロアセチル基、クロロアセチル基、ピバロイル基、ホルミル基、ベンゾイル基、第三級ブチル基、ベンジル基、パラニトロベンジル基、パラメトキシベンジル基、トリフェニルメチル基、α−メチルベンジル基、メトキシメチル基、第三級ブトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、2,2,2−トリクロロエトキシメチル基、トリメチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、第三級ブチルジメチルシリル基、トリベンジルシリル基、および第三級ブチルジフェニルシリル基から選ばれる保護基である請求項15に記載の製造方法。
【請求項18】
アミノ基の保護基が、置換基を有していてもよいアラルキル基である請求項15に記載の製造方法。
【請求項19】
アミノ基の保護基が、ベンジル基、パラニトロベンジル基、パラメトキシベンジル基、トリフェニルメチル基、α−メチルベンジル基、またはメトキシメチル基である請求項15に記載の製造方法。
【請求項20】
アミノ基の保護基が、ベンジル基である請求項11から15のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項21】
式(2)
【化10】

(式中、Rは、酸素原子またはメチレン水素(=H)を示し、Rは、水素原子またはアミノ基の保護基を示し;Rは、置換基を有していてもよい炭素数1から6のアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数6から10のアリール基を示し;nは、2から5の整数を示す。)
で示される化合物
【請求項22】
がメチル基である請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
Rが酸素原子である請求項21または22に記載の化合物。
【請求項24】
nが2である請求項21から23のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項25】
がアミノ基の保護基である請求項21から24のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項26】
アミノ基の保護基が、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアラルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいエーテル類、または置換シリル基である請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
アミノ基の保護基が、第三級ブトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、パラメトキシベンジルオキシカルボニル基、パラニトロベンジルオキシカルボニル基、アセチル基、メトキシアセチル基、トリフルオロアセチル基、クロロアセチル基、ピバロイル基、ホルミル基、ベンゾイル基、第三級ブチル基、ベンジル基、パラニトロベンジル基、パラメトキシベンジル基、トリフェニルメチル基、α−メチルベンジル基、メトキシメチル基、第三級ブトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、2,2,2−トリクロロエトキシメチル基、トリメチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、第三級ブチルジメチルシリル基、トリベンジルシリル基、および第三級ブチルジフェニルシリル基から選ばれる保護基である請求項25に記載の化合物。
【請求項28】
アミノ基の保護基が、置換基を有していてもよいアラルキル基である請求項25に記載の化合物。
【請求項29】
アミノ基の保護基が、ベンジル基、パラニトロベンジル基、パラメトキシベンジル基、トリフェニルメチル基、α−メチルベンジル基、またはメトキシメチル基である請求項25に記載の化合物。
【請求項30】
アミノ基の保護基が、ベンジル基である請求項21、22,23、24、または25に記載の化合物。
【請求項31】
式(3)
【化11】

(式中、R、R、R、およびnは、前記に同じ。)
で示される化合物
【請求項32】
がメチル基である請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
Rが酸素原子である請求項31または32に記載の化合物。
【請求項34】
nが2である請求項31から33のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項35】
がアミノ基の保護基である請求項31から34のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項36】
アミノ基の保護基が、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアラルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいエーテル類、または置換シリル基である請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
アミノ基の保護基が、第三級ブトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、パラメトキシベンジルオキシカルボニル基、パラニトロベンジルオキシカルボニル基、アセチル基、メトキシアセチル基、トリフルオロアセチル基、クロロアセチル基、ピバロイル基、ホルミル基、ベンゾイル基、第三級ブチル基、ベンジル基、パラニトロベンジル基、パラメトキシベンジル基、トリフェニルメチル基、α−メチルベンジル基、メトキシメチル基、第三級ブトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、2,2,2−トリクロロエトキシメチル基、トリメチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、第三級ブチルジメチルシリル基、トリベンジルシリル基、および第三級ブチルジフェニルシリル基から選ばれる保護基である請求項35に記載の化合物。
【請求項38】
アミノ基の保護基が、置換基を有していてもよいアラルキル基である請求項35に記載の化合物。
【請求項39】
アミノ基の保護基が、ベンジル基、パラニトロベンジル基、パラメトキシベンジル基、トリフェニルメチル基、α−メチルベンジル基、またはメトキシメチル基である請求項35に記載の化合物。
【請求項40】
アミノ基の保護基が、ベンジル基である請求項31、32、33、34、または35に記載の化合物。

【公開番号】特開2008−150296(P2008−150296A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−336872(P2006−336872)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(000002831)第一製薬株式会社 (129)
【Fターム(参考)】