説明

回折素子および光ヘッド装置

【課題】回折効率の波長依存性をほとんど一定にするなど、回折効率を制御できる回折素子を得て、光ヘッド装置に搭載し設計自由度が高く、かつ光利用効率の高い装置とする。
【解決手段】透明基板上に形成された周期的な凹凸部を備える回折素子であって、凸部は透明基板面に平行に配された光学多層膜を備え、また少なくとも凹部は透明基板とは屈折率の異なる充填材によって充填されている回折素子において、前記凸部は屈折率の高い層(H層)と低い層(L層)の周期構造を有する前記光学多層膜であり、前記光学多層膜の屈折率の算術平均値と前記凹部に充填された充填剤の屈折率との差が0.12以下であり、波長が350nmから900nmの範囲の光における1次の回折効率が35%以上であることを特徴とする回折素子を提供することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回折素子および光ヘッド装置に関し、特に光ヘッド装置については光ディスクの情報の記録および再生を行う光ヘッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光を回折する回折格子やホログラム素子は、通常ガラスやプラスチックの基板表面に断面形状が周期的な凹凸格子を設けることにより作製する。このような回折素子では波長に依存する回折効率はほぼ格子の深さのみで決まる。このため、複数の波長の光に対して回折効率を自由に制御することができない問題があった。
【0003】
また、光ディスクの情報の再生や記録を行う光ヘッド装置においては、光ディスクの多様化により用いるレーザ光の波長は、790nm(CD系)、650nm(DVD系)および405nm(次世代DVD系)3種類の波長が検討されている。これら光ディスクの情報を同一の光ヘッド装置で再生するためには複数の波長の半導体レーザを搭載する必要がある。
【0004】
一方光ヘッド装置において用いられる回折素子としては、トラッキング用の3ビーム発生用の回折素子、光ディスクにより反射した戻り光を光検出器に導くために光路を変えるホログラム素子など、さまざまな用途で用いられる。
【0005】
このような複数波長の光で用いる光ヘッド装置において、各波長により回折効率を最適化することのニーズは多い。しかしながら、前述のように通常の回折素子では回折効率の波長依存性は、格子の深さのみでほぼ決まるため所望の回折効率を各波長ごとに得ることは困難であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の欠点を解決し、回折効率の波長依存性を制御できる回折素子を提供することにある。また、本発明の回折素子を複数波長を用いた光ヘッド装置に用いることにより上記従来技術の欠点を解決し、設計の自由度を広げた光ヘッド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、透明基板上に形成された周期的な凹凸部を備える回折素子であって、凸部は透明基板面に平行に配された光学多層膜を備え、また少なくとも凹部は透明基板とは屈折率の異なる充填材によって充填されている回折素子において、前記凸部は屈折率の高い層(H層)と低い層(L層)の周期構造を有する前記光学多層膜であり、前記光学多層膜の屈折率の算術平均値と前記凹部に充填された充填剤の屈折率との差が0.12以下である回折素子。前記光学多層膜の屈折率の算術平均値は、H層の屈折率nとH層のそれぞれの層の厚みdの積の和と、L層の屈折率nとL層のそれぞれの層の厚みdの積の和とを合計した値を、すべてのH層とすべてのL層の合計厚みで割った値である。
【0008】
また、前記光学多層膜が、交互に重ねられたSiO膜およびTiO膜を備えている上記の回折素子を提供する。
【0009】
また、光源と、前記光源からの出射光を光記録媒体へ集光するための対物レンズと、集光され前記光記録媒体によって反射された出射光を検出するための光検出器とを備える光ヘッド装置において、前記光源と前記対物レンズとの間の光路中に前記回折素子が配置されている光ヘッド装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の回折素子は透明基板上に周期的に重ねた酸化物などの光学多層膜を用いて凹凸状の回折格子を形成したものであり、この回折素子は回折効率の波長依存性をほとんど一定にするなど、回折効率を制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の回折素子の一例を示す側方断面図。
【図2】本発明の回折素子の他の例を示す側方断面図。
【図3】図1の回折素子に透明基板を重ねた、本発明の回折格子を示す側方断面図。
【図4】図2の回折素子に透明基板を重ねた、本発明の回折格子を示す側方断面図。
【図5】本発明の回折素子の別の例を示す側方断面図。
【図6】表1に示した光学多層膜の設計例により得られる回折素子における、1次の回折効率の波長依存性を示すグラフ。
【図7】表2に示した光学多層膜の設計例により得られる回折素子における、1次の回折効率の波長依存性を示すグラフ。
【図8】本発明の回折素子を搭載した光ヘッド装置一例を示す概略的側面図。
【図9】実施例における回折素子の概略的側方断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の回折素子の一例の概念的断面図を図1に示す。図1において、1は光学多層膜であり、透明基板3上に基板面に平行に形成された複数の層からなり凸部を構成する。図1では簡単のために2種の材料による5層の膜となっているが、膜の材料、種類および層数は所望の回折効率が得られるように設計すればよい。2は透明基板とは屈折率の異なる充填材であり、透明基板3上の光学多層膜1による凸部の間すなわち凹部を充填してもよいし、凹部のみならず凸部にも充填してもよい(図2参照。符号の意味は、図1と同じ。)。
【0013】
充填材は固体または液体からなり、例えばAu、Alなどの金属材料、SiO、ZrO、MgFなどの酸化物およびフッ化物材料、HOなどの無機物材料や、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの有機物材料、さらに、液晶などの複屈折性材料などが使用できる。また、透明基板としては、ガラス、プラスチックなどの基板を使用できる。
【0014】
光学多層膜の材料としては、SiO、SiON、ZrO、TiO、Al、CeO、MgO、MgFなどの無機物材料を用いることができる。また、有機物材料であってもよい。多層膜の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタ法などを挙げることができる。
【0015】
また、透過波面収差を改善するために、図3および図4に示すようにガラスまたは樹脂製の表面がフラットなカバー4を回折素子の充填材側に設けることが好ましい。
【0016】
図5には、本発明の回折素子を透明基板3の表面と裏面との両面に形成した例を示す。11は第2の光学多層膜であり、12は第2の充填材である。ここでは、両面に形成する回折素子の回折効率の波長依存性や、格子ピッチなどを変化させることによる回折方向の調整など、設計の自由度を増加できて好ましい。
【0017】
また、この回折素子と他の光学素子とを積層して一体化してもよい。他の光学素子としては、例えば、波長板、通常の回折格子、偏光性回折格子、液晶を用いた光学素子、位相制御素子などである。これらの光学素子と本発明の回折素子とを一体化して一体化回折素子とすることにより、ひとつの一体化回折素子でありながら複数の機能を有するとともに、光ヘッド装置に組み込んだ場合光学部品点数を削減できて好ましい。
【0018】
本発明の回折素子における光学多層膜の構成材料の第1設計例を表1に示す。
【0019】
【表1】

【0020】
例えばガラスからなる透明基板上に、最下層と最上層のAl膜を除いて、SiO膜とTiO膜とが13層交互に重ねられ、Al膜を加えると合計15層の光学多層膜とされ、光学多層膜は周期的な凹凸形状に加工されて、格子が作製した後、屈折率1.93の充填材により格子の凹部が充填され回折素子が構成された(図1を参照)。
【0021】
この回折素子における1次の回折効率の波長依存性の例を図6に示す。図6には、比較例として従来の表面凹凸型の回折格子の1次の回折効率も示した。このように、本発明の光学多層膜により凹凸状の回折格子を形成したものは、波長350nmから900nmまでの光に対してほぼ理論限界の40%近い回折効率を示すことがわかる。なお、表1に用いたSiO膜、TiO膜、Al膜の屈折率は、それぞれ異なり順に1.47、2.27、1.56であった。ただし成膜条件により屈折率が設計値と若干異なる場合には、膜厚を調整する。
【0022】
本発明の回折素子における光学多層膜の構成材料の第2設計例を表2に示す。
【0023】
【表2】

【0024】
上記と同様例えばガラスからなる透明基板上に、SiO膜とTiO膜とが交互に重ねられ29層の光学多層膜とされ、光学多層膜は周期的な凹凸形状に加工されて、格子を作製した後、屈折率1.51の充填材により格子の凹部が充填され回折素子が構成された(図2を参照)。
【0025】
この回折素子における1次の回折効率の波長依存性の例を図7に示す。図7には比較例として従来の表面凹凸型の回折格子の回折効率も示した。このように、本発明の光学多層膜に凹凸状の回折格子を形成したものは、波長790nmの光はほとんど回折せず透過し、波長650nmの光は約6%回折することが分かる。さらに、600nmから670nmまでの広い波長帯域にわたり回折効率の変化がほとんどないことが分かる。なお、表2に用いたSiO膜、TiO膜の屈折率は、それぞれ異なり順に1.48、2.32であった。ただし上記と同様、成膜条件により屈折率が設計と若干異なる場合には、膜厚を調整する。
【0026】
上記の回折素子を、例えばDVD系(波長650nm)とCD系(波長790nm)光ディスク用の光源を有する光ヘッド装置に搭載した場合について説明する。例えば、図8に示すようにコリメートレンズ24と光源21、22との間に、本発明の回折素子23を配置する。
【0027】
この回折素子を図5を参考にして説明する。例えば第1の光学多層膜1および第1の充填材2よりなる第1の回折部分(透明基板3の上側)は、波長650nmの光を約6%回折し、波長790nmの光をほぼ100%透過するように設計し、第2の多層膜11および第2の充填材12よりなる第2の回折部分(透明基板3の下側)は、波長790nmの光を約6%回折し、波長650nmの光をほぼ100%透過するように設計する。これにより、回折素子23は各波長の3ビームを効率よく発生できる。
【0028】
回折素子23によって3ビームに分割された各光源からの光は、コリメートレンズ24、ビームスプリッタ25を透過し、対物レンズ26により光記録媒体27に集光される。光記録媒体27にて反射された光は、対物レンズ26、ビームスプリッタ25の順に戻り光検出光学系28により検出される。回折素子23により得られた各波長の光の3ビームは、トラッキングに使用できる。
【0029】
また、光通信に使用される波長950nm〜1700nmの近赤外光に対しても本発明の回折素子を使用でき、特に波長1550nm帯の光を使用する波長分割多重通信の構成部品として使用できる。例えば広い波長帯域で回折効率が一定の回折素子を使用したビームスプリッタや、回折効率の波長分散を調整したゲインイコライザなどを挙げることができる。
【実施例】
【0030】
本実施例を図9に基づいて説明する。透明基板である石英ガラス基板31の一方の表面にフォトリソグラフィとエッチングの技術によりレリーフ型の第1の回折格子32を作製した。格子ピッチは20μm、デューティ比は1/2、深さは約1.4μmとし、波長650nmの光は回折せず透過し、波長780nmの光は、10%程度回折するようにした。
【0031】
また、レリーフ型の回折格子の凹凸部上に真空蒸着法により波長650nmおよび波長790nmの光に対する反射防止膜を形成した。このレリーフ型の回折格子は、波長650nmの光をほとんど回折せず0次光の回折効率(すなわち透過率)が約90%、一方波長790nmの光を1次回折光として約10%回折し、0次光の回折効率が約55%であった。
【0032】
この石英ガラス基板31のレリーフ型の回折格子32を作製した面とは反対側の面には、真空蒸着法により表2に示した光学多層膜である誘電体多層膜を成膜した。上記と同様にして、フォトリソグラフィとエッチングの技術により、誘電体多層膜凸部33を有する第2の回折格子を作製した。格子ピッチは20μm、デューティ比は1/2とし、エッチングは基板の石英ガラスが露出した段階で止め、誘電体多層膜のみ凹凸になるようにした。
【0033】
ガラス基板の一方の面に、真空蒸着法により波長650nmおよび波長790nmの光に対する反射防止膜を形成してカバーガラス35を作製した。第2の回折格子の凹部に屈折率1.51のアクリル系の接着剤34を充填材として充填し、上記カバーガラス35をこの上に重ねて接着剤34によりカバーガラス35を接着して、図9に示したような回折素子を作製した。
【0034】
この回折素子の透過率および回折効率を調べたところ、波長650nmの光に対しては、0次光の回折効率が約70%、1次光の回折効率が約6%、一方波長790nmの光に対しては0次光の回折効率が約54%、1次光の回折効率が約9%であった。そして、いずれの波長の光についても効率よく3ビームを得ることができた。
【0035】
この回折素子を、図8に示した光ヘッド装置中の回折素子23の位置に搭載した。光源21として、DVD用の光源である波長650nmのLD、光源22としてCD用の光源である波長790nmのLDを使用したところ、790nmの光、および650nmの光を効率よく各々3ビームに分けることができ、さらに光ヘッド装置の光利用効率を高めことができた。そして、この3ビームは光ヘッド装置のトラッキングに使用され、光ディスクからの情報の再生時に良質の再生特性が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上説明したように、本発明の回折素子は透明基板上に周期的に重ねた酸化物などの光学多層膜を用いて凹凸状の回折格子を形成したものであり、この回折素子は回折効率の波長依存性をほとんど一定にするなど、回折効率を制御できる。
【0037】
また本発明の回折素子を複数波長の光を用いる光ヘッド装置に搭載することで設計自由度が高く、かつ光利用効率の高い光ヘッド装置を得ることができる。
【符号の説明】
【0038】
1、11:光学多層膜
2、12:充填材
3:透明基板
4:カバー
21、22:光源
23:回折素子
24:コリメートレンズ
25:ビームスプリッタ
26:対物レンズ
27:光記録媒体
28:光検出光学系
31:石英ガラス基板
32:回折格子
33:誘電体多層膜凸部
34:接着剤
35:カバーガラス




【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板上に形成された周期的な凹凸部を備える回折素子であって、凸部は透明基板面に平行に配された光学多層膜を備え、また少なくとも凹部は透明基板とは屈折率の異なる充填材によって充填されている回折素子において、前記凸部は屈折率の高い層(H層)と低い層(L層)の周期構造を有する前記光学多層膜であり、前記光学多層膜の屈折率の算術平均値と前記凹部に充填された充填剤の屈折率との差が0.12以下であり、波長が350nmから900nmの範囲の光における1次の回折効率が35%以上であることを特徴とする回折素子。前記光学多層膜の屈折率の算術平均値は、H層の屈折率nとH層のそれぞれの層の厚みdの積の和と、L層の屈折率nとL層のそれぞれの層の厚みdの積の和とを合計した値を、すべてのH層とすべてのL層の合計厚みで割った値である。
【請求項2】
透明基板上に形成された周期的な凹凸部を備える回折素子であって、凸部は透明基板面に平行に配された光学多層膜を備え、また少なくとも凹部は透明基板とは屈折率の異なる充填材によって充填されている回折素子において、前記凸部は屈折率の高い層(H層)と低い層(L層)の周期構造を有する前記光学多層膜であり、前記光学多層膜の屈折率の算術平均値と前記凹部に充填された充填剤の屈折率との差が0.12以下であり、波長が600nmから850nmの範囲の光における1次の回折効率が10%以下であることを特徴とする回折素子。前記光学多層膜の屈折率の算術平均値は、H層の屈折率nとH層のそれぞれの層の厚みdの積の和と、L層の屈折率nとL層のそれぞれの層の厚みdの積の和とを合計した値を、すべてのH層とすべてのL層の合計厚みで割った値である。
【請求項3】
透明基板上に形成された周期的な凹凸部を備える回折素子であって、凸部は透明基板面に平行に配された光学多層膜を備え、また少なくとも凹部は透明基板とは屈折率の異なる充填材によって充填されている回折素子において、前記凸部は屈折率の高い層(H層)と低い層(L層)の周期構造を有する前記光学多層膜であり、波長が350nmから900nmの範囲の光における1次の回折効率が35%以上であることを特徴とする回折素子。
【請求項4】
透明基板上に形成された周期的な凹凸部を備える回折素子であって、凸部は透明基板面に平行に配された光学多層膜を備え、また少なくとも凹部は透明基板とは屈折率の異なる充填材によって充填されている回折素子において、前記凸部は屈折率の高い層(H層)と低い層(L層)の周期構造を有する前記光学多層膜であり、波長が600nmから850nmの範囲の光における1次の回折効率が10%以下であることを特徴とする回折素子。
【請求項5】
透明基板上に形成された周期的な凹凸部を備える回折素子であって、凸部は透明基板面に平行に配された光学多層膜を備え、また少なくとも凹部は透明基板とは屈折率の異なる充填材によって充填されている回折素子において、前記凸部は屈折率の高い層(H層)と低い層(L層)の周期構造を有する前記光学多層膜であり、波長が405nmから650nmの範囲の光における1次の回折効率が35%以上であることを特徴とする回折素子。
【請求項6】
透明基板上に形成された周期的な凹凸部を備える回折素子であって、凸部は透明基板面に平行に配された光学多層膜を備え、また少なくとも凹部は透明基板とは屈折率の異なる充填材によって充填されている回折素子において、前記凸部は屈折率の高い層(H層)と低い層(L層)の周期構造を有する前記光学多層膜であり、波長が405nmから650nmの範囲の光における1次の回折効率が10%以下であることを特徴とする回折素子。
【請求項7】
透明基板上に形成された周期的な凹凸部を備える回折素子であって、凸部は透明基板面に平行に配された光学多層膜を備え、また少なくとも凹部は透明基板とは屈折率の異なる充填材によって充填されている回折素子において、前記凸部は屈折率の高い層(H層)と低い層(L層)の周期構造を有する前記光学多層膜であり、波長が950nmから1550nmの範囲の光における1次の回折効率が35%以上であることを特徴とする回折素子。
【請求項8】
透明基板上に形成された周期的な凹凸部を備える回折素子であって、凸部は透明基板面に平行に配された光学多層膜を備え、また少なくとも凹部は透明基板とは屈折率の異なる充填材によって充填されている回折素子において、前記凸部は屈折率の高い層(H層)と低い層(L層)の周期構造を有する前記光学多層膜であり、波長が950nmから1550nmの範囲の光における1次の回折効率が10%以下であることを特徴とする回折素子。
【請求項9】
透明基板上に形成された周期的な凹凸部を備える回折素子であって、凸部は透明基板面に平行に配された光学多層膜を備え、また少なくとも凹部は透明基板とは屈折率の異なる充填材によって充填されている回折素子において、前記凸部は屈折率の高い層(H層)と低い層(L層)の周期構造を有する前記光学多層膜であり、波長が1550nmから1900nmの範囲の光における1次の回折効率が35%以上であることを特徴とする回折素子。
【請求項10】
透明基板上に形成された周期的な凹凸部を備える回折素子であって、凸部は透明基板面に平行に配された光学多層膜を備え、また少なくとも凹部は透明基板とは屈折率の異なる充填材によって充填されている回折素子において、前記凸部は屈折率の高い層(H層)と低い層(L層)の周期構造を有する前記光学多層膜であり、波長が1550nmから1900nmの範囲の光における1次の回折効率が10%以下であることを特徴とする回折素子。
【請求項11】
前記基板は平行平板であって、
前記基板面に対し垂直方向より光が入射するものであることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の回折素子。
【請求項12】
前記回折素子には、複数の波長の光が入射するものであることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の回折素子。
【請求項13】
前記充填剤は、フッ化物材料、有機物材料、複屈折性材料のいずれかにより形成されていることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の回折素子。
【請求項14】
前記回折素子は、偏光分離をするものではないことを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の回折素子。
【請求項15】
前記回折素子は、複屈折を有しないことを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の回折素子。
【請求項16】
前記光学多層膜は、前記透明基板の両面に形成されていることを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の回折素子。
【請求項17】
前記透明基板の一方の面に形成される光学多層膜からなる凸部の格子ピッチと、前記透明基板の他方の面に形成される光学多層膜からなる凸部の格子ピッチとは、異なることを特徴とする請求項16に記載の回折素子。
【請求項18】
前記透明基板の一方の面には、レリーフ型の回折格子が形成されており、
前記透明基板の他方の面には、前記光学多層膜が形成されていることを特徴とする請求項1から17のいずれかに記載の回折素子。
【請求項19】
前記光学多層膜が、交互に重ねられたSiO膜およびTiO膜を備えている請求項1から18のいずれかに記載の回折素子。
【請求項20】
光源と、前記光源からの出射光を光記録媒体へ集光するための対物レンズと、集光され前記光記録媒体によって反射された出射光を検出するための光検出器とを備える光ヘッド装置において、前記光源と前記対物レンズとの間の光路中に請求項1から19のいずれかに記載の回折素子が配置されている光ヘッド装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−77374(P2013−77374A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−12969(P2013−12969)
【出願日】平成25年1月28日(2013.1.28)
【分割の表示】特願2011−191964(P2011−191964)の分割
【原出願日】平成13年12月17日(2001.12.17)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】