説明

回転電機および回転電機のロータ

【課題】ロータ磁石に発生する応力を低減するとともに、製造が容易で低コストの回転電機および回転電機のロータの提供。
【解決手段】電動モータのロータ4はシャフトメンバー41を備え、シャフトメンバー41の外周面上には、互いの間に所定距離を有して一対の回り止め部材42,43が圧入されている。双方の回り止め部材42,43の間には、弾性リング46,47を介してロータマグネット44,45が挟持されている。回り止め部材42,43には、それぞれ凸部42b,43bが形成され、ロータマグネット44,45の凹部44b,45b内に収容されている。弾性リング46,47は、凸部42b,43bおよび凹部44b,45bと係合する囲い壁461と、囲い壁461に連続した接続部462を備えている。各々の接続部462上には、回転軸方向に突出し、ロータマグネット44,45の一端部44a,45aに当接する弾性突起が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータに対して半径方向内方に対向するように配置されたロータを備えた回転電機および回転電機のロータに関する。
【背景技術】
【0002】
内ヨークの外周面上に設けた凸部を、円筒形マグネットの端部に形成した凹部に係合させた後、内ヨークと円筒形マグネットとを接着剤により接合している回転電機のロータに係る従来技術があった(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示された回転電機のロータは、内ヨークの凸部と円筒形マグネットの凹部とが係合していることにより、接着剤の接着力が低下した場合にも、円筒形マグネットの内ヨークに対する空転を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−178042号公報(第2頁および第3頁、図1および図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
その一方、特許文献1に開示されたロータは、内ヨークの外周面と円筒形マグネットとの間の隙間に接着剤を均等に介在させる必要があり、製造工程において手間を要し製造コストの増大を招いていた。特に、内ヨークの凸部と円筒形マグネットの凹部との間に、液垂れが発生しないように接着剤を塗布することは、非常に困難であった。
また、接着剤の接着力が低下した場合、内ヨークと円筒形マグネットとの間に、凸部と凹部との間の隙間分のガタが発生するため、内ヨークに対する円筒形マグネットの回転位置がずれて、ロータの回転性能が低下するという問題もある。
さらに、接着力の低下により、凸部と凹部とが当接した状態でロータの回転速度が上昇した場合、その遠心力等により内ヨークの凸部と円筒形マグネットの凹部との間において応力が増大し、円筒形マグネットの破損につながる虞があった。
【0005】
上述した問題を解消するために、ヨークとマグネットとの間において円周方向に弾性部材を介装した状態で、マグネットを収容した部材をかしめる等することによって、マグネットをヨークに固定する方法が考えられた。すなわち、円周方向におけるヨークとマグネットとの間に、弾性力を有した合成樹脂材料や合成ゴムを介装した状態で、マグネットをヨークに固定するのである。これによれば、マグネットのヨークに対する組付性を向上させることができるとともに、ロータの回転時にマグネットとヨークとの間において、回転方向に発生する応力を低減することができる。
【0006】
しかしながら、この方法によっても、ロータの回転時において種々の問題が発生する場合がある。つまり、マグネットとヨークとの間に介装した弾性部材の硬度が低い場合、ロータの回転速度や回転トルクの上昇にともない、ヨークに対するマグネットの回転位置ずれが増大し、ロータの回転性能が低下する。また、弾性部材の硬度が低いと強度が低下し、弾性部材自体の破損へとつながる。
【0007】
それと反対に、強度を増大させるために弾性部材の硬度を高くした場合、マグネットおよび弾性部材に応力が発生しやすくなる。特に、雰囲気温度の変化による線膨張変化があると、マグネットおよび弾性部材の応力がさらに増大する。これは、ロータの円周方向よりもむしろ、長手に形成され線膨張の大きい回転軸方向において顕著であった。これまでの従来技術において、こういった課題を解決できる円筒形マグネットを持つ回転電機のロータは皆無であった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロータ磁石に発生する応力を低減するとともに、製造が容易で低コストの回転電機および回転電機のロータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、請求項1に係る回転電機の発明の構成は、ハウジングに固定されたステータと、ステータに対して半径方向内方に対向するように、ハウジングに回転可能に取り付けられたロータと、を備え、ロータは、ハウジングに回転可能に取り付けられ、外周面に回り止め部が半径方向外方に向けて円周上に突出するとともに、回り止め部の外面には凸部および凹部のうちのいずれか一方が設けられたロータシャフトと、円筒状に形成され、ロータシャフトの外周面に対し嵌合して、回転軸方向の一端部が回り止め部の回転軸方向の一面と対向するように配置され、一端部には凸部および凹部のうちの他方が形成され、凸部または凹部は回り止め部に形成された凸部を収容可能または回り止め部に形成された凹部に挿入可能に形成されたロータ磁石と、ロータシャフトの外周面に対し取り付けられ、ロータ磁石の回転軸方向の他端部に対して当接することにより、ロータ磁石を回転軸方向に位置決めする位置決め部材と、可撓性を有する合成樹脂材料にてリング状に形成されるとともに、ロータシャフトの外周面に嵌合し、ロータ磁石の一端部と回り止め部との間において挟持され、凸部および凹部と係合する支持部と、支持部に対し円周上に連続した軸方向弾性部とを有し、軸方向弾性部はロータ磁石と回り止め部との間において回転軸方向の緩衝部材として機能するロータ弾性部材と、を具備したことである。
【0009】
請求項2に係る発明の構成は、請求項1の回転電機において、軸方向弾性部には、回転軸方向に突出してロータ磁石の一端部または回り止め部に当接する軸方向突部が形成されていることである。
【0010】
請求項3に係る発明の構成は、請求項2の回転電機において、凸部は突出方向に垂直な断面が矩形状に形成され、支持部は凸部の円周方向の両端面を覆うように、互いに対向した一対の止壁を有し、止壁には円周方向に突出して凸部または凹部に当接する周方向突部が形成されていることである。
【0011】
請求項4に係る発明の構成は、請求項3の回転電機において、凸部は回転軸方向に突出し、支持部は一対の止壁を半径方向内端において接続する閉壁を有しており、軸方向弾性部の半径方向の太さについて、支持部の近傍にある部位を支持部から離れた部位よりも増大させ、軸方向突部は軸方向弾性部の半径方向の太さを増大させた部位に形成されたことである。
【0012】
請求項5に係る発明の構成は、請求項2または3の回転電機において、軸方向突部は、軸方向弾性部上において円周上に連続していることである。
【0013】
請求項6に係る発明の構成は、請求項1の回転電機において、軸方向弾性部は回転軸方向に波打つウェイブ状に形成されていることである。
【0014】
請求項7に係る発明の構成は、請求項1乃至6のうちのいずれかの回転電機において、ロータ弾性部材は、熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマーにより形成されていることである。
【0015】
請求項8に係る回転電機のロータの発明の構成は、ハウジングに固定されたステータに対し、半径方向内方に対向するようにハウジングに回転可能に取り付けられた回転電機のロータであって、ハウジングに回転可能に取り付けられ、外周面に回り止め部が半径方向外方に向けて円周上に突出するとともに、回り止め部の外面には、凸部および凹部のうちのいずれか一方が設けられたロータシャフトと、円筒状に形成され、ロータシャフトの外周面に対し嵌合して、回転軸方向の一端部が回り止め部の回転軸方向の一面と対向するように配置され、一端部には凸部および凹部のうちの他方が形成され、凸部または凹部は回り止め部に形成された凸部を収容可能または回り止め部に形成された凹部に挿入可能に形成されたロータ磁石と、ロータシャフトの外周面に対し取り付けられ、ロータ磁石の回転軸方向の他端部に対して当接することにより、ロータ磁石を回転軸方向に位置決めする位置決め部材と、可撓性を有する合成樹脂材料にてリング状に形成されるとともに、ロータシャフトの外周面に嵌合し、ロータ磁石の一端部と回り止め部との間において挟持され、凸部および凹部と係合する支持部と、支持部に対し円周上に連続した軸方向弾性部とを有し、軸方向弾性部はロータ磁石と回り止め部との間において回転軸方向の緩衝部材として機能するロータ弾性部材と、を具備したことである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る回転電機によれば、可撓性を有する合成樹脂材料にてリング状に形成されるとともに、ロータシャフトの外周面に嵌合し、ロータ磁石の一端部と回り止め部との間において挟持され、凸部および凹部と係合する支持部と、支持部に対し円周上に連続した軸方向弾性部とを有し、軸方向弾性部がロータ磁石と回り止め部との間において回転軸方向の緩衝部材として機能するロータ弾性部材を具備したことにより、ロータ磁石とロータシャフトとの間において回転軸方向に線膨張が発生しても、ロータ磁石およびロータ弾性部材に発生する応力を低減し、ロータ磁石およびロータ弾性部材の破損を防止することができる。
また、ロータ弾性部材は合成樹脂材料にて形成されているため、ロータシャフトとロータ磁石との組付工程を簡素化することができる。
【0017】
請求項2に係る回転電機によれば、軸方向弾性部には、回転軸方向に突出してロータ磁石の一端部または回り止め部に当接する軸方向突部が形成されていることにより、強度を確保するためにロータ弾性部材の硬度を増大させた場合でも、軸方向突部が圧縮されてロータ磁石およびロータ弾性部材に発生する応力を低減し、ロータ磁石およびロータ弾性部材の破損を防止することができるとともに、軸方向突部を介してロータ磁石とロータシャフトとを回転軸方向に強固に係合させることができる。
また、ロータ磁石とロータシャフトとの間において、回転軸方向の線膨張が発生した場合、軸方向突部がさらに圧縮されることにより膨張分が吸収されるため、ロータ磁石およびロータ弾性部材に発生する応力を容易に低減することができる。
【0018】
請求項3に係る回転電機によれば、凸部は突出方向に垂直な断面が矩形状に形成され、支持部は凸部の円周方向の両端面を覆うように、互いに対向した一対の止壁を有し、止壁には円周方向に突出して凸部または凹部に当接する周方向突部が形成されていることにより、周方向突部を介してロータ磁石とロータシャフトとが円周方向に強固に係合する。
また、ロータ磁石とロータシャフトとの間に円周方向の線膨張が発生した場合、周方向突部が圧縮されることにより膨張分が吸収されるため、ロータ磁石およびロータ弾性部材に発生する応力を容易に低減することができる。
【0019】
請求項4に係る回転電機によれば、ロータ弾性部材の支持部は、一対の止壁を半径方向内端において接続する閉壁を有しており、軸方向弾性部の半径方向の太さについて、支持部の近傍にある部位を支持部から離れた部位よりも増大させ、軸方向突部は軸方向弾性部の半径方向の太さを増大させた部位に形成されている。
したがって、軸方向突部の圧縮による軸方向弾性部に発生する応力を低減でき、ロータ弾性部材の破損を防ぐことができる。ここで、支持部の近傍にある部位の半径方向の太さを増大させることができる理由は、閉壁が凸部の半径方向内側の側面に当接可能であるため、軸方向弾性部における支持部の近傍にある部位が半径方向外方に突出することがないためである。
【0020】
請求項5に係る回転電機によれば、軸方向突部が軸方向弾性部上において円周上に連続していることにより、軸方向突部の面積を増大させることができるため、軸方向突部に発生する応力を低減しロータ弾性部材の破損を防ぐことができる。
【0021】
請求項6に係る回転電機によれば、軸方向弾性部が回転軸方向に波打つウェイブ状に形成されていることにより、軸方向弾性部の全体に回転軸方向のばね性能を持たせて応力集中を防ぎ、ロータ磁石とロータシャフトとの間における回転軸方向の線膨張分を容易に吸収することができる。
【0022】
請求項7に係る回転電機によれば、ロータ弾性部材は、弾性力に富み、耐熱性に優れ、強度の大きい熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマーにより形成されていることにより、長期間に亘って、ロータ磁石およびロータ弾性部材に発生する応力を安定して低減することができる。
【0023】
請求項8に係る回転電機のロータによれば、可撓性を有する合成樹脂材料にてリング状に形成されるとともに、ロータシャフトの外周面に嵌合し、ロータ磁石の一端部と回り止め部との間において挟持され、凸部および凹部と係合する支持部と、支持部に対し円周上に連続した軸方向弾性部とを有し、軸方向弾性部がロータ磁石と回り止め部との間において回転軸方向の緩衝部材として機能するロータ弾性部材を具備したことにより、ロータ磁石とロータシャフトとの間において回転軸方向に線膨張が発生しても、ロータ磁石およびロータ弾性部材に発生する応力を低減し、ロータ磁石およびロータ弾性部材の破損を防止することができる。
また、ロータ弾性部材は合成樹脂材料にて形成されているため経時変化が少なく、長期間に亘って、ロータシャフトとロータ磁石とを強固に係合させることができるとともに、ロータシャフトとロータ磁石との組付工程を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態1による電動モータの回転軸方向にカットした断面図
【図2】図1に示したロータの外観図
【図3】図2のA部拡大図
【図4】図3のB−B断面図
【図5】図2に示した第1弾性リングの外観斜視図
【図6】図5に示した第1弾性リングの弾性突起を示した拡大斜視図
【図7】図5に示した第1弾性リングの側壁を示した拡大斜視図
【図8】実施形態2による弾性リングの外観斜視図
【図9】実施形態3による弾性リングの外観斜視図
【発明を実施するための形態】
【0025】
<実施形態1>
図1乃至図7に基づき、本発明の実施形態1による電動モータ1(回転電機に該当する)について説明する。尚、説明中において半径方向または円周方向といった場合、ロータ4の回転軸φ(図1示)を中心とした半径方向または円周方向を意味しているものとする。また、説明中において回転軸といった場合、特に断らなければ、上述した回転軸φを意味している。
【0026】
図1に示したように、電動モータ1はモータハウジング2(ハウジングに該当する)に固定されたステータ3と、モータハウジング2内に回転軸φを中心に回転可能に取り付けられたロータ4とを備えている。本実施形態による電動モータ1は、ステータ3がロータ4に対して半径方向外方に対向するように配置されているインナロータ型のモータである。
モータハウジング2はアルミニウム合金によって円筒状に形成されたハウジングボデー21と、同様にアルミニウム合金によって形成されたハウジングカバー22とが接合されて形成されている。
【0027】
ハウジングボデー21の内部には、ステータ3が収容されている。ステータ3は、複数のケイ素鋼板(電磁鋼板)が積層されて形成され、ハウジングボデー21の内周面に対し圧入または接着により固定されたロータコア31を備えている。ロータコア31は、外周縁にて連結された複数のティース31aを具備しており、各々のティース31aには、ボビン32を介してステータコイル33が巻回されている。各々のステータコイル33は、外部から電流が印加可能に構成されている。
【0028】
一方、ロータ4は、鉄材にて円筒形に形成されたシャフトメンバー41を備えている。シャフトメンバー41は、ハウジングボデー21およびハウジングカバー22の内周面に固定された一対の軸受23、24に対し圧入され、モータハウジング2に対し回転可能に取り付けられている。シャフトメンバー41の外周面には、ともにステンレス合金により円環状に形成された第1回り止め部材42および第2回り止め部材43が、互いの間に所定の間隔を有して圧入されている。
図1に示すように、第1回り止め部材42および第2回り止め部材43が圧入されたシャフトメンバー41の部位の外径に対応させて、第2回り止め部材43の内径は、第1回り止め部材42の内径よりも小径に形成されている。以下、第1回り止め部材42および第2回り止め部材43を総称する場合、回り止め部材42、43と言う。
【0029】
また、シャフトメンバー41の外周面には、第1回り止め部材42と第2回り止め部材43との間に位置するように、円筒形に形成された第1ロータマグネット44および第2ロータマグネット45(各々はロータ磁石に該当する)が嵌合している。永久磁石である第1ロータマグネット44および第2ロータマグネット45は、希土類金属粉を粉末焼結法または樹脂成型法等によって成形することにより形成され、それぞれの外周面上には、複数のN極およびS極が交互に着磁されている。
【0030】
第1ロータマグネット44および第2ロータマグネット45は、シャフトメンバー41上において回転軸方向に並ぶように設けられ、互いに当接している。第1ロータマグネット44および第2ロータマグネット45は、ともにステータ3のロータコア31に対し、僅かな隙間を有して半径方向内方に対向している。以下、第1ロータマグネット44および第2ロータマグネット45を総称する場合、ロータマグネット44、45と言う。
【0031】
さらに、第1回り止め部材42と第1ロータマグネット44との間には、第1弾性リング46(ロータ弾性部材に該当する)が挟持されている。また、第2回り止め部材43と第2ロータマグネット45との間には、第2弾性リング47(ロータ弾性部材に該当する)が挟持されている。第1弾性リング46および第2弾性リング47は、可撓性を有する合成樹脂材料によってリング状に形成され、シャフトメンバー41の外周面に嵌合している。
【0032】
第1弾性リング46と第2弾性リング47は、説明の都合上、互いに異なる名称および符号を用いているが、双方は構造的に同一のものである。以下、第1弾性リング46および第2弾性リング47を総称する場合、弾性リング46、47と言う。回り止め部材42、43、ロータマグネット44、45、弾性リング46、47およびこれらの係合方法については、後において詳述する。
【0033】
図1に示すように、ハウジングボデー21には、レゾルバステータ51が取り付けられている。また、シャフトメンバー41の外周面には、レゾルバロータ52がレゾルバステータ51に対して半径方向に対向するように設けられている。レゾルバロータ52は、シャフトメンバー41とともに回転可能に形成されている。
上述した構成により、図示しないコントローラは、レゾルバステータ51からの信号に基づいてロータ4の回転位置を検出する。コントローラは、ステータコイル33に電流を供給することによりステータ3において磁界を発生させ、ロータ4を所定の回転速度によって駆動する。
【0034】
以下、回り止め部材42、43、ロータマグネット44、45および第1弾性リング46について詳述する。回り止め部材42、43は、シャフトメンバー41に取り付けられることにより、シャフトメンバー41の外周面に半径方向外方に向けて円周上に突出している。第1回り止め部材42における回転軸方向の一側の端面42a(一面に該当する)は、第1ロータマグネット44の回転軸方向の一端部44aと対向している。また、第2回り止め部材43における回転軸方向の一側の端面43a(一面に該当する)は、第2ロータマグネット45の回転軸方向の一端部45aと対向している(図2示)。
【0035】
図2に示すように、第1回り止め部材42の端面42aには、回転軸方向に突出した一対の凸部42bが形成されている。また、第2回り止め部材43の端面43aにも、回転軸方向に突出した一対の凸部43bが形成されている(図2において、それぞれ一側の凸部42b、43bのみ示す)。第1回り止め部材42の一対の凸部42bは、第1回り止め部材42の円周上において、互いの間に180°の角度を有するように形成されている。また同様に、第2回り止め部材43の一対の凸部43bは、第2回り止め部材43の円周上において、互いの間に180°の角度を有するように形成されている。各々の凸部42b、43bのそれぞれの突出方向に垂直な断面は、略矩形状を呈している。
【0036】
一方、第1ロータマグネット44の一端部44aには、回転軸方向に窪んだ一対の凹部44bが形成されている。また、第2ロータマグネット45の一端部45aにも、回転軸方向に窪んだ一対の凹部45bが形成されている(図2において、それぞれ一側の凹部44b、45bのみ示す)。第1ロータマグネット44の一対の凹部44bは、第1ロータマグネット44の円周上において、互いの間に180°の角度を有するように形成されている。また、第2ロータマグネット45の一対の凹部45bも、第2ロータマグネット45の円周上において、互いの間に180°の角度を有するように形成されている。凹部44b、45bは、それぞれ回り止め部材42、43の凸部42b、43bを収容可能に形成されている。
【0037】
次に、第1弾性リング46について説明する。第1弾性リング46は、弾性力に富み、耐熱性に優れ、強度の大きい合成樹脂材料である熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマーにより一体に形成され、第1ロータマグネット44の一端部44aと第1回り止め部材42との間で挟持されている。図5に示すように、第1弾性リング46は、回転軸方向に突出して凸部42bと凹部44bとに係合する一対の囲い壁461(支持部に該当する)と、囲い壁461に対し円周上に連続した一対の接続部462(軸方向弾性部に該当する)とを有している。
【0038】
各々の接続部462は円弧状の平板にて形成され、囲い壁461の近傍にある部位の半径方向の太さを、囲い壁461から離れた部位の半径方向の太さよりも増大させている。それぞれの接続部462の半径方向の太さを増大させた部位(囲い壁461の近傍にある部位)には、回転軸方向に突出した弾性突起463(軸方向突部に該当する)が形成されている(図6示)。弾性突起463は断面が真円状に形成され、それぞれの囲い壁461の近傍において円周方向の両側に設けられている。
【0039】
上述した囲い壁461は、凸部42bおよび凹部44bと係合した場合に、凸部42bの円周方向の両端面42c(図3示)を覆うように、互いに対向した一対の側壁461a(止壁に該当する)を有している。側壁461aの半径方向内端は、ブリッジ461b(閉壁に該当する)によって接続されており、囲い壁461の半径方向外側は開口している(図5示)。
【0040】
図7に示すように、それぞれの側壁461aには、円周方向に突出した係合突起464(周方向突部に該当する)が形成されている。係合突起464は、各々の囲い壁461において回転軸方向に延びるとともに、円周方向の外側に向けて突出するように形成されている。前述したように、本実施形態において第2弾性リング47は、その材質、形状、寸法において第1弾性リング46と全く同一であるため、第2弾性リング47については説明を省略する。
【0041】
ロータ4を組付ける場合、シャフトメンバー41の外周面に第1回り止め部材42を圧入後、第1弾性リング46、第1ロータマグネット44、第2ロータマグネット45および第2弾性リング47を、この順序でシャフトメンバー41に対し図2における右方から嵌合させる。その後、シャフトメンバー41の外周面に、第2回り止め部材43を圧入して固定する。尚、ロータ4の組付方法については、上述した方法に限定されるものではない。
【0042】
回り止め部材42、43は、シャフトメンバー41上に固定される際、互いの間の間隔(図2におけるL寸法)が所定の値となるように取り付けられる。第1ロータマグネット44および第2ロータマグネット45は、それぞれ第1弾性リング46および第2弾性リング47を介して、第1回り止め部材42と第2回り止め部材43との間で挟まれることにより、回転軸方向の位置決めが行われる。
【0043】
回り止め部材42、43およびロータマグネット44、45がシャフトメンバー41上に取り付けられると、回り止め部材42、43の凸部42b、43bは、それぞれロータマグネット44、45の凹部44b、45b内に収容される。また、弾性リング46、47の囲い壁461は、凸部42b、43bと凹部44b、45bとの間に介装される。これにより、シャフトメンバー41上において、ロータマグネット44、45の円周方向の位置決めが行われる。
【0044】
第1弾性リング46が第1回り止め部材42と第1ロータマグネット44との間に介装された状態で、第1弾性リング46の接続部462が第1回り止め部材42の端面42aに当接するとともに、弾性突起463が第1ロータマグネット44の一端部44aに当接している(図3および図4示)。第1ロータマグネット44に当接することにより、弾性突起463は回転軸方向に若干圧縮されて、第1回り止め部材42と第1ロータマグネット44とを、互いに離れる方向に付勢している。これにより、接続部462は第1ロータマグネット44と第1回り止め部材42との間において、回転軸方向の緩衝部材として機能する。
また、弾性突起463が第1ロータマグネット44に当接することにより、第1弾性リング46の接続部462、囲い壁461の回転軸方向の先端および第1回り止め部材42の凸部42bが、第1ロータマグネット44に対し当接することはない。
【0045】
また、第1弾性リング46が第1回り止め部材42と第1ロータマグネット44との間に介装された状態で、第1弾性リング46の一対の側壁461aの対向面が、第1回り止め部材42の凸部42bに当接するとともに、係合突起464は第1ロータマグネット44の凹部44bの側面に当接している(図3示)。凹部44bに当接することにより、係合突起464は円周方向に若干圧縮された状態となり、第1回り止め部材42と第1ロータマグネット44とを円周方向に強固に連結している。これにより、第1ロータマグネット44からシャフトメンバー41に対し、駆動力を確実に伝達することができる。
【0046】
また、係合突起464が凹部44bに当接することにより、第1弾性リング46の側壁461aが凹部44bに対し当接することはない。尚、第1弾性リング46が第1回り止め部材42と第1ロータマグネット44との間に介装された状態で、第1弾性リング46のブリッジ461bは、シャフトメンバー41の外周面と第1回り止め部材42の凸部42bとの間に配置されている(図4示)。
【0047】
上述した第1回り止め部材42が回り止め部に該当する場合、第2回り止め部材43および第2弾性リング47は位置決め部材に該当し、シャフトメンバー41および第1回り止め部材42を包括した構成がロータシャフトに該当する。また、第2回り止め部材43が回り止め部に該当する場合、第1回り止め部材42および第1弾性リング46は位置決め部材に該当し、シャフトメンバー41および第2回り止め部材43を包括した構成がロータシャフトに該当する。
【0048】
図2に示した状態において、温度変化等によりロータ4に回転軸方向の線膨張が発生すると、第1回り止め部材42と第1ロータマグネット44との間において、弾性突起463がさらに圧縮されて(弾性突起463が、その半径方向に拡がり)膨張分を吸収する。このように、弾性突起463は第1回り止め部材42と第1ロータマグネット44との間において、回転軸方向の緩衝部材として機能し、第1弾性リング46および第1ロータマグネット44に発生する応力を低減する。
【0049】
また、ロータ4に円周方向の線膨張が発生すると、第1回り止め部材42の凸部42bと第1ロータマグネット44の凹部44bとの間において、係合突起464がさらに圧縮されて(係合突起464が、その幅方向に拡がり)膨張分を吸収する。このように、係合突起464は第1回り止め部材42と第1ロータマグネット44との間において、円周方向の緩衝部材として機能し、第1弾性リング46および第1ロータマグネット44に発生する応力を低減する。
第2弾性リング47を介した第2回り止め部材43と第2ロータマグネット45の連結構造についても、上述した第1回り止め部材42と第1ロータマグネット44の連結構造の場合と同様であるため、第2弾性リング47を用いた連結構造についての説明は省略する。
【0050】
本実施形態によれば、可撓性を有する合成樹脂材料にてリング状に形成された弾性リング46、47は、回り止め部材42、43の凸部42b、43bおよびロータマグネット44、45の凹部44b、45bと係合する囲い壁461と、囲い壁461に対し円周上に連続した接続部462とを有し、接続部462がロータマグネット44、45と回り止め部材42、43との間において回転軸方向の緩衝部材として機能することにより、ロータマグネット44、45と回り止め部材42、43との間において回転軸方向に線膨張が発生しても、ロータマグネット44、45および弾性リング46、47に発生する応力を低減し、ロータマグネット44、45および弾性リング46、47の破損を防止することができる。
また、弾性リング46、47は合成樹脂材料にて形成されているため、シャフトメンバー41とロータマグネット44、45との組付工程を簡素化することができる。
【0051】
また、弾性リング46、47には、回転軸方向に突出してロータマグネット44、45の一端部44a、45aに当接する弾性突起463が形成されていることにより、強度を確保するために弾性リング46、47の硬度を増大させた場合でも、弾性突起463が圧縮されて、ロータマグネット44、45および弾性リング46、47に発生する応力を低減し、ロータマグネット44、45および弾性リング46、47の破損を防止することができるとともに、弾性突起463を介してロータマグネット44、45とシャフトメンバー41とを回転軸方向に強固に係合させることができる。
また、ロータマグネット44、45と回り止め部材42、43との間において、回転軸方向の線膨張が発生した場合、弾性突起463がさらに圧縮されることにより膨張分が吸収されるため、ロータマグネット44、45および弾性リング46、47に発生する応力の発生を容易に低減することができる。
【0052】
また、回り止め部材42、43の凸部42b、43bは突出方向に垂直な断面が矩形状に形成され、囲い壁461は凸部42b、43bの円周方向の両端面42cを覆うように、互いに対向した一対の側壁461aを有し、側壁461aには円周方向に突出してロータマグネット44、45の凹部44b、45bに当接する係合突起464が形成されていることにより、係合突起464を介してロータマグネット44、45とシャフトメンバー41とが円周方向に強固に連結される。
また、ロータマグネット44、45と回り止め部材42、43との間に円周方向の線膨張が発生した場合、係合突起464が圧縮されることにより膨張分が吸収されるため、ロータマグネット44、45および弾性リング46、47に発生する応力を容易に低減することができる。
【0053】
また、弾性リング46、47の囲い壁461は、一対の側壁461aを半径方向内端において接続するブリッジ461bを有しており、接続部462の半径方向の太さについて、囲い壁461の近傍にある部位を囲い壁461から離れた部位よりも増大させ、弾性突起463は接続部462の半径方向の太さを増大させた部位に形成されている。
これにより、弾性突起463の圧縮による接続部462に発生する応力を低減でき、弾性リング46、47の破損を防ぐことができる。ここで、囲い壁461の近傍にある部位の半径方向の太さを増大させることができる理由は、囲い壁461のブリッジ461bが凸部42b、43bの半径方向内側の側面に当接可能であるため、接続部462における囲い壁461の近傍にある部位が半径方向外方に突出することがないためである。
また、弾性リング46、47は、弾性力に富み、耐熱性に優れ、強度の大きい熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマーにより形成されていることにより、長期間に亘って、ロータマグネット44、45および弾性リング46、47に発生する応力を安定して低減することができる。
【0054】
<実施形態2>
図8に基づき、本発明の実施形態2による弾性リング48(ロータ弾性部材に該当し、第1回り止め部材42および第2回り止め部材43のいずれとも係合することが可能である)について説明する。本実施形態による弾性リング48は、係合突起484を有する囲い壁481に接続部482が連続し、各々の接続部482上に弾性突起463に代えて周状突起483が形成されている点のみが、弾性リング46、47に対して異なる。それぞれの周状突起483は回転軸方向に突出し、接続部482上において円周状に連続している。
弾性リング48が回り止め部材42と第1ロータマグネット44との間に介装された状態で、接続部482は第1回り止め部材42の端面42aに当接するとともに、周状突起483は第1ロータマグネット44の一端部44aに当接する。弾性リング48のその他の構成については、弾性リング46、47と同様であるため説明は省略する。
本実施形態によれば、周状突起483が接続部482上において円周上に連続していることにより、周状突起483の面積を増大させることができ、周状突起483に発生する応力を低減することができる。このため、強度および耐久性に優れた弾性リング48にすることができる。
【0055】
<実施形態3>
図9に基づき、本発明の実施形態3による弾性リング49(ロータ弾性部材に該当し、第1回り止め部材42および第2回り止め部材43のいずれとも係合することが可能である)について説明する。本実施形態による弾性リング49は、係合突起494を有する囲い壁491に接続部492が連続し、各々の接続部492が連続するウェイブ状に形成されている点のみが、弾性リング46、47に対して異なる。図9に示すように、接続部492は回転軸方向に波打つように形成されている。
弾性リング49が回り止め部材42と第1ロータマグネット44との間に介装された状態で、ウェイブ状の接続部492は、第1回り止め部材42の端面42aと第1ロータマグネット44の一端部44aとにより挟持される。弾性リング49のその他の構成については、弾性リング46、47と同様であるため説明は省略する。
本実施形態によれば、接続部492が回転軸方向に波打つウェイブ状に形成されていることにより、接続部492の全体に回転軸方向のばね性能を持たせて応力集中を防ぎ、ロータマグネット44、45と回り止め部材42、43との間における回転軸方向の線膨張分を容易に吸収することができる。これにより、ロータマグネット44、45および弾性リング49に発生する応力の吸収能力を向上させることができる。
【0056】
<他の実施形態>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。
凸部42b、43bと凹部44b、45bの係合箇所は、回り止め部材42、43およびロータマグネット44、45の円周上において、1箇所のみに形成してもよいし、3箇所以上あってもよい。
また、実施形態1とは逆に、ロータマグネット44、45に凸部を形成し、回り止め部材42、43に凹部を形成してもよい。
【0057】
また、双方のロータマグネット44、45を一体化して、第1ロータマグネット44のみとし、第1回り止め部材42および第2回り止め部材43の一方のみに凸部または凹部を形成し、第1ロータマグネット44と係合させて、第1ロータマグネット44の円周方向の位置決めをし、第1回り止め部材42および第2回り止め部材43の他方には、凸部および凹部を形成せずに第1ロータマグネット44に当接させ、第1ロータマグネット44の回転軸方向の位置決めをするようにしてもよい。
【0058】
また、第1弾性リング46が第1回り止め部材42と第1ロータマグネット44との間に介装された状態で、第1弾性リング46の接続部462が第1ロータマグネット44の一端部44aに当接するとともに、弾性突起463が第1回り止め部材42の端面42aに当接するようにしてもよい。
また、第1弾性リング46が第1回り止め部材42と第1ロータマグネット44との間に介装された状態で、第1弾性リング46の一対の側壁461aが、第1ロータマグネット44の凹部44bの側面に当接するとともに、係合突起464が第1回り止め部材42の凸部42bに当接するようにしてもよい。
【0059】
また、凸部42b、43bは、回り止め部材42、43において半径方向外方に突出していてもよい。
また、本発明は、同期モータ、誘導モータ、ステッピングモータあるいはそれ以外のあらゆる電動モータもしくは発電機といった回転電機に適用可能である。
【符号の説明】
【0060】
図面中、1は電動モータ(回転電機)、2はモータハウジング(ハウジング)、3はステータ、4はロータ、41はシャフトメンバー(ロータシャフト)、42は第1回り止め部材(回り止め部、位置決め部材)、42a,43aは一側の端面(一面)、42b,43bは凸部、42cは凸部の円周方向の両端面、43は第2回り止め部材(回り止め部、位置決め部材)、44は第1ロータマグネット(ロータ磁石)、44a,45aはロータマグネットの一端部、44b,45bは凹部、45は第2ロータマグネット(ロータ磁石)、46は第1弾性リング(ロータ弾性部材、位置決め部材)、47は第2弾性リング(ロータ弾性部材、位置決め部材)、48,49は弾性リング(ロータ弾性部材)、461,481,491は囲い壁(支持部)、461aは側壁(止壁)、461bはブリッジ(閉壁)、462,482,492は接続部(軸方向弾性部)、463は弾性突起(軸方向突部)、464,484,494は係合突起(周方向突部)、483は周状突起(軸方向突部)を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングに固定されたステータと、
前記ステータに対して半径方向内方に対向するように、前記ハウジングに回転可能に取り付けられたロータと、
を備え、
前記ロータは、
前記ハウジングに回転可能に取り付けられ、外周面に回り止め部が半径方向外方に向けて円周上に突出するとともに、前記回り止め部の外面には凸部および凹部のうちのいずれか一方が設けられたロータシャフトと、
円筒状に形成され、前記ロータシャフトの外周面に対し嵌合して、回転軸方向の一端部が前記回り止め部の回転軸方向の一面と対向するように配置され、前記一端部には前記凸部および前記凹部のうちの他方が形成され、前記凸部または前記凹部は前記回り止め部に形成された前記凸部を収容可能または前記回り止め部に形成された前記凹部に挿入可能に形成されたロータ磁石と、
前記ロータシャフトの外周面に対し取り付けられ、前記ロータ磁石の回転軸方向の他端部に対して当接することにより、前記ロータ磁石を回転軸方向に位置決めする位置決め部材と、
可撓性を有する合成樹脂材料にてリング状に形成されるとともに、前記ロータシャフトの外周面に嵌合し、前記ロータ磁石の前記一端部と前記回り止め部との間において挟持され、前記凸部および前記凹部と係合する支持部と、前記支持部に対し円周上に連続した軸方向弾性部とを有し、前記軸方向弾性部は前記ロータ磁石と前記回り止め部との間において回転軸方向の緩衝部材として機能するロータ弾性部材と、
を具備した回転電機。
【請求項2】
前記軸方向弾性部には、回転軸方向に突出して前記ロータ磁石の前記一端部または前記回り止め部に当接する軸方向突部が形成されている請求項1記載の回転電機。
【請求項3】
前記凸部は、突出方向に垂直な断面が矩形状に形成され、
前記支持部は、前記凸部の円周方向の両端面を覆うように、互いに対向した一対の止壁を有し、前記止壁には円周方向に突出して前記凸部または前記凹部に当接する周方向突部が形成されている請求項2記載の回転電機。
【請求項4】
前記凸部は回転軸方向に突出し、
前記支持部は、一対の前記止壁を半径方向内端において接続する閉壁を有しており、
前記軸方向弾性部の半径方向の太さについて、前記支持部の近傍にある部位を前記支持部から離れた部位よりも増大させ、前記軸方向突部は前記軸方向弾性部の半径方向の太さを増大させた部位に形成された請求項3記載の回転電機。
【請求項5】
前記軸方向突部は、前記軸方向弾性部上において円周上に連続している請求項2または3に記載の回転電機。
【請求項6】
前記軸方向弾性部は、回転軸方向に波打つウェイブ状に形成されている請求項1記載の回転電機。
【請求項7】
前記ロータ弾性部材は、熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマーにより形成されている請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項8】
ハウジングに固定されたステータに対し、半径方向内方に対向するように前記ハウジングに回転可能に取り付けられた回転電機のロータであって、
前記ハウジングに回転可能に取り付けられ、外周面に回り止め部が半径方向外方に向けて円周上に突出するとともに、前記回り止め部の外面には、凸部および凹部のうちのいずれか一方が設けられたロータシャフトと、
円筒状に形成され、前記ロータシャフトの外周面に対し嵌合して、回転軸方向の一端部が前記回り止め部の回転軸方向の一面と対向するように配置され、前記一端部には前記凸部および前記凹部のうちの他方が形成され、前記凸部または前記凹部は前記回り止め部に形成された前記凸部を収容可能または前記回り止め部に形成された前記凹部に挿入可能に形成されたロータ磁石と、
前記ロータシャフトの外周面に対し取り付けられ、前記ロータ磁石の回転軸方向の他端部に対して当接することにより、前記ロータ磁石を回転軸方向に位置決めする位置決め部材と、
可撓性を有する合成樹脂材料にてリング状に形成されるとともに、前記ロータシャフトの外周面に嵌合し、前記ロータ磁石の前記一端部と前記回り止め部との間において挟持され、前記凸部および前記凹部と係合する支持部と、前記支持部に対し円周上に連続した軸方向弾性部とを有し、前記軸方向弾性部は前記ロータ磁石と前記回り止め部との間において回転軸方向の緩衝部材として機能するロータ弾性部材と、
を具備した回転電機のロータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−106450(P2013−106450A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249369(P2011−249369)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】