図面作成支援システム
【課題】従来の図面作成支援システムで寸法線を自動的に描画する場合、寸法線描画ルールを図面の対象や種類に応じて、ユーザが個別に設定する必要があった。
【解決手段】課題を解決するための手段は、図形と図形の寸法線が描画された図面を取り込み、前記図面から寸法線が描画されるルールを抽出する寸法線描画ルール抽出手段と、寸法線描画ルールを格納する寸法線描画ルールデータベースと、寸法線描画ルールデータベースに格納された寸法線描画ルールを表示し、修正する寸法線描画ルール表示・編集手段と、寸法線を描画したい図面を読み込み、読み込んだ図面に前記寸法線描画ルールデータベースに格納された寸法線描画ルールに基づき、寸法線を描画する寸法線描画手段を有することを特徴とする図面作成支援システム。
【解決手段】課題を解決するための手段は、図形と図形の寸法線が描画された図面を取り込み、前記図面から寸法線が描画されるルールを抽出する寸法線描画ルール抽出手段と、寸法線描画ルールを格納する寸法線描画ルールデータベースと、寸法線描画ルールデータベースに格納された寸法線描画ルールを表示し、修正する寸法線描画ルール表示・編集手段と、寸法線を描画したい図面を読み込み、読み込んだ図面に前記寸法線描画ルールデータベースに格納された寸法線描画ルールに基づき、寸法線を描画する寸法線描画手段を有することを特徴とする図面作成支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寸法線を自動的に作図する機能を持つ図面作成支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
寸法線の描画を支援する従来技術には、特許文献1に記載された寸法線自動作成装置がある。
【0003】
特許文献1に記載された従来技術は、形状認識装置により、ファジー推論を行い、与えられた図面情報に基づいて図面の形状を認識するため、図面情報の座標にズレがあって、線分が離れていても正しく形状を認識することができる。また、形状認識したデータは、グループ化装置により本来同一直線上に並ぶべき図面要素毎にグループ化する。さらに、ファジールールにより、形状毎に寸法線の描画ルールを定義しており、これらのファジールールに従い寸法線を描画する。
【0004】
本従来技術によれば、図面に描画された形状の情報に若干の誤差があり、線分が離れている場合であっても適切な位置に寸法線を描画することが可能である。また、寸法線が適切にグループ化されているため修正が容易である。さらに、寸法線の描画ルールは具体的なファジールールで定義しているため、寸法線の描画ルールの確認,修正が容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−98720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図面上の形状に寸法線を入れる場合、図面の対象,種類により固有のルールがある場合がある。従来技術を利用して寸法線を描画する場合、ファジールールをこれらの固有のルールに合わせて修正・再構築する必要があった。本発明の目的の一つとして、寸法線の無い図面に手本となる図面のルールを適用して効率よく描画することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴は、寸法線描画ルール抽出手段により手本となる図面から寸法線が描画されるルールを抽出し、寸法線描画手段により、抽出した寸法線描画ルールを用いて、寸法線を描画したい図面に寸法線を描画することである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、寸法線の無い図面に手本となる図面のルールを適用して効率良く描画できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第一の実施例の構成を示す図。
【図2】寸法線描画ルールの一例を示す図。
【図3】法線描画ルール抽出手段のアルゴリズムを示す図。
【図4】形状と寸法線の例を示す図。
【図5】個別ルールと上位ルールの例を示す図。
【図6】メタルールの例を示す図。
【図7】寸法線描画ルール表示・編集手段及び寸法線描画手段の画面例を示す図。
【図8】図7の画面で上位ルールのみ表示した例を示す図。
【図9】寸法線描画手段40のアルゴリズムを示す図。
【図10】寸法線を描画した結果の例を示す図。
【図11】本発明の第2の実施例の構成を示す図。
【図12】寸法線ルール比較手段50の画面例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0011】
図1に本発明の第一実施例の図面作成支援システムの概要を示す。図面作成支援システムはコンピュータで構成される。
【0012】
本実施例の図面作成支援システムは、寸法線描画ルール抽出手段10,寸法線描画ルールデータベース20,寸法線描画ルール表示・編集手段30及び寸法線描画手段40を有する。
【0013】
寸法線描画ルール抽出手段10は、図形と図形の寸法線が描画された図面を取り込み、形状とその寸法線が入った図面データから寸法線描画ルールを抽出する。図面の取り込みは、データ化されている図面データを読み込む場合と、スキャナなどの図面読み取り装置により紙図面の図面データを取り込む場合がある。寸法線描画ルールデータベース20は、寸法線描画ルール抽出手段10で抽出した寸法線描画ルールを格納する。寸法線描画ルール表示・編集手段30は、寸法線描画ルールデータベース20に格納された寸法線描画ルールを表示し、必要に応じて、寸法線描画ルールを編集する。寸法線描画手段40は、寸法線を描画したい図面に描画された形状データを読み込み、読み込んだ形状データ情報と寸法線描画ルールデータベース20に格納された寸法線描画ルールから、寸法線を描画したい図面に寸法線を描画する。
【0014】
以下にこれらの各手段について、詳細に説明する。
【0015】
寸法線描画ルール抽出手段10では、図面データから寸法線描画ルールを抽出する。ここで、寸法線描画ルールの一例を図2に示す。「対象1」「対象2」は、寸法線が何の長さのであるかを表す。寸法線は2点の間の長さを表示するものであるため、その2点を「対象1」,「対象2」として表す。「寸法向き」は、「対象1」と「対象2」のどの方向の長さであるかを表す。例えば横方向,縦方向,斜め方向などである。また、一般に図面を描画するソフトでは、座標軸が定義されているため、x軸方向,y軸方向といった表現でもよい。「表示位置」は、寸法線が描画される位置である。例えば、横方向の向きの寸法線の場合、表示位置は、縦方向の偏差で表す。例えば、“100”の場合は、上方向に100離れた位置であり、“−200”の場合は、下方向に200離れた位置となる。「ルールパターン」は、寸法線を描画するルールのパターンである。「ルールパターン」の例は、例えば“隣接”,“両端”などである。“隣接”の場合、隣接する全ての「対象1」と「対象2」の寸法線を描画する。“両端”の場合、「対象1」と「対象2」が複数一列に並んでいた場合、両端の「対象1」と「対象2」にのみ寸法線を描画する。
【0016】
図3に寸法線描画ルール抽出手段のアルゴリズムを示す。以下に各ステップについて説明する。
【0017】
Step101では、図面に描画された寸法線を抽出する。ここで、図面は、AutoCADなどのCADソフトを利用して描画された図面である。一般的に、このような図面では、寸法線は寸法線オブジェクトとして描画されている。したがって、寸法線抽出手段11では、図面から寸法線オブジェクトを抽出することで寸法線を抽出する。なお、寸法線が寸法線オブジェクトとして描画されずに、ある定義に基づいた図形データとして描画されている場合は、それらの図形データを抽出する。なお、以下の説明では、寸法線は寸法線オブジェクトである場合のみ説明する。
【0018】
Step102では、寸法線抽出手段11で抽出した寸法線が引かれた形状データとその部位を抽出する。図4の例では、長方形ABCDの辺ADに寸法線が引かれているため、この寸法線が引かれた形状データは、長方形ABCDである。まず、寸法線の補助線の端点1と端点2の座標を取得する。一般的な図面作成CADで寸法線を記入した場合には、端点の座標は容易に取得することができる。次に、取得した座標が接続している図形データを抽出する。図形データの領域と端点座標の関係から、端点1,端点2が長方形ABCDに接していることを判定し、長方形ABCDを抽出する。
【0019】
なお、図形データは、一般的には、線分,円などの図形データまたは、それらを組み合わせた図形データとして描画されるか、ユーザが定義したブロック(複数の図形データを組み合わせて一塊の形状としたもの)の図形データ(以降、図形ブロックデータと称す)として描画されている。このステップで抽出される図形データは、これら全ての図形データが対象である。
【0020】
次に、寸法線が接続する「部位」を抽出する。図4の例では、端点1が接続する「部位」は“左上”、端点2が接続する「部位」は“右上”である。このように、「部位」は、端点の座標、抽出した形状の座標及び形状の「部位」の定義から判定する。なお、端点1は、点Aに接続されているが、点Aを“右上”と定義されていれば、「部位」は“右上”であり、上下の関係がない“右端”と定義されていれば、「部位」は、“右端”となる。すなわち、同じ位置でも、定義により異なった「部位」が抽出される。
【0021】
Step103では、「寸法向き」を取得する。図4の例では、x軸に並行であるため、“X軸方向”となる。
【0022】
Step104では、「表示位置」を取得する。図4の例では、補助線の端点から寸法矢印までの距離を100とすると、“100”となる。この距離も、一般的な図面描画ソフトでは容易に取得することができる。
【0023】
Step105では、ルールパターンを取得する。図4の例では、1つの形状の幅を表示しているため、“同一形状”となる。これは、“右上”,“左上”という「部位」の寸法線を同じ形状の中でのみ描画するというルールである。もし、複数の長方形が並んでいる場合に、隣り合う長方形の“右上”と“左上”の寸法線を描画するルールと区別するためのルールである。
【0024】
以上のステップにより、寸法線のルールを抽出することができる。寸法線描画ルール抽出手段により、手本となる図面の寸法線が描画された図面から寸法線描画ルールを効率よく自動的に抽出できる。
【0025】
次に、寸法線描画ルールデータベース20について説明する。寸法線描画ルールデータベース20では、寸法線描画ルール抽出手段10で抽出した寸法線描画ルールとメタルールを格納する。寸法線描画ルールについては、既に説明済みであるため、説明を割愛する。メタルールとは、寸法線描画ルールを作成・加工するためのルールである。
【0026】
寸法線描画ルールを作成するためのルールは、例えば、寸法線描画ルールの「ルールパターン」を判定するためのルールである。「ルールパターン」が“隣接”になるのか“同一形状”になるかは、寸法線描画ルール抽出手段10で判断するが、判断の根拠となるルールは寸法線描画ルールデータベース20に格納されている。
【0027】
寸法線描画ルールを加工するためのルールは、例えば、抽出した個別ルールから上位ルールを作成するためのルールである。個別ルールと上位ルールについて、図5を用いて説明する。図5に、個別ルールの例を2例示した。例1と例2の違いは、「対象1」が“画層1.部品A1.基準点”となっているか“画層1.部品A2.基準点”となっているかである。すなわち、部品が部品A1か部品A2なのかが異なる。これに対して、上位ルールの例は、「対象1」が“画層1.部品A.基準点”となっている。すなわち、部品がA1かA2かという区別はなく部品Aという上位の概念でルール化されている。
【0028】
このように個別ルールから上位ルールを作成するためのメタルールの例を図6に示す。ここでは、メタルールとして、「対象」の包含関係と部位の包含関係に関するメタルールを示している。対象の包含関係の例の一つは、“部品A←部品A1,部品A2,部品A3”であり、これは、“部品A1”,“部品A2”,“部品A3”は全て“部品A”という上位の概念で表現できることを示している。したがって、このルールを用いると、部品A1,部品A2という個別の部品に関するルールから上位の部品Aに関するルールを作成することが可能である。
【0029】
もう一つのメタルールの例として、「部位」に関するメタルールの例を説明する。一例は“右端←右上端,右下端”というメタルールであり、これは、“右上端”と“右下端”という「部位」は、“右端”という「部位」という上位概念で表現できることを示している。したがって、このルールを用いると“右上端”,“右下端”という個別のルールに関するルールから上位の“右端”という「部位」に関するルールに含まれるというルールを作成することができる。
【0030】
次に、寸法線描画ルール表示・編集手段30について説明する。寸法線描画ルール表示・編集手段では、抽出したルールを表示してルールの内容を確認するとともに、必要に応じてルールを修正する。また、表示されたルールに対応する寸法線を図面上で確認する。
【0031】
図7に寸法線描画ルール表示・編集手段30の画面例を示す。なお、本画面は、寸法線描画手段40と共通の画面であるが、ここでは、寸法線描画ルール表示・編集手段30に関する操作のみ説明する。
【0032】
図7には、寸法線描画ルールが階層的に表示される。図7の例では、4つのルールが表示されている。4つのルールのうち、2番目のルールのみが上位ルールであり、その他のルールは個別ルールである。
【0033】
表示したルールが上位ルールである場合、すなわち、そのルールの下位のルールが存在する場合、ルールの先頭に展開ボタンと下位ルール割合が表示される。展開ボタンはクリックすることで、下位のルールを表示したり、非表示にしたりすることができる。下位のルールを非表示にした画面例は図8に示した通りである。下位ルール割合とは、実際に抽出したルールが上位ルールに対してどのくらいの割合あるかを示している。図7の例では、下位の部品A1,部品A2のルールから、上位ルールとして部品Aに関するルールを作成している。部品Aのカテゴリーに入るのは、メタルールで部品A1,部品A2,部品A3の3つであることが分かっているので、個別ルールはそのうちの2つが入っていることになる。したがって、下位ルール割合は“2/3”となる。なお、メタルールで包含関係が定義されている場合、個別ルールが1でもあれば、その上位ルールを必ず作成することができる。例えば、図7の例で、部品A1のみであったとしても同じ上位ルールを作成でき、下位ルール割合を“1/3”と表示することも可能である。しかしながら、実際には、1つの個別ルールのみだけでは、本当に上位ルールが描画に有効なルールであるかは不明であるため、本例では、下位ルール割合が1/2以下の場合は、上位ルールを作成しないとした。なお、この基準はメタルールとして寸法線描画ルールデータベース20に記載しておき、ユーザが編集可能とした。
【0034】
図7の編集ボタンを押すと、表示されたルールを編集することができる。例えば図7の例では、「対象1」「対象2」の全てに画層情報として“画層1”が付加されている。これは、対象の部品が全て画層1にあったためであるが、実際には画層に関係のないルールとしたい場合がある。この場合、画層の部分をブランクとし、“.部品A.基準点”と編集することができる。また、「表示位置」である“100”は実際の寸法線が描画されていた位置であるが、編集機能によりこれを“200”に修正することが可能である。編集後、そのルールを確定したい場合は、確定ボタンを押すと変更されたルールが寸法線描画ルールデータベース20に保存される。
【0035】
また、図7の各ルールの前には、チェックボックスが表示されている。チェックボックスの少なくとも1つにチェックが入った状態で、表示ボタンを押すと、チェックが入ったルールで描画された寸法線を図面データ上でハイライトする。図7のように、チェックが1つであれば、そのルールで描画された寸法線のみハイライト表示する。2つ以上チェックが入っていれば、チェックが入った全ての寸法線をハイライト表示する。また、上位ルールにチェックが入った場合は、自動的にその下位ルールにもチェックが入る。本機能により、抽出したルールの妥当性を図面上で確認することができる。また、自動的に抽出したルールを修正したい場合は、必要に応じて寸法線描画ルール表示・編集手段により寸法線描画ルールを修正することができる。
【0036】
最後に、寸法線描画手段40について説明する。寸法線描画手段40では、寸法線を描画したい図面を読み込み、寸法線描画ルールデータベース20に格納されたルールのうち、描画したい寸法線を読み込んだ図面に描画する。このときの操作画面は、図7に示したとおりであり、寸法線描画ボタンを押すと、描画処理を実行する。寸法線の無い図面に手本となる図面のルールを適用して効率良く描画できる。
【0037】
寸法線描画手段40のアルゴリズムを図9に示す。
【0038】
Step401では、寸法線描画ルール寸法線ルールのうち、描画したい寸法線ルールの1つを選択する。寸法線描画ルールデータベース20には、全ての寸法線描画ルールが格納されており、図7に示した画面に表示される。そのうち描画したいルールには、先頭のチェックボックスにチェックを入れる。すなわち、このステップでは、チェックが入ったルールの中から1つのルールを選択する。
【0039】
Step402では、選択した寸法線描画ルールに含まれる「対象1」を1つ選択する。例えば、図7の例では、チェックが入ったルールの「対象1」は“画層1.部品C1.基準点”であるため、部品C1を1つ選択する。
【0040】
Step403では、選択したルールに従い、「対象2」を選択し、寸法線を描画する。描画した例を図10に示す。図7のルールの例では、「対象2」は、部品Bであり、ルールパターンが“隣接”である。従って、隣接する部品Bを選択する。図10の例では、部品Bは2つ描画されているが、部品C1に隣接する部品Bは1つであるため、下側の部品Bを選択する。また、対象の寸法線描画ルールでは、「対象1」「対象2」の「部位」は、ともに“基準点”であり、寸法向きは“Y軸”、“表示位置”は、“100”である。部品C1と部品Bの基準点はともに中心であるため、各部品の中心のY軸方向の寸法を補助線の端点からX軸方向に100離した位置に描画する。
【0041】
Step404では、「対象1」が図面中にないかを検索し、全ての「対象1」について上記のステップを実行していない場合は、Step402に戻り、全て実行していれば、Step405に進む。
【0042】
Step405では、寸法線描画の対象とした全ての寸法線描画ルールについて上記のステップを実行していなければ、Step401に戻り、全て処理していれば、終了となる。
【0043】
以上のアルゴリズムにより、描画したい寸法線を自動的に描画することができる。
【0044】
また、図面上の形状に寸法線を入れる場合、図面の対象,種類により固有のルールがある場合がある。従来技術を利用して寸法線を描画する場合、ファジールールをこれらの固有のルールに合わせて修正・再構築する必要があった。しかし、本実施例の図面作成支援システムに異なる種類の図面を読み込んで処理すれば、図面の種類によって寸法線の描画ルールが異なる場合でも、効率よくルール変更作業ができ、寸法線を自動描画できる図面作成支援システムを提供することができる。
【実施例2】
【0045】
図11に本発明の第2実施例の概要を示す。本実施例は、寸法線描画ルール抽出手段10,寸法線描画ルールデータベース20,寸法線描画ルール表示・編集手段30,寸法線描画手段40及び寸法線ルール比較手段50からなる。これらの手段のうち、寸法線ルール比較手段50以外は、第一の実施例と同じであるため、説明を割愛する。
【0046】
寸法線ルール比較手段50は、寸法線描画ルールDBに保存された複数の寸法線描画ルールを比較し、寸法線描画ルールの適合率を評価する。
【0047】
以下に、本実施例の動作を説明する。本実施例は、複数の図面に描画された寸法線が同じルールで描画されているかをチェックする機能を持つ図面作成支援システムである。
【0048】
まず、基準となる図面から寸法線描画ルール抽出手段10により寸法線描画ルールを抽出する。抽出の具体的な方法は、第一の実施例と同じである。抽出した寸法線描画ルールは、寸法線描画ルールデータベース20に保存され、必要に応じて、寸法線描画ルール表示・編集手段30で編集される。次に、寸法線をチェックしたい図面を同様の手順で処理し、抽出した寸法線描画ルールを寸法線描画ルールデータベース20に保存する。ただし、このとき、寸法線描画ルール表示・編集手段30では、寸法線描画ルールを編集しない。
【0049】
次に、寸法線ルール比較手段50により、基準となる寸法線描画ルールとチェック対象の図面の寸法線描画ルールを比較する。図12に寸法線ルール比較手段50の操作画面を示す。操作画面は大きく2つに分かれており、上部に基準となる寸法線描画ルールが表示され、下部にチェック対象の寸法線描画ルールを表示している。寸法線描画ルールの表示方法は図7と全く同じである。また、図12の上部に示したルールの内容も、第一の実施例で示したルールと全く同じである。下部に示したチェック対象の寸法線描画ルールは、上部に示したルールと一部異なる。チェック対象の寸法線描画ルールとして抽出されたルールは2つである。そのうち、1番目のルールは基準となる寸法線描画ルールの一番目のルールと全く同じである。ただし、二番目のルールは、基準となる寸法線描画ルールの二番目のルールの下位ルールとなっている。すなわち、基準となる図面には、部品A1,部品A2があり、その上位ルールが抽出されているが、チェック対象の図面には、部品A1しかなかったため、下位の個別ルールが抽出された。ただし、この下位ルールは上位ルールの一部であることを考えると、基準となる寸法線描画ルールに適合していると判断できる。
【0050】
適合率評価結果には、チェック対象のルールのうち、何%のルールが基準となるルールに適合しているかを表示する。本実施例の場合、2つのルールのうち2つともが適合しているため、100%となる。
【0051】
また、チェックした結果、ルールの一部が基準となるルールに適合していない場合、本操作画面の寸法線表示ボタンにより適合していないルールで描画された寸法線をハイライト表示することができる。したがって、その寸法線を確認の上、削除したい場合は、図面作成ソフト上で削除し、新たな寸法線を寸法線描画手段40によって描画することで効率よく図面を修正することが可能である。
【0052】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0053】
また、上記の各構成,機能,処理部,処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成,機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム,テーブル,ファイル,測定情報,算出情報等の情報は、メモリや、ハードディスク,SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード,SDカード,DVD等の記録媒体に置くことができる。よって、各処理,各構成は、処理部,処理ユニット,プログラムモジュールなどとして各機能を実現可能である。
【0054】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0055】
10 寸法線描画ルール抽出手段
20 寸法線描画ルールデータベース
30 寸法線描画ルール表示・編集手段
40 寸法線描画手段
50 寸法線ルール比較手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、寸法線を自動的に作図する機能を持つ図面作成支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
寸法線の描画を支援する従来技術には、特許文献1に記載された寸法線自動作成装置がある。
【0003】
特許文献1に記載された従来技術は、形状認識装置により、ファジー推論を行い、与えられた図面情報に基づいて図面の形状を認識するため、図面情報の座標にズレがあって、線分が離れていても正しく形状を認識することができる。また、形状認識したデータは、グループ化装置により本来同一直線上に並ぶべき図面要素毎にグループ化する。さらに、ファジールールにより、形状毎に寸法線の描画ルールを定義しており、これらのファジールールに従い寸法線を描画する。
【0004】
本従来技術によれば、図面に描画された形状の情報に若干の誤差があり、線分が離れている場合であっても適切な位置に寸法線を描画することが可能である。また、寸法線が適切にグループ化されているため修正が容易である。さらに、寸法線の描画ルールは具体的なファジールールで定義しているため、寸法線の描画ルールの確認,修正が容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−98720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図面上の形状に寸法線を入れる場合、図面の対象,種類により固有のルールがある場合がある。従来技術を利用して寸法線を描画する場合、ファジールールをこれらの固有のルールに合わせて修正・再構築する必要があった。本発明の目的の一つとして、寸法線の無い図面に手本となる図面のルールを適用して効率よく描画することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴は、寸法線描画ルール抽出手段により手本となる図面から寸法線が描画されるルールを抽出し、寸法線描画手段により、抽出した寸法線描画ルールを用いて、寸法線を描画したい図面に寸法線を描画することである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、寸法線の無い図面に手本となる図面のルールを適用して効率良く描画できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第一の実施例の構成を示す図。
【図2】寸法線描画ルールの一例を示す図。
【図3】法線描画ルール抽出手段のアルゴリズムを示す図。
【図4】形状と寸法線の例を示す図。
【図5】個別ルールと上位ルールの例を示す図。
【図6】メタルールの例を示す図。
【図7】寸法線描画ルール表示・編集手段及び寸法線描画手段の画面例を示す図。
【図8】図7の画面で上位ルールのみ表示した例を示す図。
【図9】寸法線描画手段40のアルゴリズムを示す図。
【図10】寸法線を描画した結果の例を示す図。
【図11】本発明の第2の実施例の構成を示す図。
【図12】寸法線ルール比較手段50の画面例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0011】
図1に本発明の第一実施例の図面作成支援システムの概要を示す。図面作成支援システムはコンピュータで構成される。
【0012】
本実施例の図面作成支援システムは、寸法線描画ルール抽出手段10,寸法線描画ルールデータベース20,寸法線描画ルール表示・編集手段30及び寸法線描画手段40を有する。
【0013】
寸法線描画ルール抽出手段10は、図形と図形の寸法線が描画された図面を取り込み、形状とその寸法線が入った図面データから寸法線描画ルールを抽出する。図面の取り込みは、データ化されている図面データを読み込む場合と、スキャナなどの図面読み取り装置により紙図面の図面データを取り込む場合がある。寸法線描画ルールデータベース20は、寸法線描画ルール抽出手段10で抽出した寸法線描画ルールを格納する。寸法線描画ルール表示・編集手段30は、寸法線描画ルールデータベース20に格納された寸法線描画ルールを表示し、必要に応じて、寸法線描画ルールを編集する。寸法線描画手段40は、寸法線を描画したい図面に描画された形状データを読み込み、読み込んだ形状データ情報と寸法線描画ルールデータベース20に格納された寸法線描画ルールから、寸法線を描画したい図面に寸法線を描画する。
【0014】
以下にこれらの各手段について、詳細に説明する。
【0015】
寸法線描画ルール抽出手段10では、図面データから寸法線描画ルールを抽出する。ここで、寸法線描画ルールの一例を図2に示す。「対象1」「対象2」は、寸法線が何の長さのであるかを表す。寸法線は2点の間の長さを表示するものであるため、その2点を「対象1」,「対象2」として表す。「寸法向き」は、「対象1」と「対象2」のどの方向の長さであるかを表す。例えば横方向,縦方向,斜め方向などである。また、一般に図面を描画するソフトでは、座標軸が定義されているため、x軸方向,y軸方向といった表現でもよい。「表示位置」は、寸法線が描画される位置である。例えば、横方向の向きの寸法線の場合、表示位置は、縦方向の偏差で表す。例えば、“100”の場合は、上方向に100離れた位置であり、“−200”の場合は、下方向に200離れた位置となる。「ルールパターン」は、寸法線を描画するルールのパターンである。「ルールパターン」の例は、例えば“隣接”,“両端”などである。“隣接”の場合、隣接する全ての「対象1」と「対象2」の寸法線を描画する。“両端”の場合、「対象1」と「対象2」が複数一列に並んでいた場合、両端の「対象1」と「対象2」にのみ寸法線を描画する。
【0016】
図3に寸法線描画ルール抽出手段のアルゴリズムを示す。以下に各ステップについて説明する。
【0017】
Step101では、図面に描画された寸法線を抽出する。ここで、図面は、AutoCADなどのCADソフトを利用して描画された図面である。一般的に、このような図面では、寸法線は寸法線オブジェクトとして描画されている。したがって、寸法線抽出手段11では、図面から寸法線オブジェクトを抽出することで寸法線を抽出する。なお、寸法線が寸法線オブジェクトとして描画されずに、ある定義に基づいた図形データとして描画されている場合は、それらの図形データを抽出する。なお、以下の説明では、寸法線は寸法線オブジェクトである場合のみ説明する。
【0018】
Step102では、寸法線抽出手段11で抽出した寸法線が引かれた形状データとその部位を抽出する。図4の例では、長方形ABCDの辺ADに寸法線が引かれているため、この寸法線が引かれた形状データは、長方形ABCDである。まず、寸法線の補助線の端点1と端点2の座標を取得する。一般的な図面作成CADで寸法線を記入した場合には、端点の座標は容易に取得することができる。次に、取得した座標が接続している図形データを抽出する。図形データの領域と端点座標の関係から、端点1,端点2が長方形ABCDに接していることを判定し、長方形ABCDを抽出する。
【0019】
なお、図形データは、一般的には、線分,円などの図形データまたは、それらを組み合わせた図形データとして描画されるか、ユーザが定義したブロック(複数の図形データを組み合わせて一塊の形状としたもの)の図形データ(以降、図形ブロックデータと称す)として描画されている。このステップで抽出される図形データは、これら全ての図形データが対象である。
【0020】
次に、寸法線が接続する「部位」を抽出する。図4の例では、端点1が接続する「部位」は“左上”、端点2が接続する「部位」は“右上”である。このように、「部位」は、端点の座標、抽出した形状の座標及び形状の「部位」の定義から判定する。なお、端点1は、点Aに接続されているが、点Aを“右上”と定義されていれば、「部位」は“右上”であり、上下の関係がない“右端”と定義されていれば、「部位」は、“右端”となる。すなわち、同じ位置でも、定義により異なった「部位」が抽出される。
【0021】
Step103では、「寸法向き」を取得する。図4の例では、x軸に並行であるため、“X軸方向”となる。
【0022】
Step104では、「表示位置」を取得する。図4の例では、補助線の端点から寸法矢印までの距離を100とすると、“100”となる。この距離も、一般的な図面描画ソフトでは容易に取得することができる。
【0023】
Step105では、ルールパターンを取得する。図4の例では、1つの形状の幅を表示しているため、“同一形状”となる。これは、“右上”,“左上”という「部位」の寸法線を同じ形状の中でのみ描画するというルールである。もし、複数の長方形が並んでいる場合に、隣り合う長方形の“右上”と“左上”の寸法線を描画するルールと区別するためのルールである。
【0024】
以上のステップにより、寸法線のルールを抽出することができる。寸法線描画ルール抽出手段により、手本となる図面の寸法線が描画された図面から寸法線描画ルールを効率よく自動的に抽出できる。
【0025】
次に、寸法線描画ルールデータベース20について説明する。寸法線描画ルールデータベース20では、寸法線描画ルール抽出手段10で抽出した寸法線描画ルールとメタルールを格納する。寸法線描画ルールについては、既に説明済みであるため、説明を割愛する。メタルールとは、寸法線描画ルールを作成・加工するためのルールである。
【0026】
寸法線描画ルールを作成するためのルールは、例えば、寸法線描画ルールの「ルールパターン」を判定するためのルールである。「ルールパターン」が“隣接”になるのか“同一形状”になるかは、寸法線描画ルール抽出手段10で判断するが、判断の根拠となるルールは寸法線描画ルールデータベース20に格納されている。
【0027】
寸法線描画ルールを加工するためのルールは、例えば、抽出した個別ルールから上位ルールを作成するためのルールである。個別ルールと上位ルールについて、図5を用いて説明する。図5に、個別ルールの例を2例示した。例1と例2の違いは、「対象1」が“画層1.部品A1.基準点”となっているか“画層1.部品A2.基準点”となっているかである。すなわち、部品が部品A1か部品A2なのかが異なる。これに対して、上位ルールの例は、「対象1」が“画層1.部品A.基準点”となっている。すなわち、部品がA1かA2かという区別はなく部品Aという上位の概念でルール化されている。
【0028】
このように個別ルールから上位ルールを作成するためのメタルールの例を図6に示す。ここでは、メタルールとして、「対象」の包含関係と部位の包含関係に関するメタルールを示している。対象の包含関係の例の一つは、“部品A←部品A1,部品A2,部品A3”であり、これは、“部品A1”,“部品A2”,“部品A3”は全て“部品A”という上位の概念で表現できることを示している。したがって、このルールを用いると、部品A1,部品A2という個別の部品に関するルールから上位の部品Aに関するルールを作成することが可能である。
【0029】
もう一つのメタルールの例として、「部位」に関するメタルールの例を説明する。一例は“右端←右上端,右下端”というメタルールであり、これは、“右上端”と“右下端”という「部位」は、“右端”という「部位」という上位概念で表現できることを示している。したがって、このルールを用いると“右上端”,“右下端”という個別のルールに関するルールから上位の“右端”という「部位」に関するルールに含まれるというルールを作成することができる。
【0030】
次に、寸法線描画ルール表示・編集手段30について説明する。寸法線描画ルール表示・編集手段では、抽出したルールを表示してルールの内容を確認するとともに、必要に応じてルールを修正する。また、表示されたルールに対応する寸法線を図面上で確認する。
【0031】
図7に寸法線描画ルール表示・編集手段30の画面例を示す。なお、本画面は、寸法線描画手段40と共通の画面であるが、ここでは、寸法線描画ルール表示・編集手段30に関する操作のみ説明する。
【0032】
図7には、寸法線描画ルールが階層的に表示される。図7の例では、4つのルールが表示されている。4つのルールのうち、2番目のルールのみが上位ルールであり、その他のルールは個別ルールである。
【0033】
表示したルールが上位ルールである場合、すなわち、そのルールの下位のルールが存在する場合、ルールの先頭に展開ボタンと下位ルール割合が表示される。展開ボタンはクリックすることで、下位のルールを表示したり、非表示にしたりすることができる。下位のルールを非表示にした画面例は図8に示した通りである。下位ルール割合とは、実際に抽出したルールが上位ルールに対してどのくらいの割合あるかを示している。図7の例では、下位の部品A1,部品A2のルールから、上位ルールとして部品Aに関するルールを作成している。部品Aのカテゴリーに入るのは、メタルールで部品A1,部品A2,部品A3の3つであることが分かっているので、個別ルールはそのうちの2つが入っていることになる。したがって、下位ルール割合は“2/3”となる。なお、メタルールで包含関係が定義されている場合、個別ルールが1でもあれば、その上位ルールを必ず作成することができる。例えば、図7の例で、部品A1のみであったとしても同じ上位ルールを作成でき、下位ルール割合を“1/3”と表示することも可能である。しかしながら、実際には、1つの個別ルールのみだけでは、本当に上位ルールが描画に有効なルールであるかは不明であるため、本例では、下位ルール割合が1/2以下の場合は、上位ルールを作成しないとした。なお、この基準はメタルールとして寸法線描画ルールデータベース20に記載しておき、ユーザが編集可能とした。
【0034】
図7の編集ボタンを押すと、表示されたルールを編集することができる。例えば図7の例では、「対象1」「対象2」の全てに画層情報として“画層1”が付加されている。これは、対象の部品が全て画層1にあったためであるが、実際には画層に関係のないルールとしたい場合がある。この場合、画層の部分をブランクとし、“.部品A.基準点”と編集することができる。また、「表示位置」である“100”は実際の寸法線が描画されていた位置であるが、編集機能によりこれを“200”に修正することが可能である。編集後、そのルールを確定したい場合は、確定ボタンを押すと変更されたルールが寸法線描画ルールデータベース20に保存される。
【0035】
また、図7の各ルールの前には、チェックボックスが表示されている。チェックボックスの少なくとも1つにチェックが入った状態で、表示ボタンを押すと、チェックが入ったルールで描画された寸法線を図面データ上でハイライトする。図7のように、チェックが1つであれば、そのルールで描画された寸法線のみハイライト表示する。2つ以上チェックが入っていれば、チェックが入った全ての寸法線をハイライト表示する。また、上位ルールにチェックが入った場合は、自動的にその下位ルールにもチェックが入る。本機能により、抽出したルールの妥当性を図面上で確認することができる。また、自動的に抽出したルールを修正したい場合は、必要に応じて寸法線描画ルール表示・編集手段により寸法線描画ルールを修正することができる。
【0036】
最後に、寸法線描画手段40について説明する。寸法線描画手段40では、寸法線を描画したい図面を読み込み、寸法線描画ルールデータベース20に格納されたルールのうち、描画したい寸法線を読み込んだ図面に描画する。このときの操作画面は、図7に示したとおりであり、寸法線描画ボタンを押すと、描画処理を実行する。寸法線の無い図面に手本となる図面のルールを適用して効率良く描画できる。
【0037】
寸法線描画手段40のアルゴリズムを図9に示す。
【0038】
Step401では、寸法線描画ルール寸法線ルールのうち、描画したい寸法線ルールの1つを選択する。寸法線描画ルールデータベース20には、全ての寸法線描画ルールが格納されており、図7に示した画面に表示される。そのうち描画したいルールには、先頭のチェックボックスにチェックを入れる。すなわち、このステップでは、チェックが入ったルールの中から1つのルールを選択する。
【0039】
Step402では、選択した寸法線描画ルールに含まれる「対象1」を1つ選択する。例えば、図7の例では、チェックが入ったルールの「対象1」は“画層1.部品C1.基準点”であるため、部品C1を1つ選択する。
【0040】
Step403では、選択したルールに従い、「対象2」を選択し、寸法線を描画する。描画した例を図10に示す。図7のルールの例では、「対象2」は、部品Bであり、ルールパターンが“隣接”である。従って、隣接する部品Bを選択する。図10の例では、部品Bは2つ描画されているが、部品C1に隣接する部品Bは1つであるため、下側の部品Bを選択する。また、対象の寸法線描画ルールでは、「対象1」「対象2」の「部位」は、ともに“基準点”であり、寸法向きは“Y軸”、“表示位置”は、“100”である。部品C1と部品Bの基準点はともに中心であるため、各部品の中心のY軸方向の寸法を補助線の端点からX軸方向に100離した位置に描画する。
【0041】
Step404では、「対象1」が図面中にないかを検索し、全ての「対象1」について上記のステップを実行していない場合は、Step402に戻り、全て実行していれば、Step405に進む。
【0042】
Step405では、寸法線描画の対象とした全ての寸法線描画ルールについて上記のステップを実行していなければ、Step401に戻り、全て処理していれば、終了となる。
【0043】
以上のアルゴリズムにより、描画したい寸法線を自動的に描画することができる。
【0044】
また、図面上の形状に寸法線を入れる場合、図面の対象,種類により固有のルールがある場合がある。従来技術を利用して寸法線を描画する場合、ファジールールをこれらの固有のルールに合わせて修正・再構築する必要があった。しかし、本実施例の図面作成支援システムに異なる種類の図面を読み込んで処理すれば、図面の種類によって寸法線の描画ルールが異なる場合でも、効率よくルール変更作業ができ、寸法線を自動描画できる図面作成支援システムを提供することができる。
【実施例2】
【0045】
図11に本発明の第2実施例の概要を示す。本実施例は、寸法線描画ルール抽出手段10,寸法線描画ルールデータベース20,寸法線描画ルール表示・編集手段30,寸法線描画手段40及び寸法線ルール比較手段50からなる。これらの手段のうち、寸法線ルール比較手段50以外は、第一の実施例と同じであるため、説明を割愛する。
【0046】
寸法線ルール比較手段50は、寸法線描画ルールDBに保存された複数の寸法線描画ルールを比較し、寸法線描画ルールの適合率を評価する。
【0047】
以下に、本実施例の動作を説明する。本実施例は、複数の図面に描画された寸法線が同じルールで描画されているかをチェックする機能を持つ図面作成支援システムである。
【0048】
まず、基準となる図面から寸法線描画ルール抽出手段10により寸法線描画ルールを抽出する。抽出の具体的な方法は、第一の実施例と同じである。抽出した寸法線描画ルールは、寸法線描画ルールデータベース20に保存され、必要に応じて、寸法線描画ルール表示・編集手段30で編集される。次に、寸法線をチェックしたい図面を同様の手順で処理し、抽出した寸法線描画ルールを寸法線描画ルールデータベース20に保存する。ただし、このとき、寸法線描画ルール表示・編集手段30では、寸法線描画ルールを編集しない。
【0049】
次に、寸法線ルール比較手段50により、基準となる寸法線描画ルールとチェック対象の図面の寸法線描画ルールを比較する。図12に寸法線ルール比較手段50の操作画面を示す。操作画面は大きく2つに分かれており、上部に基準となる寸法線描画ルールが表示され、下部にチェック対象の寸法線描画ルールを表示している。寸法線描画ルールの表示方法は図7と全く同じである。また、図12の上部に示したルールの内容も、第一の実施例で示したルールと全く同じである。下部に示したチェック対象の寸法線描画ルールは、上部に示したルールと一部異なる。チェック対象の寸法線描画ルールとして抽出されたルールは2つである。そのうち、1番目のルールは基準となる寸法線描画ルールの一番目のルールと全く同じである。ただし、二番目のルールは、基準となる寸法線描画ルールの二番目のルールの下位ルールとなっている。すなわち、基準となる図面には、部品A1,部品A2があり、その上位ルールが抽出されているが、チェック対象の図面には、部品A1しかなかったため、下位の個別ルールが抽出された。ただし、この下位ルールは上位ルールの一部であることを考えると、基準となる寸法線描画ルールに適合していると判断できる。
【0050】
適合率評価結果には、チェック対象のルールのうち、何%のルールが基準となるルールに適合しているかを表示する。本実施例の場合、2つのルールのうち2つともが適合しているため、100%となる。
【0051】
また、チェックした結果、ルールの一部が基準となるルールに適合していない場合、本操作画面の寸法線表示ボタンにより適合していないルールで描画された寸法線をハイライト表示することができる。したがって、その寸法線を確認の上、削除したい場合は、図面作成ソフト上で削除し、新たな寸法線を寸法線描画手段40によって描画することで効率よく図面を修正することが可能である。
【0052】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0053】
また、上記の各構成,機能,処理部,処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成,機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム,テーブル,ファイル,測定情報,算出情報等の情報は、メモリや、ハードディスク,SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード,SDカード,DVD等の記録媒体に置くことができる。よって、各処理,各構成は、処理部,処理ユニット,プログラムモジュールなどとして各機能を実現可能である。
【0054】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0055】
10 寸法線描画ルール抽出手段
20 寸法線描画ルールデータベース
30 寸法線描画ルール表示・編集手段
40 寸法線描画手段
50 寸法線ルール比較手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図形と図形の寸法線が描画された図面を取り込み、前記図面から寸法線を描画するルールを抽出する寸法線描画ルール抽出手段と、
寸法線描画ルールを格納する寸法線描画ルールデータベースと、
寸法線を描画したい図面を読み込み、読み込んだ図面に前記寸法線描画ルールデータベースに格納された寸法線描画ルールに基づき、寸法線を描画する寸法線描画手段を有することを特徴とする図面作成支援システム。
【請求項2】
請求項1において、寸法線描画ルールデータベースに格納された寸法線描画ルールを表示・修正する寸法線描画ルール表示・編集手段とを有し、図面から寸法線描画ルールを抽出し、寸法線描画ルール表示・編集手段で抽出したルールを表示することを特徴とする図面作成支援システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の図面作成支援システムであって、前記寸法線描画ルールの抽出により、図面から抽出した個別寸法ルールから、個別寸法ルールを包含する上位概念の上位寸法ルールを作成し、前記寸法線描画ルール表示・編集手段により、個別寸法ルールと上位寸法ルールを表示することを特徴とする図面作成支援システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の図面作成支援システムであって、前記寸法線描画ルール表示・編集手段で、少なくとも1つ以上の寸法線描画ルールを選択した場合に、表示された図面の中で、選択した寸法線描画ルールによって描画された寸法線のみをハイライト表示することを特徴とする図面作成支援システム。
【請求項5】
請求項1において、
前記寸法線描画ルールデータベースに格納された複数の寸法線描画ルールを比較する寸法線ルール比較手段とを有し、
前記寸法線ルール比較手段により、寸法線の描画ルールをチェックしたい対象図面から抽出した寸法線描画ルールと、基準となる寸法線ルールを比較することで、該対象図面の寸法線描画ルールの妥当性を評価することを特徴とする図面作成支援システム。
【請求項6】
請求項5において、
前記比較による妥当性の評価で、前記対象図面の寸法線描画ルールが妥当でなかった場合、妥当でない寸法線を削除し、寸法線を描画する寸法線描画手段により、前記寸法線描画ルールデータベースに格納された正しい寸法線描画ルールに基づき、寸法線を描画することを特徴とする図面作成支援システム。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の図面作成支援システムであって、前記寸法線描画ルールの抽出により、図面から抽出した個別寸法ルールから、個別寸法ルールを包含する上位概念の上位寸法ルールを作成し、前記寸法線描画ルール表示・編集手段と前記寸法線ルール比較手段により、個別寸法ルールと上位寸法ルールを表示することを特徴とする図面作成支援システム。
【請求項8】
請求項5から請求項7のいずれかに記載の図面作成支援システムであって、前記寸法線描画ルール表示・編集手段で、少なくとも1つ以上の寸法線描画ルールを選択した場合に、表示された図面の中で、選択した寸法線描画ルールによって描画された寸法線のみをハイライト表示することを特徴とする図面作成支援システム。
【請求項9】
図形と図形の寸法線が描画された図面を取り込み、前記図面から寸法線を描画するルールを抽出する寸法線描画ルール抽出手段と、
寸法線描画ルールを格納する寸法線描画ルールデータベースとを有し、
前記寸法線描画ルール抽出手段は、前記図面から寸法線データを抽出し、寸法線が引かれた形状と部位を抽出し、寸法の向きを取得し、寸法線の位置を取得し、前記寸法線描画ルールに基づいて、前記寸法線を描画するルールのパターンであるルールパターンを抽出することを特徴とする図面作成支援システム。
【請求項10】
図形と図形の寸法線が描画された図面を取り込み、前記図面から寸法線を描画するルールを抽出する寸法線描画ルール抽出手段と、
寸法線描画ルールを格納する寸法線描画ルールデータベースと、
前記寸法線描画ルールデータベースに格納された複数の寸法線描画ルールを比較する寸法線ルール比較手段とを有し、
前記寸法線ルール比較手段により、寸法線の描画ルールをチェックしたい対象図面から抽出した寸法線描画ルールと、基準となる寸法線ルールを比較することで、該対象図面の寸法線描画ルールの妥当性を評価することを特徴とする図面作成支援システム。
【請求項1】
図形と図形の寸法線が描画された図面を取り込み、前記図面から寸法線を描画するルールを抽出する寸法線描画ルール抽出手段と、
寸法線描画ルールを格納する寸法線描画ルールデータベースと、
寸法線を描画したい図面を読み込み、読み込んだ図面に前記寸法線描画ルールデータベースに格納された寸法線描画ルールに基づき、寸法線を描画する寸法線描画手段を有することを特徴とする図面作成支援システム。
【請求項2】
請求項1において、寸法線描画ルールデータベースに格納された寸法線描画ルールを表示・修正する寸法線描画ルール表示・編集手段とを有し、図面から寸法線描画ルールを抽出し、寸法線描画ルール表示・編集手段で抽出したルールを表示することを特徴とする図面作成支援システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の図面作成支援システムであって、前記寸法線描画ルールの抽出により、図面から抽出した個別寸法ルールから、個別寸法ルールを包含する上位概念の上位寸法ルールを作成し、前記寸法線描画ルール表示・編集手段により、個別寸法ルールと上位寸法ルールを表示することを特徴とする図面作成支援システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の図面作成支援システムであって、前記寸法線描画ルール表示・編集手段で、少なくとも1つ以上の寸法線描画ルールを選択した場合に、表示された図面の中で、選択した寸法線描画ルールによって描画された寸法線のみをハイライト表示することを特徴とする図面作成支援システム。
【請求項5】
請求項1において、
前記寸法線描画ルールデータベースに格納された複数の寸法線描画ルールを比較する寸法線ルール比較手段とを有し、
前記寸法線ルール比較手段により、寸法線の描画ルールをチェックしたい対象図面から抽出した寸法線描画ルールと、基準となる寸法線ルールを比較することで、該対象図面の寸法線描画ルールの妥当性を評価することを特徴とする図面作成支援システム。
【請求項6】
請求項5において、
前記比較による妥当性の評価で、前記対象図面の寸法線描画ルールが妥当でなかった場合、妥当でない寸法線を削除し、寸法線を描画する寸法線描画手段により、前記寸法線描画ルールデータベースに格納された正しい寸法線描画ルールに基づき、寸法線を描画することを特徴とする図面作成支援システム。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の図面作成支援システムであって、前記寸法線描画ルールの抽出により、図面から抽出した個別寸法ルールから、個別寸法ルールを包含する上位概念の上位寸法ルールを作成し、前記寸法線描画ルール表示・編集手段と前記寸法線ルール比較手段により、個別寸法ルールと上位寸法ルールを表示することを特徴とする図面作成支援システム。
【請求項8】
請求項5から請求項7のいずれかに記載の図面作成支援システムであって、前記寸法線描画ルール表示・編集手段で、少なくとも1つ以上の寸法線描画ルールを選択した場合に、表示された図面の中で、選択した寸法線描画ルールによって描画された寸法線のみをハイライト表示することを特徴とする図面作成支援システム。
【請求項9】
図形と図形の寸法線が描画された図面を取り込み、前記図面から寸法線を描画するルールを抽出する寸法線描画ルール抽出手段と、
寸法線描画ルールを格納する寸法線描画ルールデータベースとを有し、
前記寸法線描画ルール抽出手段は、前記図面から寸法線データを抽出し、寸法線が引かれた形状と部位を抽出し、寸法の向きを取得し、寸法線の位置を取得し、前記寸法線描画ルールに基づいて、前記寸法線を描画するルールのパターンであるルールパターンを抽出することを特徴とする図面作成支援システム。
【請求項10】
図形と図形の寸法線が描画された図面を取り込み、前記図面から寸法線を描画するルールを抽出する寸法線描画ルール抽出手段と、
寸法線描画ルールを格納する寸法線描画ルールデータベースと、
前記寸法線描画ルールデータベースに格納された複数の寸法線描画ルールを比較する寸法線ルール比較手段とを有し、
前記寸法線ルール比較手段により、寸法線の描画ルールをチェックしたい対象図面から抽出した寸法線描画ルールと、基準となる寸法線ルールを比較することで、該対象図面の寸法線描画ルールの妥当性を評価することを特徴とする図面作成支援システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−118829(P2012−118829A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268922(P2010−268922)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000005441)バブコック日立株式会社 (683)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000005441)バブコック日立株式会社 (683)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]