説明

図面作成支援方法及び装置

【課題】3次元モデルから投影によって2次元の図面を作成することができるが、2次元の図面では陰線処理や寸法線の書き方が用途によってきめられており、単なる形状の投影では、手作業による修正・追加の作業量が大きい。
【解決手段】対応情報抽出部において、3次元モデルと2次元モデルの形状情報と寸法線や陰線処理などからなる図面修飾情報を対応付けておく。これによって、3次元モデルが修正された場合に形状情報の変更に対応して図面修飾情報も変更され図面修飾情報の手作業による追加,変更作業を軽減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業製品,施設等の設計図作成を効率良く行うための、図面作成支援装置および図面作成支援装置の制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プラントの設計においては設計の初期段階から部品の製作・プラントの建設にいたるまで多様な図面が作成される。特にプラントのレイアウト設計においては、機器や配管の配置位置を2次元の図面で設定した後、配管など一部の機器を3次元モデルで作成して機器配管の強度評価,サポートなどの付属部品の干渉やメインテナンス性を考慮して最終的な形状およびレイアウトを作成する。多くの場合、こうして最終的に定まった機器のレイアウトを反映した2次元の全体図が必要である。その作成には省力化のために、〔特許文献1〕にみられるように、作成した3次元モデルの投影により、全体図を作成する方法がある。
【0003】
また、投影によって2次元の図面を描画する際に投影方向から描画対象のものが隠れる場合の処理である陰線処理を実施する方法として、〔特許文献2〕、および〔特許文献3〕がある。製作図面やプラントの配置図面などの作成に必要な寸法線の描画を省力化する方法としては、〔特許文献4〕がある。〔特許文献4〕による方法では、図形の特徴と書くべき寸法線の位置を組み合わせて事例から学習し、形状データを与えると寸法線を自動的に描画する方法が提案されている。非特許文献1には、2D図面情報のフォーマットが記載されている。非特許文献2には、3Dモデルのデータとして、ワイヤーフレームモデルやサーフィスモデル,ソリッドモデルなどの例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−77331号公報(P2008−77331A)
【特許文献2】特開平5−298459号公報
【特許文献3】特開平5−174106号公報
【特許文献4】特開平7−98720号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】落合重紀,“DXFハンドブック”,オーム社,平成15年3月
【非特許文献2】内山 浩,“AutoCAD入門”,日刊工業新聞,平成21年2月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、〔特許文献1〕を利用して3次元モデルから2次元の図面を作成しようとすると、以下の問題がある。
(1)通常、全ての機器の正確な3次元モデルは作成されない(コストがかかる)。
(2)特に陰線処理では、〔特許文献2〕,〔特許文献3〕の方法では、すべての対象物が3次元モデル化されていることが前提であり適用できない場合が多い。
(3)また、たとえすべての対象物が3次元モデルで作成されていたとして、〔特許文献2〕および、〔特許文献3〕を用いた場合においても、対象とする機器・構造物や図面の種類によって、線の種類を変えたり、ハッチを付けたりなどが必要になる場合があり、人手による後処理が多く必要となる。また、寸法線について、〔特許文献4〕の方法を用いたとしても、どこに寸法線を引くか、どの方向に引き出し線をだすかなど、形状データと寸法線データのバランスを考えた調整が必要で、自動的に描画された寸法線に対して人手による多くの整形を必要とする。
【0007】
設計の初期段階では多くの場合、寸法線や陰線処理なども行った2次元の図面を作成して、全体レイアウトを検討する。また、改造や流用設計などでは、設計のもとになる2次元の図面が存在し、それをもとに、配管,機器などの形状を一部変更する場合もある。これら、存在する2次元の図面は、最終的に正確な機器・配管の形状・位置を記載した2次元の図面に置き換えられるが、もとの2次元の図面の情報を生かして図面作成の生産性向上を図りたい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
図面作成支援装置において、原図となる2次元の図面を読み込み表示し、図面中の3次元化対象のオブジェクトを選択・指定し、該選択したオブジェクトと3次元化する原図となる2次元の図面中のオブジェクトとの対応関係を対応情報抽出部で抽出するとともに、2次元の図面が3次元モデルをどの方向に投影したものかを指定することにより、3次元化するオブジェクトと他の2次元図面中のオブジェクトとの形状および位置関係を形状情報解析部で解析し形状情報DBに登録し、原図となる2次元の図面中の3次元対象オブジェクトに関わる寸法線および陰線情報などの図面修飾フォーマットを図面修飾フォーマット解析部で解析して図面修飾フォーマットDBに登録する一方、3次元化されたオブジェクトの2次元図面中での形状は、投影情報生成部にて生成し、生成された2次元形状情報ともとの2次元オブジェクトとの対応関係に基づいて、3次元モデル中のオブジェクトと図面修飾フォーマットとの対応関係を設定する。次に、3次元モデルが修正された際、3次元モデル差違抽出部において元の3次元モデルとの差違を抽出し、既に設定された投影方向をもとに差違の部分の2次元図面での2次元形状を生成するとともに、もとの3次元モデルと2次元図面との対応関係に基づいて、修正した3次元モデルに対応して新たに生成された2次元形状情報に適した図面修飾フォーマットを図面修飾フォーマットDBを参照して図面修正フォーマット生成部において生成し、これら生成された2次元形状情報,寸法線情報,陰線情報に基づいて3次元化されたオブジェクトの情報に対応した2次元図面を2次元図面精密化図面出力部において生成し、生成された図面をディスプレイに表示する。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、2次元の図面の一部、または全部を3次元CAD等を用いて3次元オブジェクトを生成して精密化し、修正された3次元のオブジェクトに対応した図面に修正する際、もとの図面の寸法線,陰線処理のフォーマットを自動的に継承した図面に容易に修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態におけるシステム構成図。
【図2】本発明の実施の形態における処理手順図。
【図3】本発明の実施の形態における2次元図面情報フォーマットの例。
【図4】本発明の実施の形態における3次元モデルの例。
【図5】本発明の実施の形態における2次元図面の例。
【図6】本発明の実施の形態における投影図の例。
【図7】本発明の実施の形態における投影図の例。
【図8】本発明の実施の形態における投影図の例。
【図9】本発明の実施の形態における2次元図面の例。
【図10】本発明の実施の形態における2次元図面の例。
【図11】本発明の実施の形態における2次元図面の例。
【図12】本発明の実施の形態に3次元モデルデータフォーマットの例。
【図13】本発明の実施の形態における投影図の例。
【図14】本発明の実施の形態における対応情報抽出I/Fの例。
【図15】本発明の実施の形態における2次元図面修飾情報の例。
【図16】本発明の実施の形態における3次元モデルの説明図。
【図17】本発明の実施の形態における3次元モデルの説明図。
【図18】本発明の実施の形態における2次元図面修飾情報の例。
【図19】本発明の実施の形態における修正された2次元図面の例。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について、以下に、図を参照して説明する。
【0012】
図1に本発明の実施形態に関わる図面作成支援装置の機能に関わる全体構成を示す。図示の図面作成支援装置は、主制御部1,ディプレイ2,キーボードやマウスなどの操作入力部3,CDやフロッピ(登録商標)などの記憶媒体読み取り部4,データをLANなどの通信ネットワークを経由して配信または受信するための伝送部5,記憶装置6、および、実行時に主制御部からの実行制御の対象となるプログラム格納するプログラム記憶装置を有している。
【0013】
プログラム記憶装置は処理部7により各機能のプログラムを実行する。プログラム記憶装置は、2次元の図面を表示・編集するための2次元CADシステムと、2次元図面作成支援部がある。2次元図面作成支援部は2次元図面ファイル読み込み部71,対応情報抽出部72,形状情報解析部73,2次元情報生成部75,図面修飾フォーマット生成部76,2次元精密化図面出力部77,3次元情報抽出部78を有する。
【0014】
本実施例では、図面修飾フォーマットとして寸法線のフォーマットと陰線情報のフォーマットを例にとり説明する。この場合、図1の図面修飾フォーマットDB61には寸法線情報と陰線情報のフォーマットと描画情報が格納される。また、図面修飾フォーマット抽出部74は、寸法線情報解析部741と陰線情報解析部742を有し、変更部修飾フォーマット生成部76は、寸法線情報生成部761と陰線情報生成部762を有する。
【0015】
以下、各構成要素の動作について、2次元の原図を読み込んでから部分的に正確な3Dモデルに対応した2D図面を生成するまでの例を用いて説明する。
【0016】
図2は2次元の原図を読み込んでから部分的に正確な3Dモデルに対応した2D図面を生成するまでの一連の処理の概要を示したもので、大きく、Step1とStep2の処理に分かれる。Step1では、2次元の図面とその2次元の図面に対応する3Dモデルを読み込み(100,103)、その2つの間の対応関係を設定し(101〜106)、対応情報を読み込む。読み込む際には、図1で示した伝送部5を経由してLANから受け取る場合と記憶媒体読み取り部4を用いて、一旦記憶媒体にデータを格納して読み込む場合が考えられる。この後、何らかの原因で、3Dモデルを修正し、修正した3Dモデルに対応した図面に書き直す場合、Step2の処理を行う。Step2では、まず、もとの2次元図面と修正した3次元図面を読み込む(108)とともに、修正前の3Dモデルと2次元図面との対応関係を記録した3次元モデル−2次元図面対応情報を読み込む(107)。次に修正された3Dモデルのデータを読み込み(109)、もとの3Dモデルと修正3Dモデルとの対応関係を解析する。次に、このもとの3Dモデルと修正3Dモデルとの対応関係と、3次元モデル−2次元図面対応情報から得られた2次元図面と3Dモデルとの投影方向の関係などを用いて、修正モデルでの対応する2次元データと、修正モデルでの図面修飾フォーマットを生成する(110,111)。最後にこうして得られた修正3Dモデルに対応する2次元図面を出力する(112)。
【0017】
以下、簡単な例によって、図2の一連の処理を説明する。以下の説明では、2D図面情報のフォーマットとして、例えば〔非特許文献1〕にみられるようなフォーマットを前提とする。図3に、2D図面フォーマットを概念的に示す。線の種類,属性などを定義した後、線の形状と位置を表す座標情報が記載される。記述方法としては< >で囲まれたタグで定義内容の開始,終了が記述され、その間の行に値が書き込まれる。線の種類としては、形状線の他に、寸法線,寸法補助線,ハッチなどがあるとしている。線の属性としては、線の太さ,線のパターン(実線,点線,一点鎖線,2点鎖線),色,レイヤなどがある。座標情報は、単線の場合には、始点と終点を、折れ線の場合には始点から終点までの点列で表現するのが一般的である。
【0018】
Step1における初期の入力として、図4に示すような3Dモデルと対応する2次元の図面(図5)が入力されたとする。
【0019】
まず2次元原図読み込み処理100では、2次元図面をGUIなどから指定して、図3のフォーマットから2次元の形状情報を図面修飾フォーマットとして読み込む。次に、図面修飾フォーマットの寸法線情報抽出部分で寸法線情報を抽出する。図面修飾フォーマットは、形状線以外の図面情報で、ここでは、図15に示す(a)陰線情報と、(b)寸法情報からなる。このうち、寸法線は、数値データが入っていることからあらかじめ図面中で判別することができ、読み込んだ2次元図面の寸法線がどの寸法補助線に対応し、寸法線は、どの点からどの点までの寸法を示したものかを解析する。また、その時の寸法補助線、及び寸法線の線の種類,色を抽出する。この例では、例えば、251と記載されている縦方向の寸法線が、図16で示した図面の点Q1からQ2までの長さを示していることを分析する。寸法線情報には、寸法線id,寸法基準点,寸法補助線の引き出し方向,寸法をとる方向,寸法数値のフォントサイズからなる。図5の例の右端の寸法数値177となっている寸法線と、386となっている寸法線のように寸法補助線を一部共有して連続して寸法線を記入する際には、連続して書く寸法線のidを書き出す。これらの情報は、引き出し線の位置と実際の点の間の長さとの整合性などから情報を抽出する。また、CADによっては、これらの情報はあらかじめデータとして保持されているものもあり、その場合にはそのまま情報を流用する。
【0020】
なお、隠線情報は後述するように対応する3Dモデルが指定された後、はじめて判別して登録される。
【0021】
次に、3次元モデルの読み込みでは、3DモデルファイルをGUIなどから指定する。以下の説明に用いる図4のモデルは、L字型をした形状の部分と、折れ曲がった円筒の部分からなる。以後、説明を簡単にするために、円筒部分は、その中心線T1,T2で置き換えて考える。また、図6は、図4の3Dモデルを矢印方向から投影した投影図である。図4でXYZ軸として表示されているのが座標軸の方向で、oと書いている点が3次元モデルの原点である。図5の図面は、図4をZY平面に対して垂直な方向にX軸の負の方向から投影した図面である図6に、寸法線と隠線処理とを追加したものであることがわかる。図5と図6とを比較してわかるように、正式な図面とするためには通常、隠線処理と、寸法線が必要となる。一方で、隠線部分や寸法線の記述方法は、さまざまである、図7,図8は、隠線部分の記述方法の例を示したもので、図7のように隠線の部分を点線で表現する場合もあれば、図8のように隠れる部分は細い線で表現する場合もある。また、図5のように点線で表示する場合もあれば、場合によっては、隠れる部分の線の色を変える場合もある。寸法線の場合も同様で、図9のように、直線に並ぶ寸法の途中の区切りは矢印でなく黒丸で表現したり、図10に円筒が隠れる位置の寸法が記入されているように、寸法の表示が必要な位置も場合により異なってくる。さらに図11に示したように寸法の引き出し線の方向や寸法数値の位置も場合によって異なってくる。このような自由度のある図面の記述内容をここでは図面修飾フォーマットと呼んでいる。図面修飾フォーマットには自由度はあるものの、1つの図面の中では寸法線の矢印の形や陰線処理の方法が決まっているように、図面を書くにあたっては通常、一定の約束事があり図面に反映されている。
【0022】
一方、3Dモデルのデータは一般に〔非特許文献2〕にあるようにワイヤーフレームモデルやサーフィスモデル,ソリッドモデルなどがある。また、陰線処理については、〔特許文献2〕,〔特許文献3〕などに見られるような公知の方法で処理をすることができる。ここでは、簡単のためにワイヤーフレームのモデルとサーフィスのモデルを前提に投影や陰線処理を行って図面を作成する場合を考える。
【0023】
ここでは、図4の3Dモデルをサーフィスモデルで記述している場合をもとに説明する。サーフィスモデルは立体の表面をポリゴンと呼ばれる複数の多角形を組み合わせて表現することで、立体の形状を表現する方法である。ただし、説明を簡単にするために、円筒の部分はその中心線の3Dモデルと2D図形との対応づけに関してのみ説明する。
【0024】
当初、図4の3Dモデルは、円筒部分を除くと図12に示すサーフィスモデルで表現される。立体部分は、ABCDEFA,AFGHA,EFGJE,CDIKC,CBEKC,ABEHA,HEKIJGの7つの面で表現される。このとき、円筒の部分を簡約化した図4の中心線となる線分があるとすると、陰線処理によって、XY平面,YZ平面での投影では、図13(a),(b)のようになる。ただし、隠線部分は点線で表現されている。
【0025】
一方、円筒を近似した線分の部分は、一例として図12のように、2本の線分を両端点で示すことにより表現される。3Dモデル読み込み部では、このサーフィスモデルのデータを読み込む。
【0026】
図2の対応情報抽出部(104)では、読み込まれた2次元図面と、3Dモデルとの対応づけを実施する。このための方法としては、(1)2次元図面中の特徴点と、3Dモデル図面中の特徴点との対応を指定する。(2)2次元図面中の座標と、3Dモデル図面中の座標の対応関係を指定する。などの方法の他に、(3)最初に3Dモデルを作成する際に、2次元図面中の特徴点を指定することによって3Dモデルの作成を支援し、その作成プロセスでの設定入力を用いて、2次元の特徴点と3次元の特徴点、および線を対応づける方法が考えられる。ここでは、(1)の方法による抽出方法について以下に記述する。
【0027】
図14に対応情報設定I/Fを示す。図14の左側の表示は、2次元図面の座標軸が、3Dモデルの座標軸のどの座標軸に対応しているかを計算する部分を示しており、図14の右側の表示は、ユーザが2次元図面と3次元図面との対応点を指定する部分を示している。この設定により、もとの3Dモデルの座標系の原点座標が、2D図面での投影面でどの位置にくるかを計算することができ、図14に示したように2D図面中に表示されると同時に、3Dモデルの原点の2Dモデルでの座標は対応情報DBに、投影の向きの情報とともに格納される。対応点は、2D側指定ボタンを押し、2D画面上で、点を指定するとIDが自動的に振り付けられ、画面上に表示される。次に、3D側指定ボタンを押し、3Dモデル画面上で、点を指定すると、先に指定した2D図面に対応する点が指定した点と認識され、同じIDが表示され点滅する。もし、それで良ければ、確認ボタンを押して確定する。もし間違いなら、同じ操作を3D側指定ボタンを再度押し、一連の作業をやり直す。指定した点の対応リストは、右下の表に表示される。
【0028】
次に、隠線情報抽出部において、2次元図面における隠線情報を抽出し、図15(b)に示す形式で図面修飾フォーマットDB中の隠線情報データに格納される。隠線情報抽出処理は、隠線探索処理と、隠線記述方法抽出処理に大別される。隠線探索処理ではすでに述べた方法により、図14で設定した2次元図面が前提としている投影方向から、隠線となる部分を自動的に抽出することができる。これに対応した2次元座標を始点・終点にもつ線を対応情報DBに格納された原点の対応関係と投影向きの情報から抽出できる。図18にこうして抽出され図面修飾フォーマットDBに格納された陰線の例を示す。線の色や種類は、図3に示した図面フォーマットから線の色,線の太さ,線のパターンの情報を対応する2次元図面のデータから抽出して格納する。
【0029】
こうした隠線情報と寸法線情報からなる図面修飾フォーマットは、図12の、もとの3Dデータの線および面のどれに対応しているかを解析し、3次元モデル−2次元図面対応情報として登録される。
【0030】
以上の処理で、最初の3Dモデルと、2次元図面との対応関係の設定を完了した。次に、何らかの理由で、3Dモデルに対して多少の変更がなされたとする。理由としては図面に書かれていない他の機器との干渉や、施工上の問題などが考えられる。
【0031】
ここでは、モデルを変更して、図16に示した投影のYZ平面図で、中心線が、全体に、直線部分をX軸の+方向に少しだけ移動させることを考える。この3Dモデルを模式的に展開図で示したものが図17である。この時、変更時対応情報抽出処理では、もとの対応情報DBから、近傍の3Dモデルの特徴点の位置を抽出して、どの線がどの線に変更され、どの面がどの面に変更されたかを推定する。この場合には、中心線だけが移動して、サーフィスモデルの面が移動していないことがわかるので、中心線だけが、全体に移動したことが推定される。なお、ある線や面が追加されたり、削除された場合も、線や面の要素の差分関係から容易に推定され以下と類似の処理によって2次元図面を容易に修正できる。
【0032】
この変更されたモデルに対してYZ投影面に陰線処理を施したものが図17である。この図のS′U′の部分が陰線であり、U′R′の部分が陽に見える線、そしてR′Q2′とR′Qi′の部分が陰線である。これらは、図16のSU,UR,RQ2,RQiの部分と対応している。この対応関係が図2の修正モデル対応2次元形状データ生成処理部(110)において抽出される。この処理は、元のモデルとの座標の差違等を用いて実行される。この抽出された対応関係を用いて、図2の修正モデル対応修飾フォーマット生成処理(111)において以下の処理がなされる。図1の図面修飾フォーマットDB61に登録されているもとの3Dモデルの部分と対応する2次元図面の陰線情報の修飾形式に合わせて、図1の変更部修飾フォーマット生成部76において、図17の陰線部分の修飾形式を決定し、図1の図面修飾フォーマットDB61に格納する。この例では、例えばSUの部分の陰線の修飾形式を図18を参照して確認すると、<隠線元線><2.1,1.1,2.1><6.4,6.3,6.2>の部分に対応し、点線になっているので、もとの図面と同じ点線で描画する。
【0033】
同様に寸法線についても、点Q2とTと、Q1の間の寸法線が、一連の寸法線であることが、寸法線情報解析部741において解析され図1の図面修飾フォーマットDB61の寸法線情報格納部に図18のように格納されているので、対応関係から、点Q2′とT′と、Q1′の間の寸法線が、もとの3Dモデルの部分と対応する2次元図面の一連の寸法線として同様の形式として線修飾情報として格納される。これらの情報は図3の修正モデル対応修飾フォーマット生成処理(111)において処理される。
【0034】
この結果、図19に示すようなもとの図面と同様のフォーマットの図面が生成される。
【0035】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0036】
また、上記の各構成,機能,処理部,処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成,機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム,テーブル,ファイル,測定情報,算出情報等の情報は、メモリや、ハードディスク,SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード,SDカード,DVD等の記録媒体に置くことができる。よって、各処理,各構成は、処理部,処理ユニット,プログラムモジュールなどとして各機能を実現可能である。
【0037】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 主制御部
2 ディスプレイ
3 操作入力部
4 記憶媒体読み取り部
5 伝送部
6 記憶装置
7 処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
形状と、前記形状を修飾する修飾情報を有する2次元図面を管理する図面作成支援装置の作成支援方法において、3次元のモデルと2次元の図面が対応づけられている場合に、2次元図面における形状情報および修飾情報を3次元モデルと対応づけて記憶することを特徴とする2次元図面作成支援方法。
【請求項2】
請求項1において、前記3次元モデルが修正された場合に、該対応関係を利用して対応する2次元図面における形状情報と修飾情報を変更することにより該修正された3次元モデルに対応する2次元図面の作成を支援することを特徴とする2次元図面作成支援方法。
【請求項3】
請求項1において、前記修飾情報は寸法線情報又は陰線情報であることを特徴とする2次元図面作成支援方法。
【請求項4】
請求項2において、前記3次元モデルが修正され、該対応関係を利用して対応する2次元図面における形状情報と修飾情報を変更する際に、修正前の3Dモデルの部分と対応する2次元図面の修飾情報の修飾形式に合わせて、修正後の3Dモデルの部分と対応する2次元図面の修飾情報を変更することを特徴とする2次元図面作成支援方法。
【請求項5】
形状と形状を修飾する修飾情報を有する2次元図面を管理する図面作成支援装置において、3次元のモデルと2次元の図面が対応づけられている場合に、2次元図面における形状情報および修飾情報を3次元モデルと対応づけて記憶する記録部を有することを特徴とする2次元図面作成支援装置。
【請求項6】
形状と形状を説明・修飾する修飾情報からなる2次元図面の作成支援装置において、対応する3次元のモデルと2次元の図面が対応づけられている場合に、2次元図面における形状情報および修飾情報を3次元モデルと対応づけて記憶し、3次元モデルが修正された場合に、該対応関係を利用して対応する2次元図面における形状情報と修飾情報を変更する修正モデル対応修飾フォーマット生成処理部を有することを特徴とする2次元図面作成支援装置。
【請求項7】
請求項5において、前記修飾情報は寸法線情報又は陰線情報であることを特徴とする2次元図面作成支援装置。
【請求項8】
請求項6において、前記修正モデル対応修飾フォーマット生成処理部は、前記3次元モデルが修正され、該対応関係を利用して対応する2次元図面における形状情報と修飾情報を変更する際に、修正前の3Dモデルの部分と対応する2次元図面の修飾情報の修飾形式に合わせて、修正後の3Dモデルの部分と対応する2次元図面の修飾情報を変更することを特徴とする2次元図面作成支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−128609(P2012−128609A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278737(P2010−278737)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(000005441)バブコック日立株式会社 (683)
【Fターム(参考)】