説明

固体酸化物型燃料電池および固体酸化物型燃料電池の製造方法

【課題】インターコネクタの構成をあまり変更することなく、空気極からインターコネクタを介して燃料極に向かって流れる漏れ電流を低減すること。
【解決手段】空気極31と燃料極32とをインターコネクタ1を介して接合してあるとともに、インターコネクタ1が酸素イオン伝導性を有する金属酸化物からなり、空気極31とインターコネクタ1との間に、空気極31よりも酸素還元触媒活性の低い導電性材料からなる保護層11を形成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体酸化物型燃料電池(SOFC)および固体酸化物型燃料電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明が対象としている固体酸化物型燃料電池(SOFC)は、酸素イオンを伝導する固体電解質の両側に燃料ガスおよび空気中の酸素をそれぞれ酸化、還元する機能を有する電極を取り付けたものである。電解質の材料としては一般的にはイットリアをドープしたジルコニアが用いられており、700℃から1000℃の高温で、燃料ガス中の水素、一酸化炭素、炭化水素と酸化材ガス中の酸素を電気化学反応させて発電が行われる。SOFCは、他の燃料電池システムやガスエンジン等に比べて、特に高発電効率での発電が可能なことから、有望な発電技術として開発が行われている。
【0003】
一つの燃料電池(単電池)で得られる電圧は1V以下であり、高電圧を得るために燃料電池は必ず直列に接続されて用いられ、この際、単電池同士の接合には、インターコネクタが用いられる。インターコネクタは単電池間の電気的接続と燃料と空気が直接反応しないための隔壁(セパレーター)としての役割を果たす。SOFCのインターコネクタは高温の電池作動温度で、酸化還元の両雰囲気に曝されるため、使用可能な材料は限定される。現在、LaCrO3系セラミックスと合金との大きく2つの系統の材料での開発が進められている。どちらを用いるかによって、SOFC全体の設計が大きく左右される。
【0004】
LaCrO3系酸化物は難焼結性であるため、インターコネクタに必要な隔壁としてのガス気密性を得るのが難しい。特に空気雰囲気での高温焼結ではクロムの蒸発性向が顕著になることに関連して焼結しにくいことが知られている(非特許文献1など)。この酸化物では、組成をBサイト欠損にすると空気雰囲気での焼成で94%以上の密度の燒結体が得られることが知られている。しかし、こうした組成では、2次成分が粒界に析出する傾向をもち、長期的にも粒界の2次成分が増加するなど、長期的な化学的な安定性に対する問題点が指摘されている。
【0005】
SOFCのインターコネクタに用いられるLaCrO3系材料は電子伝導体であると同時に、僅かながら酸素イオン伝導性を有する。そのため、SOFCの動作条件における酸素分圧勾配により、酸素イオンはカソード側からインターコネクタを経由してアノード側に伝導しようとする。図3に示すように、インターコネクタでの酸素イオン伝導が起こると、燃料電池の発電とは無関係に燃料が消費されることになり、発電効率を低下させる。これを漏れ電流と呼ぶ。漏れ電流量の推定は容易ではないが、複数の参考文献で調査結果が報告されている。比較的調査されている1000℃での漏れ電流はインターコネクタ1mm厚みの場合、インターコネクタの面積あたり0.1mA/cm2(非特許文献2)〜約10mA/cm2(非特許文献3)である。2次成分が粒界に析出している組成では漏れ電流が大きくなるという事実があるため、粒界の状態が原因として推察されているが、そのメカニズムはわかっていない。また、非特許文献3に示されているように燃料ガスの酸素分圧が低いと漏れ電流は増大する。燃料ガス中の酸素分圧とは、下記平衡反応(式(1))により、水素−水蒸気混合ガス中においても規定される。
【0006】
2 + 1/2O2 = H2O ………………………(1)
PO2= (1/Kh)・〔P(H2O)/P(H2)〕2
(ここで、 Kh:平衡定数 、 PO2:酸素分圧、
P(H2O):水蒸気分圧、 P(H2):水素分圧)
【0007】
インターコネクタの厚みが1/10になると、漏れ電流は10倍になるので、薄いLaCrO3系酸化物インターコネクタを用いる場合には、漏れ電流の影響を無視できない。また、若干の組成の違いにより漏れ電流が桁違いに大きくなる現象の原因が十分に把握できていない状況から数年以上に渡る長期の実用運転の際に、長期的に漏れ電流が増加する可能性がある。
【0008】
漏れ電流の増加程度によって、燃料欠乏状態となるセルが生じ、その燃料欠乏によりセルスタックの破損という状況に陥る。数十セル〜数百セルで構成されるSOFCスタックでは1つのセルでこうした状況が起こるとスタック全体破損に陥る。漏れ電流が長期間の作動中に増大する現象の可能性がある場合には、フェイルセーフ措置等の対策を講ずる必要があり、SOFCの構成を複雑にし、使用形態に制約を生じるという問題があった。
【0009】
SOFCにおいて、LaCrO3系酸化物からなる緻密質インターコネクタを燃料極もしくは燃料極と一体の燃料極支持体上に形成する場合、空気側雰囲気で、インターコネクタと隣接するセル部材(セルもしくはセル間接続金属体)とを低い電気抵抗で接続するためにインターコネクタとセル部材の間に導電性の接合層を設ける場合もある。
その接合層としては、銀や銀合金、またはLa、Sr、CoおよびFeを含有するペロブスカイトなどが用いられる(特許文献1)。これらは接合層としての焼結性、伝導性は良好である。特に後者は元々SOFCの空気極として用いられている材料であり、SOFC作動雰囲気における耐久性に関しても実績がある。
【0010】
これに対して、La、Sr、CoおよびFeを含有するペロブスカイト層は導電性が高く、SOFCの空気極としても用いられる材料であることから、インターコネクタ上に導電性接続部材として塗布焼結させ、別のセルもしくは別のセルと接続するための導電性接合層として用いるにも好適な材料である。LaCrO3系酸化物からなるインターコネクタの上にLa、Sr、CoおよびFeを含有するペロブスカイト層を設置した構成では、La、Sr、CoおよびFeを含有するペロブスカイト層がO2を取り込み還元する性能(酸素還元触媒活性)が高いため、インターコネクタ自体の品質にばらつき、長期的な変質が生じた場合に、インターコネクタの特性に従って漏れ電流が増大するリスクを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−339904
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】固体酸化物燃料電池と地球環境(田川博明著、アグネ承風社P205−P209
【非特許文献2】Minoru Suzuki, Hirokazu Sasaki, Atsuko Kajimura, Solid State Ionics, Volume 96, Issues 1−2, 2 March 1997, P83
【非特許文献3】Lee, D.−K., Yoo, H.−I..Journal of the Electrochemical Society 147(7), P2835
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
インターコネクタの酸素イオン伝導性の低減や、空気極側のインターコネクタと接している層の酸素触媒活性の低減により、漏れ電流は低減されると考えられる。インターコネクタの構造により漏れ電流が低減されると、SOFCの品質管理や経時変化に依存せず漏れ電流量が低減されることになり、SOFCの運転管理上好ましいと考えられる。
【0014】
さらに、漏れ電流が生じると、無駄な燃料消費に伴う発電効率の低下のみならず、燃料欠乏によるセルスタックの破損リスクが高くなる恐れもあり、漏れ電流を極力低減することのできるSOFCが望まれている。
【0015】
ここで、漏れ電流はインターコネクタの組成や構造との相関も大きいが、インターコネクタの組成や構造は、熱膨張率やインターコネクタを燃料電池作動雰囲気に設置した場合の寸法変化量といった、燃料電池の信頼性に関わる重要な特性に影響を与える為、インターコネクタの組成や構造といった基本的な構成を変えることなく漏れ電流を低減することが望ましい。
【0016】
したがって、本発明は、インターコネクタの構成をあまり変更することなく、インターコネクタを介して流れる漏れ電流を低減することができるSOFCを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の技術思想は、インターコネクタと空気側極側で接する層で生じる酸素の還元反応を低減させることにより漏れ電流を低減させ、上記目的を達成する点にある。
【0018】
〔構成1〕
上記目的を達成するための本発明のSOFCの特徴構成は、空気極と燃料極とをインターコネクタを介して接合してあるとともに、前記インターコネクタが酸素イオン伝導性を有する金属酸化物からなる固体酸化物型燃料電池であって、
前記インターコネクタに、そのインターコネクタに隣接する前記空気極側の層よりも酸素還元触媒活性の低い導電性材料からなる保護層を形成して、前記空気極と接合してある点にある。
【0019】
〔作用効果1〕
上記構成によると、保護層として、前記インターコネクタに、そのインターコネクタに隣接する前記空気極側の層よりも酸素還元触媒活性の低い導電性材料からなる保護層を形成することによって、空気極側のインターコネクタ表面近傍に生じる酸素イオンを低減させることができるので、漏れ電流やそれに伴う無駄な燃料の消費を低減し、SOFCの信頼性を向上させることができる。すなわち、インターコネクタの表面に形成された保護層は、隣接する空気極あるいは、セル部材とインターコネクタとを接合するための接合層よりも酸素還元触媒活性が低いので、インターコネクタ表面近傍に生じる酸素イオンを低減させることができ、漏れ電流を低減することができる。
【0020】
そのため、前記空気極と前記インターコネクタに、保護層を形成するだけの簡単な構成の変化で、漏れ電流を低減することができるSOFCを提供することができた。
【0021】
なお、前記接合層として、La,Sr,Pr,Sm,Fe,Co,Mn,およびNiから選ばれる金属を含むペロブスカイト型酸化物を主材とするものを適用すると、前記空気極を構成する材料と親和性の高く、熱膨張率等の物性も近似するため、接合時に問題が生じにくく、また、長期使用に際しても安定である。
【0022】
なお、接合層および保護層は、厳密に区別しがたい状況で設けられる場合があるが、インターコネクタ表面に形成され、漏れ電流を低減する層を特に保護層と呼ぶものとする。
【0023】
〔構成2〕
なお、前記空気極としては、La,Sr,Pr,Sm,Fe,Co,Mn,およびNiから選ばれる金属を含むペロブスカイト型酸化物を主材とするものを用いることができる。
【0024】
〔作用効果2〕
上記空気極は、空気中の酸素を選択的に酸素イオンに還元する能力(酸素還元触媒活性)が高く、電子伝導性に優れるため、SOFCの空気極として汎用されており、発電性能、耐久性能等において優れたSOFCを提供するために好適である。このような金属酸化物としては、たとえば、LaCoO3,LaMnO3,LaFeO3,LaNiO3系酸化物が挙げられる。
【0025】
なお、本願で「材料Xを主材とする」という場合、構成材料としての材料Xが主たる原料の一つとしていることをいい、必要に応じて添加剤を添加していてもよく、その材料のもつ特性が現れていれば、配合割合に特に制限はなく、材料X単独では、必ずしも、混合物中で最も多い材料である必要はなく、好ましくは50%以上が材料Xから構成されることが好ましいが、それ以下であってもよい。
【0026】
〔構成3〕
前記ペロブスカイト型酸化物が、La,Sr,CoおよびFeを含有する金属酸化物を用いることができる。
【0027】
〔作用効果3〕
空気極材料の中でも、La,Sr,CoおよびFeを含有する金属酸化物は、特に酸素還元触媒活性が高く、電子伝導性に優れるので、発電性能、耐久性能等において優れたSOFCを提供するために好適である。このような金属酸化物としては、たとえば、La1-xSrxCoyFe1-y3(0<x<1、0≦y≦1)が挙げられる。
【0028】
〔構成4〕
また、前記インターコネクタが、LaCrO3系酸化物を主材とするものであってもよい。
【0029】
〔作用効果4〕
固体電解質燃料電池のインターコネクタは、空気極側から燃料極側までの広範囲の酸素分圧下において安定かつ充分な電子伝導性を有し、熱膨張率が電解質の材料(たとえば、イットリア安定化ジルコニア(YSZ))とほぼ等しく、かつ、他の電池構成物質と1273Kにおいても反応しないものでなければならない。LaCrO3系酸化物は、ランタンクロマイトと呼ばれ、電子伝導性に優れ、緻密(ガスタイト)であり、酸化還元のいずれにも耐久性があり、上記特性を備え、インターコネクタとして好適であると考えられている。
【0030】
〔構成5〕
前記保護層が、Mn,Co,Zn,Fe,Ni,Cr,Ti,V,Y,W,ランタノイドから選ばれる1種以上の金属を含むスピネル型酸化物を主材とすることができる。
【0031】
〔作用効果5〕
一般に、これらのスピネル型酸化物は酸素還元触媒活性が低いため、漏れ電流を低減するのに寄与する。また、これらのスピネル型酸化物は、セル部材に対して密に接合することができる点からも、保護層を形成する材料として好適である。
【0032】
なお、本願で「1種以上の金属を含む」とは、金属成分がAB24型のスピネル構造を構成する金属材料としてのA,Bとして含有されていることをいい、他の付加的成分としてスピネル構造を構成しない形で含まれるものは除いて考えるものとし、また、A=Bである場合を含むものとする。
【0033】
〔構成6〕
上記構成において、前記保護層が、CoxMn3-x4(0≦x≦3)、ZnCoMnO4、NixMn3-x4(0≦x≦3)、MnFe24、ZnFe24からなる群より選択される少なくとも一種以上のスピネル型酸化物を主材とすることが好ましい。
【0034】
〔作用効果6〕
CoxMn3-x4(0≦x≦3)(たとえばCoMn24(x=1)、MnCo24(x=2)、Co34(x=0)、Co1.5Mn1.54(x=1.5)、Mn34(x=3)等)、ZnCoMnO4、NixMn3-x4(0≦x≦3)、MnFe24、ZnFe24からなる群より選択される少なくとも一種以上のスピネル型酸化物は、酸素還元触媒活性が低く、漏れ電流の低減効果が高い。また、マンガン、コバルトからなるスピネル型酸化物は、Co1.5Mn1.54組成では熱膨張率11.5x10-6/℃、800℃での導電率σ=60S/cmであり、たとえばLaCrO3系酸化物膜の空気側表面に取り付けても性能低下の原因にならない。
【0035】
〔構成7〕
前記保護層は、LaMnO3系酸化物を主材とすることもできる。
【0036】
〔作用効果7〕
スピネル型酸化物以外の成分であっても、LaMnO3系酸化物を主材とする保護層は、空気極にも用いられる材料でありながら、種々製造条件により酸素還元触媒活性が低い組成のものが得られやすく、このような成分からなる保護層を設けることによっても、漏れ電流の低減効果を発揮することが期待できる。
〔構成8〕
前記保護層は、LaCrO3系酸化物を主材とすることもできる。
【0037】
〔作用効果8〕
スピネル型酸化物以外の成分として、LaCrO3系酸化物を主材とする保護層についても、上記保護層と同様に漏れ電流の低減効果を発揮することが期待できる。
【0038】
〔構成9〕
前記保護層としては、気孔率低下処理により酸素還元触媒活性を低下させた導電性材料から構成してもよい。
【0039】
〔作用効果9〕
なお、同じ酸化物であっても気孔率の低いものほど酸素還元触媒活性が低くなることが知られており(Ju−Sik Kim, Su−Il Pyun, Jong−Won Lee and Rak−Hyun Song, Journal of Solid State Electrochemistry, Volume 11, Number 1, 117−125)、たとえば、焼成温度条件を通常よりも高温に設定したり、造孔材のようなものを減らしたりする気孔率低下処理を施すことにより酸素還元触媒活性の低い酸化物層を形成すると、上記保護層として機能する。
【0040】
〔構成10〕
また、前記保護層をスパッタリング法により形成することができる。
【0041】
〔作用効果10〕
前記保護層を酸素還元触媒活性の低い酸化物層とするために前記保護層の反応抵抗を増大させる手法としては、前記保護層を気孔率の低い緻密な層に形成することが有効である(このような手法も気孔率低下処理と考える)。このような手法として代表的な方法として、保護層をスパッタリング法により形成することができる。
【0042】
このような場合、前記空気極を形成する場合に、スパッタリング法よりも粗な多孔質構造を形成可能な一般的な成形方法(焼結法等)を採用することができる。
【0043】
〔構成11〕
また、前記保護層が多孔質構造に形成されるとともに、前記多孔質構造を充填材により充填することにより、前記空気極よりも酸素還元触媒活性を低く形成してもよい。
【0044】
〔作用効果11〕
【0045】
また、保護層の多孔質構造を充填材によっても前記保護層の気孔率を減少させ、酸素還元触媒活性を低くすることができ、保護層として機能させることができる。
【0046】
〔構成12〕
上述のSOFCを製造する場合には、燃料極もしくは燃料極と一体の燃料極支持体上に、焼結法にてインターコネクタを一体形成し、前記インターコネクタ上に保護層を形成することができ、この際、前記インターコネクタ上に保護層を形成し、前記保護層に焼結法にて空気極を一体形成するとともに、前記保護層を、前記空気極よりも酸素還元触媒活性の低い導電性材料から形成することができる。
【0047】
〔作用効果12〕
上記製造方法に従うと、燃料極極もしくは燃料極と一体の燃料極支持体上にインターコネクタを一体成形し、その上に保護層、空気極を順次接合すればよいから、各構成要素を順次効率良く確実に一体化することができるとともに、前記保護層と空気極とを接合する工程は、SOFCを作製するにあたって、一対の燃料極と空気極を備えた燃料電池セルどうしを直列に接合する工程にあたるので、SOFC全体としての作製工程にも適合している。そして、前記保護層は、上述のようにインターコネクタから空気極にいたる経路で生じる酸素イオンを低減させることにより漏れ電流を低減するから、信頼性の高いSOFCを製造できる。
【発明の効果】
【0048】
したがって、漏れ電流の低減されたSOFCを提供することができ、漏れ電流による燃料極における無駄な燃料消費が低減されることにより、発電効率の低下を低減し、信頼性の高いSOFCを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】SOFC用セルの各要素の分解状態を示す概略斜視図
【図2】SOFC用セルの作動原理を説明する図
【図3】インターコネクタで漏れ電流の生じる原理を説明する概念図
【図4】実施例、比較例のサンプルの温度測定試験の実験装置の構成を示す図
【図5】実施例の温度計測結果を示す図
【図6】比較例の温度計測結果を示す図
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下に、本発明の固体酸化物型燃料電池(SOFC)を説明する。なお、以下に好適な実施例を記すが、これら実施例はそれぞれ、本発明をより具体的に例示するために記載されたものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能であり、本発明は、以下の記載に限定されるものではない。
【0051】
〔SOFCの構成〕
本発明にかかるSOFCの実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1および図2に示すSOFC用セルCは、酸素イオン電導性の固体酸化物の緻密体からなる固体電解質30の一方面側に、酸素イオンおよび電子電導性の多孔体からなる空気極31を接合するとともに、同固体電解質30の他方面側に電子電導性の多孔体からなる燃料極32を接合してなる単セル3を備える。
【0052】
そして燃料極もしくは燃料極と一体の燃料極支持体上に、焼結法にてインターコネクタを一体形成し、前記インターコネクタの空気極側の表面に保護層を形成し、前記保護層に焼結法にて空気極を一体形成し、前記保護層を、前記空気極よりも酸素還元触媒活性の低い導電性材料から形成しておく。
【0053】
さらに、SOFC用セルCは、この単セル3を、空気極31または燃料極32に対して電子の授受を行うとともに空気および水素を供給するための溝2が形成された一対の電子電導性の酸化物からなるインターコネクタ1により、適宜外周縁部においてガスシール体を挟持した状態で挟み込んだ構造を有する。そして、空気極31側の上記溝2が、空気極31とインターコネクタ1とが密着接合されることで、空気極31に空気を供給するための空気流路2aとして機能し、一方、燃料極32側の上記溝2が、燃料極32とインターコネクタ1とが密着接合されることで、燃料極32に水素を供給するための燃料流路2bとして機能する。
【0054】
なお、上記SOFC用セルCを構成する各要素で利用される一般的な材料について説明を加えると、たとえば、上記空気極31の材料としては、La,Sr,Pr,Sm,Fe,Co,Mn,およびNiから選ばれる金属を含むペロブスカイト型酸化物を主材とする、ABO3(たとえばA=La,Sm,Pr、B=Fe,Co,Mn,Ni)中のAの一部をアルカリ土類金属AE(AE=Sr,Ca)で置換した(A,AE)MO3のペロブスカイト型酸化物等を利用することができ、上記燃料極32の材料としては、Niとイットリア安定化ジルコニア(YSZ)とのサーメットを利用することができ、さらに、固体電解質30の材料としては、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)を利用することができる。
【0055】
さらに、これまで説明してきたSOFC用セルCでは、インターコネクタ1の材料としては、電子電導性および耐熱性の優れた材料であるLaCrO3系ペロブスカイト型酸化物等が利用されている。
【0056】
そして、複数のSOFC用セルCが積層配置された状態で、複数のボルトおよびナットにより積層方向に押圧力を与えて挟持され、セルスタックとなる。
このセルスタックにおいて、積層方向の両端部に配置されたインターコネクタ1は、燃料流路2bまたは空気流路2aの一方のみが形成されるものであればよく、その他の中間に配置されたインターコネクタ1は、一方の面に燃料流路2bが形成され他方の面に空気流路2aが形成されるものを利用することができる。なお、かかる積層構造のセルスタックでは、上記インターコネクタ1をセパレータと呼ぶ場合がある。
このようなセルスタックの構造を有するSOFCを一般的に平板型SOFCと呼ぶ。本実施形態では、一例として平板型SOFCについて説明するが、本願発明は、その他の構造のSOFCについても適用可能である。
【0057】
そして、このようなSOFC用セルCを備えたSOFCの作動時には、図2に示すように、空気極31に対して隣接するインターコネクタ1に形成された空気流路2aを介して空気を供給するとともに、燃料極32に対して隣接するインターコネクタ1に形成された燃料流路2bを介して水素を供給し、たとえば750℃程度の作動温度で作動する。すると、空気極31においてO2が電子e-と反応してO2-が生成され、そのO2-が固体電解質30を通って燃料極32に移動し、燃料極32において供給されたH2がそのO2-と反応してH2Oとe-とが生成されることで、一対のインターコネクタ1の間に起電力Eが発生し、その起電力Eを外部に取り出し利用することができる。
【0058】
上述の反応が進行した場合、空気極31で生成したO2-は、単セル3内において固体電解質30、燃料極32の側に移動することにより、燃料極32でさらにe-が生成するわけであるが、図3に示すように、空気極31で生成したO2-がインターコネクタ1を介して隣接する単セル3における燃料極32にも移動する場合があり、これが漏れ電流となる。
【0059】
そのため、このO2-の生成を低減することによって漏れ電流を低減する。具体的には空気極31とインターコネクタ1との間に、前記空気極31よりも酸素還元触媒活性の低い導電性材料からなる保護層11を形成する。
【0060】
前記保護層11は、Mn,Co,Zn,Fe,Ni,Cr,Ti,V,Y,W,ランタノイドから選ばれる2種以上の金属を含むスピネル型酸化物を主材とするものが好適に採用され、下記実施例では、CoxMn3-x4(0≦x≦3、具体的にはx=1.5)からなるスピネル型酸化物が、前記空気極31よりも酸素還元触媒活性が低いため、好適に使用できることを実験的に明らかにした。
【0061】
ここで、酸素還元触媒活性とは、空気中のO2を酸素イオンに変換する能力であり、金属酸化物どうしで比較すると、反応抵抗(Ω・cm2)が高いほど、酸素還元触媒活性が低いことが知られている。
【0062】
種々金属酸化物材料の代表的な反応抵抗は、下表1のようになっている。
【0063】
【表1】

※1:Laura Baque, Alberto Caneiro, Mario S. Moreno and Adriana Serquis, Electrochemistry Communications, Volume 10, Issue 12, December 2008, page. 1905−1908
※2:Antonio Barbucci, M.Paola Carpanese, Massimo Viviani, Journal Applied Electrochemistry, 2009, volume 39, page. 513−521
※3:Ju−Sik Kim, Su−Il Pyun, Jong−Won Lee,Journal of Solid State Electrochemistry,2007, volume 11, page.117―125
※4:別実施形態(3)を参照
【0064】
表1より、空気極31としては、たとえば、LaCoO3,LaMnO3,LaFeO3,LaNiO3系酸化物が用いられ、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83に代表される反応抵抗は非常に小さいのに対し、これらの金属酸化物材料は、いずれもCoxMn3-x4(0≦x≦3、具体的にはx=1.5)同様に、前記空気極31よりも空気極31で酸素が還元されてO2-が生成されるのを低減する効果を生じ、保護層11として機能することが明らかである。
また、LaMnO3系酸化物についても、たとえば、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83のような反応抵抗の小さな空気極31に対して、保護層11として機能することがわかる。さらに、※3の文献によると、バインダー量の調整により、気孔率が小さくなるように調整して作製されたものほど反応抵抗が大きく、保護層11としてより有効に機能させることが可能になることが分かる。したがって、空気極31を構成する材料よりも酸素還元触媒活性が低い材料からなる保護層11を設けてあれば、図3より、漏れ電流の低減効果が発揮されることが明らかであるから、SOFCを構成するにあたって、空気極31(あるいは接合層)の酸素還元触媒活性に基づき保護層を構成する材料を選択することにより漏れ電流が少なく信頼性の高いSOFCを製造できる。
【0065】
このようなSOFC用セルCを作製する場合、燃料極32もしくは燃料極32と一体形成される燃料極支持体上に、焼結法にてインターコネクタ1を一体形成し、前記インターコネクタ1上に保護層11を形成し、一方、燃料極32もしくは燃料極32と一体形成される燃料極支持体上に、インターコネクタ1と対向する側に、固体電解質30を接続するとともに、その固体電解質30上に焼成法にて空気極31を一体形成する。
【0066】
なお、前記固体電解質30は厚さ数μm〜数百μm程度であり、その両面にそれぞれ厚さ数μm〜数百μm程度の燃料極32、および、厚さ数μm〜数百μm程度の空気極31を一体に焼結して単セル3を構成する。この単セル3とインターコネクタ1とを順次積層し、空気極31とインターコネクタ1との間に、厚さ数μm〜数十μm程度の保護層11を介在させつつ一体化することにより、SOFC用セルCが作製される。
【0067】
前記保護層11と前記空気極31とを直列に接続する場合、前記保護層11および前記空気極31に対して親和性の高い材料からなる接合層12を設けて焼成一体化することにより、容易に多数の単セル3を備えたSOFC用セルCを得ることができる。また、このSOFC用セルCは、その製造工程において、インターコネクタ1と空気極31および燃料極32との間の接触抵抗をできるだけ小さくするなどの目的で、それらを積層配置した状態で、作動温度よりも高い1000℃〜1150℃程度の焼成温度で焼成する焼成処理を行う場合がある。
【0068】
前記接合層12を構成する材料としては、La,Sr,Pr,Sm,Fe,Co,Mn,およびNiから選ばれる金属を含むペロブスカイト型酸化物を主材とする、空気極31と近似する材料が好適に用いられる。
【0069】
次に、インターコネクタ1における漏れ電流の生成を低減するために形成する本発明の空気極31よりも酸素還元触媒活性の低い導電性材料からなる保護層11を形成してあるSOFCの実施例、および比較例について、以下に詳細に説明する。
【実施例】
【0070】
NiOとGDC(Gd0.1Ce0.91.95)を混合、成型し、多孔質の燃料極支持体(燃料極32でもある)を作製した。この支持体上に(La0.8Ca0.21.02CrO3をインターコネクタ1の材料としてスラリーコート法によりインターコネクタ1の緻密な膜を成膜し、これを1500℃、5hrで焼成した。次にインターコネクタ1上にCo1.5Mn1.54を保護層11材料としてスラリーコート法により成膜(湿式成膜)し、この保護層11上にLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83をスラリーコートして接合層12(空気極31でもある)を製膜し、これを1150℃で焼成し、SOFC用セルCの漏れ電流計測用のサンプルAとして保護層を設け、電解質のないセル部分を作製した。また、比較例として保護層11がないサンプルBを作製した。
【0071】
作製したサンプルA,Bを図4に示す実験装置に保持し、各計測点a〜cの温度を計測した。前記実験装置は、一対の二重管4,5の開口端部4a,5a間に通気性多孔質材からなる断熱材4b、5bを介して前記サンプルA,Bを狭持してなる。より具体的には、空気極31に対する空気流路2aを形成する二重管4の外管41および燃料極32に対する燃料流路2bを形成する二重管5の外管51との間にサンプルA,Bの燃料極32部分を狭持し、前記空気流路2a側に前記接合層12が面し、前記燃料流路2b側に前記燃料極32が面するように配置してある。なお、サンプルA,Bの側面はシール材6によりガスのシールを行った。これにより、燃料流路2b側の内管52から供給されたH2が、断熱材5bを通って、前記燃料流路2b側の二重管5における内管52と外管51との間より排気され、空気流路2a側の二重管4の内管42から供給されたO2が、断熱材4bを通って、前記空気流路2a側の二重管4における内管42と外管41との間より排気される構成となる。したがって、本実験装置によると、前記サンプルA,Bの積層構造に対し、燃料電池としての電流を発生させることなく、接合層12(空気極31)から燃料極支持体(燃料極32)に対する漏れ電流を発生させることができる。
【0072】
本実験装置を加熱炉内に収容し、計測点aの温度をSOFCの動作温度域(750℃、800℃、850℃)となるように電気炉の出力を調整し、漏れ電流の発生に伴うサンプルA,Bの温度の上昇を測定したところ、図5,6のようになった。(図5,6におけるd点は加熱炉の炉壁温度(実験装置の管理温度)である。)漏れ電流の発生条件は、接合層12(空気極31)に空気を0.5L/min、燃料極支持体(燃料極32)側に燃料H2を0.5L/min導入することとした。
【0073】
図5に実施例(保護層を設けたサンプルA)の温度計測結果を示す。漏れ電流が発生すると、前記インターコネクタ1等が抵抗体となり、サンプルA,Bが発熱する。この発熱は断熱材4b、5bで囲まれた計測点bの温度に反映されるため、漏れ電流量は、計測点a,bの温度差として現れる。結果、保護層11を設けたサンプルAでは、断熱材4bの外側の計測点aの温度に対し、断熱材5b内側の計測点bの温度は誤差程度しか温度差がなく、実験装置の温度を上げても計測点aと計測点bの温度差はほとんど変化しなかった。なお、実験装置には縦型の管状炉を用いており、外周のヒーターからサンプルA,B部分を過熱する構成となっているため、計測点aに対し計測点cや計測点dは温度が高い結果となっている。
【0074】
図6に比較例(保護層を設けないサンプルB)の温度測定結果を示す。計測点aの温度に対し、計測点bの温度は明らかに高く、計測点aの温度が高いほど計測点aとbの温度差が大きくなった。
【0075】
比較例(サンプルB)の測定結果において、計測点aの温度に対し、計測点bの温度が高いことから、酸素還元触媒活性が高いLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83が直接インターコネクタ1に接合されている場合、漏れ電流により発熱が生じていることがわかる。インターコネクタ1は温度が高いほど酸素イオン伝導率が増加し、漏れ電流の増大を招くが、温度が高いほど計測点aとbの温度差が大きくなったことからも、前記温度上昇が漏れ電流の影響であることを示唆している。実施例(サンプルA)では酸素還元触媒活性が高い接合層12(空気極31)とインターコネクタ1との間に酸素還元触媒活性をほとんどもたないCo1.5Mn1.54が構成されているため、漏れ電流が生じず、計測点aとbの温度差が生じなかったと考えられる。
【0076】
以上の結果より、CoxMn3-x4(0≦x≦3)のようなスピネル材料などをインターコネクタ1上に製膜することにより、インターコネクタ1の漏れ電流を低減することが可能であり、SOFCの信頼性を向上できることがわかった。
【0077】
〔別実施の形態〕
(1) 上記実施の形態では、空気極31よりも酸素還元触媒活性の低い導電性材料からなる保護層11としてスピネル型酸化物を主材とするものを例示したが、これに限らず、表1に示したLaMnO3系酸化物やその他セラミックスであっても良く、インターコネクタ1または空気極31よりも酸素還元触媒活性が低ければいずれのものであってもかまわない。
【0078】
(2) また、同じ成分のセラミックス材料であっても、添加剤、成膜、焼成方法、気孔率等によっても、保護層11の酸素還元触媒活性を低下させておくことができ、前記保護層11を、前記空気極31と同じ成分とすることもでき、この場合も、保護層11が空気極31よりも酸素還元触媒活性が低ければよい。具体的には、前記空気極31および前記保護層11が、たとえば、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83等の、La,Sr,Pr,Sm,Fe,Co,Mn,およびNiから選ばれる金属を含むペロブスカイト型酸化物を主材とするものであって、前記保護層11の気孔率が例えば約10%であり、前記空気極を構成するペロブスカイト型酸化物の気孔率が例えば約30%であれば、表1のように保護層11が空気極31よりも酸素還元触媒活性が低いので、漏れ電流を低減する効果を発揮しうる。
【0079】
(3) なお、上記表1において、同種の材料であっても成膜方法の違いや、成膜時の処理によって、反応抵抗等の物性が大きく違ってくることがわかっている(表1中Co1.5Mn1.54、MnNi24、参照)。たとえば、Co1.5Mn1.54の場合、湿式成膜を行った場合、比較的低い反応抵抗となっているが、スパッタリング法によれば緻密な(気孔率≒0)膜が得られ、反応抵抗を極めて大きく改変することができる(気孔率低下処理)。また、表1の酸化物の気孔を充填材により充填させておく(気孔率低下処理)ことによっても、緻密な保護層が得られ、保護層の反応抵抗を大きく改変することができる。
【0080】
具体的には、Co1.5Mn1.54とガラス粉末を混合し、スラリーコートによって製膜、焼成することでCo1.5Mn1.54の気孔をガラス材料によって充填された保護層とすることができ、このようにして得られた保護層は、ガラス材料の充填まえの反応抵抗が11Ω・cm2であったのに対して、60Ω・cm2にまで増加し、SOFCにおける上記漏れ電流の問題を解消することができる。
【0081】
(4) また、前記保護層を前記空気極よりも酸素還元触媒活性の低い導電性材料とするには、前記空気極および前記保護層が、同じ酸化物であっても気孔率の低いものほど酸素還元触媒活性が低くなるので、たとえば、焼成温度条件を通常よりも高温に設定したり、造孔材のようなものを減らしたりすることも有効である。また、前記保護層をスパッタリング法により保護膜を形成することによっても、前記保護層を酸素還元触媒活性の低い酸化物層とするために前記保護層の反応抵抗を増大させることができる。
また、固体酸化物型燃料電池におけるセル(単セル)同士の接合にセル間接続金属体を設けてあっても良く、空気極からインターコネクタに至る漏れ電流の低減される経路以外の部分の構成については、種々公知の構成が採用でき、たとえば、空気極とインターコネクタとを接合する接合層が設けられていてもよい。この場合、インターコネクタに隣接する前記空気極側の層は、前記接合層をさす。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明によると、漏れ電流の低減されたSOFCを提供することができ、漏れ電流による燃料極における無駄な燃料消費が低減されることにより、発電効率の低下を低減し、信頼性の高いSOFCを提供することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 :インターコネクタ
2 :溝
2a :空気流路
2b :燃料流路
3 :単セル
4 :二重管
4a :開口端部
4b :断熱材
5 :二重管
5a :開口端部
5b :断熱材
6 :シール材
11 :保護層
12 :接合層
30 :固体電解質
31 :空気極
32 :燃料極
41 :外管
42 :内管
51 :外管
52 :内管
C :SOFC用セル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気極と燃料極とをインターコネクタを介して接合してあるとともに、前記インターコネクタが酸素イオン伝導性を有する金属酸化物からなる固体酸化物型燃料電池であって、 前記インターコネクタに、そのインターコネクタに隣接する前記空気極側の層よりも酸素還元触媒活性の低い導電性材料からなる保護層を形成して、前記空気極と接合してある固体酸化物型燃料電池。
【請求項2】
前記空気極が、La,Sr,Pr,Sm,Fe,Co,Mn,およびNiから選ばれる金属を含むペロブスカイト型酸化物を主材とする請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池。
【請求項3】
前記ペロブスカイト型酸化物が、La,Sr,CoおよびFeを含有する金属酸化物である請求項2に記載の固体酸化物型燃料電池。
【請求項4】
前記インターコネクタがLaCrO3系酸化物を主材とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の固体酸化物型燃料電池。
【請求項5】
前記保護層が、Mn,Co,Zn,Fe,Ni,Cr,Ti,V,Y,W,ランタノイドから選ばれる1種以上の金属を含むスピネル型酸化物を主材とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の固体酸化物型燃料電池。
【請求項6】
前記保護層が、CoxMn3-x4(0≦x≦3)、ZnCoMnO4、NixMn3-x4(0≦x≦3)、MnFe24、ZnFe24からなる群より選択される少なくとも一種以上のスピネル型酸化物を主材とする請求項5記載の固体酸化物型燃料電池。
【請求項7】
前記保護層が、LaMnO3系酸化物を主材とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の固体酸化物型燃料電池。
【請求項8】
前記保護層が、LaCrO3系酸化物を主材とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の固体酸化物型燃料電池。
【請求項9】
前記保護層が、気孔率低下処理により酸素還元触媒活性を低下させた導電性材料からなる請求項1〜8のいずれか一項に記載の固体酸化物型燃料電池。
【請求項10】
前記保護層が、スパッタリング法により形成してある請求項1〜8のいずれか一項に記載の固体酸化物型燃料電池。
【請求項11】
前記保護層が多孔質構造に形成されるとともに、前記多孔質構造を充填材により充填することにより、前記空気極よりも酸素還元触媒活性を低く形成してある請求項1〜8のいずれか一項に記載の固体酸化物型燃料電池。
【請求項12】
燃料極もしくは燃料極と一体の燃料極支持体上に、焼結法にてインターコネクタを一体形成し、前記インターコネクタ上に保護層を形成し、前記保護層に焼結法にて空気極を一体形成する固体酸化物燃料電池の製造方法であって、前記保護層を、前記空気極よりも酸素還元触媒活性の低い導電性材料から形成する固体酸化物型燃料電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−12473(P2013−12473A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−126344(P2012−126344)
【出願日】平成24年6月1日(2012.6.1)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】