固定ピン及びこれを用いた構造物
【課題】着脱部品及び保持体の固定用の貫通孔に挿入して抜けない状態に保つことで着脱部品を保持体に固定する固定ピンとして、使用中に周辺存在物に引っ掛かって貫通孔から引き抜かれてしまうおそれがなく着脱部品の安定した固定ができる固定ピン等を提供する。
【解決手段】固定ピンは、一方端に軸が取り付けられた棒状の形状の本体ピンと一方端に軸が挿し入れられる軸入れ孔が形成されて本体ピンに対し揺動自在に連結された抜け止めピンとを組み合わせており、その軸入れ孔が、抜け止めピンを本体ピンと一直線状に連結した状態になる位置まで揺動させることを可能にする第一孔部と、第一孔部の抜け止めピンの他方側となる位置に配置されて抜け止めピンを本体ピンと一直線状に連結した状態になる位置まで揺動させることを不能にする第二孔部等で構成され、使用時に軸入れ孔の第二孔部に軸を存在させたうえで抜け止めピンを本体ピンと交差した状態に保持する。
【解決手段】固定ピンは、一方端に軸が取り付けられた棒状の形状の本体ピンと一方端に軸が挿し入れられる軸入れ孔が形成されて本体ピンに対し揺動自在に連結された抜け止めピンとを組み合わせており、その軸入れ孔が、抜け止めピンを本体ピンと一直線状に連結した状態になる位置まで揺動させることを可能にする第一孔部と、第一孔部の抜け止めピンの他方側となる位置に配置されて抜け止めピンを本体ピンと一直線状に連結した状態になる位置まで揺動させることを不能にする第二孔部等で構成され、使用時に軸入れ孔の第二孔部に軸を存在させたうえで抜け止めピンを本体ピンと交差した状態に保持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば着脱部品を装着対象の保持体に着脱自在に装着するときに、その両者に形成される固定用の貫通孔に挿入して抜けない状態に保つことにより着脱部品を保持体に固定するための固定ピン及びこれを用いた構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記したような固定ピンを用いて着脱部品を保持体に着脱自在に装着する構造物としては、例えば、芝生地等として形成された土地(場所)の地中に突き刺して引き抜くことにより芝面の土壌改良等に使用されるタイン等と称される地中差込み部品(着脱部品)と、その地中差込み部品を着脱自在に装着して使用する芝面穿孔機等の装置における取付けホルダーとを有し、その両者の間をその固定ピンを用いて固定するように構成した構造や構造物が知られている(例えば特許文献1、2)。
【0003】
特許文献1に記載のタイン構造(物)は、機械本体のタインホルダーに取り付けるホールドピンの一端である軸部を、パイプ状のタインの開口した上端部に挿入した後、そのホールドピンの軸部に形成された貫通孔とタインの上端部に形成された貫通孔に固定ピンを挿入し、その一方端に形成された挿通孔に(固定ピンの脱却を防止する)スプリングピンを挿入して止着することにより、タインがホールドピンに連結されるという構造である。固定ピンの他方端には、大径の頭部が形成されている。これにより、消耗品であるタインの交換を容易とし、かつ、その交換作業を短時間で行うことができるようにしている。
【0004】
特許文献2に記載の芝面穿孔用タインの取り付け構造は、単体構造のタインをタイン取付けホルダーにワンタッチで着脱可能にすることを課題としたものであり、タイン取付けホルダーに垂直に設けられたタイン取付け孔に、タインの頭部のシャンクを挿入し、弾性セットピンを介して前記ホルダーに前記タインを取り付ける構造である。詳しくは、以下の通りである。
【0005】
すなわち、タイン取付けホルダーには、タイン取付け孔に直交して交差するセットピン挿入孔が設けられている。また、弾性セットピンは、略U字状に形成されて、前記ホルダーのセットピン挿入孔に挿入される直線状のホルダー挿入部と、前記ホルダーの上方に配置されてこれに係止される係止部とが対向して設けられた構造である。さらに、タインのシャンクには、前記弾性セットピンのホルダー挿入部を挿通させるためのセットピン挿通孔が軸直角方向に設けられている。そして、この取付け構造では、前記ホルダーのタイン取付け孔に前記タインのシャンクを挿入した状態で、前記ホルダーのセットピン挿入孔に前記弾性セットピンのホルダー挿入を挿入して、そのホルダー挿入部を前記タインのセットピン挿通孔に挿通させるとともに、その係止部を前記ホルダーに係止させることで、タインをタイン取付けホルダーに取り付けるようになっている。また、前記ホルダーに設けられるセットピン挿入孔を複数本のタイン取付け孔と交差するように形成して、1本の弾性セットピンによりタイン取付けホルダーに複数本のタインを取り付けることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−33007号公報
【特許文献2】特開2003−61404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の固定ピンやそれを用いたタイン等の取付け構造物においては、輪を形成するごとく折り返すように曲げられた形状部分(例えば環状部分)を有する固定ピン(特許文献1に記載のスプリングピンと特許文献2に記載の弾性セットピン)を最終的に使用して固定を完了させるように構成されている。このため、かかる固定ピンは、使用中においてその折り返すように曲げられた形状部分の内側に存在する空間部に、例えば作業現場における芝の一部や雑草の一部等の周辺存在物が引っ掛かって引っ張られる状態になることで貫通孔から引き抜かれてしまうおそれがある。そして最悪の場合には、その引き抜かれた固定ピンにより固定されていたタイン等の着脱部品が、ホルダー(保持体)から脱落してしまうというおそれがある。
【0008】
また、従来の固定ピンは、その折り返すように曲げられた形状部分に近い部分を他のピンの一部に引っ掛けた状態で係止させるか、あるいは、その折り返すように曲げられた形状部分の一方端をホルダーに形成する係止凹部に引っ掛けた状態で係止させる構造である。このため、例えば固定ピンが多用されること(取付け及び取り外し作業が数多く繰り返されること)で折り返すように曲げられた形状部分における弾性力が低下した場合には、かかる固定ピンの折り返すように曲げられた形状部分などが容易に変形するようになって上記した係止の状態が簡単に解除されてしまい、この結果、固定ピンが容易に引き抜かれて外れるおそれがある。
【0009】
この発明は、例えば着脱部品をその装着対象の保持体に着脱自在に装着するときに、その着脱部品及び保持体に形成される固定用の貫通孔に挿入して抜けない状態に保つことで着脱部品を保持体に固定する固定ピンとして、その使用中に周辺存在物に引っ掛かって貫通孔から引き抜かれてしまうおそれがなく安定した固定を行うことができる固定ピンを提供するものである。また、固定ピンによる固定を行うにもかかわらず着脱部品の着脱作業を容易に行うことができ、しかもその固定ピンが使用中に貫通孔から抜けてしまうおそれがなく着脱部品を安定して固定することができる構造物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明(A1)の固定ピンは、固定用の貫通孔に挿入されるとともに当該貫通孔の両端から突出した状態にされる棒状の形状からなり、その一方端に長手方向と直交する軸が取り付けられ、その他方端に前記貫通孔への侵入を阻止する突出部が形成された本体ピンと、前記貫通孔に挿入されて通過し得る棒状の形状からなり、その一方端に前記軸が差し入れられる軸入れ孔が長手方向に沿って形成され、前記軸入れ孔に当該軸を差し入れた状態で前記本体ピンに対して揺動自在に連結された抜け止めピンとを組み合わせた固定ピンであって、
前記軸入れ孔は、前記抜け止めピンを前記本体ピンと一直線状に連結した状態になる位置まで揺動させることを可能にする第一孔部と、前記第一孔部の当該抜け止めピンの他方側となる位置に配置されて当該抜け止めピンを当該本体ピンと一直線状に連結した状態になる位置まで揺動させることを当該抜け止めピンの一部が当該本体ピンの一部にぶつかることで不能にする第二孔部と、前記第一孔部と前記第二孔部をつなげるとともに前記軸の径よりも狭い幅の間隙を有する形状からなり前記間隙が当該軸の通過を許す幅になるまで広がり得る狭窄部とで構成されており、
前記抜け止めピンは、その使用時に、前記軸入れ孔の第一孔部に前記軸を存在させて前記本体ピンと一直線状に連結した状態に保持されて前記貫通孔の一方端から挿入されるとともにその他方端から突出させられ、その突出した状態において当該軸を前記軸入れ孔の第二孔部に移動して存在させて前記本体ピンと交差した状態に保持されることを特徴とするものである。
【0011】
この発明(A2)の固定ピンは、上記発明A1の固定ピンにおいて、前記軸入れ孔の第一孔部が前記軸を変位させ得る形状からなる長孔であり、前記軸入れ孔の第二孔部が前記軸の外周面の少なくとも対向する一部分に接触して当該軸を挟んだ状態で保持する部分を有する形状からなる保持孔であるものである。
【0012】
この発明(A3)の固定ピンは、上記発明A1又はA2の固定ピンにおいて、前記本体ピンが、前記一方端に長手方向に沿う切り込み部を形成しているとともに当該切り込み部の対峙する両側の部分に前記軸を取り付ける軸孔を形成しており、前記抜け止めピンが、前記一方端に前記切り込み部の内部に侵入して通過し得る板状部を形成しているとともに当該板状部に前記軸入れ孔を形成しているものである。
【0013】
この発明(A4)の固定ピンは、上記発明A1からA2のいずれかの固定ピンにおいて、前記本体ピンの一方端が先細り状の形状で形成され、また、前記抜け止めピンの軸入れ孔よりも他方端寄りの部分に、前記軸が前記軸入れ孔の第一孔部に存在しているときに、前記本体ピンの先細り状の一方端を受け入れて保持する窪んだ形状の受入れ保持部が形成されているものである。
【0014】
また、この発明(B1)の構造物は、固定用の貫通孔が形成された保持部を有する保持部材と、前記保持部材の保持部に着脱自在に装着され、前記保持部の貫通孔と対向して併用する固定用の貫通孔が形成された装着部を有する着脱部品と、前記保持部材の保持部に前記着脱部品の装着部を取り付けて前記保持部の貫通孔と前記装着部の貫通孔の双方を貫くように挿入して抜けない状態に保つことで当該着脱部品を当該保持部材の保持部に固定する固定ピンとを有する構造物であって、
前記固定ピンが、上記発明A1からA4のいずれかの固定ピンであることを特徴とするものである。
【0015】
この発明(B2)の構造物は、上記発明B1の構造物において、前記保持部材が、前記着脱部品の異なる構成からなる複数の装着部にそれぞれ適合する構成からなる複数の保持部を有しているものである。この場合、装着部を除く着脱部品の部分は、その装着部の異なる構成と対応して互いに異なる形状であることが一般的であるが、その装着部の異なる構成と関係がなく互いに同じ形状のものであっても構わない。
【0016】
この発明(B3)の構造物は、上記発明B1又はB2の構造物において、前記着脱部品が、地中に突き刺すとともにその地中から引き抜く地中突刺し部品であるものである。
【発明の効果】
【0017】
上記発明A1の固定ピンは、棒状の形状からなる本体ピンと、その本体ピンの一方端において軸及び軸入れ孔を介して揺動自在に連結された棒状の形状からなる抜け止めピンとで構成されている。このため、その使用中に、固定ピンの一部(実際には抜け止めピン)がその周辺に存在する周辺存在物に容易に引っ掛かるおそれがない。
【0018】
また、この固定ピンは、その使用時に、抜け止めピンが本体ピンと一直線状に連結した状態にならずその本体ピンに対して交差した状態に保持されるので、抜け止めピンが貫通孔に挿入されない状態になり、この結果、本体ピンが貫通孔から抜けない状態に保たれる。このため、抜け止めピンが本体ピンに対して交差した状態に保持されている限り、固定ピン全体(本体ピンと抜け止めピンの双方)が貫通孔から抜けてしまうおそれがない。
【0019】
したがって、この発明A1の固定ピンによれば、その使用中に周辺存在物に引っ掛かって貫通孔から引き抜かれてしまうおそれがなく安定した固定を行うことができる。
【0020】
上記発明A2の固定ピンでは、抜け止めピンにおける軸入れ孔の第一孔部及び第二孔部を簡易な構成にすることができ、抜け止めピンを第一孔部及び第二孔部にそれぞれ存在されることと一方の孔部から他方の孔部に移動させることが容易にできる。この結果、抜け止めピンの本体ピンに対する一直線状に連結した状態の保持と交差した状態の保持がそれぞれ容易に実現できるとともに、その各状態の切り替えも容易に行うことができる。
【0021】
上記発明A3の固定ピンでは、本体ピンと抜け止めピンの揺動自在な連結を簡易な構造で実現することができる。特に揺動自在の連結構造の作製を本体ピン及び抜け止めピンの断面寸法を増大させることなく行うことができ、また、軸受け孔の形成を容易に行うことができる。
【0022】
上記発明A4の固定ピンでは、抜け止めピンを本体ピンと一直線状に連結した状態に保持するときに、本体ピンの先細り状の一方端を抜け止めピンの受け入れ保持部に差し入れて保持させた状態にすることで、抜け止めピンを本体ピンと一直線状に連結した状態に安定させて保ちやすくなり、その抜け止めピンを先頭にして貫通孔に挿入させて通過させる作業も行いやすくなる。
【0023】
上記発明B1の構造物によれば、固定ピンによる固定を行うにもかかわらず着脱部品の保持体に対する着脱作業を容易に行うことができ、しかもその固定ピンが使用中に貫通孔から抜けてしまうおそれがなく着脱部品を保持体に安定して固定することができる。
【0024】
上記発明B2の構造物では、少なくとも装着部が異なる着脱部品であっても、その装着部が異なる種類の着脱部品を保持体に容易に交換して装着することができ、しかもその各着脱部品を保持体に安定して固定することができる。
【0025】
上記発明B3の構造物では、着脱部品である地中突刺し部品を保持体に対し、固定ピンを用いて容易に着脱することができ、しかもその固定ピンが使用中に貫通孔から抜けてしまうおそれがなく地中突刺し部品を保持体に安定して固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施の形態1に係る固定ピンを用いた着脱部品(タイン)の取付け構造物を示す斜視図である。
【図2】図1の取付け構造物における固定ピンを示す斜視図である。
【図3】図2の固定ピンの分解斜視図である。
【図4】図3のQ−Q線に沿う断面図である。
【図5】左半分は軸及び抜け止めピンを示す側面図、その右半分は左半部におけるQ−Q線に沿う断面図である。
【図6】(a)は軸が第一孔部に存在して抜け止めピンが固定ピンと一直線状に連結した状態に保持されている状態を示す説明図、(b)は軸が第一孔部に存在して抜け止めピンが固定ピンと交差した状態に保持されている状態を示す説明図、(c)は軸が第二孔部に存在して抜け止めピンが固定ピンと交差した状態に保持されている状態を示す説明図である。
【図7】(a)は抜け止めピンを矢印X1の方向に揺動させたときに抜け止めピンの一部が本体ピンの一部にぶつかる状態を示す説明図、(b)は抜け止めピンを矢印X2の方向に揺動させたときに抜け止めピンの一部が本体ピンの一部にぶつかる状態を示す説明図である。
【図8】図1の取付け構造物における装着ホルダーを示す斜視図である。
【図9】図8の装着ホルダーの分解側面図である。
【図10】図1及び図8における装着ホルダーの本体部の構成を示す底面図である。
【図11】図1の構造物においてタインを装着ホルダーに装着するときの一作業工程を示す説明図である。
【図12】図11の作業工程の次の作業工程(固定ピンを貫通孔に挿入し、その一方端を突出させた状態)を示す説明図である。
【図13】図12の作業工程の次の作業工程(固定ピンにおける軸を第二孔部に存在させたうえで、その固定ピンの抜け止めピンを本体ピンと交差させた状態にして装着を完了させた状態)を示す説明図である。
【図14】実施の形態2に係る固定ピンを用いた着脱部品(タイン)の取付け構造物を示す斜視図である。
【図15】(a)は図14の構造物においてタインを装着ホルダーに装着するときの一作業工程(固定ピンを貫通孔に挿入し、その一方端を突出させた状態)を示す説明図、(b)は(a)の作業工程の次の作業工程(固定ピンにおける軸を第二孔部に存在させたうえで、その固定ピンの抜け止めピンを本体ピンと交差させた状態にして装着を完了させた状態)を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、この発明を実施するための形態(以下、単に「実施の形態」という)について添付の図面を参照しながら説明する。
【0028】
[実施の形態1]
図1は実施の形態1に係る固定ピンを用いた構造物を示し、図2はその構造物に用いられる固定ピンを示している。図1等における符号1は固定ピン、符号3は着脱部品としてのタイン、符号5は複数のタイン3を着脱自在に装着することができる保持体としての装着ホルダーである。この構造物は、例えば、タイン装置と称すことができる。
【0029】
タイン3は、芝面の土壌改良等の穿孔作業のために地中に突き刺すとともにその地中から引き抜くことにより使用されるものであり、筒状の本体部31とその本体部31の装着側となる端部31aに配置される円柱状の装着部32とで構成されている。
【0030】
本体部31は、その先端部31bに薄肉にされた円形の刃先33が形成されているとともに、その中間部の側部に土抜き用の長孔34が形成されている。装着部32は、中実構造であり、固定ピン1が挿入される固定用の貫通孔35が形成されている。貫通孔35は、タイン3の長手方向と直交する方向に沿って貫通する断面が円形の孔である。貫通孔35の孔径d3は、固定ピン1のうち貫通孔に挿入する部分の断面の最大寸法(d1、d2)よりも少し大きい値に設定されている。装着部32は、本体部31とは別体であって本体部31の装着側端部31aに嵌め合わせて一体にするよう構成されているが、本体部31と一体のものとして構成されたものであってもよい。
【0031】
装着ホルダー5は、最終的にタイン3を構成部品の1つとして用いる機械装置(例えば地中穿孔機)の取付け部分に取り付けられて使用されるものである。本実施の形態1における装着ホルダー5は、図1、図8等に示すように、6面がいずれも長方形である立体形状からなる本体部51を有している。本体部51は、それを最終的に取り付ける機械装置の取付け部分に適合した寸法や形状に設定されるが、本実施の形態1では所要の厚さ(高さ)からなる長方形の厚板のような構造物を例示している。
【0032】
装着ホルダー本体部51の底面51aには、図8、図9等に示すように、タイン3の装着部32を装着する保持部53が形成されている。保持部53は、タインの装着部32を嵌め入れられることができる形状(例えば円柱状)からなる孔として構成されている。この保持部53は、タインの装着部32の嵌め入れる部分の寸法とほぼ同じ寸法の深さの孔として形成されるが、本実施の形態1では本体部51の厚さが保持部53の深さに対応するため本体部51の上面51bに貫通した貫通孔として形成されている。
【0033】
保持部53は、本体部51の長方形からなる底面52の短辺と平行する状態でかつその長辺の方向に間隔をあけて配置される3列の直線上に各2つずつ存在する状態で形成された計6個の第一保持部53Aと、第一保持部53Aの各列の本体部底面52の長辺方向に対して両隣りとなる位置にそれぞれ配置される計6列の直線上に各2つずつ存在する状態で形成された計12個の第二保持部54Bとを有している。第二保持部52Bは、第一保持部52Aの径(m1)よりも小さい径(m2)の円柱の形状で形成された貫通孔である(図10)。これにより、装着ホルダー5の本体部51には、第一保持部53Aに適合する装着部32を有するタイン3を計6個装着することができ、また、第二保持部53Bに適合する装着部32を有するタイン3を計12個装着することができる。
【0034】
また、装着ホルダー本体部51の長辺側の側面51cには、固定ピン1を挿入するための固定用の貫通孔55が形成されている。貫通孔55は、本体部底面51aの長方形の短辺と平行した状態でかつ3列に配置されている第一保持部53Aをそれぞれ貫通した状態で形成される3つの第一貫通孔55Aと、本体部底面51aの長方形の短辺と平行した状態でかつ6列に配置されている第二保持部53Bをそれぞれ貫通した状態で形成される6つの第二貫通孔55Bとを有している。第一貫通孔55Aと第二貫通孔55Bはいずれも、断面が円形からなる直線状の孔である。また、第一貫通孔55Aと第二貫通孔55Bの孔径d5はいずれも、固定ピン1のうち貫通孔55に挿入される部分の断面の最大寸法(d1、d2)よりも少し大きい値に設定されており、本実施の形態1ではタイン3における貫通孔35の孔径d3と同じ値にしている。
【0035】
固定ピン1は、図1〜3等に示すように、本体ピン10と、本体ピン10の一方端10aに揺動自在に連結される抜け止めピン20とを組み合わせたものである。
【0036】
本体ピン10は、装着ホルダー5の貫通孔55とタイン3の装着部32の貫通孔35に挿入されるとともに、最終的に貫通孔55の両端(ホルダー本体部51の長辺側の側面)から外部に突出した状態にされる棒状の形状からなるものである。本実施の形態1では、本体ピン10として、貫通孔55の全長、換言すればホルダー本体部51の底面51aの長方形における短辺の長さLs(図10)よりも大きい値の長さからなる円柱形状の部材を使用している。
【0037】
また、本体ピン10は、図2〜図4等に示すように、その一方端10aに、長手方向Aに沿う所要の幅e及び深さ(長さ)fの切り込み部12が形成されているとともに、その切り込み部12の対峙する両側のピン部分のほぼ中央位置に軸13を取り付ける軸孔14が形成されている。軸13は、本体ピン10の長手方向Aと直交する状態で取り付けられるものであり、軸孔14に挿入して固定される。軸孔14は、例えば、その中心(線)から本体ピンの一方端10aまでの長さc1とその中心から切り込み部12の最内部12aまでの長さc2がいずれも切り込み部12の深さfの約半分の値(f/2)になる位置に形成される。さらに、本体ピン10は、その他方端10bに、その本体ピン10の装着ホルダー5及びタイン3における貫通孔55,53への挿入を阻止する突出部15が形成されている。本実施の形態1における突出部15は、貫通孔53、55の径m1、m2よりも大きい値の径d6からなる大径部として形成されている。
【0038】
抜け止めピン20は、図2、図3、図5等に示すように、装着ホルダー5の貫通孔55とタイン3の装着部32の貫通孔35に挿入されるとともに両貫通孔55,55を通過させることができる棒状の形状からなるものである。
【0039】
本実施の形態1では、抜け止めピン20として、その全体の長さが本体ピン10の切り込み部12の深さfの2〜3倍程度の長さであって、最大の太さ(最大径d2)が本体ピン10の径d1と同じかそれよりも小さい値からなる部材を使用している。また、抜け止めピン20は、その一方端20aが本体ピン10の切り込み部12の内部に侵入して通過することができる板状部21として形成され、その他方端20bが使用時に手指に挟まれて操作のために使用される棒状部22として形成されており、その板状部21に前記軸13が差し入れられる軸入れ孔23が板状部21の長手方向Aに沿って形成されている。
【0040】
抜け止めピン20の板状部21は、図5等に示すように、本体ピン10の切り込み部12の幅eよりも少し小さい厚さgからなるとともに、その切り込み部12の深さfとほぼ同じ長さhからなるものである。抜け止めピン20の棒状部22は、その全体が円柱状の形状からなるものであり、その長手方向Aの中央側に径d7を相対的に小さくした小径部22aを形成している。
【0041】
抜け止めピン20の軸入れ孔23は、図3、図5等に示すように、抜け止めピン20を本体ピン10と一直線状に連結した状態(図1、図6aなどを参照)になる位置まで揺動させることを可能にする第一孔部24と、第一孔部24の抜け止めピン20の他方側20bとなる位置に配置されて抜け止めピン20を本体ピン10と一直線状に連結した状態になる位置まで揺動させることを後述するように抜け止めピン20の一部(棒状部22の一端部)が本体ピン10の一部(一方端10a)にぶつかることで不能にする第二孔部25と、第一孔部24と第二孔部25をつなげるとともに軸13の径d13よりも狭い幅j(<d13)の間隙26aを有する形状からなりその間隙26aが軸13の通過を許す幅になるまで広がり得る狭窄部26とで構成されている。
【0042】
軸入れ孔23の第一孔部24は、軸13を少なくとも板状部21の長手方向Aに沿って変位させることができる長孔として形成されている。長孔の第一孔部24は、例えば、その幅kが軸13の径d13よりも少し広い寸法であり、その長手方向Aの長さnが軸13の径d13の2倍程度の長さからなるものである。
【0043】
軸入れ孔23の第二孔部25は、軸13の外周面の少なくとも対向する部分13a,13bに接触して軸13を挟み込んだ状態で保持する部分25a,25bを有する形状の孔として形成されている。第二孔部25の保持する部分25a,25bは、軸13の外周面の曲率と同じ曲率の円弧の形状に対称的に形成されている。保持する部分25a,25bの間隔pは、軸13の径d13と同じか又は少し大きめの値に設定されている。本実施の形態1では、その間隔pを第一孔部24の幅kと同じ値に設定している。
【0044】
また、第二孔部25は、その中心部から板状部21の先端部の長さh1が本体ピン10の切り込み部12の深さfの半分の値:f/2(換言すれば軸孔14の中心部から切り込み部12の最内部12aまでの長さ)よりも長い値に設定されている。また、その中心部から棒状部22との境界部までの長さh2は、前記長さh1よりも短く設定されており、本実施の形態1では本体ピン10の切り込み部12の深さfの半分の値:f/2よりも短い値に設定されている。
【0045】
軸入れ孔23の狭窄部26は、第一孔部24と第二孔部25の間に、前記幅jからなる間隙26aが存在するように板状部21の長手方向Aと直交する方向で内側に向く状態でせり出して対向する形状で形成されている。狭窄部26は、軸13が第一孔部24と第二孔部25の間を移動するために通過するときに、その間隔26aが広がるように前記せり出した部分が離れる方向に変位する必要がある。この狭窄部26の広がる方向の変位は、狭窄部26を構成する板状部21が一時的に(弾性)変形することで行われる。
【0046】
本実施の形態1では、その狭窄部26の変位時に板状部21が容易に変形するようにする観点から、第二孔部25の第一孔部24とは反対側に位置に第二孔部25とつながった円形状の開口部27を形成し、これにより板状部21の中央から外側に押し広げる方向に対する強度を弱めている。さらに、その狭窄部26の変位時に板状部21がより一層容易に変形するようにする観点から、第一孔部24の抜け止めピン20の一方端20aの端部を切断した切断部28を形成し、これにより板状部21が切断部28を境にして両側に離れて広がるような状態で一時的に変形しやすいようにしている。
【0047】
また、本実施の形態1では、図2、図3等に示すように本体ピン10の切り込み部12を形成した一方端10aを半球状の形状に形成しており、しかも、図2、図5等に示すように抜き止めピン20の棒状部22の板状部21との境界部分に本体ピン10の上記半球状の一方端10aを受け入れて保持する窪んだ形状の受け入れ保持部29を形成している。受け入れ保持部29は、に本体ピン10の上記半球状の一方端10aの曲率より少し大きい曲率で曲がる湾曲した窪み形状で形成されている。
【0048】
このような構成からなる固定ピン1は、図6(a),(b)に示すように、軸受け孔23の第一孔部24に軸13を存在させているときは、抜け止めピン20を本体ピン10に対し軸13を支点として矢印X1,X2で示す方向に任意に揺動させることができる状態になる。なお、固定ピン1は、その板状部21を本体ピン10の切り込み部12に差し入れた状態にした後、本体ピン10の軸孔14の一方から軸13を差し込んで板状部21の軸入れ孔23を通過させた軸孔14の他方に差し入れて固定することで、本体ピン10に対して揺動自在に連結される。
【0049】
図6(a)は、抜け止めピン20を本体ピン10と一直線状に連結した状態になる位置まで揺動させた状態を示している。特に図6(a)に示す抜け止めピン20は、その棒状部22の受け入れ保持部29に本体ピン10の半球状の一方端10aを入れて保持させた状態になっている。このように保持させた状態は、抜け止めピン20を本体ピン10と一直線状に連結した状態になる位置まで揺動させた後に、本体ピン10と抜け止めピン20を相対的に接近させる方向に移動させることで得られる。このときの軸13は、最終的に、軸受け孔23の第一孔部24における第二孔部25寄りの端部に片寄った状態で存在することになる。
【0050】
一方、図6(b)は、抜け止めピン20を本体ピン10と交差させた状態になる位置に揺動させたときの状態を示している。特に図6(b)に示す抜け止めピン20は、本体ピン10の長手方向Aに対してほぼ直交した状態になっている。このとき軸13は、軸受け孔23の第一孔部24の中央部に存在するか又は第一孔部24の第二孔部25から離れた側の端部に片寄った状態で存在することになる。
【0051】
また、固定ピン1は、図6(c)に示すように、軸受け孔23の第二孔部25に軸13を存在させているときは、抜け止めピン20を本体ピン10の長手方向Aに対して交差した状態に揺動させることができるが、抜け止めピン20を本体ピン10と一直線状に連結した状態になる位置まで揺動させることができないようになる。
【0052】
このような状態にするには、軸13を、軸受け孔23の第一孔部24から狭窄部26を通過させて第二孔部25に移動させればよい。この軸13の移動は、抜け止めピン20をその棒状部22を手指で挟んで持ち本体ピン10の長手方向Aと交差する方向に向けて軸13に近づけるように押すことにより行われる。つまり、抜け止めピン20を押すことにより、軸13が軸受け孔23の狭窄部26における間隙26aを板状部21の一時的な変形により押し広げた状態し、この結果、軸13が狭窄部26を通過して第二孔部25に入り込むように移動して保持される。
【0053】
このように軸13を第二孔部25に存在させた後に、抜け止めピン20をその軸13を支点として矢印X1、X2にそれぞれ揺動させると、図7に示すように、棒状部22の板状部21との境界部となる端部22c,22dが本体ピン10の一方端10a(切り込み部12のピン部分)にぶつかってしまい、これにより、抜け止めピン20がそれ以上の揺動できない状態にされる。
【0054】
本実施の形態1では、前述したように軸受け孔23の第二孔部25の棒状部22との境界部までの長さh2を、軸孔14の中心部から本体ピンの一方端10aまでの長さc1(切り込み部12の深さの半分の値:f/2)よりも短い値に設定しているため(図5を参照)、軸13を支点として半径h2で回転する棒状部22は、その板状部21との境界部となる部分22c,22dが本体ピン10の軸13から距離h2の離れた位置となる部分に突き当たることになる。この結果、固定ピン1は、抜け止めピン20が本体ピン10の長手方向Aに対して限られた交差角の範囲内で交差した状態に保たれ続けることになる。
【0055】
図8〜図10は、本実施の形態1における装着ホルダー5の詳細を示している。図8はその全体の斜視図、図9はその分解説明図、図10はその底面側から見たときの状態を示す説明図である。
【0056】
本実施の形態1における装着ホルダー5は、その本体部51の上面51bに取付け補助板56を設置し、その補助板56の表面からほぼ垂直に突出する状態で2つの取付け部材57を取り付けている。取付け部材57は、装着ホルダー5を機械装置に取り付けるときに使用するものであり、円柱状の本体部27aとその本体部27aの下部に連続して形成される円柱状の差込部(ボルト)27bとで構成されている。差込部27bは、本体部27aの断面寸法(径)よりも小さい寸法の円柱からなるものであり、補助板56に設ける取付け孔56aとホルダー本体部51に設ける取付け貫通孔53cを通過してホルダー本体部51の底面51aから突出する長さを有している。差込部27bの下方端部には、ネジ山27cが形成されており、そのネジ山27cに対してナット58が取り付けられる。取付け補助板56は、取付け部材57の取り付け固定による影響を受けてホルダー本体部51の一部が損傷(変形)することを防止するためのものであり、ホルダー本体部51よりも剛性の高い部材の板材が使用される。補助板56は、ホルダー本体部51の上面にネジ止め等の手段で固定される。
【0057】
このような構成の装着ホルダー5は、ホルダー本体部51の上面に補助板56を取り付けた後、取付け部材57の差込部27bを補助板56の取付け孔56aとホルダー本体部51の取付け貫通孔53Cに差し入れ、その差込部27bの下方端部を取付け貫通孔53Cから外部に突出させた状態にする。最後に、その差込部27bの突出した下方端部(ネジ山27c)にナット58を嵌めて締め付ける。これにより、図8に示すように取付け部材57が取り付けられた装着ホルダー5が得られる。
【0058】
次に、この固定ピン1を用いたタイン3の装着ホルダー5への装着について説明する。
【0059】
まず、図11や図12に示すように、装着対象のタイン3の装着部32を、装着ホルダー5の本体部51における保持部55に対して嵌め入れる。ここでは、タイン3を保持部55Aに装着する場合を前提として説明する。
【0060】
この際、タイン3は、その装着部32における固定用の貫通孔35の両端部がホルダー本体部51の保持部53Aにおける固定用の貫通孔55Aの端部と対峙する状態になるように位置の調整をする。また、タイン3のホルダー本体部51の保持部53Aへの嵌め入れは、複数(本実施の形態1では2つ)の保持部53Aが直線上に並んだ状態で配置される列ごとに順次進めていく。
【0061】
続いて、1つの列にある複数の保持部53Aにタイン3の装着部32をそれぞれ嵌め入れた状態にした装着ホルダー5における固定用の貫通孔55Aに対し、固定ピン1を抜け止めピン20を先頭にした状態で挿入する。
【0062】
この際、固定ピン1は、図1や図11に示すように、軸受け孔23の第一孔部24に軸13を存在させて(図6a参照)抜け止めピン20を本体ピン10と一直線状に連結した状態に保った後に、その抜け止めピン20を先頭にしてホルダー本体部51の貫通孔55Aの一方端から挿入してタイン装着部32の貫通孔35を順次通過させ、本体ピン10の一方端10bを貫通孔55Aの他方端から外部に突出させた状態にする(図12)。ここで、固定ピン1は、図12に示すように、その本体ピン10の突出部15が貫通孔55Aの一方端のホルダー本体部51の側面51dにぶつかって停止させられる。これにより、本体ピン10の中央部側の主要部分がホルダー本体部51の貫通孔55A及びタイン装着部32の貫通孔35の内部にそれぞれ存在した状態となり、本体ピン10の一方端10aが貫通孔55Aの他方端から外部に突出した状態になるとともに、その一方端10aで連結する抜け止めピン20も貫通孔55Aの他方端から外部に突出した状態になる。
【0063】
またこの際、固定ピン1は、本体ピン10の一方端10aを抜け止めピン20における受け入れ保持部29に保持させた状態で貫通孔55A及び貫通孔35を通過させるので、抜け止めピン20が本体ピン10と一直線状に連結した状態に安定して保たれるようになり、その抜け止めピン20を先頭にして貫通孔55、35に挿入して通過させる作業を安定して行うことができる。
【0064】
最後に、図1や図13に示すように、貫通孔55Aの他方端から外部に突出した状態の抜け止めピン20を、軸受け孔23の第二孔部25に軸13を存在させたうえで、本体ピン10と交差した状態に保持する。
【0065】
この際、固定ピン1は、抜け止めピン20を本体ピン10と交差させた状態にした後(図6b参照)、その抜け止めピン20を本体ピン10の長手方向Aと交差する方向に向けて押すことにより、軸受け孔23の第二孔部25に軸13を存在させる(図6c参照)。これにより、抜け止めピン20は、本体ピン10と交差した状態に保たれ続け、本体ピン10と一直線状に連結した状態になることがない。つまり、軸受け孔23の第二孔部25に軸13が存在しているときには、図7に示すように、抜け止めピン20を軸13及び第二孔部25を支点として矢印X1,X2の方向に揺動させた場合、前述したように抜け止めピン20の一部(棒状部22の端部22c,22d)が本体ピン10の一方端10a(切り込み部12のピン部分)にぶつかり、この結果、抜け止めピン20はそれ以上揺動することができなくなるので、本体ピン10と一直線状に連結した状態になることがない。
【0066】
以上の作業により、複数のタイン3は、図1や図13に示すように、固定ピン1を用いて装着ホルダー5に装着され、タイン3をその長手方向Aに沿う軸に対して保持部53A内で回転させることやその保持部53Aから引き抜くことができないという状態に固定される。ちなみに、装着ホルダー5は、タイン3の着脱作業を行うときには機械装置から取り外された状態にあるが、そのタインの着脱作業が可能であれば機械装置に予め取り付けられた状態にしておいても構わない。
【0067】
また、このように固定ピン1を用いて装着がなされるタイン3と装着ホルダー5とで構成される構造物においては、仮に固定ピン1を貫通孔55A等から引き抜こうとしても、本体ピン10と交差した状態に保持される抜け止めピン20がホルダー本体部51の側面51cにぶつかるため、固定ピン1全体が貫通孔55Aから引き抜くことができない。これにより、タイン3は固定ピン1によって装着ホルダー5に安定して固定される。このような安定した固定は、固定ピン1の抜け止めピン20が本体ピン10と交差した状態において、ホルダー本体部51の側面51cと離れて非接触の状態(図13参照)であっても確実に得られる。
【0068】
さらに、固定ピン1は、輪を形成するごとく折り返すように曲げられた形状部分(例えば環状部分)を有する部分が存在しない。このため、例えば、使用中においてその折り返すように曲げられた形状部分の内側に存在する空間部に、例えば作業現場における芝の一部や雑草の一部等の周辺存在物が引っ掛かって貫通孔55等から引き出される状態になるおそれもない。
【0069】
一方、タイン3の装着ホルダー5からの取り外しは、次のように行われる。
【0070】
はじめに、固定ピン1における軸13を軸受け孔23の第一孔部24に移動して存在させる(図6b参照)。具体的には、抜け止めピン20の棒状部22を手指に挟んで持ち抜け止めピン20を固定ピン10と交差する方向であって軸13から遠ざける方向に引っ張る。これにより、軸13が軸受け孔23の第二孔部25から狭窄部26を通過して第一孔部24に入り込むように移動する。
【0071】
続いて、抜け止めピン20を軸13及び第一孔部24を支点として揺動させることにより、本体ピン10と一直線状に連結した状態にする(図6a、図12参照)。最後に、この状態になった固定ピン1について、その固定ピン10の他方端10b(突出部15)を引っ張ることでホルダー本体部51の貫通孔55A及びタイン3の貫通孔35から引き抜く。この結果、タイン3の装着部32をホルダー本体部51の保持部55Aから抜くことが可能となり、タイン3が装着ホルダー5から取り外される(図1、図11参照)。
【0072】
また、この固定ピン1を用いた構造物においては、装着ホルダー5における第二保持部55Bに適合する装着部32を有するタイン3を、固定ピン1を用いて同様に複数装着することができる。このため、少なくとも装着部32が異なるタイン3であっても、そのタイン3を装着ホルダー5に複数容易に交換して装着することができ、しかもその各タイン3を装着ホルダー5に安定して固定することができる。特にタイン3の装着部32のみならず本体部31の形状や構造についても用途の異なるタイプである場合には、用途の異なる複数のタインを装着ホルダー5に容易に交換して装着することが可能となる。
【0073】
[実施の形態2]
図14及び図15は、実施の形態2に係る固定ピンを用いた構造物を示すものである。図14はその構造物を構成部品の単位で分解した状態を示し、図15は固定ピンを用いた固定の状態を示している。図中の符号1Bは固定ピン、符号3Bは着脱部品としてのタイン、符号5Bは保持体としての保持ピンを示す。この構造物は、例えば、タイン装置と称すことができる。
【0074】
実施の形態2に係る固定ピン1Bは、その本体ピン10及び抜け止めピン20の長さが短くなる点で異なるのみで、他の構成については実施の形態1に係る固定ピン1と同じ構成になっている。
【0075】
実施の形態2におけるタイン3Bは、実施の形態1におけるタイン3における本体部31における中実構造の装着部32がなくなり、円筒状の本体部31の上端部に円柱状の装着孔36を形成するとともにその装着孔36を構成するタイン部分に固定用の貫通孔37を形成した以外は実施の形態1におけるタイン3と同じ構成になっている。貫通孔37には固定ピン1が挿入される。
【0076】
また、実施の形態2における保持ピン5Bは、機械装置に取り付ける円柱状の本体部61と、その本体部61の下部に前記タイン3Bの装着孔36が嵌め入れられる円柱状の保持部62とで構成されている。本体部61と保持部62の間には、保持部62に嵌め入れるタイン3Bの装着孔36の端部が突き当たる大径部(鍔)63が形成されている。保持部62には、タイン3Bの貫通孔37と対峙する状態で、固定ピン1が挿入される固定用の貫通孔65が形成されている。また、保持部62は、その下部が、長孔34の上部傾斜した端部の形状(傾斜状態)に対応した傾斜面61aとして形成されている。
【0077】
このような固定ピン1Bを用いたタイン3Bの保持ピン5Bへの装着は、次のように行われる。
【0078】
まず、図15(a)に示すように、装着対象のタイン3Bの装着孔36を、保持ピン5Bの保持部62に対して嵌め入れる。この際、タイン3Bは、その装着孔36における固定用の貫通孔37の両端部が保持ピン5Bの保持部62における固定用の貫通孔65の端部と対峙する状態になるように位置の調整をする。
【0079】
続いて、図15(a)に示すように、保持ピン5Bの保持部62に嵌め入れたタイン3Bにおける貫通孔37に対し、固定ピン1Bをその抜け止めピン20を先頭にした状態で挿入する。この際、固定ピン1Bは、軸受け孔23の第一孔部24に軸13を存在させて(図6a参照)抜け止めピン20を本体ピン10と一直線状に連結した状態に保った後に、その抜け止めピン20を先頭にしてタイン3Bの貫通孔37の一方端から挿入して保持ピン5Bの保持部62における貫通孔65を通過させ、本体ピン10の一方端10bを貫通孔37の他方端から外部に突出させた状態にする。このとき、本体ピン10の一方端10bで連結する抜け止めピン20も貫通孔37の他方端から外部に突出した状態になる。
【0080】
最後に、図15(b)に示すように、貫通孔37の他方端から外部に突出した状態の抜け止めピン20を、その軸受け孔23の第二孔部25に軸13を存在させたうえで、本体ピン10と交差した状態に保持する。これにより、抜け止めピン20は、本体ピン10と交差した状態に保たれ続け、本体ピン10と一直線状に連結した状態になることがない。
【0081】
以上の作業により、タイン3Bは、図15(b)に示すように、固定ピン1Bを用いて保持ピン5Bに装着され、タイン3Bをその長手方向Aに沿う軸に対して保持ピン5Bの保持部62の周囲で回転させることやその保持部62から引き抜くことができないという状態に固定される。保持ピン5Bは、タイン3Bの着脱作業を行うときには機械装置に取り付けられた状態にするが、その機械装置から取り外した状態にしてもよい。
【0082】
[他の実施の形態]
実施の形態1,2における固定ピン1(1B)、タイン3(3B)及び装着ホルダー5(保持ピン5B)はいずれも金属で構成されるが、その一部又は全部を他の材料で構成してもよい。固定ピン1(1B)における軸入れ孔23は、公知の金属加工法等を適宜選択して形成することができる。
【0083】
固定ピン1(1B)における本体ピン10と抜け止めピン20との揺動自在な連結構造としては、抜け止めピン20の一方端にその長手方向に沿う切り込み部を形成するとともにその切り込み部で対峙するピン部分に軸入れ溝(23)を形成する一方で、本体ピン10の一方端10aにその切り込み部に嵌め入れる板状部を形成するとともにその板状部に軸(13)を嵌め入れて両側面から突出させた状態で固定する軸孔(14)を形成し、その軸を板状部の軸入れ溝に差し入れた状態にすることにより連結する構造を適用することもできる。
【0084】
実施の形態1においては、装着ホルダー5として、孔形状の保持部53に代えて、実施の形態2における保持ピン5Bの保持部62のように、ホルダー本体部51の下面51aから突出した形状の保持部を形成した構成の装着ホルダーを適用することもできる。この場合、その装着ホルダーに装着するタイン3は、実施の形態2におけるタイン3Bの装着孔36のように、その突出した形状の保持部に嵌め入れる装着孔を有する構成のタインを使用することになる。また、装着ホルダー5における保持部53の数、配置パターン、形状等については、例えばその装着ホルダー5に装着するタイン3の用途や種類等に応じて適宜変更することができる。この他、1つの装着ホルダーに複数の保持部53を形成する場合においては、実施の形態1で例示したように構成(規格)が異なる保持部を混在させて形成することが有効であるが、その複数の保持部53をすべて同じ構成で形成することができる。
【0085】
実施の形態2においては、保持ピン5Bとして、突出した形状の保持部62に代えて、実施の形態1における装着ホルダー5の保持部53のように、保持ピンの本体部61に孔形状の保持部を形成した構成の保持ピンを適用することもできる。この場合、その保持ピンに装着するタイン3Bは、実施の形態1におけるタイン3の装着部32のように、その孔形状の保持部に差し入れる突出した形状の装着部を有する構成のタインを使用することになる。
【0086】
この発明においては、着脱部品として、実施の形態1,2で例示した地中突き刺し部品であるタイン3ではなく、固定ピン1(1B)を用いた固定が可能である限り、他の用途に使用される着脱部品を適用することができる。また、保持体としても、実施の形態1,2で例示した構成の装着ホルダー5や保持ピン5Bではなく、他の形状や構造からなるものを適用することができる。例えば、装着ホルダー5については、実施の形態1で例示した補助板56がなく本体部51(取付け部材57とナット58を含む)のみで構成されるものであってもよい。また、装着ホルダー5としては、その保持部53が貫通しない孔で構成されるものを適用することもできる。この他、着脱部品、保持体及び固定ピンを有する構造物は、例えばその着脱部品の種類(名称)によって特徴付けられた名称となる。
【符号の説明】
【0087】
1,1B…固定ピン
3,3B…タイン(着脱部品、地中突き刺し部品)
5 …装着ホルダー(保持体)
5B…保持ピン(保持体)
10…本体ピン
10a…一方端
12…切り込み部
13…軸
14…軸孔
20…抜け止めピン
21…板状部
23…軸入れ孔
24…第一孔部
25…第二孔部
26…狭窄部
29…受け入れ保持部
32…装着部
36…装着孔(装着部)
35,37…貫通孔
53,62…保持部
55,65…貫通孔
A …長手方向
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば着脱部品を装着対象の保持体に着脱自在に装着するときに、その両者に形成される固定用の貫通孔に挿入して抜けない状態に保つことにより着脱部品を保持体に固定するための固定ピン及びこれを用いた構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記したような固定ピンを用いて着脱部品を保持体に着脱自在に装着する構造物としては、例えば、芝生地等として形成された土地(場所)の地中に突き刺して引き抜くことにより芝面の土壌改良等に使用されるタイン等と称される地中差込み部品(着脱部品)と、その地中差込み部品を着脱自在に装着して使用する芝面穿孔機等の装置における取付けホルダーとを有し、その両者の間をその固定ピンを用いて固定するように構成した構造や構造物が知られている(例えば特許文献1、2)。
【0003】
特許文献1に記載のタイン構造(物)は、機械本体のタインホルダーに取り付けるホールドピンの一端である軸部を、パイプ状のタインの開口した上端部に挿入した後、そのホールドピンの軸部に形成された貫通孔とタインの上端部に形成された貫通孔に固定ピンを挿入し、その一方端に形成された挿通孔に(固定ピンの脱却を防止する)スプリングピンを挿入して止着することにより、タインがホールドピンに連結されるという構造である。固定ピンの他方端には、大径の頭部が形成されている。これにより、消耗品であるタインの交換を容易とし、かつ、その交換作業を短時間で行うことができるようにしている。
【0004】
特許文献2に記載の芝面穿孔用タインの取り付け構造は、単体構造のタインをタイン取付けホルダーにワンタッチで着脱可能にすることを課題としたものであり、タイン取付けホルダーに垂直に設けられたタイン取付け孔に、タインの頭部のシャンクを挿入し、弾性セットピンを介して前記ホルダーに前記タインを取り付ける構造である。詳しくは、以下の通りである。
【0005】
すなわち、タイン取付けホルダーには、タイン取付け孔に直交して交差するセットピン挿入孔が設けられている。また、弾性セットピンは、略U字状に形成されて、前記ホルダーのセットピン挿入孔に挿入される直線状のホルダー挿入部と、前記ホルダーの上方に配置されてこれに係止される係止部とが対向して設けられた構造である。さらに、タインのシャンクには、前記弾性セットピンのホルダー挿入部を挿通させるためのセットピン挿通孔が軸直角方向に設けられている。そして、この取付け構造では、前記ホルダーのタイン取付け孔に前記タインのシャンクを挿入した状態で、前記ホルダーのセットピン挿入孔に前記弾性セットピンのホルダー挿入を挿入して、そのホルダー挿入部を前記タインのセットピン挿通孔に挿通させるとともに、その係止部を前記ホルダーに係止させることで、タインをタイン取付けホルダーに取り付けるようになっている。また、前記ホルダーに設けられるセットピン挿入孔を複数本のタイン取付け孔と交差するように形成して、1本の弾性セットピンによりタイン取付けホルダーに複数本のタインを取り付けることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−33007号公報
【特許文献2】特開2003−61404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の固定ピンやそれを用いたタイン等の取付け構造物においては、輪を形成するごとく折り返すように曲げられた形状部分(例えば環状部分)を有する固定ピン(特許文献1に記載のスプリングピンと特許文献2に記載の弾性セットピン)を最終的に使用して固定を完了させるように構成されている。このため、かかる固定ピンは、使用中においてその折り返すように曲げられた形状部分の内側に存在する空間部に、例えば作業現場における芝の一部や雑草の一部等の周辺存在物が引っ掛かって引っ張られる状態になることで貫通孔から引き抜かれてしまうおそれがある。そして最悪の場合には、その引き抜かれた固定ピンにより固定されていたタイン等の着脱部品が、ホルダー(保持体)から脱落してしまうというおそれがある。
【0008】
また、従来の固定ピンは、その折り返すように曲げられた形状部分に近い部分を他のピンの一部に引っ掛けた状態で係止させるか、あるいは、その折り返すように曲げられた形状部分の一方端をホルダーに形成する係止凹部に引っ掛けた状態で係止させる構造である。このため、例えば固定ピンが多用されること(取付け及び取り外し作業が数多く繰り返されること)で折り返すように曲げられた形状部分における弾性力が低下した場合には、かかる固定ピンの折り返すように曲げられた形状部分などが容易に変形するようになって上記した係止の状態が簡単に解除されてしまい、この結果、固定ピンが容易に引き抜かれて外れるおそれがある。
【0009】
この発明は、例えば着脱部品をその装着対象の保持体に着脱自在に装着するときに、その着脱部品及び保持体に形成される固定用の貫通孔に挿入して抜けない状態に保つことで着脱部品を保持体に固定する固定ピンとして、その使用中に周辺存在物に引っ掛かって貫通孔から引き抜かれてしまうおそれがなく安定した固定を行うことができる固定ピンを提供するものである。また、固定ピンによる固定を行うにもかかわらず着脱部品の着脱作業を容易に行うことができ、しかもその固定ピンが使用中に貫通孔から抜けてしまうおそれがなく着脱部品を安定して固定することができる構造物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明(A1)の固定ピンは、固定用の貫通孔に挿入されるとともに当該貫通孔の両端から突出した状態にされる棒状の形状からなり、その一方端に長手方向と直交する軸が取り付けられ、その他方端に前記貫通孔への侵入を阻止する突出部が形成された本体ピンと、前記貫通孔に挿入されて通過し得る棒状の形状からなり、その一方端に前記軸が差し入れられる軸入れ孔が長手方向に沿って形成され、前記軸入れ孔に当該軸を差し入れた状態で前記本体ピンに対して揺動自在に連結された抜け止めピンとを組み合わせた固定ピンであって、
前記軸入れ孔は、前記抜け止めピンを前記本体ピンと一直線状に連結した状態になる位置まで揺動させることを可能にする第一孔部と、前記第一孔部の当該抜け止めピンの他方側となる位置に配置されて当該抜け止めピンを当該本体ピンと一直線状に連結した状態になる位置まで揺動させることを当該抜け止めピンの一部が当該本体ピンの一部にぶつかることで不能にする第二孔部と、前記第一孔部と前記第二孔部をつなげるとともに前記軸の径よりも狭い幅の間隙を有する形状からなり前記間隙が当該軸の通過を許す幅になるまで広がり得る狭窄部とで構成されており、
前記抜け止めピンは、その使用時に、前記軸入れ孔の第一孔部に前記軸を存在させて前記本体ピンと一直線状に連結した状態に保持されて前記貫通孔の一方端から挿入されるとともにその他方端から突出させられ、その突出した状態において当該軸を前記軸入れ孔の第二孔部に移動して存在させて前記本体ピンと交差した状態に保持されることを特徴とするものである。
【0011】
この発明(A2)の固定ピンは、上記発明A1の固定ピンにおいて、前記軸入れ孔の第一孔部が前記軸を変位させ得る形状からなる長孔であり、前記軸入れ孔の第二孔部が前記軸の外周面の少なくとも対向する一部分に接触して当該軸を挟んだ状態で保持する部分を有する形状からなる保持孔であるものである。
【0012】
この発明(A3)の固定ピンは、上記発明A1又はA2の固定ピンにおいて、前記本体ピンが、前記一方端に長手方向に沿う切り込み部を形成しているとともに当該切り込み部の対峙する両側の部分に前記軸を取り付ける軸孔を形成しており、前記抜け止めピンが、前記一方端に前記切り込み部の内部に侵入して通過し得る板状部を形成しているとともに当該板状部に前記軸入れ孔を形成しているものである。
【0013】
この発明(A4)の固定ピンは、上記発明A1からA2のいずれかの固定ピンにおいて、前記本体ピンの一方端が先細り状の形状で形成され、また、前記抜け止めピンの軸入れ孔よりも他方端寄りの部分に、前記軸が前記軸入れ孔の第一孔部に存在しているときに、前記本体ピンの先細り状の一方端を受け入れて保持する窪んだ形状の受入れ保持部が形成されているものである。
【0014】
また、この発明(B1)の構造物は、固定用の貫通孔が形成された保持部を有する保持部材と、前記保持部材の保持部に着脱自在に装着され、前記保持部の貫通孔と対向して併用する固定用の貫通孔が形成された装着部を有する着脱部品と、前記保持部材の保持部に前記着脱部品の装着部を取り付けて前記保持部の貫通孔と前記装着部の貫通孔の双方を貫くように挿入して抜けない状態に保つことで当該着脱部品を当該保持部材の保持部に固定する固定ピンとを有する構造物であって、
前記固定ピンが、上記発明A1からA4のいずれかの固定ピンであることを特徴とするものである。
【0015】
この発明(B2)の構造物は、上記発明B1の構造物において、前記保持部材が、前記着脱部品の異なる構成からなる複数の装着部にそれぞれ適合する構成からなる複数の保持部を有しているものである。この場合、装着部を除く着脱部品の部分は、その装着部の異なる構成と対応して互いに異なる形状であることが一般的であるが、その装着部の異なる構成と関係がなく互いに同じ形状のものであっても構わない。
【0016】
この発明(B3)の構造物は、上記発明B1又はB2の構造物において、前記着脱部品が、地中に突き刺すとともにその地中から引き抜く地中突刺し部品であるものである。
【発明の効果】
【0017】
上記発明A1の固定ピンは、棒状の形状からなる本体ピンと、その本体ピンの一方端において軸及び軸入れ孔を介して揺動自在に連結された棒状の形状からなる抜け止めピンとで構成されている。このため、その使用中に、固定ピンの一部(実際には抜け止めピン)がその周辺に存在する周辺存在物に容易に引っ掛かるおそれがない。
【0018】
また、この固定ピンは、その使用時に、抜け止めピンが本体ピンと一直線状に連結した状態にならずその本体ピンに対して交差した状態に保持されるので、抜け止めピンが貫通孔に挿入されない状態になり、この結果、本体ピンが貫通孔から抜けない状態に保たれる。このため、抜け止めピンが本体ピンに対して交差した状態に保持されている限り、固定ピン全体(本体ピンと抜け止めピンの双方)が貫通孔から抜けてしまうおそれがない。
【0019】
したがって、この発明A1の固定ピンによれば、その使用中に周辺存在物に引っ掛かって貫通孔から引き抜かれてしまうおそれがなく安定した固定を行うことができる。
【0020】
上記発明A2の固定ピンでは、抜け止めピンにおける軸入れ孔の第一孔部及び第二孔部を簡易な構成にすることができ、抜け止めピンを第一孔部及び第二孔部にそれぞれ存在されることと一方の孔部から他方の孔部に移動させることが容易にできる。この結果、抜け止めピンの本体ピンに対する一直線状に連結した状態の保持と交差した状態の保持がそれぞれ容易に実現できるとともに、その各状態の切り替えも容易に行うことができる。
【0021】
上記発明A3の固定ピンでは、本体ピンと抜け止めピンの揺動自在な連結を簡易な構造で実現することができる。特に揺動自在の連結構造の作製を本体ピン及び抜け止めピンの断面寸法を増大させることなく行うことができ、また、軸受け孔の形成を容易に行うことができる。
【0022】
上記発明A4の固定ピンでは、抜け止めピンを本体ピンと一直線状に連結した状態に保持するときに、本体ピンの先細り状の一方端を抜け止めピンの受け入れ保持部に差し入れて保持させた状態にすることで、抜け止めピンを本体ピンと一直線状に連結した状態に安定させて保ちやすくなり、その抜け止めピンを先頭にして貫通孔に挿入させて通過させる作業も行いやすくなる。
【0023】
上記発明B1の構造物によれば、固定ピンによる固定を行うにもかかわらず着脱部品の保持体に対する着脱作業を容易に行うことができ、しかもその固定ピンが使用中に貫通孔から抜けてしまうおそれがなく着脱部品を保持体に安定して固定することができる。
【0024】
上記発明B2の構造物では、少なくとも装着部が異なる着脱部品であっても、その装着部が異なる種類の着脱部品を保持体に容易に交換して装着することができ、しかもその各着脱部品を保持体に安定して固定することができる。
【0025】
上記発明B3の構造物では、着脱部品である地中突刺し部品を保持体に対し、固定ピンを用いて容易に着脱することができ、しかもその固定ピンが使用中に貫通孔から抜けてしまうおそれがなく地中突刺し部品を保持体に安定して固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施の形態1に係る固定ピンを用いた着脱部品(タイン)の取付け構造物を示す斜視図である。
【図2】図1の取付け構造物における固定ピンを示す斜視図である。
【図3】図2の固定ピンの分解斜視図である。
【図4】図3のQ−Q線に沿う断面図である。
【図5】左半分は軸及び抜け止めピンを示す側面図、その右半分は左半部におけるQ−Q線に沿う断面図である。
【図6】(a)は軸が第一孔部に存在して抜け止めピンが固定ピンと一直線状に連結した状態に保持されている状態を示す説明図、(b)は軸が第一孔部に存在して抜け止めピンが固定ピンと交差した状態に保持されている状態を示す説明図、(c)は軸が第二孔部に存在して抜け止めピンが固定ピンと交差した状態に保持されている状態を示す説明図である。
【図7】(a)は抜け止めピンを矢印X1の方向に揺動させたときに抜け止めピンの一部が本体ピンの一部にぶつかる状態を示す説明図、(b)は抜け止めピンを矢印X2の方向に揺動させたときに抜け止めピンの一部が本体ピンの一部にぶつかる状態を示す説明図である。
【図8】図1の取付け構造物における装着ホルダーを示す斜視図である。
【図9】図8の装着ホルダーの分解側面図である。
【図10】図1及び図8における装着ホルダーの本体部の構成を示す底面図である。
【図11】図1の構造物においてタインを装着ホルダーに装着するときの一作業工程を示す説明図である。
【図12】図11の作業工程の次の作業工程(固定ピンを貫通孔に挿入し、その一方端を突出させた状態)を示す説明図である。
【図13】図12の作業工程の次の作業工程(固定ピンにおける軸を第二孔部に存在させたうえで、その固定ピンの抜け止めピンを本体ピンと交差させた状態にして装着を完了させた状態)を示す説明図である。
【図14】実施の形態2に係る固定ピンを用いた着脱部品(タイン)の取付け構造物を示す斜視図である。
【図15】(a)は図14の構造物においてタインを装着ホルダーに装着するときの一作業工程(固定ピンを貫通孔に挿入し、その一方端を突出させた状態)を示す説明図、(b)は(a)の作業工程の次の作業工程(固定ピンにおける軸を第二孔部に存在させたうえで、その固定ピンの抜け止めピンを本体ピンと交差させた状態にして装着を完了させた状態)を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、この発明を実施するための形態(以下、単に「実施の形態」という)について添付の図面を参照しながら説明する。
【0028】
[実施の形態1]
図1は実施の形態1に係る固定ピンを用いた構造物を示し、図2はその構造物に用いられる固定ピンを示している。図1等における符号1は固定ピン、符号3は着脱部品としてのタイン、符号5は複数のタイン3を着脱自在に装着することができる保持体としての装着ホルダーである。この構造物は、例えば、タイン装置と称すことができる。
【0029】
タイン3は、芝面の土壌改良等の穿孔作業のために地中に突き刺すとともにその地中から引き抜くことにより使用されるものであり、筒状の本体部31とその本体部31の装着側となる端部31aに配置される円柱状の装着部32とで構成されている。
【0030】
本体部31は、その先端部31bに薄肉にされた円形の刃先33が形成されているとともに、その中間部の側部に土抜き用の長孔34が形成されている。装着部32は、中実構造であり、固定ピン1が挿入される固定用の貫通孔35が形成されている。貫通孔35は、タイン3の長手方向と直交する方向に沿って貫通する断面が円形の孔である。貫通孔35の孔径d3は、固定ピン1のうち貫通孔に挿入する部分の断面の最大寸法(d1、d2)よりも少し大きい値に設定されている。装着部32は、本体部31とは別体であって本体部31の装着側端部31aに嵌め合わせて一体にするよう構成されているが、本体部31と一体のものとして構成されたものであってもよい。
【0031】
装着ホルダー5は、最終的にタイン3を構成部品の1つとして用いる機械装置(例えば地中穿孔機)の取付け部分に取り付けられて使用されるものである。本実施の形態1における装着ホルダー5は、図1、図8等に示すように、6面がいずれも長方形である立体形状からなる本体部51を有している。本体部51は、それを最終的に取り付ける機械装置の取付け部分に適合した寸法や形状に設定されるが、本実施の形態1では所要の厚さ(高さ)からなる長方形の厚板のような構造物を例示している。
【0032】
装着ホルダー本体部51の底面51aには、図8、図9等に示すように、タイン3の装着部32を装着する保持部53が形成されている。保持部53は、タインの装着部32を嵌め入れられることができる形状(例えば円柱状)からなる孔として構成されている。この保持部53は、タインの装着部32の嵌め入れる部分の寸法とほぼ同じ寸法の深さの孔として形成されるが、本実施の形態1では本体部51の厚さが保持部53の深さに対応するため本体部51の上面51bに貫通した貫通孔として形成されている。
【0033】
保持部53は、本体部51の長方形からなる底面52の短辺と平行する状態でかつその長辺の方向に間隔をあけて配置される3列の直線上に各2つずつ存在する状態で形成された計6個の第一保持部53Aと、第一保持部53Aの各列の本体部底面52の長辺方向に対して両隣りとなる位置にそれぞれ配置される計6列の直線上に各2つずつ存在する状態で形成された計12個の第二保持部54Bとを有している。第二保持部52Bは、第一保持部52Aの径(m1)よりも小さい径(m2)の円柱の形状で形成された貫通孔である(図10)。これにより、装着ホルダー5の本体部51には、第一保持部53Aに適合する装着部32を有するタイン3を計6個装着することができ、また、第二保持部53Bに適合する装着部32を有するタイン3を計12個装着することができる。
【0034】
また、装着ホルダー本体部51の長辺側の側面51cには、固定ピン1を挿入するための固定用の貫通孔55が形成されている。貫通孔55は、本体部底面51aの長方形の短辺と平行した状態でかつ3列に配置されている第一保持部53Aをそれぞれ貫通した状態で形成される3つの第一貫通孔55Aと、本体部底面51aの長方形の短辺と平行した状態でかつ6列に配置されている第二保持部53Bをそれぞれ貫通した状態で形成される6つの第二貫通孔55Bとを有している。第一貫通孔55Aと第二貫通孔55Bはいずれも、断面が円形からなる直線状の孔である。また、第一貫通孔55Aと第二貫通孔55Bの孔径d5はいずれも、固定ピン1のうち貫通孔55に挿入される部分の断面の最大寸法(d1、d2)よりも少し大きい値に設定されており、本実施の形態1ではタイン3における貫通孔35の孔径d3と同じ値にしている。
【0035】
固定ピン1は、図1〜3等に示すように、本体ピン10と、本体ピン10の一方端10aに揺動自在に連結される抜け止めピン20とを組み合わせたものである。
【0036】
本体ピン10は、装着ホルダー5の貫通孔55とタイン3の装着部32の貫通孔35に挿入されるとともに、最終的に貫通孔55の両端(ホルダー本体部51の長辺側の側面)から外部に突出した状態にされる棒状の形状からなるものである。本実施の形態1では、本体ピン10として、貫通孔55の全長、換言すればホルダー本体部51の底面51aの長方形における短辺の長さLs(図10)よりも大きい値の長さからなる円柱形状の部材を使用している。
【0037】
また、本体ピン10は、図2〜図4等に示すように、その一方端10aに、長手方向Aに沿う所要の幅e及び深さ(長さ)fの切り込み部12が形成されているとともに、その切り込み部12の対峙する両側のピン部分のほぼ中央位置に軸13を取り付ける軸孔14が形成されている。軸13は、本体ピン10の長手方向Aと直交する状態で取り付けられるものであり、軸孔14に挿入して固定される。軸孔14は、例えば、その中心(線)から本体ピンの一方端10aまでの長さc1とその中心から切り込み部12の最内部12aまでの長さc2がいずれも切り込み部12の深さfの約半分の値(f/2)になる位置に形成される。さらに、本体ピン10は、その他方端10bに、その本体ピン10の装着ホルダー5及びタイン3における貫通孔55,53への挿入を阻止する突出部15が形成されている。本実施の形態1における突出部15は、貫通孔53、55の径m1、m2よりも大きい値の径d6からなる大径部として形成されている。
【0038】
抜け止めピン20は、図2、図3、図5等に示すように、装着ホルダー5の貫通孔55とタイン3の装着部32の貫通孔35に挿入されるとともに両貫通孔55,55を通過させることができる棒状の形状からなるものである。
【0039】
本実施の形態1では、抜け止めピン20として、その全体の長さが本体ピン10の切り込み部12の深さfの2〜3倍程度の長さであって、最大の太さ(最大径d2)が本体ピン10の径d1と同じかそれよりも小さい値からなる部材を使用している。また、抜け止めピン20は、その一方端20aが本体ピン10の切り込み部12の内部に侵入して通過することができる板状部21として形成され、その他方端20bが使用時に手指に挟まれて操作のために使用される棒状部22として形成されており、その板状部21に前記軸13が差し入れられる軸入れ孔23が板状部21の長手方向Aに沿って形成されている。
【0040】
抜け止めピン20の板状部21は、図5等に示すように、本体ピン10の切り込み部12の幅eよりも少し小さい厚さgからなるとともに、その切り込み部12の深さfとほぼ同じ長さhからなるものである。抜け止めピン20の棒状部22は、その全体が円柱状の形状からなるものであり、その長手方向Aの中央側に径d7を相対的に小さくした小径部22aを形成している。
【0041】
抜け止めピン20の軸入れ孔23は、図3、図5等に示すように、抜け止めピン20を本体ピン10と一直線状に連結した状態(図1、図6aなどを参照)になる位置まで揺動させることを可能にする第一孔部24と、第一孔部24の抜け止めピン20の他方側20bとなる位置に配置されて抜け止めピン20を本体ピン10と一直線状に連結した状態になる位置まで揺動させることを後述するように抜け止めピン20の一部(棒状部22の一端部)が本体ピン10の一部(一方端10a)にぶつかることで不能にする第二孔部25と、第一孔部24と第二孔部25をつなげるとともに軸13の径d13よりも狭い幅j(<d13)の間隙26aを有する形状からなりその間隙26aが軸13の通過を許す幅になるまで広がり得る狭窄部26とで構成されている。
【0042】
軸入れ孔23の第一孔部24は、軸13を少なくとも板状部21の長手方向Aに沿って変位させることができる長孔として形成されている。長孔の第一孔部24は、例えば、その幅kが軸13の径d13よりも少し広い寸法であり、その長手方向Aの長さnが軸13の径d13の2倍程度の長さからなるものである。
【0043】
軸入れ孔23の第二孔部25は、軸13の外周面の少なくとも対向する部分13a,13bに接触して軸13を挟み込んだ状態で保持する部分25a,25bを有する形状の孔として形成されている。第二孔部25の保持する部分25a,25bは、軸13の外周面の曲率と同じ曲率の円弧の形状に対称的に形成されている。保持する部分25a,25bの間隔pは、軸13の径d13と同じか又は少し大きめの値に設定されている。本実施の形態1では、その間隔pを第一孔部24の幅kと同じ値に設定している。
【0044】
また、第二孔部25は、その中心部から板状部21の先端部の長さh1が本体ピン10の切り込み部12の深さfの半分の値:f/2(換言すれば軸孔14の中心部から切り込み部12の最内部12aまでの長さ)よりも長い値に設定されている。また、その中心部から棒状部22との境界部までの長さh2は、前記長さh1よりも短く設定されており、本実施の形態1では本体ピン10の切り込み部12の深さfの半分の値:f/2よりも短い値に設定されている。
【0045】
軸入れ孔23の狭窄部26は、第一孔部24と第二孔部25の間に、前記幅jからなる間隙26aが存在するように板状部21の長手方向Aと直交する方向で内側に向く状態でせり出して対向する形状で形成されている。狭窄部26は、軸13が第一孔部24と第二孔部25の間を移動するために通過するときに、その間隔26aが広がるように前記せり出した部分が離れる方向に変位する必要がある。この狭窄部26の広がる方向の変位は、狭窄部26を構成する板状部21が一時的に(弾性)変形することで行われる。
【0046】
本実施の形態1では、その狭窄部26の変位時に板状部21が容易に変形するようにする観点から、第二孔部25の第一孔部24とは反対側に位置に第二孔部25とつながった円形状の開口部27を形成し、これにより板状部21の中央から外側に押し広げる方向に対する強度を弱めている。さらに、その狭窄部26の変位時に板状部21がより一層容易に変形するようにする観点から、第一孔部24の抜け止めピン20の一方端20aの端部を切断した切断部28を形成し、これにより板状部21が切断部28を境にして両側に離れて広がるような状態で一時的に変形しやすいようにしている。
【0047】
また、本実施の形態1では、図2、図3等に示すように本体ピン10の切り込み部12を形成した一方端10aを半球状の形状に形成しており、しかも、図2、図5等に示すように抜き止めピン20の棒状部22の板状部21との境界部分に本体ピン10の上記半球状の一方端10aを受け入れて保持する窪んだ形状の受け入れ保持部29を形成している。受け入れ保持部29は、に本体ピン10の上記半球状の一方端10aの曲率より少し大きい曲率で曲がる湾曲した窪み形状で形成されている。
【0048】
このような構成からなる固定ピン1は、図6(a),(b)に示すように、軸受け孔23の第一孔部24に軸13を存在させているときは、抜け止めピン20を本体ピン10に対し軸13を支点として矢印X1,X2で示す方向に任意に揺動させることができる状態になる。なお、固定ピン1は、その板状部21を本体ピン10の切り込み部12に差し入れた状態にした後、本体ピン10の軸孔14の一方から軸13を差し込んで板状部21の軸入れ孔23を通過させた軸孔14の他方に差し入れて固定することで、本体ピン10に対して揺動自在に連結される。
【0049】
図6(a)は、抜け止めピン20を本体ピン10と一直線状に連結した状態になる位置まで揺動させた状態を示している。特に図6(a)に示す抜け止めピン20は、その棒状部22の受け入れ保持部29に本体ピン10の半球状の一方端10aを入れて保持させた状態になっている。このように保持させた状態は、抜け止めピン20を本体ピン10と一直線状に連結した状態になる位置まで揺動させた後に、本体ピン10と抜け止めピン20を相対的に接近させる方向に移動させることで得られる。このときの軸13は、最終的に、軸受け孔23の第一孔部24における第二孔部25寄りの端部に片寄った状態で存在することになる。
【0050】
一方、図6(b)は、抜け止めピン20を本体ピン10と交差させた状態になる位置に揺動させたときの状態を示している。特に図6(b)に示す抜け止めピン20は、本体ピン10の長手方向Aに対してほぼ直交した状態になっている。このとき軸13は、軸受け孔23の第一孔部24の中央部に存在するか又は第一孔部24の第二孔部25から離れた側の端部に片寄った状態で存在することになる。
【0051】
また、固定ピン1は、図6(c)に示すように、軸受け孔23の第二孔部25に軸13を存在させているときは、抜け止めピン20を本体ピン10の長手方向Aに対して交差した状態に揺動させることができるが、抜け止めピン20を本体ピン10と一直線状に連結した状態になる位置まで揺動させることができないようになる。
【0052】
このような状態にするには、軸13を、軸受け孔23の第一孔部24から狭窄部26を通過させて第二孔部25に移動させればよい。この軸13の移動は、抜け止めピン20をその棒状部22を手指で挟んで持ち本体ピン10の長手方向Aと交差する方向に向けて軸13に近づけるように押すことにより行われる。つまり、抜け止めピン20を押すことにより、軸13が軸受け孔23の狭窄部26における間隙26aを板状部21の一時的な変形により押し広げた状態し、この結果、軸13が狭窄部26を通過して第二孔部25に入り込むように移動して保持される。
【0053】
このように軸13を第二孔部25に存在させた後に、抜け止めピン20をその軸13を支点として矢印X1、X2にそれぞれ揺動させると、図7に示すように、棒状部22の板状部21との境界部となる端部22c,22dが本体ピン10の一方端10a(切り込み部12のピン部分)にぶつかってしまい、これにより、抜け止めピン20がそれ以上の揺動できない状態にされる。
【0054】
本実施の形態1では、前述したように軸受け孔23の第二孔部25の棒状部22との境界部までの長さh2を、軸孔14の中心部から本体ピンの一方端10aまでの長さc1(切り込み部12の深さの半分の値:f/2)よりも短い値に設定しているため(図5を参照)、軸13を支点として半径h2で回転する棒状部22は、その板状部21との境界部となる部分22c,22dが本体ピン10の軸13から距離h2の離れた位置となる部分に突き当たることになる。この結果、固定ピン1は、抜け止めピン20が本体ピン10の長手方向Aに対して限られた交差角の範囲内で交差した状態に保たれ続けることになる。
【0055】
図8〜図10は、本実施の形態1における装着ホルダー5の詳細を示している。図8はその全体の斜視図、図9はその分解説明図、図10はその底面側から見たときの状態を示す説明図である。
【0056】
本実施の形態1における装着ホルダー5は、その本体部51の上面51bに取付け補助板56を設置し、その補助板56の表面からほぼ垂直に突出する状態で2つの取付け部材57を取り付けている。取付け部材57は、装着ホルダー5を機械装置に取り付けるときに使用するものであり、円柱状の本体部27aとその本体部27aの下部に連続して形成される円柱状の差込部(ボルト)27bとで構成されている。差込部27bは、本体部27aの断面寸法(径)よりも小さい寸法の円柱からなるものであり、補助板56に設ける取付け孔56aとホルダー本体部51に設ける取付け貫通孔53cを通過してホルダー本体部51の底面51aから突出する長さを有している。差込部27bの下方端部には、ネジ山27cが形成されており、そのネジ山27cに対してナット58が取り付けられる。取付け補助板56は、取付け部材57の取り付け固定による影響を受けてホルダー本体部51の一部が損傷(変形)することを防止するためのものであり、ホルダー本体部51よりも剛性の高い部材の板材が使用される。補助板56は、ホルダー本体部51の上面にネジ止め等の手段で固定される。
【0057】
このような構成の装着ホルダー5は、ホルダー本体部51の上面に補助板56を取り付けた後、取付け部材57の差込部27bを補助板56の取付け孔56aとホルダー本体部51の取付け貫通孔53Cに差し入れ、その差込部27bの下方端部を取付け貫通孔53Cから外部に突出させた状態にする。最後に、その差込部27bの突出した下方端部(ネジ山27c)にナット58を嵌めて締め付ける。これにより、図8に示すように取付け部材57が取り付けられた装着ホルダー5が得られる。
【0058】
次に、この固定ピン1を用いたタイン3の装着ホルダー5への装着について説明する。
【0059】
まず、図11や図12に示すように、装着対象のタイン3の装着部32を、装着ホルダー5の本体部51における保持部55に対して嵌め入れる。ここでは、タイン3を保持部55Aに装着する場合を前提として説明する。
【0060】
この際、タイン3は、その装着部32における固定用の貫通孔35の両端部がホルダー本体部51の保持部53Aにおける固定用の貫通孔55Aの端部と対峙する状態になるように位置の調整をする。また、タイン3のホルダー本体部51の保持部53Aへの嵌め入れは、複数(本実施の形態1では2つ)の保持部53Aが直線上に並んだ状態で配置される列ごとに順次進めていく。
【0061】
続いて、1つの列にある複数の保持部53Aにタイン3の装着部32をそれぞれ嵌め入れた状態にした装着ホルダー5における固定用の貫通孔55Aに対し、固定ピン1を抜け止めピン20を先頭にした状態で挿入する。
【0062】
この際、固定ピン1は、図1や図11に示すように、軸受け孔23の第一孔部24に軸13を存在させて(図6a参照)抜け止めピン20を本体ピン10と一直線状に連結した状態に保った後に、その抜け止めピン20を先頭にしてホルダー本体部51の貫通孔55Aの一方端から挿入してタイン装着部32の貫通孔35を順次通過させ、本体ピン10の一方端10bを貫通孔55Aの他方端から外部に突出させた状態にする(図12)。ここで、固定ピン1は、図12に示すように、その本体ピン10の突出部15が貫通孔55Aの一方端のホルダー本体部51の側面51dにぶつかって停止させられる。これにより、本体ピン10の中央部側の主要部分がホルダー本体部51の貫通孔55A及びタイン装着部32の貫通孔35の内部にそれぞれ存在した状態となり、本体ピン10の一方端10aが貫通孔55Aの他方端から外部に突出した状態になるとともに、その一方端10aで連結する抜け止めピン20も貫通孔55Aの他方端から外部に突出した状態になる。
【0063】
またこの際、固定ピン1は、本体ピン10の一方端10aを抜け止めピン20における受け入れ保持部29に保持させた状態で貫通孔55A及び貫通孔35を通過させるので、抜け止めピン20が本体ピン10と一直線状に連結した状態に安定して保たれるようになり、その抜け止めピン20を先頭にして貫通孔55、35に挿入して通過させる作業を安定して行うことができる。
【0064】
最後に、図1や図13に示すように、貫通孔55Aの他方端から外部に突出した状態の抜け止めピン20を、軸受け孔23の第二孔部25に軸13を存在させたうえで、本体ピン10と交差した状態に保持する。
【0065】
この際、固定ピン1は、抜け止めピン20を本体ピン10と交差させた状態にした後(図6b参照)、その抜け止めピン20を本体ピン10の長手方向Aと交差する方向に向けて押すことにより、軸受け孔23の第二孔部25に軸13を存在させる(図6c参照)。これにより、抜け止めピン20は、本体ピン10と交差した状態に保たれ続け、本体ピン10と一直線状に連結した状態になることがない。つまり、軸受け孔23の第二孔部25に軸13が存在しているときには、図7に示すように、抜け止めピン20を軸13及び第二孔部25を支点として矢印X1,X2の方向に揺動させた場合、前述したように抜け止めピン20の一部(棒状部22の端部22c,22d)が本体ピン10の一方端10a(切り込み部12のピン部分)にぶつかり、この結果、抜け止めピン20はそれ以上揺動することができなくなるので、本体ピン10と一直線状に連結した状態になることがない。
【0066】
以上の作業により、複数のタイン3は、図1や図13に示すように、固定ピン1を用いて装着ホルダー5に装着され、タイン3をその長手方向Aに沿う軸に対して保持部53A内で回転させることやその保持部53Aから引き抜くことができないという状態に固定される。ちなみに、装着ホルダー5は、タイン3の着脱作業を行うときには機械装置から取り外された状態にあるが、そのタインの着脱作業が可能であれば機械装置に予め取り付けられた状態にしておいても構わない。
【0067】
また、このように固定ピン1を用いて装着がなされるタイン3と装着ホルダー5とで構成される構造物においては、仮に固定ピン1を貫通孔55A等から引き抜こうとしても、本体ピン10と交差した状態に保持される抜け止めピン20がホルダー本体部51の側面51cにぶつかるため、固定ピン1全体が貫通孔55Aから引き抜くことができない。これにより、タイン3は固定ピン1によって装着ホルダー5に安定して固定される。このような安定した固定は、固定ピン1の抜け止めピン20が本体ピン10と交差した状態において、ホルダー本体部51の側面51cと離れて非接触の状態(図13参照)であっても確実に得られる。
【0068】
さらに、固定ピン1は、輪を形成するごとく折り返すように曲げられた形状部分(例えば環状部分)を有する部分が存在しない。このため、例えば、使用中においてその折り返すように曲げられた形状部分の内側に存在する空間部に、例えば作業現場における芝の一部や雑草の一部等の周辺存在物が引っ掛かって貫通孔55等から引き出される状態になるおそれもない。
【0069】
一方、タイン3の装着ホルダー5からの取り外しは、次のように行われる。
【0070】
はじめに、固定ピン1における軸13を軸受け孔23の第一孔部24に移動して存在させる(図6b参照)。具体的には、抜け止めピン20の棒状部22を手指に挟んで持ち抜け止めピン20を固定ピン10と交差する方向であって軸13から遠ざける方向に引っ張る。これにより、軸13が軸受け孔23の第二孔部25から狭窄部26を通過して第一孔部24に入り込むように移動する。
【0071】
続いて、抜け止めピン20を軸13及び第一孔部24を支点として揺動させることにより、本体ピン10と一直線状に連結した状態にする(図6a、図12参照)。最後に、この状態になった固定ピン1について、その固定ピン10の他方端10b(突出部15)を引っ張ることでホルダー本体部51の貫通孔55A及びタイン3の貫通孔35から引き抜く。この結果、タイン3の装着部32をホルダー本体部51の保持部55Aから抜くことが可能となり、タイン3が装着ホルダー5から取り外される(図1、図11参照)。
【0072】
また、この固定ピン1を用いた構造物においては、装着ホルダー5における第二保持部55Bに適合する装着部32を有するタイン3を、固定ピン1を用いて同様に複数装着することができる。このため、少なくとも装着部32が異なるタイン3であっても、そのタイン3を装着ホルダー5に複数容易に交換して装着することができ、しかもその各タイン3を装着ホルダー5に安定して固定することができる。特にタイン3の装着部32のみならず本体部31の形状や構造についても用途の異なるタイプである場合には、用途の異なる複数のタインを装着ホルダー5に容易に交換して装着することが可能となる。
【0073】
[実施の形態2]
図14及び図15は、実施の形態2に係る固定ピンを用いた構造物を示すものである。図14はその構造物を構成部品の単位で分解した状態を示し、図15は固定ピンを用いた固定の状態を示している。図中の符号1Bは固定ピン、符号3Bは着脱部品としてのタイン、符号5Bは保持体としての保持ピンを示す。この構造物は、例えば、タイン装置と称すことができる。
【0074】
実施の形態2に係る固定ピン1Bは、その本体ピン10及び抜け止めピン20の長さが短くなる点で異なるのみで、他の構成については実施の形態1に係る固定ピン1と同じ構成になっている。
【0075】
実施の形態2におけるタイン3Bは、実施の形態1におけるタイン3における本体部31における中実構造の装着部32がなくなり、円筒状の本体部31の上端部に円柱状の装着孔36を形成するとともにその装着孔36を構成するタイン部分に固定用の貫通孔37を形成した以外は実施の形態1におけるタイン3と同じ構成になっている。貫通孔37には固定ピン1が挿入される。
【0076】
また、実施の形態2における保持ピン5Bは、機械装置に取り付ける円柱状の本体部61と、その本体部61の下部に前記タイン3Bの装着孔36が嵌め入れられる円柱状の保持部62とで構成されている。本体部61と保持部62の間には、保持部62に嵌め入れるタイン3Bの装着孔36の端部が突き当たる大径部(鍔)63が形成されている。保持部62には、タイン3Bの貫通孔37と対峙する状態で、固定ピン1が挿入される固定用の貫通孔65が形成されている。また、保持部62は、その下部が、長孔34の上部傾斜した端部の形状(傾斜状態)に対応した傾斜面61aとして形成されている。
【0077】
このような固定ピン1Bを用いたタイン3Bの保持ピン5Bへの装着は、次のように行われる。
【0078】
まず、図15(a)に示すように、装着対象のタイン3Bの装着孔36を、保持ピン5Bの保持部62に対して嵌め入れる。この際、タイン3Bは、その装着孔36における固定用の貫通孔37の両端部が保持ピン5Bの保持部62における固定用の貫通孔65の端部と対峙する状態になるように位置の調整をする。
【0079】
続いて、図15(a)に示すように、保持ピン5Bの保持部62に嵌め入れたタイン3Bにおける貫通孔37に対し、固定ピン1Bをその抜け止めピン20を先頭にした状態で挿入する。この際、固定ピン1Bは、軸受け孔23の第一孔部24に軸13を存在させて(図6a参照)抜け止めピン20を本体ピン10と一直線状に連結した状態に保った後に、その抜け止めピン20を先頭にしてタイン3Bの貫通孔37の一方端から挿入して保持ピン5Bの保持部62における貫通孔65を通過させ、本体ピン10の一方端10bを貫通孔37の他方端から外部に突出させた状態にする。このとき、本体ピン10の一方端10bで連結する抜け止めピン20も貫通孔37の他方端から外部に突出した状態になる。
【0080】
最後に、図15(b)に示すように、貫通孔37の他方端から外部に突出した状態の抜け止めピン20を、その軸受け孔23の第二孔部25に軸13を存在させたうえで、本体ピン10と交差した状態に保持する。これにより、抜け止めピン20は、本体ピン10と交差した状態に保たれ続け、本体ピン10と一直線状に連結した状態になることがない。
【0081】
以上の作業により、タイン3Bは、図15(b)に示すように、固定ピン1Bを用いて保持ピン5Bに装着され、タイン3Bをその長手方向Aに沿う軸に対して保持ピン5Bの保持部62の周囲で回転させることやその保持部62から引き抜くことができないという状態に固定される。保持ピン5Bは、タイン3Bの着脱作業を行うときには機械装置に取り付けられた状態にするが、その機械装置から取り外した状態にしてもよい。
【0082】
[他の実施の形態]
実施の形態1,2における固定ピン1(1B)、タイン3(3B)及び装着ホルダー5(保持ピン5B)はいずれも金属で構成されるが、その一部又は全部を他の材料で構成してもよい。固定ピン1(1B)における軸入れ孔23は、公知の金属加工法等を適宜選択して形成することができる。
【0083】
固定ピン1(1B)における本体ピン10と抜け止めピン20との揺動自在な連結構造としては、抜け止めピン20の一方端にその長手方向に沿う切り込み部を形成するとともにその切り込み部で対峙するピン部分に軸入れ溝(23)を形成する一方で、本体ピン10の一方端10aにその切り込み部に嵌め入れる板状部を形成するとともにその板状部に軸(13)を嵌め入れて両側面から突出させた状態で固定する軸孔(14)を形成し、その軸を板状部の軸入れ溝に差し入れた状態にすることにより連結する構造を適用することもできる。
【0084】
実施の形態1においては、装着ホルダー5として、孔形状の保持部53に代えて、実施の形態2における保持ピン5Bの保持部62のように、ホルダー本体部51の下面51aから突出した形状の保持部を形成した構成の装着ホルダーを適用することもできる。この場合、その装着ホルダーに装着するタイン3は、実施の形態2におけるタイン3Bの装着孔36のように、その突出した形状の保持部に嵌め入れる装着孔を有する構成のタインを使用することになる。また、装着ホルダー5における保持部53の数、配置パターン、形状等については、例えばその装着ホルダー5に装着するタイン3の用途や種類等に応じて適宜変更することができる。この他、1つの装着ホルダーに複数の保持部53を形成する場合においては、実施の形態1で例示したように構成(規格)が異なる保持部を混在させて形成することが有効であるが、その複数の保持部53をすべて同じ構成で形成することができる。
【0085】
実施の形態2においては、保持ピン5Bとして、突出した形状の保持部62に代えて、実施の形態1における装着ホルダー5の保持部53のように、保持ピンの本体部61に孔形状の保持部を形成した構成の保持ピンを適用することもできる。この場合、その保持ピンに装着するタイン3Bは、実施の形態1におけるタイン3の装着部32のように、その孔形状の保持部に差し入れる突出した形状の装着部を有する構成のタインを使用することになる。
【0086】
この発明においては、着脱部品として、実施の形態1,2で例示した地中突き刺し部品であるタイン3ではなく、固定ピン1(1B)を用いた固定が可能である限り、他の用途に使用される着脱部品を適用することができる。また、保持体としても、実施の形態1,2で例示した構成の装着ホルダー5や保持ピン5Bではなく、他の形状や構造からなるものを適用することができる。例えば、装着ホルダー5については、実施の形態1で例示した補助板56がなく本体部51(取付け部材57とナット58を含む)のみで構成されるものであってもよい。また、装着ホルダー5としては、その保持部53が貫通しない孔で構成されるものを適用することもできる。この他、着脱部品、保持体及び固定ピンを有する構造物は、例えばその着脱部品の種類(名称)によって特徴付けられた名称となる。
【符号の説明】
【0087】
1,1B…固定ピン
3,3B…タイン(着脱部品、地中突き刺し部品)
5 …装着ホルダー(保持体)
5B…保持ピン(保持体)
10…本体ピン
10a…一方端
12…切り込み部
13…軸
14…軸孔
20…抜け止めピン
21…板状部
23…軸入れ孔
24…第一孔部
25…第二孔部
26…狭窄部
29…受け入れ保持部
32…装着部
36…装着孔(装着部)
35,37…貫通孔
53,62…保持部
55,65…貫通孔
A …長手方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定用の貫通孔に挿入されるとともに当該貫通孔の両端から突出した状態にされる棒状の形状からなり、その一方端に長手方向と直交する軸が取り付けられ、その他方端に前記貫通孔への侵入を阻止する突出部が形成された本体ピンと、前記貫通孔に挿入されて通過し得る棒状の形状からなり、その一方端に前記軸が差し入れられる軸入れ孔が長手方向に沿って形成され、前記軸入れ孔に当該軸を差し入れた状態で前記本体ピンに対して揺動自在に連結された抜け止めピンとを組み合わせた固定ピンであって、
前記軸入れ孔は、前記抜け止めピンを前記本体ピンと一直線状に連結した状態になる位置まで揺動させることを可能にする第一孔部と、前記第一孔部の当該抜け止めピンの他方側となる位置に配置されて当該抜け止めピンを当該本体ピンと一直線状に連結した状態になる位置まで揺動させることを当該抜け止めピンの一部が当該本体ピンの一部にぶつかることで不能にする第二孔部と、前記第一孔部と前記第二孔部をつなげるとともに前記軸の径よりも狭い幅の間隙を有する形状からなり前記間隙が当該軸の通過を許す幅になるまで広がり得る狭窄部とで構成されており、
前記抜け止めピンは、その使用時に、前記軸入れ孔の第一孔部に前記軸を存在させて前記本体ピンと一直線状に連結した状態に保持されて前記貫通孔の一方端から挿入されるとともにその他方端から突出させられ、その突出した状態において当該軸を前記軸入れ孔の第二孔部に移動して存在させて前記本体ピンと交差した状態に保持されることを特徴とする固定ピン。
【請求項2】
前記軸入れ孔の第一孔部が前記軸を変位させ得る形状からなる長孔であり、前記軸入れ孔の第二孔部が前記軸の外周面の少なくとも対向する一部分に接触して当該軸を挟んだ状態で保持する部分を有する形状からなる保持孔である請求項1に記載の固定ピン。
【請求項3】
前記本体ピンは、前記一方端に長手方向に沿う切り込み部を形成しているとともに当該切り込み部の対峙する両側の部分に前記軸を取り付ける軸孔を形成しており、
前記抜け止めピンは、前記一方端に前記切り込み部の内部に侵入して通過し得る板状部を形成しているとともに当該板状部に前記軸入れ孔を形成している請求項1又は2に記載の固定ピン。
【請求項4】
前記本体ピンの一方端が先細り状の形状で形成され、
前記抜け止めピンの軸入れ孔よりも他方端寄りの部分に、前記軸が前記軸入れ孔の第一孔部に存在しているときに、前記本体ピンの先細り状の一方端を受け入れて保持する窪んだ形状の受入れ保持部が形成されている請求項1乃至3のいずれかに記載の固定ピン。
【請求項5】
固定用の貫通孔が形成された保持部を有する保持部材と、前記保持部材の保持部に着脱自在に装着され、前記保持部の貫通孔と対向して併用する固定用の貫通孔が形成された装着部を有する着脱部品と、前記保持部材の保持部に前記着脱部品の装着部を取り付けて前記保持部の貫通孔と前記装着部の貫通孔の双方を貫くように挿入して抜けない状態に保つことで当該着脱部品を当該保持部材の保持部に固定する固定ピンとを有する構造物であって、
前記固定ピンが、請求項1乃至4のいずれかに記載の固定ピンであることを特徴とする構造物。
【請求項6】
前記保持部材は、前記着脱部品の異なる構成からなる複数の装着部にそれぞれ適合する構成からなる複数の保持部を有している請求項5に記載の構造物。
【請求項7】
前記着脱部品が、地中に突き刺すとともにその地中から引き抜く地中突刺し部品である請求項5又は6に記載の構造物。
【請求項1】
固定用の貫通孔に挿入されるとともに当該貫通孔の両端から突出した状態にされる棒状の形状からなり、その一方端に長手方向と直交する軸が取り付けられ、その他方端に前記貫通孔への侵入を阻止する突出部が形成された本体ピンと、前記貫通孔に挿入されて通過し得る棒状の形状からなり、その一方端に前記軸が差し入れられる軸入れ孔が長手方向に沿って形成され、前記軸入れ孔に当該軸を差し入れた状態で前記本体ピンに対して揺動自在に連結された抜け止めピンとを組み合わせた固定ピンであって、
前記軸入れ孔は、前記抜け止めピンを前記本体ピンと一直線状に連結した状態になる位置まで揺動させることを可能にする第一孔部と、前記第一孔部の当該抜け止めピンの他方側となる位置に配置されて当該抜け止めピンを当該本体ピンと一直線状に連結した状態になる位置まで揺動させることを当該抜け止めピンの一部が当該本体ピンの一部にぶつかることで不能にする第二孔部と、前記第一孔部と前記第二孔部をつなげるとともに前記軸の径よりも狭い幅の間隙を有する形状からなり前記間隙が当該軸の通過を許す幅になるまで広がり得る狭窄部とで構成されており、
前記抜け止めピンは、その使用時に、前記軸入れ孔の第一孔部に前記軸を存在させて前記本体ピンと一直線状に連結した状態に保持されて前記貫通孔の一方端から挿入されるとともにその他方端から突出させられ、その突出した状態において当該軸を前記軸入れ孔の第二孔部に移動して存在させて前記本体ピンと交差した状態に保持されることを特徴とする固定ピン。
【請求項2】
前記軸入れ孔の第一孔部が前記軸を変位させ得る形状からなる長孔であり、前記軸入れ孔の第二孔部が前記軸の外周面の少なくとも対向する一部分に接触して当該軸を挟んだ状態で保持する部分を有する形状からなる保持孔である請求項1に記載の固定ピン。
【請求項3】
前記本体ピンは、前記一方端に長手方向に沿う切り込み部を形成しているとともに当該切り込み部の対峙する両側の部分に前記軸を取り付ける軸孔を形成しており、
前記抜け止めピンは、前記一方端に前記切り込み部の内部に侵入して通過し得る板状部を形成しているとともに当該板状部に前記軸入れ孔を形成している請求項1又は2に記載の固定ピン。
【請求項4】
前記本体ピンの一方端が先細り状の形状で形成され、
前記抜け止めピンの軸入れ孔よりも他方端寄りの部分に、前記軸が前記軸入れ孔の第一孔部に存在しているときに、前記本体ピンの先細り状の一方端を受け入れて保持する窪んだ形状の受入れ保持部が形成されている請求項1乃至3のいずれかに記載の固定ピン。
【請求項5】
固定用の貫通孔が形成された保持部を有する保持部材と、前記保持部材の保持部に着脱自在に装着され、前記保持部の貫通孔と対向して併用する固定用の貫通孔が形成された装着部を有する着脱部品と、前記保持部材の保持部に前記着脱部品の装着部を取り付けて前記保持部の貫通孔と前記装着部の貫通孔の双方を貫くように挿入して抜けない状態に保つことで当該着脱部品を当該保持部材の保持部に固定する固定ピンとを有する構造物であって、
前記固定ピンが、請求項1乃至4のいずれかに記載の固定ピンであることを特徴とする構造物。
【請求項6】
前記保持部材は、前記着脱部品の異なる構成からなる複数の装着部にそれぞれ適合する構成からなる複数の保持部を有している請求項5に記載の構造物。
【請求項7】
前記着脱部品が、地中に突き刺すとともにその地中から引き抜く地中突刺し部品である請求項5又は6に記載の構造物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−97849(P2011−97849A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253297(P2009−253297)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(593118623)株式会社サカモト精機 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(593118623)株式会社サカモト精機 (2)
【Fターム(参考)】
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