土壌用仕切り材
【課題】仕切り板部を取付け板部がある側へ湾曲させる場合に、切断作業を必要としない土壌用仕切り材を提供する。
【解決手段】長手方向に延在する水平状の取付け板部2と、該取付け板部2の一側縁から上方に立上げられた仕切り板部3と、前記取付け板部2の他側縁に上方曲成された狭幅状立上がり縁4とを備えてなる断面略L形の長尺状金属薄板5の、その取付け板部2に、前記仕切り板部3と狭幅状立上がり縁4間に亘る横幅を備え、かつ前記狭幅状立上がり縁4の下端位置に一致する直線状の一辺を備えた孔形状の切欠孔6を、取付け板部2の長手方向に沿って所定間隔で形成した。これにより、仕切り板部3を両手で持って取付け板部2がある側へ湾曲させるように加圧すると、狭幅状立上がり縁4が各切欠孔6内で略V形に屈曲して、仕切り板部3を人力により所望の曲線形状に簡単に湾曲させることができる。
【解決手段】長手方向に延在する水平状の取付け板部2と、該取付け板部2の一側縁から上方に立上げられた仕切り板部3と、前記取付け板部2の他側縁に上方曲成された狭幅状立上がり縁4とを備えてなる断面略L形の長尺状金属薄板5の、その取付け板部2に、前記仕切り板部3と狭幅状立上がり縁4間に亘る横幅を備え、かつ前記狭幅状立上がり縁4の下端位置に一致する直線状の一辺を備えた孔形状の切欠孔6を、取付け板部2の長手方向に沿って所定間隔で形成した。これにより、仕切り板部3を両手で持って取付け板部2がある側へ湾曲させるように加圧すると、狭幅状立上がり縁4が各切欠孔6内で略V形に屈曲して、仕切り板部3を人力により所望の曲線形状に簡単に湾曲させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植栽領域や舗装領域を仕切って土壌の端部を保持する土壌用仕切り材に関する。
【背景技術】
【0002】
屋上緑化等でビルの屋上等の人工地盤上において植栽を行う場合に、その植栽領域を仕切ったり、道路,歩道,駐車場等の舗装工事を行う場合に、その舗装領域を仕切るために使用する仕切り材が本願出願人によって既に提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
かかる仕切り材aは、図10に示すように、長手方向に延在する水平状の取付け板部bと、該取付け板部bの一端から垂直状に立上がる仕切り板部cとを備えてなる断面L形の長尺状金属薄板の、その取付け板部bに、複数の切欠孔dを長手方向に沿って所定間隔で形成し、該取付け板部bの切欠孔dの外側傍部に生じる狭幅状連結縁eを、必要に応じて切断されて前記切欠孔dを開放する切断代としている。
【0004】
この仕切り材aは、植栽領域や舗装領域の縁部を直線状に施工する場合には、そのまま用いられ、また、曲線状に施工する場合には、取付け板部bに設けられた切断代として狭幅状連結縁eを切断することにより、図11(A),(B)に示すように、仕切り板部cを自由に湾曲させることができるようになっている。
【特許文献1】特開2000−273822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来構成の仕切り材aにあっては、図11(A)に示すように、仕切り板部cを取付け板部bがある側へ湾曲させる場合、または、図11(B)に示すように、仕切り板部cを取付け板部bがない側へ湾曲させる場合の何れであっても、各切欠孔dの外側傍部に設けられた複数の狭幅状連結縁eを、施工現場において、金鋸やボルトクリッパ等の工具を用いて逐次切断しなければならないため、作業能率が悪いという問題点があった。
【0006】
本発明は、かかる問題点を解消するためになされたものであって、仕切り板部を取付け板部がある側へ湾曲させる場合に、切断作業を必要としない土壌用仕切り材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、長手方向に延在する水平状の取付け板部と、該取付け板部の一側縁から上方に立上げられた仕切り板部と、前記取付け板部の他側縁に上方曲成された狭幅状立上がり縁とを備えてなる断面略L形の長尺状金属薄板の、その取付け板部に、前記仕切り板部と狭幅状立上がり縁間に亘る横幅を備え、かつ前記狭幅状立上がり縁の下端位置に一致する直線状の一辺を備えた孔形状の切欠孔が、取付け板部の長手方向に沿って所定間隔で形成されていることを特徴とする土壌用仕切り材である。
【0008】
かかる構成にあって、取付け板部には、その長手方向に沿って固定杆挿通用の複数の透孔を形成してもよい。ここで、土壌用仕切り材を植栽領域の縁部となる人工地盤上に固定する場合には、取付け板部に形成した複数の透孔に固定杆としてのタッピング螺子を上方から夫々挿通させ、該タッピング螺子の先端側を人工地盤に埋入したプラグに螺合させて固定する固定手段や、取付け板部の下面を両面テープによって人工地盤上の防水層に接合して固定する固定手段が適用可能であり、このように両面テープを用いる場合には、取付け板部の透孔は不要となる。また、土壌用仕切り材を舗装領域の縁部となる地盤上に固定する場合には、取付け板部の各透孔に挿通したアンカーを地盤に打ち込んで固定する固定手段が適用される。
【0009】
この土壌用仕切り材にあって、仕切り板部の下部に、切欠孔に連続する水抜き孔が形成されている構成が提案される。
【0010】
また、仕切り板部の上端を折返してなる補強縁が形成されている構成が提案される。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上述したように、長手方向に延在する水平状の取付け板部と、該取付け板部の一側縁から上方に立上げられた仕切り板部と、前記取付け板部の他側縁に上方曲成された狭幅状立上がり縁とを備えてなる断面略L形の長尺状金属薄板の、その取付け板部に、前記仕切り板部と狭幅状立上がり縁間に亘る横幅を備え、かつ前記狭幅状立上がり縁の下端位置に一致する直線状の一辺を備えた孔形状の切欠孔が、取付け板部の長手方向に沿って所定間隔で形成されている土壌用仕切り材であるから、仕切り板部を取付け板部がある側へ湾曲させる場合に、各切欠孔の上部に位置する狭幅状立上がり縁の外側面部分を指で加圧して切欠孔内に若干押し込む予備曲げを施した後、仕切り板部を両手で持って取付け板部がある側へ湾曲させるように加圧すると、狭幅状立上がり縁が各切欠孔内で略V形に屈曲して、仕切り板部を所望の曲線形状に簡単に湾曲させることができる。ここで、切欠孔の直線状の一辺が狭幅状立上がり縁の下端位置に一致していることにより、人力による加圧に際して、取付け板部の抵抗を受けることなく、狭幅状立上がり縁をその厚み方向へ略V形に屈曲させることができ、この狭幅状立上がり縁の厚み方向への略V形の屈曲変形によって、仕切り板部に局所的な折れ曲がりが生じることなく該仕切り板部を均一に湾曲成形することができる。また、土壌用仕切り材が金属製であることにより、仕切り板部自体の塑性変形による形状保持作用に加えて、略V形に屈曲した狭幅状立上がり縁の塑性変形による形状保持作用によって、仕切り板部の湾曲状態の保持がより強固なものとなる。そして、このように人力による加圧操作のみで仕切り板部を取付け板部がある側へ湾曲させ得るので、切断作業が不要であり、作業能率が向上する。
【0012】
前記土壌用仕切り材にあって、仕切り板部の下部に、切欠孔に連続する水抜き孔が形成されている構成にあっては、取付け板部に形成される切欠孔の金型による打ち抜き加工時に、同じ金型で水抜き孔も同時に形成し得るので加工性がよく、また、土壌用仕切り材によって植栽領域を仕切った場合に、植栽領域に敷設するマット状の人工土壌に含浸される雨水等の余剰水を水抜き孔によって自然排水させることができる。
【0013】
また、仕切り板部の上端を折返してなる補強縁が形成されている構成にあっては、該補強縁によって仕切り板部の強度を高めることができるとともに、仕切り板部の湾曲操作時において、加えた力が補強縁によって分散され、局所的に仕切り板部が折れ曲がることなく、全体を均一に湾曲させることができる。また、安全性が向上し、仕切り板部の上端で手を切るような不具合を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明にかかる土壌用仕切り材1は、図2,図3に示すように、長手方向に延在する水平状の取付け板部2と、該取付け板部2の一側縁から上方に立上がる仕切り板部3と、前記取付け板部2の他側縁に上方曲成した狭幅状立上がり縁4とを備えてなる断面略L形の長尺状金属薄板5の、その取付け板部2に、前記仕切り板部3と狭幅状立上がり縁4間に亘る横幅を備え、かつ前記狭幅状立上がり縁4の下端位置に一致する直線状の一辺を備えた孔形状の切欠孔6を、取付け板部2の長手方向に沿って所定間隔で形成したことを特徴としている。
【0015】
以下に、上記土壌用仕切り材1の具体的な一実施例を、図1〜図8に基づいて説明する。
長尺状金属薄板5は、長尺な帯板状の金属薄板を断面略L形に折曲したものである。この長尺状金属薄板5の素材としては、長さ2025mm程度,幅 270mm程度,厚さ 1.2mm程度のステンレス,スチール等の鋼板が好適に使用され得る。この長尺状金属薄板5は、長手方向に延在する水平状の取付け板部2と、該取付け板部2の一側縁から上方に立上がる仕切り板部3と、前記取付け板部2の他側縁に上方曲成した狭幅状立上がり縁4とを備えており、取付け板部2には、複数の切欠孔6が長手方向に沿って所定間隔で形成されている。
【0016】
前記各切欠孔6は、矩形状に形成されており、その直線状の一辺が狭幅状立上がり縁4の下端位置に一致するように配設されている。また、この一辺に対向する他の直線状の一辺は仕切り板部3の下端から若干上方に上がった位置に配設されており、これにより生じる仕切り板部3の下部の開口を、切欠孔6に連続する水抜き孔7(図3参照)としている。また、取付け板部2には、各切欠孔6間に位置させて後述する固定杆9を挿通するための透孔8が夫々形成されている。さらに、前記仕切り板部3には、ヘミング曲げ加工によりその上端を折返してなる補強縁10(図5参照)が形成されている。該補強縁10により、仕切り板部3の強度を向上させ、その堅牢性をさらに高めることができるとともに、安全性を向上させ、仕切り板部3の上端で手を切るような不具合を防止し得るようにしている。
【0017】
このような構成からなる土壌用仕切り材1を製造するには、図4に示すように、素材としての帯板状の金属薄板14の取付け板部2となる一側縁寄りの所定領域部分に、プレス装置による打ち抜き加工によって複数の切欠孔6と透孔8を形成し、次に金属薄板14の他側縁の端部を仮想折曲線15で、プレス装置によるヘミング曲げ加工によって折返して補強縁10を形成する。この後、金属薄板14の一側縁を、切欠孔6の外側の一辺に一致する位置の仮想折曲線16で、プレス装置によるL曲げ加工によって略直角に折曲して狭幅状立上がり縁4を形成し、次いで、金属薄板14の幅方向の略中間部を、切欠孔6の内側の一辺より若干外側寄りの位置の仮想折曲線17で、プレス装置によるL曲げ加工によって狭幅状立上がり縁4と同方向へ略直角に折曲して仕切り板部3を形成する。これにより、前記土壌用仕切り材1を簡単に製造することができる。
【0018】
図5,図6は、かかる構成からなる土壌用仕切り材1を用いた、屋上等の人工地盤G上における植栽Sの施工状態を示す。このような施工を行うには、まず、植栽領域の縁部に沿って土壌用仕切り材1を固定手段を介して固定する。この固定手段は、図5に示すように、取付け板部2の透孔8に挿通されるタッピング螺子からなる固定杆9と、人工地盤Gに埋入したプラグ12とからなり、該プラグ12は、取付け板部2の透孔8に一致する所定間隔で人工地盤Gに埋入される。そして、取付け板部2の透孔8に挿通した固定杆9の先端側を、プラグ12に螺合させて緊締することにより、取付け板部2を人工地盤Gに固定するようにしている。ここで、取付け板部2は、植栽領域の内側に位置するように配置される。また、図6に示すように、人工地盤G上に防水層Bが敷設されている場合には、前記プラグ12によって防水層Bに孔を開けると防水作用が損なわれるため、取付け板部2の下面を両面テープ13によって人工地盤G上の防水層Bに接合して固定する固定手段が適用される。これにより、土壌用仕切り材1の仕切り板部3が植栽領域の縁部に沿って立設され、該仕切り板部3によって植栽領域の縁部を仕切ることができる。そして、このように設置した土壌用仕切り材1の内側に、マット状に成形された人工土壌Mを敷設することにより、該人工土壌Mの端部を仕切り板部3によって保持することができる。また、仕切り板部3の下部に水抜き孔7(図6参照)が形成されていることにより、該水抜き孔7によって人工土壌Mに含浸される雨水等の余剰水を自然排水させることができる。
【0019】
上記のような施工において、植栽領域の縁部を直線状に仕切る場合には、土壌用仕切り材1が直線状のままで用いられる。また、植栽領域の縁部を曲線状に仕切る場合には、土壌用仕切り材1の仕切り板部3を湾曲させて用いられる。この湾曲操作にあって、仕切り板部3を取付け板部2がある側へ湾曲させる場合に、各切欠孔6の一辺の上部に位置する狭幅状立上がり縁4の外側面部分を指で加圧して各切欠孔6内に若干押し込む予備曲げを施した後、仕切り板部3を両手で持って取付け板部2がある側へ湾曲させるように加圧すると、図7,図8に示すように、狭幅状立上がり縁4が各切欠孔6内で略V形に屈曲することにより、仕切り板部3を所望の曲線形状に簡単に湾曲させることができる。ここで、切欠孔6が仕切り板部3と狭幅状立上がり縁4間に亘る横幅を備え、かつ、その直線状の一辺が狭幅状立上がり縁4の下端位置に一致していることにより、人力による加圧に際して、取付け板部2の抵抗を受けることなく、狭幅状立上がり縁4をその厚み方向へ略V形に屈曲させることができ、この狭幅状立上がり縁4の厚み方向への略V形の屈曲変形によって、仕切り板部3に局所的な折れ曲がりが生じることなく該仕切り板部3を均一に湾曲成形することができる。また、土壌用仕切り材1が金属製であることにより、仕切り板部3自体の塑性変形による形状保持作用に加えて、略V形に屈曲した狭幅状立上がり縁4の塑性変形による形状保持作用によって、仕切り板部3の湾曲状態の保持がより強固なものとなる。そして、このように人力による加圧操作のみで仕切り板部3を取付け板部2がある側へ湾曲させ得るので、切断作業が不要であり、作業能率が向上する。
【0020】
尚、仕切り板部3を取付け板部2がない側へ湾曲させる場合には、各切欠孔6の上部に位置する狭幅状立上がり縁4を工具を用いて切断することにより、取付け板部2がない側への仕切り板部3の湾曲操作が可能となる。しかしながら、植栽の施工においては、湾曲させた土壌用仕切り材1を用いて植栽領域を円形に仕切ったり、植栽領域のコーナー部をR状に仕切る場合が殆どであり、このような施工には、仕切り板部3を取付け板部2がある側へ湾曲させて使用するため、上記のような狭幅状立上がり縁4の切断作業が必要となることは殆どない。
【0021】
また、上記実施例では、取付け板部2に矩形状の切欠孔6を形成した例を示したが、該切欠孔6は、仕切り板部3と狭幅状立上がり縁4間に亘る横幅を備え、かつ狭幅状立上がり縁4の下端位置に一致する直線状の一辺を備えた孔形状であればよい。図9(A),(B)は、他の形状の切欠孔6を示し、図9(A)では、切欠孔6が略三角形に形成されており、図9(B)では、切欠孔6が略半楕円形に形成されている。このような形状の切欠孔6を、仕切り板部3と狭幅状立上がり縁4間に亘る横幅で、その直線状の一辺を狭幅状立上がり縁4の下端位置に一致させて配設することにより、狭幅状立上がり縁4を切断することなく、取付け板部2の抵抗を受けずに、仕切り板部3を取付け板部2がある側へ容易に湾曲させることができる。
【0022】
また、上記実施例では、土壌用仕切り材1を用いて植栽領域を仕切る場合について説明したが、本発明にかかる土壌用仕切り材1は、透孔8に挿通されるアンカーからなる固定杆を地盤に打ち込んで固定することにより、道路,歩道,駐車場等の舗装工事において、その舗装領域を仕切る場合にも使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る土壌用仕切り材1の全体平面図である。
【図2】同上の土壌用仕切り材1の部分拡大平面図である。
【図3】同上の土壌用仕切り材1の部分拡大斜視図である。
【図4】同上の土壌用仕切り材1の製造時における加工方法を示す平面図である。
【図5】固定杆9とプラグ12とからなる固定手段を用いた施工状態の側断面図である。
【図6】両面テープ13からなる固定手段を用いた施工状態の側断面図である。
【図7】土壌用仕切り材1を湾曲させた状態を示す斜視図である。
【図8】土壌用仕切り材1を湾曲させた状態を示す平面図である。
【図9】他の形状の切欠孔6を備えた土壌用仕切り材1の平面図である。
【図10】従来構成の仕切り材aの斜視図である。
【図11】従来構成の仕切り材aを湾曲させた状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 土壌用仕切り材
2 取付け板部
3 仕切り板部
4 狭幅状立上がり縁
5 長尺状金属薄板
6 切欠孔
7 水抜き孔
10 補強縁
【技術分野】
【0001】
本発明は、植栽領域や舗装領域を仕切って土壌の端部を保持する土壌用仕切り材に関する。
【背景技術】
【0002】
屋上緑化等でビルの屋上等の人工地盤上において植栽を行う場合に、その植栽領域を仕切ったり、道路,歩道,駐車場等の舗装工事を行う場合に、その舗装領域を仕切るために使用する仕切り材が本願出願人によって既に提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
かかる仕切り材aは、図10に示すように、長手方向に延在する水平状の取付け板部bと、該取付け板部bの一端から垂直状に立上がる仕切り板部cとを備えてなる断面L形の長尺状金属薄板の、その取付け板部bに、複数の切欠孔dを長手方向に沿って所定間隔で形成し、該取付け板部bの切欠孔dの外側傍部に生じる狭幅状連結縁eを、必要に応じて切断されて前記切欠孔dを開放する切断代としている。
【0004】
この仕切り材aは、植栽領域や舗装領域の縁部を直線状に施工する場合には、そのまま用いられ、また、曲線状に施工する場合には、取付け板部bに設けられた切断代として狭幅状連結縁eを切断することにより、図11(A),(B)に示すように、仕切り板部cを自由に湾曲させることができるようになっている。
【特許文献1】特開2000−273822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来構成の仕切り材aにあっては、図11(A)に示すように、仕切り板部cを取付け板部bがある側へ湾曲させる場合、または、図11(B)に示すように、仕切り板部cを取付け板部bがない側へ湾曲させる場合の何れであっても、各切欠孔dの外側傍部に設けられた複数の狭幅状連結縁eを、施工現場において、金鋸やボルトクリッパ等の工具を用いて逐次切断しなければならないため、作業能率が悪いという問題点があった。
【0006】
本発明は、かかる問題点を解消するためになされたものであって、仕切り板部を取付け板部がある側へ湾曲させる場合に、切断作業を必要としない土壌用仕切り材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、長手方向に延在する水平状の取付け板部と、該取付け板部の一側縁から上方に立上げられた仕切り板部と、前記取付け板部の他側縁に上方曲成された狭幅状立上がり縁とを備えてなる断面略L形の長尺状金属薄板の、その取付け板部に、前記仕切り板部と狭幅状立上がり縁間に亘る横幅を備え、かつ前記狭幅状立上がり縁の下端位置に一致する直線状の一辺を備えた孔形状の切欠孔が、取付け板部の長手方向に沿って所定間隔で形成されていることを特徴とする土壌用仕切り材である。
【0008】
かかる構成にあって、取付け板部には、その長手方向に沿って固定杆挿通用の複数の透孔を形成してもよい。ここで、土壌用仕切り材を植栽領域の縁部となる人工地盤上に固定する場合には、取付け板部に形成した複数の透孔に固定杆としてのタッピング螺子を上方から夫々挿通させ、該タッピング螺子の先端側を人工地盤に埋入したプラグに螺合させて固定する固定手段や、取付け板部の下面を両面テープによって人工地盤上の防水層に接合して固定する固定手段が適用可能であり、このように両面テープを用いる場合には、取付け板部の透孔は不要となる。また、土壌用仕切り材を舗装領域の縁部となる地盤上に固定する場合には、取付け板部の各透孔に挿通したアンカーを地盤に打ち込んで固定する固定手段が適用される。
【0009】
この土壌用仕切り材にあって、仕切り板部の下部に、切欠孔に連続する水抜き孔が形成されている構成が提案される。
【0010】
また、仕切り板部の上端を折返してなる補強縁が形成されている構成が提案される。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上述したように、長手方向に延在する水平状の取付け板部と、該取付け板部の一側縁から上方に立上げられた仕切り板部と、前記取付け板部の他側縁に上方曲成された狭幅状立上がり縁とを備えてなる断面略L形の長尺状金属薄板の、その取付け板部に、前記仕切り板部と狭幅状立上がり縁間に亘る横幅を備え、かつ前記狭幅状立上がり縁の下端位置に一致する直線状の一辺を備えた孔形状の切欠孔が、取付け板部の長手方向に沿って所定間隔で形成されている土壌用仕切り材であるから、仕切り板部を取付け板部がある側へ湾曲させる場合に、各切欠孔の上部に位置する狭幅状立上がり縁の外側面部分を指で加圧して切欠孔内に若干押し込む予備曲げを施した後、仕切り板部を両手で持って取付け板部がある側へ湾曲させるように加圧すると、狭幅状立上がり縁が各切欠孔内で略V形に屈曲して、仕切り板部を所望の曲線形状に簡単に湾曲させることができる。ここで、切欠孔の直線状の一辺が狭幅状立上がり縁の下端位置に一致していることにより、人力による加圧に際して、取付け板部の抵抗を受けることなく、狭幅状立上がり縁をその厚み方向へ略V形に屈曲させることができ、この狭幅状立上がり縁の厚み方向への略V形の屈曲変形によって、仕切り板部に局所的な折れ曲がりが生じることなく該仕切り板部を均一に湾曲成形することができる。また、土壌用仕切り材が金属製であることにより、仕切り板部自体の塑性変形による形状保持作用に加えて、略V形に屈曲した狭幅状立上がり縁の塑性変形による形状保持作用によって、仕切り板部の湾曲状態の保持がより強固なものとなる。そして、このように人力による加圧操作のみで仕切り板部を取付け板部がある側へ湾曲させ得るので、切断作業が不要であり、作業能率が向上する。
【0012】
前記土壌用仕切り材にあって、仕切り板部の下部に、切欠孔に連続する水抜き孔が形成されている構成にあっては、取付け板部に形成される切欠孔の金型による打ち抜き加工時に、同じ金型で水抜き孔も同時に形成し得るので加工性がよく、また、土壌用仕切り材によって植栽領域を仕切った場合に、植栽領域に敷設するマット状の人工土壌に含浸される雨水等の余剰水を水抜き孔によって自然排水させることができる。
【0013】
また、仕切り板部の上端を折返してなる補強縁が形成されている構成にあっては、該補強縁によって仕切り板部の強度を高めることができるとともに、仕切り板部の湾曲操作時において、加えた力が補強縁によって分散され、局所的に仕切り板部が折れ曲がることなく、全体を均一に湾曲させることができる。また、安全性が向上し、仕切り板部の上端で手を切るような不具合を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明にかかる土壌用仕切り材1は、図2,図3に示すように、長手方向に延在する水平状の取付け板部2と、該取付け板部2の一側縁から上方に立上がる仕切り板部3と、前記取付け板部2の他側縁に上方曲成した狭幅状立上がり縁4とを備えてなる断面略L形の長尺状金属薄板5の、その取付け板部2に、前記仕切り板部3と狭幅状立上がり縁4間に亘る横幅を備え、かつ前記狭幅状立上がり縁4の下端位置に一致する直線状の一辺を備えた孔形状の切欠孔6を、取付け板部2の長手方向に沿って所定間隔で形成したことを特徴としている。
【0015】
以下に、上記土壌用仕切り材1の具体的な一実施例を、図1〜図8に基づいて説明する。
長尺状金属薄板5は、長尺な帯板状の金属薄板を断面略L形に折曲したものである。この長尺状金属薄板5の素材としては、長さ2025mm程度,幅 270mm程度,厚さ 1.2mm程度のステンレス,スチール等の鋼板が好適に使用され得る。この長尺状金属薄板5は、長手方向に延在する水平状の取付け板部2と、該取付け板部2の一側縁から上方に立上がる仕切り板部3と、前記取付け板部2の他側縁に上方曲成した狭幅状立上がり縁4とを備えており、取付け板部2には、複数の切欠孔6が長手方向に沿って所定間隔で形成されている。
【0016】
前記各切欠孔6は、矩形状に形成されており、その直線状の一辺が狭幅状立上がり縁4の下端位置に一致するように配設されている。また、この一辺に対向する他の直線状の一辺は仕切り板部3の下端から若干上方に上がった位置に配設されており、これにより生じる仕切り板部3の下部の開口を、切欠孔6に連続する水抜き孔7(図3参照)としている。また、取付け板部2には、各切欠孔6間に位置させて後述する固定杆9を挿通するための透孔8が夫々形成されている。さらに、前記仕切り板部3には、ヘミング曲げ加工によりその上端を折返してなる補強縁10(図5参照)が形成されている。該補強縁10により、仕切り板部3の強度を向上させ、その堅牢性をさらに高めることができるとともに、安全性を向上させ、仕切り板部3の上端で手を切るような不具合を防止し得るようにしている。
【0017】
このような構成からなる土壌用仕切り材1を製造するには、図4に示すように、素材としての帯板状の金属薄板14の取付け板部2となる一側縁寄りの所定領域部分に、プレス装置による打ち抜き加工によって複数の切欠孔6と透孔8を形成し、次に金属薄板14の他側縁の端部を仮想折曲線15で、プレス装置によるヘミング曲げ加工によって折返して補強縁10を形成する。この後、金属薄板14の一側縁を、切欠孔6の外側の一辺に一致する位置の仮想折曲線16で、プレス装置によるL曲げ加工によって略直角に折曲して狭幅状立上がり縁4を形成し、次いで、金属薄板14の幅方向の略中間部を、切欠孔6の内側の一辺より若干外側寄りの位置の仮想折曲線17で、プレス装置によるL曲げ加工によって狭幅状立上がり縁4と同方向へ略直角に折曲して仕切り板部3を形成する。これにより、前記土壌用仕切り材1を簡単に製造することができる。
【0018】
図5,図6は、かかる構成からなる土壌用仕切り材1を用いた、屋上等の人工地盤G上における植栽Sの施工状態を示す。このような施工を行うには、まず、植栽領域の縁部に沿って土壌用仕切り材1を固定手段を介して固定する。この固定手段は、図5に示すように、取付け板部2の透孔8に挿通されるタッピング螺子からなる固定杆9と、人工地盤Gに埋入したプラグ12とからなり、該プラグ12は、取付け板部2の透孔8に一致する所定間隔で人工地盤Gに埋入される。そして、取付け板部2の透孔8に挿通した固定杆9の先端側を、プラグ12に螺合させて緊締することにより、取付け板部2を人工地盤Gに固定するようにしている。ここで、取付け板部2は、植栽領域の内側に位置するように配置される。また、図6に示すように、人工地盤G上に防水層Bが敷設されている場合には、前記プラグ12によって防水層Bに孔を開けると防水作用が損なわれるため、取付け板部2の下面を両面テープ13によって人工地盤G上の防水層Bに接合して固定する固定手段が適用される。これにより、土壌用仕切り材1の仕切り板部3が植栽領域の縁部に沿って立設され、該仕切り板部3によって植栽領域の縁部を仕切ることができる。そして、このように設置した土壌用仕切り材1の内側に、マット状に成形された人工土壌Mを敷設することにより、該人工土壌Mの端部を仕切り板部3によって保持することができる。また、仕切り板部3の下部に水抜き孔7(図6参照)が形成されていることにより、該水抜き孔7によって人工土壌Mに含浸される雨水等の余剰水を自然排水させることができる。
【0019】
上記のような施工において、植栽領域の縁部を直線状に仕切る場合には、土壌用仕切り材1が直線状のままで用いられる。また、植栽領域の縁部を曲線状に仕切る場合には、土壌用仕切り材1の仕切り板部3を湾曲させて用いられる。この湾曲操作にあって、仕切り板部3を取付け板部2がある側へ湾曲させる場合に、各切欠孔6の一辺の上部に位置する狭幅状立上がり縁4の外側面部分を指で加圧して各切欠孔6内に若干押し込む予備曲げを施した後、仕切り板部3を両手で持って取付け板部2がある側へ湾曲させるように加圧すると、図7,図8に示すように、狭幅状立上がり縁4が各切欠孔6内で略V形に屈曲することにより、仕切り板部3を所望の曲線形状に簡単に湾曲させることができる。ここで、切欠孔6が仕切り板部3と狭幅状立上がり縁4間に亘る横幅を備え、かつ、その直線状の一辺が狭幅状立上がり縁4の下端位置に一致していることにより、人力による加圧に際して、取付け板部2の抵抗を受けることなく、狭幅状立上がり縁4をその厚み方向へ略V形に屈曲させることができ、この狭幅状立上がり縁4の厚み方向への略V形の屈曲変形によって、仕切り板部3に局所的な折れ曲がりが生じることなく該仕切り板部3を均一に湾曲成形することができる。また、土壌用仕切り材1が金属製であることにより、仕切り板部3自体の塑性変形による形状保持作用に加えて、略V形に屈曲した狭幅状立上がり縁4の塑性変形による形状保持作用によって、仕切り板部3の湾曲状態の保持がより強固なものとなる。そして、このように人力による加圧操作のみで仕切り板部3を取付け板部2がある側へ湾曲させ得るので、切断作業が不要であり、作業能率が向上する。
【0020】
尚、仕切り板部3を取付け板部2がない側へ湾曲させる場合には、各切欠孔6の上部に位置する狭幅状立上がり縁4を工具を用いて切断することにより、取付け板部2がない側への仕切り板部3の湾曲操作が可能となる。しかしながら、植栽の施工においては、湾曲させた土壌用仕切り材1を用いて植栽領域を円形に仕切ったり、植栽領域のコーナー部をR状に仕切る場合が殆どであり、このような施工には、仕切り板部3を取付け板部2がある側へ湾曲させて使用するため、上記のような狭幅状立上がり縁4の切断作業が必要となることは殆どない。
【0021】
また、上記実施例では、取付け板部2に矩形状の切欠孔6を形成した例を示したが、該切欠孔6は、仕切り板部3と狭幅状立上がり縁4間に亘る横幅を備え、かつ狭幅状立上がり縁4の下端位置に一致する直線状の一辺を備えた孔形状であればよい。図9(A),(B)は、他の形状の切欠孔6を示し、図9(A)では、切欠孔6が略三角形に形成されており、図9(B)では、切欠孔6が略半楕円形に形成されている。このような形状の切欠孔6を、仕切り板部3と狭幅状立上がり縁4間に亘る横幅で、その直線状の一辺を狭幅状立上がり縁4の下端位置に一致させて配設することにより、狭幅状立上がり縁4を切断することなく、取付け板部2の抵抗を受けずに、仕切り板部3を取付け板部2がある側へ容易に湾曲させることができる。
【0022】
また、上記実施例では、土壌用仕切り材1を用いて植栽領域を仕切る場合について説明したが、本発明にかかる土壌用仕切り材1は、透孔8に挿通されるアンカーからなる固定杆を地盤に打ち込んで固定することにより、道路,歩道,駐車場等の舗装工事において、その舗装領域を仕切る場合にも使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る土壌用仕切り材1の全体平面図である。
【図2】同上の土壌用仕切り材1の部分拡大平面図である。
【図3】同上の土壌用仕切り材1の部分拡大斜視図である。
【図4】同上の土壌用仕切り材1の製造時における加工方法を示す平面図である。
【図5】固定杆9とプラグ12とからなる固定手段を用いた施工状態の側断面図である。
【図6】両面テープ13からなる固定手段を用いた施工状態の側断面図である。
【図7】土壌用仕切り材1を湾曲させた状態を示す斜視図である。
【図8】土壌用仕切り材1を湾曲させた状態を示す平面図である。
【図9】他の形状の切欠孔6を備えた土壌用仕切り材1の平面図である。
【図10】従来構成の仕切り材aの斜視図である。
【図11】従来構成の仕切り材aを湾曲させた状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 土壌用仕切り材
2 取付け板部
3 仕切り板部
4 狭幅状立上がり縁
5 長尺状金属薄板
6 切欠孔
7 水抜き孔
10 補強縁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延在する水平状の取付け板部と、該取付け板部の一側縁から上方に立上げられた仕切り板部と、前記取付け板部の他側縁に上方曲成された狭幅状立上がり縁とを備えてなる断面略L形の長尺状金属薄板の、その取付け板部に、前記仕切り板部と狭幅状立上がり縁間に亘る横幅を備え、かつ前記狭幅状立上がり縁の下端位置に一致する直線状の一辺を備えた孔形状の切欠孔が、取付け板部の長手方向に沿って所定間隔で形成されていることを特徴とする土壌用仕切り材。
【請求項2】
前記仕切り板部の下部に、切欠孔に連続する水抜き孔が形成されていることを特徴とする請求項1記載の土壌用仕切り材。
【請求項3】
前記仕切り板部の上端を折返してなる補強縁が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の土壌用仕切り材。
【請求項1】
長手方向に延在する水平状の取付け板部と、該取付け板部の一側縁から上方に立上げられた仕切り板部と、前記取付け板部の他側縁に上方曲成された狭幅状立上がり縁とを備えてなる断面略L形の長尺状金属薄板の、その取付け板部に、前記仕切り板部と狭幅状立上がり縁間に亘る横幅を備え、かつ前記狭幅状立上がり縁の下端位置に一致する直線状の一辺を備えた孔形状の切欠孔が、取付け板部の長手方向に沿って所定間隔で形成されていることを特徴とする土壌用仕切り材。
【請求項2】
前記仕切り板部の下部に、切欠孔に連続する水抜き孔が形成されていることを特徴とする請求項1記載の土壌用仕切り材。
【請求項3】
前記仕切り板部の上端を折返してなる補強縁が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の土壌用仕切り材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−74259(P2009−74259A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−242163(P2007−242163)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(592094243)カネソウ株式会社 (73)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(592094243)カネソウ株式会社 (73)
【Fターム(参考)】
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