説明

土壌通気装置

【課題】土壌通気装置を提供する。
【解決手段】この土壌通気装置(10)は、この装置(10)のサイズおよび重量を減少させる比較的コンパクトなギアシステム(60)により操作される土壌通気用歯(50)を含む。更に、この土壌通気装置(10)は中心に配置される支持シャフトなしに操作することができ、それにより歯保持シャフト(30,40)を互いに近づけて配置させ、装置(10)のサイズを減少させることを可能にする。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は土壌通気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
土壌通気は、地下土壌の圧縮を軽減し、植物生育を刺激し、適切な排水を促進するために、土壌管理人により従来から使用されている技法である。土壌は過度の使用又は環境上の作用により圧縮されることがあり、これは最終的に土壌の透過性や、土壌内に植栽された植物の発達に悪影響を及ぼす。特に、圧縮した土壌はその中に入ることができる酸素量や、土壌から飛散することができる二酸化炭素の量を制限することになる。全ての土壌が過度の使用および環境上の要因により等しく悪影響を受けるわけではない。土壌圧縮の程度は、土性、植生の量、土壌の水分量に左右される。周期的な土壌通気は、上述のような悪影響により土壌に過度の負担が加えられ所望の植生を最早支持することができなくなる前に、土壌の圧縮を解放させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に、土壌通気装置は、地中に侵入させ、土壌の“栓”を除去させるようにした通気チューブを備えている。この通気チューブは通常、回転部材に固定された複数のバー又はラック上に担持されている。これらローター、ラックおよび関連するギア機構はそれぞれ一般に大きく、嵩高で重量も大きい。従って、土壌通気装置の総体寸法および重量も増大することになる。その結果、大きい排気量のエンジンを備えた比較的大きいトラクターの使用が必要となる。従って、土壌通気装置の殆んどは操作に費用がかさみ、住居用、軽便な商業用又は賃貸用の使用に不適当なものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
土壌通気装置は、そのサイズおよび重量を減少させる比較的コンパクトなギアシステムにより駆動される通気用歯を備えることができる。図示の実施例において、土壌通気装置は、キャリアに回転自在に装着された少なくとも2つの歯保持シャフトと、各シャフトに取着された複数の通気用歯とを具備している。この土壌通気装置は更に、前記歯保持シャフトをキャリアの中心軸の周りに回転させつつ、歯保持シャフト自体を自転させるギアシステムを備えることができる。このギアシステムは、各歯保持シャフトに連結された遊星ギアと、前記中心軸と同軸に整合したサンギアとを具備してなり、各サンギアを複数の遊星ギアに係合させたものでよい。
【0005】
種々の実施例として、土壌通気装置は中央に配置させた支持シャフトを設けることなく操作されるようにし、それにより歯保持シャフトを互いに接近させて配置させ、土壌通気装置のサイズを減少させるようにしてもよい。1実施例として、土壌通気装置は、フレームに回転自在に取着させたキャリアを有し、このキャリアを中心軸の周りに回転させるようにしてもよい。この土壌通気装置は更に、キャリアに回転自在に装着された第一および第二の2つの歯保持シャフトと、各シャフトに取着された複数の通気用歯とを具備してなるものでもよい。中心を外して配置させたシャフトをキャリアに接続させ、前記中心軸からオフセットし、前記キャリアに装着させてもよい。前記第一および第二のシャフトを中心軸からオフセットし、通気用歯が他の通気用歯又はシャフトから干渉されることなく、前記中心軸を通って操作されるようにしてもよい。
【0006】
以下、本発明の実施例を添付図面を参照して説明する。本発明の他の特徴、目的および利点は以下の記述、図面および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1を参照すると、土壌通気装置10は対向する一対のキャリア20、22間に延出する2つの歯保持シャフト30、40を有する。歯保持シャフト30、40はキャリア20、22に回転自在に装着されており、各シャフトは68で示すように、それ自体の軸の周りに回転(自転)するようになっている。シャフト30、40は軸方向に実質的に平行に配置され、土壌通気用歯50は各シャフト30、40から径方向に延出している。例えば、米国特許No.6,513,603号明細書((Bjorge;2003年2月4日)その内容の全てが参照として、ここに組み込まれるものとする)に教示されているように、土壌通気用歯50は地面から土壌に侵入し、その一部を取り去ることができる。中心を外して配置された2つの支持シャフト24,26も、対向する一対のキャリア20、22間に延出している。これら支持シャフト24,26はキャリア20、22に固着されていて、操作時において土壌通気装置10に対して機械的な支持を提供するようになっている。ギアシステム60は歯保持シャフト30、40と係合し、歯保持シャフト30、40を回転させるようになっている。このギアシステム60は、各サンギア65に対する複数の遊星ギア63、64を有する。各歯保持シャフト30、40には遊星ギア63又は64が取着されている。この実施形態において、サンギア65は遊星ギア63、64の間において配置され、駆動チェーン66を介して遊星ギア63、64と係合している。複数の遊星ギア63、64が個々のサンギア65を使用して操作されるため、ギアシステム60の嵩高を有効に減少させている。更に、土壌通気装置10は中心に配置された支持シャフトを使用しないから、歯保持シャフト30、40を互いに近づけて配置させることができ、従って土壌通気装置10の全体的サイズを減少させることができる。
【0008】
図1をより詳細に参照すると、ベアリング32および42を使用して歯保持シャフト30、40をそれぞれキャリア20、22に回転自在に装着させることができる。このベアリング32、42は玉軸受、転がり軸受又はブッシュのいずれであってもよく、歯保持シャフト30、40の一部がキャリア20、22を貫通して延びるためのアクセスを提供する。遊星ギア63は歯保持シャフト30と同軸に整合し、キャリア20の外側にある歯保持シャフト30の部分に固定されている。同様に、遊星ギア64は歯保持シャフト40と同軸に整合し、キャリア20を通って延出する歯保持シャフト40の部分に装着されている。この実施例において、遊星ギア63、64はサンギア65と径方向に整合しており、単一の駆動チェーン66が3つの歯車63、64、65の全てと係合するようになっている。ギアシステム60の操作を簡単に説明すると、キャリア20、22が駆動手段(図1には示されていない)により中心軸21を中心として回転される。サンギア65は、中心軸21と同軸に整合しており、キャリア20、22の回転したときに中心軸21との関連において実質的に固定された状態に維持される。これらキャリア20、22が回転すると、歯保持シャフト30、40が中心軸21を中心として回転されることになる。同様に、遊星ギア63、64も中心軸21を中心として回転されることになる。このようなことから、駆動チェーン66が遊星ギア63、64を方向68に回転させることにより遊星ギア63、64がサンギア65の周りを方向28に向けて回転することになる。歯保持シャフト30又は40をその軸を中心として方向68に自転させつつ、歯保持シャフト30又は40を中心軸21を中心として方向28に回転させる動きにより、土壌通気用歯50の所望の動き、つまり地面から土壌に侵入し、土壌の一部を除去する動きが生じることになる。
【0009】
更に図1を参照すると、支持シャフト24,26はキャリア20、22間に配置され、各キャリア20、22の周辺近傍に固定されている。支持シャフト24,26が中心からずれて(例えば、中心軸21からオフセットして)配置されているため、土壌通気用歯50が中心に位置するシャフトと当たるというような干渉を生じさせることなく、歯保持シャフト30、40を中心軸21に近づけて配置させることができる。むしろ、歯保持シャフト30、40は、土壌通気用歯50が干渉することなく中心軸21を通過する際に、方向68に向けて回転することができる。これらシャフト30、40、24および26のコンパクトな配置は、歯保持シャフト30、40を、回転する土壌通気用歯50と、中心に配置させた支持シャフトとの間のクリアランス(隙間)のために十分に離間させる必要があるその他の装置と比較して土壌通気装置10の全体的サイズを有益にも減少させることができる。
【0010】
図2を参照すると、土壌通気装置10はフレーム12内に設置することができる。このフレーム12は安全パネル13を有し、これは石片による歯保持シャフト30、40に対する損傷を防止すると共に、使用者を稼動する土壌通気用歯50および歯保持シャフト30、40から保護するようになっている。このフレーム12は更にサイドパネル14を含み、ギアシステム60を石片から保護するようにしてもよい。図2の実施例において、一方のサイドパネル14を省略しており、フレーム12内の土壌通気装置の状態をよりよく示すようにしている。所望により、サンギア65をサイドパネル14(図2に示すものから除去されている)に取着させ、サンギア65を中心軸21との関係で実質的に固定された状態を維持するようにしてもよい。キャリア20、22はサイドパネル14又はフレーム12の他の部分に回転自在に取着させ、キャリア20、22を、中心軸21を中心として回転させ、その間、フレーム12を中心軸21との関係で実質的に固定された状態を維持するようにしてもよい。1セットの車輪(図2には図示されていない)をサイドパネル14又はフレーム12の他の部分に連結させてもよい。更に、このフレームは、それをトラクター又は他の車両に取着させるための他の部材を含むものであってもよい。
【0011】
図3を参照すると、他の実施例としての土壌通気装置110は4つの歯保持シャフト130、135、140、145を有し、これらは2つのキャリア120、122の間に延出している。土壌通気用歯50は歯保持シャフト130、135、140、145のそれぞれから実質的に径方向に延出していて、地面から土壌に侵入し、その一部を除去することができる。歯保持シャフト130、135、140、145は互いに実質的に平行となって、キャリア120、122間において軸方向に延出している。歯保持シャフト130、135、140、145はそれぞれベアリング132、137,142および147を用いてキャリア120、122に回転自在に装着されている。従って、歯保持シャフト130、135、140、145はそれぞれ中心軸121の周りを方向128に回転しつつ、それぞれの軸を中心として方向168に自転するようになっている。ベアリング132、137,142および147は玉軸受、転がり軸受又はブッシュのいずれであってもよく、歯保持シャフト130、135、140、145の一部がキャリア120、122を貫通して延びるためのアクセスを提供する。
【0012】
図3、4を参照すると、土壌通気装置110は、各サンギア165(又は175)に対する複数の遊星ギア163、164(又は173、174)を有するギアシステム160を含む。この実施例において、遊星ギア163、164はサンギア165と係合している。遊星ギア163は歯保持シャフト130と同軸に整合した状態で歯保持シャフト130に固着されている。同様に、遊星ギア164は歯保持シャフト140と同軸に整合した状態で歯保持シャフト140に固着されている。サンギア165は中心軸121と同軸に整合しており、キャリア120、122の中心軸121を中心とする回転時において中心軸121との関連において実質的に固定された状態に維持される。駆動チェーン166はサンギア165および対応する遊星ギア163、164と係合し、遊星ギア163、164がサンギア165の周りを方向128に回転するとき、遊星ギア163、164を方向168に回転させる。この遊星ギア163、164の方向168の自転および方向128の回転により、歯保持シャフト130、140を地面から侵入させ、土壌の一部を取り去るための所望の経路となるように動作させることができる。遊星ギア173、174は、サンギア165および遊星ギア163、164と同様の様式で駆動チェーン176を介してサンギア175と係合している。遊星ギア173、174のサンギア175との係合により、歯保持シャフト135、145は、歯保持シャフト130、140の場合と同様にして、方向168の自転および方向128の回転を行うことができる。ギアシステム160は、各歯保持シャフトについて個々のサンギアおよび遊星ギアを使用することなく(例えば、4つの歯保持シャフト、4つのサンギア、4つの遊星ギア)、歯保持シャフト130、135、140、145の所望の動きを提供するものである。むしろ、ギアシステム160は、各サンギアを介して複数の遊星ギアを操作させ、それにより土壌通気装置のギアシステムの嵩高を有利に減少させることになる。
【0013】
図5を参照すると、土壌通気装置110はフレーム112内に組み込まれ、地面上を移動させることができる。このフレームは、図2との関連で先に記載したものと同様に、安全パネル113およびサイドパネル114を具備する。この実施例において、フレーム112内に収容した土壌通気装置110をよりよく示すためサイドパネル114が省略されている。更に、このフレームに車輪116および接続手段117を設け、それによりフレーム112をトラクター又は他の車両に取着させて地面上に移動させることができる。
【0014】
再度、図3を簡単に参照すると、土壌通気装置110は中心軸121に沿って支持シャフト124を設けたものでもよい。この支持シャフト124は操作時において土壌通気装置110に対し機械的安定性を付与する。所望により、土壌通気装置110は中心に配置させた支持シャフト124を設けることなく操作させてもよい。例えば、支持シャフト124を要することなく土壌通気装置110に対し十分な機械的安定性が得られるように、歯保持シャフト130、135、140、145をキャリア120、122に回転自在に装着させてもよい。この場合、歯保持シャフト130、135、140、145は、中心からずらして配置させた支持シャフトとしての役割も果たすことになる。
【0015】
次に、図6を参照すると、中央に配置させた支持シャフトを除くことにより、土壌通気装置のサイズを有利に減少させることができる。土壌通気装置10(図1にも図示されている)は、中心からずらした支持シャフト24、26を有する。従って、歯保持シャフト30、40を、土壌通気用歯50のためのクリアランス(間隙)を要することなく、中心軸21に近づけて配置させることができる。一方の歯保持シャフト30に対し複数の土壌通気用歯50を、他方の歯保持シャフト40上の複数の土壌通気用歯50に対し、互い違いに配置させ、一方の土壌通気用歯50を他方の土壌通気用歯50に干渉することなく、歯保持シャフト30を中心として回転させることができる。或る実施例においては、中心に配置させた支持シャフト124からの機械的支持を必要とする場合がある。このような場合、歯保持シャフト相互を十分に離間させ、土壌通気用歯50を、中心に位置させた支持シャフト又は隣接する歯保持シャフトからの干渉を受けることなく1つの歯保持シャフトを中心として回転させる。例えば、土壌通気装置110(図3にも図示されている)は、中心に位置させた支持シャフト124と、土壌通気用歯50のためのクリアランスを与えるように離間させた歯保持シャフト130、135、140、145とを具備してなる。しかし、中心に位置させた支持シャフト124を除き、歯保持シャフトを互いにより近づけて配置させれば、土壌通気装置110のサイズを減少させることができる。
【0016】
操作に際し、土壌通気装置10又は110はフレーム12又は112に取着され、地面上に案内される。或る実施例において、このフレームをトラクター又は他の車両に取着可能にさせ、土壌通気装置を地面上でこの車両の後に牽引させる。他の実施例において、このフレームは使用者が地面上を手動で押すことができるように構成される。駆動手段、例えばキャリアを回転させるスピニング・ドライブシャフトをフレーム12又は112および土壌通気装置10又は110に取着させ、遊星ギアおよび歯保持シャフトの所望の回転および自転動作を生じさせるようにしてもよい。その他、駆動手段は、キャリア20又は120が地面上を走行する際にキャリア20又は120が回転させられるようにしたものでもよい。
【0017】
図7A−Cを参照すると、土壌通気用歯50は、地面80に侵入し、土壌82の一部を除去するよう操作される。ギアシステム60および歯保持シャフト30、40の相互作用により、歯保持シャフト30、40の回転28および自転68を生じさせ、順次、個々の土壌通気用歯50の所望の動きを生じさせる。なお、土壌通気装置10で使用される土壌通気用歯50の型などの多くのファクター次第で、回転方向68および自転方向28は図7A−Cに示すものと異なるものでもよい。(土壌通気用歯50の操作を、図1の土壌通気装置10およびギアシステム60の実施例との関連で説明したが、この説明は図3に図示した実施例などの土壌通気装置の他の実施例にも適用することができる。)歯保持シャフト30が中心軸21の周りを回転(方向28)し、地面80に近い点に達した時点において、地面80に対し土壌通気用歯50が鋭角に向くように、ギアシステム60は構成される。
【0018】
図7Aを参照すると、土壌通気用歯50は土壌82の一部を地面80に対して鋭角84で侵入する。この実施例において、土壌通気用歯50の1又はそれ以上の土壌破砕面52が鋭角で土壌に侵入し、それにより土壌通気用歯50に近い土壌は圧縮されることなく上に向けて破砕される。図7Bを参照すると、歯保持シャフト30は中心軸21を中心として方向28に回転し続けるが、土壌通気用歯50は、歯保持シャフト30に取着された遊星ギア63の動作により方向68に回転する。自転28および回転68の動作によりもたらされる円弧状一掃動作56により、土壌通気用歯50が侵入した領域に通気ポケット86が形成される。図7Cに示すように、歯保持シャフト30は中心軸21を中心として方向28に回転し続け、それにより土壌通気用歯50を方向68に回転させながら土壌82から引き上げさせる。自転28および回転68の動作によりもたらされる除去動作58により通気ポケット86の形成が完了することになる。この実施例においては、土壌通気用歯50は切断チューブ55を含み、これが上記一掃動作56および除去動作58の間において、土壌82の栓88を切断、除去することになる。上記侵入動作54、一掃動作56および除去動作58は、次の歯保持シャフト40が地面80近傍で方向28に回転し、対応する遊星ギア64が土壌通気用歯50を地面80に対し鋭角となるように向わせることにより、繰り返される。
【0019】
土壌通気装置110のためのギアシステムの種々の態様のものを土壌通気装置110の嵩高を有利に減少させるために使用することができる。図8を参照すると、ギアシステム260を、歯保持シャフト130、135、140、145の所望の動作を生じさせるように作動させることができる。すなわち、この実施例においては、サンギア265が中心軸121に整合して、キャリア120が中心軸121を中心として回転する際においてもサンギア265は中心軸121との関連で実質的に固定された状態に維持される。サンギア265は必ずしも遊星ギア263、264間に配置されないが、これら歯車263、264および265が径方向に整合して、駆動チェーン266がこれら歯車263、264および265と係合している。同様に、遊星ギア273、274が、中心軸121と同軸に整合した他のサンギア(第一のサンギア265の背後に配置されていて図8には現われていない)と連動するようになっている。別の態様としては、サンギア265の軸方向の厚みおよび駆動チェーンのタイプによっては、駆動チェーン266、276を同一のサンギア265と係合させるようにしてもよい。図8に示すように、遊星ギア263、264、273、274は、対応するサンギアの周りを回転方向128に移動しつつ、夫々の軸を中心としてそれぞれ回転方向168に自転することになる。各サンギアを使用してそれぞれ複数の遊星ギア(1対1の対応ではなく)を操作するようになっているため、土壌通気装置およびギアシステムの嵩高を減少させることができる。
【0020】
他の実施例において、ギアシステムはサンギアと間接的に係合する遊星ギアを含むものであってもよい。図9を参照すると、駆動チェーン366は第一の遊星ギア362およびサンギア365と係合している。第二の駆動チェーン376は第一の遊星ギア362および他の遊星ギア361、363、364と係合しているが、サンギア365とは係合していない。サンギアは中心軸121に整合し、キャリア120が中心軸121を中心として回転する際においてもサンギアは中心軸121との関連で実質的に固定された状態に維持される。キャリア120が中心軸121を中心として回転すると、遊星ギア361、362、363、364がサンギア365の周りを方向168に向かって回転する。駆動チェーン366は遊星ギア363をその軸を中心として方向168に向けて自転させる。この遊星ギア362の回転により駆動チェーン376が作動し、他の遊星ギア361、363、364が同一回転方向168に回転されることになる。従って、よりコンパクトなギアシステム360により、1つのサンギア365を用いて4個の遊星ギア361、362、363、364が駆動されることになる。
【0021】
以上記載した或る実施例では、ギアシステムが土壌通気装置の1側に配置されている。しかし、他の実施例として、2つのギアシステムを設けてもよい。すなわち、装置の両側にそれぞれ1つのギアシステムを設ける。例えば、1つのギアシステムを1つのキャリア20又は120の外側に配置させ、第二のギアシステム(第一のギアシステムと実質的に似せたもの)を反対側のキャリア20又は120の外側に配置させる。
【0022】
更に、土壌通気用歯50は図7A−Cに示す実施例に限定されない。むしろ、土性又は他のファクター次第で、土壌通気用歯50の形状を種々変更することができる。例えば、破砕用表面、スパイク、通気チューブ、通気ブレード又はこれらの組合せなどを用いることができる。図10を参照すると、例えば、土壌通気用歯は、地面から土壌の“栓”を必ずしも除去することなく土壌に侵入し、土壌を切断するようにした通気ブレード150を含むものであってもよい。この通気ブレードは、先端152と、凹状エッジ154と、凸状エッジ156とを有し、土壌の圧縮度を減少させながら土壌に侵入し、土壌を切断するようになっている。従って、この土壌通気装置の操作の後においては、地面に土壌の栓が散在することがなくなる。
【0023】
更に、自転方向68又は168および回転方向28、128は、図1、3、4、7A−C、8および9に示した実施例に限定されるものではない。例えば、土壌通気ブレードを含む土壌通気用歯50を、自転方向68又は168及び/又は回転方向28、128を図示のものとは逆にして操作させるようにしてもよい。
【0024】
更に、ギアシステムを、駆動チェーン以外の係合部材を用いてギアシステム内の歯車相互を係合させて使用してもよい。例えば、係合部材はケーブル、ベルト、連結チェーンなどを含むものであってもよい。従って、歯車の接触面は、係合部材の選択されたタイプのものと適当に係合するように構成させることができる。
【0025】
更に、土壌通気装置のギアシステムは、任意の数のサンギアを有することができ、1又は2つのサンギアを有する実施例に限定されない。従って、ギアシステムは任意の数の遊星ギアを含み、各サンギアが複数の遊星ギアと係合するようにしたものでもよい。
【0026】
他の実施例として、土壌通気装置は、歯保持シャフトを同軸に配置し、かつ、中心から外して配置させた支持シャフトを有するものであってもよい。この実施例において、歯保持シャフトはキャリアに回転自在に装着され、遊星ギアと連結され、他方、内側支持シャフトが、対向するキャリアに対し固着されている。この歯保持シャフトおよび中心から外して配置させた支持シャフトの構成は、土壌通気装置に対する支持部材を提供するものとなる。更に、この支持シャフトが歯保持シャフトの外側の空間を占めるものでないから、より多数の歯保持シャフトをキャリアに装着することができる。その他、中心から外して配置させる支持シャフトを、キャリアの外側周辺に沿うようにしてキャリアに装着してもよい。例えば、キャリアが円形の実施例において、この支持シャフトは、キャリアの周縁の曲線に一致する凹面を有する非常に薄い部材であってもよい。この凹面は上記周縁の一部に沿ってキャリアに装着し、中心から外して配置させる支持シャフトが、キャリアの対向面のかなりの領域を占めないようにしてもよい。
【0027】
以上、本発明の種々の実施例について記載したが、これらは、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく種々変更することが可能であろう。従って、そのような他の具体例も添付の特許請求の範囲に包含されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の1実施例に係る土壌通気装置の斜視図。
【図2】図1の土壌通気装置を収容するためのフレームを、その構成部材の一部を省略して示す斜視図。
【図3】本発明の他の実施例に係る土壌通気装置の斜視図。
【図4】図3の土壌通気装置の側面図。
【図5】図4の土壌通気装置を収容するためのフレームを、そのサイドパネルを省略して示す斜視図。
【図6】図1の土壌通気装置および図3の土壌通気装置を示す斜視図。
【図7】A〜Cは、本発明の1実施例に従って通気ポケットを形成する土壌通気用歯の状態を示す側面図。
【図8】本発明の他の実施例に係る図3の土壌通気装置の側面図。
【図9】本発明の更に他の実施例に係る図3の土壌通気装置の側面図。
【図10】本発明の1実施例に係る土壌通気装置で使用することができる通気用歯の斜視図。
【符号の説明】
【0029】
10,110 土壌通気装置
12,112 フレーム
13,113 安全パネル
14,114 サイドパネル
20,22,120,122 キャリア
21,121 中心軸
24,26 支持シャフト
30,40,130,135,140,145 歯保持シャフト
50 土壌通気用歯
60,160,260,360 ギアシステム
63,64,163,164,173,174,263,264,361,362,363,364 遊星ギア
65,165,175,265,365 サンギア
66,166,266,366,376 駆動チェーン
132,137,142,147 ベアリング
150 通気ブレード
154 凹状エッジ
156 凸状エッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアに回転自在に連結された実質的に平行な第一および第二のシャフトであって、それぞれが1又はそれ以上の土壌通気用歯を取着してなるものと;
前記第一および第二のシャフトを前記キャリアの中心軸の周りに回転させると共に、前記第一および第二のシャフトをそれぞれ自転させるためのギアシステムであって、前記シャフトのそれぞれに連結された遊星ギアと、前記中心軸と同軸に整合したサンギアとを備えてなるものと;
を具備してなり;
各サンギアを複数の遊星ギアと係合させてなることを特徴とする土壌通気のための装置。
【請求項2】
前記中心軸からオフセットして、かつ、前記キャリアに連結されて、中心から外れて配置された支持シャフトをさらに具備してなる請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記第一および第二のシャフトが前記中心軸からオフセットして配置され、前記土壌通気用歯が、他の土壌通気用歯又はシャフトからの干渉を受けることなく、前記中心軸を通過して操作可能となっている請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記ギアシステムが:
前記第一のシャフトと連結し、該第一のシャフトの第一の軸と同軸に整合した第一の遊星ギアと;
前記第二のシャフトと連結し、該第二のシャフトの第二の軸と同軸に整合した第二の遊星ギアと;
前記第一および第二の遊星ギアを径方向に整合した前記サンギアと;
前記サンギア、前記第一の遊星ギアおよび前記第二の遊星ギアに係合してなる係合部材と;
を具備してなる請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記キャリアが前記中心軸を中心として回転したときに、
前記第一および第二の遊星ギアが前記サンギアの周りを回転し;
前記第一の遊星ギアが前記第一の軸を中心として回転し;
前記第二の遊星ギアが前記第二の軸を中心として回転するようになっている請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記キャリアが前記中心軸を中心として回転したときに、
前記第一および第二のシャフトが前記中心軸の周りを回転し;
前記第一のシャフトが前記第一の軸を中心として回転し;
前記第二のシャフトが前記第二の軸を中心として回転するようになっている請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記キャリアが前記中心軸を中心として回転したとき、土壌通気用歯が地面から侵入し、土壌の一部を除去するように動作可能となっている請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記係合部材がチェーン、ケーブル、又はベルトを具備してなる請求項4記載の装置。
【請求項9】
前記土壌通気用歯がチューブ、ブレード、スパイク、又はそれらの組合せを具備してなる請求項1記載の装置。
【請求項10】
フレームに回転自在に取着され、中心軸を中心として回転可能なキャリアと;
該キャリアに回転自在に連結された第一および第二のシャフトであって、該第一のシャフトが前記第一の軸を中心として回転し、該第二のシャフトが前記第二の軸を中心として回転するようになっていて、前記第一の軸および第二の軸が前記中心軸に対し実質的に平行となっており、これらシャフトのそれぞれが1又はそれ以上の土壌通気用歯を取着してなるものと;
ギアシステムと;
を具備してなる土壌通気装置であって;
更に、前記ギアシステムは:
前記第一のシャフトと連結し、該第一のシャフトの第一の軸と同軸に整合した第一の遊星ギアと;
前記第二のシャフトと連結し、該第二のシャフトの第二の軸と同軸に整合した第二の遊星ギアと;
前記中心軸と同軸に整合して、かつ、前記第一および第二の遊星ギアを径方向に整合した前記サンギアであって、前記フレームに対し実質的に固定されたものと;
前記サンギア、前記第一の遊星ギアおよび前記第二の遊星ギアに係合してなる連結部材と;
を具備してなることを特徴とする土壌通気装置。
【請求項11】
前記キャリアが前記中心軸を中心として回転したときに、
前記第一および第二の遊星ギアが前記サンギアの周りを回転し;
前記第一の遊星ギアが前記第一の軸を中心として回転し;
前記第二の遊星ギアが前記第二の軸を中心として回転するようになっている請求項10記載の土壌通気装置。
【請求項12】
前記キャリアが前記中心軸を中心として回転したときに、
前記第一および第二のシャフトが前記中心軸の周りを回転し;
前記第一のシャフトが前記第一の軸を中心として回転し;
前記第二のシャフトが前記第二の軸を中心として回転するようになっている請求項11記載の土壌通気装置。
【請求項13】
前記キャリアが前記中心軸を中心として回転したとき、土壌通気用歯が地面から侵入し、土壌の一部を除去するように動作可能となっている請求項12記載の土壌通気装置。
【請求項14】
前記連結部材がチェーン、ケーブル、又はベルトを具備してなる請求項10記載の土壌通気装置。
【請求項15】
前記中心軸からオフセットして、かつ、前記キャリアに連結され、中心から外れて配置された支持シャフトをさらに具備してなる請求項10記載の土壌通気装置。
【請求項16】
前記第一および第二のシャフトが前記中心軸からオフセットして配置され、前記土壌通気用歯が、他の土壌通気用歯又はシャフトからの干渉を受けることなく、前記中心軸を通過して操作可能となっている請求項15記載の土壌通気装置。
【請求項17】
前記フレームが少なくとも1つの車輪と、前記フレームを車両に着脱自在に取着させるための接続手段とを具備してなる請求項10記載の土壌通気装置。
【請求項18】
前記キャリアと係合し、該キャリアを前記中心軸を中心として回転させる駆動手段を更に具備してなる請求項17記載の土壌通気装置。
【請求項19】
前記土壌通気用歯がチューブ、ブレード、スパイク、又はそれらの組合せを具備してなる請求項18記載の土壌通気装置。
【請求項20】
フレームに回転自在に取着され、中心軸を中心として回転可能なキャリアと;
該キャリアに回転自在に連結された第一および第二のシャフトであって、これらシャフトのそれぞれが1又はそれ以上の土壌通気用歯を取着してなるものと;
前記中心軸からオフセットして前記キャリアに連結された支持部材と;
を具備してなり;
前記第一および第二のシャフトは前記中心軸からオフセットして配置され、前記土壌通気用歯が、他の土壌通気用歯又はシャフトからの干渉を受けることなく、前記中心軸を通過して操作可能となっていることを特徴とする土壌通気のための装置。
【請求項21】
前記第一および第二のシャフトを前記キャリアの中心軸の周りに回転させると共に、該第一および第二のシャフトをそれぞれ自転させるためのギアシステムを更に具備してなり、該ギアシステムが前記シャフトのそれぞれに連結された遊星ギアと、前記中心軸と同軸に整合したサンギアとを有することを特徴とする請求項20記載の装置。
【請求項22】
前記サンギアのそれぞれが、複数の遊星ギアと係合している請求項21記載の装置。
【請求項23】
各サンギアを、対応する複数の遊星ギアに係合させるための連結部材を更に具備してなり、該連結部材がチェーン、ケーブル、又はベルトを具備してなるものである請求項22記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−520992(P2007−520992A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−508283(P2005−508283)
【出願日】平成15年9月2日(2003.9.2)
【国際出願番号】PCT/US2003/027680
【国際公開番号】WO2005/018301
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(506047813)プラネットエアー ターフ プロダクツ,エルエルシー (4)
【Fターム(参考)】