土質材料の解泥方法及びその装置
【課題】建設発生土や建設汚泥の再利用と減容化を図るために、これらの土質材料を解泥してソイルセメントの原材料として使用するための土質材料の解泥方法及びその装置を提供することを目的とする。
【解決手段】土質材料1をトロンメルバケット4内に掬い上げた後、該トロンメルバケット4を解泥槽6の上方に移動させて、トロンメル5を回転駆動させるとともに、トロンメル5内に清水12又は解泥水15を供給することにより、トロンメル5の回転とトロンメル5内に供給された清水12又は解泥水15によってトロンメル5内の土質材料1を解泥し、トロンメル5のスクリーン5aを介して解泥水15として解泥槽6に供給するとともに、トロンメル5によって土質材料1の礫14を分級し、トロンメル5内に分離させる土質材料の解泥方法及びその装置を提供する。
【解決手段】土質材料1をトロンメルバケット4内に掬い上げた後、該トロンメルバケット4を解泥槽6の上方に移動させて、トロンメル5を回転駆動させるとともに、トロンメル5内に清水12又は解泥水15を供給することにより、トロンメル5の回転とトロンメル5内に供給された清水12又は解泥水15によってトロンメル5内の土質材料1を解泥し、トロンメル5のスクリーン5aを介して解泥水15として解泥槽6に供給するとともに、トロンメル5によって土質材料1の礫14を分級し、トロンメル5内に分離させる土質材料の解泥方法及びその装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の建設工事や土木工事から大量に発生する建設発生土や建設汚泥の再利用と減容化を図るために、これらの土質材料を解泥してソイルセメントの原材料として使用するための土質材料の解泥方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の建設工事や土木工事から大量に発生する建設副産物としての建設発生土や建設汚泥を再利用するための有効な活用策として、ソイルセメント工法が注目されている。このソイルセメント工法とは、建設現場等で発生した土に流動性を高めるための水、或いは濁・泥水と固化材を適切な配合で混合し、用途に適した流動性、材料分離抵抗性をもった状態で埋め戻し、裏込め等の必要な箇所に流し込んで打設し、適切な養生状態で固化を待って処理を終了する工法である。
【0003】
建設発生土とは、各種の建設工事や土木工事から発生する礫質土,砂質土,粘性土などからなる土砂の総称であり、「廃棄物処理及び清掃に関する法律」(以下、廃棄物処理法という)に規定する産業廃棄物には該当しない。一方、建設汚泥とは、各種の建設工事や土木工事にかかる掘削工事から生じる泥状の掘削物及び泥水のうち、廃棄物処理法に規定する産業廃棄物として取り扱われるものをいう。泥状の状態は標準仕様ダンプトラックに山積みできず、その上を人が歩けないような流動性を呈する状態をいう。
【0004】
建設発生土や建設汚泥その他の土質材料をソイルセメント工法におけるソイルセメントの原料として再利用するためには、これらの土質材料に水、或いは濁・泥水を加えて解泥して所定の含水率に調整するとともに、一定サイズ以上の礫を除去する必要がある。ソイルセメントの品質基準では一般埋め戻し材としては礫40mm以下、埋設管周りの埋め戻し材としては礫13mm以下と定められている。
【0005】
従来、建設発生土や建設汚泥その他の土質材料を解泥する手段としては、図11に示すように解泥槽31内に土質材料32と水33を投入し、バックホウ34の標準のバケット35を使用して、バケット35の動作によって解泥槽31内で撹拌を行って解泥している(特許文献1,非特許文献1、第181頁,第222頁参照)。また、図12に示すように、標準のバケット35に換えて、バケット底部に枡目状の間隙が形成されたスケルトンバケット36を使用して解泥槽31内で撹拌したり、或いは、図13に示すように標準のバケット35に換えて内部に撹拌機構を具備したミキシングバケット37を使用して解泥槽31内で撹拌している。これらのバックホウ34に装備した標準のバケット35,スケルトンバケット36,ミキシングバケット37は建設発生土や建設汚泥の土質材料の解泥槽31への移送手段としても使用することができる。
【0006】
或いは標準のバケット35に換えて、撹拌装置を装着した建設機械(特許文献1)を使用する解泥手段も提供されている。このようにして、撹拌終了後に振動スクリーンを使用して所定サイズ以上の礫を分離し除去することによって、ソイルセメントの原料としての解泥水を製造している。
【0007】
更に、上部に材料投入口を備えるとともに、下部に開閉自在のゲートを備えた材料排出口を有する横型円筒形状のドラムの断面中心位置に水平方向に沿って回転シャフトが配設されるとともに、前記横型円筒状ドラムの側部に前記回転シャフトを回転駆動させる駆動源を配置した混合機からなる解泥装置も提供されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−147950号公報
【特許文献2】特開2002−285571号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「土の流動化処理工法」(第181頁,第222頁外) 技報堂出版2007年9月25日発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図11に示すバックホウ34の標準のバケット35を使用する解泥手段では、バケット35の撹拌力が弱く十分な撹拌を行うことができず、又解泥槽31内から礫を除去する際にバケット35を使用して水切りを行うことができない。一方、図12に示すスケルトンバケット36を使用する解泥手段によれば、バケット底部に枡目状の間隙が形成されているため、礫を除去する際にこのスケルトンバケット36を使用して水切りを行うことができるが、撹拌力が弱く、十分な撹拌を行うことができない。これに対し、図13に示すミキシングバケット37を使用する解泥手段によれば、ミキシングバケット内の撹拌装置によって効率よく十分な撹拌を行うことができるが、礫が存在すると、撹拌羽根に噛み込んでしまい稼働が停止したり、故障の原因ともなる。
【0011】
特許文献1に示す解泥手段では、バックホウのアタッチメントとして撹拌装置を使用するものであり、保護枠体で囲繞したとしても、礫による撹拌装置への噛み込みを有効に防止することは困難であり、礫が撹拌装置に噛み込んでしまい稼働が停止したり、故障の原因ともなることに変わりない。更に、いずれの手段においても、解泥後に振動スクリーンを使用して礫を除去する必要があり、解泥作業が煩瑣な2段階となる。
【0012】
特許文献2に示す解泥手段では、専用の混合機を必要とし、各現場で迅速に対応することが困難であるし、又ショベル羽根で撹拌するため、ミキシングバケット37と同様に礫が存在すると、撹拌羽根に噛み込んでしまい稼働が停止したり、故障の原因ともなる。そのため、礫を含まない粘性土主体の泥土にしか対応することができない。更に、特許文献1,2に示す解泥手段では、建設発生土や建設汚泥の土質材料の運搬手段を有するものではないため、別途解泥槽や解泥装置への土質材料の運搬手段を必要とする。
【0013】
即ち、従来の解泥手段によれば、それぞれ一長一短があり、いずれの手段においても解泥の効率が悪く、しかも解泥と同時に礫の分級をすることができず、結果として解泥処理に長時間を要することとなっている。
【0014】
そこで、本発明は建設発生土や建設汚泥その他の土質材料をソイルセメントの原材料として使用可能とすることによって、その再利用と減容化を図るために、これらの土質材料を効率よく、短時間で解泥できるとともに、解泥と同時に礫を分級して除去することのできる土質材料の解泥方法及びその装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明はその目的を達成するために、土質材料をトロンメルバケット内に掬い上げた後、該トロンメルバケットを解泥槽の上方に移動させて、トロンメルを回転駆動させるとともに、トロンメル内に清水又は解泥水を供給することにより、トロンメルの回転とトロンメル内に供給された清水又は解泥水によってトロンメル内の土質材料を解泥し、トロンメルのスクリーンを介して解泥水として解泥槽に供給するとともに、トロンメルによって土質材料の礫を分級し、トロンメル内に分離させる土質材料の解泥方法を基本として提供する。
【0016】
そして、トロンメル内に供給する清水として、予め解泥槽内に貯留した清水を、解泥水ポンプを使用して供給し、或いはトロンメル内に供給する解泥水として、解泥槽内に貯留した解泥水を、解泥水ポンプを使用して供給する。トロンメルのスクリーンとして、40mm以上又は13mm以上の礫を分級できるスクリーンを使用する。また、トロンメルによって分級した礫をトロンメル内から礫置場に排出し、解泥槽に撹拌機を設置して、解泥槽の解泥水を撹拌し、土質材料から解泥して、解泥槽に貯留した解泥水を移送ポンプを使用して貯泥槽に移送するようにする。
【0017】
即ち、トロンメルバケットをバックホウに装備することにより、トロンメルバケットを土質材料の貯留場所まで移動して土質材料の掬い上げ、及び解泥槽の上方へ移動させて設置してトロンメルを回転駆動し、更に、トロンメル内の土質材料の解泥・分級が終了した後に礫置場まで移動させて、トロンメル内に分離した礫を、礫置場に排出するようにする。土質材料として、建設発生土及び/又は建設汚泥を解泥する。
【0018】
また、バックホウに装備したトロンメルバケットと、解泥槽と、トロンメルバケット内に清水又は解泥水を供給する解泥水ポンプと、解泥槽内に清水を供給するための清水槽とからなる土質材料の解泥装置を提供する。更に、解泥槽内に撹拌機を設置する。より具体的には、バックホウに装備したトロンメルバケットと、解泥槽と、トロンメルバケット内に清水又は解泥水を供給する解泥水ポンプと、解泥槽内に設置された撹拌機からなり、トロンメルバケットに掬い上げた土質材料に解泥水ポンプから清水又は解泥水を供給するとともに、トロンメルを回転駆動することにより、トロンメル内の土質材料を解泥してトロンメルのスクリーンを介して解泥水として解泥槽に供給し、解泥槽に設置した撹拌機で解泥槽に供給された解泥水を撹拌するとともに、トロンメルによって土質材料の礫を分級し、トロンメル内に分離させる。
【0019】
そして、トロンメルバケットにおけるトロンメルのスクリーンとして、40mm以上又は13mm以上の礫を分級できるスクリーンを使用し、トロンメルによって分級した礫をトロンメル内から排出する礫置場を設置し、土質材料から解泥して、解泥槽に貯留した解泥水を移送するための移送ポンプと、移送した解泥水を貯留する貯泥槽を設置し、土質材料として、建設発生土及び/又は建設汚泥を解泥する。
【発明の効果】
【0020】
上記構成の本発明によれば、ソイルセメントを製造するための建設発生土や建設汚泥等の各種土質材料の解泥作業をトロンメルバケットを使用して行うことによって、トロンメルの回転とトロンメル内に供給する清水又は解泥水によって解泥効率が上がり、効率化を図ることができる。しかも、トロンメルのスクリーンのメッシュサイズ以上の礫は、トロンメル内に分級されるため、解泥と分級を同時に行うことができる。そのため、従来必須の工程であった礫を除去するための解泥後における振動スクリーンを使用した分級作業を必要としない。
【0021】
しかも、トロンメルバケットは解泥槽の中に浸漬する必要がなく、解泥槽内に設置した撹拌機を併用してトロンメルのスクリーンから抜け出た粘性土も解泥槽内において解泥することができ、より正確で確実な解泥作業を実施することができる。よって、各種土質材料をソイルセメントの原料として各現場において再利用することができるとともに、その減容化を効率よく、短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明にかかる土質材料の解泥方法及びその装置を概略的に示すシステム図。
【図2】本発明にかかる土質材料の解泥装置の全体配置図。
【図3】本発明の工程説明図。
【図4】本発明の工程説明図。
【図5】本発明の工程説明図。
【図6】本発明の工程説明図。
【図7】本発明の工程説明図。
【図8】本発明の工程説明図。
【図9】本発明の工程説明図。
【図10】本発明の工程説明図。
【図11】従来の土質材料の解泥方法の要部説明図。
【図12】従来の土質材料の解泥方法の要部説明図。
【図13】従来の土質材料の解泥方法の要部説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下図面に基づいて本発明にかかる土質材料の解泥方法及びその装置の実施形態を説明する。本発明が対象とする土質材料は、ソイルセメントの原材料として利用できる礫質土,砂質土,粘性土などの土全般を対象としており、その種類や発生原因に限定はない。特には、各種の建設工事や土木工事、例えば場所打ち杭や地中連続壁の掘削工事等において大量に発生する建設発生土や建設汚泥を主たる対象としている。本発明は、これらの土質材料をソイルセメントの原材料として使用するために所定の含水率に調整するとともに、所定サイズ以上の礫を除去した解泥水に解泥するものである。
【0024】
図1は、本発明にかかる土質材料の解泥方法及びその装置を概略的に示すシステム図、図2は建設現場における土質材料の解泥装置の全体配置図、図3〜図10は工程説明図である。図において、1は建設発生土や建設汚泥からなる解泥対象物としての土質材料であり、建設現場等において所定のエリアに設置された土質材料槽1aに集積されている。先ず、図1のステップA及び図3に示すように、アーム3の先端にアタッチメントとしてトロンメルバケット4を装着したバックホウ2を土質材料槽1aまで移動させて、トロンメルバケット4に土質材料1を掬い取ることができる位置に設置する。なお、図1においてアルファベットで示すステップA〜ステップNは解泥方法の各解泥工程を示し、枠TRで囲って示した各工程はトロンメルバケット4を使用した解泥工程を示している。
【0025】
本発明はトロンメルバケット4を使用して、解泥と分級を同時に行うことよって、解泥時間の短縮と効率化を図ることに特徴を有する。本発明で使用するトロンメルバケット4そのものはバックホウ2のアーム3の先端に装着されて使用される公知の構成であって、バケット内に円筒形の回転篩であるトロンメル5を回転自在に装備している。このトロンメル5はバックホウ2の油圧ユニットからの油圧によって所定速度で回転し、バケット内の収納物を天地反転させて、トロンメル5のスクリーン5aによって収納物を篩い分けて分級することができる。
【0026】
そして、ステップAの状態から、アーム3を駆動させてトロンメルバケット4内に土質材料1を掬い取って、ステップBに示す土質材料1の取込を行う。次に、ステップC及び図4に示すようにバックホウ2を解泥槽6まで移動させて、トロンメルバケット4を解泥槽6の上方に設置する。図2におけるバックホウ2はこのステップCの状態を示している。図2に示す状態から右方向に移動することによって、ステップAに示す土質材料1を掬い取ることができる位置に移動することができる。なお、図2において、27は標準のバケットを装着した第2のバックホウであり、土質材料1が特に解泥し難い強度のあるシルト粘土である場合等に、解泥作業をよりスムーズに行うために事前に水を加えて準備撹拌をするためのものである。そのため、この第2のバックホウ27の使用の有無は任意に選択することができる。
【0027】
解泥槽6は所定容積サイズの槽であり、底部に1又は複数の撹拌機7が配置されるとともに、解泥水ポンプ8が設置されている。解泥水ポンプ8からは供給管9が上方に延設され、供給管9の先端にノズル9aが装備されている。ステップCにおけるトロンメルバケット4は、このノズル9aに対面するように解泥槽6の上方に設置される。
【0028】
次に、ステップD(ステップD1)及び図5に示すように、清水槽10からポンプ11を使用して清水12を解泥槽6に供給する。この清水12は土質材料1の解泥に使用できる水であればどのようなものであってもよく泥水も使用できる。解泥槽6に一定量の清水が貯留されると、ステップE及び図5に示すように、解泥水ポンプ8を使用して、供給管9及びノズル9aを介して清水12をトロンメルバケット4に供給する。この清水12を所定の圧力で噴射するようにしてもよい。併せて、ステップF及び図5の矢印13に示すようにトロンメル5を回転駆動させる。この清水12の供給とトロンメル5の回転を連続的に行うことによって、トロンメルバケット4内に収納された土質材料1はステップG及び図5に示すように解泥される。即ち、トロンメル5の回転と清水12によって、トロンメル5内に収納された土質材料1が解泥できる状態となればよい。一方、土質材料1に含まれている礫14はトロンメル5によって分級されて、スクリーン5aのサイズ以上の礫14はトロンメル5内に残留する。なお、トロンメル5のスクリーン5aは40mmを超える礫を分級できるメッシュサイズとしたが、解泥水の用途に応じて適宜そのサイズを設定するものである。
【0029】
解泥された土質材料1は、ステップHに示すように解泥水15となり、トロンメル5のスクリーン5aを通過して解泥槽6に落下する。そして、解泥水15が供給された後は、清水槽10から供給された清水12と一体となり、解泥水15として解泥水ポンプ8によって吸引されてノズル9aからトロンメルバケット4に循環して供給される。この解泥水15を所定の圧力で噴射するようにしてもよい。即ち、トロンメル5の回転と解泥水15によって、トロンメル5内に収納された土質材料1が解泥できる状態となればよい。なお、清水槽10から供給する清水12は解泥槽6の容量と、解泥する土質材料1の性状及び製造するソイルセメントの性状に応じて供給量が設定されており、ステップD(ステップD2)及び図6に示すように、予め設定した供給量に達すると清水12の供給を停止させる。
【0030】
トロンメルバケット4に取り込んだ土質材料1の解泥が全て終了した後、ステップIに示すようにトロンメル5の回転を停止するとともに、ステップJに示すように清水12又は解泥水15の供給を停止する。そして、ステップK及び図6に示すように、バックホウ2を礫置場16まで移動させて、ステップLに示すようにトロンメル5のスクリーン5aによって分級されてトロンメル5内に残存している礫14を礫置場16に排出する。
【0031】
そして、図7に示すように、再びステップAに戻り、バックホウ2を土質材料槽1aまで移動させ、土質材料1をトロンメルバケット4内に掬い取るステップBの工程を行い、バックホウ2を解泥槽6まで移動させて、トロンメルバケット4を解泥槽6の上方に設置するステップCの工程を行い、以後同様にしてステップD〜ステップLまでの工程を必要回数繰り返して行う。
【0032】
なお、トロンメルバケット4内に分級された礫14が微量である場合は、ステップK,Lに示す礫14の排出工程を行うことなく、そのままステップAに示す工程に移動してもよい。
【0033】
ステップHに示す解泥水15が解泥槽6内に供給され始めると、解泥槽6内ではステップM及び図5〜図9に示すように、必要に応じて撹拌機7を使用して解泥槽6内の解泥水15の撹拌を連続して、或いは随時行う。これはトロンメル5のスクリーン5aを通過した粘性土等の土質材料1をより確実に解泥するためである。
【0034】
解泥槽6内に所定量の解泥水15の製造が終了すると、ステップN及び図9に示すように、解泥槽6内に設置した移送ポンプ17を駆動させて、製造した解泥水15を図10に示すように全て貯泥槽18に移送する。そして、図10に示す空となった解泥槽6に前記同様の工程で解泥水15を製造する。以後この工程を繰り返す。
【0035】
図2に示す貯泥槽18に移送された解泥水15は、貯泥槽18の底部に設置された1又は複数の撹拌機19によって、連続的に又は間欠的に撹拌されながら、貯泥される。この解泥水15を原材料として、ソイルセメントを製造するには、図2に示す、貯泥槽18から移送ポンプ20を使用して必要量の解泥水15を混練ユニット21に供給するとともに、セメントサイト22から必要量のセメントを混練ユニット21に供給して混練することによって、用途に適した流動性、材料分離抵抗性を有するソイルセメントを製造する。そして、製造したソイルセメントをコンクリートポンプ23から現場まで搬送して打設をする。図2において、24は発電機、25は解泥作業をするための管理室、26は各種装置を洗浄するための高圧洗浄機を示している。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明にかかる土質材料の解泥方法及びその装置によれば、ソイルセメントを製造するための建設発生土や建設汚泥等の各種土質材料の解泥作業をトロンメルバケットを使用して行うことによって、トロンメルの回転とトロンメル内に供給する清水又は解泥水によって解泥効率が上がり、効率化を図ることができる。しかも、トロンメルのスクリーンのメッシュサイズ以上の礫は、トロンメル内に分級されるため、解泥と分級を同時に行うことができる。そのため、従来必須の工程であった礫を除去するための解泥後における振動スクリーンを使用した分級作業を必要としない。
【0037】
しかも、トロンメルバケットは解泥槽の中に浸漬する必要がなく、解泥槽内に設置した撹拌機を併用してトロンメルのスクリーンから抜け出た粘性土も解泥槽内において解泥することができ、より正確で確実な解泥作業を実施することができる。よって、各種土質材料をソイルセメントの原料として各現場において再利用することができるとともに、その減容化を効率よく、短時間で行うことができる。
【符号の説明】
【0038】
1…土質材料
2,27…バックホウ
3…アーム
4…トロンメルバケット
5…トロンメル
5a…スクリーン
6…解泥槽
7,19…撹拌機
8…解泥水ポンプ
9…供給管
9a…ノズル
10…清水槽
11…ポンプ
12…清水
14…礫
15…解泥水
16…礫置場
17…移送ポンプ
18…貯泥槽
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の建設工事や土木工事から大量に発生する建設発生土や建設汚泥の再利用と減容化を図るために、これらの土質材料を解泥してソイルセメントの原材料として使用するための土質材料の解泥方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の建設工事や土木工事から大量に発生する建設副産物としての建設発生土や建設汚泥を再利用するための有効な活用策として、ソイルセメント工法が注目されている。このソイルセメント工法とは、建設現場等で発生した土に流動性を高めるための水、或いは濁・泥水と固化材を適切な配合で混合し、用途に適した流動性、材料分離抵抗性をもった状態で埋め戻し、裏込め等の必要な箇所に流し込んで打設し、適切な養生状態で固化を待って処理を終了する工法である。
【0003】
建設発生土とは、各種の建設工事や土木工事から発生する礫質土,砂質土,粘性土などからなる土砂の総称であり、「廃棄物処理及び清掃に関する法律」(以下、廃棄物処理法という)に規定する産業廃棄物には該当しない。一方、建設汚泥とは、各種の建設工事や土木工事にかかる掘削工事から生じる泥状の掘削物及び泥水のうち、廃棄物処理法に規定する産業廃棄物として取り扱われるものをいう。泥状の状態は標準仕様ダンプトラックに山積みできず、その上を人が歩けないような流動性を呈する状態をいう。
【0004】
建設発生土や建設汚泥その他の土質材料をソイルセメント工法におけるソイルセメントの原料として再利用するためには、これらの土質材料に水、或いは濁・泥水を加えて解泥して所定の含水率に調整するとともに、一定サイズ以上の礫を除去する必要がある。ソイルセメントの品質基準では一般埋め戻し材としては礫40mm以下、埋設管周りの埋め戻し材としては礫13mm以下と定められている。
【0005】
従来、建設発生土や建設汚泥その他の土質材料を解泥する手段としては、図11に示すように解泥槽31内に土質材料32と水33を投入し、バックホウ34の標準のバケット35を使用して、バケット35の動作によって解泥槽31内で撹拌を行って解泥している(特許文献1,非特許文献1、第181頁,第222頁参照)。また、図12に示すように、標準のバケット35に換えて、バケット底部に枡目状の間隙が形成されたスケルトンバケット36を使用して解泥槽31内で撹拌したり、或いは、図13に示すように標準のバケット35に換えて内部に撹拌機構を具備したミキシングバケット37を使用して解泥槽31内で撹拌している。これらのバックホウ34に装備した標準のバケット35,スケルトンバケット36,ミキシングバケット37は建設発生土や建設汚泥の土質材料の解泥槽31への移送手段としても使用することができる。
【0006】
或いは標準のバケット35に換えて、撹拌装置を装着した建設機械(特許文献1)を使用する解泥手段も提供されている。このようにして、撹拌終了後に振動スクリーンを使用して所定サイズ以上の礫を分離し除去することによって、ソイルセメントの原料としての解泥水を製造している。
【0007】
更に、上部に材料投入口を備えるとともに、下部に開閉自在のゲートを備えた材料排出口を有する横型円筒形状のドラムの断面中心位置に水平方向に沿って回転シャフトが配設されるとともに、前記横型円筒状ドラムの側部に前記回転シャフトを回転駆動させる駆動源を配置した混合機からなる解泥装置も提供されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−147950号公報
【特許文献2】特開2002−285571号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「土の流動化処理工法」(第181頁,第222頁外) 技報堂出版2007年9月25日発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図11に示すバックホウ34の標準のバケット35を使用する解泥手段では、バケット35の撹拌力が弱く十分な撹拌を行うことができず、又解泥槽31内から礫を除去する際にバケット35を使用して水切りを行うことができない。一方、図12に示すスケルトンバケット36を使用する解泥手段によれば、バケット底部に枡目状の間隙が形成されているため、礫を除去する際にこのスケルトンバケット36を使用して水切りを行うことができるが、撹拌力が弱く、十分な撹拌を行うことができない。これに対し、図13に示すミキシングバケット37を使用する解泥手段によれば、ミキシングバケット内の撹拌装置によって効率よく十分な撹拌を行うことができるが、礫が存在すると、撹拌羽根に噛み込んでしまい稼働が停止したり、故障の原因ともなる。
【0011】
特許文献1に示す解泥手段では、バックホウのアタッチメントとして撹拌装置を使用するものであり、保護枠体で囲繞したとしても、礫による撹拌装置への噛み込みを有効に防止することは困難であり、礫が撹拌装置に噛み込んでしまい稼働が停止したり、故障の原因ともなることに変わりない。更に、いずれの手段においても、解泥後に振動スクリーンを使用して礫を除去する必要があり、解泥作業が煩瑣な2段階となる。
【0012】
特許文献2に示す解泥手段では、専用の混合機を必要とし、各現場で迅速に対応することが困難であるし、又ショベル羽根で撹拌するため、ミキシングバケット37と同様に礫が存在すると、撹拌羽根に噛み込んでしまい稼働が停止したり、故障の原因ともなる。そのため、礫を含まない粘性土主体の泥土にしか対応することができない。更に、特許文献1,2に示す解泥手段では、建設発生土や建設汚泥の土質材料の運搬手段を有するものではないため、別途解泥槽や解泥装置への土質材料の運搬手段を必要とする。
【0013】
即ち、従来の解泥手段によれば、それぞれ一長一短があり、いずれの手段においても解泥の効率が悪く、しかも解泥と同時に礫の分級をすることができず、結果として解泥処理に長時間を要することとなっている。
【0014】
そこで、本発明は建設発生土や建設汚泥その他の土質材料をソイルセメントの原材料として使用可能とすることによって、その再利用と減容化を図るために、これらの土質材料を効率よく、短時間で解泥できるとともに、解泥と同時に礫を分級して除去することのできる土質材料の解泥方法及びその装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明はその目的を達成するために、土質材料をトロンメルバケット内に掬い上げた後、該トロンメルバケットを解泥槽の上方に移動させて、トロンメルを回転駆動させるとともに、トロンメル内に清水又は解泥水を供給することにより、トロンメルの回転とトロンメル内に供給された清水又は解泥水によってトロンメル内の土質材料を解泥し、トロンメルのスクリーンを介して解泥水として解泥槽に供給するとともに、トロンメルによって土質材料の礫を分級し、トロンメル内に分離させる土質材料の解泥方法を基本として提供する。
【0016】
そして、トロンメル内に供給する清水として、予め解泥槽内に貯留した清水を、解泥水ポンプを使用して供給し、或いはトロンメル内に供給する解泥水として、解泥槽内に貯留した解泥水を、解泥水ポンプを使用して供給する。トロンメルのスクリーンとして、40mm以上又は13mm以上の礫を分級できるスクリーンを使用する。また、トロンメルによって分級した礫をトロンメル内から礫置場に排出し、解泥槽に撹拌機を設置して、解泥槽の解泥水を撹拌し、土質材料から解泥して、解泥槽に貯留した解泥水を移送ポンプを使用して貯泥槽に移送するようにする。
【0017】
即ち、トロンメルバケットをバックホウに装備することにより、トロンメルバケットを土質材料の貯留場所まで移動して土質材料の掬い上げ、及び解泥槽の上方へ移動させて設置してトロンメルを回転駆動し、更に、トロンメル内の土質材料の解泥・分級が終了した後に礫置場まで移動させて、トロンメル内に分離した礫を、礫置場に排出するようにする。土質材料として、建設発生土及び/又は建設汚泥を解泥する。
【0018】
また、バックホウに装備したトロンメルバケットと、解泥槽と、トロンメルバケット内に清水又は解泥水を供給する解泥水ポンプと、解泥槽内に清水を供給するための清水槽とからなる土質材料の解泥装置を提供する。更に、解泥槽内に撹拌機を設置する。より具体的には、バックホウに装備したトロンメルバケットと、解泥槽と、トロンメルバケット内に清水又は解泥水を供給する解泥水ポンプと、解泥槽内に設置された撹拌機からなり、トロンメルバケットに掬い上げた土質材料に解泥水ポンプから清水又は解泥水を供給するとともに、トロンメルを回転駆動することにより、トロンメル内の土質材料を解泥してトロンメルのスクリーンを介して解泥水として解泥槽に供給し、解泥槽に設置した撹拌機で解泥槽に供給された解泥水を撹拌するとともに、トロンメルによって土質材料の礫を分級し、トロンメル内に分離させる。
【0019】
そして、トロンメルバケットにおけるトロンメルのスクリーンとして、40mm以上又は13mm以上の礫を分級できるスクリーンを使用し、トロンメルによって分級した礫をトロンメル内から排出する礫置場を設置し、土質材料から解泥して、解泥槽に貯留した解泥水を移送するための移送ポンプと、移送した解泥水を貯留する貯泥槽を設置し、土質材料として、建設発生土及び/又は建設汚泥を解泥する。
【発明の効果】
【0020】
上記構成の本発明によれば、ソイルセメントを製造するための建設発生土や建設汚泥等の各種土質材料の解泥作業をトロンメルバケットを使用して行うことによって、トロンメルの回転とトロンメル内に供給する清水又は解泥水によって解泥効率が上がり、効率化を図ることができる。しかも、トロンメルのスクリーンのメッシュサイズ以上の礫は、トロンメル内に分級されるため、解泥と分級を同時に行うことができる。そのため、従来必須の工程であった礫を除去するための解泥後における振動スクリーンを使用した分級作業を必要としない。
【0021】
しかも、トロンメルバケットは解泥槽の中に浸漬する必要がなく、解泥槽内に設置した撹拌機を併用してトロンメルのスクリーンから抜け出た粘性土も解泥槽内において解泥することができ、より正確で確実な解泥作業を実施することができる。よって、各種土質材料をソイルセメントの原料として各現場において再利用することができるとともに、その減容化を効率よく、短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明にかかる土質材料の解泥方法及びその装置を概略的に示すシステム図。
【図2】本発明にかかる土質材料の解泥装置の全体配置図。
【図3】本発明の工程説明図。
【図4】本発明の工程説明図。
【図5】本発明の工程説明図。
【図6】本発明の工程説明図。
【図7】本発明の工程説明図。
【図8】本発明の工程説明図。
【図9】本発明の工程説明図。
【図10】本発明の工程説明図。
【図11】従来の土質材料の解泥方法の要部説明図。
【図12】従来の土質材料の解泥方法の要部説明図。
【図13】従来の土質材料の解泥方法の要部説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下図面に基づいて本発明にかかる土質材料の解泥方法及びその装置の実施形態を説明する。本発明が対象とする土質材料は、ソイルセメントの原材料として利用できる礫質土,砂質土,粘性土などの土全般を対象としており、その種類や発生原因に限定はない。特には、各種の建設工事や土木工事、例えば場所打ち杭や地中連続壁の掘削工事等において大量に発生する建設発生土や建設汚泥を主たる対象としている。本発明は、これらの土質材料をソイルセメントの原材料として使用するために所定の含水率に調整するとともに、所定サイズ以上の礫を除去した解泥水に解泥するものである。
【0024】
図1は、本発明にかかる土質材料の解泥方法及びその装置を概略的に示すシステム図、図2は建設現場における土質材料の解泥装置の全体配置図、図3〜図10は工程説明図である。図において、1は建設発生土や建設汚泥からなる解泥対象物としての土質材料であり、建設現場等において所定のエリアに設置された土質材料槽1aに集積されている。先ず、図1のステップA及び図3に示すように、アーム3の先端にアタッチメントとしてトロンメルバケット4を装着したバックホウ2を土質材料槽1aまで移動させて、トロンメルバケット4に土質材料1を掬い取ることができる位置に設置する。なお、図1においてアルファベットで示すステップA〜ステップNは解泥方法の各解泥工程を示し、枠TRで囲って示した各工程はトロンメルバケット4を使用した解泥工程を示している。
【0025】
本発明はトロンメルバケット4を使用して、解泥と分級を同時に行うことよって、解泥時間の短縮と効率化を図ることに特徴を有する。本発明で使用するトロンメルバケット4そのものはバックホウ2のアーム3の先端に装着されて使用される公知の構成であって、バケット内に円筒形の回転篩であるトロンメル5を回転自在に装備している。このトロンメル5はバックホウ2の油圧ユニットからの油圧によって所定速度で回転し、バケット内の収納物を天地反転させて、トロンメル5のスクリーン5aによって収納物を篩い分けて分級することができる。
【0026】
そして、ステップAの状態から、アーム3を駆動させてトロンメルバケット4内に土質材料1を掬い取って、ステップBに示す土質材料1の取込を行う。次に、ステップC及び図4に示すようにバックホウ2を解泥槽6まで移動させて、トロンメルバケット4を解泥槽6の上方に設置する。図2におけるバックホウ2はこのステップCの状態を示している。図2に示す状態から右方向に移動することによって、ステップAに示す土質材料1を掬い取ることができる位置に移動することができる。なお、図2において、27は標準のバケットを装着した第2のバックホウであり、土質材料1が特に解泥し難い強度のあるシルト粘土である場合等に、解泥作業をよりスムーズに行うために事前に水を加えて準備撹拌をするためのものである。そのため、この第2のバックホウ27の使用の有無は任意に選択することができる。
【0027】
解泥槽6は所定容積サイズの槽であり、底部に1又は複数の撹拌機7が配置されるとともに、解泥水ポンプ8が設置されている。解泥水ポンプ8からは供給管9が上方に延設され、供給管9の先端にノズル9aが装備されている。ステップCにおけるトロンメルバケット4は、このノズル9aに対面するように解泥槽6の上方に設置される。
【0028】
次に、ステップD(ステップD1)及び図5に示すように、清水槽10からポンプ11を使用して清水12を解泥槽6に供給する。この清水12は土質材料1の解泥に使用できる水であればどのようなものであってもよく泥水も使用できる。解泥槽6に一定量の清水が貯留されると、ステップE及び図5に示すように、解泥水ポンプ8を使用して、供給管9及びノズル9aを介して清水12をトロンメルバケット4に供給する。この清水12を所定の圧力で噴射するようにしてもよい。併せて、ステップF及び図5の矢印13に示すようにトロンメル5を回転駆動させる。この清水12の供給とトロンメル5の回転を連続的に行うことによって、トロンメルバケット4内に収納された土質材料1はステップG及び図5に示すように解泥される。即ち、トロンメル5の回転と清水12によって、トロンメル5内に収納された土質材料1が解泥できる状態となればよい。一方、土質材料1に含まれている礫14はトロンメル5によって分級されて、スクリーン5aのサイズ以上の礫14はトロンメル5内に残留する。なお、トロンメル5のスクリーン5aは40mmを超える礫を分級できるメッシュサイズとしたが、解泥水の用途に応じて適宜そのサイズを設定するものである。
【0029】
解泥された土質材料1は、ステップHに示すように解泥水15となり、トロンメル5のスクリーン5aを通過して解泥槽6に落下する。そして、解泥水15が供給された後は、清水槽10から供給された清水12と一体となり、解泥水15として解泥水ポンプ8によって吸引されてノズル9aからトロンメルバケット4に循環して供給される。この解泥水15を所定の圧力で噴射するようにしてもよい。即ち、トロンメル5の回転と解泥水15によって、トロンメル5内に収納された土質材料1が解泥できる状態となればよい。なお、清水槽10から供給する清水12は解泥槽6の容量と、解泥する土質材料1の性状及び製造するソイルセメントの性状に応じて供給量が設定されており、ステップD(ステップD2)及び図6に示すように、予め設定した供給量に達すると清水12の供給を停止させる。
【0030】
トロンメルバケット4に取り込んだ土質材料1の解泥が全て終了した後、ステップIに示すようにトロンメル5の回転を停止するとともに、ステップJに示すように清水12又は解泥水15の供給を停止する。そして、ステップK及び図6に示すように、バックホウ2を礫置場16まで移動させて、ステップLに示すようにトロンメル5のスクリーン5aによって分級されてトロンメル5内に残存している礫14を礫置場16に排出する。
【0031】
そして、図7に示すように、再びステップAに戻り、バックホウ2を土質材料槽1aまで移動させ、土質材料1をトロンメルバケット4内に掬い取るステップBの工程を行い、バックホウ2を解泥槽6まで移動させて、トロンメルバケット4を解泥槽6の上方に設置するステップCの工程を行い、以後同様にしてステップD〜ステップLまでの工程を必要回数繰り返して行う。
【0032】
なお、トロンメルバケット4内に分級された礫14が微量である場合は、ステップK,Lに示す礫14の排出工程を行うことなく、そのままステップAに示す工程に移動してもよい。
【0033】
ステップHに示す解泥水15が解泥槽6内に供給され始めると、解泥槽6内ではステップM及び図5〜図9に示すように、必要に応じて撹拌機7を使用して解泥槽6内の解泥水15の撹拌を連続して、或いは随時行う。これはトロンメル5のスクリーン5aを通過した粘性土等の土質材料1をより確実に解泥するためである。
【0034】
解泥槽6内に所定量の解泥水15の製造が終了すると、ステップN及び図9に示すように、解泥槽6内に設置した移送ポンプ17を駆動させて、製造した解泥水15を図10に示すように全て貯泥槽18に移送する。そして、図10に示す空となった解泥槽6に前記同様の工程で解泥水15を製造する。以後この工程を繰り返す。
【0035】
図2に示す貯泥槽18に移送された解泥水15は、貯泥槽18の底部に設置された1又は複数の撹拌機19によって、連続的に又は間欠的に撹拌されながら、貯泥される。この解泥水15を原材料として、ソイルセメントを製造するには、図2に示す、貯泥槽18から移送ポンプ20を使用して必要量の解泥水15を混練ユニット21に供給するとともに、セメントサイト22から必要量のセメントを混練ユニット21に供給して混練することによって、用途に適した流動性、材料分離抵抗性を有するソイルセメントを製造する。そして、製造したソイルセメントをコンクリートポンプ23から現場まで搬送して打設をする。図2において、24は発電機、25は解泥作業をするための管理室、26は各種装置を洗浄するための高圧洗浄機を示している。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明にかかる土質材料の解泥方法及びその装置によれば、ソイルセメントを製造するための建設発生土や建設汚泥等の各種土質材料の解泥作業をトロンメルバケットを使用して行うことによって、トロンメルの回転とトロンメル内に供給する清水又は解泥水によって解泥効率が上がり、効率化を図ることができる。しかも、トロンメルのスクリーンのメッシュサイズ以上の礫は、トロンメル内に分級されるため、解泥と分級を同時に行うことができる。そのため、従来必須の工程であった礫を除去するための解泥後における振動スクリーンを使用した分級作業を必要としない。
【0037】
しかも、トロンメルバケットは解泥槽の中に浸漬する必要がなく、解泥槽内に設置した撹拌機を併用してトロンメルのスクリーンから抜け出た粘性土も解泥槽内において解泥することができ、より正確で確実な解泥作業を実施することができる。よって、各種土質材料をソイルセメントの原料として各現場において再利用することができるとともに、その減容化を効率よく、短時間で行うことができる。
【符号の説明】
【0038】
1…土質材料
2,27…バックホウ
3…アーム
4…トロンメルバケット
5…トロンメル
5a…スクリーン
6…解泥槽
7,19…撹拌機
8…解泥水ポンプ
9…供給管
9a…ノズル
10…清水槽
11…ポンプ
12…清水
14…礫
15…解泥水
16…礫置場
17…移送ポンプ
18…貯泥槽
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土質材料をトロンメルバケット内に掬い上げた後、該トロンメルバケットを解泥槽の上方に移動させて、トロンメルを回転駆動させるとともに、トロンメル内に清水又は解泥水を供給することにより、トロンメルの回転とトロンメル内に供給された清水又は解泥水によってトロンメル内の土質材料を解泥し、トロンメルのスクリーンを介して解泥水として解泥槽に供給するとともに、トロンメルによって土質材料の礫を分級し、トロンメル内に分離させることを特徴とする土質材料の解泥方法。
【請求項2】
トロンメル内に供給する清水として、予め解泥槽内に貯留した清水を、解泥水ポンプを使用して供給する請求項1記載の土質材料の解泥方法。
【請求項3】
トロンメル内に供給する解泥水として、解泥槽内に貯留した解泥水を、解泥水ポンプを使用して供給する請求項1記載の土質材料の解泥方法。
【請求項4】
トロンメルのスクリーンとして、40mm以上又は13mm以上の礫を分級できるスクリーンを使用する請求項1,2又は3記載の土質材料の解泥方法。
【請求項5】
トロンメルによって分級した礫をトロンメル内から礫置場に排出する請求項1,2,3又は4記載の土質材料の解泥方法。
【請求項6】
解泥槽に撹拌機を設置して、解泥槽の解泥水を撹拌する請求項1,2,3,4又は5記載の土質材料の解泥方法。
【請求項7】
土質材料から解泥して、解泥槽に貯留した解泥水を移送ポンプを使用して貯泥槽に移送する請求項1,2,3,4,5又は6記載の土質材料の解泥方法。
【請求項8】
トロンメルバケットをバックホウに装備することにより、トロンメルバケットを土質材料の貯留場所まで移動して土質材料の掬い上げ、及び解泥槽の上方へ移動させて設置してトロンメルを回転駆動し、更に、トロンメル内の土質材料の解泥・分級が終了した後に礫置場まで移動させて、トロンメル内に分離させた礫を、礫置場に排出する請求項1,2,3,4,5,6又は7記載の土質材料の解泥方法。
【請求項9】
土質材料として、建設発生土及び/又は建設汚泥を解泥する請求項1,2,3,4,5,6,7又は8記載の土質材料の解泥方法。
【請求項10】
バックホウに装備したトロンメルバケットと、解泥槽と、トロンメルバケット内に清水又は解泥水を供給する解泥水ポンプと、解泥槽内に清水を供給するための清水槽とからなることを特徴とする土質材料の解泥装置。
【請求項11】
バックホウに装備したトロンメルバケットと、解泥槽と、トロンメルバケット内に清水又は解泥水を供給する解泥水ポンプと、解泥槽内に清水を供給するための清水槽と、解泥槽内に設置された撹拌機とからなることを特徴とする土質材料の解泥装置。
【請求項12】
バックホウに装備したトロンメルバケットと、解泥槽と、トロンメルバケット内に清水又は解泥水を供給する解泥水ポンプと、解泥槽内に設置された撹拌機とからなり、
トロンメルバケットに掬い上げた土質材料に解泥水ポンプから清水又は解泥水を供給するとともに、トロンメルを回転駆動することにより、トロンメル内の土質材料を解泥してトロンメルのスクリーンを介して解泥水として解泥槽に供給し、解泥槽に設置した撹拌機で解泥槽に供給された解泥水を撹拌するとともに、トロンメルによって土質材料の礫を分級し、トロンメル内に分離させることを特徴とする土質材料の解泥装置。
【請求項13】
トロンメルバケットにおけるトロンメルのスクリーンとして、40mm以上又は13mm以上の礫を分級できるスクリーンを使用する請求項10,11又は12記載の土質材料の解泥装置。
【請求項14】
トロンメルによって分級した礫をトロンメル内から排出する礫置場を設置した請求項10,11,12又は13記載の土質材料の解泥装置。
【請求項15】
土質材料から解泥して、解泥槽に貯留した解泥水を移送するための移送ポンプと、移送した解泥水を貯留する貯泥槽を設置した請求項10,11,12,13又は14記載の土質材料の解泥装置。
【請求項16】
土質材料として、建設発生土及び/又は建設汚泥を解泥する請求項10,11,12,13,14又は15記載の土質材料の解泥装置。
【請求項1】
土質材料をトロンメルバケット内に掬い上げた後、該トロンメルバケットを解泥槽の上方に移動させて、トロンメルを回転駆動させるとともに、トロンメル内に清水又は解泥水を供給することにより、トロンメルの回転とトロンメル内に供給された清水又は解泥水によってトロンメル内の土質材料を解泥し、トロンメルのスクリーンを介して解泥水として解泥槽に供給するとともに、トロンメルによって土質材料の礫を分級し、トロンメル内に分離させることを特徴とする土質材料の解泥方法。
【請求項2】
トロンメル内に供給する清水として、予め解泥槽内に貯留した清水を、解泥水ポンプを使用して供給する請求項1記載の土質材料の解泥方法。
【請求項3】
トロンメル内に供給する解泥水として、解泥槽内に貯留した解泥水を、解泥水ポンプを使用して供給する請求項1記載の土質材料の解泥方法。
【請求項4】
トロンメルのスクリーンとして、40mm以上又は13mm以上の礫を分級できるスクリーンを使用する請求項1,2又は3記載の土質材料の解泥方法。
【請求項5】
トロンメルによって分級した礫をトロンメル内から礫置場に排出する請求項1,2,3又は4記載の土質材料の解泥方法。
【請求項6】
解泥槽に撹拌機を設置して、解泥槽の解泥水を撹拌する請求項1,2,3,4又は5記載の土質材料の解泥方法。
【請求項7】
土質材料から解泥して、解泥槽に貯留した解泥水を移送ポンプを使用して貯泥槽に移送する請求項1,2,3,4,5又は6記載の土質材料の解泥方法。
【請求項8】
トロンメルバケットをバックホウに装備することにより、トロンメルバケットを土質材料の貯留場所まで移動して土質材料の掬い上げ、及び解泥槽の上方へ移動させて設置してトロンメルを回転駆動し、更に、トロンメル内の土質材料の解泥・分級が終了した後に礫置場まで移動させて、トロンメル内に分離させた礫を、礫置場に排出する請求項1,2,3,4,5,6又は7記載の土質材料の解泥方法。
【請求項9】
土質材料として、建設発生土及び/又は建設汚泥を解泥する請求項1,2,3,4,5,6,7又は8記載の土質材料の解泥方法。
【請求項10】
バックホウに装備したトロンメルバケットと、解泥槽と、トロンメルバケット内に清水又は解泥水を供給する解泥水ポンプと、解泥槽内に清水を供給するための清水槽とからなることを特徴とする土質材料の解泥装置。
【請求項11】
バックホウに装備したトロンメルバケットと、解泥槽と、トロンメルバケット内に清水又は解泥水を供給する解泥水ポンプと、解泥槽内に清水を供給するための清水槽と、解泥槽内に設置された撹拌機とからなることを特徴とする土質材料の解泥装置。
【請求項12】
バックホウに装備したトロンメルバケットと、解泥槽と、トロンメルバケット内に清水又は解泥水を供給する解泥水ポンプと、解泥槽内に設置された撹拌機とからなり、
トロンメルバケットに掬い上げた土質材料に解泥水ポンプから清水又は解泥水を供給するとともに、トロンメルを回転駆動することにより、トロンメル内の土質材料を解泥してトロンメルのスクリーンを介して解泥水として解泥槽に供給し、解泥槽に設置した撹拌機で解泥槽に供給された解泥水を撹拌するとともに、トロンメルによって土質材料の礫を分級し、トロンメル内に分離させることを特徴とする土質材料の解泥装置。
【請求項13】
トロンメルバケットにおけるトロンメルのスクリーンとして、40mm以上又は13mm以上の礫を分級できるスクリーンを使用する請求項10,11又は12記載の土質材料の解泥装置。
【請求項14】
トロンメルによって分級した礫をトロンメル内から排出する礫置場を設置した請求項10,11,12又は13記載の土質材料の解泥装置。
【請求項15】
土質材料から解泥して、解泥槽に貯留した解泥水を移送するための移送ポンプと、移送した解泥水を貯留する貯泥槽を設置した請求項10,11,12,13又は14記載の土質材料の解泥装置。
【請求項16】
土質材料として、建設発生土及び/又は建設汚泥を解泥する請求項10,11,12,13,14又は15記載の土質材料の解泥装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−252369(P2011−252369A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128703(P2010−128703)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(509134569)友弘エコロジー株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(509134569)友弘エコロジー株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
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