説明

地図表示システム

【課題】 1つの地理情報サーバでは提供できない様々な要求に対応できる地図を、ネットワーク上の地理情報サーバ全体から提供する地図表示システムを提供する。
【解決手段】 複数の地理情報サーバと、該地理情報サーバが提供する地理情報のサーバインデックス情報を含むサーバインデックス情報データベース、及びクライアントに表示する地図に適合する複数の地理情報サーバを指す組み合わせリストを生成する地理情報サーバ検索手段とを有する地理情報検索サーバと、該組み合わせリストを取得するための地理情報検索サーバアクセス手段、該組み合わせリストが指す複数の地理情報サーバから地理情報を取得するための地理情報サーバアクセス手段、及び該取得された地理情報を同一画面上に同じ座標で重畳して表示するユーザインタフェース制御手段とを有している地図表示システムである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、広域ネットワークに点在した地理情報を、同一画面上に座標が一致するように重畳させてクライアントに表示することが可能な地図表示システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の地理情報システムは、スタンドアロンで利用されるものが多い。例えば、カーナビゲーションシステムのようなものである。カーナビゲーションシステムは、予め地図範囲を限定した上で、単一の記録媒体に道路及びショッピングエリア等の位置情報が記録されている。表示する際には、オペレータによって表示情報の取捨選択が可能である。また、最近では、単一の地理情報サーバをインターネットのような広域ネットワークに接続し、不特定多数のクライアントに表示させるシステムがある。以下では、主にインターネット上での利用を例にとり説明していく。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の地理情報は、全て1つの媒体又は一カ所のサーバから提供されるものである。特にインターネット上には、複数の様々な種類の地理情報サーバが点在しているが、それらは地理情報システムとして互いにリンクするものではなく、各々孤立したものとなっている。そのために、1つの地理情報サーバから提供される地理情報を検索中に、該サーバが対応していない部分の地図情報を検索しようとするには、再度他の地理情報サーバに接続し直さなければならない。例えば、全国レベルの道路情報に特化した地理情報サーバを検索中に、町レベルの道路情報を検索しようとしたならば、再度町レベルの道路情報に特化した地理情報サーバに接続し直さなければならない。ましてや、ショッピングエリアの位置情報を検索したければ、再度それらの情報に特化した地理情報サーバに接続し直さなければならない。
【0004】このような不都合を解消するためには、1つの地理情報サーバが複数の地理情報サーバをリンクしてクライアントへ地図情報を提供することが考えられる。しかし、実際にこれを行うには、同一仕様に基づく複数の地理情報サーバであって、地理情報のデータレベルでのリンクが必要となる。そのため、既存の異なる仕様の地理情報サーバ同士をリンクすることは非常に難しい。
【0005】そこで本発明は、1つの地理情報サーバでは提供できないような様々な要求に対応できる地図を、ネットワーク上の地理情報サーバ全体から提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、複数の地理情報サーバと、該地理情報サーバの検索が可能な地理情報検索サーバと、地図を表示するクライアントとが互いにネットワークを介して接続されており、該地理情報サーバの持つ地理情報を該クライアントに表示させることが可能な地図表示システムであって、地理情報検索サーバは、各地理情報サーバが提供できる地理情報のインデックス情報を含むインデックス情報データベースと、該インデックス情報データベースからクライアントに表示する地図に適合する複数の地理情報サーバを検索し、かつ該複数の地理情報サーバの存在場所情報を含む組み合わせリストを生成する地理情報サーバ検索手段とを有しており、クライアントは、組み合わせリストを取得するための地理情報検索サーバアクセス手段と、該組み合わせリストが指定する複数の地理情報サーバから複数の地理情報を取得するための地理情報サーバアクセス手段と、該取得された複数の地理情報を同一画面上に座標が一致するように重畳させて表示するユーザインタフェース制御手段とを有している地図表示システムが提供される。これにより、1つの地理情報サーバでは提供できないような様々な要求に対応できる地図を、ネットワーク上の地理情報サーバ全体から提供することができる。
【0007】インデックス情報データベースに含まれるインデックス情報には、全ての地理情報サーバに共通する描画範囲情報と、前記各地理情報サーバの固有機能情報とがあるのが好ましい。更に、描画範囲情報の項目には、地理情報の地域名、表示範囲、表示内容並びに最大及び最小縮尺があるのも好ましい。これらのインデックス情報に従って、各地理情報サーバが提供できる地理情報を明確に認知することができる。
【0008】地理情報サーバ検索手段によって生成された組み合わせリストは、更に、インデックス情報についての全ての地理情報サーバに共通する項目に対するパラメータと、各地理情報サーバの固有機能の項目に対するパラメータとを含むことが好ましい。地理情報サーバは、これらのインデックス情報に対するパラメータに従って、描画データを生成することができる。
【0009】各地理情報サーバは、地理情報を含む地理情報データベースと、該地理情報データベースを用いて該地理情報を検索する地理情報制御手段とを有しており、地理情報制御手段は、更に、検索された地理情報を標準的なグラフィックスデータフォーマットの描画データに変換して、かつ該描画データをクライアントに送信するように構成されていることも好ましい。標準的なグラフィックスデータフォーマットの描画データであるために、クライアントは複数の描画データを描画レベルで容易に重畳して表示することができる。また、ラスターイメージデータフォーマットの描画データであっても、バックグラウンドの描画データとして利用したり、透明属性を持つ画像を重畳して利用することができる。
【0010】地理情報制御手段は、クライアントが指示するインデックス情報に基づくパラメータに従って、描画データを生成するように構成されていることも好ましい。これにより、クライアントにおいて、描画データの生成及び加工に関する処理を何等行う必要がなくなる。
【0011】地理情報制御手段は、予めクライアントへ、自ら提供できるインデックス情報の固有機能の項目を送信するように構成されていることも好ましい。これにより、ユーザインタフェース制御手段において、インデックス情報の固有機能の項目からオペレータへの選択肢を提供するユーザインタフェースを生成できるために、予め地理情報検索サーバから通知された組み合わせリストのパラメータをクライアント側で変更して、地理情報サーバに直接指示することができる。
【0012】クライアントは、更に、インデックス情報の固有機能の項目に対するパラメータ及び表示範囲情報を、組み合わせリストの形式で保持するパラメータ保持部を有していることも好ましい。表示している地図の各種パラメータ及び描画範囲の移動により変更したパラメータについても、この組み合わせリストを保持することにより、描画データの受信が終了した時点で地理情報サーバとの接続が切断できるため、地理情報サーバが不特定多数のクライアントからのアクセスに対するパラメータ保存領域を持つ必要がなくなる。地理情報サーバが送信する描画データは、更に描画データの要素に対して他の任意のサーバへのリンク情報を持つように構成されていることも望ましい。これにより、WWWにおけるハイパーリンク及びクリッカブルマップと同様の機能が実現可能になる。
【0013】クライアントは、インデックス情報の範囲を越えるような地図が所望された際に、再度、組み合わせリストを取得するために、地理情報検索サーバアクセス手段が地理情報検索サーバにアクセスするように構成されていることも好ましい。クライアントが取り扱う範囲を越えた領域を地理情報サーバに要求したときに、地理情報サーバが領域外状態を示す中身もなくかつリンク情報もない描画データを出力することにしておけば、表示領域を越えたことを自動的に検出することができる。更に、地理情報検索サーバの検索条件は、前回の検索時と同じ条件で表示領域が異なったものとしておけば、地理情報サーバにアクセスして新たな組み合わせリストを得ることができるので、自動的に最適な地理情報サーバに再接続できる。
【0014】地理情報サーバは、更に、インデックス情報データベースを一種の地理情報として扱い、地理情報の検索メニューを地理情報サーバの固有機能の項目として、更に検索結果である組み合わせリストと描画データに付随するリンク情報として出力するように構成されているのも好ましい。これにより、クライアントでは、地理情報検索サーバも他の通常の地理情報サーバに重畳して使用することができるため、検索条件のうち表示歯にの条件を他の地理情報サーバと共用することができるようになり、更に地理情報検索サーバの固有機能も統一されたユーザインタフェース手段で利用できるため、検索と表示のシームレスな操作環境を提供できる。
【0015】地理情報サーバは、更に、前述したように地理情報サーバの機能を合わせ持つように構成されていることも好ましい。これにより、自ら持つ通常の地理情報のインデックス情報の範囲を越えるような地図が所望されたときに、同サーバの地理情報検索サーバの地理情報サーバ検索手段がインデックス情報データベースを用いて描画データの中身は無いが、リンク情報として組み合わせリストを持つデータをクライアントに送信することができる。従って、クライアントは、1つの地理情報サーバにアクセスするだけで、サーバの件サックと表示が可能となる。更に、これによりサーバを階層的に構築することが可能となり、より効率のよい地図サーバ群を提供することができる。
【0016】地理情報サーバは、更に、地理情報サーバアクセス手段を有しており、生成した組み合わせリストに従って、地理情報サーバアクセス手段を用いて指定された他の地理情報サーバから地理情報を取得するように構成されていることも好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて、本発明の一実施形態を詳細に説明する。
【0018】図1は、地図表示システムの構成図である。該地図表示システムは、複数の地理情報サーバ3と、該地理情報サーバの検索が可能な地理情報検索サーバ2と、地図を表示するクライアント1とが互いにインターネット5を介して接続されており、該複数の地理情報サーバ3が提供する地理情報を該クライアント1に表示させるシステムである。
【0019】地理情報サーバ3は、地理情報が記憶された地理情報データベース3aと、該地理情報を描画データに変換してクライアント1へ送信する地理情報制御手段3bとを有している。
【0020】地理情報制御手段3bは、地図情報データベース3aからの地図情報の検索と、インデックス情報のパラメータに従った地図情報の生成と、該地図情報の描画データへの変換と、該描画データのクライアントへの送信との機能を果たす。描画データは、具体的にはポストスクリプト(Adobe Systems Inc.の登録商標)のような、標準的なグラフィックスデータフォーマットである。規格の異なる既存の地理情報システムを利用するために、該描画データに変換することで地理情報の違いを吸収している。この変換機能は、ミドルウェアとして備えることが可能であり、既にサービスされている多くの地理情報システムに比較的容易に実装できる。
【0021】更に、インデックス情報の表示範囲のパラメータによって、地図の拡大縮小に伴い画面の適度な縮尺に生成される(例えば、拡大した地図では細かな路地まで表示するが、縮小した地図では幹線道路しか表示しない等)。インデックス情報には、全ての地理情報サーバに共通する地理情報の地域名、表示範囲、表示内容並びに最大及び最小縮尺の項目と、各地理情報サーバの固有機能の項目とがあり、それぞれの項目についてパラメータを指定することができる。
【0022】更に、クライアントからアクセスされた際に、予めクライアントへ、自ら提供できるインデックス情報の固有機能の項目を該クライアントへ送信することで、オペレータへの選択肢を提供するユーザインタフェースを表示させることができる。オペレータは該地理情報サーバへパラメータの変更を直接指示することができる。加えて、該地理情報サーバが提供できる情報の範囲も把握でき、その範囲内で地理情報を要求することができる。
【0023】具体的には、地理情報サーバ3は、WWWサーバに機能追加して実現しており、該地理情報サーバ3とクライアント1との間の通信プロトコルは、WWWにおけるhttp(hypertext transferprotocol)に準拠した形式で実現する。
【0024】地理情報検索サーバ2は、インデックス情報を含むインデックス情報データベース2aと、複数の地理情報サーバの組み合わせリストを生成する地理情報サーバ検索手段2bとを有している。
【0025】インデックス情報データベース2aには、各地理情報サーバ毎に、該地理情報サーバが提供できるインデックス情報を記憶している。
【0026】地理情報サーバ検索手段2bは、インデックス情報データベース2aを用いて、クライアントが要求する地図の条件に最適な複数の地理情報サーバの組み合わせと、インデックス情報について該地理情報サーバに対する固有機能の項目に従ったパラメータと、インデックス情報について全ての地理情報サーバに共通する項目に従ったパラメータとを決定する。決定されたこれらの情報を組み合わせリストとしてクライアントに送信する。具体的な組み合わせリストの形式を以下に説明する。
MRL{ 地図情報サーバ1のURL+該サーバ1の固有機能情報のパラメータ 地図情報サーバ2のURL+該サーバ2の固有機能情報のパラメータ 地図情報サーバ3のURL+該サーバ3の固有機能情報のパラメータ}描画範囲情報のパラメータ前述したURL(Uniform Resource Locator)は、地理情報サーバの当該地理情報のアドレスを示すものであり、その後に該地理情報サーバが表示可能なインデックス情報の固有機能情報のパラメータが記録されている。表示するに最適なこれら複数の地図情報サーバの組み合わせをMRL(Multiple Resource Locator) と称している。更に、これら複数の地図情報サーバに共通の描画範囲情報のパラメータも含まれている。具体的には、地理情報検索サーバ2は、WWWのサーバを拡張したものである。
【0027】クライアント1は、組み合わせリストを取得するための地理情報検索サーバアクセス手段1aと、該組み合わせリストの複数の地理情報サーバから地理情報を取得し、かつ該取得された複数の地理情報を表示部6の同一画面上に座標を一致させて重畳して表示するための地理情報サーバアクセス手段1cと、操作部7からのオペレータからの指示、及び地理情報検索サーバアクセス手段1aからの情報をもとに、該地理情報サーバアクセス手段1cを制御するためのユーザインタフェース制御手段1bと、クライアントの表示状態などを保持しておくパラメータ保持部1dとを有している。
【0028】地理情報検索サーバアクセス手段1aは、検索条件を地理情報検索サーバ2へ送信し、該地理情報検索サーバ2から地理情報サーバ3の組み合わせリストを受信する。そして、該組み合わせリストをユーザインタフェース制御手段1bへ通知する。具体的には、地理情報検索サーバアクセス手段1aはWWWブラウザによって比較的容易に実現できる。
【0029】ユーザインタフェース制御手段1bは、地理情報検索サーバアクセス手段1aから通知された組み合わせリストを各地図情報サーバ3n毎のURLに分解し、更にそれぞれの該地図情報サーバの固有機能情報のパラメータと、全ての地図情報サーバ3nに共通な描画範囲情報のパラメータとを、それぞれの地理情報サーバアクセス手段1cに通知する。更に、地理情報サーバアクセス手段1cから、当該地図情報サーバ3nが提供するインデックス情報の固有機能情報の項目をもとに、テキスト入力欄及びボタンなどのサーバの機能を取り次ぐためのユーザインタフェースをオペレータに提供する。つまり、選択ボタンの表示、選択の発生、テキスト入力領域の発生、座標入力要求項目の発生、そしてそれらがオペレータにより操作されたことをサーバに伝えることを行う。具体的には、WWWにおけるブラウザと同じ機能を果たしており、表示内容等の実際の処理は全て地理情報サーバ側で行われる。
【0030】各地理情報サーバアクセス手段1cは、各地理情報サーバ3nにそれぞれ対応しており、ユーザインタフェース制御手段1bから通知されたURLによりサーバのアドレスを取得し、該当する地理情報サーバ3に対してインデックス情報のパラメータを送信する。そして、地理情報サーバ3nから、インデックス情報の固有機能情報と、ポストスクリプトフォーマット準拠の描画データとを受信し、これらの情報を、ユーザインタフェース制御手段1bと表示部6に送信する。
【0031】パラメータ保持部1dは、組み合わせリストと各地理情報サーバの固有機能情報とを保持するものである。インデックス情報の固有機能情報に対する現在のパラメータ状態は、該組み合わせリストの固有機能情報のパラメータ部分を書き換えることにより保持する。更に、現在描画している描画範囲情報についても同様に該組み合わせリストの描画範囲情報のパラメータ部分を書き換えることにより保持する。これによって、描画データの受信が終了した時点で地理情報サーバ3との接続が切断できるため、地理情報サーバ3は不特定多数のクライアントからのアクセスに対するパラメータ保存領域を持つ必要がなくなる。
【0032】図2は、図1の構成におけるシーケンス図である。
【0033】最初に、クライアント1の地理情報検索サーバアクセス手段1aと地理情報検索サーバ2との間のシーケンスについて説明する。まず、地図表示の要求が発生した際に、地理情報検索サーバアクセス手段1aは地理情報検索サーバ2へアクセスする(S1)。
【0034】アクセスされた地理情報検索サーバ2の地理情報サーバ検索手段2bは、該地理情報検索サーバが提供する選択肢メニューを生成して、クライアント1へ送信する(S2)。
【0035】クライアント1の地理情報検索サーバアクセス手段1aは、受信した選択肢メニューを、ボタン等の選択肢にしてオペレータに表示する(S3)。その後、オペレータからの指示を待って、その指示に基づいた検索条件を地図情報検索サーバ2に対して送信する(S4)。
【0036】検索条件を受信した地理情報サーバ検索手段2bは、インデックス情報データベース2aを用いて検索を行う(S5)。検索の結果、条件に適合する複数の地理情報サーバと該地理情報サーバのインデックス情報に対するパラメータとを格納した組み合わせリストを、クライアント1へ送信する(S6)。
【0037】組み合わせリストを受信した地理情報検索サーバアクセス手段1aは、ユーザインタフェース制御手段1bへ該組み合わせリストを通知する(S7)。
【0038】次に、クライアント1のユーザインタフェース制御手段1b及び地理情報サーバアクセス手段1cと、地理情報サーバ3とのシーケンスについて説明する。ユーザインタフェース制御手段1bは、組み合わせリストの複数の地理情報サーバ31、32及び33へ同時にアクセスするために、複数の地理情報サーバアクセス手段1c1、1c2及び1c3を生成して、起動する(S8)。これは、親プロセスが複数の子プロセスを生成する手順と同様である。
【0039】生成された地理情報サーバアクセス手段1cは、対応する地理情報サーバ3に対してアクセスする(S9)。地理情報サーバアクセス手段1c1は地理情報サーバ31と、1c2は32と、1c3は33とそれぞれ対応している。ここでは、例として地理情報サーバ31とのシーケンスについて説明するが、地理情報サーバ32及び33もまた、同じ構成でかつ同じシーケンスである。
【0040】アクセスされた地理情報サーバ31の地理情報制御手段31bは、予め自ら提供できるインデックス情報の固有機能情報を、クライアント1へ送信する(S10)。
【0041】地理情報サーバ31からインデックス情報の固有機能情報を受信したクライアント1の地理情報サーバアクセス手段1c1は、該固有機能情報をユーザインタフェース制御手段1bへ通知する(S11)。インデックス情報の固有機能情報は、予め地理情報検索サーバ2から受信していてもよい。また、地理情報検索サーバ2から受信する組み合わせリストには、複数の地理情報サーバのURLと共通の描画範囲情報とのみを含んでおき、S11において初めて固有機能情報を受信することもできる。
【0042】ユーザインタフェース制御手段1bは、通知された複数の固有機能情報に基づいて、テキストフィールド及ボタンなどの地図の描画を制御するためのユーザインタフェースを生成する(S12)。また、インデックス情報において全ての地理情報サーバに共通する描画範囲情報についての設定ボタンは、共通なものを1つだけ生成する。
【0043】次いで、組み合わせリストを各地図情報検索サーバ毎に分解し、それぞれに対応する地理情報サーバアクセス手段に対して、インデックス情報のパラメータを通知する(S13)。最初の表示においては、全ての地理情報サーバアクセス手段1cに通知するが、その後はパラメータに変更があった地理情報サーバに対してのみ通知する。これにより、再度、描画する必要のない地理情報サーバからの描画データの送信を省くことができる。
【0044】次いで、表示するインデックス情報のパラメータ状態を組み合わせリスト毎にパラメータ保持部1dに記憶する(S14)。
【0045】インデックス情報のパラメータが通知された地理情報サーバアクセス手段1c1は、該インデックス情報のパラメータを対応する地理情報サーバ31に対して送信する(S15)。
【0046】インデックス情報のパラメータを受信した地理情報サーバ31の地理情報制御手段31bは、該パラメータに従って地理情報データベース31aから地理情報を検索する(S16)。検索された該地理情報は、該パラメータに従って地図情報が生成され、該地図情報の描画データへ変換し、該描画データをクライアントへ送信する(S17)。
【0047】描画データを受信したクライアント1の地理情報サーバアクセス手段1c1は、他のサーバアクセス手段と共有する表示部6の同一ウインドウ上に、同じ座標で重畳して表示する(S18)。地理情報サーバアクセス手段1cは、グラフィックスデータフォーマットの描画データを画面に表示するための地図作成法(カートグラフィ)を有している。
【0048】次に、クライアント1は、オペレータからの指示を待つ(S19)。その後、オペレータの描画領域の変更(例えば、拡大、縮小及びスクロール等)が行われると、それに対応する描画範囲情報のパラメータを変更する(S20)。その後、S13からS20の動作を繰り返す。
【0049】このとき、オペレータの指示が描画範囲情報の範囲を越えるような場合に、ユーザインタフェース制御手段1bは、再度、地理情報検索アクセス手段2を介して、複数の地理情報サーバ3の組み合わせリストを取得することができる。
【0050】クライアント1にユーザインタフェース制御手段1b及び地理情報サーバアクセス手段1cによって表示される具体的な画面表示図を、図3に表している。ここでは、地形情報の地理情報サーバ、地質情報の地理情報サーバ及び建設物情報の地理情報サーバの情報が同じ座標で重畳して表示されている。地形情報の地理情報サーバは等高線(地形)81aの描画データを、地質情報の地理情報サーバは土(地質)82aの描画データを、建設物情報の地理情報サーバは通信ケーブル(建設物)82aの描画データを提供している。そして、それぞれの地理情報サーバを示すタブ81、82及び83が表示されている。これらを選択することで対応する地理情報サーバの固有機能情報の項目9が表れ、該項目9のパラメータを変更して表示することができる。
【0051】更に、領域指定ユーザインタフェース10では、全てのサーバに共通な描画範囲情報のパラメータを変更して表示することがでる。また、クリッカブルポインタ10が表示されており、マウス等の操作部7で簡単に地図の拡大縮小が可能になる。Goボタン11は、オペレータの指示により地理情報検索サーバ2にアクセスすることができる。更に、URL情報12は、オペレータがマウスポインタによって地図を指し示したときの、描画データの属性情報に含まれている他の情報へのリンク情報を表示しており、Goボタン11によってその情報をブラウジングできるものである。この機能によってWWWで一般にクリッカブルマップと称されている機能が実現できる。
【0052】描画されるグラフィックスは、クリッカブルマップとしてWWWにおけるハイパーリンクに相当する他のサーバのデータにリンクを張ることが可能である。また地理情報検索サーバに蓄積されているインデックス情報は、その地理情報サーバの存在場所情報、表示領域、表示内容等の描画範囲情報を含んでいるために、これも一種の地理情報として扱うことができる。
【0053】そこで、以下には、地理情報サーバに地理情報検索サーバの機能を構築し、検索と表示のシームレスな操作環境を提供する更なる一実施形態を詳細に説明する。
【0054】地理情報検索サーバとして構築した地理情報サーバとは、インデックス情報データベース及び地理情報サーバ検索手段と、地理情報サーバアクセス手段とを有した地理情報サーバである。これは、該地理情報サーバが提供できるインデックス情報を越えるような範囲であっても、地理情報サーバ検索手段がインデックス情報データベースを用いて該当する他の地理情報サーバを検索し、該検索された他の地理情報サーバから地理情報サーバアクセス手段を用いて地理情報を取得し、該取得された地理情報を前記地理情報制御手段によってクライアントへ送信されるようなサーバとなる。
【0055】このような地理情報検索サーバとしての地理情報サーバでは、描画データの各オブジェクトに付加されるリンク情報に、前述したMRLを付加できるようになる。更に、描画データ全体を1つの大きなグラフィックスオブジェクトとし、そこにもMRLをリンク情報として付けることができるようにする。即ち、以下のような構造の描画データとなる。
[描画データ]:MRL{ [道路]:MRL{ [道1]:MRL{URL1+Info1, URL2+Info2, URL3+Info3}
[道2]:MRL{URL1+Info1, URL2+Info2, URL3+Info3}

[建築物]:MRL{ [建物1]:MRL{URL1+Info1, URL2+Info2, URL3+Info3}
[建物2]:MRL{URL1+Info1, URL2+Info2, URL3+Info3}
} }描画範囲情報
【0056】地理情報検索サーバとしての地理情報サーバでは、前述したような構造の描画データを地理情報サーバの検索結果としてクライアントに出力できるようになる。この場合、アクセスを必要とする地理情報サーバのインデックス情報の範囲を輪郭線として描画し、これを選択することでそこに付いているMRLにアクセスを開始できるようにすればよい。通常は、現在クライアントに表示している範囲を検索条件の1つとするが、この範囲を含む、より広い領域を取り扱うことができるサーバが検索できるのが普通である。この場合には、その検索結果であるMRLは、出力される描画データ全体のオブジェクトに入れればよい。
【0057】オペレータが、検索と地図のブラウジングを意識することなく使用するために、次の機能が拡張されていることが好ましい。オペレータが既にアクセスしている地理情報サーバに対して描画不可能な領域の情報を要求した場合、その地理情報サーバを検索するために使用した地図情報検索サーバから、自動的に検索結果を取得し、その検索結果をもとに再度新たなサーバ群にアクセスする機能を有する。これにより、オペレータが一旦検索条件を設定すれば、表示領域を移動したり拡大及び縮小を行ったときに、オペレータが何ら検索を意識することなく自動的に適切な地理情報サーバにアクセスできるようになる。
【0058】図4は、クライアントから見て、地理情報検索サーバ及び地理情報サーバを構成したものである。地理情報検索サーバは、他の地理情報検索サーバを検索することも可能である。そして、これらの地理情報検索サーバを互いにリンクすることも可能となる。このようにすれば、1つの地理情報検索サーバが全ての地理情報サーバのインデックス情報を持たなくてよい。例えば、広域な地理情報を有する地理情報サーバから狭域な地理情報を有する地理情報サーバまでを構成することができるようになる。つまり、検索対象の詳細度の変化に対応して検索対象を変化できる(表示領域を拡大すると、その場所と縮尺に応じて、より細かい詳細なデータを持っているサーバを検索することができる)。
【0059】以上詳細に説明した実施形態ではインターネットを例にとり説明したが、複数のコンピュータが接続されたネットワーク上での地図表示システムに対する適用において、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。従って、前述した実施形態は、あくまで例であって、何等制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものだけに制約される。
【0060】
【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明によれば、複数の地理情報サーバの組み合わせリストを生成する地理情報検索サーバを有しており、該複数の地理情報サーバから取得した地理情報を同一画面上に重畳して表示するために、1つの地理情報サーバでは提供できない様々な要求に対応できる地図を、ネットワーク上の地理情報サーバ全体から提供することができる。
【0061】また、地理情報サーバは、地理情報を標準的なグラフィックスデータフォーマットの描画データに変換して送信するために、クライアントは複数の描画データを描画レベルで容易に重畳して表示することができる。加えて、該変換機能は、既存の地理情報サーバのミドルウェアとして比較的簡単に備えることができ、互いに異なる仕様の複数の地理情報サーバ群を同じ仕様の地理情報サーバのように使用することができる。
【0062】更に、地理情報サーバが地理情報検索サーバの機能を合わせ持つことによって、地理情報サーバ群を階層的に構築することができ、WWWと比べてよりユーザフレンドリなインターネットアプリケーションを提供できる可能性を持つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における地図表示システムの構成図である。
【図2】図1におけるシーケンス図である。
【図3】図1のクライアントに表示される画面表示図である。
【図4】図1の地理情報サーバ及び地理情報検索サーバの階層構成図である。
【符号の説明】
1 クライアント
1a 地理情報検索サーバアクセス手段
1b ユーザインタフェース制御手段
1c、1c1、1c2、1c3 地理情報サーバアクセス手段
1d パラメータ保持部
2 地理情報検索サーバ
2a サーバインデックス情報データベース
2b 地理情報サーバ検索手段
3、31、32、33、3n 地理情報サーバ
31a 地理情報データベース
31b 地理情報制御手段
5 インターネット
6 表示部
7 操作部
81、82、83 地理情報サーバのタブ
81a 等高線(地形)
82a 土(地質)
83a 通信ケーブル(建設物)
9 選択された地理情報サーバのサーバインデックス情報
10 クリッカブルポインタ
11 Goボタン
12 地理情報検索サーバのURL

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の地理情報サーバと、該地理情報サーバの検索が可能な地理情報検索サーバと、地図を表示するクライアントとが互いにネットワークを介して接続されており、該地理情報サーバの持つ地理情報を該クライアントに表示させることが可能な地図表示システムであって、前記地理情報検索サーバは、前記各地理情報サーバが提供できる地理情報のインデックス情報を含むインデックス情報データベースと、該インデックス情報データベースから前記クライアントに表示する地図に適合する複数の地理情報サーバを検索し、かつ該複数の地理情報サーバの存在場所情報を含む組み合わせリストを生成する地理情報サーバ検索手段とを有しており、前記クライアントは、前記組み合わせリストを取得するための地理情報検索サーバアクセス手段と、該組み合わせリストが指定する複数の地理情報サーバから複数の地理情報を取得するための地理情報サーバアクセス手段と、該取得された複数の地理情報を同一画面上に座標が一致するように重畳させて表示するユーザインタフェース制御手段とを有していることを特徴とする地図表示システム。
【請求項2】 前記インデックス情報データベースに含まれる前記インデックス情報には、前記全ての地理情報サーバに共通する描画範囲情報と、前記各地理情報サーバの固有機能情報とがあることを特徴とする請求項1に記載の地図表示システム。
【請求項3】 前記インデックス情報データベースに含まれる前記インデックス情報の前記描画範囲情報の項目には、前記地理情報の地域名、表示範囲、表示内容並びに最大及び最小縮尺があることを特徴とする請求項2に記載の地図表示システム。
【請求項4】 前記地理情報サーバ検索手段によって生成された前記組み合わせリストは、更に、前記インデックス情報についての前記描画範囲情報に対するパラメータと、前記固有機能情報に対するパラメータとを含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の地図表示システム。
【請求項5】 前記各地理情報サーバは、前記地理情報を含む地理情報データベースと、該地理情報データベースを用いて該地理情報を検索する地理情報制御手段とを有しており、前記地理情報制御手段は、更に、前記検索された地理情報を標準的なグラフィックスデータフォーマットの描画データに変換して、かつ該描画データを前記クライアントに送信するように構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の地図表示システム。
【請求項6】 前記地理情報制御手段は、前記クライアントが指示する前記インデックス情報に基づくパラメータに従って、前記描画データを生成するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の地図表示システム。
【請求項7】 前記地理情報制御手段は、予め前記クライアントへ、自ら提供できる前記インデックス情報の固有機能情報を送信するように構成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の地図表示システム。
【請求項8】 前記クライアントは、更に、前記インデックス情報に基づくパラメータを保持するパラメータ保持部を有していることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の地図表示システム。
【請求項9】 前記クライアントは、前記インデックス情報の範囲を越えるような地図が所望された際に、再度、前記組み合わせリストを取得するために、前記地理情報検索サーバアクセス手段が前記地理情報検索サーバにアクセスするように構成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の地図表示システム。
【請求項10】 前記地理情報サーバは、更に、前記インデックス情報データベース及び前記地理情報サーバ検索手段を有しており、前記インデックス情報の範囲を越えるような地図が所望された際に、前記地理情報サーバ検索手段が前記インデックス情報データベースを用いて、該当する他の地理情報サーバを検索し、かつ前記組み合わせリストを生成して前記クライアントに送信するように構成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の地図表示システム。
【請求項11】 前記地理情報サーバは、更に、前記地理情報サーバアクセス手段を有しており、前記生成した組み合わせリストに従って、前記地理情報サーバアクセス手段を用いて指定された他の地理情報サーバから地理情報を取得するように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の地図表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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