説明

均一に硬化する機能性感光樹脂組成物

【課題】物体の形状や塗布後の硬化システムにより多少の照射ムラや一定範囲以内の照射不足の問題が残っていても有機無機触媒で遷移金属酸化物との複合感光組成物とすることで樹脂の硬化に効果的な波長の照射、又はエネルギーを与えていれば硬化ムラがなくなり安定した硬化品質の皮膜を提供する。
【解決手段】感光性樹脂の極性基がエステル基、アミド基、カルボキシル基などを有する組成物に有機無機触媒で遷移金属酸化物を有する複合感光組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多機能を付与する感光性樹脂を短時間で均一に硬化をせしめ、容易にしかも確実に機能性付与するに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来感光性樹脂については、多くの組成物が上市されているが樹脂の硬化に効果的な波長の照射、又はエネルギーを与え硬化を行っているが、光照射ムラ又は照射不足による硬化不良が発生しやすく所定の性能を発揮しにくいという問題があった。
【0003】
この改善策として、感光性樹脂組成の改善や照射装置の改善が行われてきたが、従来の多くの感光性樹脂組成では、形状になどにより照射ムラや照射不足による硬化不良の問題は殆ど解決されていない。
【特許文献1】特開平8−262700
【特許文献2】特許出願2003−573495
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらを解決するため感光性樹脂組成の工夫などが行われているが限界があり、又従来この様な場合は照射装置の改善がなされていたが、塗布物体の形状や塗布後の硬化システムにより照射ムラや照射不足の問題が残る為、特徴のある各感光性樹脂組成の機能性が十分発揮出来ないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、塗布物体の形状や塗布後の硬化システムにより多少の照射ムラや一定範囲以内の照射不足の問題が残っていても樹脂の硬化に効果的な波長の照射、又はエネルギーを与えていれば継続的にムラなく安定した硬化品質の皮膜を得ることに加え、更に高い機能性を付与することを見出し、本発明を完成した。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、感光性樹脂組成によっては遷移金属酸化物の光触媒、酸化触媒の種類や粒径を選択する必要があるものゝ汎用性がありさらに触媒の機能性を付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
すなわち本発明は次の成分、特徴のある極性基をもつ感光性樹脂、重合開始剤、硬化剤に光触媒、酸化触媒を添加することを特徴とした組成物である。以下詳細に説明する。
本発明の成分である光触媒又は酸化触媒、即ち光感応性の観点から、遷移金属酸化物である酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニゥムなどを中心とする化合物である。酸化珪素、アパタイト成分も全て本発明に使用される。
【0008】
本発明の触媒は遷移金属酸化物で酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニゥム、酸化珪素、アパタイト成分など特に限定されないが好ましくは0.01%〜20重量%である。
【0009】
一方本発明の感光性樹脂は極性基がエステル基、ヒドロキシル基、グリシジル基、アミド基、カルボキシル基を有する組成物で一例として以下に示すものが挙げられる。
【0010】
ポリエステルにヒドロキシル基、グリシジル基、カルボキシル基を含むアクリレートを付加させ得られたアクリレートを40〜100重量%他の共重合可能な不飽和単量体を0〜60重量%加え反応して得られた重合体とそれに遷移金属酸化物の光触媒又は酸化触媒の酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素からなるものを0.01〜20重量%を加えて得られる光硬化性能を有する組成物。
【0011】
感光性樹脂にはグリセロ−ルアクリレト50〜90%、グリシジルアクリレ−トを5〜50%にエチレン不飽和共重合単量体5〜50%との重合物にメタアクリル酸1〜1.5等量を反応させ重合開始剤に、遷移金属酸化物の酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、アパタイトなどの光触媒成分0.01%〜20重量%加えて得られた水溶性感光性樹脂。
【0012】
本発明の光硬化樹脂に、光感応性から、遷移金属酸化物の酸化チタン、酸化亜鉛、などの化合物と酸化珪素、アパタイト成分に、ゲル化剤、消臭剤、抗菌抗カビ剤、酸化防止剤など、本発明の効果を損なわない範囲で選択して使用することができる。
【実施例】
【0013】
以下に光硬化性能を有する重合体に光触媒、酸化触媒の消臭抗菌性能を有する組成物を添加した実施例を説明するが、本発明はこれに制約されるものではない。
【0014】
表1の「実施例」に示す組成は光硬化成樹脂に光触媒、酸化触媒の消臭機能を備えた組成物を加え樹脂皮膜をテストピ−ス上につくり、耐久性と硬度試験及び消臭試験を行った
【0015】
グリセロールメタアクリレート70部、グリシジルメタアクリレート20部、アゾビスイソブチルニトリル5部、エチルセルソルブ90部で重合を行う(A)。これに所定量のアクリル酸、ジメチルベンジルアミン、ハイドロキノンを加える(B)。更に光触媒、酸化触媒の酸化チタン、酸化亜鉛を酸化珪素に担持させた組成物を1部加え(C)、これらを付加反応を行う。なお(C)は付加反応速度に影響を及ぼす場合は付加反応の直後に添加してもよい。
【0016】
上記水溶組成物の感光樹脂溶液を性能確認のため次の様にテストピ−スをつくった。
マ−ブライトTOTO製人工大理石(ポリエステル、石灰粉)10cm角のテストピ−スとし該水溶組成物の感光樹脂溶液を片面に塗布、乾燥膜厚が20ミクロンになるよう塗布、プリキュア−し乾燥塗膜とした。これを升形状の蓋なしボックスに形どり組み立てゝボックスの全ての内面を塗装面とした。即ち内がわ側面4面と底部1面を塗装面とし、上部から紫外線60mj照射しこれを測定用テストピ−スとした。
【0017】
【表1】

【0018】
「比較例」に示す組成は当社一般品の代表的なものである。「実施例」は比較例の組成そのものに酸化チタン酸化亜鉛の光触媒を酸化珪素に担持させたものを添加したもので試験比較を行った。性能測定結果は次のと通りである。
【0019】
【表2】

【0020】
硬化測定は鉛筆硬度測定法でマスの内面即ち内側面4面と内底面1面を測定した。比較
例では照射角のためバラツキがあり硬化が完結していないことを示している。実施例では照射角の多少の差があっても硬化が完結していることを示している。
【0021】
耐薬品測定はJISK−5405で苛性ソ−タ苛性ソ−タ10%60℃12時間浸漬
後の碁盤目の剥離残量の測定をおこなった。内面即ち内側面4面と内底面1面を測定した。
比較例ではバラツキのあるのは照射角のため反応が完結していない為であり実施例では照
射角の多少の差があっても耐薬品性が完結していることを示している。
【0022】
剥離測定はJISL−0849摩擦試験機1形による耐水研磨紙JIS−R6253を使用し、内側面4面と内底面1面を測定した。
比較例でバラツキのあるのは照射角の差のため反応が完結していない為耐薬品性にバラツ
キがあり、実施例では照射角の多少の差でも耐摩耗性が未完結であることを示している。
【0023】
消臭試験では内側面4面と内底面1面を各部分を各1枚ずつ10cm立方体のテドラバ
ックに入れた。各々テストピ−スを入れたテドラバック内のホルムアルデヒドの初期濃度
は20ppmに調整した。比較例でバラツキあり照射角に影響されて効果は悪い。実施例
では照射角の多少の差があっても硬化が完結し酸化触媒性能が消臭効果として効いている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光性樹脂の極性基がエステル基、アミド基、カルボキシル基を有する組成物に有機無機触媒で遷移金属酸化物との複合感光組成物。
【請求項2】
グリセロ−ルアクリレト50〜90%、グリシジルアクリレ−トを5〜50%にエチレン不飽和共重合単量体5〜50%との重合物にメタアクリル酸1〜1.5等量を反応させ重合開始剤を加えて得られた水溶性感光性樹脂に不飽和基を持つ感光性樹脂に重合開始剤、さらに酸化チタン酸化亜鉛酸化珪素などの触媒で遷移金属酸化物又はナノ粒子の光触媒、酸化触媒を一定割合で含有する複合組成物、
【請求項3】
Aアクリル化エポキシ樹脂のエポキシ基を持つ化合物にアクリル酸、メタアクリル酸を付加し、エポキシ樹脂にはビスフェノールA型エポキシ樹脂、単官能モノマー又は多官能モノマー、ヒドロキシル基、グリシジル基、カルボキシル基を含むアクリレートを付加させて得られたアクリレートを40〜100重量%及び他の共重合可能な不飽和単量体を0〜60重量%反応して得られる光硬化性能を有する重合体、B遷移金属酸化物の触媒で酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素などのナノ粒子の光触媒又は酸化触媒、C希釈剤、D重合開始剤、E硬化剤エポオキシ基を含有し水または希アルカリ水溶液からなる液状硬化複合組成物。

【公開番号】特開2007−176974(P2007−176974A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−373802(P2005−373802)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(300066346)富士化成株式会社 (2)
【出願人】(300092367)有限会社 モリ・ホーム (1)
【出願人】(305051015)
【Fターム(参考)】