説明

基板処理システム

【課題】基板処理装置の装置パラメータ設定戻し忘れや、設定変更漏れを防止し、基板のロットアウトの発生を未然に防止可能な基板処理システムを提供する。
【解決手段】基板を処理する基板処理装置から送信される装置状態を示すデータを収集し、前記基板処理装置を制御装置5により管理する群管理装置を少なくとも有する基板処理システムであって、前記制御装置は作業前の装置パラメータを退避させる退避手段6,14と、作業後の装置パラメータの各設定値を設定する設定手段6,15と、前記退避手段により退避させた装置パラメータと前記設定手段に設定された装置パラメータとを比較する比較手段6,16と、比較結果が不一致の場合に成膜処理の開始を禁止する判断手段6,18とを少なくとも有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハ等の基板に、酸化処理、拡散処理、薄膜の生成等の処理を行う基板処理装置を具備する基板処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置は、成膜品質を維持、安定させる為、定期的なメンテナンスを行う必要があり、又成膜処理中に異常、故障が発生した際には処理を中断して修理、メンテナンスを実施しなければならない場合がある。
【0003】
メンテナンス作業や改造作業は、装置メーカや半導体デバイスメーカの作業者によって実施されるが、その際、装置パラメータの設定変更が必要となる場合が殆どであり、作業者は各作業を実施する際に変更が必要となる装置パラメータの設定を変更した上で、メンテナンス作業や改造作業を行う。
【0004】
特に、メンテナンス作業時の装置パラメータ変更は調整作業時のみの一時的なものが殆どであり、メンテナンス作業が終了すると、成膜処理の開始前に元の設定に戻す必要がある。又、改造作業については、改造部位に合わせて関連する装置パラメータを成膜処理を開始する前に変更する必要がある。その為、作業者は設定変更が必要となる装置パラメータについて、作業前と作業後の設定を作業チェックリストに記録し、作業完了前にメンテナンス時の設定戻し忘れや改造時の設定変更漏れがないかを確認し、作業を終える。
【0005】
メンテナンスや改造作業の完了後、テストRUNを実施し、異常がなければ通常の成膜処理が開始されるが、テストRUNの実施時、或は成膜処理開始後に成膜結果に異常が発生する場合がある。異常の原因として、メンテナンス時に実施した一時的な装置パラメータ変更の戻し忘れや、改造作業時の装置パラメータの設定変更漏れの場合が多い。
【0006】
テストRUN実施時の異常については、装置パラメータを正しい設定に変更した後、再度テストRUNを実施し、成膜結果を確認すればよいが、成膜処理開始後の成膜異常についてはロットアウトとなる場合が多くなる為、次工程に材料を回すことができず、次工程以降の装置に待ち時間が発生することとなる。又、成膜異常が発生した装置は装置パラメータを正しい設定に変更した後、再度テストRUNを実施する必要がある為、当該装置で予定されていた成膜処理の実施計画にも影響を及し、各装置の生産計画の変更を強いられることとなり、歩留り低下の原因となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−59765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は斯かる実情に鑑み、基板処理装置の装置パラメータ設定戻し忘れや、設定変更漏れを防止し、基板のロットアウトの発生を未然に防止可能な基板処理システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、基板を処理する基板処理装置から送信される装置状態を示すデータを収集し、前記基板処理装置を制御装置により管理する群管理装置を少なくとも有する基板処理システムであって、前記制御装置は作業前の装置パラメータを退避させる退避手段と、作業後の装置パラメータの各設定値を設定する設定手段と、前記退避手段により退避させた装置パラメータと前記設定手段に設定された装置パラメータとを比較する比較手段と、比較結果が不一致の場合に成膜処理の開始を禁止する判断手段とを少なくとも有する基板処理システムに係るものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、基板を処理する基板処理装置から送信される装置状態を示すデータを収集し、前記基板処理装置を制御装置により管理する群管理装置を少なくとも有する基板処理システムであって、前記制御装置は作業前の装置パラメータを退避させる退避手段と、作業後の装置パラメータの各設定値を設定する設定手段と、前記退避手段により退避させた装置パラメータと前記設定手段に設定された装置パラメータとを比較する比較手段と、比較結果が不一致の場合に成膜処理の開始を禁止する判断手段とを少なくとも有するので、作業者の確認漏れや確認ミスによる装置パラメータ設定の異常を容易に発見することができると共に、装置パラメータ設定に異常がある状態で成膜処理が行われるのを防止することができ、基板のロットアウトを未然に防止できると共に歩留りの低下を抑制することができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例に係る基板処理システムを示す概略構成図である。
【図2】該基板処理システムに於ける群管理装置の制御装置を示す構成図である。
【図3】前記基板処理システムに適用される基板処理装置の立断面図である。
【図4】図3のA−A矢視図である。
【図5】パラメータ変更処理に於ける変更パラメータ登録画面を示す説明図である。
【図6】パラメータ変更処理に於いて、メンテナンス作業及び改造作業前に行われる処理を示すフローチャートである。
【図7】パラメータ変更処理に於いて、メンテナンス作業及び改造作業後に行われる処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0013】
図1は、本発明に於ける基板処理システム1の基本構成図を示している。該基板処理システム1は、群管理装置2と、該群管理装置2にLAN等の通信手段を介して通信可能に接続された複数台の基板処理装置3と、前記群管理装置2にLAN等の通信手段を介して通信可能に接続された複数のコントローラ4により構成される。尚、本実施例に於いては、前記群管理装置2と各基板処理装置3は、同じクリーンルーム内に設置されている。
【0014】
前記群管理装置2は各基板処理装置3を制御し情報を管理する為の制御装置5を有し、該制御装置5により各基板処理装置3より送られる各種情報、例えば該基板処理装置3自体の状態、ウェーハ(基板)の情報、温度情報、ガス流量情報、圧力情報、及び各種センサ情報等を一元管理する様になっている。
【0015】
又、前記基板処理装置3より送られた各種情報は、前記群管理装置2を介して各コントローラ4の表示部(図示せず)に表示可能となっていると共に、該コントローラ4の操作部(図示せず)より入力された指示に従い、前記群管理装置2が各基板処理装置3を一括して制御する様になっている。尚、各基板処理装置3の制御は、前記制御装置5より直接行ってもよい。
【0016】
次に、図2に於いて、該制御装置5の構成について説明する。
【0017】
該制御装置5は、主にCPU等の演算制御部6と、メモリやHDD等の記憶部7と、入出力部8と、操作部9及び表示部11とから構成されている。
【0018】
前記記憶部7には、各基板処理装置3毎にデータ格納領域12が形成される。又、前記記憶部7には各基板処理装置3に共通したプログラムが格納されるプログラム格納領域13が形成され、該プログラム格納領域13にはパラメータ退避プログラム14、パラメータ設定変更プログラム15、比較プログラム16、比較結果格納表示プログラム17、処理開始許可プログラム18等のメンテナンス作業や改造作業に必要なプログラムが格納されている。
【0019】
前記各データ格納領域12は、それぞれメンテナンス作業や改造作業を行う際の各種設定値である現在装置パラメータの現在値を格納する現在パラメータ格納エリア19、作業者が設定を変更した装置パラメータの種類を登録する変更パラメータ登録エリア21、装置パラメータ変更前の通常の成膜処理を行う際の装置パラメータを退避させる作業開始前パラメータ退避エリア22、該作業開始前パラメータ退避エリア22に格納された装置パラメータと、メンテナンス作業後や改造作業後に作業者が元に戻した装置パラメータとの比較結果が格納される比較結果格納エリア23を有している。
【0020】
又、前記各データ格納領域12には、定期メンテナンス等変更される装置パラメータが常に同一である場合に、変更装置パラメータ値を予め登録し、ファイルとして保存した複数の変更パラメータ登録ファイル24が格納されている。
【0021】
前記パラメータ退避プログラム14は、前記基板処理装置3のメンテナンス作業や改造作業を行う際に、通常の成膜処理を行う際の各種装置パラメータを前記作業開始前パラメータ退避エリア22にコピーする機能を有しており、前記演算制御部6と前記パラメータ退避プログラム14とで退避手段が構成される。
【0022】
前記パラメータ設定変更プログラム15は、作業開始が入力された際に、変更した装置パラメータの項目を前記変更パラメータ登録エリア21に登録すると共に、変更後の装置パラメータを含む全装置パラメータを現在値として前記現在パラメータ格納エリア19に上書きする機能を有しており、前記演算制御部6と前記パラメータ設定変更プログラム15とで設定手段が構成される。
【0023】
前記比較プログラム16は、前記現在パラメータ格納エリア19より読込まれた装置パラメータと、作業後に作業者が入力した装置パラメータが一致するかどうかを比較する機能を有しており、前記演算制御部6と前記比較プログラム16とで比較手段が構成される。
【0024】
前記比較結果格納表示プログラム17は、前記比較プログラム16により比較された比較結果を前記比較結果格納エリア23に格納すると共に、比較結果を前記表示部11或は前記コントローラ4に表示する機能を有している。
【0025】
更に、前記処理開始許可プログラム18は、前記比較プログラム16による比較結果が全て一致であれば成膜処理の開始を許可し、比較結果に不一致があれば成膜処理の開始を禁止する機能を有しており、前記演算制御部6と前記処理開始許可プログラム18とで判断手段が構成される。
【0026】
又、前記操作部9及び前記表示部11は、前記演算制御部6と電気的に接続され、前記操作部9より各種命令の入力が可能であると共に、前記表示部11には前記基板処理装置3の各種情報が表示される様になっている。尚、前記表示部11をタッチパネルとし、該表示部11が前記操作部9を兼ねる様にしてもよい。
【0027】
更に、前記入出力部8は、各基板処理装置3、各コントローラ4との通信を制御する機能を有している。
【0028】
次に、図3、図4に於いて、前記基板処理システム1で用いられる前記基板処理装置3の一例について説明する。
【0029】
該基板処理装置3は縦型炉を有し、該縦型炉内に処理室が形成され、該処理室に連設された気密な予備室を有している。又、前記基板処理装置3では、ウェーハ(基板)25は密閉式の基板収容器(以下、ポッドと称す)26に収納され、保管、搬送される様になっている。
【0030】
図3、図4中、27は気密な筐体を示し、該筐体27の正面壁28の下部にはメンテナンス用の正面メンテナンス口29が介設され、該正面メンテナンス口29は正面メンテナンス扉31,31によって開閉される様になっている。
【0031】
前記正面壁28の、前記正面メンテナンス扉31の上側にはロードポート(基板収容器渡し台)32が設けられ、該ロードポート32と前記筐体27内部とは、ポッド搬入搬出口(基板収容器搬入搬出口)33を介して連通し、該ポッド搬入搬出口33はフロントシャッタ(基板収容器搬入搬出口開閉機構)34によって開閉される様になっている。前記ロードポート32に対しては、工程内搬送装置(図示せず)により、前記ポッド26の搬送、授受が行われる様になっている。
【0032】
前記筐体27内の前後方向の略中央部に於ける上部には、回転式ポッド棚(基板収容器載置棚)35が設置されており、該回転式ポッド棚35は複数個の前記ポッド26を保管する様に構成されている。前記回転式ポッド棚35には、垂直に立設されて水平面内で間欠回転される支柱36と、該支柱36の上下4段の各位置に於いて、放射状に設けられた複数枚の棚板(基板収容器載置台)37とを備えており、該複数枚の棚板37には前記ポッド26が複数個それぞれ載置される様に構成されている。
【0033】
前記ロードポート32と前記回転式ポッド棚35との間には、ポッド搬送装置(基板収容器搬送装置)38が設置されており、該ポッド搬送装置38は、前記ポッド26を保持して昇降可能なポッドエレベータ(基板収容器搬送機構)39と進退可能な搬送機構としてのポッド搬送機構(基板収容器搬送機構)41とで構成されており、前記ポッド搬送装置38と前記回転式ポッド棚35、後述するポッドオープナ(基板収容器蓋体開閉機構)42との間で、前記ポッド26を搬送する様に構成されている。
【0034】
前記筐体27内の前後方向の略中央部に於ける下部には、気密な筐体から構成される内部筐体43が後端に亘って設けられている。該内部筐体43の正面壁44にはウェーハ25を前記内部筐体43内に対して搬入搬出する為のウェーハ搬入搬出口(基板搬入搬出口)45,45が、垂直方向に上下2段に開口されており、該ウェーハ搬入搬出口45,45にはポッドオープナ42,42がそれぞれ設置されている。
【0035】
該ポッドオープナ42は前記ポッド26を載置する載置台46,46と、前記ポッド26のキャップ(蓋体)を着脱するキャップ着脱機構(蓋体着脱機構)47,47とを備えている。前記ポッドオープナ42は前記載置台46に載置された前記ポッド26のキャップを前記キャップ着脱機構47によって着脱することにより、前記ポッド26のウェーハ出入り口を開閉する様に構成されている。
【0036】
前記内部筐体43は気密な移載室48を構成し、該移載室48の前側領域にはウェーハ移載機構(基板移載機構)49が設置されている。該ウェーハ移載機構49は、ウェーハ25を水平方向に回転、進退可能なウェーハ移載装置(基板移載装置)51及び該ウェーハ移載装置51を昇降させる為のウェーハ移載装置エレベータ(基板移載装置昇降機構)52とで構成されている。
【0037】
前記ウェーハ移載機構49は、前記ウェーハ搬入搬出口45に対峙して設けられ、前記ウェーハ移載装置エレベータ52及び前記ウェーハ移載装置51の協働により、ウェーハ25の載置部である前記ウェーハ移載装置51のツイーザ(基板保持体)53で、ウェーハ25をボート(基板保持具)54に対して装填(チャージング)及び脱装(ディスチャージング)する様に構成されている。該ボート54は、ウェーハ25を所定枚数、例えば50枚〜125枚程度、水平姿勢で多段に保持する様になっている。
【0038】
前記ウェーハ移載装置エレベータ52と対向し、前記移載室48に清浄化した雰囲気又は不活性ガスであるクリーンエア55を供給する様供給ファン及び防塵フィルタで構成されたクリーンユニット56が設置されており、該クリーンユニット56と前記ウェーハ移載装置51との間には、ウェーハ25の円周方向の位置を整合させる基板整合装置としてのノッチ合わせ装置57が設置されている。
【0039】
前記クリーンユニット56から吹出されたクリーンエア55は、前記ノッチ合わせ装置57及び前記ウェーハ移載機構49に流通された後に、図示しないダクトにより吸込まれて、前記筐体27の外部に排気されるか、若しくは前記クリーンユニット56の吸込み側である一次側(供給側)に循環され、再び前記クリーンユニット56によって、前記移載室48に吹出される様に構成されている。
【0040】
該移載室48の後側領域には、大気圧未満の圧力(以下、負圧と称す)を維持可能な気密性能を有する耐圧筐体58が設置されており、該耐圧筐体58により前記ボート54を収容可能な容積を有し、処理室で処理したウェーハ25の放熱を行うロードロック方式の予備室であるロードロック室59が、前記処理室に隣接して形成されている。
【0041】
前記耐圧筐体58の正面壁61にはウェーハ搬入搬出開口(基板搬入搬出開口)62が開設されており、該ウェーハ搬入搬出開口62はゲートバルブ(基板搬入搬出開口開閉機構)63によって開閉される様になっている。前記耐圧筐体58の一対の側壁には前記ロードロック室59へ窒素ガスを給気する為のガス供給管64と、前記ロードロック室59を負圧に排気する為の排気管65とがそれぞれ接続されている。
【0042】
前記ロードロック室59上方には、処理炉66が設けられている。該処理炉66下端の炉口部は炉口ゲートバルブ(炉口開閉機構)67により開閉される様に構成されている。前記正面壁61の上端部には、炉口部開放時に前記炉口ゲートバルブ67を収納する炉口ゲートバルブカバー68が取付けられている。
【0043】
前記ロードロック室59には前記ボート54を昇降させる為のボートエレベータ(基板保持具昇降機構)69が設置されている。該ボートエレベータ69は水平方向に延出するアーム71を有し、該アーム71には蓋体としてのシールキャップ72が水平に設けられており、該シールキャップ72は前記ボート54を垂直に支持し、前記炉口部を閉塞可能な様に構成されている。
【0044】
尚、図示はしないが、前記基板処理装置3は制御部を有し、該制御部には各機構を駆動させる為のプログラムや、成膜処理を行う為のレシピ等が格納されている。
【0045】
次に本発明が実施される基板処理装置3の作用について説明する。
【0046】
前記ポッド26が前記ロードポート32に供給されると、前記ポッド搬入搬出口33が前記フロントシャッタ34によって開放され、前記ロードポート32上の前記ポッド26は前記ポッド搬送装置38によって前記筐体27の内部へ前記ポッド搬入搬出口33から搬入される。
【0047】
搬入された前記ポッド26は前記回転式ポッド棚35の指定された前記棚板37へ前記ポッド搬送装置38によって搬送されて載置され、一時的に保管された後、前記棚板37から一方の前記ポッドオープナ42に搬送されて前記載置台46に移載されるか、若しくは直接前記ポッドオープナ42に搬送されて前記載置台46に移載される。この際、前記ウェーハ搬入搬出口45は前記キャップ着脱機構47によって閉じられており、前記移載室48にはクリーンエア55が流通され、充満されている。例えば、前記移載室48にはクリーンエア55として窒素ガスが充満することにより、酸素濃度が20ppm以下と、前記筐体27の内部(大気雰囲気)の酸素濃度よりも遙かに低く設定されている。
【0048】
前記載置台46に載置された前記ポッド26はその開口部側面端が前記ウェーハ搬入搬出口45の開口縁辺部に押付けられ、前記ポッド26のキャップは前記キャップ着脱機構47によって取外され、ウェーハ出入り口が開放される。又、前記ロードロック室59が大気圧状態とされていた前記耐圧筐体58の前記ウェーハ搬入搬出開口62が前記ゲートバルブ63によって開放される。
【0049】
前記ポッド26が前記ポッドオープナ42によって開放され、前記ウェーハ搬入搬出開口62が開放されると、前記ウェーハ25は前記ポッド26から前記ツイーザ53によってウェーハ出入り口を通じてピックアップされ、前記ノッチ合わせ装置57により整合された後、前記ウェーハ搬入搬出開口62を通して前記ロードロック室59に搬入される。該ロードロック室59では、予め前記ボートエレベータ69により前記ボート54が降下(アンロード)され、待機状態となっており、該ボート54に前記ウェーハ25が前記ウェーハ移載装置51により装填される。前記ボート54に前記ウェーハ25を装填した前記ウェーハ移載装置51は前記ポッド26に戻り、次のウェーハ25を前記ボート54に装填する。
【0050】
上段又は下段の一方のポッドオープナ42のウェーハ25が前記ウェーハ移載機構49により装填されている作業中に、他方(下段又は上段)のポッドオープナ42には前記回転式ポッド棚35から別のポッド26が前記ポッド搬送装置38によって搬送され、前記ポッドオープナ42による前記ポッド26の開放作業が同時進行される。
【0051】
予め指定された枚数のウェーハ25が前記ボート54に装填されると、前記ウェーハ搬入搬出開口62が前記ゲートバルブ63によって閉じられ、前記ロードロック室59は前記排気管65から真空引きされることで減圧される。
【0052】
前記ロードロック室59が前記処理炉66の処理室と同圧に減圧されると、炉口部が前記炉口ゲートバルブ67によって開放され、該炉口ゲートバルブ67は前記炉口ゲートバルブカバー68に収納される。前記ボートエレベータ69により前記ボート54が上昇され、前記処理室に装入(ロード)される。該ボート54が装入されると、前記炉口部は前記シールキャップ72により気密に閉塞される。
【0053】
ローディング後は、前記処理炉66により、ウェーハ25に対して任意の処理が実施される。処理後は、前記ボートエレベータ69により前記ボート54が引出され、更に前記ロードロック室59内部を大気圧に復帰させた後に前記ゲートバルブ63を開放する。その後は、前記ノッチ合わせ装置57でのウェーハ25の整合工程を除き、上述の逆の手順で、前記ウェーハ25及び前記ポッド26は前記筐体27の外部へ払出される。
【0054】
次に、メンテナンス作業、改造作業を行う際の装置パラメータの変更処理、及びメンテナンス作業、改造作業が終了し、再度成膜処理を行う迄の装置パラメータ変更処理について、図5〜図7を参照して説明する。尚、以下では各基板処理装置3の内の1つの装置パラメータを変更する場合について説明している。
【0055】
図5中、73は装置パラメータの変更を行う際の変更パラメータ登録画面を示している。
【0056】
該変更パラメータ登録画面73は、装置パラメータの種類が表示されるパラメータ名エリア74、該パラメータ名エリア74に表示された装置パラメータの現在値が表示される作業前パラメータエリア75、及び作業者が変更後の装置パラメータを入力する作業後パラメータエリア76、比較結果が表示される比較結果表示エリア77を有すると共に、詳細ボタン78、読込みボタン79、保存ボタン81、作業開始ボタン82、作業終了ボタン83、再チェックボタン84等の各種処理を実行させる為のボタンを有している。
【0057】
次に、図6のフローチャートを用いて、メンテナンス作業、改造作業前の装置パラメータの変更処理を説明する。
【0058】
STEP:01 メンテナンス作業や改造作業を行うにあたり、先ず前記パラメータ名エリア74より変更するパラメータ名を選択する。選択した装置パラメータの前記作業後パラメータエリア76に変更後の装置パラメータ値を入力した後、前記保存ボタン81を押下することで、変更したパラメータ名及び装置パラメータ値が前記変更パラメータ登録エリア21に登録される。
【0059】
STEP:02 次に前記作業開始ボタン82が押下されると、前記パラメータ退避プログラム14により、作業開始前、即ち通常の成膜処理を行う為の全装置パラメータが前記作業開始前パラメータ退避エリア22にコピーされると共に、前記処理開始許可プログラム18により成膜処理の開始が禁止状態となる。
【0060】
STEP:03 その後、前記パラメータ設定変更プログラム15により、前記変更パラメータ登録エリア21に登録された変更装置パラメータで前記現在パラメータ格納エリア19に格納された装置パラメータが上書きされ、上書きされた装置パラメータを現在値としてメンテナンス作業、改造作業等の所定の作業が行われる。
【0061】
次に、図7のフローチャートを用い、メンテナンス作業、改造作業の終了後の装置パラメータ復帰処理について説明する。
【0062】
STEP:11 前記パラメータ名エリア74より変更するパラメータ名を選択し、選択した装置パラメータの前記作業後パラメータエリア76に、変更後の装置パラメータ値を入力した後前記作業終了ボタン83を押下する。
【0063】
STEP:12 その後、前記比較プログラム16により前記現在パラメータ格納エリア19に格納された装置パラメータが順次読込まれ、読込まれた装置パラメータのパラメータ名が前記変更パラメータ登録エリア21に登録されたパラメータ名と一致するかどうかが比較される。
【0064】
STEP:13 STEP:12にて、読込まれた装置パラメータのパラメータ名が登録されたパラメータ名と一致した場合には、前記比較プログラム16により前記作業後パラメータエリア76に入力された装置パラメータ値と前記作業開始前パラメータ退避エリア22に格納された装置パラメータ値が一致するかどうかが比較される。
【0065】
STEP:14 STEP:13にて装置パラメータ値が一致しなかった場合には、設定戻し忘れ或は設定変更漏れと判断され、前記比較結果格納表示プログラム17により前記比較結果格納エリア23にパラメータ名や装置パラメータ値等の装置パラメータ設定内容が書込まれる。
【0066】
STEP:15 STEP:13にて、装置パラメータ値が一致した場合、及びSTEP:14にて装置パラメータ設定内容が書込まれた後、全ての装置パラメータについて比較が終了したかどうかが判断され、終了していなければ前記現在パラメータ格納エリア19より次の装置パラメータが読込まれ、再度STEP:12の処理が行われる。
【0067】
STEP:16 STEP:12にて、読込まれた装置パラメータのパラメータ名が登録されたパラメータ名と一致しなかった場合には、前記比較プログラム16により前記現在パラメータ格納エリア19に格納された装置パラメータ値と前記作業開始前パラメータ退避エリア22に格納された装置パラメータ値が一致するかどうかが比較される。
【0068】
STEP:17 STEP:16にて、装置パラメータ値が一致しなかった場合には、不必要な装置パラメータ設定変更と判断され、前記比較結果格納表示プログラム17により前記比較結果格納エリア23に装置パラメータ設定内容が書込まれる。
【0069】
STEP:18 STEP:16にて、装置パラメータ値が一致した場合、及びSTEP:17にて装置パラメータ設定内容が書込まれた後、全ての装置パラメータについて比較が終了したかどうかが判断され、終了していなければ前記現在パラメータ格納エリア19より次の装置パラメータが読込まれ、再度STEP:12の処理が行われる。
【0070】
STEP:19 STEP:15及びSTEP:18にて全ての装置パラメータについて比較が終了したと判断されると、次に前記比較結果格納エリア23に書込みがあるかどうかが判断される。
【0071】
STEP:20 STEP:19にて前記比較結果格納エリア23に書込みがないと判断されると、前記比較結果格納表示プログラム17により前記比較結果表示エリア77に比較結果が正常であった旨のメッセージが表示されると共に、前記処理開始許可プログラム18により成膜処理の開始が許可され、装置パラメータ変更処理を終了する。
【0072】
STEP:21 STEP:19にて前記比較結果格納エリア23に書込みがあったと判断されると、装置パラメータ設定に異常があると判断され、前記比較結果格納表示プログラム17により前記比較結果表示エリア77に警告メッセージが表示され、処理を終了する。尚、警告メッセージが表示された状態で前記詳細ボタン78を押下することで、比較結果に異常があった装置パラメータのパラメータ名や設定値等の詳細情報が表示される。
【0073】
STEP:21にて表示された警告メッセージの内容に従って装置パラメータ値を修正した後、前記再チェックボタン84を押下することで、再度STEP:12〜STEP:21の処理が行われ、比較結果が全て一致すれば前記処理開始許可プログラム18により成膜処理の開始が許可され、装置パラメータ変更処理を終了する。
【0074】
上述の様に、本実施例では、メンテナンス作業、改造作業の為に装置パラメータの変更を行った後、成膜処理を行う為に変更した装置パラメータを元に戻す際に、自動的に正常な装置パラメータとの比較を行い、比較結果を表示する様にしたので、作業者の確認漏れや確認ミスによる装置パラメータ設定の異常を容易に発見することができる。従って、装置パラメータ設定に異常がある状態で成膜処理を開始することにより、ウェーハ25の成膜異常によるロットアウトを未然に防止できると共に、歩留りの低下を抑制することができる。
【0075】
又、メンテナンス作業、改造作業を行う際には前記処理開始許可プログラム18により成膜処理の開始が禁止され、装置パラメータの比較結果に異常があれば成膜処理が開始できない様になっているので、警告メッセージが出ていた際に誤って成膜処理を開始してしまうのを防止することができる。
【0076】
更に、メンテナンス作業等変更される装置パラメータが常に同じ場合には予め設定値を前記変更パラメータ登録ファイル24として登録しているので、登録した装置パラメータ設定を行う際には前記変更パラメータ登録ファイル24を読込むだけでよく、作業性が向上すると共に、設定時の入力ミスを防止することができる。
【0077】
尚、本実施例では、各基板処理装置3の装置パラメータ設定を前記群管理装置2の前記制御装置5より一括して、或は個別に行う様になっているが、各基板処理装置3の制御部に前記データ格納領域12及び前記プログラム格納領域13を形成し、各基板処理装置3毎に装置パラメータ設定ができる様にしてもよい。
【0078】
又、前記群管理装置2は前記基板処理装置3とは同じクリーンルーム内ではなく、それぞれ別のフロアに設置する様にしてもよい。又、前記群管理装置2は、データベースや制御部、操作部や表示部を一体とする必要はなく、それぞれ別体とし、クリーンルームに配置されたデータベース内のデータを、遠隔で事務所に配置されたコントローラによる解析を行える様に構成してもよい。
【0079】
又、本実施例の基板処理システム1に適用される基板処理装置3は、半導体製造装置だけではなく、LCD装置の様なガラス基板を処理する装置でも適用可能であり、又エッチング装置、露光装置、リソグラフィ装置、塗布装置、モールド装置、現像装置、ダイシング装置、ワイヤボンディング装置、検査装置等の各種装置にも適用可能であるのは言う迄もない。
【0080】
更に、成膜処理には、CVD、PVD、ALD、Epiやその他酸化膜、窒化膜を形成する処理、金属を含む膜を形成する処理等を含み、又アニール処理、酸化処理、拡散処理等の処理でも実施可能である。
【0081】
(付記)
又、本発明は以下の実施の態様を含む。
【0082】
(付記1)基板を処理する基板処理装置から送信される装置状態を示すデータを収集し、制御装置により前記基板処理装置を管理する群管理装置であって、前記制御装置が作業前の装置パラメータを退避させる退避手段と、作業後の装置パラメータの各設定値を設定する設定手段と、前記退避手段により退避させた装置パラメータと前記設定手段に設定された装置パラメータとを比較する比較手段と、比較結果が不一致の場合に成膜処理の開始を禁止する判断手段とを少なくとも有することを特徴とする群管理装置。
【0083】
(付記2)メンテナンス作業開始時に作業前の装置パラメータを退避させる工程と、メンテナンス作業後に設定された装置パラメータをメンテナンス作業前の装置パラメータと比較する工程と、比較する工程で装置パラメータが一致しなかった場合に表示部に警告メッセージを表示すると共に成膜処理の開始を禁止する工程とを有することを特徴とする基板処理装置のメンテナンス方法。
【0084】
(付記3)メンテナンス作業前の装置パラメータを退避手段により退避させ、退避させた装置パラメータとメンテナンス作業後の装置パラメータを比較手段により比較させ、比較結果が不一致であった場合に判断手段により成膜処理の開始を禁止させることを特徴とする基板処理装置のメンテナンスプログラム。
【符号の説明】
【0085】
1 基板処理システム
2 群管理装置
3 基板処理装置
4 コントローラ
5 制御装置
6 演算制御部
7 記憶部
12 データ格納領域
13 プログラム格納領域
14 パラメータ退避プログラム
15 パラメータ設定変更プログラム
16 比較プログラム
18 処理開始許可プログラム
19 現在パラメータ格納エリア
21 変更パラメータ登録エリア
22 作業開始前パラメータ退避エリア
23 比較結果格納エリア
73 変更パラメータ登録画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する基板処理装置から送信される装置状態を示すデータを収集し、前記基板処理装置を制御装置により管理する群管理装置を少なくとも有する基板処理システムであって、前記制御装置は作業前の装置パラメータを退避させる退避手段と、作業後の装置パラメータの各設定値を設定する設定手段と、前記退避手段により退避させた装置パラメータと前記設定手段に設定された装置パラメータとを比較する比較手段と、比較結果が不一致の場合に成膜処理の開始を禁止する判断手段とを少なくとも有することを特徴とする基板処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−115189(P2013−115189A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259185(P2011−259185)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】