説明

基板処理チャンバーにおいて迷光を減少させる装置と方法

本処理チャンバーにおいて半導体ウエハーを加熱するための方法と装置が開示されている。この装置は、放射温度計等の放射線感知装置を使用して、処理の際のウエハーの温度を求める非接触式温度測定システムを具えている。この放射線感知装置は、特定の波長でウエハーから発せられる放射線の量を監視することによってウエハーの温度を決定する。本発明によれば、放射線感知装置が作動する波長においてウエハーを加熱するのに使用されるランプから発せられる光を濾過するための装置にスペクトル・フィルターが設けられている。このスペクトル・フィルターは稀土類元素、稀土類元素の酸化物、光吸収性染料、金属又は半導体材料等の光吸収剤を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
熱処理チャンバーは、半導体ウエハー等の物体を加熱するために放射線エネルギー等のエネルギーを使用する装置のことを称する。典型的には、この装置は、半導体ウエハーと該ウエハーを加熱する光エネルギーを発する光源とを保持する基板ホルダーを具えている。加熱処理の際に半導体ウエハーの温度を監視するために、熱処理チャンバーは、半導体ウエハーによって発せられる選択された波長の放射線を検出する放射温度計等の放射線感知装置も具えている。ウエハーによって発せられる熱放射線を感知することによって、ウエハーの温度を合理的な正確さで計算することができる。
【背景技術】
【0002】
しかし、光学的温度測定システムを有する高速温度処理チャンバーの設計における一つの大きな問題は、ヒーターランプによって放射された望ましくない光が放射温度機器によって検出されるのを防ぐ能力であった。半導体ウエハーによって発せられない望ましくない光が放射温度計によって検出されると、計算されたウエハーの温度は実際の或いは真のウエハー温度から不合理に偏ることがある。
【0003】
過去には、放射温度計によって望ましくない熱放射線が検出されることを防ぐために、種々の方法が用いられていた。以前には、例えば、ヒーターランプによって発せられた望ましくない光が放射温度計に到達しないように隔離するための物理的遮蔽物が使用されていた。物理的遮蔽物は、ヒーターランプが半導体ウエハーの一方の側に位置し、放射温度計がウエハーの他方の側に位置している高速熱処理チャンバー内で、特に使用されていた。
【0004】
しかし、物理的遮蔽物はシステムの設計を制限することがある。例えば、物理的遮蔽物は、ウエハーの支持方法を限定することがある。一実施形態においては、大直径の連続支持リングを用いてウエハーの縁を保持するように、ウエハーの下方に光密閉型カバーが設けられている。支持リングが存在すると、支持リングとウエハーの縁との間に重なりが生じ、加熱サイクルにおいてウエハーに温度の不均一を生じることがある。もう一つの問題点は、支持リング又はウエハーが僅かではあるが反っている場合に発生する。これが起こると、光は隙間を通って仮想の光密閉領域内に迷走する。この迷光は放射温度計の読みにエラーを生じさせることがある。
【0005】
物理的遮蔽物の他に、放射温度計によって検出される光の干渉の量を制限するのにスペクトル・フィルターも使用されていた。例えば、スペクトル・フィルターは、放射温度計が作動する波長においてヒーターランプから発せられた光を除去することによって作動する。好ましくは、スペクトル・フィルターは望ましくない熱放射線を吸収し、同時に、半導体ウエハーを加熱するのに必要なヒーターランプから発せられる熱放射線に対しては透明性を有している。
【0006】
従来から使用されていたスペクトル・フィルターの一つのタイプは、ヒドロキシ(OH)イオンをドーピングされたシリカ等の溶融シリカで作られた窓である。溶融シリカガラスは大部分の光エネルギーに対して透明性を有しているが、約2.7ミクロン、4.5ミクロン、及び5ミクロン以上の波長において最大となる幾つかの強い吸収領域を有していることが知られている。
【0007】
特定のOHドーピングされたシリカガラスは2.7、4.5及び5ミクロン以上の波長の光を効果的に吸収することができ、一方、多くの他の短い波長の光に対しては実質的に透明なので、シリカガラスは、熱処理チャンバー内に入っている放射温度計が前記波長の一つにおいて熱放射線を感知するように構成されている場合には、効果的なスペクトル・フィルターを形成する。
【0008】
しかし、不幸にもシリカガラスは、約1ミクロンより短い波長の熱放射線を感知する放射温度計を具えた温度測定システムにおいてスペクトル・フィルターとして使用されるのには適していない。特に、幾つかの利用例においては、放射温度計を比較的短い波長で作動させることが更に有利且つ効率的である。特に、短い波長で作動する放射温度計を用いることによって、ウエハーの輻射率変動の影響を少なくして更に正確な温度を決定することができる。特に、短い波長において、シリコン・ウエハーは更に不透明になり、ウエハーの輻射率は温度依存性ではなくなる。ウエハーの輻射率は、放射温度計を使用してウエハーの温度を決める場合に、或る程度の正確性を以て知らなければならない一つの変数である。
【0009】
ウエハーの温度を精密に更に決めることに加えて、比較的短い波長で作動する放射温度計は、長い波長で作動するように構成された放射温度計より一般的に高価でなく、且つ複雑でない。更に、短い波長の熱放射線を感知する放射温度計は、非常に効率的に作動し、ノイズの低い測定結果が得られる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、過去には、短い波長の場合に熱処理チャンバーで検出される迷光が著しく多いことに起因して、低い波長で作動する放射温度計は、熱処理チャンバー内では選択的に使用されていた。このように、現在、約2ミクロンより短い波長のような短い波長の光エネルギーを効率的に吸収可能なスペクトル・フィルターに対する要望が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、半導体装置を熱処理する装置と方法に関するものである。この装置は、半導体ウエハーを入れるように構成された熱処理チャンバーを具えている。少なくとも一つのランプを具えた放射線エネルギー源が、チャンバー内に光エネルギーを照射するのに使用される。少なくとも一つの放射線感知装置が熱処理チャンバー内に設置され、熱処理される半導体ウエハーから発せられる予め選ばれた波長の熱放射線を感知するように構成されている。
【0012】
本発明によれば、この装置は、更に、放射線感知装置が作動する予め選ばれた波長で光源から発せられる熱放射線を吸収するように構成されたスペクトル・フィルターを具えている。このスペクトル・フィルターは光吸収剤を含んでいる。この光吸収剤は、例えば稀土類元素、光吸収性染料、金属、又は半導体材料である。例えば、一実施形態においては、スペクトル・フィルターは稀土類元素をドーピングされた主材料を含んでいる。稀土類元素はイッテルビウム、ネオジミウム、タリウム、エルビウム、ホルミウム、ジスプロシウム、テルビウム、ガドリニウム、ユーロピウム、サマリウム、フチセオジミウム、又はそれらの混合物である。
【0013】
別の実施形態においては、スペクトル・フィルターは、遷移金属等の金属をドーピングされた主材料を含んでいる。使用可能な特別な金属は、例えば鉄と銅である。
【0014】
主材料は液体、ガラス、結晶、プラスチック、又はセラミックである。特に好ましくは、スペクトル・フィルターが稀土類元素を含んでいる場合、このスペクトル・フィルターは約2ミクロンより短い、例えば約0.5ミクロンから約1.5ミクロンの範囲、好ましくは約0.6ミクロンから約1.1ミクロンの範囲の波長の光エネルギーを吸収するように構成されている。例えば、一実施形態において、スペクトル・フィルターは、ガラス材料に少なくとも0.5重量%、好ましくは少なくとも約20重量%の量でイッテルビウムが含まれたものである。この実施形態では、スペクトル・フィルターは、約900nmと約1010nmの間の波長の光を吸収するように構成されている。
【0015】
前述のように、主材料の中に存在する光吸収剤の量は、重量%の単位で測定されている。例えば、多くの用途に場合、光吸収剤は主材料中に約0.5重量%から約50重量%までの量で存在している。しかし、幾つかの用途では、重量%の代わりに原子組成を濃度の指標として使用するのが適している。例えば、光吸収剤は、主材料中に約0.5%から約50%の範囲の原子組成濃度(モル%)で存在している。原子組成濃度は、特定の主材料と特定の選ばれた光吸収剤に対応して変化する。
【0016】
別の実施形態においては、稀土類元素は酸化物等の稀土類元素化合物の形であってもよい。稀土類元素化合物はセラミック材料に含まれて、本発明のスペクトル・フィルターとして使用される。
【0017】
前述のように、別の実施形態においては、光吸収剤は光吸収性染料である。例えば、この染料は有機塩染料、ニッケル錯体染料、プラチナ錯体染料やパラジウム染料等の貴金属染料、ハロシアニン染料、アンスラキノン又はそれらの混合物である。これらの染料も約2ミクロンより短い波長の光を吸収するのによく適している。
【0018】
稀土類元素と光吸収性染料の他に、スペクトル・フィルターは半導体材料でも作ることが可能である。例えば、この半導体材料は砒化ガリウム、砒化アルミニウム、ゲルマニウム、シリコン、燐化インジウム、又はSi/Ge; Al/As/GaAs/InP 等のこれらの材料の合金である。
【0019】
本発明によって作られたスペクトル・フィルターは、対象波長において少なくとも5の減衰率を有している。例えば、スペクトル・フィルターは少なくとも10 の減衰率を有し、特に、対象波長において少なくとも10 の減衰率を有している。更に、前述の減衰率は比較的薄い材料によって得られる。例えば、スペクトル・フィルターは約1インチより薄い厚さを有し、特に約100mmより薄い厚さを有している。
【0020】
スペクトル・フィルターは、本発明の装置の種々の箇所に光源と連携して設けられている。例えば、一実施形態においては、スペクトル・フィルターは熱処理チャンバーと光源との間に位置している。しかし、別の実施形態では、スペクトル・フィルターはランプ又は放射線エネルギー・フィラメントを取り囲んで使用される。更に別の実施形態においては、スペクトル・フィルターは、光源の背後に位置する反射器内に組み込まれている。
本発明のその他の特長と態様は、次に詳細に述べられている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
当業者であれば、ここに述べられる説明は単なる例示に過ぎず、本発明のより広範な態様を限定する意図のないことを理解すべきであり、この本発明のより広範な態様は実施形態に具体化されている。
【0022】
一般的に、本発明は、ウエハーの温度を監視しながら半導体ウエハーを加熱する装置と方法に関するものである。この装置は、チャンバー内に入っている半導体ウエハーを加熱するのに使用される光源と連通している熱処理チャンバーを具えている。放射温度計のような放射線感知装置がこのチャンバーと連通し、そして半導体ウエハーから発せられる特定の波長の熱放射線を感知するように位置決めされている。ウエハーから発せられる熱放射線を感知することによって、この放射温度計は、熱処理チャンバーが作動している際のウエハーの温度を計算するのに用いられる。
【0023】
本発明によれば、この装置は、更に,光源に連通して位置決めされたスペクトル・フィルターも具えている。このスペクトル・フィルターは、放射線感知装置が作動する波長で光源から発せられる光エネルギーを吸収し、この光が放射線感知装置に検出されないようにして、実施される温度測定に影響を与えることを防止している。しかし、スペクトル・フィルターは、チャンバー内に入っている半導体ウエハーを加熱するのに必要な光源から発せられる光エネルギーに対しては実質的に透明である。
【0024】
本発明によれば、スペクトル・フィルターを構成するのに、種々の材料を使用することができる。例えば、一実施形態においては、スペクトル・フィルターは光吸収剤を含んだ主材料で作られている。この光吸収剤は、希土類元素或いは光吸収性染料等である。本発明において使用される希土類元素の例は、イッテルビウム、ネオジミウム、ツリウム、エルビウム、ホルミウム、ジスプロシウム、テルビウム、ガドリニウム、ユーロピウム、サマリウム、プラセオジム、及びこれらの混合物である。
【0025】
本発明に使用される光吸収性染料は、有機塩染料、ニッケル錯体染料、白金錯体染料やパラジウム錯体染料等の貴金属染料、ファロシアニン染料、アントラシアニン染料、及びこれらの混合物である。
【0026】
別の実施形態においては、スペクトル・フィルターは稀土類元素を含む化合物(酸化物等)又は半導体材料で作られている。この稀土類元素化合物は、前述の稀土類元素のいずれかの化合物である。スペクトル・フィルターとして使用可能な半導体材料の例は、砒化ガリウム、砒化アルミニウム、燐化インジウム、シリコン、ゲルマニウム、又はこれらの材料の合金である。スペクトル・フィルターとして半導体材料を使用する場合、このスペクトル・フィルターは、その位置に対応して熱処理チャンバーに入れられた半導体ウエハーの加熱の際に、冷却される必要がある。
【0027】
本発明は、加熱処理の際にウエハーの温度を決めるのに種々の利点を提供する。特に、スペクトル・フィルターは、放射線感知装置によって感知されたものから望ましくない放射線を消去して、より正確にウエハーの温度を決定することができる。一実施態様においては、特に有利なのは、本発明によって作られたスペクトル・フィルターは、2ミクロンより短い波長、特に約1ミクロンより短い波長等の比較的短い波長において非常に効率よく光を吸収するように選ばれることが可能な点にある。しかし、他の実施形態においては、本発明によって作られたスペクトル・フィルターは、或る用途において望まれているように、2ミクロンより長い波長において光を吸収するように構成されることが可能である。
【0028】
図1を参照すると、シリコン・ウエハー等の半導体装置を処理するために本発明の一実施形態によって作られた装置10が全体的に示されている。この装置10は、種々の処置を行うために半導体ウエハー14等の基板を受け入れるように構成された処理チャンバー12を具えている。このチャンバー12は、高速で且つ注意深く制御された条件下でウエハー14を加熱するように設計されている。チャンバー12は、金属とセラミックを含む種々の材料で作ることができる。例えば、一実施形態においては、このチャンバー12はステンレスで作られている。
【0029】
チャンバー12が熱伝導性材料で作られている場合、チャンバーは冷却システムを具えることが可能である。例えば、図1に示されているように、このチャンバー12はチャンバーの周囲を被覆する冷却用導管16を具えている。導管16は、チャンバー12の壁を一定の温度に維持するのに使用される水等の冷却用流体を循環させるように構成されている。
【0030】
チャンバー12は、チャンバー内にガスを導入し及び/又はチャンバー内を予め設定された圧力範囲に維持するためのガス入口18とガス出口20も具えている。例えば、ガスは、ウエハー14と反応するためにガス入口18を通ってチャンバー12内に導入される。処理が終わると、ガスはガス出口を用いてチャンバーから排出される。
【0031】
別の例では、チャンバー内で望ましくない反応が起こることを防ぐために、不活性ガスがガス入口18を通じてチャンバー12に供給される。更に他の実施形態では、ガス入口18とガス出口20はチャンバー12を加圧するのに使用される。望まれる場合には、ガス出口又はウエハーより下方に位置する更に大きい補助出口を使用して、チャンバー12内に真空を発生させることも可能である。
【0032】
一実施形態においては、処理の際に、ウエハー14を回転させるように構成することも可能である。ウエハーを回転させることによって、ウエハーの表面温度の均一性が更に高まり、ウエハー14とチャンバー内に導入されたガスとの間の接触が良くなる。しかし、チャンバー12は、ウエハーの他に光学部品、フィルム、繊維、リボン、その他の任意の特別な形状を有する基板を処理するようにも構成されている。
【0033】
全体的に22で示されている光源が、処理の際に光エネルギーを射出してウエハー14を加熱するために、チャンバー12と連通して設けられている。この実施形態では、光源22は複数のランプ24を有している。これらのランプ24は、タングステン−ハロゲン・ランプやアーク灯等の白熱ランプである。光源22は、ランプ24から発せられた光エネルギーがウエハー14上に均等に照射されるように、一つ又は一組の反射器を具えている。図1に示されているように、ランプ24はウエハーの上方に置かれている。しかし、ランプ24は任意の位置に設けられてもよいことを理解すべきである。更に、必要に応じて、補助のランプを装置10内に設けたり、その数を減らすこともできる。
【0034】
幾つかの熱処理装置においては、光源としてランプ24を使用することが好ましい。例えば、ランプは他の加熱装置よりもはるかに高速で加熱・冷却が可能である。ランプ24は、非常に短いそして良好に制御された始動時間を必要とする瞬間的エネルギーを提供する高速熱処理システムを作り出す。ランプ24からのエネルギーの流れは、任意の時に突然に停止させることも可能である。ランプは漸進的動力制御装置を具え、ウエハーの温度測定に基づいてランプから発せられた光エネルギーの量を自動的に調節するコントローラーに接続されている。
【0035】
しかし、ランプ24の他に、装置10は、ウエハー14に隣接した位置に、熱処理チャンバー12内に設けられた支持体も具えている。この支持体は、ランプの他にウエハーを加熱するための誘導要素、例えば電気抵抗ヒーターや誘導ヒーター等を具えている。
【0036】
半導体ウエハー14は基板ホルダー26によって熱処理チャンバー12内に支持されている。基板ホルダー26は、この実施形態においては、放射温度計等の放射線感知装置30に連通している複数の光ファイバー又は光パイプ28も支持している。図1に示された実施形態とは別に、各光ファイバー28は必要に応じて別の放射線感知装置に接続されている。
【0037】
更に別の実施形態においては、放射線エネルギーを放射温度計に伝えるのに光ファイバーの使用は不要である。例えば、光ファイバーの代わりに簡単なレンズシステムを使用してもよい。更に、他の実施形態では、放射温度計を、処理される基板と同じ視線上に置くことができる。本発明の装置における温度測定装置の特別な配置は、その構造と特別な用途に依存して決められる。
【0038】
光ファイバー28は、ウエハー14から発せられた特別な波長の熱放射線を受け入れるように構成されている。次いで、感知された放射線の量は放射線感知装置30に伝えられ、そこでウエハーの温度を決めるために使用可能な電圧信号を発生する。
【0039】
この実施形態では、装置10は、光ファイバー28がウエハーから発せられた熱放射線のみを検出し、ランプ24から発せられた放射線の実質的な量を検出しないように構成されている。これに関して、装置10は、光源22と放射線感知装置20との間に位置するスペクトル・フィルター32を具えている。このスペクトル・フィルターは、放射線感知装置30が作動する波長でランプ24から発せられた熱放射線が実質的にチャンバー12に入ることを防止している。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、スペクトル・フィルター32は主材料に含まれた光吸収剤を有している。一般的に、スペクトル・フィルター32は、一方では放射線感知装置30が作動する波長でランプ24から発せられる熱放射線がチャンバー12に入らないように防ぎ、他方では、ウエハー14を加熱するのに充分な量の他の波長における放射線が伝達されることを許容する。一般的に云えば、本発明によれば、このスペクトル・フィルター32は多くの異なる波長と波長範囲を濾過するように設計されている。
【0041】
一つの特別な実施形態においては、スペクトル・フィルター32は比較的短い波長を濾過するように設計されている。例えば、半導体材料の場合、半導体の禁制帯幅 (band gap) より高い光子エネルギーに対応する半導体吸収縁より低い波長を感知する放射線感知装置を用いることが更に好都合である。これらの波長においては、サンプルは測定波長ではほぼ不透明であろう。その結果、吸収縁を越える波長の場合には普通に起こるように、サンプルの伝達が温度とウエハーのドーピングに伴って大きく変動することはない。
【0042】
短い波長において、温度の計算に使用されるプランクの法則は、非常に強い温度依存性を発揮する。結果として、短い波長においては、温度が低下するにつれて信号強度の非常に大きな減少が経験される。したがって、熱処理チャンバー内で信頼性を以て測定できる最低温度は、通常、検出システムのノイズか、あるいはウエハー信号から消せなかった迷光のいずれかによって限定される。その結果、迷光に対するウエハー放射線の比率は検出波長が増加するにつれて改善される傾向にある。したがって、幾つかの実施形態においては、温度測定装置が約0.5ミクロンから約1.5ミクロンまでの波長、特に約0.8ミクロンから約1.1ミクロンまでの波長で作動する場合に、比較的正確な結果が得られる。本発明によって作られたスペクトル・フィルターは、前述の範囲内の波長を濾過するように設計されている。
【0043】
上述のように、一実施形態においては、スペクトル・フィルター32は主材料の中に光吸収剤を含んでいる。本発明によれば、この光吸収剤は、例えば希土類元素或いは光吸収性染料である。光吸収剤の主材料は、例えばガラス、セラミック、結晶等である。
【0044】
作製されると、スペクトル・フィルターは、放射線感知装置が作動する波長である対象波長において熱放射線を効率的に濾過する。これに関して、スペクトル・フィルターの吸収係数は、対象波長において放射線を所望の通りに減衰させように充分に高くなければならない。例えば、大部分の用途に対して、スペクトル・フィルターは少なくとも5、好ましくは少なくとも100、そして特に好ましくは少なくとも1000の減衰率を有しているべきである。例えば、一実施形態においては、この減衰率は約10 より大きい。ここで使用されている減衰率は次のように表される。
減衰率=exp(− αd)
ここで、αは吸収係数(1/cm)、d はスペクトル・フィルターの厚さ(cm)である。
【0045】
スペクトル・フィルターの吸収係数と厚さは、減衰率が対象波長において有用範囲内に入っていれば、変化してもよい。しかし、大部分の用途に対して、この材料は約5cm−1より大きく、好ましくは約10cm−1より大きく、特に好ましくは約50cm−1より大きくなければならない。一般に、スペクトル・フィルターはできるだけ薄くなければならない。例えば、スペクトル・フィルターは約100mmより薄く、特に25mmより薄い厚さを有し、一実施形態においては、約5mmより薄い厚さを有している。しかし、所望の減衰率を得るためにスペクトル・フィルターの厚さはこの範囲より増加させてもよい。
【0046】
本発明に使用可能な種々の光吸収剤と主材料について更に詳しく説明しよう。例えば、前述のように一実施形態においては、光吸収剤は希土類元素である。本発明で使用される希土類元素は、イッテルビウム、ネオジミウム、ツリウム、エルビウム、ホルミウム、ジスプロシウム、テルビウム、ガドリニウム、ユーロピウム、サマリウム、プラセオジム、等である。
【0047】
例えば、イッテルビウムは約900nm〜約1010nmの間、特に約950nm〜985nmの間の強い吸収のピークを有していることが判った。しかし、イッテルビウムに吸収される波長は主材料によって僅かに影響される。エルビウムとネオジミウムも、約1.5ミクロンより短く、約0.6ミクロンより長い波長において強い吸収のピークを有することが判った。
【0048】
しかし、前述のように、本発明によって作られたスペクトル・フィルターは約1.5ミクロンより長い波長を吸収するのにも使用可能である。例えば、ホルミウム、ユーロピウム及びテルビウムは、約1.7ミクロン〜約2.7ミクロンの波長に対する良好な吸収特性を有することが見出された。特に、ホルミウムは1.49ミクロンの吸収ピークを有し、ユーロピウムは約2.09ミクロンの吸収ピークを有し、テルビウムは約1.85ミクロンと約2.1ミクロンとの間の吸収ピークを有している。
【0049】
希土類元素の吸収特性を示すために、イッテルビウムをドーピングされたガラスについての光透過性と波長の関係を表すグラフを図5に示す。このガラスはSchott Companyから得られ、Schott S−8050 ガラスの名称で販売されていた。このガラスは約14mmの厚さを有し、約30重量%のイッテルビウムを含んでいた。図示されているように、この実施形態では、イッテルビウムをドーピングされたガラスは、約900nm〜約980nmの範囲の波長において光を吸収するのに好適であり、特に約940nm〜約980nmの範囲の波長において光を吸収するのに好適である。
【0050】
前述のように、ガラスに加えて、希土類元素のための主材料はセラミック、結晶、又はプラスチック材料であってもよい。一般に、液体材料を含む任意の適宜な主材料が使用可能である。多くの用途に対して、光吸収剤は主材料に対して高い溶解性を有している。更に、主材料は低コストであって、所望の形状に容易に形成できることが好ましい。更に、主材料は処理チャンバー内に直接露出された場合に化学的浸食に対して抵抗することが好ましい。
【0051】
主材料に組み込まれる光吸収剤の量は、特定の用途と所望の結果によって異なる。しかし、大部分の用途においては、主材料は少なくとも0.5重量%、好ましくは少なくとも10%、更に好ましくは少なくとも20重量%含まれていることが必要である。例えば、一実施形態においては、主材料は約0.5重量%〜約50重量%の量の光吸収剤を含んでいる。前述のように、幾つかの用途においては、主材料内の光吸収剤の量は原子組成濃度でも表される。
【0052】
次に述べるのは、本発明において主材料として使用可能な種々の材料である。しかし、次のリストは単なる例示であり、限定的なものではないことを理解しなければならない。
ガラス材料
シリカ、SiO
酸化ゲルマニウム、GeO
二酸化チタン、TiO
シリケートガラス(Liシリケート、Naシリケート)
シリケートガラス(Nb−ZrO−SiO
シリケートガラス:Schott LG−680 ( レーザーガラス)
シリケートガラス: Kigre Q−246
アルミノ・シリケートガラス
アルミノゲルマノ・シリケートガラス
ボロ・シリケートガラス
ゲルマノ・シリケートガラス
燐酸ガラス
燐酸ガラス:(BaO−K2O−P
燐酸ガラス Schott LG−700, LG−750, LG−760 (レーザーガラス)
QX (Kigre), ADY, LY, PN, PNK燐酸ガラス
NASICON 燐酸ガラス NaAlZnP12
フッ化燐酸ガラス
フルオライド燐酸ガラス
フルオライド硫酸ガラス
フルオロ酸化アルミニウムガラス
酸化ゲルマニウムガラス(K− 酸化ゲルマニウム)
カルコゲナイドガラス
ガリウム− ランタン硫化ガラス− カルコゲナイド
ハライドガラス
重金属フルオライドガラス
ZB, ZBLA, ZBLAN 及びZBLANP (ZBLANP = ZrF−BaF−laF−AlF−NaF−PbF)− 重金属フルオライドガラス
フルオロジルコネートガラス
BlGaZYT
フルオロボレートガラス
鉛フルオロボレートガラス(PbO−PbF−B
鉛オキシフルオライドガラス(PBO−PbF
鉛ボレートガラス(PbO−B
鉛フルオロボレートガラス(PbO−PbF−B
テルライトガラス(YTG)
テルライトガラス(TeO−ZnO−NaO)
テルライドガラス
結晶材料
イットリウム− アルミニウムガーネット(YAG = Y3Al12
サファイア Al
, Sc, Lu2O (三二酸化物)
半導体結晶(AlAs, GaAs, GaP, InP, AlGaAs, CdTe, CdS, CdSe, ZnS, ZnSe, ZnTe, SiC, Si)
LaBr, LaCl, LaF, LiYF, YAIO, YVO
SrY(BO(BOYS)
Cad(BOO(GdCOB)
CaY(BOO(YCOB)
kGd(WO
KY(WO
Sr(POF(S−FAP)−アパタイト構造
Ca(POF(C−FAP)−アパタイト構造
Ba(PO
LiNbO
CaLa(PO(CLYPA)−オキソアパタイト
セラミック材料
アルミナ(Al
アルミニウムオキシナイトライド(AlON とも称される。)
YAG のセラミック形状
シリコンカーバイド
シリコンナイトライド
スピネル
【0053】
一実施形態においては、稀土類元素の代わりに、光吸収剤は遷移金属等の金属であってもよい。例えば、好適実施形態においては、鉄又は銅が主金属に組み込まれている。一般的に、これらの材料は、前述の稀土類元素と同じ量を主金属に組み込むことができる。
【0054】
前述のように稀土類元素又は金属を含んだ主金属の他に、光吸収剤は光吸収性染料であってもよい。この光吸収性染料は、単独で、或いは稀土類元素及び/又は前述の金属と組み合わせて使用される。前述の光吸収剤は種々の主材料に組み込まれる。しかし、或る光吸収性染料は温度感受性を有している。或る実施形態においては、これらの染料は前述の他の主材料ではなく、プラスチックと溶剤に組み込まれるのに適している。
【0055】
多くの異なるタイプの光吸収性染料が、所望の結果に対応するように使用される。例えば、光吸収性染料は有機塩染料(Epolin 100 & 2000 シリーズ) 、ニッケル錯塩染料 (H.W. Sands Corp.のEpolin 3000 シリーズ; SDA6370, 845 nm)、プラチナ錯塩染料やパラジウム錯塩染料等の貴金属染料 (Epolin 4000 シリーズはプラチナとパラジウム染料であり、SDA5484, 888 nm H.W. Sand corp. はパラジウム染料である) 、ハロシアニン染料(Epolin 6000シリーズ) 又はアスラキノン染料(Epolin 9000シリーズ) 等である。これらの光吸収性染料は、単独で又は他の染料と組み合わせて使用される。上述の染料は、配合前にコンピューター・シミュレーションによって最適化することができる。更に、光吸収性染料は稀土類元素と組み合わせて使用することも可能である。
【0056】
本発明の光吸収性染料は、主材料に組み込まれる前又は組み込まれる際に、種々の助剤及び安定剤と組み合わせられてもよい。例えば、熱安定性と光安定性は染料に与えられる。例えば、EPOLIGHT 4029 を含むepolin「クラスV 染料」は、高い熱安定性と紫外線安定性を有している。これらの染料に添加される紫外線安定剤は、酸化セリウム等である。
【0057】
幾つかの市販されている本発明で使用できる光吸収性染料は、次の通りである。
光吸収性染料
供給者氏名 製品名 ピーク
Epolin, Inc. Epolight 2057 990 nm
(有機塩染料)
Epolin, Inc. Epolight 4129 886 nm
(プラチナ又はパラジウム染料)
Epolin, Inc. Epolight 6089 684 nm
(フタロシアニン染料)
Gentex Corp. Filtron A187 840 nm
Gentex Corp. Filtron A103 700 nm
H.W. Sands Corp. SDA 3598染料 738 nm
(貴金属染料)
H.W. Sands Corp. SDA 3805染料 798 nm
H.W. Sands Corp. SDA 7973染料 845 nm
H.W. Sands Corp. SDA 909 染料 909 nm
H.W. Sands Corp. SDA 9510染料 951 nm
(貴金属染料)
H.W. Sands Corp. SDA 1168染料 1048 nm
【0058】
稀土類元素をドーピングされた又は光吸収性染料を含んだ主材料の他に、種々の材料が本発明のスペクトル・フィルターを構成するのに使用可能である。例えば、一実施形態においては、スペクトル・フィルターは稀土類元素の酸化物から作ることができる。例えば、酸化イットリウム(Yb)が使用できる。これらの酸化物は結晶の形か、ガラスの形か、或いはセラミックの形のいずれかで使用できる。更に、これらの酸化物は互いに混合されたり、他の成分と混合されたりして、多成分セラミック又はガラスを形成して本発明に使用される。
【0059】
別の実施形態においては、スペクトル・フィルターは半導体材料から作られることが可能である。半導体材料は、例えば、砒化ガリウム、砒化アルミニウム、燐化インジウム、シリコン、ゲルマニウム、又はこれらの材料の合金等である。例えば、砒化ガリウムは、約0.9ミクロンより短い波長の光を吸収するのによく適している。しかし、半導体材料を使用する場合には、処理チャンバーが作動している際にスペクトル・フィルターを冷却する必要がある。例えば、フィルター材料を貫通して又はこれに隣接して冷却流体を循環させることによって、スペクトル・フィルターを冷やすことができる。この冷却流体は、例えば空気や水であってもよい。勿論、この目的のために任意の適宜な冷却装置を使用することができる。
【0060】
これらの半導体材料は、幾つかの材料が高い屈折率を持っていて、その結果、大量の光を反射する傾向があることから、反射防止コーティングで被覆されるようにしてもよい。反射防止コーティングは、二酸化シリコンや窒化シリコン等の薄いフィルムで作られる。多層コーティングも設計され、広いスペクトル範囲にわたって効果的な広帯域コーティングを得るように付与されてもよい。これらのコーティングは単独で、或いは種々の吸収要素と組み合わされて使用できる。一実施形態においては、放射温度計が作動する波長において高い反射率を有する反射防止コーティングが使用されている。
【0061】
図2を参照すると、本発明によって作られた熱処理装置が全体的に符号10で示されている。同じ符号が同じ要素を示している。この実施形態においては、ウエハー14は二組の光エネルギー源24を用いて両側から加熱されている。したがって、この実施形態では、装置は第1スペクトル・フィルター32と第2スペクトル・フィルター132を具え、ウエハーをランプから隔離している。
【0062】
この実施形態においては、スペクトル・フィルター32と132は、放射線感知装置30の光ファイバー28のための開口を具えている。これらの開口はウエハーから発せられた放射線を放射線感知装置まで伝達することを可能にする。図示のように、スペクトル・フィルター32と132は、ランプ24から処理チャンバー12内に発せられた光エネルギーを濾過する。本発明によれば、スペクトル・フィルター32と132は前述の任意の材料で作ることが可能である。
【0063】
本発明の別の実施形態においては、スペクトル・フィルター32はランプハウジング自体を形成するのに使われている。特に、スペクトル・フィルターは、放射線エネルギーを作り出すランプ・フィラメントと直接に連携して設置されている。
【0064】
更に別の実施形態においては、本発明のスペクトル・フィルターは、ランプの覆いのコーティングとして付与されている。
【0065】
スペクトル・フィルター32と132に開口を形成することに加えて、他の実施形態においては、光ファイバー28又は放射温度計自体が、主材料が光吸収剤でドーピングされている領域に入っている。このようにして、放射温度計はこれらの領域を貫通する透過口を有する。一実施形態においては、これらの領域は、既に開口が形成されているドーピングされたガラスに、ドーピングされていないガラス片を溶かすことによって形成することができる。
【0066】
しかし、スペクトル・フィルター内に光ファイバー28を設置することに加えて、光ファイバーは他の位置にも同様に設置可能である。例えば、光ファイバーはフィルターを完全に貫通し、或いはチャンバーの側壁を貫通して延びてもよい。
【0067】
熱処理チャンバーをランプから隔離する窓を形成する他に、本発明のスペクトル・フィルターは他の構成で作ることもできる。例えば、図3Aと3Bに示されるように、スペクトル・フィルター32は個々のランプ又はランプの群の周囲に設けられたスリーブの形状にしてもよい。図3Aに示されているように、ランプ24は垂直方向を向いたり、図3Bに示されているように、水平方向を向いていてもよい。この構成では、スペクトル・フィルター32は単独で、或いはチャンバー12を隔離するのに役立つ他の窓と連携して使用される。
【0068】
本発明の別の実施形態においては、図1及び2に示されているように、光ファイバー28は、ランプ24の近傍の熱処理チャンバー12の外側に設けられてもよい。この構成では、ランプから発せられた光は、光ファイバーに検出される前にスペクトル・フィルターを2回通過する。しかし、ウエハーから発せられた光は、光ファイバーに検出される前にスペクトル・フィルターを1回だけ通過する。その結果、信号に対する迷光の比率は改善され、正確な温度測定が行われる。
【0069】
本発明の更に他の実施形態においては、この装置10は平行な一対の窓を具え、第1の窓はランプに隣接し、第2のランプはチャンバーに隣接している。このようにして、水等の冷却流体は二つの窓の間を循環する。一方の又は両方の窓は、本発明によればスペクトル・フィルターであってもよい。窓の一つがスペクトル・フィルターとして使用されていない場合、この窓は例えば水晶或いはサファイアで作られる。
【0070】
図4を参照すると、本発明の別の実施形態では、スペクトル・フィルターは複数のランプ24と連携して設置された反射器40の形状をしている。例えば、この反射器40は第1層42と第2層44を具えている。第1層42は、金属などの高反射性材料で作られている。第2層44は、本発明による光吸収剤を含んでいる。このようにして、第2層44は、ランプから反射されて熱処理チャンバーに入る光を濾過する。こうして、対象波長においてランプから発せられる直接光はチャンバーに到達するが、対象波長における反射光の量は減少する。特別な用途に対応して、反射器40は、放射線感知装置が作動する波長の光の量を減らし、比較的正確な温度測定のために充分な量が得られるようにしている。
【0071】
当業者であれば、本発明に対するこれらの及びその他の修正及び改変は、特許請求の範囲に詳細に規定された本発明の要旨と範囲から逸脱することなく行える。更に、これらの種々の実施形態の態様は、全体として又は一部を入れ換え可能であることを理解すべきである。更に、当業者であれば、前述の説明は単なる例示であり、特許請求の範囲に述べられた発明を限定する意図は無いことは判るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0072】
本明細書と図面における符号の繰返し使用は、発明の同じ又は同等な特長又は要素を表すことを意図している。
【図1】本発明にかかる半導体装置を熱処理するための装置の一実施形態の断面図である。
【図2】本発明にかかる半導体装置を熱処理するための装置の別の実施形態の断面図である。
【図3A】本発明にかかるスペクトル・フィルターに囲まれたランプの一実施形態の断面図である。
【図3B】本発明にかかるスペクトル・フィルターに囲まれたランプの別の実施形態の断面図である。
【図4】本発明によって作られたスペクトル・フィルターの一実施形態と連携して設置された複数のランプの斜視図である。
【図5】本発明にかかるイッテルビウムを含むスペクトル・フィルターにおける、光の伝達性と波長との関係を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を受け入れる熱処理チャンバーと、
該熱処理チャンバーと連通し、放射線エネルギーを前記チャンバーに照射する放射線エネルギー源と、
予め選ばれた波長における放射線を感知するように構成され、前記熱処理チャンバーと連通する少なくとも一つの放射線感知装置と、
前記予め選ばれた波長における放射線エネルギー源から照射される放射線を吸収するように構成され、前記放射線エネルギー源と連通して位置決めされたスペクトル・フィルターとを具え、前記スペクトル・フィルターは稀土類元素を含んだ材料で作られている、基板を熱処理する装置。
【請求項2】
前記稀土類元素が、イッテルビウム、ネオジミウム、タリウム、エルビウム、ホルミウム、ジスプロシウム、テルビウム、ガドリニウム、ユーロピウム、サマリウム、プラセオジミウム、及びこれらの混合物から選ばれた材料である請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記稀土類元素が主材料の中に含まれ、該主材料がガラス、液体、結晶、プラスチック、又はセラミックの中に含まれている請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記稀土類元素がイッテルビウムである請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記イッテルビウムがガラス材料中に少なくとも0.5重量%の量で含まれている請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記イッテルビウムがガラス材料中に少なくとも20重量%の量で含まれている請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記予め選ばれた波長が約900nmと約1010nmの間にある請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記スペクトル・フィルターが稀土類元素の酸化物を含んでいる請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記稀土類元素がイッテルビウムである請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記スペクトル・フィルターが約100mmより少ない厚さを有している請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記スペクトル・フィルターが放射線エネルギー源と、熱処理チャンバーに入っている基板ホルダーとの間に位置決めされている請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記スペクトル・フィルターが少なくとも5の減衰率を有している請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記スペクトル・フィルターが少なくとも103 の減衰率を有している請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記稀土類元素がホルミウム、ユーロピウム又はテルビウムであり、前記予め選ばれた波長が約1.7ミクロンから約2.4ミクロンの間にある請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記放射線エネルギー源が少なくとも一つのランプを具えている請求項1に記載の装置。
【請求項16】
基板を受け入れる熱処理チャンバーと、
該熱処理チャンバーと連通し、放射線エネルギーを前記チャンバーに照射する放射線エネルギー源と、
予め選ばれた波長における放射線を感知するように構成され、前記熱処理チャンバーと連通する少なくとも一つの放射線感知装置と、
前記予め選ばれた波長における放射線エネルギー源から照射される放射線を吸収するように構成され、前記スペクトル・フィルターは光吸収剤を含み、該光吸収剤は稀土類元素、染料、半導体材料からなる群から選ばれた材料を含んでいる、基板を熱処理する装置。
【請求項17】
前記光吸収剤は半導体材料からなり、該半導体材料は砒化ガリウム、砒化アルミニウム、シリコン、ゲルマニウム、硫化インジウム又はこれらの合金を含んでいる請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記光吸収剤が染料であり、該染料は、有機塩染料、ニッケル錯体染料、貴金属染料、ハロシアニン染料、或いはアントロキノン、又はそれらの混合物である請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記スペクトル・フィルターが、前記光吸収剤をドーピングされた主材料を含み、該光吸収剤が稀土類元素を含み、該稀土類元素は、イッテルビウム、ネオジミウム、タリウム、エルビウム、ホルミウム、ジスプロシウム、テルビウム、ガドリニウム、ユーロピウム、サマリウム、プラセオジニウム、及びこれらの混合物からなる群から選ばれた材料である請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記所定の波長が約1.5ミクロンより短い請求項16に記載の装置。
【請求項21】
前記稀土類元素がイッテルビウムである請求項19に記載の装置。
【請求項22】
前記予め選ばれた波長が約900nmから約1010nmまでの範囲にある請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記スペクトル・フィルターが、放射線エネルギー源と基板との間に位置している請求項16に記載の装置。
【請求項24】
前記スペクトル・フィルターが、少なくとも5の減衰率を有する請求項16に記載の装置。
【請求項25】
前記スペクトル・フィルターが、少なくとも103 の減衰率を有する請求項16に記載の装置。
【請求項26】
前記放射線エネルギー源が一つ以上のランプを具えている請求項16に記載の装置。
【請求項27】
前記放射線感知装置が放射温度計を具えている請求項16に記載の装置。
【請求項28】
放射線エネルギーを使用して、処理チャンバー内で基板を加熱する方法であって、
基板を熱処理チャンバー内に置き、
該熱処理チャンバーと連通するように設置された放射線エネルギー源によって基板を加熱し、
基板が加熱されている間に、該基板から発せられる予め選ばれた波長の放射線を、少なくとも一つの放射線感知装置によって感知し、
前記放射線エネルギー源から発せられる前記予め選ばれた波長における迷光を、稀土類元素又は染料を含むスペクトル・フィルターによって吸収する各ステップを含む方法。
【請求項29】
前記スペクトル・フィルターが染料の入った主材料を含み、該染料は、有機塩染料、ニッケル染料、貴金属染料、ハロシアニン染料、アンスラキノン染料、又はこれらの混合物からなる群から選ばれた材料を含む請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記スペクトル・フィルターが稀土類元素の入った主材料を含み、該稀土類元素は、イッテルビウム、ネオジミウム、タリウム、エルビウム、ホルミウム、ジスプロシウム、テルビウム、ガドリニウム、ユーロピウム、サマリウム、プラセオジニウム、及びこれらの混合物からなる群から選ばれた材料を含む請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記稀土類元素がイッテルビウムを含む請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記予め選ばれた波長が約900nmから約1010nmまでの範囲にある請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記所定の波長が約1.5ミクロンより短い請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記スペクトル・フィルターが、少なくとも5の減衰率を有する請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記スペクトル・フィルターが、少なくとも10 の減衰率を有する請求項28に記載の方法。
【請求項36】
前記スペクトル・フィルターが、少なくとも10 の減衰率を有する請求項28に記載の方法。
【請求項37】
前記稀土類元素がネオジミウムを含む請求項30に記載の方法。
【請求項38】
前記稀土類元素がエルビウムを含む請求項30に記載の方法。
【請求項39】
前記主材料がガラス、結晶又はセラミックを含む請求項30に記載の方法。
【請求項40】
前記主材料がプラスチック又は液体を含む請求項29に記載の方法。
【請求項41】
基板を受け入れる熱処理チャンバーと、
該熱処理チャンバーと連通し、放射線エネルギーを前記チャンバーに照射する放射線エネルギー源と、
予め選ばれた波長における放射線を感知するように構成され、前記熱処理チャンバーと連通する少なくとも一つの放射線感知装置と、
前記予め選ばれた波長における放射線エネルギー源から照射される放射線を吸収するように構成され、前記放射線エネルギー源と連通して位置決めされたスペクトル・フィルターとを具え、前記スペクトル・フィルターは金属を含んだ材料で作られている、基板を熱処理する装置。
【請求項42】
前記金属が遷移金属である請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記金属が鉄である請求項41に記載の装置。
【請求項44】
前記金属が銅である請求項41に記載の装置。
【請求項45】
前記金属が主材料の中に含まれており、前記主材料はガラス、液体、結晶、プラスチック、又はセラミックである請求項41に記載の装置。
【請求項46】
前記金属が、主材料の中に約0.5重量%から約50重量%までの量で含まれている請求項45に記載の装置。
【請求項47】
前記スペクトル・フィルターが、放射線エネルギー源と前記熱処理チャンバーに入っている基板ホルダーとの間に位置している請求項45に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−505946(P2006−505946A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−551427(P2004−551427)
【出願日】平成15年7月22日(2003.7.22)
【国際出願番号】PCT/US2003/023026
【国際公開番号】WO2004/044961
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(301057680)マットソン テクノロジイ インコーポレイテッド (11)