説明

基板処理装置の排気装置とシステム

【課題】稼働停止時における電力等のユーティリティを低減する。
【解決手段】CMP装置1の回転定盤17に取り付けた研磨パッド16とトップリング18との間に半導体ウエハWを保持して相対回転させてウエハWを研磨する。リンス水供給管11にリンス水流量調整弁13を設けて、研磨部2内の研磨パッド16に間欠的に純水を供給して湿潤状態に保つ。洗浄部3には研磨した半導体ウエハWを洗浄用スポンジローラ26,27で挟持して洗浄して搬送する。リンス水供給管12a、12bにリンス水流量調整弁14、14を設けて、洗浄用スポンジローラ26,27に間欠的に純水を供給して湿潤状態に保つ。純水の供給間隔をt分とし、1回毎の純水の供給継続時間をdt秒として、下記の(1)式と(2)式を満足する。
dt=20{1.6−exp(−0.01783t)} ……(1)
10≦t≦30 ……(2)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学的・機械的研磨装置(CMP装置)等のような基材処理装置の稼動のために消費される電気、冷却水等の消耗的資源(ユーティリティ)の消費量を必要最小限のレベルまでに低減するようにした基材処理装置の排気装置とシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置として、CMP装置を稼動させるためには、超純水や電気や冷却水などの消耗的資源(ユーティリティ)を消費することを要する。CMP装置の実際の運転の都合によって、本来消費すべき必要最小限の量よりもはるかに多いユーティリティ量の消費がなされている場合もあり、稼動の便宜上許容されている。このように必要最小限の量を超えるユーティリティの消費が許容されるのには相当の理由がある。例えばCMP装置の機構部分の急激かつ頻繁な起動・停止がもたらす過負荷状態の回避、或は頻繁なユーティリティ量の増減に伴う安定運転状態からの逸脱の防止や、アイドリング状態からの復帰過程での想定以上の時間や動力等の浪費の抑止のためである。また、連続処理される研磨対象物の平坦性を確保するためにはユーティリティ消費量を削減することは現実的なものとしにくい事情があった。
しかしながら、正規の運転に必要な量を超えるユーティリティの消費は省資源・省エネルギー・環境保全等の観点から本来的に不適切であって、必要最小限のユーティリティ消費量による運転に移行すべきである。
【0003】
図9は、例えば300mmウエハ用CMP装置が、従来、比較的長期間の停止状態で消費するユーティリティの種別と量とそれぞれの割合を示している。ここで、ユーティリティ量はSEAJ(社団法人日本半導体製造装置協会)の定義した換算係数を通常の数値(水であればL/分、気体であればNm/分、放熱量であればkcal/時等、慣用的に用いられる単位で表した数値)に乗じて求めた換算消費量kWとして表示している。
図9で明らかなように、CMP装置が長期間停止しているとき、消費量が最も多いユーティリティは超純水であって、その消費量は1.76kWと停止状態での全ユーティリティ消費量4.43kWの40%程度を占めている。
一方、運転・稼動中の全ユーティリティ消費量は下記非特許文献1によると、8.86kWとなっているので、長期停止期間中にも、稼動中のユーティリティ消費量の50%のユーティリティを消費しているといえる。これは省資源・省エネルギー・環境保全等重視の視点から見ると無視出来ないユーティリティの浪費である。従って、長期停止中において、必要最小限のユーティリティ量だけを消費するような運転方法へ改善することが切望される。
さらに、ユーティリティの消費を、実際の稼動水準を満足するために、各機構・部分が必要とする最小限量に調整するためのユーティリティ供給プログラム及び/又は専用のセンサなどの計測手段と制御機構などを組込んだCMP装置としておくことが望ましい。
【0004】
ところで、従来、CMP装置においては、回転定盤上に研磨(摩)パッドが取り付けられている。研磨対象物である半導体ウエハ等は研磨パッド上に配設され、トップリングと回転定盤との間に保持される。研磨パッド上には研磨材を含む研磨砥液が供給されると共に純水または超純水からなるインナリンス水が例えば1L/分の流量で供給されている(ここでは、300mmの半導体ウエハを研磨する場合の流量である)。そして、半導体ウエハの研磨に際して、回転している回転定盤に対して回転するトップリングは所定の圧力を加え、研磨パッドに接触した半導体ウエハの表面は化学的研磨と機械的研磨の組合せによって平坦且つ鏡面に研磨される。
研磨中において、半導体ウエハが研磨パッドと研磨液によって化学的及び機械的に研磨されるために、その研磨屑であるパーティクルとしてSiO粉やCu粉等が発生して研磨パッドに付着することになる。このようなパーティクルが研磨パッド上に付着して乾燥などの原因で固着すると、その後に搬入されてくるウエハに傷をつけるおそれがあるため、リンス水を常時供給することで研磨パット上の乾燥を予防すると共に研磨パッド上からパーティクル等を常時流出させる必要があった。
【0005】
また、下記特許文献1に記載されたポリッシング装置によれば、研磨中に砥粒を含む研磨液のミストや研磨粉等が発生し、空中に飛散することがある。また、研磨後の半導体ウエハを洗浄するための洗浄部においても洗浄に用いる有機溶剤や酸系の洗浄液が蒸発気化する。しかも、研磨部や洗浄部には開閉用の扉が設けられているから、扉の開閉を検知するセンサを設けて扉が閉じられている時は内部からの排気量を低減し、扉が開けられている時は内部からの排気量を増大させるようにした。
そのため、扉の開閉を検知して、扉の開放及び閉鎖に応じて排気量を増減調整することによって、扉の開閉に関わらず内部の研磨液のミストや研削屑、或いは気化した洗浄液等を含む空気を清浄な雰囲気のクリーンルーム内に流出しないようにする必要があった。また、これにより排気設備のランニングコストを低減するようにしていた。一方、半導体工場においては半導体製造装置相互の関係をも考慮したコストダウンが求められているが、ユーティリティ量に着目した取り組みはなされてこなかった。スループットを向上させようとすれば、常時ユーティリティを使用することが必要とされるとも考えられ、ダウンタイムの存在を前提としての取り組みはなされずらかったということもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−235660号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】エバラ時報196号(2002年7月)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、CMP装置が長期停止状態にある場合でも、研磨パッドに付着したパーティクルの乾燥を防ぐために、稼働時と同様に研磨パッドにリンス水を連続して供給しなければならないため、上述したようにリンス水が消費され続けるという不具合があった。
同様に、特許文献1に記載されたCMP装置においても、研磨液のミストや研削屑、或いは気化した洗浄液等を含む空気が外部に排出されないように、扉の開閉を検知して研磨部や洗浄部内の排気量を増減調整しているが、稼働中であっても長期稼働停止中であっても連続的に排気しているから、ランニングコストの低減や電気消費量の低減は十分とはいえなかった。
【0009】
本発明は、このような実情に鑑みて、稼働停止時における電力等のユーティリティを低減するようにした基板処理装置の排気装置とシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による基板処理装置の排気装置は、回転可能な回転定盤に研磨パッドを取り付けて、研磨パッドとトップリングとの間に基板を保持して研磨パッド上に研磨液を供給しながら処理するようにした基板処理装置の排気装置であって、基板処理装置に設けられていて内部の圧力を検知する圧力変換器と、基板処理装置の内部を排気する排気ダクトと、排気ダクトに設けられていて排気ダクトの開閉と排気量を制御する排気流量調整弁とを備え、圧力変換器で検知した内部圧力と外部圧力との差圧が所定の範囲内か否かを判別すると共に差圧が所定の範囲より小さい場合に排気流量調整弁を開弁して基板処理装置内を排気するようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、基板処理装置の停止状態において、圧力変換器で検知する内部の圧力が外部の外気圧力に対して、差圧が所定の範囲に維持できれば排気装置の排気流量調整弁を閉弁して排気を停止させ、差圧が所定の範囲より小さい場合には排気装置を作動して排気させることで差圧を大きく調整することで、研磨液のミストや研磨屑、或いは洗浄液のミスト等が浮遊する内部の空気が外部に流出することを抑止できると共に、排気装置を間欠作動させることで済むから電力の消費量を削減できる。
なお、基板処理装置は、気密に仕切られた研磨部であってもよく、この場合には内部の研磨液のミストや研磨屑等が浮遊する研磨部の内部空気が外部に流出することを抑止できると共に、排気装置を間欠作動させることで電力の消費量を削減できる。
【0011】
本発明による基板処理装置の排気装置は、洗浄剤を用いて基板を洗浄する洗浄手段を備え、洗浄手段に純水または/及び超純水を供給しながら処理するようにした基板処理装置の排気装置であって、基板処理装置に設けられていて内部の圧力を検知する圧力変換器と、基板処理装置の内部を排気する排気ダクトと、排気ダクトに設けられていて排気ダクトの開閉と排気量を制御する排気流量調整弁とを備え、圧力変換器で検知した内部圧力と外部圧力との差圧が所定の範囲内か否かを判別すると共に差圧が所定の範囲より小さい場合に排気流量調整弁を開弁して基板処理装置内を排気するようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、基板処理装置の停止状態において、圧力変換器で検知する内部の圧力が外部の外気圧力に対して、差圧が所定の範囲に維持できれば排気装置の排気流量調整弁を閉弁して排気を停止させ、差圧が所定の範囲より小さい場合には排気装置を作動して排気させることで差圧を大きく調整することで、洗浄剤のミスト等が浮遊する内部の空気が外部に流出することを抑止できると共に、排気装置を間欠作動させることで済むから電力の消費量を削減できる。
【0012】
なお、基板処理装置は、気密に仕切られた洗浄部であってもよく、この場合には洗浄液のミスト等が浮遊する洗浄部の内部空気が外部に流出することを抑止できると共に、排気装置を間欠作動させることで済むから電力の消費量を削減できる。
また、所定の範囲が−30Pa〜−12.5Paの範囲とされたことが好ましい。
【0013】
更に、本発明によるシステムは、第1半導体製造装置、第2半導体製造装置及び研磨装置を有する半導体を製造するためのシステムにおいて、第1半導体製造装置、第2半導体製造装置及び研磨装置におけるユーティリティ量をモニタリングして、参照データと各装置のユーティリティ量とを比較し、制御信号を生成して、これにより第1半導体製造装置、第2半導体製造装置及び研磨装置のユーティリティ量をフィードバック制御するホストコンピュータを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上述のように、本発明による基板処理装置の排気装置では、基板処理装置(研磨部や洗浄部)内の圧力を外部圧力よりも所定圧だけ低い低圧に維持することで、排気ダクトによって連続的に排気運転をする必要がなく間欠的に基板処理装置(研磨部や洗浄部)内を排気して外部より低圧に維持することで、内部に浮遊するミストや研磨粉、揮発した洗浄液やミスト等が外部(例えば清浄な雰囲気のクリーンルームや大気圧の部屋等)に流出するのを防止して排気ダクトを通して排気されて回収され、基板処理装置の外部から取り込む清浄空気を抑えて外部環境の汚染を防止すると共に、内部に取り込む清浄空気と排気用電力を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態によるCMP装置の要部構成の説明図である。
【図2】本実施形態におけるCMP装置の運転制御手段のブロック図である。
【図3】リンス水の供給タイミングと供給量との関係を示すタイミングチャートである。
【図4】CMP装置の待機モードと運転モードとの選択を示すフローチャートである。
【図5】研磨パッドへのリンス水の供給時間間隔と給水継続時間と総給水量との関係を示す図である。
【図6】CMP装置における回転定盤が冷却水によって温度が下降する状態を示す図である。
【図7】複数の研磨装置を1台のホストコンピュータで統括的に制御する半導体製造装置の研磨システムを示す図である。
【図8】複数の半導体製造装置を1台のホストコンピュータで統括的に制御する半導体製造装置エンジニアリングシステムを示す図である。
【図9】CMP装置の長期停止状態において消費するユーティリティの量と割合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態によるCMP装置1は基板処理装置であり、図1に示すように、研磨対象物である半導体ウエハW(基板)を研磨する研磨部2と、研磨後のウエハWを洗浄する洗浄部3と、ウエハWを収容するカセット4(4a、4b、…)とを設けていて外部との間でカセット4を搬送する搬送部5とを備えている。これら研磨部2と洗浄部3と搬送部5とは、例えばクリーンルーム等の外部における周囲環境に対してそれぞれ気密に仕切られたルームとして互いに分離した状態で区画されている。
そして、研磨部2と洗浄部3とはそれぞれ排気ダクト6、7に個別に連通しており、各排気ダクト6、7は排気流量調整弁8、9を介して図示しない共通排気ラインに接続され、共通排気ラインは図示しない排気装置に接続されている。なお、搬送部5にも排気ダクトを接続してもよい。
【0017】
排気ダクト6及び排気流量調整弁8は研磨部2内で研磨中に研磨液のミストや研磨粉等
が発生して空気中に飛散しても外部に流出しないように研磨部2内の圧力を外部圧力(例えば大気圧)より低圧、ここでは負圧に制御する。排気ダクト7及び排気流量調整弁9は洗浄部3内で気化する有機溶剤や酸系の洗浄液が外部に流出しないように洗浄部3内の圧力を外部圧力(ここでは大気圧)より低圧、ここでは負圧に制御する。
同様に、研磨部2と洗浄部3とはそれぞれ洗浄用の純水または超純水(以下、これらをまとめて超純水という)のインナリンス水を供給するリンス水供給管11、12が開閉制御手段として接続されており、各リンス水供給管11、12はリンス水流量調整弁13、14を介して図示しない共通供給ラインに接続されてリンス水供給源に連通している。
【0018】
次に、研磨部2には、上面に研磨パッド16を貼り付けた回転定盤(ターンテーブル)17が設けられている。ウエハWは研磨パッド16上に配設され、トップリング18と研磨パッド16との間に保持される。そして、研磨パッド16及び回転定盤17とトップリング18の相対回転によってこれらの間に保持されたウエハWの表面を研磨することになる。
また、回転定盤17の下部には支持部20が設けられており、支持部20及び回転定盤17内には冷却水管21が例えば螺旋状または格子状等に配設され、冷却水管21を流れる冷却水によって回転定盤17の表面温度を制御するようにしている。冷却水管21には冷却水流量調整弁22が設けられ、支持部20及び回転定盤17内に流れる冷却水の流量と開閉を調整している。
研磨パッド16上にはリンス水供給管11の供給口11aが設けられ、インナリンス水を研磨パッド16上に連続してまたは間欠的に供給するようになっている。また、研磨部2の天井面には上述した排気ダクト6が接続されている。研磨部2内には研磨部2内の気圧を検知する圧力センサとして圧力変換器24が配設され、研磨部2内の圧力が外部雰囲気の圧力(例えば大気圧)よりどの程度低圧(負圧)であるかを検知する。
なお、研磨部2内には研磨前後のウエハWを取り扱う図示しない搬送ロボットが配設されている場合もある。
【0019】
そして、洗浄部3には研磨部2で研磨されたウエハWを洗浄するための洗浄手段として一対の洗浄用スポンジローラ26、27が上下に対向して配設され、これら洗浄用スポンジローラ26、27間にウエハWを挟持して搬送しながら洗浄するようになっている。各洗浄用スポンジローラ26、27の近傍には上述したリンス水供給管12(符号12a、12bを付す)がそれぞれ配設され、各洗浄用スポンジローラ26、27に超純水を供給してウエハWを洗浄することになる。
洗浄部3内にはウエハWを搬入及び搬出するための搬送ロボット28が設けられている。洗浄部3内にも洗浄部3内の圧力を検知する圧力センサとして圧力変換器29が配設され、洗浄部3内の圧力が外部雰囲気の圧力(例えば大気圧)よりどの程度低圧(負圧)であるかを検知する。
また、搬送部5内には、ウエハWを搬出入する図示しない搬送ロボットが設けられる場合がある。搬送ロボットによって未研磨のウエハWをカセット4a、4bから搬出して研磨部2内に直接または間接的に搬送すると共に研磨と洗浄が行われたウエハWをカセット4a、4b内に収容するようにしている。
【0020】
研磨部2や洗浄部3や搬送部5の外部には運転制御手段31が配設されている。運転制御手段31には研磨部2や洗浄部3内の圧力を検知する圧力変換器24、29の検知信号が入力され、検知された研磨部2や洗浄部3内の圧力に基づいて排気ダクト6,7の排気流量調整弁8,9の流量や開閉を制御するようになっている。また、運転制御手段31にはリンス水流量調整弁13,14、冷却水流量調整弁22が電気的に接続されていてこれらの流量と開閉をそれぞれ制御するようになっている。
運転制御手段31は、図2に示すように、CMP装置1が運転状態か停止状態かを例えば図示しない駆動源の駆動指令によるON,OFF切り換えスイッチ等のセンサ30によって判別するモード認識手段32と、運転状態ではCMP装置1の各手段の稼働を制御する運転モード手段33と、停止状態ではCMP装置1の各手段の稼働と停止等を制御する待機モード手段34とが設けられている。
なお、本発明において、研磨パッド16による半導体ウエハWの研磨動作が停止している状態を待機状態(停止状態)、待機モードというものとする。
【0021】
例えば直径300mmのウエハWを研磨するためのCMP装置1では、その停止中において、研磨パッド16及び洗浄用スポンジローラ26,27の乾燥を防ぎ湿潤状態を保持するために、運転制御手段31の待機モード手段34において、リンス水流量調整弁13、14を間欠的に開弁し、例えば図3に示すように、30分毎に20秒開弁してインナリンス水をリンス水供給管11、12a、12bから研磨パッド16と洗浄用スポンジローラ26,27に供給して乾燥を防ぐようにした。
その際、研磨パッド16にはリンス水流量調整弁13を開弁してリンス水を例えば1L/分供給し、洗浄用スポンジローラ26,27にはリンス水流量調整弁14、14を開弁してリンス水をそれぞれ例えば0.6L/分供給することで、乾燥の防止と湿潤状態の維持を達成するようにした。
【0022】
また、図2における運転制御手段31では、モード認識手段32は圧力変換器24、29から入力される研磨部2内の圧力信号と洗浄部3内の圧力信号とをそれぞれ個別に識別する。そして、待機モードの場合では、待機モード手段34において、圧力変換器24、29で検知した研磨部2内や洗浄部3内の各圧力が外部雰囲気の圧力、例えば大気圧よりも−30Pa(パスカル)〜−12.5Pa低い圧力の範囲にあるか否かを判別し、この範囲内であれば排気流量調整弁8,9を閉弁して排気を停止させた状態に保持する。
また、待機モード手段34では、停止状態において、研磨部2や洗浄部3内の圧力がこれらの外部圧力、例えば大気圧よりも上述した大気圧に対して好ましくは−30Pa(パスカル)〜−12.5Paの範囲の圧力差を有する低圧に維持されるように制御する。
この場合、外部圧力からの所定圧力差の上限値−12.5PaはNASA規格から設定したクリーンルームの圧力差の値と同一であり、研磨部2や洗浄部3内の圧力がこの上限値より大きいと、扉の開閉等によって外部圧力の値に上昇して、内部の研磨液のミストや切削粉、洗浄液等が外部に流出するおそれが増大する。他方、所定圧力差の下限値−30Paより小さいと、差圧によって研磨部2や洗浄部3のルームが変形して外壁に間隙ができるおそれがある。
そして、研磨部2内、洗浄部3内の各圧力が外気圧より−30Pa(パスカル)〜−12.5Pa低い圧力の範囲を外れて高くなっている場合には排気流量調整弁8,9を開弁して排気状態に切り換えて、−30Pa(パスカル)〜−12.5Paの範囲に減圧させるように制御する。より好ましくは−20Pa〜−15.0Paの範囲に減圧する。
【0023】
本実施形態によるCMP装置1は上述の構成を備えており、次に稼働停止状態における処理方法について説明する。
上述したようにCMP装置1における稼働の待機モード、例えば長期停止期間に消費しているユーティリティの量と割合に関し、従来、超純水は全消費ユーティリティ量のうち39.9%と最も消費量が高い割合を占めていることに着目し、停止状態における研磨パッド16、洗浄用スポンジローラ26,27の乾燥防止のために供給する超純水からなるリンス水の消費量削減を図った。
【0024】
まず、図4に示すフローチャートにおいて、CMP装置1における運転制御手段31が運転モード(運転状態)か待機モード(停止状態)かをセンサ30で認識する(ステップ101)。次に、次回運転開始までの待機時間が必要降温時間より長いか否かによって待機モードか運転モードかを判別する(ステップ102)。必要降温時間とは、下記に記載のように、待機中に冷却水管21から回転定盤17への冷却水の供給を停止して回転定盤17の温度が23℃程度に上昇した後、冷却水を供給して回転定盤17を冷却してウエハWの研磨に必要な20℃以下の温度に降下するまでの(予め設定した)時間をいう。
研磨開始までの時間が必要降温時間より短く、待機中でないと判別した場合には、運転モードを運転モード手段33により続行するものとし、これに関連して研磨部2と洗浄部3でのインナリンス水の供給と排気とを連続して行う(ステップ103)。
他方、研磨開始までの時間が必要降温時間より長く、待機中であると判別した場合には、待機モード手段34によりインナリンス水の間欠供給、間欠排気、冷却準備等の間欠制御を行う(ステップ104)。そして、運転モードと待機モードのいずれを選択した場合でも、予め設定された所定のサンプリング時間(例えば1/100秒)が経過したか否かを判別し(ステップ105)、サンプリング時間が経過していない場合にはさらに運転モードまたは待機モードを実行し、サンプリング時間が経過した場合にはステップ101に戻ってセンサ30により運転モードか待機モードかを再度判別する。
【0025】
そして、待機モードにおいて、図3に示すように、直径300mmのウエハWを研磨するためのCMP装置1では、その待機(停止)中において、研磨パッド16及び洗浄用スポンジローラ26,27の乾燥を防ぎ湿潤状態を保持するためにリンス水供給管11、12a、12bからリンス水流量調整弁13、14を30分毎に20秒開弁して間欠的に供給することで研磨パッド16と洗浄用スポンジローラ26,27の乾燥を防ぐことができる。
開弁の際、図3に示すように、研磨部2では、リンス水流量調整弁13を開弁して研磨パッド16にリンス水量を1L/分として20秒間供給することで乾燥の防止と湿潤状態の維持を達成できる。また、洗浄部3では、リンス水流量調整弁14、14を開弁して洗浄用スポンジローラ26,27にリンス水量をそれぞれ0.6L/分として20秒間供給することで乾燥の防止と湿潤状態の維持を達成できる。
【0026】
上述したリンス水の間欠供給について、実験によって、研磨パッド16及び洗浄用スポンジローラ26,27の乾燥による弊害を防止するためには、30分毎に1回純水を供給し、1回当りの供給時間を20秒とすれば、少なくとも十分なことを検証できた。この場合でも、ウエハWの研磨速度及び洗浄後のウエハW表面上の残留ダスト量は従来と同様であることが実験的に確認できた。
この変更の結果、消費する純水の量は、連続供給する従来と比較して、下式により
20秒/(30分×60秒/分)=1/90≒1.1%
によって、従来の90分の1(=1.1%)まで停止状態における純水の消費量を削減することが出来た。
さらに、間欠供給する純水の供給頻度と供給継続時間の組合せを上記以外の水準に設定した実験を行うことによって、ウエハWの研磨速度及び洗浄後のウエハW表面上の残留ダスト量が所定の基準内に収まる条件を求めた。表1はその結果を示す。また、表1の結果をグラフで表すと図5に示すようになる。
【0027】
【表1】

【0028】
図5において白丸のプロットで明らかなように、インナリンス水の供給時間間隔tが増加するにつれて、一回毎に必要な給水継続時間dtも増加する傾向にある。例えば、供給時間間隔tが10分のとき、継続時間dtは15秒であり、供給時間間隔tが30分と長くなると、継続時間dtも20秒へと増加している。これは、インナリンス水供給後の放置時間が経過するにつれて研磨パッド16や洗浄用スポンジローラ26,27の乾燥が進行するので、これを湿潤状態に復元するために必要なインナリンス水の一回当りの供給量が増加するものである。
さらに、乾燥状態が30分を超えて継続した場合には、その後大量のインナリンス水を供給しても、研磨パッド16や洗浄用スポンジローラ26,27の表面が必要な湿潤状態に戻ることは不可能であった。これは、研磨パッド16や洗浄用スポンジローラ26,27の表面に主としてスラリー中に含まれる研磨砥粒やウエハWの研磨粉・粒子が乾燥して強固に付着してしまい、湿潤状態の清浄表面への回復が不可能な状態に至ったためであるといえる。
また、供給時間間隔をt分、一回毎のインナリンス水の供給継続時間をdt秒としたとき、表1の関係を回帰するために次の近似式(1)を用いることができる。
dt=20{1.6−exp(−0.01783t)} ……(1)
図5に示す実線は式(1)で表される近似曲線を実測した点に併記したものである。式(2)は実験結果を近似していると認定できる。
【0029】
次に、図5において破線で示した曲線は表1の( )内の数値で表示された、各給水時間間隔を実行した場合の1時間当りのインナリンス水の総消費(供給)量である。この曲線から明らかなように、供給時間間隔tが10分を下回って小さくなるにつれて、水の消費量が著しく増大する傾向がある。
以上述べてきたように、供給時間間隔が30分を超えると乾燥による弊害がひどくなり、同じく時間間隔が10分を下回ると消費する純水の量が膨大になることから、供給時間間隔tについて次式(2)の限定も付与する必要がある。
10≦t≦30 ……(2)
表1で示す条件内で実施すれば、ウエハWの仕上がり状態は基準内に収まるものの、時間間隔が短くなるにつれてインナリンス水の総消費量は増大するので、最低限に削減するためには供給時間間隔t=30分を選択するのが最も望ましい。
以上のように、本実施形態によるCMP装置1を実施した結果、図9から明らかなように、
1.76kW×(1−0.011)/4.43kW=0.39
であるから、CMP装置1の停止状態における純水の消費量削減は、従来の全ユーティリティ消費量4.43kWを最大39%も低下させることが出来た。
【0030】
従って、本実施形態によるCMP装置1においては、稼働停止状態で、待機モード手段34によって供給時間間隔tが10分〜30分の間隔内で15秒〜20秒間インナリンス水を研磨パッド16や洗浄スポンジローラ26,27に間欠供給することで、研磨パッド16や洗浄スポンジローラ26,27を乾燥させることなく湿潤状態を維持することができる。そのため、CMP装置1の稼働停止状態において、研磨パッド16や洗浄スポンジローラ26,27を乾燥させることなく湿潤状態を維持してインナリンス水の供給量を削減できる。これによって研磨パッド16や洗浄スポンジローラ26,27において研磨液や洗浄液等に浮遊する研磨屑が研磨パッド16や洗浄スポンジローラ26,27上で乾燥して固着し、これがウエハWに接触して傷を付けるのを有効に防止できる。
【0031】
次に、CMP装置1の停止状態における研磨部2及び洗浄部3内の排気量制御方法について説明する。
CMP装置1の研磨部2や洗浄部3を稼働させている場合、研磨部2内では研磨パッド16とトップリング18の相対回転によって両者の間に保持されたウエハWの表面が研磨される。ウエハWの研磨に際して、研磨パッド16に供給される研磨液のミストやウエハWの研磨粉等が発生して空気中に飛散するため、排気流量調整弁8を開弁して排気ダクト6を通して連続的に排気する。これによって、研磨部2内のミストや研磨粉等が研磨部2の外部、例えば清浄な雰囲気のクリーンルームや大気圧の部屋等に流出することなく排気ダクト6を通して排気され回収される。
洗浄部3においても同様に、研磨後のウエハWを洗浄するための有機溶剤や酸系の洗浄液が蒸発して空気中に飛散する。これを連続して排気する排気ダクト7を通して回収し、洗浄部3の外部に流出することを防止している。
その際、排気ダクト6,7の吸引によって研磨部2や洗浄部3内は外部の大気圧より低圧に維持され、これら研磨部2や洗浄部3内の研磨液のミストや研磨粉、揮発した有機溶剤や酸系の洗浄液のミスト等が外部に流出するのを防止できる。また、研磨部2や洗浄部3内の圧力はそれぞれ圧力変換器24,29で検知され、運転制御手段31のモード認識手段32へ入力して検知し、外部圧力より低いことを確認する。
【0032】
そして、CMP装置1の稼働を停止した場合、これをセンサ30で検知して排気ダクト6,7の排気流量調整弁8,9を閉弁して排気装置をOFFし、研磨部2及び洗浄部3内の排気も停止させる。この状態では、研磨部2や洗浄部3内の圧力は外部圧力より低い圧力状態であり、この圧力を圧力変換器24,29で検知し、運転制御手段31のモード認識手段32へ入力する。
そして、検知された研磨部2及び洗浄部3内の圧力が待機モード手段34で予め設定された圧力、例えば外部の圧力より−30Pa(パスカル)〜−12.5Paの範囲で低圧に維持されているか否かを各圧力変換器24,29で検知する。研磨部2や洗浄部3内の圧力が、この所定低圧の範囲内である場合には排気流量調整弁8,9を閉弁状態に維持する。この場合、研磨部2や洗浄部3内に浮遊する研磨液のミストや研磨粉、洗浄液のミスト等は外部よりも内部圧力が低圧に保持されているため、研磨部2や洗浄部3の外部に流出することなく保持される。
【0033】
また、研磨部2や洗浄部3内の圧力がこの低圧を超えた場合には、運転制御手段31によって排気装置をONして排気流量調整弁8,9を開弁させ、研磨部2や洗浄部3内の空気を排気ダクト6,7を通して排気させる。排気によって研磨部2や洗浄部3内の圧力が外部圧力より−30Pa(パスカル)〜−12.5Paの範囲で低圧になるまで減圧させる。
そして、研磨部2や洗浄部3内の圧力が−30Pa(パスカル)〜−12.5Paの範囲内に減圧された場合には、圧力調整弁24,29で減圧を確認して、運転制御手段31によって排気流量調整弁8,9を閉弁させると共に排気装置をOFFする。
【0034】
なお、上述の実施形態によるCMP装置1は直径30cmの半導体ウエハWを研磨する場合について説明したが、異なる径を有する半導体ウエハWの研磨にも同一のCMP装置1を用いることができる。そのため、上述した処理方法と同様に待機モードにおける研磨パッド16への超純水の断続的な供給制御や断続的な排気制御を採用することができる。
【0035】
次に、CMP装置1における回転定盤17の冷却方法について説明する。
従来、停止状態の待機モードにおいて、冷却水管21には冷却水が連続的に供給されている。通常、CMP装置1はクリーンルーム内に設置されているために、冷却水の供給を停止した状態でも回転定盤17の表面温度は23℃を超えて上昇することはない。しかし、回転定盤17の表面温度は上昇し、研磨する半導体ウエハWの状況や使用する研磨液(スラリ)の種類などに伴って昇温状況は異なる。
そのため、稼働状態の回転定盤17の表面を20℃以下に制御するために、回転定盤17内に例えば螺旋状に形成された冷却水管21に冷却水を供給する貯水槽内の水温を冷却器によって15〜20℃の範囲に制御している。これにより、CMP装置1の稼働時における半導体ウエハWの研磨中に研磨パッド16の表面温度を20℃以下に保持して半導体ウエハWの研磨精度を確保している。
一方、冷却水を停止された回転定盤17の表面温度は23℃程度に維持されているとして、15〜20℃程度の温度の冷却水を5L/分で供給して循環させると、回転定盤17の表面温度は、図6に示すように、供給開始から22分程度で15℃に低下して安定することがわかっている。
【0036】
本実施形態では、停止状態の待機モードにおいて、冷却水管21による回転定盤17の冷却作業を中止し、稼働の直前に冷却水を供給して稼働時に回転定盤17の表面温度が15℃程度に下がって安定するようにした。そのために、稼働再開の少なくとも22分〜30分前の範囲で冷却水流量調整弁22を開弁するように運転制御手段31から作動信号を出力する。これにより、冷却水管21を通して冷却水を支持部20に供給して冷却水を供給開始できる。
以上の結果、待機モードでの年間を通しての冷却水量を大略38%低減することができた。この数値算出にあたっては、年間を通してのCMP装置1の正味稼働時間比率を顧客からの情報に基づき平均60%とし、さらに1日毎の運転パターンとしても24時間×0.6=14.4時間の実研磨稼動を仮定している。その結果、研磨前の0.5時間を加算した14.9時間が正味の冷却水供給時間となるので、低減率は(24時間−14.9時間)/24時間=0.38となる。また、待機時間には冷却水供給を停止するので、図9から待機期間での冷却水量まるまる1.27kW(28.6%)分を削減することが出来た。
【0037】
上述のように、CMP装置1の停止状態では、研磨部2や洗浄部3内の圧力を外部圧力よりも所定圧だけ低い低圧に維持することで、排気ダクト6,7によって連続的に排気運転をする必要がなく間欠的に研磨部2や洗浄部3内を排気して外部より低圧に維持することで、内部に浮遊するミストや研磨粉、揮発した洗浄液やミスト等が外部に流出するのを防止してCMP装置1の外部から取り込む清浄空気を抑えて外部環境の汚染を防止すると共に、内部に取り込む清浄空気と排気用電力を低減できる。
【0038】
なお、本実施形態によるCMP装置1は、半導体製造装置エンジニアリングシステムの一部として、或いは半導体製造装置の一部として用いてもよく、半導体製造装置エンジニアリングシステム全体として、または半導体製造装置全体としてユーティリティの消費低減を達成することができ、省資源・省エネルギー・環境保全等の観点からエネルギー消費量の削減を達成できる。
【0039】
ところで、本発明の一実施形態によれば、半導体製造装置および研磨装置の装置エンジニアリングシステム(Equipment Engineering System)を構築することができる。従来、半導体デバイスメーカーでは、製造結果物(プロダクト)の性能向上、および、製造コスト低減のために、半導体デバイスの高集積化、配線、パターンの微細化、ウェハの大口径化等を進めてきたが、コンポーネントや装置単独のコスト削減では、一定の限界がある。
従って、今後、さらなるコスト低減を図るためには、半導体製造装置間の相互インターフェースを含む製造設備システム全体を通した製造コストの低減策が求められてくるといえる。本発明の一実施形態が提供する、装置エンジニアリングシステムすなわち半導体エンジニアリングシステムとは、研磨装置におけるユーティリティ削減にとどまらず、さらに、前工程、後工程で用いられる各種の半導体製造装置すべてのユーティリティ消費を最適化するものである。これによって、単なる研磨装置単独のユーティリティ削減にとどまらず、半導体製造システム全体のユーティリティ削減を相乗的に達成することが可能となる。
【0040】
ここで、本発明における半導体製造装置エンジニアリングシステム(ESS)の例を以下で述べる。
本発明では、複数の研磨装置(CMP装置1)401、402,403に対して1台のホストコンピュータ301を設け、このホストコンピュータ301が個々の研磨装置402〜403及び全体のユーティリティ消費を常時最適化しながら、特定の研磨スケジュールを一貫して行うようにしている。たとえば、図7では、ホストコンピュータ301が、3台の研磨装置401〜403のユーティリティを最適化する例を示している。ここで、各研磨装置におけるユーティリティ量は、常時、各研磨装置401〜403における使用量モニタリングシステムによって感知され、この生データが、ホストコンピュータ301へと送られる(研磨装置401からは生データS1が、研磨装置402からは生データS3が、研磨装置403からは生データS5が、ホストコンピュータ301に送信される)。そして、ホストコンピュータ301では、データベース302の目標データRを参照し、このデータRと、各研磨装置401〜403からの生データS1、S3、S5とをそれぞれ比較し、制御信号S2、S4、S6を生成する。
【0041】
そして、この制御信号が各研磨装置401〜403に送信され、これにより、各研磨装置401〜403のユーティリティ消費及び全ての研磨装置401〜403のユーティリティ消費量の合計量が当初設定した目標に近づくようにフィードバック制御される。
通常、ウェハ研磨量は、結果物たるウェハをどれだけ生産するかにより(市場のニーズに応じて)決められる。しかし、ユーティリティ量があらかじめ決定されているような場合、たとえば、使用電力量が決定され、これに応じて、研磨した結果物たるウェハの量を決めたい、といった場合もある。このような場合に、本発明によれば、使用ユーティリティ量に応じて、複数の研磨装置のうちいくつかを、適宜、停止したり起動したりといったことも可能となる。ユーティリティ使用量が生産コストに与える影響は大きいので、製造コストがあらかじめ限定されている場合に、研磨対象物の生産量をそれに応じて調整するといった運転が、本発明によって、容易となる。具体例として、図7において、以下のような運転を行うことができる。
【0042】
図7で、ホストコンピュータ301が、ユーティリティ量のトータルとしての使用量を決定し、これに応じて、各研磨装置での、装置の稼動/非稼働目標時間を決定する。この生成データを格納する。ついで、半導体工場で研磨プロセスが開始されているときには、各研磨装置401〜403のユーティリティ量が、センサーによりその場測定されるとともに、感知された信号はホストコンピュータ301に送信されてモニタリングされる。さらに、データベースに格納されている参照データ(各装置の稼動/非稼働から決定された、初期値としての目標ユーティリティ量)と、モニタリングされたデータとを比較することによって、同等に全ての研磨装置401〜403で消費するユーティリティの合計量をフィードバック制御する。以上によって、複数の研磨装置401〜403を有するシステムのユーティリティ消費量を所定の値に抑えながら、所望のスループットを確保するようなシステム全体の有効な運転を可能とすることができる。なお、本実施形態では3台の研磨装置401〜403からなる例を示したが、研磨装置の数はこれに限られない。
【0043】
さらに、本発明において、研磨装置以外の製造装置(成膜、エッチング装置、描画装置)を含んだ製造処理装置を組み合わせた大規模な半導体製造装置エンジニアリングシステム(ESS)の例を図8に示す。
本発明では、研磨装置を含む複数の半導体製造装置1001,1002,1003に対して1台のホストコンピュータ301を設け、このホストコンピュータ301が研磨装置を含む複数の半導体製造装置のそれぞれ、及び装置全体でのトータルのユーティリティ消費を最適化する。図8では、ホストコンピュータ301が、研磨装置を含む複数の半導体製造装置1001〜1003のユーティリティ消費量を最適化する例を示している。ここで、各半導体製造装置1001〜1003におけるユーティリティ量は、常時、各研磨装置における使用量モニタリングシステムによって感知され、この生データが、ホストコンピュータ301へと送られる(製造装置1001からは生データS1’が、製造装置1002からは生データS3’が、研磨装置1003からは生データS5’が、ホストコンピュータ301に送信される)。
【0044】
そして、ホストコンピュータ301では、データベース302のデータRを参照し、この参照データRと、各装置の生データS1’,S3’,S5’とをそれぞれ比較し、制御信号S2’,S4’,S6’を生成して、それを各装置に送信し、各装置のユーティリティ量をフィードバック制御する。半導体製造装置1001、1002としては、例えば露光装置、コータ&デベロッパー装置、エッチング装置、熱処理装置、洗浄装置、CVD装置、スパッタリング装置、外観検査装置を含む、いわゆる、前工程、後工程の種々の装置が該当する。これらの装置は単数でも複数でもよい。また、ここでの研磨装置1003は、単数でもよいし、複数あってもよい。このように構成すれば、工場全体のユーティリティ消費量を適切に制御することができるので、製造工程全体のコストをトータルに低減させることができる。また、この例では各半導体製造装置に対して1台のホストコンピュータ301を設けているが、2台以上のコンピュータでホストコンピュータとしてのシステムを構成することもできる。
【0045】
なお、上述のCMP装置1では、排気に際して、研磨部2と洗浄部3と搬送部5とを個別のルームに区画したが、全体を一つのルームとして構成し、一体に排気するようにしてもよい。ルーム内を排気して全体に低圧に制御してもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 CMP装置(化学的・機械的研磨装置、研磨装置)
2 研磨部
3 洗浄部
4、4a、4b カセット
5 搬送部
6,7 排気ダクト
8,9 排気流量調整弁
11,12、12a、12b リンス水供給管
13、14 リンス水流量調整弁
16 研磨パッド
17 回転定盤
24、29 圧力変換器
26、27 洗浄用スポンジローラ
28 搬送ロボット
31 運転制御手段
301 ホストコンピュータ
302 データベース(データベース格納装置)
401,402,403 研磨装置
1001,1002、1003 半導体製造装置
S1,S3,S5、S1′,S3′,S5′ 生データ
S2,S4,S6、S2′,S4′,S6′ 制御信号
W ウエハ
R 目標データ、参照データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な回転定盤に研磨パッドを取り付けて、該研磨パッドとトップリングとの間に基板を保持して前記研磨パッド上に研磨液を供給しながら処理するようにした基板処理装置の排気装置であって、
前記基板処理装置に設けられていて内部の圧力を検知する圧力変換器と、
前記基板処理装置の内部を排気する排気ダクトと、
該排気ダクトに設けられていて排気ダクトの開閉と排気量を制御する排気流量調整弁とを備え、
前記圧力変換器で検知した内部圧力と外部圧力との差圧が所定の範囲内か否かを判別すると共に前記差圧が前記所定の範囲より小さい場合に前記排気流量調整弁を開弁して基板処理装置内を排気するようにしたことを特徴とする基板処理装置の排気装置。
【請求項2】
洗浄剤を用いて基板を洗浄する洗浄手段を備え、洗浄手段に純水または/及び超純水を供給しながら処理するようにした基板処理装置の排気装置であって、
前記基板処理装置に設けられていて内部の圧力を検知する圧力変換器と、
前記基板処理装置の内部を排気する排気ダクトと、
該排気ダクトに設けられていて排気ダクトの開閉と排気量を制御する排気流量調整弁とを備え、
前記圧力変換器で検知した内部圧力と外部圧力との差圧が所定の範囲内か否かを判別すると共に前記差圧が前記所定の範囲より小さい場合に前記排気流量調整弁を開弁して基板処理装置内を排気するようにしたことを特徴とする基板処理装置の排気装置。
【請求項3】
前記所定の範囲が−30Pa〜−12.5Paの範囲とされたことを特徴とする請求項1または2に記載された基板処理装置の排気装置。
【請求項4】
第1半導体製造装置、第2半導体製造装置及び研磨装置を有する半導体を製造するためのシステムにおいて、
前記第1半導体製造装置、第2半導体製造装置及び研磨装置におけるユーティリティ量をモニタリングして、参照データと各装置のユーティリティ量とを比較し、制御信号を生成して、
これにより前記第1半導体製造装置、第2半導体製造装置及び研磨装置のユーティリティ量をフィードバック制御するホストコンピュータを有することを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−70102(P2013−70102A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−8534(P2013−8534)
【出願日】平成25年1月21日(2013.1.21)
【分割の表示】特願2009−47221(P2009−47221)の分割
【原出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】