説明

基板切断装置

【課題】切断分離された端材(廃材)を安定して外部へ排出できて、切断分離作業の作業性の向上を図ることが可能な基板切断装置を提供する。
【解決手段】基板1を切断して個片化する基板切断装置である。切断手段3にてテーブル上の基板を切断分離して個片化する。切断手段3にて切断された基板端材1bをブロー手段5にて受け手段4側に押し流す。押し流す際には、基板端材1bはガイド手段6にて受け手段4に案内される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CPU基板(マザーボード)を製造する場合、図7に示すように、複数の回路パターンを形成した基板51を形成した後、この基板51を切断分離装置にて切断して個片化することによって、複数個のマザーボード52となる。図6において、54は切断線を示している。
【0003】
図7に示すように個片化すれば、基板の各辺側において不要な端材(廃材)55が発生する。このため、発生した端材(廃材)55を廃棄する必要が生じる。このため、従来には、基板51に切断装置において、不要な廃材55を効率よく収集して排出できるようにしたものが提案されている(特許文献1)。なお、この特許文献1では、複数個のIC等の電子部品を樹脂材料にて封止成形した成形済基板を個片化するものである。
【0004】
この特許文献1に記載のものは、基板を切断する切断機構と、切断機構にて切断された廃材を含む廃水から水と廃材とを分離する廃水分離部と、廃水分離部に収集された廃材を収容する廃材収容箱とを備えたものである。
【0005】
この場合、切断機構にて切断された廃材を、廃水分離部にて水と分離し、この廃材を排出部材にて廃材を廃材収容箱に収容させるものである。すなわち、廃材の排出機構部において、まず、廃材を含む廃水を廃水受部から廃水分離部に落下流出させ、次に、廃水分離部において、廃材を含む廃水から廃水を分離除去して廃水収容部に収容し、且つ、廃水分離部に廃材を残存させ、更に、排出部材を廃材の排出方向に移動させることにより、廃材を移動させ、廃材収容箱内に廃材を落下させて収容することができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−297851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1に記載のものでは、排出部材を廃材収容箱側に移動させることによって、廃水分離部の廃材を廃材収容箱に供給するものであるため、排出部材を移動させる際に、排出部材に廃材が引っ掛かってうまく廃材収容箱に供給できなかったり、移動が規制されたりするおそれがある。また、排出部材を移動させるものであるので、自動的に移動させる構造とすれば、装置構成が複雑化し、手動にて移動させる構造とすれば、作業者の負担が大となって、作業性におとることになる。
【0008】
そこで、本発明は斯かる実情に鑑み、切断分離された端材(廃材)を安定して外部へ排出できて、切断分離作業の作業性の向上を図ることが可能な基板切断装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の基板切断装置は、基板を切断して個片化する基板切断装置であって、基板を受けるテーブルと、このテーブル上の基板を切断分離する切断手段と、この切断手段にて基板から切断分離される基板端材を受ける受け手段と、噴き付け媒体を噴き付けて前記切断手段にて切断された基板端材を受け手段側に押し流すブロー手段と、基板端材を受け手段に案内するガイド手段とを備えたものである。
【0010】
本発明の基板切断装置によれば、切断手段にてテーブル上の基板を切断分離できて個片化できる。切断手段にて切断された基板端材をブロー手段にて受け手段側に押し流すことができる。押し流す際には、基板端材はガイド手段にて受け手段に案内される。
【0011】
前記ガイド手段は、前記噴き付け媒体が受け手段側へ流れる凹溝を上面に有し、基板側から受け手段側に向かって斜め下方に傾斜するガイド板にて構成できる。このようなガイド板を有するものでは、凹溝を噴き付け媒体が流れるので、ガイド板上に基板端材が付着することなく受け手段側に流れていく。
【0012】
前記ブロー手段による噴射ノズルと切断手段の基板切断部とは一体的に移動するようにするのが好ましい。このように一体的とすることによって、ブロー手段による媒体噴き付け位置が安定し、基板端材の受け手段側への押し流しが安定する。
【0013】
前記切断手段の基板切断部は、基板切断用のカッタと、冷却媒体をカッタ乃至カッタにて切断されている切断部位とに噴射する冷却用噴射ノズルとを有するものとできる。これによって、冷却用噴射ノズルから噴射される冷却媒体をカッタおよび切断部位を冷却することができる。
【0014】
前記切断手段の基板切断部とブロー手段による噴射ノズルとを一体的にXYZ軸方向に移動させるXYZ移動機構と、前記テーブルをθ方向に回転させる回転駆動機構とを備えるのが好ましい。このように構成することによって、基板切断部をXYZ移動機構にて、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向に3軸方向に移動させることができる。このため、まず、基板切断部をZ軸方向に沿って上昇させた状態からZ軸方向に沿って下降させて、X軸方向に沿って移動させれば、基板に対してX軸方向の切断線を形成することができる。その後、基板切断部をZ軸方向に沿って上昇させた後、所定ピッチだけ基板切断部をY軸方向に移動させ、次に上昇させた状態からZ軸方向に沿って下降させて、X軸方向に沿って移動させれば、基板に対して、前回のX軸方向の切断線よりも所定ピッチだけY軸方向にずれたX軸方向の切断線を形成することができる。以後同様に、所定ピッチだけY軸方向にずれたX軸方向の切断線を形成することによって、基板のY軸方向全範囲に、所定ピッチだけY軸方向にずれた複数本のX軸方向の切断線を形成できる。次に、回転駆動機構にてテーブルを90°回転させれば、前記形成された切断線は、基板のX軸方向全範囲に、所定ピッチだけX軸方向にずれた複数本のY軸方向の切断線となる。そこで、前記した工程を行うことによって、基板のY軸方向全範囲に、所定ピッチだけY軸方向にずれた複数本のX軸方向の切断線を形成する。これによって、基板にマトリックス状の切断線を形成することができ、基板の個片化が可能となる。
【0015】
受け手段は、テーブルの外周側に配設される樋部材を有するものとできる。このような樋部材を設けることによって、基板端材をこの樋部材にて受けることができる。
【0016】
ガイド手段は、前記ガイド板の下方に、その外端縁部がこのガイド板よりも外方に突出する下ガイド板を有するものであってもよい。このように下ガイド板を設けることによって、上方のガイド板で届かない位置への受け手段への案内が可能となる。下ガイド板が、基板側から受け手段側に向かって斜め下方に傾斜するとともに、噴き付け媒体が受け手段側へ流れる凹溝を上面に設けたものであってもよい。
【0017】
前記テーブルに、個片化されてなる各基板小片をテーブルの基板載置面に吸着する吸着手段を設けたものが好ましい。このように吸着手段を設けたものでは、各基板小片をテーブルの基板載置面に吸着することができ、切断時に基板がずれることがなくなって、形成される切断線は安定する。ブロー手段の噴き付け媒体及び切断手段の冷却媒体が水であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、切断手段にて切断された基板端材をブロー手段にて受け手段側に押し流すことができ、しかも、押し流す際には、基板端材はガイド手段にて受け手段に案内される。このため、基板端材が受け手段に安定して供給でき、テーブル等に停滞することがなくなって、作用者による基板端材の除去作業を不要とする。
【0019】
ガイド手段が凹溝を上面に有するガイド板を有するものでは、ガイド板の基板端材が付着することなく基板端材を受け手段に供給することができ、基板端材の回収作業が安定する。
【0020】
噴射ノズルと基板切断部とが一体的に移動できるものでは、基板端材に対して安定して媒体を噴き付けることができ、基板端材を安定して押し流すことができる。
【0021】
冷却用噴射ノズルから噴射される冷却媒体をカッタおよび切断部位を冷却することができるものでは、カッタの切断機能を低下させないとともに、カッタや基板の損傷を有効に防止できる。
【0022】
XYZ移動機構と回転駆動機構とを備えたものでは、基板にマトリックス状の切断線を形成することができ、基板の個片化が可能となって、基板切断装置として安定する。
【0023】
樋部材を設けたものでは、基板端材をこの樋部材にて受けることができ、しかも、構成の簡素化を図ることが可能となる。
【0024】
下ガイド板を設けたものでは、上方のガイド板で届かない位置への受け手段への案内が可能となり、受け手段外への基板端材の排出がなくなる。また、テーブルを回転させる場合の回転スペースを考慮して、上方のガイド板を大きくできない場合等において、このような下ガイド板を設けることによって、回転スペースを大きくとれない部位に、この装置を設置できる利点がある。
【0025】
上面に凹溝を下ガイド板に設けたものであってもよい。凹溝を噴き付け媒体が流れるので、ガイド板上に基板端材が付着することなく受け手段側に流れていく。
【0026】
前記吸着手段を設けたものでは、切断時に基板がずれることがなくなって、形成される切断線は安定する。
【0027】
ブロー手段の噴き付け媒体及び切断手段の冷却媒体に水を用いることによって、低コスト化を図ることができ、安定した噴き付けと冷却が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態を示す基板切断装置の簡略断面図である。
【図2】前記図1に示す基板切断装置の平面図である。
【図3】前記図1に示す基板切断装置の要部断面図である。
【図4】基板の切断線形成順序を示し、(a)はX軸方向の切断線を形成した状態の簡略図を示し、(b)は前記(a)の状態から90°回転させた状態の簡略図である。
【図5】前記図1に示す基板切断装置を用いて基板に切断線をマトリックス状に形成した状態の簡略図である。
【図6】比較例を示す基板切断装置の簡略断面図である。
【図7】基板に切断線をマトリックス状に形成した状態の簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
図1は、本発明にかかる基板切断装置を示し、この基板切断装置は、基板1を受けるテーブル2と、このテーブル2上の基板1を切断分離する切断手段3と、この切断手段3にて基板1から切断分離される基板端材1bを受ける受け手段4と、噴き付け媒体を噴き付けて前記切断手段にて切断された基板端材1bを受け手段4側に押し流すブロー手段5と、基板端材1bを受け手段4に案内するガイド手段6とを備える。
【0031】
基板1は、複数の回路パターンを形成したものであって、図5に示すように、個片化して、CPU基板(マザーボード基板)である基板小片1aを形成するものである。このように、基板1にマトリックス状の切断線L1,L2を作成することによって、製品としての基板小片1aを形成した場合、基板1の4つの辺側に、廃材としての前記基板端材1bが形成される。
【0032】
テーブル2は、その上壁が平面視において正方形状をなし、図1と図2に示すように、複数個に分割された小ブロック片部10を形成している。すなわち、小ブロック片部10は、この切断装置にて切断分離されて形成される基板小片1aに対応する。そして、このテーブル2には、基板小片1aが各小ブロック片部10に吸着される吸着手段11が付設される。吸着手段11は、図示省略の真空機構を備え、テーブル内には、真空通路12が形成される。また、各小ブロック片部10には吸引口13が設けられ、この吸引口13が真空通路12に連通している。このため、真空機構を駆動させて、真空通路12を負圧状態とすることによって、吸引口13を介して、各基板小片1aが各小ブロック片部10に吸着される。なお、真空機構としては、真空ポンプや真空エジェクタ等が使用される。
【0033】
また、このテーブル2は、図示省略の回転駆動機構によって、その中心部を中心にθ方向に回転する。なお、回転駆動機構は、例えば、駆動用モータ(サーボモータ等)と、この駆動用モータの回転駆動力をテーブル2に伝達する駆動力伝達機構とからなる。駆動力伝達機構としては、ギア機構やベルト機構等から構成することができる。
【0034】
切断手段3は、円盤状のカッタ15と、このカッタ15をその軸心周りに回転させるモータ16と、冷却媒体(例えば、冷却水)を噴射する噴射機構とを備える。噴射機構は、回転駆動するカッタ15の近傍に配置される冷却用噴射ノズル(図示省略)を有し、図外の冷却媒体供給源からの冷却媒体を冷却用噴射ノズルを介してカッタ15乃至カッタ15による基板1の切断部位に噴き付けることになる。
【0035】
この場合、カッタ15とモータ16と噴射ノズル等で構成される基板切断部MがXYZ移動機構(図示省略)によって、相互に直交するX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動することができる。ここで、X軸方向とY軸方向とは、水平面内での図4の座標で示す方向であり、Z軸方向は鉛直方向である。XYZ移動機構は、XYZ軸ステージやXYZアームを用いることができる。
【0036】
受け手段4は、テーブル2の外周側に配設される樋部材20(20a、20b)を有する。樋部材20は、図2に示すように、テーブル2の前方および後方に配設され、上方向開口部を有する枠体からなる。すなわち、図1に示すように、前方の樋部材20aは、前壁21aと後壁22aと底壁23aとを備え、ガイド手段6にて案内された端材1bが収容される。また、後方の樋部材20bは、前壁21bと後壁22bと底壁23bとを備え、ガイド手段6にて案内された端材1bが収容される。
【0037】
また、テーブル2の両側方側には、図2に示すように、樋部材20a、20b間に端材1bをガイドするガイド部材25(25a、25b)が配置されている。ガイド部材25は、前後の樋部材20a、20bの中間部から前方に向かって下傾する傾斜板26と、前後の樋部材20a、20bの中間部から後方に向かって下傾する傾斜板27とを備える。このため、ガイド部材25(25a、25b)に落下した端材1bがガイド部材25の傾斜板26、27に案内されて前方の樋部材20aか後方の樋部材20bに供給される。
【0038】
ガイド手段6は、テーブル2の4つの辺にそれぞれ付設され、基板2側から受け手段4側に向かって斜め下方に傾斜するガイド板30を有するものである。このガイド板30の上面31には、テーブル2の対応する辺と直交する方向の複数本の凹溝32がその辺に沿って所定ピッチで配設されている。
【0039】
また、ガイド手段6には、図1においてはその図示を省略したが、図2と図3に示すように、各樋部材20a、20b側にガイド板30よりも下方位置に配設される下ガイド板35を設けるようにしてもよい。この場合の下ガイド板35は、基板1側から受け手段4側に向かって斜め下方に傾斜するものであって、その外端縁部がガイド板30よりも外方に突出している。また、ガイド板30と同様に、上面に凹溝を設けてもよい。
【0040】
ブロー手段5は、カッタ15とモータ16と冷却用噴射ノズル等で構成される基板切断部Mに付設される媒体噴き付け部としての噴射ノズル40を備え、この噴射ノズル40から噴き付け媒体としての水が基板の切断部位に噴射される。すなわち、ブロー手段5は、この噴射ノズル40と、この噴射ノズル40に噴き付け媒体としての水を供給する図示省略の供給源とを備える。このため、基板切断部Mと噴射ノズル40とは一体に、前記XYZ移動機構によって、移動することになる。
【0041】
基板切断部Mと噴射ノズル40とで構成される移動ユニット体Aは、図例では1機であったが、切断効率等を考慮すれば2機備えるのが好ましい。移動ユニット体Aを2機配置する場合、基板1に対して対称位置に配設する。
【0042】
次に前記したように構成された基板切断装置を用いた基板1の切断分離方法を説明する。まず、テーブル2上に基板1を載置する。そして、吸着手段11にて、各小ブロック片部10ごとに基板1を吸着する。この状態で、基板切断部Mと噴射ノズル40とで構成される移動ユニット体Aを、XYZ移動機構の駆動によって、図4に示すように、基板1に対して切断線L1を形成する。
【0043】
すなわち、基板切断部M、ひいては移動ユニット体AをZ軸方向に沿って上昇させた状態からZ軸方向に沿って下降させて、図4(a)の座標軸で示すX軸方向に沿って移動させることによって、基板に対してX軸方向の切断線を形成することができる。この場合、移動ユニット体Aが2機あれば、まず、一方の移動ユニット体Aで前方側の切断線L1を形成するとともに、他方のユニット体Aで後方側の切断線L1を形成する。
【0044】
その後、各ユニット体AをZ軸方向に沿って上昇させた後、一方の移動ユニット体Aを所定ピッチだけY軸方向後方側に移動させ、次に上昇させた状態からZ軸方向に沿って下降させて、X軸方向に沿って移動させる。これによって、基板1に対して、前回のX軸方向の切断線よりも所定ピッチだけY軸方向後方側にずれたX軸方向の切断線L1を形成することができる。また、他方の移動ユニット体Aを所定ピッチだけY軸方向前方側に移動させ、次に上昇させた状態からZ軸方向に沿って下降させて、X軸方向に沿って移動させる。これによって、基板に対して、前回のX軸方向の切断線よりも所定ピッチだけY軸方向前方側にずれたX軸方向の切断線L1を形成することができる。
【0045】
以後同様に、所定ピッチだけY軸方向にずれたX軸方向の切断線L1を、順次形成していけば、図4(a)に示すように、基板のY軸方向全範囲に、所定ピッチだけY軸方向にずれた複数本のX軸方向の複数本の切断線L1を形成できる。
【0046】
次に、回転駆動機構にて、図4(b)に示すように、テーブルを90°回転させれば、前記形成された切断線L1は、基板のX軸方向全範囲に、所定ピッチだけX軸方向にずれた複数本のY軸方向の複数本の切断線となる。
【0047】
そこで、前記した工程を行うことによって、図5に示すように、基板のY軸方向全範囲に、所定ピッチだけY軸方向にずれた複数本のX軸方向の複数本の切断線L2を形成する。これによって、基板1にマトリックス状の切断線L1,L2を形成することができ、基板1の個片化が可能となる。
【0048】
ところで、切断線L1,L2の形成時には、切断手段3では冷却媒体(冷却水)が噴射され、ブロー手段5からは噴き付け媒体(噴き付け水)が噴射される。このため、端材1bを基板1から切断分離される際には、図1に示すように、ガイド板30側へ噴き付け媒体にて押し流される。
【0049】
この際、噴き付け媒体(水)及び冷却媒体(冷却水)がガイド板30の凹溝32を、基板側から樋部材20(20a、20b)へと流れる。このため、ガイド板30側に押し流された端材1bは、樋部材20(20a、20b)へと流れる。すなわち、前方の樋部材20a側で切断分離された端材1bは、ガイド板30と下ガイド板35にガイドされて、前方の樋部材20aに案内される。また、後方の樋部材20b側で切断分離された端材1bは、ガイド板30と下ガイド板35にガイドされて、後方の樋部材20bに案内される。側方のガイド部材25a、25b側で断分離された端材1bは、ガイド部材25a、25bにガイドされて、前方の樋部材20a又は後方の樋部材20b側へと供給される。なお、樋部材20a、20bに供給された端材1bとしては、作業者が排出(回収)するようにしても、樋部材20a、20bに水等の流体を流して、これによって回収するようにしてもよい。
【0050】
ところで、この装置では、XYZ移動機構、回転駆動機構、切断手段3、及びブロー手段5等が、図示省略の制御手段にて制御され、前記切断工程が実施される。制御手段は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を中心としてROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等がバスを介して相互に接続されたマイクロコンピューターである。なお、前記ROMには、CPUが実行するプログラムやデータが格納されている。
【0051】
本発明では、切断手段3にて切断された基板端材1bをブロー手段5にて受け手段4側に押し流すことができ、しかも、押し流す際には、基板端材1bはガイド手段6にて受け手段4に案内される。このため、基板端材1bが受け手段4に安定して供給でき、テーブル2等に停滞することがなくなって、作用者による基板端材1bの除去作業を不要とする。
【0052】
ガイド手段6が凹溝32を上面に有するガイド板30を有するので、ガイド板30の基板端材1bが付着することなく基板端材1bを受け手段4に供給することができ、基板端材1bの回収作業が安定する。また、噴射ノズル40と基板切断部Mとが一体的に移動できるので、基板端材1bに対して安定して媒体を噴き付けることができ、基板端材1bを安定して押し流すことができる。
【0053】
冷却用噴射ノズルから噴射される冷却媒体にてカッタ15および切断部位を冷却することができるので、カッタ15の切断機能を低下させないとともに、カッタ15や基板1の損傷を有効に防止できる。XYZ移動機構と回転駆動機構とを備えるので、基板1にマトリックス状の切断線L1,L2を形成することができ、基板1の個片化が可能となって、基板切断装置として安定する。
【0054】
樋部材20を設けているので、基板端材1bをこの樋部材20にて受けることができ、しかも、構成の簡素化を図ることが可能となる。
【0055】
下ガイド板35を設けたことにより、上方のガイド板30で届かない位置への受け手段4への案内が可能となり、受け手段4外への基板端材1bの排出がなくなる。また、テーブル2を回転させる場合の回転スペースを考慮して、上方のガイド板30を大きくできない場合等において、このような下ガイド板35を設けることによって、回転スペースを大きくとれない部位に、この装置を設置できる利点がある。下ガイド板35の上面に凹溝を設けたことによって、この凹溝を噴き付け媒体が流れるので、ガイド板30上に基板端材1bが付着することなく受け手段4側に流れていく。
【0056】
吸着手段11によって、各基板小片1aが小ブロック片部10に吸着されるので、切断時に基板1がずれることがなくなって、形成される切断線L1,L2は安定する。ブロー手段5の噴き付け媒体及び切断手段3の冷却媒体に水を用いることによって、低コスト化を図ることができ、安定した噴き付けと冷却が可能となる。
【0057】
ところで、図7は、比較例として、ガイド手段6を有さない場合を示している。このように、ガイド手段6がなければ、ブロー手段5にて端材1bを吹き飛ばしても、樋部材20(20a)(20b)に収容されにくく、テーブル1の段部等に溜まるおそれがある。このように、溜まれば、溜まった端材1bが設備エラーを引き起す場合があり、これを防止するために、定期的に(短時間間隔に)作業者がこの端材1bの除去作業を行う必要があり、作業性に劣るものとなる。
【0058】
これに対して、本発明のように、ガイド手段6を設けることによって、端材1bが樋部材20以外の部位に溜まることがなく、短時間間隔毎の作業者による端材1bの除去作業を行う必要がなく、大幅な作業性の向上を図ることができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、前記実施形態では、噴き付け媒体として、前記実施形態では、水を用いたが、水以外の種々の液体、気体、気泡を含んだ液体等の種々の流体を用いてもよい。水以外の流体としては、基板を洗浄する洗浄液等を用いることができる。また、気体としてエア等を用いることができる。ガイド板30の傾斜角度、凹溝32の幅寸法、凹溝32の深さ寸法、凹溝32の断面形状、凹溝32の配設数、凹溝32の配設ピッチ等も、切断分離される端材を、ガイド板30に付着させることなく、受け手段4側に押し流すことができる範囲で任意に設定できる。また、下ガイド板35を有さないものであってもよい。
【0060】
移動ユニット体Aの数としても1機以上あればよいので、3機であっても、4機であってもよい。また、形成される切断線L1、L2の配設ピッチとしても、任意に設定できる。すなわち、テーブル2の小ブロック片部10の大きさに応じて種々設定できる。また、切断手段3のカッタ15として円盤カッタを用いたが、ルータビット等の他の切断工具を用いてもよい。
【0061】
テーブル2の小ブロック片部10の数や大きさ等任意に設定できる。また、図例では、小ブロック片部10は平面的に見て正方形であったが、長方形であってもよい。
【符号の説明】
【0062】
M 基板切断部
L1,L2 切断線
1 基板
1b 基板端材
2 テーブル
3 切断手段
4 受け手段
5 ブロー手段
6 ガイド手段
11 吸着手段
15 カッタ
20、20a、20b 樋部材
30 ガイド板
31 上面
32 凹溝
35 下ガイド板
40 噴射ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を切断して個片化する基板切断装置であって、
基板を受けるテーブルと、このテーブル上の基板を切断分離する切断手段と、この切断手段にて基板から切断分離される基板端材を受ける受け手段と、噴き付け媒体を噴き付けて前記切断手段にて切断された基板端材を受け手段側に押し流すブロー手段と、基板端材を受け手段に案内するガイド手段とを備えたことを特徴とする基板切断装置。
【請求項2】
前記ガイド手段は、前記噴き付け媒体が受け手段側へ流れる凹溝を上面に有し、基板側から受け手段側に向かって斜め下方に傾斜するガイド板にて構成したことを特徴とする請求項1に記載の基板切断装置。
【請求項3】
前記ブロー手段による噴射ノズルと切断手段の基板切断部とは一体的に移動することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の基板切断装置。
【請求項4】
前記切断手段の基板切断部は、基板切断用のカッタと、冷却媒体をカッタ乃至カッタにて切断されている切断部位とに噴射する冷却用噴射ノズルとを有することを特徴とする請求項3に記載の基板切断装置。
【請求項5】
前記切断手段の基板切断部とブロー手段による噴射ノズルとを一体的にXYZ軸方向に移動させるXYZ移動機構と、前記テーブルをθ方向に回転させる回転駆動機構とを備えたことを特徴とする請求項4に記載の基板切断装置。
【請求項6】
受け手段は、テーブルの外周側に配設される樋部材を有することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の基板切断装置。
【請求項7】
ガイド手段は、前記ガイド板の下方に、その外端縁部がこのガイド板よりも外方に突出する下ガイド板を有することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の基板切断装置。
【請求項8】
下ガイド板は、基板側から受け手段側に向かって斜め下方に傾斜するとともに、噴き付け媒体が受け手段側へ流れる凹溝を上面に設けたことを特徴とする請求項7に記載の基板切断装置。
【請求項9】
前記テーブルに、個片化されてなる各基板小片をテーブルの基板載置面に吸着する吸着手段を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の基板切断装置。
【請求項10】
ブロー手段の噴き付け媒体及び切断手段の冷却媒体が水であることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の基板切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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