説明

基板収納ケースカバー、およびカバー付き基板収納ケース

【課題】回路基板の不正改造だけでなく、ケーブルの取り外しによる不正行為も防止することができ、不正行為が行なわれた場合にその痕跡が残る基板収納ケースカバーを提供する。
【解決手段】回路基板14を収納する基板収納ケース12,13の開口部を覆うように装着される基板収納ケースカバー11において、装着された時に基板収納ケース12に対向する面に設けられ基板収納ケース12に固定される固定部111と、固定部111が設けられた部分を切り離すための複数のスリット112と、スリット112で囲まれた部分113に固定部111を囲むように設けられる第1のリブ114とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に設けられる回路基板を収納する基板収納ケースに装着される基板収納ケースカバー、および当該カバー付き基板収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコやパチスロなどの遊技機器において、その遊技内容を変更する不正な改造(例えばROMの付け替えなど)が行なわれる場合がある。この不正改造を防止するために、遊技機器の制御を行なう回路基板は、特殊な基板収納ケースに収納して設置されている。この基板収納ケースは、収納されている回路基板に不正改造が行なわれていないかを目視できるように、透明もしくは半透明の材料で形成されている。また、収納されている回路基板に不正改造が行なわれた場合に、基板収納ケースにその痕跡(例えば、目視で直ちに視認できるような破損など)が残るように工夫がされている。
【0003】
例えば、特開平9−215818号公報には、回路基板の封印状態が解除された場合に、その痕跡が残る工夫がされた基板収納ケースについて記載されている。この公報によると、回路基板の封印状態を解除するためには、基板収納ケースを構成する箱体とカバー体とを連結する連結部分を切断する必要がある。したがって、当該連結部分が切断されている場合には、何者かにより不正改造が行なわれたことが推測される。
【0004】
【特許文献1】特開平9−215818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年、回路基板の不正改造以外にも、回路基板のコネクタに接続されているケーブルを取り外して、用意した不正な回路基板に接続する方法で、遊技内容を変更する不正行為が発生している。上記公報に記載されている基板収納ケースにおいては、回路基板のコネクタがカバー体に覆われておらず、この不正行為を防止することができない。また、コネクタまでカバー体で覆うようにした場合、ケーブルを通すための開口部が必要となり、今度はその開口部から針金などで回路基板に不正行為が行なわれる可能性もある。
【0006】
本発明は上記した事情のもとで考え出されたものであって、回路基板の不正改造だけでなく、ケーブルの取り外しによる不正行為も防止することができ、不正行為が行なわれた場合にその痕跡が残る基板収納ケースカバー、および当該カバー付き基板収納ケースを提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明の第1の側面によって提供される基板収納ケースカバーは、回路基板を収納する基板収納ケースの開口部を覆うように装着される基板収納ケースカバーであって、装着された時に前記基板収納ケースに対向する面に設けられ、前記基板収納ケースに固定される固定部と、前記固定部が設けられた部分を切り離すための複数のスリットと、前記スリットで囲まれた部分に前記固定部を囲むように設けられる第1のリブと、を備えたことを特徴とする。
【0009】
この構成によると、前記基板収納ケースカバーを取り外すことなく、前記基板収納ケースに収納されている前記回路基板を改造することはできない。また、前記回路基板のコネクタに接続されたケーブルを通すための開口部が前記基板収納ケースに設けられていても、前記基板収納ケースカバーを取り外すことなく前記ケーブルを取り外すことはできない。一方、前記カバーは、その内側に設けられた前記固定部により前記基板収納ケースに固定されており、外部からは取り外すことができない。したがって、前記基板収納ケースカバーを破壊する以外に、前記回路基板の改造や前記ケーブルの取り外しをすることができない。すなわち、何者かが不正を行なった場合には、前記基板収納ケースカバーが破壊されるという痕跡が残ることになる。
【0010】
また、この構成によると、前記固定部が設けられた部分を切り離すための複数のスリットが設けられている。したがって、メーカーの作業員が前記回路基板の修理をする場合や、検査員が前記回路基板を検査する場合は、前記スリットの間の部分をニッパなどで切断することで、容易に前記基板収納ケースカバーを破壊することができる。
【0011】
さらに、この構成によると、前記スリットと前記固定部との間に前記第1のリブが設けられている。したがって、前記スリットから針金などを挿入しても、前記第1のリブによって妨げられる。したがって、前記針金などが前記固定部まで届かないので、前記固定部を操作して固定状態を解除することはできない。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1のリブの先端部は、前記基板収納ケースに装着されたときに、前記基板収納ケースに接する。
【0013】
この構成によると、前記スリットから挿入された前記針金などによる前記固定部の操作を、より確実に妨げることができる。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記固定部は、前記基板収納ケースに設けられた係止孔に係合するための係止部である。
【0015】
この構成によると、前記基板収納ケースカバーの係止部は、前記基板収納ケースの係止孔に係合することにより、前記基板収納ケースカバーを前記基板収納ケースに固定する前記固定部として作用する。前記係止部は前記係止孔に係合しているだけなので、前記基板収納ケースカバーを破壊した後、係合している前記係止部を前記係合孔から容易に取り除くことができる。したがって、前記基板収納ケースを再度使用することができる。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記スリットで囲まれた部分の外側を囲むように設けられる第2のリブを、更に備えた。
【0017】
この構成によると、前記スリットが、前記第1のリブと前記第2のリブとにより囲まれている。したがって、前記開口部が前記第1のリブと前記第2のリブとの間に位置しないように設けられていれば、前記スリットから針金などを挿入しても前記第1のリブまたは前記第2のリブによって妨げられる。したがって、前記針金などが前記開口部まで届かないので、前記開口部から不正行為が行なわれることを防ぐことができる。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第2のリブの先端部は、前記基板収納ケースに装着されたときに、前記基板収納ケースに接する。
【0019】
この構成によると、前記スリットから挿入された前記針金などによる前記開口部での不正行為を、より確実に妨げることができる。
【0020】
本発明の第2の側面によって提供されるカバー付き基板収納ケースは、回路基板を収納する、カバー付き基板収納ケースであって、前記回路基板をその内側に配置するケースと、前記ケースの開口部を覆うように装着されるカバーと、を備え、前記カバーは、装着された時に前記ケースに対向する面に設けられ、前記ケースに固定される固定部と、前記固定部が設けられた部分を切り離すための複数のスリットと、を有し、前記ケースは、前記カバーが装着されたときに前記固定部を囲みその先端部が前記スリットで囲まれた部分に接する第1のリブを有することを特徴とする。
【0021】
この構成によると、本発明の第1の側面によって提供される基板収納ケースカバーと同様の効果を奏することができる。更に、前記カバーの構造をより簡単にすることができる。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記ケースは、前記カバーが装着されたときにその先端部が前記スリットで囲まれた部分の外側を囲むように接する第2のリブを更に有する。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記カバーは、前記スリットで囲まれた部分の外側を囲むように設けられ、前記ケースに装着されたときにその先端部が前記ケースに接する第2のリブを更に有する。
【0024】
これらの構成によると、前記スリットが、前記第1のリブと前記第2のリブとにより囲まれている。したがって、前記開口部が前記第1のリブと前記第2のリブとの間に位置しないように設けられていれば、前記スリットから針金などを挿入しても前記第1のリブまたは前記第2のリブによって妨げられる。したがって、前記針金などが前記開口部まで届かないので、前記開口部から不正行為が行なわれることを防ぐことができる。
【0025】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0027】
図1は、本発明に係る基板収納ケースカバーの第1実施形態を、中継基板の基板収納ケースに装着したパチスロ機の一例を説明するための図である。パチスロ機Aの本体A2には、前面ドアA1が開閉自在に設けられている。図1は、パチスロ機Aの前面ドアA1を開いた状態を示しており、前面ドアA1の裏側と、本体A2の内部が示されている。なお、図1において、説明に必要のない部品などは省略している。
【0028】
パチスロ機Aには、パチスロ機A全体の制御を行なうメイン基板が備えられている。メイン基板は、不正防止のため、基板収納ケース2に収納された上で、本体A2の奥の方に設置されている。前面ドアA1には、図示しない表示画面、スピーカー、各種ボタン、リールユニット、投入されたメダルの識別機構などが設けられている。これらの前面ドアA1に設けられた装置をメイン基板が直接制御する場合、各装置とメイン基板との間に配線が必要となる。しかし、前面ドアA1を開閉するためには、これらの配線が邪魔になる。したがって、メイン基板による制御を中継するために、中継基板が前面ドアA1の裏面に設置されている。
【0029】
中継基板は、ケーブル3によりメイン基板と接続され、各ケーブル4により前面ドアA1に設けられた各装置(図示省略)と接続されている。中継基板は、メイン基板から受信した制御信号を各装置に送信し、各装置から受信した信号をメイン基板に送信する。装置に接続されたケーブル4を取り外して、用意した不正な回路基板に接続するという不正行為を防止するため、中継基板はカバー付き基板収納ケース1に収納されている。
【0030】
以下、このカバー付き基板収納ケース1について、図2ないし図5を参照して説明する。図2および図3は、カバー付き基板収納ケース1の分解斜視図である。図3は、図2の方向Xから見たものである。図4は図1のIV−IV断面図であり、図5は図1のV−V断面図である。
【0031】
図4によく表れているように、カバー付き基板収納ケース1は、カバー11、上ケース12、下ケース13により構成されている。カバー付き基板収納ケース1は、回路基板14を収納するものであり、回路基板14を不正改造や不正接続から防御するものである。回路基板14は、本実施形態では上述した中継基板である。図4においては図示を省略しているが、回路基板14の搭載面14aには、信号の送受信のための回路素子が搭載されており、配線パターンが設けられている。また、搭載面14aには、メイン基板と接続されるケーブル3を接続するためのコネクタ141と、各装置と接続される各ケーブル4を接続するための複数のコネクタ142とが設けられている(図2参照)。
【0032】
図2によく表れているように、上ケース12は長尺箱型状であり、その底板12aが一部窪んだ形状を成している。これは、回路基板14が長尺矩形状であり、その搭載された回路素子やコネクタ141の高さが異なることに合わせたものであり、上ケース12の形状はその収納される回路基板14の形状などに合わせて適宜設計される。上ケース12は、ポリカーボネートやABS樹脂などの透明樹脂の射出成形などにより、形成される。透明樹脂としたのは、収納されている回路基板14を目視できるようにするためである。
【0033】
上ケース12の底板12aには、後述するカバー11を係止するための2つの係止孔121と、回路基板14に設けられたコネクタ141の上部が開放されるための開口部122とが設けられている。また、上ケース12の一方の長尺側の側板(図2において、手前側の側板)12bから底板12aにかけての一部には、回路基板14に設けられたコネクタ142にケーブルを接続するための開口部123が設けられている。開口部122および開口部123の位置および大きさは、回路基板14に設けられたコネクタ141およびコネクタ142の位置および大きさに応じて、適宜設計される。また、上ケース12の底板12aの長手方向両端部には、それぞれ2個ずつネジ孔124が穿設されている。
【0034】
図4に表れているように、上ケース12の底板12aの内側面(図4において、下側の面)には、複数のリブ125が設けられている。このリブ125は、後述する下ケース13に設けられたリブとの間で、回路基板14を固定するものである。また、上ケース12の短尺側の側板(図4において、左右の側板)12cおよび12dの外側面には、下ケースと係合するための係合部126が設けられている。
【0035】
図3によく表れているように、下ケース13は長尺箱型状であり、ポリカーボネートやABS樹脂などの透明樹脂の射出成形などにより形成される。下ケース13の形状も回路基板14の形状に合わせて適宜設計される。また、透明樹脂としたのも、収納されている回路基板14を目視できるようにするためである。
【0036】
図4に表れているように、下ケース13の底板13aの内側面(図4において、上側の面)には、複数のリブ131が設けられている。このリブ131は、上ケース12に設けられたリブ125との間で、回路基板14を固定するものである。また、下ケース13の短尺側の側板(図4において、左右の側板)13bおよび13cの端部には、上ケースと係合するための係合部132が設けられている。また、図3に表れているように、下ケース13の底板13aの長手方向両端部には、それぞれ2個ずつネジ孔133が穿設されている。
【0037】
図4に表れているように、上ケース12と下ケース13とは、その間に回路基板14を挟んで、係合部126と係合部132とが係合することにより、固定されている。さらに、上ケース12、回路基板14、および下ケース13は、上ケースのネジ孔124、図示しない回路基板14に穿設された孔、および下ケースのネジ孔133を通したネジにより、パチスロ機Aに固定される。
【0038】
図2によく表れているように、カバー11は長尺箱型状であり、ポリカーボネートやABS樹脂などの透明樹脂の射出成形などにより形成される。透明樹脂としたのは、収納されている回路基板14を目視できるようにするためである。
【0039】
カバー11は、固着された上ケース12および下ケース13を覆うような大きさと形状となっている。カバー11の内側の長尺寸法および短尺寸法は、それぞれ下ケース13の外側の長尺寸法および短尺寸法よりわずかに大きいものである。したがって、図4によく表れているように、カバー11は、一体となった上ケース12および下ケース13を、一部を除いてほぼ隙間なく覆っている。
【0040】
カバー11は、側板の一部が少し外部に突出した形状となっている(図2参照)。この突出部分は、カバー11が一体となった上ケース12および下ケース13を覆うように装着されたときに、上ケース12の開口部123に対向する部分と、開口部122に近接する部分となる。当該突出部分は、開口部123および開口部122から延びるケーブル3およびケーブル4を通すための隙間を確保するためのものである(図5参照)。また、カバー11が装着されたときに取り付け面との間にケーブル4を通すための隙間ができるように、カバーの高さは設計されている(図5参照)。
【0041】
図4によく表れているように、カバー11の底板11aの内側面(図4において、下側の面)には、2つの係止部111が設けられている。カバー11は、2つの係止部111を上ケースの係止孔121に係合させることにより、上ケース12に固定される。また、カバー11の底板11aには、2つの係止部111を囲むように、複数のスリット112が設けられている。本実施形態において、複数のスリット112は、図2に表れているように、略長方形状の部分(以下、「残留部分」とする。)113を囲んでいる。
【0042】
図4によく表れているように、カバー11の底板11aの内側面には、複数のスリット112を挟むように、第1のリブ114および第2のリブ115が設けられている。図3によく表れているように、第1のリブ114は、残留部分113のすぐ内側に、略長方形状に設けられている。また、第2のリブ115は、残留部分113のすぐ外側に、略長方形状に設けられている。第1のリブ114および第2のリブ115の先端部は、上ケース12の底板12aに接している。
【0043】
次に、カバー付き基板収納ケース1の作用について説明する。
【0044】
本実施形態において、回路基板14は、上ケース12と下ケース13に挟まれて固定され、さらにその上からカバー11により覆われている。したがって、カバー11を取り外すことなく、上ケース12および下ケース13の間に配置されている回路基板14を改造することはできない。また、カバー11は、上ケース12の開口部122,123を覆う形状に形成されている。したがって、カバー11を取り外すことなく、回路基板14のコネクタ141,142に接続されたケーブル3,4を取り外すことはできない。
【0045】
カバー11は、底板11aの内側面に設けられた2つの係止部111がそれぞれ上ケース12の係止孔121に係合することにより、上ケース12に固定されている。したがって、外部からこの係合を解除して、カバー11を上ケース12から取り外すことはできない。したがって、カバー11を破壊する以外に、回路基板14の改造やケーブル3,4の取り外しをすることができない。すなわち、何者かが不正行為を行なった場合には、カバー11が破壊されるという痕跡が残ることになる。
【0046】
また、本実施形態において、カバー11には、残留部分113を切り離すための複数のスリット112が設けられている。したがって、メーカーの作業員が回路基板の修理をする場合や、検査員が回路基板14を検査する場合、各スリット112の間の部分112aをニッパなどで切断することで、容易にカバー11を破壊することができる。
【0047】
図6は、各スリット112の間の部分112aを切断して、残留部分113以外を取り外した状態を説明するための図である。カバー11は、残留部分113の係止部111のみで上ケース12に固定されている。したがって、残留部分113をカバー11から切り離した場合、カバー11は容易に取り外すことができる。上ケース12上には、図6に示すように、残留部分113のみが残ることになる。作業員などは、上ケース12のネジ孔124に螺合されているネジを外すことにより、上ケース12と下ケース13とに挟まれた回路基板14を取り出し、作業をすることができる。
【0048】
上ケース12に残された残留部分113は、上ケース12の開口側から係止部111の係合を解除することで、上ケース12から容易に取り外すことができる。作業後は、上ケース12と下ケース13との間に回路基板14を挟んでネジでパチスロ機Aに固定し、新たに用意したカバー11を上ケース12に装着する。以上により、新しいカバー11を用意することができる正規の作業員などは、カバー11を容易に破壊して、回路基板14の修理や検査を行なうことができる。
【0049】
さらに、本実施形態において、カバー11には、スリット112と係止部111との間に第1のリブ114が設けられている。この第1のリブ114の先端部は上ケース12に接している。したがって、スリット112から針金などを挿入しても係止部111まで届かないので、係止部111を押して係止状態を解除することはできない。また、カバー11には、残留部分113のすぐ外側に第2のリブ115が設けられている。この第2のリブ115の先端部は上ケース12に接している。したがって、スリット112から針金などを挿入しても開口部122,123まで届かないので、ケーブル3,4を取り外すこと及びケーブル3,4に接触することはできない。すなわち、スリット112から不正行為を行なうことを妨げることができる。
【0050】
本発明に係る基板収納ケースカバーは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る基板収納ケースカバーの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0051】
カバー11、上ケース12、および下ケース13の形状は、収納される回路基板14の形状ならびに回路基板14に搭載される回路素子およびコネクタの位置および大きさに合わせて設計される。また、カバー11、上ケース12、および下ケース13の材質は、透明であればよい。
【0052】
カバー11に設けられる係止部111の数は2個に限られず、3個以上でもよい。また、カバー11の係止部111を上カバー12の係止孔121に係合させてカバー11を係止するのではなく、他の係合方法でカバー11を上ケース12に係止してもよい。また、係合以外の他の方法で固定してもよい。外部から解除できるものでなければ、カバー11と上ケース12とを固定する構成は、それぞれの底板に設けられていなくてもよく、それぞれの側板に設けられていてもよい。
【0053】
第1のリブ114は、複数のスリット112により囲まれる部分の内側であり、すべての係止部111を囲んでいれば、その位置および形状は限定されない。例えば、各係止部111を個別に囲む形状であってもよい。
【0054】
図7(a)は、2個の係止部111がそれぞれ別の第1のリブ114’により囲まれているカバー11’を、開口側から見た図である。この場合でも、スリット112から挿入された針金などによる係止部111の係止状態の解除を妨げることができる。
【0055】
第2のリブ115は、開口部122および開口部123がその外側に位置する範囲であれば、その位置および形状は限定されない。係止部111への不正行為を防止することだけが目的であれば、第2のリブ115が設けられていなくてもよい。
【0056】
上記実施形態では、第1のリブ114および第2のリブ115がカバー11に設けられている場合を説明したが、これに限られない。第1のリブ114または第2のリブ115のいずれか一方または両方が、上ケース12の底板12aの外側面に設けられていてもよい。その場合、上ケース12に設けられたリブの先端部は、カバー11の底板11aに接する必要がある。
【0057】
複数のスリット112により囲まれる部分の形状は、その部分にすべての係止部111が含まれていれば、略長方形状に限定されない。また、各係止部111が、それぞれ個別に、複数のスリット112により囲まれていてもよい。
【0058】
図7(b)は、2個の係止部111がそれぞれ複数のスリット112”により囲まれているカバー11”を、開口側から見た図である。第1のリブ114”および第2のリブ115”は、複数のスリット112”を挟むように設けられている。この場合でも、スリット112”から挿入された針金などによる係止部111の係止状態の解除を妨げることができる。
【0059】
上記実施形態では、カバー11が箱形状の場合を説明したが、これに限られない。例えば、開口部122,123とネジ孔124とが上ケース12の底板12aにのみ設けられている場合は、カバー11が板形状であってもよい。
【0060】
上記実施形態では、回路基板14が上ケース12と下ケース13に挟まれて配置されている場合を説明したが、これに限られない。例えば、上ケース12がなく、回路基板14が下ケース13に配置されて、その上からカバー11が装着される構成でもよい。この場合、カバー11は、下ケース13に固定されることになる。
【0061】
上記実施形態では、本発明を中継基板の基板収納ケースのカバーに適用した場合について説明したが、これに限られない。本発明は、中継基板以外のメイン基板などの基板収納ケースのカバーにも適用できる。
【0062】
上記実施形態では、本発明をパチスロ機の基板収納ケースのカバーに適用した場合について説明したが、これに限られない。本発明は、パチンコ機などの他の遊技機器の基板収納ケースのカバーにも適用できる。また、遊技機器以外の電子機器においても、不正な改造を防止する必要がある回路基板の基板収納ケースのカバーに適用できる。例えば、法律で仕様が制限されている電子機器の改造を防止する場合や、クレジットカードの読み取り機において、読み取りデータを不法記録するRAMの取り付けを防止する場合などにも有効である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係る基板収納ケースカバーの第1実施形態を、中継基板の基板収納ケースに装着したパチスロ機の一例を説明するための図である。
【図2】カバー付き基板収納ケースの分解斜視図である。
【図3】カバー付き基板収納ケースの分解斜視図であり、図2の方向Xから見た図である。
【図4】図1のIV−IV断面図である。
【図5】図1のV−V断面図である。
【図6】カバーの残留部分のみが残った状態を説明するための図である。
【図7】カバーの他の実施例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0064】
1 カバー付き基板収納ケース
11,11’,11” カバー
11a 底板
111 係止部
112,112” スリット
113 残留部分
114,114’,114” 第1のリブ
115,115” 第2のリブ
12 上ケース
12a 底板
12b 長尺側の側板
12c,12d 短尺側の側板
121 係止孔
122,123 開口部
124 ネジ孔
125 リブ
126 係合部
13 下ケース
13a 底板
13b,13c 短尺側の側板
131 リブ
132 係合部
14 回路基板
14a 搭載面
141,142 コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板を収納する基板収納ケースの開口部を覆うように装着される基板収納ケースカバーであって、
装着された時に前記基板収納ケースに対向する面に設けられ、前記基板収納ケースに固定される固定部と、
前記固定部が設けられた部分を切り離すための複数のスリットと、
前記スリットで囲まれた部分に前記固定部を囲むように設けられる第1のリブと、
を備えたことを特徴とする基板収納ケースカバー。
【請求項2】
前記第1のリブの先端部は、前記基板収納ケースに装着されたときに、前記基板収納ケースに接することを特徴とする、請求項1に記載の基板収納ケースカバー。
【請求項3】
前記スリットで囲まれた部分の外側を囲むように設けられる第2のリブを、更に備えたことを特徴とする、請求項1または2に記載の基板収納ケースカバー。
【請求項4】
前記第2のリブの先端部は、前記基板収納ケースに装着されたときに、前記基板収納ケースに接することを特徴とする、請求項3に記載の基板収納ケースカバー。
【請求項5】
回路基板を収納する、カバー付き基板収納ケースであって、
前記回路基板をその内側に配置するケースと、
前記ケースの開口部を覆うように装着されるカバーと、
を備え、
前記カバーは、
装着された時に前記ケースに対向する面に設けられ、前記ケースに固定される固定部と、
前記固定部が設けられた部分を切り離すための複数のスリットと、
を有し、
前記ケースは、前記カバーが装着されたときに前記固定部を囲みその先端部が前記スリットで囲まれた部分に接する第1のリブを有する
ことを特徴とするカバー付き基板収納ケース。
【請求項6】
前記ケースは、前記カバーが装着されたときにその先端部が前記スリットで囲まれた部分の外側を囲むように接する第2のリブを更に有する
ことを特徴とする、請求項5に記載のカバー付き基板収納ケース。
【請求項7】
前記カバーは、前記スリットで囲まれた部分の外側を囲むように設けられ、前記ケースに装着されたときにその先端部が前記ケースに接する第2のリブを更に有する
ことを特徴とする、請求項5に記載のカバー付き基板収納ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−153668(P2009−153668A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−334182(P2007−334182)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】