説明

塗布用化粧料繰出容器

【課題】
リキッドルージュなどの粘性化粧料を貯蔵した塗布用化粧料繰出容器において、粘性化粧料が、粘度の強弱にかかわらず、吐出部のデザイン通りに吐出することを可能とすることを目的とする。
【解決手段】
本発明の塗布用化粧料繰出容器の吐出部は、先端筒の先端孔に、先筒に立設された棒体の天面を挿入させることで、連続した貫通孔を形成しているため、粘度の異なる種類の粘性化粧料でも、吐出部のデザイン通りに、吐出することを可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リキッドルージュなどの粘性化粧料を貯蔵した塗布用化粧料繰出容器において、粘性化粧料の吐出方法についての発明であり、吐出部及び吐出時のデザイン性に秀でるとともに、粘性化粧料の粘度にかかわらず、使用しやすい吐出を行う技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
繰出容器の先筒内に塗布用化粧料を充填し、先筒の天面に備えた吐出孔より化粧料を吐出して使用する繰出容器は公知であり、例えば特許第3693522号公報や特開2006−102076号公報等が知られている。
【0003】
又、単純な丸い吐出孔や細長い吐出孔と異なり、デザイン性のある吐出孔として出願されたものに、特開2008−67959号公報があり、この公報の図5に様々なデザインの吐出口が開示されている。これは、デザイン性のある吐出口18が、吐出部16に形成された無孔部16b以外の部分に備えられた貫通孔であることを特徴としたものである。
【0004】
特開2008−67959号公報の特色は、今までは単純な形状で形成されていた吐出口を、デザイン性のある吐出口としたことで、化粧料吐出時の見栄えを良くした事にある。ところが、粘性の強い化粧料では、吐出口のデザイン通りに吐出ができず、無孔部周辺の天面付近に吐出された化粧料が取り残されたり、粘性の非常に弱い化粧料では、無孔部周辺の天面付近と貫通孔とでは、吐出具合が違うため、デザインが崩れた状態で吐出される懸念がある。
【0005】
【特許文献1】特許3693522号
【特許文献2】特開2006−102076号
【特許文献3】特開2008−67959号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記問題を解決し、粘性化粧料が、粘度の強弱にかかわらず、吐出部のデザイン通りに吐出することを可能とした、塗布用化粧料繰出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明では、先筒内の貯蔵部に充填された粘性化粧料を、基筒と先筒との回動により、内挿された押出杆が繰出機構で前進する事で、先端筒の吐出部より吐出する塗布用化粧料繰出容器であって、前記先筒は、先端筒嵌合部から内突する支柱によって棒体が立設され、当該棒体の外周線が、被冠される先端筒の先端孔の外周線より小径に設計され、吐出部を形成する手段を講じたものである。
【0008】
第2の発明では、前記棒体天面が前記先端筒の天面よりわずかに突出しているか、あるいはわずかに後退している手段を講じたものである。
【0009】
第3の発明では、前記棒体に吐出孔を穿設する手段を講じたものである。
【発明の効果】
【0010】
第1の発明により、吐出部は、先端筒の先端孔に、先筒に立設された棒体の天面を挿入させることで連続した貫通孔を形成しているため、粘度の異なる種類の化粧料でも、吐出部のデザイン通りに、吐出を可能にする。また、棒体により吐出部が形成されているため、化粧料が棒体に沿って吐出され、吐出部のデザイン通りに吐出できる。
【0011】
第2の発明により、図4の(H)に示す様に、棒体天面が先端筒の天面よりわずかに後退している場合は、この凹部を粘性化粧料の溜まり部として使用することで、粘性の薄い化粧料等には、化粧料が傾斜天面10fより流れ落ちることなく化粧することができる。 また、(I)に示すごとく、棒体天面が先端筒の天面よりわずかに突出している場所は、棒体天面を利用して、化粧時にラインが引きやすくなる。この部分に吐出孔を形成すれば、棒体天面からも化粧料が吐出されるため、更にラインメイク効果が期待できる。
【0012】
第3の発明により、吐出部と吐出孔を形成する事で、図6に示す様な複雑なデザインの美しい吐出現象を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を実施するための最良の形態を、図1ないし図6に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1から図3は、本発明の実施例1を示し、図1は、本発明の塗布用化粧料繰出容器1であり、繰出容器本体2は、先筒10と、先筒10の前部に被冠される先端筒10aと、前記先筒10に回動可能に連結される基筒20と、基筒20に同期係合して内挿される内筒30と、内筒30内に組み付けられ先筒10内を摺動する押出杆40と、押出杆40内に固定されて押出杆40と一体に進退する尾栓50とで構成されている。そして、先端筒10aの天面にシール6が貼られ、繰出容器本体2にキャップ3が被冠されて、塗布用化粧料繰出容器1としている。
【0015】
図2は、繰出容器本体2の前進限を示す図で、図3は繰出容器本体2の各部材を示す図である。
【0016】
図2と図3を使用し、繰出容器本体2の繰出構造を説明するとともに、本発明の趣旨である、先筒10内の貯蔵部Xに貯えた粘性化粧料Aの吐出方法を説明する。
【0017】
繰出容器本体2の各部材は、図3より、(D)先端筒10a、(E)先筒10、(F)内筒30、(G)基筒20と、図1に示す押出杆40と尾栓50により構成される。
【0018】
(D)先端筒10aは、傾斜天面10fと先端孔10bを備える円筒体で、内径腔部には、先筒10に嵌合止着する嵌合部10eと、位置決溝10dが突設される。
【0019】
(E)先筒10は、軸方向に先端筒嵌合部11と先筒胴体12と基筒嵌合部13より形成され、先端筒嵌合部11内径より支柱11dが突設され、棒体11aが立設している。棒体11aの天面11bは、先端筒10aの傾斜天面10fと同傾斜で形成される。先端筒10aの天面がフラットであれば、棒体11aの天面11bもフラットに形成される。先筒10の内径下部、腔部18は、円筒形状を形成し、粘性化粧料Aが充填される貯蔵部Xは、角形内径16として設計され、押出杆40が角径内径16内を前進することにより、粘性化粧料Aは、貫通孔11eを通過し先端筒10a内に移動する。また、先筒10は、基筒20と回動可能に連結する嵌合部14を外周に、又、内筒30と嵌合する嵌合部17を内径下端に設けてある。
【0020】
(F)内筒30は、軸方向に先筒嵌入部34、基筒嵌入部35より形成される円筒体で、内径上部に雌ネジ31が螺刻され、外周には先筒嵌合部33と基筒20のローレットリブ23に係合するリブ32が突設される。
【0021】
図1に示す押出杆40は、先端に先筒10内の角形内径16に係合する角形部41a・角形部41bを備え、この角形部の間に角形弾性体7が巻装され、先筒10の角形内径16に常時当接して、粘性化粧料Aの漏れを防止している。又、外周軸方向にストローク長の雄ネジ42が螺刻されている。
【0022】
尾栓50は、フランジ52より立脚部53が立設し、天面51を備えた円筒体であり、押出杆40の内径に尾栓連結部43で連結される。
【0023】
本発明の粘性化粧料Aの充填手段は、先端筒10aの天面にシール6を貼りつけ、押出杆40の尾部より粘性化粧料Aを充填し、尾栓50で押出杆40内径を止着する方法を採用している。
【0024】
次に、本発明の塗布用化粧料繰出容器1の化粧方法を説明する。使用者は、キャップ3を繰出容器本体2より外し、シール6をはがし、先筒10と基筒20を相対回動させる。すると、押出杆40の外周に螺刻された雄ネジ42は、内筒30の内径上部に螺刻した雌ネジ31に螺合するとともに、押出杆40先端の角形部41a・角形部41bが先筒10の角形内径16に係合して回転止機構を構成し、繰出機構が働く。そして、粘性化粧料Aは、押出杆40に押されて、図2の(C)に示す貫通孔11eを通過し、(B)に示す吐出部4より吐出する事で化粧が可能となる。
【0025】
本発明の特徴は、先筒10の先端に立設した棒体11aの外周線11cが、図3に示す先端筒10aの先端孔10bの外周線10cより小径に設計され、先端孔10bと棒体11aの間に吐出部4を形成した事を特徴としている。
【0026】
本発明では、押出杆40の後部より、粘性化粧料を充填する方法を採用しているが、無論、バック充填方式に限定するものではなく、又、繰出機構も上記方式に限定するものではない。先筒10と、これに被冠する先端筒10aより構成される塗布用化粧料繰出容器であれば、本発明の条件は充足される。
【実施例2】
【0027】
図4は、本発明の実施例2を図示したもので、実施例1と異なる点は、棒体11aに形成されている天面11bの、先端筒10aに穿設されている先端孔10bへの挿入位置である。
【0028】
(H)は、棒体11aの天面11bが、先端筒10aの傾斜天面10fよりわずかに後退して設計されていることを図示しており、吐出された粘性化粧料Aは、凹部Yに溜まる事となり、粘性の薄い化粧料等には、化粧料が傾斜天面10fより流れ落ちることなく化粧することができる。
【0029】
(I)は逆に、棒体11aの天面11bが、先端筒10aの傾斜天面10fよりわずかに突出して突出部Zを設ける設計となっていることを図示しており、粘性の濃い化粧料などは、この突出部Zを利用して、ラインを描く化粧方法が可能となる。
【実施例3】
【0030】
図5に示す、繰出容器本体102は、本発明の実施例3を図示したもので、実施例1と実施例2との違いは、棒体111aに新たに吐出孔111gを穿設したことであり、(K)に見られる如く、吐出部4と吐出孔111gの両方より粘性化粧料Aが吐出することとなる。
【0031】
また、実施例2である図4の(I)に示した突出した棒体111aに、実施例3に記載されている吐出孔111gを形成すれば、棒体天面からも化粧料が吐出されるため、化粧時に突出部Zを利用することで更にラインが描きやすくなる、という効果が得られる。
【0032】
図6は、実施例3の発明を応用し、吐出部4と吐出孔111gを組合せたデザイン性に富む吐出方法を図示したもので、(M)は二重の星型、(N)はハート形状の組み合わせ、(O)は円形の吐出孔と花びら形吐出部、と様々なデザインを可能とする。又、吐出部4は、連続した貫通孔部分であるため、粘性化粧料Aは、その粘度にかかわらず美しい吐出形状を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施例1である塗布用化粧料繰出容器1の断面図である。
【図2】実施例1の繰出容器本体2を前進限まで繰上げた状態を図示している。(A)は繰出容器本体2の断面図、(B)は塗布部の矢視図、(C)はA−A断面図をあらわしている。
【図3】図2の繰出容器本体2で使用されている部品の一部を示す図で、(D)は先端筒10a、(E)は先筒10、(F)は内筒30、(G)は基筒20をあらわしている。
【図4】本発明の実施例2である塗布部形状を示す図で、(H)は、棒体11aの天面11bが、先端筒10aの傾斜天面10fよりわずかに後退している形状をあらわしており、(I)は、棒体11aの天面11bが、先端筒10aの傾斜天面10fよりわずかに突出している形状をあらわしている。
【図5】本発明の実施例3である、繰出容器本体102を示す図で、(J)は繰出容器本体102の断面図、(K)は塗布部の矢視図、(L)はB−B断面図である。
【図6】実施例3の発明を応用し、デザイン性に富む吐出方法を図示したもので、(M)は二重の星型、(N)は2重のハート型、(O)は円形の吐出孔と花びら型を組み合わせたものをあらわしている。
【符号の説明】
【0034】
A・・・・・粘性化粧料
X・・・・・貯蔵部
Y・・・・・凹部
Z・・・・・突出部
1・・・・・塗布用化粧料繰出容器
2・・・・・繰出容器本体
3・・・・・キャップ
4・・・・・吐出部
5・・・・・Oリング
6・・・・・シール
7・・・・・角形弾性体
10・・・・先筒
10a・・・先端筒
10b・・・先端孔
10c・・・外周線
10d・・・位置決溝
10e・・・嵌合部
10f・・・傾斜天面
11・・・・先端筒嵌合部
11a・・・棒体
11b・・・天面
11c・・・外周線
11d・・・支柱
11e・・・貫通孔
11f・・・縦リブ
12・・・・先筒胴体
13・・・・基筒嵌合部
14・・・・嵌合部
15・・・・Oリング溝
16・・・・角形内径
17・・・・嵌合部
18・・・・腔部
20・・・・基筒
21・・・・先筒嵌合部
21a・・・円筒・基筒連結部
22・・・・キャップ嵌合部
23・・・・ローレットリブ
24・・・・底面
30・・・・内筒
30a・・・先筒・内筒連結部
31・・・・雌ネジ
32・・・・リブ
33・・・・先筒嵌合部
34・・・・先筒嵌入部
35・・・・基筒嵌入部
40・・・・押出杆
41a・・・角形部
41b・・・角形部
42・・・・雄ネジ
43・・・・尾栓連結部
50・・・・尾栓
51・・・・天面
52・・・・フランジ
53・・・・立脚部
102・・・繰出容器本体
110・・・先筒
111・・・先端筒嵌合部
111a・・棒体
111g・・吐出孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先筒内の貯蔵部に充填された粘性化粧料を、基筒と先筒との回動により、内挿された押出杆が繰出機構で前進する事で、先端筒の吐出部より吐出する塗布用化粧料繰出容器であって、
前記先筒は、先端筒嵌合部から内突する支柱によって棒体が立設され、当該棒体の外周線が、被冠される先端筒の先端孔の外周線より小径に設計され、吐出部を形成する事を特徴とする塗布用化粧料繰出容器。
【請求項2】
前記棒体天面が前記先端筒の天面よりわずかに突出しているか、あるいはわずかに後退している事を特徴とする請求項1記載の塗布用化粧料繰出容器。
【請求項3】
前記棒体に吐出孔を穿設したことを特徴とする、請求項1記載の塗布用化粧料繰出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−115357(P2010−115357A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−290902(P2008−290902)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(000252090)鈴野化成株式会社 (32)