説明

塵埃回収方法及び塵埃回収装置並びに路面清掃車

【課題】本発明は路面清掃車に関し、散水量を抑えつつ効率的な塵埃抑制を実現することを目的とする。
【解決手段】路面清掃車は鉛直中心Lの回りを回転する回転ブラシ10を備え、回転ブラシ10は剛毛14を備えている。給水パイプ26は給水ポンプ30からの水を受け、端部に散水ノズル28を備える。散水ノズル28は回転ブラシ10の前方に配置され、散水ノズル28からの噴射水Fはその実質的全量が回転ブラシ10の剛毛14の部位に直接接触するように噴出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は塵埃回収方法及び塵埃回収装置並びに路面清掃車に関し、特に、路面に接触する回転ブラシを備え、散水しながら路面を清掃し、塵埃を水と一緒に回収するタイプの技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
路面清掃車においては、車体の側部に回転ブラシが備えられ、回転ブラシの回転中心は実質的に鉛直方向の回転中心を備え、回転ブラシは清掃面(ブラシ面)が側面及び底面においてガッターに接触する。給水源に接続された給水管路の先端の水噴射口は回転ブラシの前方に位置され、水噴射口からは回転ブラシの直前において路面に散水が行われ、散水された路面を回転ブラシにより擦過掃引し、塵埃は水と一緒にダクトに吸引方式等により回収される。路面清掃車は水タンクを備えているが、散水能力としては不足するので通常の道路清掃作業においては路面清掃車の前方に散水車を走行させ、散水車からの散水により塵埃を抑制させ、その後に路面清掃車を走らせ、清掃作業を行う。また、散水の効率を高めるため界面活性剤を混入した水を散水させるようにしたり(特許文献1)、ダクト構造及びブラシの配置の工夫により水を全く使用しないとする技術も提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2002−81035号公報
【特許文献2】特開平11−93127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常の道路清掃作業方式は路面清掃車と散水車との組み合わせの作業であるため、路面を広く占有し、交通渋滞を惹起させる懸念がある。路面清掃車のみの作業では路面清掃車に備えられる水タンクのみで必要水量を賄う必要があり、散水量を大巾に押さえる必要があるが、この場合塵埃の抑制が困難である。即ち、節水型の噴霧を行うと、走行風速やブラシの回転数により噴霧状の散水は路面に到達する前に飛散してしまう懸念がある。そして、従来の路面清掃車では水噴射口からの散水は手前位置で行われおり(特許文献1の図4及び図5並びに特許文献2の図9参照)、事前に路面に散水しておくことにより回転ブラシによる擦過掃引の際に惹起される塵埃の発生を抑制しようとする思想に立脚するものであった。しかしながら、本発明者の実際の走行試験によると、散水車を伴わせず、路面清掃車単独での清掃作業では水量を絞らざるを得ないために路面に散水するのみでは堆積した塵埃を十分に湿潤させることができず、塵埃の発生を抑え切れないことが分かった。特許文献1のように界面活性剤を混入させる工夫は塵埃の抑制には有効であろうが、界面活性剤による二次汚染の懸念回避のためには界面活性剤一般が使用できるわけではなくその選定には慎重である必要があり、必ずしも一般的とはいえなかった。
【0004】
この発明は以上の問題点に鑑みてなされたものであり、散水量を抑えつつかつ添加物なしに効率的な塵埃回収を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明によれば、給水源からの水を散水しつつブラシを回転させることにより路面上の塵埃を掻き取りかつ回収する方法であって、散水は回転するブラシに直接的に指向せしめられるようされたことを特徴とする塵埃回収方法が提供される。
【0006】
この発明によれば、路面清掃のための回転ブラシと、給水源に接続された給水管路と、給水管路の先端に設置される水噴射口と、回転ブラシにより掻き上げられた塵埃の回収ダクトとを備えた塵埃回収装置において、前記水噴射口は、水噴射口からの噴射水が回転ブラシに直接的に指向せしめられるように配置されたことを特徴とする塵埃回収装置が提供される。
【0007】
また、この発明によれば、路面、特にガッターの清掃のための路面清掃車であって、実質的に鉛直方向の回転中心を備え、清掃面が側面及び底面においてガッターに接触する回転ブラシと、回転ブラシを回転中心の周りにおいて内向きに回転せしめる駆動手段と、回転ブラシの前部よりガッターに対し離間側において回転ブラシの側方を延設される案内板と、回転方向における下流側において案内板に連なる吸引ダクトと、給水源に接続された給水管路と、給水管路の先端に設置される水噴射口とを備え、前記水噴射口は、水噴射口からの噴射水が回転ブラシに直接的に指向せしめられるように配置されたことを特徴とする路面清掃車が提供される。
【0008】
上記路面清掃車において前記水噴射口は回転ブラシの前方に位置せしめることができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明においては、水噴射口から回転ブラシに向けて直接散水が行われ、散水された水は回転ブラシの剛毛の部分を伝わって、流下するとともに回転ブラシの遠心力により飛散されつつ回転ブラシにより路面は擦過掃引を受ける。散水を受けたブラシは回転により擦過掃引中の塵埃を掻き上げるため、ブラシに散水された水は塵埃に表面層のみならず中からも接触せしめられるため、掻上げられた塵埃の全体に迅速に湿潤させることができ、塵埃の巻き上げを効率的に抑制しつつダクトに回収せしめることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1はこの発明の路面清掃車の概略斜視図である。
【図2】図2はこの発明の路面清掃車における回転ブラシ10付近の部位の概略斜視図である。
【図3】図3は散水ノズル28と回転ブラシ10との位置関係を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を吸引回収式路面清掃車において実施した形態について説明するが、本発明の塵埃回収の技術的思想は吸引回収式路面清掃車に限定されることなく路面清掃車一般、更には、路面清掃車を超えた塵埃回収装置一般にも応用可能なものである。図1において、符号1はガッターであり、ここにガッターとは路面と縁石との交点に位置し、断面L形状の側溝のことをいう。2は吸引回収式路面清掃車を概略的に示しており、車体の下面における側部に回転ブラシ10が設けられ、回転ブラシ10は走行中に道路の側部におけるガッター1に沿って移動され、回転ブラシ10の側面及び底面において路面が擦過掃引を受け、路面に堆積された塵埃は掻き取られ、回収される。
【0012】
図2は本発明の要部のみ示す斜視図であり、回転ブラシ10は実質的に鉛直方向の回転中心Lを備え、基板12の下面に剛毛14を外面が略円錐形状を呈するように植設して構成される。図3に略示するように基板12には回転軸16が設けられ、回転軸16は車体から片持状に延設されるブラケット(図示しない)に軸支され、回転軸16は回転数制御可能な駆動モータ18に連結され、回転ブラシ10は鉛直回転中心Lの周りにおいて矢印fのように回転駆動される。案内板20は周知の手段により車体側に固定され、図2において案内板20は路面清掃車の前輪22と回転ブラシ10との間を車体横方向に延びる前面壁20-1と、前面壁20-1と前面壁20-1から回転ブラシ10の内側における側部を後方に延設される側面壁20-2とを備える。回転ブラシ10の後方には案内板20に連なるように塵埃回収ダクト24が開口しており、白抜き矢印hのように案内板20に沿ってダクト24への回収が行われる。回収方式としては吸引ポンプを内部に備え吸引下で回収行うものが簡易に採用しうるが、回収方式として必ずしも吸引方式に限定しない。塵埃回収ダクト24は車体に設けられる図示しないダストセパレータやホッパに接続され、塵埃と水との分離が行われる。給水パイプ26は一端が車体に設置された給水ポンプ30(図3)等の給水源に接続され、矢印gのように給水を受け、給水パイプ26の他端にノズル28(本発明の水噴射口)が設けられる。ノズル28は散水のため設けられたものであり、この実施形態においては案内板20の前面壁20-1の後方であるが回転ブラシ10の前方となる位置に配置される。ノズル28の設置位置としては必ずしも回転ブラシ10の前方となる位置に限定されることはなく、所期の塵埃回収効果を獲得しうる所望の位置とすることができる。
【0013】
図3に示すようにノズル28からは加圧下の水がFのように扇状に散水されるが、回転ブラシ10のノズル28に対する配置はノズル28からの散水は回転ブラシ10の剛毛14の部位を指向するように行われ、ノズル28からの噴出水の実質的全量が回転ブラシ10の前面における剛毛14の部分に直接接触せしめられる。これに対して、特許文献1の図4及び図5並びに特許文献2の図9に記載の従来の散水方式ではノズルは想像線28Aにて表され、ノズル28Aからの散水はFAのように路面Sに直接向けられ、回転ブラシ10には直接的には散水が行われないような配置となっていた。この従来配置の場合、散水FAは路面に堆積した塵埃の表面のみに局部的に行われるのみで堆積した塵埃の内部まで浸透することがないため、この未浸透の部位(乾燥部位)の塵埃が下流の回転ブラシ10の回転により塵埃として巻き上げられ易い問題点があった。
【0014】
この発明においては、ノズル28から回転ブラシ10の剛毛14の部位に目掛けて矢印Fのように散水が行われ、散水された水は回転ブラシの剛毛14の部分を伝わって流下するとともに回転ブラシ10の遠心力により飛散されつつ回転ブラシにより路面は擦過掃引を受ける。散水を受けたブラシ10は擦過掃引中の塵埃とも接触し得るため、回転ブラシ10への噴射水Fは塵埃に表面層のみならず中からも湿潤せしめられることになり、散水の効果を掻上げられた塵埃の実質的全体に及ぼしめることができ、塵埃の巻き上げを抑制しつつ塵埃のダクト24への効率的回収が可能となる効果がある。また、散水ノズル28からの水は剛毛のブラシ10を冷却し、水による冷却効果と摩擦力を低減させるため、ブラシの延命を図ることができる。更に、散水ノズル28からの水は扇状(円錐状)に噴霧される説明となっているが回転ブラシ10に向け実質的直線状に噴射することも可能であり、回転ブラシ10に対する噴射水の角度は適合要因である。また、散水ノズル28の設置数も1個に限らず適宜複数設置することも可能であり、最適な効果が得られるようにノズル数量や設置部位の選定が行われる。更に、回転ブラシ10の回転数や散水ノズル28からの噴射水の圧力や流量も最適効果を得るための適合要因である。
【符号の説明】
【0015】
1…ガッター
10…回転ブラシ
12…基板
14…剛毛
16…回転軸
18…駆動モータ
20…案内板
22…前輪
24…塵埃回収ダクト
26…給水パイプ
28…ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水源からの水を散水しつつブラシを回転させることにより路面上の塵埃を掻き取りかつ回収する方法であって、散水は回転するブラシに直接的に指向せしめられるようされたことを特徴とする塵埃回収方法。
【請求項2】
路面清掃のための回転ブラシと、給水源に接続された給水管路と、給水管路の先端に設置される水噴射口と、回転ブラシにより掻き上げられた塵埃の回収ダクトとを備えた塵埃回収装置において、前記水噴射口は、水噴射口からの噴射水が回転ブラシに直接的に指向せしめられるように配置されたことを特徴とする塵埃回収装置。
【請求項3】
路面、特にガッターの清掃のための路面清掃車であって、実質的に鉛直方向の回転中心を備え、清掃面が側面及び底面においてガッターに接触する回転ブラシと、回転ブラシを回転中心の周りにおいて内向きに回転せしめる駆動手段と、回転ブラシの前部よりガッターに対し離間側において回転ブラシの側方を延設される案内板と、回転方向における下流側において案内板に連なる塵埃回収ダクトと、給水源に接続された給水管路と、給水管路の先端に設置される水噴射口とを備え、前記水噴射口は、水噴射口からの噴射水が回転ブラシに直接的に指向せしめられるように配置されたことを特徴とする路面清掃車。
【請求項4】
請求項3に記載の発明において、前記水噴射口は回転ブラシの前方に位置することを特徴とする路面清掃車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−38305(P2011−38305A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186295(P2009−186295)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(301003159)国土交通省九州地方整備局長 (4)
【出願人】(391023518)社団法人日本建設機械化協会 (19)
【Fターム(参考)】