説明

塵芥収集車

【課題】複雑な制御等を必要とせずかつ小型・軽量化にも有利な不活性ガス供給システムを備えた塵芥収集車を提供する。
【解決手段】塵芥収集車1は、荷箱11と、空気圧縮機25と、そこからの圧縮空気が供給されるガス分離膜モジュール29とを備えている。塵芥収集車1は、(i)圧縮空気を前記ガス分離膜モジュール29に供給することにより、そのモジュールで窒素ガスを発生させ、(ii)発生した窒素ガスを前記荷箱11内に供給することで、荷箱内を防爆雰囲気に維持するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塵芥収集車に関し、特に、複雑な制御等を必要とせず小型・軽量化にも有利な不活性ガス供給システムを備えた塵芥収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、塵芥収集車において、可燃性ガスが残っているカセットボンベやスプレー缶等が、荷箱内で圧縮されて破壊され、噴出した可燃性ガスが荷箱内に充満し、その後の塵芥の圧縮により発火した火花、あるいは塵芥中に残っていた火種等により、爆発したり発火したりするという事故が時折発生している。
【0003】
このことは、塵芥中に摩擦によって火花を発するおそれのある金属片、あるいは引火性の強い液体や紙片等が混入している場合にも同様であり、これを完全に防止することは不可能に近いのが実情である。
【0004】
このような被害を最小限に留めるため、荷箱内で火災が発生した場合、火元に向かって消火剤や不活性ガス等を噴射させるという提案が従来多数行われている(例えば特許文献1〜4参照)。
【0005】
しかし、上記した従来のものにおいては、現実に火災が発生した後に、始めて消火作業が行われるため、被害を完全に防止することはできず、車輌への被害は避け難い。また、消火剤や消火ガスがボンベに充填されているため、危険性が高く、かつガスボンベにおける残量の管理や、空きボンベの交換などに手間がかかるという問題があった。
【0006】
これに対し、塵芥収集車の荷箱内における可燃性ガスの濃度を、常時センサ等で監視し、可燃性ガスの濃度が安全領域を超えたときに、検知信号を発信させて、不燃性ガスのタンクの出口弁を開かせ、不燃性ガスを荷箱内へ送って、荷箱内を不活性ガスで希釈するという発明も知られている(例えば特許文献5参照)。
【0007】
しかし、特許文献5に記載されている発明においても、可燃性ガスの検知手段が複雑になり、かつ、不燃性ガスはガスボンベに充填されているためガスボンベに関わる前述した諸問題は同じように残っていた。
【0008】
さらには、塵芥収集車に窒素ガス発生器を搭載し、これを、走行用原動機もしくは塵芥加圧積込み用油圧等と連動させることにより、荷箱内に常に不燃性ガスを充満させて、不燃性雰囲気を生成し、もって、火炎や爆発を未然に防止するという発明も知られている。(例えば特許文献6参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実開昭63−011406号公報
【特許文献2】実開平01−090705号公報
【特許文献3】特開2003−026303号公報
【特許文献4】特開2003−095404号公報
【特許文献5】特開2002−087509号公報
【特許文献6】特開2005−170644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献6に記載されている発明においては、窒素富化ガスを生成する窒素ガス発生器が記載されているものの、その具体的な構成については何ら開示されていない。他方、塵芥収集車の不活性ガス供給システムとしては、その動作に複雑な制御を要するようなものは好ましくなく、かつ、コンパクトに構成できるものであることが望ましい。
【0011】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、複雑な制御等を必要とせず小型・軽量化にも有利な不活性ガス供給システムを備えた塵芥収集車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、本発明は下記の通りである。
1.荷箱と、
空気圧縮機と、
その空気圧縮機からの圧縮空気が供給されるガス分離膜モジュールと、
を備える塵芥収集車であって、
(i)圧縮空気を前記ガス分離膜モジュールに供給することにより窒素ガスを発生させ、
(ii)発生した窒素ガスを前記荷箱内に供給することで、荷箱内を防爆雰囲気に維持するように構成されていることを特徴とする塵芥収集車。
【0013】
なお、ここで言う「窒素ガス」とは、窒素富化ガスを意味する。
「塵芥収集車」には、いわゆる荷箱回転式、圧縮板式、および回転板式のいずれの塵芥収集車もが含まれる。
「防爆雰囲気」とは、好ましくは酸素濃度が10%以下の雰囲気をいう。
「防爆雰囲気に維持する」ための窒素ガスの供給方式としては、連続して窒素ガスを供給し続ける方式に限らず、必要に応じて(例えばセンサ等の検出結果に基づき供給が必要と判断された場合に)、間欠的に窒素ガスを供給する方式をも含む。
なお「防爆雰囲気に維持する」とは、酸素濃度が一定の基準値(例えば10%)を少しでも超えてはならないということではなく、センサ等による検出から、窒素ガス供給によって酸素濃度が再び基準値以下となるまでの間、酸素濃度が一時的に基準値を超えていてもよい。
【0014】
2. さらに、上記荷箱に続く塵芥投入室を備え、
窒素ガスが上記塵芥投入室へも供給されるように構成されている、上記1に記載の塵芥収集車。
【0015】
3. さらに、上記荷箱を開閉する開閉扉を有し、
上記開閉扉が閉じているときの上記窒素ガスの供給量が、開いているときに比べて相対的に減少するように構成されている、上記1または2に記載の塵芥収集車。
【0016】
4. さらに、上記荷箱内の酸素濃度を測定する酸素センサを有する、上記1〜3のいずれか1つに記載の塵芥収集車。
【0017】
5. 上記酸素センサにより荷箱内の酸素濃度を測定し、
酸素濃度が一定値を超えている場合には、荷箱内に窒素ガスを供給して酸素濃度を一定値以下とするように構成されている、上記4に記載の塵芥収集車。
【0018】
6. さらに、上記荷箱内の温度を測定する温度センサを備える、上記1〜5のいずれか1つに記載の塵芥収集車。
【0019】
7. 上記温度センサにより荷箱内の温度を測定し、
温度が一定値を超えている場合には、荷箱内に窒素ガスを供給して酸素濃度を一定値以下とするように構成されている、上記6に記載の塵芥収集車。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ガス分離膜モジュールで窒素ガスを発生させるものであるため、PSA方式のものと比較して、複雑な制御等を必要とせず小型・軽量化にも有利な不活性ガス供給システムを備えた塵芥収集車が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一形態の塵芥収集車を模式的に示す側面図である。
【図2】図1の塵芥収集車の平面図である。
【図3】図1の塵芥収集車における不活性ガス供給システムの構成を模式的に示す図である。
【図4】ガス分離膜モジュールを模式的に示す断面図である。
【図5】不活性ガス供給システムの動作例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の他の形態における不活性ガス供給システムの構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の一形態について説明する。
図1に示すように、この塵芥収集車1は、運転席10と、その後方の荷箱11と、荷箱後部の塵芥投入室15とを備えている。
【0023】
塵芥投入室15は作業員によって塵芥が投入される空間であり、その内部には、投入された塵芥を荷箱11側に移動させる回転板17と、荷箱11と塵芥投入室15を仕切るように配置された開閉扉18とが設けられている。開閉扉18は、上部の水平軸周りに揺動して荷箱11を開閉する。この開閉扉18は、回転板17と同期して動作するように構成されており、塵芥投入室15内に投入された塵芥は、回転板17によって掻き上げられ、開閉扉18によって押し込まれることにより荷箱11内に収容される。
【0024】
塵芥収集車1は、荷箱へ窒素ガスを供給する不活性ガス供給システムを備えている。このシステムは、図2、図3に示すように、空気を圧縮する空気圧縮機25と、それに接続されたガス分離膜モジュール29とを有している。さらに、それらの機器等の動作を制御する制御装置(不図示)を備えている。
【0025】
空気圧縮機25は、圧縮空気を生成するものであり、一例として、圧縮空気の外部への送出のオン/オフを切り替えることができる送出切替部(不図示)を有している。なお、空気圧縮機25の種類は特に限定されるものではなく、一例として、内燃機関の出力軸からの出力の一部を利用して空気を圧縮するものであってもよい。例えば、この種の車輌に通常備えられている空気圧縮機(例えば、空気ブレーキ等の用途に使用される)をそのまま利用してもよい。空気圧縮機25の駆動源は、内燃機関に限らず、電気モータ等であってもよい。
【0026】
ガス分離膜モジュール29は、窒素発生器としての役割を果たすものであり、空気圧縮機25からの圧縮空気を利用して窒素ガスを発生させる。
【0027】
本発明で用いるガス分離膜モジュールは、ガス選択透過性のガス分離膜を、ガス供給口、透過ガス排出口、非透過ガス排出口を備えた容器内にガス分離膜のガス供給側とガス透過側の空間が隔絶するようにして装着された公知のものである。ガス選択的透過性のガス分離膜は、平膜型、スパイラル型などでもよいが、厚みが薄く径が小さい中空糸膜が、装置が小型化でき高膜面積になるので分離効率がよく経済的であるので好適である。
【0028】
ガス分離膜モジュール29は、図4に示すように、一例として、選択的透過性を有する多数の中空糸膜の束である中空糸束35と、その中空糸束35を収容する容器30とを備えている。容器30は、筒状のボディ32とその両端部に取り付けられたキャップ31A、31Bを有している。
【0029】
中空糸束35の両端部は、管板36A、36Bによってボディ32の両端部に固定されている。入口側のキャップ31Aの導入口から圧縮空気を供給すると、空気は中空糸膜内へと送り込まれる。空気が中空糸膜内を通過する際に、酸素富化ガスと窒素富化ガスとに分離され、酸素富化ガスはボディ32に設けられた排出口から外部へ送り出され、窒素富化ガスは中空糸膜内を通ってキャップ31Bの排出口から外部へ送り出される。
【0030】
なお、本発明は図4のようなガス分離膜モジュールに限定されるものではなく通常用いられているものでよい。例えば、中空糸束は、中空糸膜を一定の長さに切断したものを束ねたものの他にも、カセ取装置によって巻き付けられたものであってもよい。中空糸束の配糸形態は、平行配列でも交叉配列でも織物状でもスパイラル状などでも構わない。また、中空糸束は略中心部に芯管を備えていてもよく、中空糸束の外周部にフィルム、テープなどが巻き付けられていても構わない。更に、中空糸束の形態は円柱状、平板状、角柱状などでよく、容器内に前記形態のまま、又は、U字状に折り曲げたり、スパイラル状に巻き付けて収納されていてもよい。筒状のボディ32やキャップ31A、31Bは、所定の強度、気密性及び耐圧性を備えていれば特に材質の限定はなく、金属、プラスチック、繊維強化プラスチック、又はセラミックス等により形成できる。さらにガス分離膜モジュールは、中空フィードでもシェルフィードでも構わない。
【0031】
また、ガス分離膜は、均質性でもよく、複合膜や非対称膜などの不均一性でもよく、また微多孔性でも非多孔性でもよい。前記中空糸膜の膜厚は10〜500μmで外径は50〜2000μmのものを好適に挙げることができる。
【0032】
更に、本発明のガス分離膜モジュールは、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリカーボネート、フルオロカーボン重合体、シリコーン樹脂、セルロース系ポリマーなどのポリマー材料、ゼオライトなどのセラミックス材料などで形成されるガス分離膜を用いたものを好適に挙げることができる。高分子材料、特にポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリカーボネートなどの常温(23℃)でガラス状の高分子材料からなるものが、ガス分離性能が良好であるので好適である。
【0033】
再び図1を参照する。限定されるものではないが、空気圧縮機25およびガス分離膜モジュール29はいずれも荷箱11の下部側に設けられている。図2に示すように、空気圧縮機25が車輌の左右方向の片側に配置され、ガス分離膜モジュール29はその反対側に配置されている。
【0034】
図3に示すように、空気圧縮機25とガス分離膜モジュール29とはパイプp5を介して接続され、空気圧縮機25からの圧縮空気がガス分離膜モジュール29に供給されるようになっている。また、ガス分離膜モジュール29からの窒素ガスは、荷箱11および塵芥投入室15へと送られるように構成されている。この例では、ガス分離膜モジュール29の出口から1本のパイプp1が延び出しており、このパイプp1の途中から、荷箱11および塵芥投入室15のそれぞれに通じるパイプp2、p3が分岐している。パイプp1上には、ガスの流量、および酸素濃度を調整する機能を有する手段が設けられている事が好ましい。前記調整手段としては弁が挙げられ、図3ではそのような弁の一例が符号43で示されている。
【0035】
荷箱11および塵芥投入室15の天井部付近には、複数の吐出口48、49が設けられている。吐出口48、49は一例として下向きのノズルであり、このノズルから、窒素ガスが下方に向けて噴き出される。各吐出口48、49は、それ自体が開閉機構を有しそれによりガスの供給のON/OFFが切り替えられるものであってもよいし、または、開閉機構を有しておらず単に送られてきたガスを噴出するタイプのものであってもよい。以下では、後者のタイプであるものとして説明する。
【0036】
なお、図示は省略するが、本実施形態における不活性ガス供給システムは、荷箱11内の酸素濃度を測定する酸素センサや、温度を測定する温度センサといった種々のセンサを備えていてもよい。これらのセンサからの信号は不図示の制御装置へと送られ、制御装置はそれに基づいて所定の処理を行う。
【0037】
上記のように構成された塵芥収集車の動作の例について、図5を参照しつつ説明する。なお、以下の説明では、センサによって荷箱11内の酸素濃度等を検出して所定の動作を行う例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0038】
ステップS1は、本実施形態での不活性ガス供給システムの初期状態であり、この状態では、空気圧縮機25からの圧縮空気がガス分離膜モジュール29に送られることはない。
【0039】
次いで、ステップS2では、荷箱11内の酸素濃度および温度の測定が行われる。それぞれの測定は、荷箱11内の酸素センサおよび温度センサを用いて行われる。なお、酸素濃度と温度のいずれか一方のみが測定されてもよい。
【0040】
次いで、ステップS3では、測定されたその酸素濃度が一定値を超えているかどうか、または、測定された温度が一定値を越えているかどうかを判定する。超えていない場合には、測定工程(S2)を引き続き継続する。超えている場合には、次のステップS4に移る。
【0041】
ステップS4では、空気圧縮機25の送出切替部(不図示)が切り替えられ、これにより圧縮空気がガス分離膜モジュール29へと送られる。そして、ガス分離膜モジュール29において窒素ガスが得られ、その窒素ガスが荷箱11内へと供給される。窒素ガスは各吐出口48から荷箱11内に送り込まれ、これにより荷箱11内の酸素濃度が低下する。必要に応じて、窒素ガスは塵芥投入室15内へも供給されてもよい。
【0042】
ステップS5−1では、窒素ガスの供給終了のトリガとなるパラメータの測定、例えば荷箱11内の酸素濃度の測定が行われる。そして、ステップS5−2で、測定されたその酸素濃度が一定値以下まで下がっているかどうかを判定する。酸素濃度がまだ一定値(例えば10%)より高い場合には窒素ガスの供給(S4)を継続し、一定値以下となっている場合には窒素ガスの供給を終了する(ステップS6)。なお、窒素ガスの供給量もしくは供給時間が測定され、それがある値を超えた場合に窒素ガスの供給が終了するようにしてもよい。
【0043】
上記の工程によって、荷箱11内および/または塵芥投入室15内に窒素ガスが供給され酸素濃度が低下することで防爆雰囲気が維持され、その結果、火災の発生の防止および延焼防止が実現される。
【0044】
以上説明した本実施形態の塵芥収集車1では、ガス分離膜モジュール29を用いて窒素ガスを発生させるものである場合、PSA方式と比較して次のような利点がある。
(i)ガス分離膜モジュールで窒素を発生させるためには、基本的に、圧縮空気の供給だけで済み、特別な動力・電力等を必要としない(PSAは、その弁を動作させるための電源や制御装置が必要である)。
(ii)ガス分離膜モジュールは小型・軽量であり、車載用として好適である。
【0045】
また、空気圧縮機25としては、従来この種の車輌に備えられている空気圧縮機をそのまま利用することができる。この場合、本発明に係る不活性ガス供給システム(図3参照)を構成するには、既存の塵芥収集車にガス分離膜モジュール29等を追加するだけで済む。
【0046】
窒素ガスが、荷箱11だけでなく塵芥投入室15にも供給される構成の場合、同室15内の火災発生の防止および延焼防止も実現できるため、好ましい。
【0047】
本発明は、上記に限定されるものではなく、例えば次のようなものであってもよい。
(圧縮空気タンクについて)
図6に示すように、空気圧縮機25とガス分離膜モジュール29との間に圧縮空気を貯蔵する圧縮空気タンク27が設けられていてもよい。圧縮空気タンク27は、パイプを介して空気圧縮機25と接続されており、空気圧縮機25からの圧縮空気がこのタンク27に送り込まれる。圧縮空気タンク27内の圧力は、一例として、不図示のセンサによって測定される。その圧力値が一定値以下になった場合、タンク内に圧縮空気が再び送り込まれて圧縮空気の補充が行われる。この補充動作は、タンク内の圧力値が一定値に達したところで停止される。このようにして、タンク内の空気の圧力が一定範囲内に維持される。圧縮空気タンク27としては、従来この種の車輌に備えられている、空気ブレーキ用の空気貯蔵タンクを利用してもよい。図6のような構成によれば、圧縮空気タンク27からの圧縮空気を利用してガス分離膜モジュール29で窒素ガスを発生させることができる。よって、窒素ガスを発生させるために空気圧縮機25を常に動作させる必要がなく、効率的で省エネルギーなシステムとなる。
【0048】
(弁等について)
さらに、図6において、圧縮空気タンク27とガス分離膜モジュール29との間に必要に応じて弁(例えば、流路を開閉する機能を有するものや、流量を調整する機能を有するもの)がさらに設けられていてもよい。
【0049】
本発明は上記の他にも、例えば、パイプp1の分岐部分(図3)に、パイプp2、p3へのガス供給状態を切り替えるための弁が設けられていてもよい。このような弁は、各パイプp2、p3にそれぞれ設けられていてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、荷箱11内の酸素濃度を測定する酸素センサや、温度を測定する温度センサが配置されている例について述べたが、これらは必ずしも配置されている必要はない。
【0051】
(吐出口について)
吐出口48、49の配置位置は種々変更可能であり、例えば、天井付近ではなく荷箱11または塵芥投入室15の側壁に設けられていてもよい。
【0052】
(ガス供給のタイミングについて)
上記では、酸素センサ等の検出結果をトリガとしてガス分離膜モジュール29への圧縮空気の供給を切り替える例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。そのようなセンサを設けず、例えば、一定時間ごとにガス分離膜モジュール29に圧縮空気を供給し、荷箱11内に窒素ガスを供給するようにしてもよい。
【0053】
窒素ガスを荷箱11内に供給するタイミングは、開閉扉18が閉じたときに窒素ガスの供給が停止され、開閉扉18が開いたとき(例えば図3の状態)に窒素ガスが供給される構成としてもよい。他にも、開閉扉18が閉じたときに相対的に少量の窒素ガスが供給され、開いた時に相対的に大量の窒素ガスが供給される構成としてもよい。
このような構成によれば、開閉扉18が閉じて窒素ガスが外部に逃げにくい状態のときにガスの供給が抑えられるので、無駄なガス供給が防止される。
【0054】
(その他)
塵芥収集車1の所定箇所にモニターが設けられており、上記のように荷箱11内の温度上昇または酸素濃度上昇が検出された場合に、その旨または窒素ガスの供給が開始される旨がそのモニターに表示されるように構成されていてもよい。モニターの配置位置は、例えば運転席10内であってもよい。あるいは、作業中の作業員が見やすいように、塵芥投入室15の一部であってもよい。
【0055】
なお、以上、回転板式の塵芥収集車の例で説明したが、本発明は荷箱回転式または圧縮板式の塵芥収集車にも適用可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 塵芥収集車
10 運転席
11 荷箱
15 塵芥投入室
17 回転板
18 開閉扉
25 空気圧縮機
27 圧縮空気タンク
29 ガス分離膜モジュール
30 容器
31A、31B キャップ
32 ボディ
35 中空糸束
36A、36B 管板
43 弁
48、49 吐出口
p1〜p3、p5 パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷箱と、
空気圧縮機と、
その空気圧縮機からの圧縮空気が供給されるガス分離膜モジュールと、
を備える塵芥収集車であって、
(i)圧縮空気を前記ガス分離膜モジュールに供給することにより窒素ガスを発生させ、
(ii)発生した窒素ガスを前記荷箱内に供給することで、荷箱内を防爆雰囲気に維持する
ように構成されていることを特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
さらに、前記荷箱に続く塵芥投入室を備え、
窒素ガスが前記塵芥投入室へも供給されるように構成されている、請求項1に記載の塵芥収集車。
【請求項3】
さらに、前記荷箱を開閉する開閉扉を有し、
前記開閉扉が閉じているときの前記窒素ガスの供給量が、開いているときに比べて相対的に減少するように構成されている、請求項1または2に記載の塵芥収集車。
【請求項4】
さらに、前記荷箱内の酸素濃度を測定する酸素センサを備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の塵芥収集車。
【請求項5】
前記酸素センサにより荷箱内の酸素濃度を測定し、
酸素濃度が一定値を超えている場合には、荷箱内に窒素ガスを供給して酸素濃度を一定値以下とするように構成されている、請求項4に記載の塵芥収集車。
【請求項6】
さらに、前記荷箱内の温度を測定する温度センサを備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載の塵芥収集車。
【請求項7】
前記温度センサにより荷箱内の温度を測定し、
温度が一定値を超えている場合には、荷箱内に窒素ガスを供給して酸素濃度を一定値以下とするように構成されている、請求項6に記載の塵芥収集車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−184109(P2012−184109A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−24083(P2012−24083)
【出願日】平成24年2月7日(2012.2.7)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】