壁面据付機器のキャビネット構造

【課題】壁の一箇所に設けた接続孔から、壁面に並べて据え付けられる複数台の機器に対応した数の配線をまとめて引き出して、各機器用の配線を各機器の端子部に接続するのに好適なキャビネット構造を提案する。
【解決手段】本発明のキャビネット構造は、第1配線スペース12、第2配線スペース13、第1ノックアウト部14及び第2ノックアウト部15を有する。第1配線スペース12はメインキャビネット20の背面に開口し、壁600に開けた接続孔601に一端が対向して配置され、メインキャビネット20内の奥行き方向に形成される。第2配線スペース13は第1配線スペース12の他端が連続し、メインキャビネット20内の幅方向の全長に亘って形成される。第1ノックアウト部14は第2配線スペース13の一端が連続し、メインキャビネット20の一側面21に形成される。第2ノックアウト部15は第2配線スペース13の他端が連続し、メインキャビネット20の他側面22に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、壁面に据え付けられて使用される機器のキャビネット構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境意識の高まりから、太陽光発電用のソーラーパネルを設置した家屋や店舗が増えている。ソーラーパネルで発電した電力は屋内または屋外の壁面(以下、「壁面」と称する場合がある。)に設置される電力調整器で調整され、屋内配電線や電力会社などの送電線に供給される。電力調整器は、壁面に固定した据付板に引っ掛けて据え付けられる(例えば、特許文献1、2等参照)。据付板は、例えば、型紙を使用して据え付けられたり、据え付けられた電力調整器の水平精度を出すために水準器などを用いて水平を確認して固定されたりする。
【0003】
店舗などは多くの電力を必要とするため、複数台の電力調整器を設置して対応している。複数台の電力調整器は設置スペースなどの関係から壁面の1箇所に集中して配置され、横方向に並べて据え付けられるのが普通である。各電力調整器は接続箱に接続された配線を接続するための端子部を備えている。この配線は壁に設けた接続孔から壁面側に引き出されるが、壁の奥の配線が通っている場所や壁面の空きスペースなどの様々な制約や、工事の利便性、さらには家屋の壁面に複数の接続孔を開けるのは見栄えが悪いなどの理由から、配線を壁の奥から引き出すための接続孔を一箇所しか開けられない場合がある。
【0004】
このように、複数台の電力調整器に対応した数の配線を引き出して、壁の一箇所に設けた接続孔から各電力調整器の端子部に接続する場合、電力調整器のキャビネットの外部に配線が露出することが避けられない。露出した配線はノイズをだす要因にもなり電力調整器の据付状態を見苦しくするため、出来るだけ露出する長さは短くすることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−084216号公報
【特許文献2】特開平11−132551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みて、壁面に並べて据え付けられる複数台の機器に対応した数の配線を、キャビネットの内部を通しながらすっきりと配線することが可能な壁面据付機器のキャビネット構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、壁の一箇所に設けた接続孔からまとめて引き出して、各機器用の配線を各機器の端子部に接続するのに好適なキャビネット構造を提案する。本発明のキャビネット構造は、第1配線スペース、第2配線スペース、第1ノックアウト部及び第2ノックアウト部を有する。前記第1配線スペースは前記キャビネットの背面に開口し、前記接続孔に一端が対向して配置され、前記キャビネット内の奥行き方向に形成される。前記第2配線スペースは前記第1配線スペースの他端が連続し、前記キャビネット内の幅方向の全長に亘って形成される。前記第1ノックアウト部は前記第2配線スペースの一端が連続し、前記キャビネットの一側面に形成される。前記第2ノックアウト部は前記第2配線スペースの他端が連続し、前記キャビネットの他側面に形成される。
【0008】
このキャビネット構造によると、複数台の機器が壁面に並べて据え付けられると、隣接する2台の機器については、一方の機器のキャビネット一側面の第1ノックアウト部と、他方の機器のキャビネット他側面の第2ノックアウト部とは、互いに対向する位置関係となる。あるいは、一方の機器のキャビネット他側面の第2ノックアウト部と、他方の機器のキャビネット一側面の第1ノックアウト部とは、互いに対向する位置関係となる。
【0009】
そこで、壁の一箇所に設けた接続孔から、壁面に並べて据え付けられる複数台の機器に対応した数の配線をまとめて引き出し、一の機器のキャビネットの第1ノックアウト部から、前記複数台の機器に対応した数の配線を当該一の機器のキャビネット内に導入し、当該一の機器のキャビネット内の第1配線スペースを通す。そして、当該一の機器用の配線のみを当該一の機器の端子部に接続する。一方、他の機器用の配線は、当該一の機器のキャビネット内の第2配線スペースを通し、当該一の機器のキャビネットの前記第1ノックアウト部または前記第2ノックアウト部をノックアウトして導出する。さらに、他の機器のキャビネットの前記第2ノックアウト部または前記第1ノックアウト部をノックアウトして当該他の機器のキャビネット内に導入し、当該他の機器用の配線を当該他の機器の端子部に接続する。
【0010】
なお、キャビネット内のデッドスペースを配線スペースとして有効利用するために、前記第1配線スペース及び前記第2配線スペースを、前記キャビネットの下面に沿って形成することが望ましい。この場合、前記第1配線スペースを、前記キャビネットの一側面に沿って形成すると、配線の取り付け作業を容易に行なうことができる。
【0011】
前記キャビネットは一例として筒状に形成され、その端面の一部をL字状に内側に折り込んだ折り曲げ部を有する。これにより、折り曲げ部に前記第1配線スペースが構成される。また、前記キャビネット垂直方向に橋梁板を立設してもよい。これにより、前記橋梁板および前記キャビネットによって前記第2配線スペースが構成される。
【0012】
なお、前記橋梁板の前記第2ノックアウト部側の端部を前記キャビネットの奥行き方向に傾斜させた橋梁板形状を採用することで、前記第2ノックアウト部を、前記キャビネットの奥行き方向において橋梁板が立設される位置よりも奥に設けることが可能となる。この際、第2配線スペースに通される配線は、橋梁板の傾斜に沿って緩やかに曲げられるので、配線の曲げられた部分に作用するストレスを低減することが出来る。
【0013】
また、上記のようにキャビネットを筒状に形成することで、前記第1配線スペースの一側面及び下面を、カバーにより着脱自在に構成することが可能になる。これによると、配線及び接続作業中は前記カバーを取り外しておくことで、前記第1配線スペースが開放されるので、作業性が良くなる。この場合、前記カバーに前記第1ノックアウト部を設けておけば、前記カバーを取り外した状態で前記第1ノックアウト部のノックアウトを行えるので作業がしやすい。
【0014】
また、前記第1ノックアウト部を前記カバーの上端から連続して形成すると、前記カバー上端から配線をスライドして前記第1ノックアウト部に通すことができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、壁の一箇所に設けた接続孔から、壁面に並べて据え付けられる複数台の機器に対応した数の配線をまとめて引き出し、キャビネットの内部を通しながらすっきりと配線することが出来る。すなわち、配線のほとんどはキャビネットの内部に隠れ、キャビネットの外部には最小限の長さの配線しか露出しないので、機器の据え付け状態が見苦しくならない。また、壁に設ける接続孔が1箇所で済むため、工事の作業性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】は本発明の一実施の形態に係る電力調整器のキャビネット構造の概略を示す斜視図である。
【図2】は上記電力調整器を示す正面断面図である。
【図3】は上記電力調整器を示す側面断面図である。
【図4】は上記電力調整器のキャビネットの一側面に設けられたノックアウト孔(第2開口)を開口した状態を示す斜視図である。
【図5】は上記電力調整器のキャビネットの他側面に設けられたノックアウト孔(第3開口)を開口した状態を示す斜視図である。
【図6】は複数台の上記電力調整器を壁面に並べて据え付けた状態の一例を示す正面図である。
【図7】は上記電力調整器を壁面に据え付けるために使用される据付板を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、壁面据付機器の一例として電力調整器を挙げ、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は本発明の一実施の形態に係る電力キャビネット構造を示す斜視図である。図2は当該電力調整器を示す正面断面図である。図3は当該電力調整器を示す側面断面図である。図1において、キャビネット内部に配設される基板や部品等などは省略している。
【0019】
図3において、電力調整器10のキャビネットはほぼ筒状のメインキャビネット20、フロントキャビネット(フロントパネル)30及び背面板40の3つのパーツに分割可能であり、メインキャビネット20に対して、フロントキャビネット30及び背面板40をビス止めにより固定することで構成される。
【0020】
メインキャビネット20は、図1〜図3に示すように、左面(一側面)21、右面(他側面)22、下面23、上面24、後述する折り曲げ部25を有する。折り曲げ部25はメインキャビネット20の左下部にL字状に内側に折り曲げられて形成され、下面23に平行な折り曲げ上面251と左面21に平行な折り曲げ左面252を有する。折り曲げ上面251と折り曲げ左面252の奥行き方向(図1に示された矢印Dの方向参照。)の幅は左面21および下面23の奥行き方向の幅よりも短く、前端が左面21および下面23の前端より一段奥まっている。メインキャビネット20に折り曲げ部25を形成することで、壁600に接続孔601を開ける箇所に対応した矩形状の第1配線スペース12が形成される。具体的には、第1配線スペース12はメインキャビネット20の奥行き方向後端から前端に伸びて、折り曲げ部25と後述するカバー50によって形成される略トンネル状を呈した空間である。図示しないが、下面23、上面24、折り曲げ上面251、折り曲げ左面252には放熱孔が形成されている。放熱孔は下面23と上面24に加えて、左面21や右面22に形成してもよい。
【0021】
折り曲げ上面251の上方(図1に示された矢印H方向)には、後述する基板70が取り付けられ、この基板70に実装された端子台71に電力調整器10と壁600内の接続箱からの配線の端子が接続される。このとき、折り曲げ上面251が一段奥まっていることで、端子台71は折り曲げ上面251の前端よりも手前に配置される。また、メインキャビネット20に後述するカバー50を取り付けるため、左面21の下端と下面23の左端を例えばL字やS字に折り曲げ加工し、加工した部分それぞれにフック孔231が形成される。
【0022】
メインキャビネット20の背面を覆う背面板40の左下隅部には、壁600の接続孔601に対応した矩形の背面板逃げ部43が設けられる。背面板40の背面板逃げ部43の上方は、図3に示すように前側にL字状に垂直に折り曲げられた棚44を形成する。棚44は折り曲げ上面251と当接し、当接した部分をビス止めしてメインキャビネット20と背面板40を固定するときに使用される。背面板40には、取付板26(図1、図2参照。)が垂直に立設しており、後述するヒートシンク72、基板70、橋梁板80が取り付けられる。取付板26は所定の高さにヒートシンク72、基板70、橋梁板80が取り付けられればよく、メインキャビネット20内に複数立設することもできる。
【0023】
電力調整器10は、図3、図7に示すように、屋内の壁600の壁面に固定された据付板400に引っ掛けて取付けられる。引っ掛けるための構造として、据付板400に上部にはフック部401が切り起こしで形成されている。他方、電力調整器10のキャビネットを構成する背面板40には、切り起こしで下面が開口した箱型の掛止部41を形成し、上記のフック部401を係合させるようにしている。また、据付板400の下部にテーパー台形の凸面部402が絞り出しにより形成されている。凸面部402は、先端面で背面板40に当接する。これにより電力調整器10が傾くことなく安定して壁面に据え付けられる。据付板400は正面から見て背面板40とほぼ同形状を成し、据付板400の左下隅部は、背面板40の背面板逃げ部43に対応して矩形状に切り欠かれた据付板逃げ部403が形成される。なお、これら背面板逃げ部43および据付板逃げ部403は壁600の接続孔601に対応する開口としてもよい。
【0024】
そして、据付板400を壁面に固定した後で、電力調整器10の背面板40の掛止部41を据付板400のフック部401に係合させて取り付け、背面板逃げ部43及び据付板逃げ部403により露出した壁600に接続孔601をあけ、壁600内の配線300A〜300Cを電力調整器10のキャビネット内に引き込むことが出来る。
【0025】
上述したとおり、メインキャビネット20の左下隅部に、下面21および左面22に沿って第1配線スペース12が形成されており、配線の取り付け作業を容易に行なうことができる。また、背面板40と据付板400にそれぞれ背面板逃げ部43および据付板逃げ部403を設けることで、メインキャビネット20の前端から壁600に設けた接続孔601まで配線300A〜300Cを遮ることがない。なお、第1配線スペース12の一部は後述する第2配線スペース13に連続する。
【0026】
また、図1に示すように、第1配線スペース12の左面21及び下面23は、カバー50により着脱自在に構成されている。カバー50の左右両端にフック51が複数設けられている。カバー50は、これらのフック51を、メインキャビネット20の対応箇所に設けられたフック孔231に係合させることにより、ビス等を用いることなくメインキャビネット20に取付けられる。このときカバー50はメインキャビネット20と一体になる。つまり、カバー50の左面及び下面はメインキャビネット20の左面21及び下面23とそれぞれ面一となり、メインキャビネット20は矩形を呈する。また、カバー50の奥行き方向の幅はメインキャビネット20の奥行き方向の幅と略同一に設定されている。
【0027】
配線300の端子台71への接続の作業は、カバー50を取り外し、第1配線スペース12が開放された状態で行う。図2、図3に示すように、メインキャビネット20内には各種の部品や端子台71が実装された基板70が配置される。端子台71には接続孔601から伸びる配線300(300A)の先端に取り付けられた端子の各々が接続される。第1配線スペース12を開放しておくことで、この接続作業を容易に行えるとともに、壁600に接続孔601を開ける作業、壁600から配線300を引き出す作業、引き出した配線300を端子台701に接続する作業の利便性が向上する。
【0028】
基板70の背面には半導体73を介してヒートシンク72が設置される。半導体73の発熱はヒートシンク72によって放熱されることで、冷却構造が構成される。
【0029】
図1〜3を参照して取付板26を説明する。図1、図2に示すように、背面板40には取付板26が立設している。取付板26は、背面板40の少なくとも2箇所に設けられ、基板70、後述する橋梁板80、ヒートシンク72を所定の奥行きに固定する(図3参照。)。取付板26は基板70と半導体73の設置面延長線上に形成された基板取付部26Aと、基板取付部26Aよりも一段奥まって半導体73とヒートシンク72の設置面延長線上に形成された橋梁板取付部26B、橋梁板取付部26Bと略同じ奥行きに形成されたヒートシンク取付部26Cを有する。基板取付部26A、橋梁板取付部26B、ヒートシンク取付部26Cはそれぞれ取付板26を垂直に折り曲げ、折り曲げた部分に少なくともひとつの孔加工されており、取付板26に基板70、ヒートシンク72、後述する橋梁板80をビス止めして取り付けることができる。橋梁板取付部26Bは後述する橋梁板80を下面23に垂直に立設するよう固定する。橋梁板80は、ヒートシンク72と半導体73の設置面延長線上に、右面22から折り曲げ左面252に延びて立設され、橋梁板80の前側に、フロントキャビネット30で覆われるスペース(以下、このスペースを第2配線スペース13と呼ぶ。)ができる。第2配線スペース13は複数台の電力調整器10を並べて据付けする際の配線300が通るスペースであり、ヒートシンク72と基板70の下方のスペースをフロントキャビネット30側と背面板40側に仕切るようになっている。したがって、配線300はヒートシンク72と半導体73の設置面延長線上よりも後方を通ることがなく、ヒートシンク72下方のメインキャビネット20の放熱孔を遮ることがない。ヒートシンク取付部26Cと橋梁板取付部26Bは奥行き方向の位置が略一致する。基板取付部26Aはヒートシンク取付部26Cと橋梁板取付部26Bよりも奥行き方向手前に位置し、半導体73を介してヒートシンク72に取り付けられた基板70を固定する。基板取付部26Aと橋梁板取付部26Bは別部材で構成しても良く、更に取付板26は背面板40以外の、例えばメインキャビネット20に形成若しくは取り付けることもできる。
【0030】
図1、図2に示すように、第2配線スペース13は橋梁板80の前側にメインキャビネット20内の下面23に沿って幅方向(図1に示された矢印Wの方向参照。)の全長に亘って形成されている。本実施の形態では第2配線スペース13の前側の壁はフロントキャビネット30と共通である。したがってフロントキャビネット30を取り外した状態では第2配線スペース13の前側は開放されているが、前側に壁を形成しても良い。第1配線スペース12と第2配線スペース13は互いに直交する方向に形成され、第1配線スペース12の前端で連続することとなる。
【0031】
メインキャビネット20の左面を覆うカバー50の左面であって、第2配線スペース13の左壁面に相当する部分には、カバー50の左面上端から連続する第1ノックアウト部14が形成されている。本実施の形態では第1ノックアウト部14がカバー50の左面上端からカバー50左面に形成した円形状のノックアウト部に直線を介して連続して形成されている。第1ノックアウト部14は通常は切り離し可能なノックアウト式の蓋片141で閉塞され、メインキャビネット20の外観に目立たないようになっている。ノックアウト式の蓋片141は例えば2点でカバー50と接続しており、この第1ノックアウト部14を開口させる際には、図4に示すように蓋片141をノックアウトして切り離す。これにより、第1ノックアウト部14に第1ノックアウト孔142が開口され、第1配線スペース13の左面一部が開放される。開放された第1ノックアウト孔142はカバー50の左面上端から切り欠かれた形状となる。本実施の形態では、第1ノックアウト部14はカバー50の左面に設けられており、蓋片141のノックアウトを行い、第1ノックアウト孔142を開口できるようになっている。
【0032】
一方、メインキャビネット20の右面であって、第2配線スペース13の右壁面に相当する部分には、円形の第2ノックアウト部15が形成されている。第2ノックアウト部15は前述同様通常は切り離し可能なノックアウト式の蓋片151で閉塞され、メインキャビネット20の外観に目立たないようになっている。ノックアウト式の蓋片151は例えば2点で右面22と接続しており、この第2ノックアウト部15を開口させる際には、図5に示すように蓋片151をノックアウトして接続部分を切り離す。これにより第2ノックアウト部15に第2ノックアウト孔152が開口され、第2配線スペース13の右端(他端)が開放される。
【0033】
壁600に取り付けられる前の電力調整器10は、メインキャビネット20にヒートシンク72と半導体73と基板70などが組み込まれて背面板40で背面を覆われた本体部100と、フロントキャビネット30と、据付板400と、カバー50、および配線300との部分に分けられている。
【0034】
このように構成されるキャビネット構造において、複数台の電力調整器を壁面に並べて据え付ける場合の配線及び接続作業について図6を参照して以下に説明する。なお、部分的に図1、図3〜5を用いて説明を補足する。本実施の形態では3台の電力調整器10A〜10Cが、図示の如く、中央の電力調整器10Aを基準に、その両隣に他の電力調整器10B,10Cを配置される並びで、据え付けられた場合を例に説明する。なお、電力調整器の台数や配置の順番はこれに限定されるものではない。また、図6では電力調整器の据付後の状態を示しているが、配線及び接続作業の間はフロントキャビネット30とカバー50(図1参照。)は取り外されているものとする。
【0035】
隣接する3台の電力調整器10A〜10Cは、同一高さに同一間隔で取り付けられ、中央の電力調整器10Aのキャビネットの左面21の第1ノックアウト部14Aと、左隣りの電力調整器10Bのキャビネットの右面22の第2ノックアウト部15Bとは、互いに対向し、中央の電力調整器10Aのキャビネットの右面22の第2ノックアウト部15Aと、右隣りの電力調整器10Cのキャビネットの左面21の第1ノックアウト部14Cとは、互いに対向する位置関係となる。
【0036】
まず中央の電力調整器10Aが据え付けられる据付板400を壁600に据え付け、据付板400の据付板逃げ部403に相当する壁600の1箇所に接続孔601を形成する。接続孔601は3台の電力調整器10A〜10Cのそれぞれの端子ボックス71に接続される3本の配線300A〜300Cと、壁600の奥にある接続箱とを接続するための孔である。本実施の形態では、中央の電力調整器10Aのキャビネットを通して3台の電力調整器10A〜10Cのすべての配線を、この1つの接続孔601に対して配線を行うものとする。
【0037】
図3に示すように、中央の据付板400のフック部401に本体部100の背面板40に形成された掛止部41を係止して本体部100を壁600に取り付ける。このとき、本体部100と据付板400をネジなどで固定し、より強固に固定するようにしてもよい。左右に隣接する電力調整器10B,10Cも同様に壁600に取り付ける。そして接続孔601から配線300Aを引き出し、中央の電力調整器10Aの第1配線スペース12Aを通して配線300Aの端子を端子台71に接続する。
【0038】
中央の電力調整器10Aの右面とカバー50の第1および第2ノックアウト部14A,15Aの蓋片141,151を取り外し(図4、図5参照)、第1および第2ノックアウト孔142A,152Aを開口する。また中央の電力調整器10Aの左に隣接する電力調整器10Bの右面の第2ノックアウト部15Bも同様にして第2ノックアウト孔152Bを開口し、さらに右に隣接する電力調整器10Cのカバー50の第1ノックアウト部14Cも同様にして第1ノックアウト孔142Cを開放する。このとき両外側となる電力調整器10Bのカバー50の第1ノックアウト部14Bと電力調整器10Bの第2ノックアウト部15Cは蓋片141,151が取り付けられたままで、電力調整器10B,10Cの両外側は露出していない。そのため、ねずみやヤモリなどの生き物がキャビネット内部に入り込むことが防止できる。
【0039】
左隣りの電力調整器10Bの配線300Bは、第2ノックアウト孔152Bから電力調整器10Bに導入され、第2配線スペース13Bから電力調整器10Bの端子台71に接続される。右隣の電力調整器10Cの配線300Cは、中央の電力調整器10Aの第2ノックアウト孔152Aから解放されている第2配線スペース13Cを通って電力調整器10Cの端子台71に接続される。
【0040】
このようにして、壁600奥の接続箱から3本の配線300A〜300Cが1つの接続孔601から引き出され、全て中央の電力調整器10Aの第1配線スペース12Aから導かれ、3台の電力調整器10A〜10Cそれぞれの端子台71へと接続される。
【0041】
配線終了後、電力調整器10A〜10Cのカバー50をメインキャビネット20に取り付け、最後にフロントキャビネット30で正面を覆うことで、電力調整器10の取付が完了する。このとき、電力調整器10A、10Cのカバー50の第1ノックアウト部14A、14Cがカバー50の左面上端から連続して開口しているために、カバー50上端から連続している第1ノックアウト部14A、14Cの直線部分に配線300B、300Cをスライドさせて第1ノックアウト部14A、14C円形状部分に通すことができる。これにより配線300B、300Cの先端(端子部分)から第1ノックアウト部14A、14Cに予め通してカバー50を付けたまま作業を行う必要がなくなる。したがって、配線の接続作業を行なった後にカバー50を取り付けることができるので接続作業時にカバー50が邪魔になることもなく配線の取り付け作業を容易かつ効率的に行なうことができる。
【0042】
なお、第1および第2ノックアウト部14、15はメインキャビネット20の奥行き方向中央付近に設けることができる。このとき第2ノックアウト孔152が橋梁板80の手前に位置するよう、橋梁板80の第2ノックアウト部15側を奥行き方向に傾斜させる。こうすることで、接続孔601から引き出された配線300B、300Cが第1および第2ノックアウト部14A、15B、15A,14Cを通って電力調整器10B、10Cの端子に接続される配線300が急角度にまげられることなく、配線300にかかるストレスを低減することができる。さらに、第1および第2ノックアウト部14、15は電力調整器10の内側に窪ませることができる。窪ませることで第1および第2ノックアウト部14、15の周縁には段ができるために、開口する際に段をガイドとしてノックアウトすることができる。さらに開口された第1および第2ノックアウト部14、15には円形状の開口可能なゴム蓋を取り付けることができる。ゴム蓋を取り付け、ゴム蓋を開口させて配線300を通すことで、開口した第1および第2ノックアウト部と配線300との隙間をゴム蓋が覆い、ねずみやヤモリなどの生き物が不必要にキャビネット内部に侵入することが防止できる。なお、カバー50に形成された第1ノックアウト部14には、端子接続前にあらかじめ配線300の先端からゴム蓋を開口して通し、配線300がゴム蓋を通った状態で、カバー50の左面上端から連続した直線部分からゴム蓋ごとスライドさせて円形状部分に導入することができる。もしくは、開口した第1ノックアウト部14にあらかじめゴム蓋を取り付けておき、開口したままの直線部分から(ゴム蓋上部)切れ込みを入れておくことで、配線300をカバー50の上端から連続した直線部分にスライドさせて円形状部分に導入させることができる。
【0043】
本実施の形態によると、壁面に並べて据え付けられる複数台の機器に対応した数の配線を、壁の一箇所に設けた接続孔にまとめて引き回し、キャビネットの内部を通しながらすっきりと配線できる。すなわち、配線のほとんどはキャビネットの内部に隠れ、キャビネットの外部には最小限の長さの配線しか露出しないので、見苦しくならない。また、壁に設ける接続孔が1箇所で済むため、工事の作業性が良い。キャビネット内部に配線を引き出しまたは引き入れる孔を、切り離し可能なノックアウト部とし、必要に応じて適否開口を設けるようにしたため、不要な孔を予め形成しなくてもよく、ねずみやヤモリなどの生き物が不必要にキャビネット内部に侵入することが防止できる。
【0044】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、この発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0045】
10A,10B,10C…電力調整器
12…第1配線スペース
13…第2配線スペース
14…第1ノックアウト部
141…蓋片
15…第2ノックアウト部
151…蓋片
20…メインキャビネット
21…左面(一側面)
22…右面(他側面)
25…折り曲げ部
251…折り曲げ上面
252…折り曲げ左面
26…取付板
26A…基板取付部
26B…橋梁板取付部
26C…ヒートシンク取付部
30…フロントキャビネット
40…背面板
41…掛止部
50…カバー
70…基板
71…端子台
72…ヒートシンク
80…橋梁板
300,300A,300B,300C…配線
400…据付板
600…壁
601…接続孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板取付部に取り付けられた基板と、前記基板の背面に半導体を介して取り付けられたヒートシンクとを有し、壁面に並べて据え付けられる複数台の機器に対応した数の配線を、壁の一箇所に設けた接続孔からまとめて引き出して、各機器用の配線を各機器の端子部に接続するための壁面据付機器のキャビネット構造であって、
前記キャビネットの背面に開口し、前記接続孔に一端が対向して配置され、前記キャビネット内の奥行き方向に形成された第1配線スペースと、
前記第1配線スペースの他端が連続し、前記キャビネット内の幅方向の全長に亘って形成された第2配線スペースと、
前記第2配線スペースの一端が連続し、前記キャビネットの一側面に形成された第1ノックアウト部と、
前記第2配線スペースの他端が連続し、前記キャビネットの他側面に形成された第2ノックアウト部と、
を有することを特徴とする壁面据付機器のキャビネット構造。
【請求項2】
前記第1配線スペース及び前記第2配線スペースが、前記キャビネットの下面に沿って形成される、請求項1に記載の壁面据付機器のキャビネット構造。
【請求項3】
前記第1配線スペースが前記キャビネットの一側面に沿って形成される、請求項2に記載の壁面据付機器のキャビネット構造。
【請求項4】
前記キャビネットは筒状に形成され、その端面の一部がL字状になるように内側に折り込んだ折り曲げ部を有し、前記折り曲げ部が前記第1配線スペースを構成する、請求項1〜3のいずれかに記載の壁面据付機器のキャビネット構造。
【請求項5】
前記キャビネット垂直方向に橋梁板が立設され、前記橋梁板および前記キャビネットが前記第2配線スペースを構成する、請求項4に記載の壁面据付機器のキャビネット構造。
【請求項6】
前記橋梁板の前記第2ノックアウト部側の端部が前記キャビネットの奥行き方向に傾斜する、請求項5に記載の壁面据付機器のキャビネット構造。
【請求項7】
前記第1配線スペースの一側面及び下面がカバーにより着脱自在に構成される、請求項3〜6のいずれかに記載の壁面据付機器のキャビネット構造。
【請求項8】
前記カバーに前記第1ノックアウト部が設けられた、請求項7に記載の壁面据付機器のキャビネット構造。
【請求項9】
前記第1ノックアウト部が前記カバーの上端から連続して形成された、請求項8記載の壁面据付機器のキャビネット構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−110911(P2013−110911A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255875(P2011−255875)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000144393)株式会社三社電機製作所 (95)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)