説明

外壁部の水抜き具及び排水構造

【課題】外壁部の内側に浸入した浸入雨水を効果的に排出し得ると共に、外壁部の内側に雨水が吹き込むのを効果的に防止し得る水抜き具を提供する。
【解決手段】外装材10の下端と雨水流下面25との間の間隙に配設される排水部39の内端に、下地部9に固定される固定片部41を設ける。排水部39は外壁部7の内側53に浸入した浸入雨水を外部に排出する排水路117を形成する箱状部43を具える。箱状部43の内部に、排水路117を通して外壁部7の内側53に雨水が浸入するのを阻止する水切り部55を箱状部43と一体に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁部の内側に浸入した浸入雨水を外部に排水するために用いられる外壁部の水抜き具に関するものであり、又、該水抜き具を使用する外壁部の排水構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下地材に外装材を固定して構成された外壁部にあっては、外装材同士の接合部等から外壁部の内側に雨水が浸入することがあり、該浸入した雨水を外部に排出させないとすれば、外壁部の内側で溜まった水が外装材を膨潤させて塗装膜の剥離を生じさせる等の不具合を起す場合がある。
【0003】
このような不具合を解消する手段の一つとして、特開平10−325185号公報が開示する排水構造が提案されている。該排水構造Aの代表的な実施例は、図28に示すような水抜き具aを用いるものであり、窓等の開口部の上部枠bとその上側に取り付けられる外装材cとの間の間隙に該水抜き具aを配設し、外壁部dの内側eに浸入した雨水を外部に排出するように構成されていた。
【0004】
該水抜き具aのより具体的な構成は、図29〜30に示すように、内部が空洞に形成された箱状成形体fの背面部gに流入口hが形成されると共にその前面部jには排水口kが形成されており、該流入口hと排水口kは、底面部mの上面nを底面として形成されていた。そして、外壁部dの内側eに浸入した雨水を前記流入口hから箱状成形体f内に流入させ、これを前記排水口kから外部に排出させるように構成されていた。
【0005】
そして、暴風雨時において風雨が前記排出口kから箱状成形体fの内部pに吹き込み、これが外壁部dの内側eに浸入するのを抑制するために、該箱状成形体fの内部pに、風雨の吹き込みを防止するスポンジ等の充填材を充填可能となされていた。
【0006】
しかしながら、かかる構成の従来の排水構造Aによるときは、前記流入口hが、箱状成形体fの底面部mの上面nを底面として形成されていたため、外壁部dの内側eに浸入して流下した雨水は、前記底面部mの厚さ以上の水深にならなければ箱状成形体の内部pに流入できず、雨水が排出されにくい問題があった。
【0007】
又、前記排水口kからの風雨の吹き込みを防止する手段として、箱状成形体fの内部にスポンジ等の充填材を充填する構成を採用していたが、かかるスポンジ等の充填材は、排水口kからの風雨の吹き込みを防止することはできても、該充填材が水を含むと、外壁部dの内側eに浸入した雨水が外部に排出されにくくなる問題があった。又、箱状成形体fの内部に充填するための充填材を特別に必要とするばかりか、充填のための作業手間も要して排水構造の施工コストの上昇を招く問題があった。加えて、充填材を充填しない状態では、流入口hと排水口kとによって外壁部dの内側eが外部と連通状態となるために、該内側eの通気を図ることも期待できたのであるが、このように充填材を充填すると箱状成形体の内部が詰まるために、かかる通気作用が不良になった。
【特許文献1】特開平10−325185号公報(3−4頁、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みて開発されたものであり、外壁部の内側に浸入した浸入雨水を、外装材の下端とその下方に存する雨水流下面との間の間隙に配設される排水部を通して効果的に排出し得ると共に、該排水部を通して外壁部の内側に雨水が吹き込むのを効果的に防止でき、その上、従来のような特別な充填材を不要とすると共にその充填のための作業手間も不要として経済性に優れており、更に、排水部を通して外壁部の内側の通気も期待し得る、外壁部の水抜き具の提供を課題とするものである。
【0009】
又本発明は、前記雨水流下面が水勾配を有する場合において、その水勾配に応じて、排水部を該雨水流下面に確実且つ容易に当接させることができながら、外壁部の下地部に無理なく確実に固定できる外壁部の水抜き具の提供を課題とするものである。
又本発明は、外壁部の内側に浸入した浸入雨水を前記排水部に良好に誘導してこれを外部に排出させることのできる外壁部の排水構造の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用する。
即ち本発明に係る外壁部の水抜き具は、下地部に外装材を固定して構成された外壁部の内側に浸入した浸入雨水を外部に排出するために用いられる水抜き具であり、前記外装材の下端とその下方に存する雨水流下面との間の間隙に配設される排水部と、該排水部に設けられ且つ前記下地部に固定される固定片部とを具える。前記排水部は、前記外壁部の内外方向に延びて前記浸入雨水を外部に排出するための排水路を前記雨水流下面との間で形成する箱状部を具え、該箱状部の内部には、前記排水路を通して前記外壁部の内側に雨水が浸入するのを防止する水切り部が該箱状部と一体に設けられている。そして前記箱状部は、内外方向に延びる上面部の左右両側で側面部が下設されて、下端面と内端面と外端面が開放された箱状を呈し、該下端面及び前記水切り部の下端が前記雨水流下面に当接されることによって前記排水路が形成される如くなされている。又前記水切り部は、左右隣り合う水切り片先側部分相互が、内外方向で見て所要間隔を隔てて重なり合うように位置設定された水切り片の複数を具え、左右端に位置する2つの水切り片は、前記左右の側面部の夫々の内面に連設されると共に、全ての水切り片は、前記上面部の下面に連設されてなることを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係る外壁部の水抜き具のより具体的な態様は、下地部に外装材を固定して構成された外壁部の内側に浸入した浸入雨水を外部に排出するために用いられる水抜き具であり、前記外装材の下端とその下方に存する雨水流下面との間の間隙に配設される排水部と、該排水部に設けられ且つ前記下地部に固定される固定片部とを具える。前記排水部は、前記外壁部の内外方向に延びて前記浸入雨水を外部に排出するための排水路を前記雨水流下面との間で形成する箱状部を具え、該箱状部の内部には、前記排水路を通して前記外壁部の内側に雨水が浸入するのを防止する水切り部が該箱状部と一体に設けられている。そして前記箱状部は、内外方向に延びる上面部の左右両側で側面部が下設されて、下端面と内端面と外端面が開放された箱状を呈し、該下端面及び前記水切り部の下端が前記雨水流下面に当接されることによって前記排水路が形成される如くなされている。又前記水切り部は、前記左右の側面部の夫々の内面に、箱状部内方に向け且つ外方に向けて屈曲するように連設されると共に、上端が前記上面部の下面に連設されてなる左右の側部水切り片と、該左右の側部水切り片間に位置し、且つ、内方に向かって突で且つ上端が前記上面部の下面に連設されてなる第1の中間水切り片と、該左右の側部水切り片及び該第1の中間水切り片の外方側に所要距離を隔てて位置し、且つ、前記箱状部の外端側から見て、一方の側部水切り片と前記第1の中間水切り片間を塞ぐ状態で、内方に向かって突で且つ上端が前記上面部の下面に連設されてなる第2の中間水切り片と、前記箱状部の外端側から見て、他方の側部水切り片と前記第1の中間水切り片間を塞ぐ状態となるように、内方に向かって突で且つ上端が前記上面部の下面に連設されてなる第2の中間水切り片とを具えることを特徴とするものである。
【0012】
本発明に係る外壁部の水抜き具のより具体的な他の態様は、下地部に外装材を固定して構成された外壁部の内側に浸入した浸入雨水を外部に排出するために用いられる水抜き具であり、前記外装材の下端とその下方に存する雨水流下面との間の間隙に配設される排水部と、該排水部に設けられ且つ前記下地部に固定される固定片部とを具える。前記排水部は、前記外壁部の内外方向に延びて前記浸入雨水を外部に排出するための排水路を前記雨水流下面との間で形成する箱状部を具え、該箱状部の内部には、前記排水路を通して前記外壁部の内側に雨水が浸入するのを防止する水切り部が該箱状部と一体に設けられている。そして前記箱状部は、内外方向に延びる上面部の左右両側で側面部が下設されて、下端面と内端面と外端面が開放された箱状を呈し、該下端面及び前記水切り部の下端が前記雨水流下面に当接されることによって前記排水路が形成される如くなされている。又前記水切り部は、前記左右の側面部の夫々の内面に、箱状部内方に向け且つ外方に向けて屈曲するように連設されると共に、上端が前記上面部の下面に連設されてなる左右の側部水切り片と、該左右の側部水切り片の外方側に位置し、且つ、前記箱状部の外端側から見て、該左右の側部水切り間を塞ぐ状態で、内方に向かって突で且つ上端が前記上面部の下面に連設されてなる中間水切り片とを具えることを特徴とするものである。
【0013】
前記の各外壁部の水抜き具において、前記左右の側面部の夫々の内端に、バックアップ材の端部分を支持する側板部を左右方向で突設するのがよい。
【0014】
又、前記の各外壁部の水抜き具において、前記箱状部は、前記固定片部の下端に屈曲部を介して連結し、該屈曲部の所要の屈曲状態で、前記箱状部の下端面及び前記水切り片の下端が前記雨水流下面に当接し得るように構成するのがよい。
【0015】
本発明に係る外壁部の排水構造は、下地部に外装材を固定して構成された外壁部の内側に浸入した浸入雨水を水抜き具を用いて外部に排出する外壁部の排水構造であって、前記水抜き具は、前記外装材の下端とその下方に存する雨水流下面との間の間隙に配設される排水部と、該排水部に設けられ且つ前記下地部に固定される固定片部とを具え、前記排水部は、前記外壁部の内外方向に延びて前記浸入雨水を外部に排出するための排水路を前記雨水流下面との間で形成する箱状部を具え、該箱状部の内部には、前記排水路を通して前記外壁部の内側に雨水が浸入するのを防止する水切り部が該箱状部と一体に設けられている。又前記箱状部は、内外方向に延びる上面部の左右両側で側面部が下設されて、下端面と内端面と外端面が開放された箱状を呈し、該下端面及び前記水切り部の下端が前記雨水流下面に当接されることによって前記排水路が形成される如くなされ、又前記水切り部は、左右隣り合う水切り片先側部分相互が、内外方向で見て所要間隔を隔てて重なり合うように位置設定された水切り片の複数を具え、左右端に位置する2つの水切り片は、前記左右の側面部の夫々の内面に連設されると共に、全ての水切り片は、前記上面部の下面に連設されている。又前記下地部は、前記雨水流下面の直上に横胴縁が配設されてなり、該横胴縁の下端と前記雨水流下面との間に該横胴縁の延長方向に連続する横間隙が形成されると共に、該横胴縁の所要部位に途切れ部としての縦間隙が設けられており、前記水抜き具は、前記排水路の内端を前記横間隙に連通させた状態で、前記排水部が前記間隙に配設されると共に、前記排水路の内端を前記縦間隙に連通させた状態で、前記固定片部が、前記横胴縁に固定されていることを特徴とするものである。
【0016】
本発明に係る外壁部の排水構造の他の態様は、下地部に外装材を固定して構成された外壁部の内側に浸入した浸入雨水を水抜き具を用いて外部に排出する外壁部の排水構造であって、前記水抜き具は、前記外装材の下端とその下方に存する雨水流下面との間の間隙に配設される排水部と、該排水部に設けられ且つ前記下地部に固定される固定片部とを具え、前記排水部は、前記外壁部の内外方向に延びて前記浸入雨水を外部に排出するための排水路を前記雨水流下面との間で形成する箱状部を具え、該箱状部の内部には、前記排水路を通して前記外壁部の内側に雨水が浸入するのを防止する水切り部が該箱状部と一体に設けられている。又前記箱状部は、内外方向に延びる上面部の左右両側で側面部が下設されて、下端面と内端面と外端面が開放された箱状を呈し、該下端面及び前記水切り部の下端が前記雨水流下面に当接されることによって前記排水路が形成される如くなされ、又前記水切り部は、左右隣り合う水切り片先側部分相互が、内外方向で見て所要間隔を隔てて重なり合うように位置設定された水切り片の複数を具え、左右端に位置する2つの水切り片は、前記左右の側面部の夫々の内面に連設されると共に、全ての水切り片は、前記上面部の下面に連設されている。又前記下地部は、前記雨水流下面の直上に横胴縁が配設されてなり、該横胴縁の下端と前記雨水流下面との間に該横胴縁の延長方向に連続する横間隙が形成されており、前記水抜き具は、前記排水路の内端を前記横間隙に連通させた状態で、前記排水部が前記間隙に配設されると共に、前記固定片部が前記横胴縁に固定されていることを特徴とするものである。
【0017】
本発明に係る外壁部の排水構造のその他の態様は、下地部に外装材を固定して構成された外壁部の内側に浸入した浸入雨水を水抜き具を用いて外部に排出する外壁部の排水構造であって、前記水抜き具は、前記外装材の下端とその下方に存する雨水流下面との間の間隙に配設される排水部と、該排水部に設けられ且つ前記下地部に固定される固定片部とを具え、前記排水部は、前記外壁部の内外方向に延びて前記浸入雨水を外部に排出するための排水路を前記雨水流下面との間で形成する箱状部を具え、該箱状部の内部には、前記排水路を通して前記外壁部の内側に雨水が浸入するのを防止する水切り部が該箱状部と一体に設けられており、又前記箱状部は、内外方向に延びる上面部の左右両側で側面部が下設されて、下端面と内端面と外端面が開放された箱状を呈し、該下端面及び前記水切り部の下端が前記雨水流下面に当接されることによって前記排水路が形成される如くなされている。又前記水切り部は、左右隣り合う水切り片先側部分相互が、内外方向で見て所要間隔を隔てて重なり合うように位置設定された水切り片の複数を具え、左右端に位置する2つの水切り片は、前記左右の側面部の夫々の内面に連設されると共に、全ての水切り片は、前記上面部の下面に連設されている。又前記下地部は、前記雨水流下面の直上に横胴縁が配設されると共に、該横胴縁の所要部位に途切れ部としての縦間隙が設けられており、前記水抜き具は、前記排水路の内端を前記縦間隙に連通させた状態で、前記固定片部が前記横胴縁に固定されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明は以下の如き優れた効果を奏する。
(1) 本発明に係る水抜き具によるときは、排水部を構成する箱状部の下端面が開放状態にあり該下端面が雨水流下面に当接されることによって排水路が形成されるため、該排水路の流入口が該雨水流下面を底面として形成される。従って、外壁部の内側に浸入した浸入雨水が流下して前記雨水流下面に到達したとき、該雨水は前記排水路の流入口にそのまま流入可能であり、排水効率に優れた排水構造を構成できることとなる。
【0019】
(2) 本発明に係る水抜き具は、箱状部の内部に水切り部が設けられてはいても、前記排水路は内外連通状態にある。従って、該排水路を通しての浸入雨水の外部への排出が何ら損なわれることがないのはもとより、該水切り部の水切り作用によって、排水口を通して外壁部の内側に雨水が浸入するのを効果的に防止できる。
【0020】
(3) 本発明に係る水抜き具は、水切り片が箱状部と一体に設けられて前記水切り部が構成されているため、箱状成形体の内部に充填材を充填して雨水の吹き込みを防止する従来の排水構造における場合とは異なり、充填材が吸水することによって浸入雨水の外部への排出が損なわれるといった問題を生じさせることがない。
又、従来のような特別な充填材を必要とせず、しかも、充填材を箱状成形体の内部に充填する作業手間も要さないことから、水抜き具のコスト低減や排水構造の施工コストの低減を期し得る。
【0021】
(4) 前記箱状部の左右の側面部の内端に側板部を左右方向で延設したときは、バックアップ材の端部分を該側板部で安定的に支持できるため、該箱状部の周辺部分におけるシーリング材の充填作業を安定状態で容易に行うことができる。
【0022】
(5) 又、前記箱状部を前記固定片部の下端に屈曲部を介して連結し、所要の屈曲状態で前記箱状部の下端が前記雨水流下面に当接し得るように構成したときは、前記雨水流下面の水勾配が異なる場合であっても、箱状部の下端を雨水流下面に確実に当接させることができながら、水抜き具をその固定片部で確実且つ容易に下地部に固定可能である。
このように構成するときは、雨水流下面の水勾配の程度に応じて個別的に水抜き具を設計製作しなければならないといった不具合がなく、水抜き具のコスト低減を期し得ることとなる。
【0023】
(6) 前記横間隙と前記縦間隙を具える本発明の排水構造によるときは、外壁部の内側に浸入した浸入雨水を、縦間隙を通して流入口に効果的に誘導できると共に、横間隙において流入口に効果的に誘導でき、排水効率に優れた排水構造を提供できることとなる。
本発明に係る排水構造を、前記縦間隙又は横間隙の何れか一方のみを以って構成したときも、浸入雨水を前記流入口に向けて誘導しやすい。
【実施例1】
【0024】
図1〜3は、本発明に係る外壁部の排水構造(以下排水構造という)1を示すものであり、又図4〜7は、本発明に係る外壁部の水抜き具(以下水抜き具という)2を示すものであり、窓開口部3に装着されるサッシュ5の上部枠6の上側に存する外壁部7に応用されている。
【0025】
前記外壁部7は、図1〜3に示すように、下地部9に外装材10を固定して構成されている。そして該下地部9は、本実施例においては、前記上部枠6の固定立片11や水平固定片8が前記窓開口部3の縁部12の外面13にビス等で釘着されると共に、該固定立片11の外面15の全体が、該外面15の稍上側の部分16を含めて防水テープ17で覆われている。又、該防水テープ17の外面19を含めた窓開口部3の周囲部分20の全体を覆うように透湿防水シート21が張設されている。そして該透湿防水シート21の外面22には、前記上部枠6の直上において横胴縁26が固定されている。より具体的には、前記上部枠6の上面(本実施例においては水勾配を有している)24としての、雨水を受けてこれを流下させる機能を有する雨水流下面25から稍浮き上げた水平状態で横胴縁26が配設され、該横胴縁26が前記縁部12の外面にビス固定されている。該浮き上げによって、横胴縁26の下端27と前記雨水流下面25との間に、横胴縁26の延長方向に連続する横間隙29が形成されている。又、前記横胴縁26の所要部位、例えば前記上部枠6の左右方向の中央部位や側部の所要部位等、後述の排水路117を形成する部位に、途切れ部31としての縦間隙32が設けられている。該横間隙29の上下幅は、後述する排水部39の屈曲の妨げとならないように約12mmに設定されており、又前記縦間隙32の左右幅は、前記横胴縁26が下地材としての機能を損なわず、しかも、外壁部7の内側に浸入した浸入雨水の流下を可能とするように設定されており、例えば、後述する流入口115の左右幅よりも小さい約10mmに設定されている。。
【0026】
前記水抜き具2は、本実施例においては合成樹脂で一体成形されており、図1〜5に示すように、前記外装材10の下端36とその下方に存する前記雨水流下面25との間の間隙37(図1)に、前記横間隙29と前記縦間隙32に連通させて配設される排水部39と、該排水部39に設けられ且つ前記横胴縁26の途切れ部としての前記縦間隙32の両側部分40,40に固定される固定片部41とを具えている。
【0027】
前記排水部39は、本実施例においては図1〜5に示すように、前記外壁部7の内外方向に延びて前記浸入雨水を外部に排出するための排水路117を前記雨水流下面25との間で形成し得る箱状部43を具える。該箱状部43は、図4〜7に示すように、内外方向に延び且つ内端45から外端46に向けて下方に傾斜する上面部47の左右両側で側面部49,49が下設され、下端面50と内端面51と外端面52が共に開放された矩形箱状を呈しており、該開放された下端面50が図5に示すように前記雨水流下面25に当接されることによって前記排水路117が形成される如くなされている。そして該箱状部43の内部には、前記排水路117を通して前記外壁部7の内側53に雨水が浸入するのを防止する水切り部55が設けられている。
【0028】
又前記固定片部41は、図4に示すように、本実施例においては矩形板状に形成されており、その下端56の中央部分に、前記箱状部43の上面部47の内端45が、軟質部57としての屈曲部59を介し、該下端56に対して屈曲可能に連結されている。なお本実施例においては、左右の側面部49,49の内端60,60に、左右の側板部61,61が左右方向で突設されており、本実施例においては、該左右の側板部61,61の先端62,62が前記固定片部41の左右端63,63に合致されると共に、その下端65,65が前記箱状部43の前記下端面50に合致されている。そして該左右の側板部61,61の上端66,66が、前記固定片部41の下端56の左右部分67,67に、軟質部57,57としての側部屈曲部69,69を介し、前記下端の左右部分67,67に対して屈曲可能に連結され、前記屈曲部59と側部屈曲部69,69は、全体として一直線状を呈する。そして図7に示すように、前記固定片部41の内面側で、前記箱状部43の内端面51の全体が開放状態にある。又、該固定片部41の左右部分70,70の上下には、釘止め用の固定孔71,71,71,71が設けられている。
【0029】
前記水切り部55は、本実施例においては図6〜8に示すように、前記上面部47の下面72の内端側の部分73と中央部分75と外端側の部分76に位置させて、水切り片77を内外3列で下設状態に連設して構成されており、各列は、水切り片77の複数から構成されている。又、全ての水切り片77の下端79は、図5〜7に示すように、前記箱状部43の下端面50と面一状態にある。そして、図8に示すように、内外隣り合う列に関し、左右隣り合う水切り片77,77の水切り片先側部分80,80相互が、図8に示す内外方向F1で見て所要間隔を隔てて重なり合うように位置設定されている。以下の説明では、各列を、内側から見て順に、内端列81、中央列82と、外端列83と区別することがある。又該水切り片77は、本実施例においては、外方に向けて四分割円弧状に屈曲された略等肉厚の側部水切り片85と、内方に向かって突の半円弧状に屈曲された略等肉厚の中間水切り片86の2種類からなり、側部水切り片85の外側の面87、中間水切り片86の外側の面84は、内方に向けて凹む円弧状凹面を呈すると共に、側部水切り片85の内側の面88、中間水切り片86の内側の面78は、内方に向けて突の円弧状突面を呈する。
【0030】
前記中央列82は図6〜8に示す構成を有しており、前記左右の側面部49,49の夫々の内面90,90に、箱状部内方に向け且つ外方に向けて四分割円弧状に屈曲するように連設されると共に、上端91(図6〜7)が前記上面部47の下面72に連設された前記側部水切り片85,85と、該左右の側部水切り片85,85間に位置し且つ上端92(図6〜7)が前記上面部47の下面72に連設された前記中間水切り片86とからなり、該側部水切り片85と中間水切り片86との間には連通間隙93が設けられている。以下の説明で、該中間水切り片86を第1の中間水切り片86aと言うことがある。
【0031】
又前記外端列83は図6〜8に示す構成を有しており、前記中央列82を構成する側部水切り片85,85と前記第1の中間水切り片86aとの間の左右の連通間隙93,93を、箱状部43の外端側から見て(図8に示す矢印F2方向から見て)塞ぐ状態に配設されると共に、上端95,95(図6〜7)が前記上面部47の下面72に連設された前記中間水切り片86,86とからなり、該中間水切り片86,86の夫々の両外端96,96,96,96は前記箱状部43の前記外端面52に一致している。以下の説明で、該中間水切り片86,86を第2の中間水切り片86bと言うことがある。そして、前記左の側面部49aと、これに対向する左の第2の中間水切り片86b1の端縁部97との間に連通間隙93が形成されると共に、前記右の側面部49bと、これに対向する右の第2の中間水切り片86b2の端縁部99との間に連通間隙93が形成され、又、左右の第2の中間水切り片86b1,86b2との間にも連通間隙93が形成されている。
【0032】
中央列82と外端列83の関係についてより具体的に説明すれば、左右隣り合う水切り片先側部分80,80相互が、内外方向F1で見て所要間隔を隔てて重なり合った状態となる。具体的には、前記中央列82の左の側部水切り片85aの水切り片先側部分80aと、前記外端列83の左の第2の中間水切り片86b1の左の水切り片先側部分80bとが内外方向で見て重なり合った状態となり、前記中央列82の第1の中間水切り片86aの左の水切り片先側部分80cと、前記外端列83の左の第2の中間水切り片86b1の右の水切り片先側部分80dとが重なり合った状態となる。又、前記中央列82の第1の中間水切り片86aの右の水切り片先側部分80eと、前記外端列83の右の第2の中間水切り片86b2の左の水切り片先側部分80fとが重なり合った状態となり、前記中央列82の右の側部水切り片85bの水切り片先側部分80gと、前記外端列83の右の第2の中間水切り片86b2の右の水切り片先側部分80hとが重なり合った状態となる。
【0033】
又前記内端列81は図6〜8に示す構成を有しており、前記中央列82を構成する側部水切り片85,85と前記第1の中間水切り片86aとの間の左右の連通間隙93,93を、前記箱状部43の外端側から見て(図8に示す矢印F2方向から見て)塞ぐ状態に配設されると共に、上端100,100(図7)が前記上面部47の下面72に連設された前記中間水切り片86,86からなり、該中間水切り片86,86の夫々の内端(半円弧状の頂端)101,101は前記箱状部43の前記内端面51に一致している。以下の説明で、該中間水切り片86,86を第3の中間水切り片86cと言うことがある。そして、前記左の側面部49aと、これに対向する左の第3の中間水切り片86cの端縁部102との間に連通間隙93が形成されると共に、前記右の側面部49と、これに対向する右の第3の中間水切り片86cの端部103との間に連通間隙93が形成され、又、左右の第3の中間水切り片86c1,86c2との間にも連通間隙93が形成されている。
【0034】
中央列82と内端列81の関係についてより具体的に説明すれば、左右隣り合う水切り片先側部分80,80相互が、内外方向F1で見て所要間隔を隔てて重なり合った状態となる。具体的には、前記中央列82の左の側部水切り片85aの水切り片先側部分80aと、前記内端列81の左の第3の中間水切り片86c1の左の水切り片先側部分80jとが重なり合った状態となり、前記中央列82の第1の中間水切り片86aの左の水切り片先側部分80cと、前記内端列81の左の第3の中間水切り片86c1の右の水切り片先側部分80kとが重なり合った状態となる。又、前記中央列82の第1の中間水切り片86aの右の水切り片先側部分80eと、前記内端列81の右の第3の中間水切り片86c2の左の水切り片先側部分80mとが重なり合った状態となり、前記中央列82の右の側部水切り片85bの水切り片先側部分80gと、前記内端列81の右の第3の中間水切り片86c2の右の水切り片先側部分80nとが重なり合った状態となる。
【0035】
前記構成を有する水抜き具2の主要部の寸法を図9に基づいて例示すれば、全体の肉厚は約1mm均一に形成されると共に、前記箱状部43の内部105の左右幅L1は、内外方向の全体に亘って約28mmに形成され、該箱状部43の内外方向の長さL2は約20mmに設定されている。又、前記上面部47の傾斜角度θは14度に設定されると共に、前記箱状部43の内部105の内端106の上下長さL3は約9mmで、外端107の上下長さL4は約4mmに設定されている。又、前記第1、第2、第3の中間水切り片86a,86b,86cの両端の外側寸法L5は約10mmでその内側寸法L6は約8mmに設定されている。そして前記側部水切り片85a,85bは、前記第1の中間水切り片86aの約半分の左右方向長さを有している。又、左右の側面部49,49の内面90,90と、これと隣り合う中間水切り片86の対向端との間の距離L7は約2mmに設定されると共に、左右隣り合う中間水切り片86,86の対向端間の距離L8は約4mmに設定されている。又、前記固定片部41の左右長さL9(図9(A)、図4)は約60mmで上下長さL10(図4)が約30mmに設定されると共に、前記側板部61,61の突出長さL11は約15mmに設定されている。
【0036】
本実施例においては、図4に示すように、前記箱状部43や前記左右の側板部61,61が、一直線状を呈する前記軟質部57,57,57を介して前記固定片部41の下端56に連設されているため、該箱状部43と該左右の側板部61,61とが一体となって該固定片部41の下端56に対して屈曲できる。これにより、前記雨水流下面25の水勾配の程度によらず、該箱状部43の下端面50を、図5に示すように、前記各水切り片77の下端79と共に該雨水流下面25に確実且つ容易に当接させることができながら、前記固定片部41を前記下地部9に無理なく固定できる。
【0037】
前記構成を有する水抜き具2を用いて前記排水構造1を構成するに際しては、図3、図5に示すように、前記箱状部43の内端面51を前記縦間隙32に位置合わせした状態で、前記箱状部43の下端面50及び各水切り片77の下端79を前記雨水流下面25に当接させる。箱状部43が前記固定片部41に対して屈曲できることから、この状態で、前記固定片部41を垂直状態にするのが容易であり、該垂直状態の固定片部41の左右部分70,70を該縦間隙32の両側部分40,40で前記横胴縁26の外面112に当接状態とし、前記固定孔71を挿通する釘113を用いて該固定片部41を前記横胴縁26に固定する。これにより、前記箱状部43と前記雨水流下面25との間で、内端に流入口115が設けられ且つ外端に排出口116が設けられた排水路117が形成されることとなる。
【0038】
このようにして水抜き具2を下地部9に固定して後、図2、図10に示すように、前記横間隙29を外側から覆うように発泡ポリエチレン等のバックアップ材119を配設する。前記箱状部43の左右部分においては、該箱状部43の左右側に配設されたバックアップ材119,119の端部分120,120を前記左右の側板部61,61の外面121,121に当接状態で支持させると共に、該バックアップ材119,119の端面122,122を該箱状部43の左右の側面部49,49の外面123,123に当接状態にする。
【0039】
その後、図1〜2、図5に示すように、前記外装材10を、その下端36の内端縁125を前記箱状部43の上面部47の内縁126に当接させた状態で該外装材10の内面127を前記固定片部41の外面129に当接状態とし、この状態で、該外装材10を前記横胴縁26にビス等を用いて固定する。然る後、図5(A)に示すように、該外装材10の前記下端36と前記上面部47との間に形成された外端拡大のV字状溝130の奥部に、前記とは別の稍細径のバックアップ材131を押し込んで固定状態とする。その後、図10に示すように、前記外装材10の下端36と前記雨水流下面25との間の、前記バックアップ材119より外側の部分132にシーリング材133を充填すると共に、図5に示すように、前記外装材10の下端36と前記上面部47との間の、前記バックアップ材131より外側の部分135にシーリング材136を充填する。このようにシーリング材133を充填する際、図10に示すように、前記左右の側板部61,61が前記バックアップ材119,119の前記端部分120,120を安定的に支持するため、箱状部43の周辺部分におけるシーリング材充填を安定状態で行うことができる。
【0040】
然してかかる排水構造1によるときは、上下の外装材10の連結部分等から外壁部7の内側53に浸入した浸入雨水の一部は、図2に矢印で示すように、前記横胴縁26の上面137を前記縦間隙32に向けて移動でき、該縦間隙32で流下して前記雨水流下面25に達する。或いは、外装材10の内面127を流下して前記横間隙29に流入し、前記雨水流下面25に達する。このように雨水流下面25に達した雨水は、箱状部43の下端面50が開放状態にあって、該雨水流下面25に当接状態にあるために、前記流入口115に達すると、図5に矢印で示すように、該流入口115に円滑に流入でき、前記排水路117を流下し、前記排出口116から外部に排出される。なお、外壁部7の内側53で発生した結露水も前記と同様にして排出される。
【0041】
又前記排水部39には、前記箱状部43の内部105に前記水切り部55が設けられているため、前記排出口116から外壁部7の内側53に向けて雨水が吹き込むのを効果的に防止できる。このようなことが可能であるのは、前記のように、水切り片77が箱状部43に内外3列で設けられており、且つ、中央列82と外端列83に関して、左右隣り合う水切り片先側部分80,80相互が、内外方向F1で見て重なり合った状態となり、又、中央列82と内端列81に関して、左右隣り合う水切り片先側部分80,80相互が、内外方向F1で見て重なり合った状態となるからである。
【0042】
かかる構成を採用する結果、雨水が前記排出口116を通して排水路117の内側に吹き込む場合、先ず、外端列83の左右の第2の中間水切り片86b1,86b2によって水切りされる。そして、該左右の第2の中間水切り片86b1,86b2間の連通間隙93や、該第2の中間水切り片86b1,86b2と前記側面部49,49との間の連通間隙93,93を通過して排水路117の内方に雨水が吹き込んだ場合は、その雨水が、前記中央列82の側部水切り片85,85と前記第1の中間水切り片86aによって水切りされる。これによって、多くの雨水が水切りされることになる。更に、該側部水切り片85,85と前記第1の中間水切り片86aとの間の連通間隙93,93を通過して排水路117の内方に雨水が移動したときは、前記内端列81の第3の中間水切り片86c1,86c2によって水切りされる。これらによって、前記排水路117の排出口116を通して風雨が内方に吹き込んだとしても、各水切り片によって効果的に水切りされ、外壁部7の内側53に雨水が浸入するのを効果的に防止できるのである。
【0043】
又本実施例においては、前記側部水切り片85の外側の面87や第1、第2、第3の中間水切り片86a,86b,86cの外側の面84,84,84は凹面を呈するため、該凹面に吹き込んだ雨水は、図5(b)に破線で示すように、該凹面に案内されて外方に戻りやすく、効果的に水切りされる。
【0044】
更に、前記箱状部43の内部105に、多数の水切り片77からなる水切り部55が設けられてはいても、前後方向及び左右方向で隣り合う水切り片間に前記のように連通間隙93が形成されており、又、前記水切り片77と前記側面部49との間にも連通間隙93が形成されていることから、図5(B)に示すように、前記排水路117の流入口115と排出口116は通気可能の連通状態にある。従って前記排水部39は、外壁部7の内側53と外部とを連通する通気路としても機能し、これにより、外壁部の内側53を通気できることにもなる。
【実施例2】
【0045】
図11、図12、図13,図14は、前記箱状部43を前記固定片部41の下端56に屈曲部59を介して連結した水抜き具2の他の実施例を示すものであり、これらの実施例においては、前記箱状部43の左右の側面部49,49に側板部61,61が突設され、該側板部61,61の上端66,66が、前記屈曲部59と水平方向で一連である側部屈曲部69,69を介して、前記固定片部41の下端56の左右部分67,67に連結されている。なお図14においては、一連である前記屈曲部59と側部屈曲部69,69の上下縁を一点鎖線で示している。
【0046】
前記屈曲部59、前記側部屈曲部69,69は、図11に示す水抜き具2にあっては薄肉部140として形成されており、図12に示す水抜き具2にあっては、弾性変形可能な横向きU字状部141として形成されており、又図13に示す水抜き具2にあっては、枢軸142を介して回動し得る枢着部143として形成されている。又図14に示す水抜き具2にあっては、前記屈曲部59、側部屈曲部69,69は、弾性変形可能部145として形成されている。図11(B)、図12(B)、図13(B)は、かかる構成を有する水抜き具2を使用して排水構造1を構成する途中段階を示すものであり、前記横胴縁26は、その下端27が前記屈曲部59の上縁位置乃至稍上に位置するように位置設定されている。又、前記弾性変形可能部145を具える水抜き具2によるときは、前記箱状部43の下端面50を、所要の水勾配を有する雨水流下面25に当接させた状態で、前記固定片部41を、前記横胴縁26に固定する。その際、図14(B)に示すように、一点鎖線の自由状態にある固定片部41を、前記屈曲部59及び前記側部屈曲部69,69を中心にして外方に屈曲変形させ、この状態で、該固定片部41を横胴縁26に釘着等により固定する。この状態で、前記と同様にして、前記外装材10を、その下端36の内端縁125を前記箱状部43の上面部47の内縁126に当接させた状態で該外装材10の内面127を前記固定片部41の外面129に当接状態とし、この状態で、該外装材10を前記横胴縁26にビス等を用いて固定する。これにより、所要の排水構造が構成されることとなる。
【0047】
図15、図16、図17、図18、図19は、前記箱状部43を前記固定片部41の下端56に屈曲部59を介して連結した水抜き具2のその他の実施例を示すものであり、図4、図11、図12、図13、図14に示す水抜き具2における前記左右の側板部61,61が省略されている他は、前記と同様の構成を有している。
【0048】
図20は、実施例1に示す水抜き具2において、前記左右の側板部61,61の上端66,66を固定片部41の下端56の左右部分67,67と切り離した場合を示すものであり、かかる構成は、図11、図12、図13、図14に示されている水抜き具2にも同様にして採用され得る。
【実施例3】
【0049】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
(1) 図21、図22は、本発明に係る水抜き具2を構成する前記水切り部55の他の態様を示す底面図であり、図21に示す水切り部55は、前記中央列82と前記外端列83とで構成されており、又図22に示す水切り部55は、前記中央列82と前記内端列81とで構成されている。
図23〜25は、本発明に係る水抜き具2を構成する前記水切り部55のその他の態様を示す底面図であり、箱状部43の内部105に、水切り片77が各種組合せで配設されている。
その他、前記水切り部55は、左右隣り合う水切り片先側部分相互80,80が、内外方向で見て所要間隔を隔てて重なり合うように位置設定された水切り片77の複数を具え、左右端に位置する2つの水切り片は、前記左右の側面部49,49の夫々の内面に連設されると共に、全ての水切り片は、前記上面部47の下面に連設された構成を有する限り、各種に構成され得る。
【0050】
(2) 本発明において前記雨水流下面25は、前記窓開口部3を構成する上部枠6の上面24として構成されることの他、庇や下屋等における屋根面や、建物の基礎の上面等、雨水を受けてこれを流下させる機能を有する面の全てを含むものである。
【0051】
(3) 前記窓開口部3の上部枠6の上側の外壁部7に設けられている水抜き具2は、該上部枠6の長さ方向の中央部の1箇所とされることの他、該窓開口部3の左右長さに応じて適宜箇所に1箇所乃至複数箇所設けられるものである。
【0052】
(4) 前記実施例に係る水抜き具2は、水勾配を有する雨水流下面25に容易に対応できるように、前記箱状部43を前記固定片部41の下端56に屈曲部59を介して連結されているが、図26に示すように、前記箱状部43を前記固定片部41の下端56に、個々の雨水流下面25の水勾配に合わせて所要屈曲状態に一体成形することもある。
又、前記上部枠の上面等としての雨水流下面25が略水平な面として形成されている場合は、図27に示すように、前記箱状部43を前記固定片部41の下端に直角状態に連結してもよい。
【0053】
(5) 前記実施例においては、前記側板部61,61の先端が固定片部41の左右端よりも突出することがある他、退いた状態となることもある。
【0054】
(6) 前記固定片部41は、前記各実施例においては、その左右部分で横胴縁26に固定されているが、片側で固定されてもよい。
【0055】
(7) 前記各実施例においては、排水部の左右長さが比較的短く形成されているが、該左右長さを比較的長く形成することもある。
【0056】
(8) 本発明に係る水抜き具が応用される前記上枠部の上側に存する外壁部を構成する下地材は、前記横胴縁を左右方向で固定して構成することの他、縦胴縁を所要間隔で、上下方向で固定することによっても構成される。この場合、該縦胴縁の下端を雨水流下面25から稍浮かして、該下端と雨水流下面25との間に、該雨水流下面25に流下した浸入雨水を前記排水路117の流入口115に向けて移動させるための間隙を設けるのがよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】排水構造を示す断面図である。
【図2】排水構造を示す一部を欠切した斜視図である。
【図3】水抜き具を横胴縁に固定した状態を示す斜視図である。
【図4】水抜き具を示す斜視図である。
【図5】その使用状態を示す断面図と、浸入雨水の排出状態を示す説明図である。
【図6】水抜き具を下から見た斜視図である。
【図7】水抜き具を下から見た斜視図である。
【図8】水抜き具の底面図である。
【図9】各部の寸法を示す説明図である。
【図10】水切り具周辺におけるバックアップ材の取付け状態を示す平面図である。
【図11】水切り具の他の実施例を使用状態と共に示す斜視図、断面図である。
【図12】水切り具のその他の実施例を使用状態と共に示す斜視図、断面図である。
【図13】水切り具のその他の実施例を使用状態と共に示す斜視図、断面図である。
【図14】水切り具のその他の実施例を使用状態と共に示す斜視図、断面図である。
【図15】水切り具のその他の実施例を示す斜視図である。
【図16】水切り具のその他の実施例を示す斜視図である。
【図17】水切り具のその他の実施例を示す斜視図である。
【図18】水切り具のその他の実施例を示す斜視図である。
【図19】水切り具のその他の実施例を示す斜視図である。
【図20】水切り具のその他の実施例を示す斜視図である。
【図21】水切り部の他の態様を示す底面図である。
【図22】水切り部のその他の態様を示す底面図である。
【図23】水切り部のその他の態様を示す底面図である。
【図24】水切り部のその他の態様を示す底面図である。
【図25】水切り部のその他の態様を示す底面図である。
【図26】水切り具のその他の実施例を使用状態で示す断面図である。
【図27】水切り具のその他の実施例を使用状態で示す断面図である。
【図28】従来の外壁部における排水構造を示す断面図である。
【図29】その排水構造で使用する水抜き具を示す斜視図である。
【図30】その水抜き具の使用状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 排水構造
2 水抜き具
3 窓開口部
6 上部枠
7 外壁部
9 下地部
10 外装材
25 雨水流下面
26 横胴縁
27 横胴縁の下端
29 横間隙
32 縦間隙
39 排水部
41 固定片部
43 箱状部
47 上面部
49 側面部
50 下端面
51 内端面
52 外端面
53 外壁部の内側
55 水切り部
59 屈曲部
61 側板部
69 側部屈曲部
77 水切り片
80 水切り片先側部分
81 内端列
82 中央列
83 外端列
85 側部水切り片
86 中間水切り片
93 連通間隙
117 排水路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地部に外装材を固定して構成された外壁部の内側に浸入した浸入雨水を外部に排出するために用いられる水抜き具であり、前記外装材の下端とその下方に存する雨水流下面との間の間隙に配設される排水部と、該排水部に設けられ且つ前記下地部に固定される固定片部とを具え、
前記排水部は、前記外壁部の内外方向に延びて前記浸入雨水を外部に排出するための排水路を前記雨水流下面との間で形成する箱状部を具え、該箱状部の内部には、前記排水路を通して前記外壁部の内側に雨水が浸入するのを防止する水切り部が該箱状部と一体に設けられており、
前記箱状部は、内外方向に延びる上面部の左右両側で側面部が下設されて、下端面と内端面と外端面が開放された箱状を呈し、該下端面及び前記水切り部の下端が前記雨水流下面に当接されることによって前記排水路が形成される如くなされ、
又前記水切り部は、左右隣り合う水切り片先側部分相互が、内外方向で見て所要間隔を隔てて重なり合うように位置設定された水切り片の複数を具え、左右端に位置する2つの水切り片は、前記左右の側面部の夫々の内面に連設されると共に、全ての水切り片は、前記上面部の下面に連設されてなることを特徴とする外壁部の水抜き具。
【請求項2】
下地部に外装材を固定して構成された外壁部の内側に浸入した浸入雨水を外部に排出するために用いられる水抜き具であり、前記外装材の下端とその下方に存する雨水流下面との間の間隙に配設される排水部と、該排水部に設けられ且つ前記下地部に固定される固定片部とを具え、
前記排水部は、前記外壁部の内外方向に延びて前記浸入雨水を外部に排出するための排水路を前記雨水流下面との間で形成する箱状部を具え、該箱状部の内部には、前記排水路を通して前記外壁部の内側に雨水が浸入するのを防止する水切り部が該箱状部と一体に設けられており、
前記箱状部は、内外方向に延びる上面部の左右両側で側面部が下設されて、下端面と内端面と外端面が開放された箱状を呈し、該下端面及び前記水切り部の下端が前記雨水流下面に当接されることによって前記排水路が形成される如くなされ、
又前記水切り部は、前記左右の側面部の夫々の内面に、箱状部内方に向け且つ外方に向けて屈曲するように連設されると共に、上端が前記上面部の下面に連設されてなる左右の側部水切り片と、該左右の側部水切り片間に位置し、且つ、内方に向かって突で且つ上端が前記上面部の下面に連設されてなる第1の中間水切り片と、該左右の側部水切り片及び該第1の中間水切り片の外方側に所要距離を隔てて位置し、且つ、前記箱状部の外端側から見て、一方の側部水切り片と前記第1の中間水切り片間を塞ぐ状態で、内方に向かって突で且つ上端が前記上面部の下面に連設されてなる第2の中間水切り片と、前記箱状部の外端側から見て、他方の側部水切り片と前記第1の中間水切り片間を塞ぐ状態となるように、内方に向かって突で且つ上端が前記上面部の下面に連設されてなる第2の中間水切り片とを具えることを特徴とする外壁部の水抜き具。
【請求項3】
下地部に外装材を固定して構成された外壁部の内側に浸入した浸入雨水を外部に排出するために用いられる水抜き具であり、前記外装材の下端とその下方に存する雨水流下面との間の間隙に配設される排水部と、該排水部に設けられ且つ前記下地部に固定される固定片部とを具え、
前記排水部は、前記外壁部の内外方向に延びて前記浸入雨水を外部に排出するための排水路を前記雨水流下面との間で形成する箱状部を具え、該箱状部の内部には、前記排水路を通して前記外壁部の内側に雨水が浸入するのを防止する水切り部が該箱状部と一体に設けられており、
前記箱状部は、内外方向に延びる上面部の左右両側で側面部が下設されて、下端面と内端面と外端面が開放された箱状を呈し、該下端面及び前記水切り部の下端が前記雨水流下面に当接されることによって前記排水路が形成される如くなされ、
又前記水切り部は、前記左右の側面部の夫々の内面に、箱状部内方に向け且つ外方に向けて屈曲するように連設されると共に、上端が前記上面部の下面に連設されてなる左右の側部水切り片と、該左右の側部水切り片の外方側に位置し、且つ、前記箱状部の外端側から見て、該左右の側部水切り間を塞ぐ状態で、内方に向かって突で且つ上端が前記上面部の下面に連設されてなる中間水切り片とを具えることを特徴とする水抜き具。
【請求項4】
前記左右の側面部の夫々の内端に、前記間隙の左右方向に延長するバックアップ材の端部分を支持する側板部が左右方向で突設されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の水抜き具。
【請求項5】
前記箱状部は、前記固定片部の下端に屈曲部を介して連結され、該屈曲部の所要の屈曲状態で、前記箱状部の下端面及び前記水切り片の下端が前記雨水流下面に当接し得ることを特徴とする請求項l、2、3又は4記載の水抜き具。
【請求項6】
下地部に外装材を固定して構成された外壁部の内側に浸入した浸入雨水を水抜き具を用いて外部に排出する外壁部の排水構造であって、
前記水抜き具は、前記外装材の下端とその下方に存する雨水流下面との間の間隙に配設される排水部と、該排水部に設けられ且つ前記下地部に固定される固定片部とを具え、前記排水部は、前記外壁部の内外方向に延びて前記浸入雨水を外部に排出するための排水路を前記雨水流下面との間で形成する箱状部を具え、該箱状部の内部には、前記排水路を通して前記外壁部の内側に雨水が浸入するのを防止する水切り部が該箱状部と一体に設けられており、又前記箱状部は、内外方向に延びる上面部の左右両側で側面部が下設されて、下端面と内端面と外端面が開放された箱状を呈し、該下端面及び前記水切り部の下端が前記雨水流下面に当接されることによって前記排水路が形成される如くなされ、又前記水切り部は、左右隣り合う水切り片先側部分相互が、内外方向で見て所要間隔を隔てて重なり合うように位置設定された水切り片の複数を具え、左右端に位置する2つの水切り片は、前記左右の側面部の夫々の内面に連設されると共に、全ての水切り片は、前記上面部の下面に連設されてなり、
又前記下地部は、前記雨水流下面の直上に横胴縁が配設されてなり、該横胴縁の下端と前記雨水流下面との間に該横胴縁の延長方向に連続する横間隙が形成されると共に、該横胴縁の所要部位に途切れ部としての縦間隙が設けられており、
前記水抜き具は、前記排水路の内端を前記横間隙に連通させた状態で、前記排水部が前記間隙に配設されると共に、前記排水路の内端を前記縦間隙に連通させた状態で、前記固定片部が、前記横胴縁固定されていることを特徴とする外壁部の排水構造。
【請求項7】
下地部に外装材を固定して構成された外壁部の内側に浸入した浸入雨水を水抜き具を用いて外部に排出する外壁部の排水構造であって、
前記水抜き具は、前記外装材の下端とその下方に存する雨水流下面との間の間隙に配設される排水部と、該排水部に設けられ且つ前記下地部に固定される固定片部とを具え、前記排水部は、前記外壁部の内外方向に延びて前記浸入雨水を外部に排出するための排水路を前記雨水流下面との間で形成する箱状部を具え、該箱状部の内部には、前記排水路を通して前記外壁部の内側に雨水が浸入するのを防止する水切り部が該箱状部と一体に設けられており、又前記箱状部は、内外方向に延びる上面部の左右両側で側面部が下設されて、下端面と内端面と外端面が開放された箱状を呈し、該下端面及び前記水切り部の下端が前記雨水流下面に当接されることによって前記排水路が形成される如くなされ、又前記水切り部は、左右隣り合う水切り片先側部分相互が、内外方向で見て所要間隔を隔てて重なり合うように位置設定された水切り片の複数を具え、左右端に位置する2つの水切り片は、前記左右の側面部の夫々の内面に連設されると共に、全ての水切り片は、前記上面部の下面に連設されてなり、
又前記下地部は、前記雨水流下面の直上に横胴縁が配設されてなり、該横胴縁の下端と前記雨水流下面との間に該横胴縁の延長方向に連続する横間隙が形成されており、
前記水抜き具は、前記排水路の内端を前記横間隙に連通させた状態で、前記排水部が前記間隙に配設されると共に、前記固定片部が前記横胴縁に固定されていることを特徴とする外壁部の排水構造。
【請求項8】
下地部に外装材を固定して構成された外壁部の内側に浸入した浸入雨水を水抜き具を用いて外部に排出する外壁部の排水構造であって、
前記水抜き具は、前記外装材の下端とその下方に存する雨水流下面との間の間隙に配設される排水部と、該排水部に設けられ且つ前記下地部に固定される固定片部とを具え、前記排水部は、前記外壁部の内外方向に延びて前記浸入雨水を外部に排出するための排水路を前記雨水流下面との間で形成する箱状部を具え、該箱状部の内部には、前記排水路を通して前記外壁部の内側に雨水が浸入するのを防止する水切り部が該箱状部と一体に設けられており、又前記箱状部は、内外方向に延びる上面部の左右両側で側面部が下設されて、下端面と内端面と外端面が開放された箱状を呈し、該下端面及び前記水切り部の下端が前記雨水流下面に当接されることによって前記排水路が形成される如くなされ、又前記水切り部は、左右隣り合う水切り片先側部分相互が、内外方向で見て所要間隔を隔てて重なり合うように位置設定された水切り片の複数を具え、左右端に位置する2つの水切り片は、前記左右の側面部の夫々の内面に連設されると共に、全ての水切り片は、前記上面部の下面に連設されてなり、
又前記下地部は、前記雨水流下面の直上に横胴縁が配設されると共に、該横胴縁の所要部位に途切れ部としての縦間隙が設けられており、
前記水抜き具は、前記排水路の内端を前記縦間隙に連通させた状態で、前記固定片部が前記横胴縁に固定されていることを特徴とする外壁部の排水構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2007−182747(P2007−182747A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−330137(P2006−330137)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(000010065)フクビ化学工業株式会社 (150)
【Fターム(参考)】