説明

外掛型中栓の装着装置

【課題】生産ライン上における容器の傾斜や転倒を防止し、高効率で生産することができる所謂外掛型中栓と呼ばれる、少なくとも容器開口部の立ち上がり部分の外形を覆う部分を有し、その覆い部分によって容器開口を栓するように構成された中栓の自動装着装置を提供せんとするものである。
【解決手段】下端に外掛型中栓(3)を保持して容器開口(17)に圧入するためのソケット部(6)を有する治具(1)と、この治具(1)を上下方向に摺動させるために治具(1)の上部に配置される治具駆動手段と、所定の傾斜角で所定の位置に保持され、外掛型中栓(3)をソケット部(6)に供給するための外掛型中栓供給レール(7)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、容器の開口部に圧入装着して開口の一部を閉止して口径を制限すると共に、バージンシールを着脱自在に取付けて未開封製品であることを保証し得るようにした中栓を、容器開口部に自動的に装着するための装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中味の充填のために比較的大きな口径に形成されている容器口部に中栓を嵌着して口径を限定し、内容物の意図しない大量の流出を防止すると共に、該中栓にバージンシールを着脱自在に定着して容器が未開封であることを保証するようにした容器は公知である。
【0003】
製造工程において、中栓を容器開口に装着する方法としては、大別して手動による方法と自動的な装着装置により行う方法の二通りがある。手動の場合には、中栓プッシャーと呼ばれる担当者が、ライン上に入り一つ一つ手作業によって中栓を容器開口に圧入して行くという方法で行われるのであるが、装着が硬いことによる作業負荷が大きく、生産性を低下させる原因となっている。
【0004】
他方、自動装置によって中栓を容器開口に装着させる場合には、幾つかの自動化された装置が知られていている。例えば中栓シュートと呼ばれるその内部に中栓を一列に収納したシュートを傾斜配置して所定位置まで中栓を送り出し、その位置において中栓を容器開口に引っ掛けるようにして載せて、ローラーの下を通過させることによって容器開口に中栓を圧入するようした装置と、中栓を容器口部に被せた後容器を進行方向に対しグリッパーベルトで垂直な水平面内の両側から容器を狭持しつつ移動させ、その移動途中において上方から圧力を掛けて中栓を口部に圧入するようにした装置等が実用に供されている。しかし、これら従来実用化されている中栓装着装置は、いずれも一定の距離移動するコンベアベルトの如き移送手段を要するため、化粧料等の製造ラインに組み込む場合、ラインの組み替え、変更等を要し少量生産の場合には適用が面倒であった。
【特許文献1】なし。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、上記の如くの従来の問題点に鑑みてなされたものであり、所謂外掛型中栓と称される、容器開口部の外周部に装着され口部の口径を限定しうるような小径の開口を有した中栓を容器口部に挿着する装置を提供せんとするものであり、特に製品の製造ラインを大きく変更することなく、省スペースで自動化でき、生産ライン上における容器の傾斜や転倒を防止し、不良品発生率を低減しうるような中栓の自動装着装置を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、中栓を治具に収納保持しつつ容器口部に治具と共に装着して、中栓を容器口部の外周面に嵌合して取付けるようにしたことを特徴とする。治具は、外掛型中栓を受入るための受入口と、受入した外掛型中栓を収納する空間と、収納した外掛型中栓を該空間内において落下しない程度の力で吸引して所定位置に吸着静止させるための吸着手段と、容器開口にその上部から挿着自在な鉛直下方に向かって開口した装着口とを有するソケット部を含んでおり、該治具を上下動させるための治具駆動手段と、その内部に略一列に外掛型中栓を収納し、ソケット部の受入口に向かって外掛型中栓を送給する送給用レールとを備える。
【0007】
送給用レールは、出口に向かって若干下降する傾斜を有して配置されると共に、レールの途中から空気圧が吹き込まれるようになっており、レールの傾斜と空気圧とにより、中栓はソケット部の受入口から内部空間内に一個ずつ送り込まれる。受入口からソケット部の空間内に入った中栓は、吸引力によって空間内に保持される。
【0008】
また、前記ソケット部が、該外掛型中栓の半径よりも若干大きな半径で、該外掛型中栓の高さよりも若干大きい高さからなる略円柱状の外掛型中栓を収納するための空間が形成され、受入口を形成した部位の外面が、水平面内で湾曲した平面に近い凹状の弧面をなし、さらにこの弧面のほぼ中央部分に、曲率半径を外掛型中栓の半径よりも大きくとってなる水平面内で略円弧状に凹落させた弧状凹落部を形成してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、手作業で行うのと比較して、中栓プッシャーの作業負荷もなく、従来の作業負荷による生産効率の低下という問題をなくすことができ、よって生産性を高めることができるという効果がある。
【0010】
また、中栓を容器に圧入装着する際、容器の真上から中栓を押圧して圧入装着するため、従来のローラーによって圧入する方法等と異なり、被圧入容器には水平方向の負荷が掛らず、傾斜したり、転倒したりすることがなく、確実に中栓の封入を行うことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この発明の好ましい実施の形態を、図を参照しながら以下に詳細に説明する。図1は、
本発明の斜視図、図2は本発明の治具(1)を、治具駆動手段であるエアシリンダ(2)に連結してなる状態を示す斜視図であり、図3は本発明の治具(1)を拡大した斜視図である。図4は本発明の治具(1)の断面図であり、図5は本発明によって外掛型中栓(3)を容器(4)に装着する一連の動作を示す工程図であり、図6は本発明によって外掛型中栓(3)が圧入装着された容器(4)を示す図であり、図7は本発明による生産工程を上方から見た平面図である。
【0012】
この実施の形態における外掛型中栓自動装着装置(5)は、下端に外掛型中栓(3)を保持して容器開口(17)に圧入するためのソケット部(6)を有する治具(1)と、この治具(1)を上下方向に移動させるために治具(1)の上部に連結される治具駆動手段と、外掛型中栓(3)をソケット部(6)に供給するための中栓供給用レール(7)とを含み、中栓が装着される容器(4)は、グリッパーベルト及びコンベアベルトの如き移送手段(8)により、前記治具(1)の下方に移送され、中栓装着後次工程へ送り出される。
【0013】
図1に示すように、本発明の装置は、外掛型中栓(3)をその内部に保持して容器(4)に装着するためのソケット部(6)を下端に有する治具(1)と、その内部にほぼ一列に外掛型中栓(3)を収納して前記ソケット部(6)に外掛型中栓(3)を一つずつ供給するための中栓供給用レール(7)を備える。
【0014】
図2に示すように、前記治具(1)は、鉛直方向に延びた円柱状の棒状部材(9)と、この棒状部材(9)の下端に配置されるソケット部(6)とからなり、治具駆動手段としてのエアシリンダ(2)内を摺動するピストン(10)に連結部材(11)を介して連結される。棒状部材(9)は、ソケット部(6)を下端に保持する機能を有し、その形状や長さ、太さ、材質等は適宜選択することが可能である。また、前記連結部材(11)は必ずしも必要なものではなくて、エアシリンダ(2)内を摺動するピストン(10)に連結して該ピストン(10)と共に上下動させることができるものであればよく、それ以外何等限定されるものではない。従って例えば、連結部材(11)は棒状部材(9)と一体化させたものであっても、別体の部材であっても良い。ただし、後述するように、棒状部材(9)の正面とソケット部(6)とは、ソケット部(6)の正面に縦方向に形成された略円弧状の弧状凹落部(12)の最も凹落した部位の面と少なくとも面一若しくは後方に退避した状態となるようにする必要がある。尚、ソケット部(6)及び棒状部材(9)の正面とは、ソケット部(6)の受入口(13)が形成されている面をいう。
【0015】
図3および図4に示すように、前記ソケット部(6)は、外掛型中栓(3)を受入するための受入口(13)と、この受入口(13)から受入した外掛型中栓(3)を収納・保持する保持空間(14)と、この保持空間(14)内には、収納した外掛型中栓(3)が落下しない程度の吸引力を付与する吸引手段が連結されており、該吸引力により中栓(3)は空間(14)内に保持される。吸引手段は、吸引パイプ(16a)と、該吸引パイプ(16a)を接続するための吸引口(15)と、この吸引口(15)と連通し且つエア吸引装置に連結するための吸引ライン接続口(16b)と、からなる。
【0016】
外掛型中栓(3)を保持した保持空間(14)の下部には、容器の口部開口(17)にその上部から装着するための鉛直下方に向かって若干広がるように開口した装着口(18)が形成される。また前記保持空間(14)は、外掛型中栓(3)の半径よりも若干大きな半径で、該外掛型中栓の高さよりも若干大なる高さを有した略円柱状に形成される。また、受入口(13)を形成した部位の外面は、前記中栓供給レール(7)との当接を果たすために垂直面に形成されると共に、その中心部には受入口(13)から垂直方向上方に向かって、曲率半径を外掛型中栓の半径よりも大きくした略円弧状の弧状凹落部(12)が形成されている。
【0017】
外掛型中栓供給レール(7)は、その内部に一列に外掛型中栓(3)を収納し得る収納スペース(19)を有し、両端が開口した断面方形の角筒状の部材からなり、前記中空の収納スペース(19)に外掛型中栓(3)を所定数量収納できるように構成されている。また、所定の間隔毎にエアの吹き込み孔(20)が、出口(21)に向かって送風されるように配置され内部に収納した外掛型中栓(3)を風圧によって送出することができるようになっている。詰り防止等を考慮すると単純に一列に配列して収納することが好ましい。また、収納スペース(19)内において外掛型中栓(3)を前方へ移送する手段としては、別段エアの吹き込みによらなければならないというものではなく、その他の適宜の方法によって行うことができる。
【0018】
上述のように構成された外掛型中栓供給レール(7)は、図5に示すように、その入口に対して出口(21)を下げるように若干傾斜させ、該出口(21)が前記治具(1)を最大限引き上げた状態において、ソケット部(6)の受入口(13)と丁度一致する位置に固定的に配置する。無論、前記傾斜は必ずなくてはならないというものではなく水平に配置してもよい。また傾斜させることによって、風圧以外に重力も多少付加されるのでその内部に収納した外掛型中栓(3)を移送しやすくなる。
【0019】
また、治具(1)は上下動だけするように構成されているので、治具(1)が最高位まで上昇したときには、受入口(13)と出口(21)とが一致して、エアの吹き込みによって常に風圧が前方に向かってかかっている外掛型中栓(3)は、該供給具(7)内から押し出され、同時にソケット部(6)内では、吸引口(15)からエアが常時吸引されているので、押し出される作用と吸引される作用とによって、中栓(3)は保持空間(14)内に送り込まれて保持される。この状態を示したのが図5(a)である。
【0020】
図5(b)に示すように、ソケット部(6)内に一つだけ外掛型中栓(3)を収容した後も吸引口(15)からは、エアが吸引ライン接続口(16b)に連結された吸引ライン(25)を介して、エア吸引装置によって吸引され続け、その吸引力によって、外掛型中栓(3)は落下しない程度の力で保持空間内に保持されている。この状態で、治具駆動手段であるエアシリンダ(2)のピストン(10)の下動により、連結された治具(1)が下降し、それに同期して予め繰り出されて所定位置に配置された容器(4)の口部開口(17)に、ソケット部(6)が装着され、保持されていた外掛型中栓(3)が、口部開口(17)に真上から鉛直線上に押圧され封緘される。
【0021】
治具(1)の降下時には、受入口(13)が下方にスライドするが、それより上方にあって受入口(13)の面に合わせて形成された治具(1)の棒状部材(9)の側面が、外掛型中栓供給レール(7)の出口(21)の位置にスライドして来るため、前記棒状部材(9)の側面に風圧をかけられた外掛型中栓(3)が、棒状部材(9)の側面に当接することによって飛び出すことがないように構成される。
【0022】
図5(c)に示すように、吸引口(15)にかかる外掛型中栓(3)を吸引・保持する力は、口部開口(17)に外掛型中栓(3)が圧入装着された後、両側をグリッパーベルト(8)で保持された容器(4)を引き上げるおそれのない程度の力に調整されることは勿論である。これによって、ソケット部(6)は、空の状態でピストン(10)の上方への移動に連動して上昇し、その最高位まで変位するように構成されている。図6に、図5(c)の状態において外掛型中栓(3)が圧入装着された容器(4)の状態を示す。
【0023】
また本装置は図7に示すように、グリッパーベルト(8)で容器(4)の両側を把持することによって、確実且つ高効率に生産を行うことができるようになっている。グリッパーベルト(8)は、前工程から送られてきた未栓の容器(4)を両側から狭持して前方に送り出すように構成されたベルトコンベアの一種であり、両側方向への転倒等を防止するものであるが、これは特に限定されるものではなく従来公知の技術を採用することができる。本装置を、グリッパーベルト(8)等の容器(4)の移送手段と併用する場合には、図7に示すように、グリッパーベルト(8)の中腹に、本装置の治具(1)部分を配置して、グリッパーベルト(8)による容器(4)の送り出しのタイミングに同期させて、治具(1)を上下に摺動させて、未栓の容器(4)に外掛型中栓(3)を圧入装着し、装着後の容器(4)はグリッパーベルト(8)によって次々と前方へ送り出されるように構成される。
【0024】
尚、図7において、(22)は本発明の中栓挿着工程の前工程の装置を示す、該前工程からコンベアベルト(23)で送り出された容器(4)は案内板(24)で位置を変位され、本発明のグリッパーベルト(8)に位置を合わせて送り込まれるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の斜視図
【図2】本発明の治具を、治具駆動手段であるエアシリンダに連結してなる状態を示す斜視図
【図3】本発明の治具を拡大した斜視図
【図4】本発明の治具の側面からの断面図
【図5】本発明によって外掛型中栓を容器に装着する一連の動作を間欠的に示す状態図
【図6】本発明によって外掛型中栓が圧入装着された容器を示す図
【図7】本発明による生産工程上の容器と本発明の装置の位置関係を示す上面の模式図
【符号の説明】
【0026】
(1)治具
(2)エアシリンダ
(3)外掛型中栓
(4)容器
(5)外掛型中栓自動装着装置
(6)ソケット部
(7)外掛型中栓供給レール
(8)グリッパーベルト
(9)棒状部材
(10)ピストン
(11)連結部材
(12)弧状凹落部
(13)受入口
(14)保持空間
(15)吸引口
(16a)
(16b)吸引ライン接続口
(17)口部開口
(18)装着口
(19)収納スペース
(20)エアの吹き込み口
(21)出口
(22)前工程装置
(23)コンベアベルト
(24)案内板
(25)吸引ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外掛型中栓を受入するための受入口と、この受入口から受入した外掛型中栓を収納する空間と、この空間内に収納した外掛型中栓を該空間内において落下しない程度の力で吸引して所定位置に吸着静止させるための吸引手段と、前記空間内に吸着保持された外掛型中栓を容器開口にその上部から装着するための鉛直下方に向かって開口した装着口とを有する治具と、この治具を上下動させるための治具駆動手段と、該治具内に外掛型中栓を順次送給する手段とからなることを特徴とする外掛型中栓の装着装置。
【請求項2】
ソケット部が、該外掛型中栓の半径よりも若干大きな半径で、該外掛型中栓の高さよりも若干大きい高さからなる略円柱状の外掛型中栓を収納するための空間が形成され、受入口を形成した部位の外面が、垂直面に形成され、さらにこの垂直面のほぼ中央部分に、曲率半径を外掛型中栓の半径よりも大きくした略円弧状の弧状凹落部を形成してなることを特徴とする請求項1記載の外掛型中栓の装着装置。
【請求項3】
その内部に略一列に外掛型中栓を収納し、治具の受入口に向かって風圧で該外掛型中栓を送り出すようにした中栓供給手段を備えることを特徴とする請求項1記載の中栓の装着装置。
【請求項4】
中栓供給手段が、若干降下する傾斜をもって配置されていることを特徴とする中栓の装着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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