説明

外用組成物

【課題】使用感が良好で、長期間保存しても粘度が低下したり、分離したりしない安定な外用美白剤組成物を提供する。
【解決手段】アスコルビン酸誘導体を含有する外用組成物は、アスコルビン酸誘導体の影響を受け、粘度が低下したり、分離したりしやすいという問題があった。アスコルビン酸グルコシド、アルキル化水溶性高分子、pH調整剤および水を配合することによって、長期間保存しても粘度が低下し、分離したりすることがない外用組成物を製造するという上記の課題を解決することができた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定な性状を保つ外用組成物に関する。さらに詳しくは、使用感に優れ、長期間保存しても粘度低下、分離等の劣化を起こさず安定な外用美白ゲル組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、皮膚の老化促進や皮膚癌の原因として、過剰な紫外線暴露の影響が注目されている。紫外線を浴び続けると下垂体中葉からメラニン細胞刺激ホルモンが分泌され、皮膚に存在するメラニン細胞におけるメラニン色素の合成を促進し、皮膚の日焼けを起こす。また、同時にケラチノサイトから放出されたサイトカインもメラニン合成を促進させる。一方、加齢やホルモン分泌の乱れ、種々の皮膚病によってメラニンが合成され、シミや雀斑、皮膚の色調異常等をきたす場合もあることが知られている。これらの色素沈着や色調異常に対する予防、対処法として、従来より、チロシナーゼ阻害剤やビタミンCを服用したり、コウジ酸やハイドロキノン誘導体等をクリームや軟膏剤に配合し、皮膚に塗布する方法が知られていた。
【0003】
現在使用されている美白剤の中で、一般的によく知られているものとしてアスコルビン酸誘導体があり、種々の美白用外用剤に配合されている。しかし、アスコルビン酸誘導体をゲルやクリーム等の外用剤に配合する場合、ゲルやクリームの粘度を低下させる等の影響を及ぼす場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の様な外用剤を作る際、配合剤としてカルボキシビニルポリマー等の増粘剤や乳化安定剤等を使用しているが、アスコルビン酸などの塩の影響を受けやすく、これらのゲル状乳化物は物理化学的に不安定であり、長期保存によって著しく粘度が低下したり分離する場合がある。また、ヒドロキシエチルセルロース等の非イオン系の高分子を配合してゲル状クリームを作る場合には、外用剤として相応しい固さを確保するために高分子成分を多量に配合しなければならず、皮膚に塗る際に延びが悪かったり、強いべたつき感がある等、使用感上の課題を残している。したがって、皮膚への使用感に優れ、しかも長期間保存しても粘度や展延性等の性状が変化しない、安定な美白用外用剤の開発が待たれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、これらの状況に鑑みて鋭意検討した結果、意外にもアスコルビン酸誘導体にアルキル化水溶性高分子を配合することによって、上記課題が解決できることを見出し本発明を完成させた。
【0006】
すなわち本発明は、アスコルビン酸誘導体、アルキル化水溶性高分子、pH調整剤および水を含む外用組成物である。また、本発明は、さらに油成分および/または乳化剤を含む上記外用組成物である。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、長期間保存しても外観、pH、展延性等の性状が変化せず、使用感に優れたアスコルビン酸誘導体のゲル状組成物が製造可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明におけるアルキル化水溶性高分子としては、アルキル化したカルボキシビニルポリマー、アルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコール、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セラチン類、ジェランガム、カラギーナン、寒天、ペクチン、ローカストビーンガム、グァーガム、トラガントガム、結晶セルロース、ポリビニルピロリドンであり、代表的なものとして、アルキル変性カルボキシビニルポリマーが挙げられる。 本発明におけるアルキル変性カルボキシビニルポリマー(以下、A-CPと略記することがある)は、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体とも呼ばれ、アクリル酸と炭素数10〜30の直鎖状または分枝状アルキル基のエステル体、およびメタクリル酸と同じくアルキル基のエステル体が共重合したものであり、大きな親水基と小さな親油基を持つO/W型高分子乳化剤である。A-CPはPEMULEN TR-1の商品名で市販されており(日光ケミカルズ(株))、容易に入手可能である。
【0009】
本発明においてアルキル変性カルボキシビニルポリマーの配合量は特に限定されないが、本発明に係る外用組成物の全重量に対して、通常0.05〜2%であり、好ましくは0.3〜1%であり、さらに好ましくは0.4〜0.8%である。
【0010】
本発明においてpH調整剤は、特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等アルカリ金属の水酸化物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等アルカノールアミン、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、コハク酸、マレイン酸、酢酸等の有機酸およびそれらの塩、塩酸、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸、リン酸三ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二
カリウム、リン酸二水素カリウム等の無機酸およびそれらの塩等が挙げられる。中でも特に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のアルカノールアミンが好適である。これらのpH調整剤でpHを約5〜8の範囲に調整すればよい。
【0011】
本発明における油成分は特に限定されないが、オリーブ油、米糠油、大豆油、ヒマワリ油、マカデミアナッツ油、アボガド油等の植物性油脂、スクワラン、魚油、馬油等の動物性油脂、カルナバロウ、キャンデリラロウ、コメヌカロウ、ラノリン、ホホバ油等のロウ類、流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、ポリブデン、合成スクワラン等の炭化水素、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、コレステロール、フィトステロール、オクチルドデカノール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸オクチル、オクタン酸セチル、中鎖脂肪酸トリグリセリド、トリオクタン酸グリセリン、乳酸セチル、クエン酸トリエチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル等のエステル油、メチルポリシロキサン、シリコン樹脂、環状ジメチルシリコーン、パーフルオロポリエーテル等のシリコーン油等を挙げることができる。好ましくは、流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、ポリブデン、合成スクワラン等の炭化水素、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸オクチル、オクタン酸セチル、中鎖脂肪酸トリグリセリド、トリオクタン酸グリセリン、乳酸セチル、クエン酸トリエチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル等のエステル油、ビタミンA類、ビタミンD類、ビタミンE類等の脂溶性ビタミンである。
【0012】
本発明において使用できる乳化剤は限定されないが、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、メチルグルコシド脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤、脂肪
酸石鹸(ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウムなど)、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアロイル硫酸ナトリウム等のイオン性界面活性剤、レシチン類(大豆レシチン、卵黄リン脂質、水素添加レシチン、水酸化レシチンなど)、サポニン類(大豆サポニン、カンゾウサポニン、酵素処理サポニンなど)、アラビアゴム等の天然由来界面活性剤等が挙げられる。好ましくは、ポリグリセリン酸脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の非イオン性界面活性剤である。
【0013】
本発明に係る外用組成物には、アスコルビン酸誘導体の他にも、薬効成分を配合することができる。具体的にはグリチルリチン酸およびその誘導体ならびにそれらの塩、グリチルレチン酸およびその誘導体、ε-アミノカプロン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレン、アラントイン等の抗炎症剤、レチノール、レチノイン酸、ビタミンA油、パルミチン酸レチノール、カロテン、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体(アスコルビン酸グルコシド、リン酸L-アスコルビルマグネシウム、ジパルミチン酸アスコルビル、テトラ2-ヘキシルデカン酸L-アスコルビルなど)、酢酸トコフェロール、酢酸d-α-トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、コハク酸d-α-トコフェロール、ビタミンEリノレート、d-α-トコフェロール、d-β-トコフェロール、d-γ-トコフェロール、d-δ-トコフェロール、天然ビタミンE、塩酸ピリドキシン、ジカプリル酸ピリドキシン、ジパルミチン酸ピリドキシン、リボフラビン、リン酸リボフラビンナトリウム、酪酸リボフラビン、ニコチン酸アミド、パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、パントテン酸カルシウム、コレカルシフェロール等のビタミン類、アルブチン、エラグ酸、コウジ酸、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸ジパルミテート、ハイドロキノン誘導体、油溶性甘草エキス等の美白剤、クロタミトン、ジフェンヒドラミン等の抗痒剤、ヒノキチオール、セファランチン、ニコチン酸トコフェロール等の育毛・養毛剤、γ-オリザノール、フェルラ酸等が挙げられる。
【0014】
本発明の外用ゲル組成物には、通常用いられる種々の添加剤を配合することができる。この様な添加剤は特に限定されないが、例えば懸濁化剤、防腐剤、安定化剤、着色剤、清涼化剤、着香剤、吸着剤、吸収促進剤、粘稠剤、湿潤剤、抗酸化剤等を挙げることができる。
【0015】
懸濁化剤としては、例えばメチルセルロース、ポリソルベート80、ヒドロキシプロピルセルロース、アラビアゴム、トラガント末、カルメロース、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンポリプロピレングリコール等が挙げられる。
【0016】
防腐剤としては、例えば安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、フェノキシエタノール、ヒノキチオール等が挙げられる。
【0017】
安定化剤としては、ステアリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸等の脂肪酸、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、コレステロール、フィトステロール、オクチルドデカノール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコール、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン類、ジェランガム、カラギーナン、寒天、ペクチン、ローカストビーンガム、グァーガム、トラガントガム、結晶セルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、エデト酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸等のキレート剤、天然ビタミンE、d-α-トコフェロール、δ-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、アスコルビン酸、エリソルビン酸およびこれらの塩または誘導体、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸ナトリウム、フィチン酸、亜硫酸ナトリウム、カテキン類、ポリフェノール等の抗酸化剤、グリセリルモノアルキルエーテル、パルミチン酸デキストリン等が挙げられる。
【0018】
着色剤としては、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、タルク、ベニバナ色素、クチナシ色素、パプリカ色素、β-カロチン、カラメル、銅クロロフィリンナトリウム、シルク末等が挙げられる。
【0019】
清涼化剤としては、d−カンフル、ハッカ油、l−メントール、d−ボルネオール等が挙げられる。
【0020】
着香剤としては、一般的に化粧品や外用剤に用いられる香料の他に、ウイキョウ末、オレンジ油、カミツレ油、スペアミント油、パイン油、ハッカ油、ベルガモット油、l−メントール、レモン油等の精油が挙げられる。
【0021】
吸着剤としては、カルメロースカルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化アルミニウム、デキストリン等が挙げられる。
【0022】
吸収促進剤としては、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール、オレイン酸、リシノレイン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸、レシチン類等の界面活性剤、高級アルコールと中鎖脂肪酸、パルミチン酸イソプロピル等脂肪酸のエステル油、乳酸およびその塩、l-メントール等が挙げられる。
【0023】
粘稠剤としては、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコール、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン類、ジェランガム、カラギーナン、寒天、ペクチン、ローカストビーンガム、グァーガム、トラガントガム、結晶セルロース、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
【0024】
湿潤剤としては、ソルビトール、キシリトール、還元麦芽糖水飴、マルチトール、エリスリトール、ショ糖、トレハロース、ブドウ糖などの糖類または糖アルコール、ヒアルロン酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、セリシン、デオキシリボ核酸またはその塩、加水分解コラーゲン、ポリグルタミン酸、ポリアルギン酸、小麦ペプチド、コンドロイチン硫酸ナトリウム、キチン、キトサン等の高分子湿潤剤、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン等の多価アルコー
ル、アロエエキス、モモの葉エキス、ビワエキス、米発酵エキス、米糠エキス、コケモモエキス、ウワウルシエキス、カンゾウエキス等の植物エキス、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、グリシン、アルギニン、グルタミン酸、セリン、プロリン、ヒドロキシプロリン、ジグリセリン、ベタイン等のアミノ酸類、スフィンゴ脂質、セラミド、レシチン、コレステロール等の油性湿潤剤、乳酸、乳酸ナトリウム等が挙げられる。
【0025】
本発明において抗酸化剤とは、亜硝酸ナトリウム、エリソルビン酸、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、パルミチン酸アスコルビル、酢酸トコフェロール、天然ビタミンE、d-δ-トコフェロ−ル等を意味する。
【0026】
本発明にかかる外用組成物は、通常行われている製剤化方法で製造することができる。 加温融解した油性成分(乳化剤を含んでいてもよい)に、水溶性の湿潤剤や安定化剤を溶解した水相を添加し、80℃付近で乳化し、約55℃まで冷却して乳化液を得る。一方、アルキル変性カルボキシビニルポリマーを約55℃で精製水に分散させ、さらにアスコルビン酸グルコシド等のアスコルビン酸誘導体を添加し、高分子水溶液を得る。約55℃まで冷却した乳化液に、ほぼ同温度の高分子水溶液を添加し、温度を維持しながら均一になるまで攪拌し、その後、攪拌しながら冷却し、約35℃となったところでpH調整剤を含む水溶液を添加し、ゲル化させ、さら
に均一攪拌し目的の組成物を得ることができる。
【実施例】
【0027】
以下に、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0028】
(実施例1)
酢酸d-α-トコフェロール 0.3g、流動パラフィン 1.3g、ステアリン酸 0.4g、セトステアリルアルコール 0.3g、親油型モノステアリン酸グリセリン 0.3gおよびモノステアリン酸デカグリセリル 1.5gを加温融解し、均一な油相を得た。 次にジプロピレングリコール 2.5g、粉末還元麦芽糖水飴 2.0g、ポリエチレングリコール 1.5g、メチルパラペン 0.2gおよびL-アルギニン0.38gを精製水12.5gに入れ、加温溶解させ、均一な水相を得た。油相に水相を添加し、約80℃で5分間、単純攪拌機を用いて攪拌して乳化させ、その後約55℃まで冷却させた。 一方、A-CP 0.45gを63.97gの精製水に分散させ、約55℃で攪拌させ高分子溶液を得た。上記の乳化液にこの高分子溶液を加え、15分間攪拌した。この液に、水酸化ナトリウム 0.4gを10gの精製水に溶解させた中和剤液を添加し、ゲル化させ、攪拌を続けながら冷却させた。さらに、35℃付近でアスコルビン酸グルコシド 2.0gを添加し、均一になるまで攪拌し、ゲル状の乳化組成物 100gを得た。
【0029】
(実施例2)
酢酸d-α-トコフェロール 0.3g、流動パラフィン 1.3g、ステアリン酸 0.4g、セトステアリルアルコール 0.3g、親油型モノステアリン酸グリセリン 0.3gおよびモノステアリン酸デカグリセリル 1.5gを加温融解し、均一な油相を得た。次にジプロピレングリコール 2.5g、粉末還元麦芽糖水飴 2.0g、ポリエチレングリコール 1.5g、メチルパラペン 0.2gを精製水12.5gに入れ、加温溶解させ、均一な水相を得た。油相に水相を添加し、約80℃で5分間、単純攪拌機を用いて攪拌して乳化させ、その後約55℃まで冷却させた。A-CP 0.5gおよびアスコルビン酸グルコシド2.0gを71.7gの精製水に分散させ、約55℃で攪拌させ高分子溶液を得た。上記の乳化液にこの高分子溶液を加え、15分間攪拌した。さらに、約30℃まで冷却させながら、精製水 2.5gに水酸化ナトリウム 0.5gを溶解させたものを加え、10分間攪拌してゲル状の乳化組成物 100gを得た。
【0030】
(実施例3)
実施例1と同様にして油相と水相を混合して、乳化液を得た。A-CP 0.7gおよびアスコルビン酸グルコシド2.0gを63.82gの精製水に分散させ、約55℃で攪拌させ高分子溶液を得た。上記の乳化液にこの高分子溶液を加え、15分間攪拌した。さらに、約30℃まで冷却させながら、精製水 10gに水酸化ナトリウム 0.3gを溶解させたものを加え、10分間攪拌してゲル状の乳化組成物 100gを得た。
【0031】
(実施例4)
AC-P 1gと水酸化ナトリウム 0.56gを使用した以外は、実施例1と同様の方法でゲル状の乳化組成物 100gを得た。
【0032】
(実施例5)
A-CP 0.65gおよび63.87gの精製水で高分子溶液を調製した以外は、実施例3と同様にして外用組成物 100gを得た。
【0033】
(実施例6)
A-CP 0.6gおよび56.42gの精製水で高分子溶液を調製した以外は、実施例3と同様にして外用組成物 100gを得た。
【0034】
(比較例1)
酢酸d-α-トコフェロール 0.3g、流動パラフィン 1.3g、ステアリン酸 0.4g、セトステアリルアルコール 0.3g、親油型モノステアリン酸グリセリン 0.3gおよびモノステアリン酸デカグリセリル 1.5gを加温融解し、均一な油相を得た。次にジプロピレングリコール 2.5g、粉末還元麦芽糖水飴 2.0g、ポリエチレングリコール 1.5g、メチルパラペン 0.2gおよびL-アルギニン0.38gを精製水12.5gに入れ、加温溶解させ、均一な水相を得た。油相に水相を添加し、約80℃で5分間、単純攪拌機を用いて攪拌して乳化させ、その後約55℃まで冷却させた。カルボキシビニルポリマー(商品名:UltreZ10、Bfgoodrich社製)0.35gを74.57gの精製水に分散させ、約55℃で攪拌させ高分子溶液を得た。上記の乳化液にこの高分子溶液を加え、15分間攪拌した。 35℃付近でアスコルビン酸グルコシド 2.0gを添加し、均一になるまで攪拌し、ゲル状の乳化組成物 100gを得た。
【0035】
(比較例2)
A-CPの代わりにカルボキシビニルポリマー 0.5gを用いた以外は、実施例2と同様にしてゲル状乳化組成物 100gを得た。
【0036】
(比較例3)
水酸化ナトリウムの代わりにL-アルギニン1gを使用した以外は、実施例1とほぼ同様にして、ゲル状乳化組成物 100gを得た。
【0037】
(試験例1)
実施例1〜4および比較例1〜3で調製した組成物の性状を目視検査し、さらに適量を手の甲に塗り使用感を比較した。
その結果、実施例1〜3の組成物は白色ゲル状のクリームであり、手の甲に均一に塗布することができ使用感は良好であった。実施例4の組成物は白色ゲル状のクリームであったが、実施例1〜3の組成物と比較するとつやがなく、手に塗布したときにややべとつき感を感じた。 比較例1および2の組成物は、ゲル化せず液状のままでクリーム状にすることができなかった。比較例3の組成物は、ゲル化せず成分が分離した液剤となってしまった。したがって比較例1〜3の組成物では、使用感を確認することができなかった。
【0038】
以上の結果から、カルボキシビニルポリマーの代わりにA-CPを使用した場合に、良好なアスコルビン酸グルコシドのゲル状組成が得られることが明らかとなった。
【0039】
(試験例2)
実施例1、3、5および6の方法で製造したゲル状組成物を、45および50℃で1カ月間保存した。保存開始前、1カ月後にそれぞれのサンプルの性状を目視で検査し、それぞれのサンプルの10%水溶液を調製してpHを測定した。また、スプレッドメーターを用いて、展延性を測定しゲルの固さを評価した。展延性は、測定開始60秒後の組成物の直径を、直交する縦軸と横軸の平均値から算出した。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【0042】
【表3】

【0043】
【表4】

【0044】
各処方例の性状は、白色ゲル状のクリームであり、上記の条件で1カ月間保存しても変化はみられなかった。また、表2および3に示したように、展延性およびpHにも変化は認められなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスコルビン酸グルコシド、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、pH調整剤および水を含む外用組成物。
【請求項2】
pH調整剤がアルカリ金属の水酸化物および/またはアルカノールアミンである請求項1に記載の外用組成物。
【請求項3】
アルキル変性カルボキシビニルポリマーを0.3〜1%含むことを特徴とする請求項1または2に記載の外用組成物。
【請求項4】
外用組成物の性状がゲルである請求項1乃至3のいずれかに記載の外用組成物。
【請求項5】
油成分および/または乳化剤を含む請求項1乃至4のいずれかに記載の外用組成物。
【請求項6】
油成分が炭化水素、高級アルコール、エステル油および脂溶性ビタミンからなる群から選ばれる1種以上である請求項5に記載の外用組成物。
【請求項7】
乳化剤が非イオン性界面活性剤である請求項5に記載の外用組成物。
【請求項8】
非イオン性界面活性剤がポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群から選ばれる1種以上である請求項7に記載の外用組成物。





【公開番号】特開2006−8709(P2006−8709A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−274814(P2005−274814)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【分割の表示】特願2002−125036(P2002−125036)の分割
【原出願日】平成14年4月25日(2002.4.25)
【出願人】(000000217)エーザイ株式会社 (102)
【Fターム(参考)】