説明

外部線束密度を測定することによる電気機械の非侵襲的監視及び診断

【課題】電気機械を監視するシステム及び方法を提供すること。
【解決手段】電気機械(105)の外部にある1つ又はそれ以上のポイントにおいて、電気機械(105)に関連する磁界(400)が測定され、それぞれの磁界値は1つ又はそれ以上のポイントの各々に関連付けられる。1つ又はそれ以上の磁界値は、1つ又はそれ以上の対応する期待値と比較され、この比較に少なくとも部分的に基づいて、電気機械(105)内に故障が存在するかどうかが判定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機械を監視するためのシステム及び方法に関し、より具体的には、外部線束密度を測定することによる電気機械の非侵襲的監視を行うシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気モータ及び発電機などの電気機械は、幅広い用途で利用されている。電気機械の製品寿命及び運転の間は、欠陥、故障、及び/又は発生し得る他のメンテナンス上の問題を識別するために、機械を監視することが望ましい場合が多い。
【0003】
電気機械を監視する従来の方法は、オフラインの間に電気機械を監視する種々の方法と、オンラインの間に電気機械を監視する方法とを含む。しかしながら、オフラインの間に電気機械を監視する方法には、電気機械の電源を切ることを必要とし、電気機械による仕事及び/又は発電の損失につながる。
【0004】
オンラインの間に電気機械を監視する従来の方法は、温度、電圧、及び/又は電流測定値など、電気機械に関連する種々の測定を行うために電気機械内に種々のセンサを配置することを含む。しかしながら、電気機械内のセンサの配置は、多くの場合少なくとも部分的に機械の分解を必要とする侵襲的プロセスである。加えて、電気機械に関連する多数の可動部品を考えると、あらゆる望ましい位置にセンサを配置することが実現可能ではないことが多い。
【0005】
従って、電気機械を監視するための改善されたシステム及び方法に対する必要性がある。また、オンラインの間に電気機械を監視する改善されたシステム及び方法に対する必要性がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明の1つの実施形態によれば、電気機械を監視するための方法が提供される。電気機械に関連する磁界は、電気機械の外部にある1つ又はそれ以上のポイントにおいて測定され、それぞれの磁界値は1つ又はそれ以上のポイントの各々に関連付けられる。1つ又はそれ以上の磁界値は、1つ又はそれ以上の対応する期待値と比較され、この比較に少なくとも部分的に基づいて、電気機械内に故障が存在するかどうかが判定される。
【0007】
本発明の別の実施形態によれば、電気機械を監視するためのシステムが提供される。本システムは、少なくとも複数のセンサ及び制御ユニットを含むことができる。複数のセンサは、電気機械の外部にある複数のそれぞれのポイントで電気機械に関連する磁界を測定するよう動作される。制御ユニットは、複数のセンサから複数の測定値を受け取り、複数の測定値に少なくとも部分的に基づいて磁界の合成値を求めるように動作する。制御ユニットは更に、合成値を磁界の1つ又はそれ以上の期待値と比較し、該比較に少なくとも部分的に基づいて、電気機械内に故障が存在するかどうかを判定するよう動作する。
【0008】
本発明の更に別の実施形態によれば、電気機械を監視するための方法が提供される。電気機械に関連する磁界の少なくとも1つの値が求められる。少なくとも1つの求められた値が少なくとも1つの対応する期待値と比較される。本方法はまた、該比較に少なくとも部分的に基づいて電気機械内に故障が存在するかどうかを判定する段階を含む。
【0009】
本発明の他の実施形態、態様、特徴、及び利点は、当業者であれば、以下の詳細な説明、添付図面、及び添付の請求項から明らかになるであろう。
【0010】
以上では本発明を一般的に述べたが、ここで、必ずしも縮尺通りに描かれている訳ではない添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の例示的な実施形態による、電気機械を監視するのに利用することができるシステムの一実施例の概略図。
【図2】本発明の種々の実施形態に従って利用することができる制御ユニットの一実施例のブロック図。
【図3】本発明の例示的な実施形態による、電気機械を監視する方法の一実施例のフローチャート。
【図4A】本発明の例示的な実施形態による、電気機械の故障を識別する1つの実施例のグラフィカル表現。
【図4B】本発明の例示的な実施形態による、電気機械の故障を識別する1つの実施例のグラフィカル表現。
【図5A】本発明の例示的な実施形態による、電気機械の故障を識別する別の実施例のグラフィカル表現。
【図5B】本発明の例示的な実施形態による、電気機械の故障を識別する別の実施例のグラフィカル表現。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の全てではなく一部の態様を示している添付図面を参照しながら、本発明の例示的な態様を以下においてより完全に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載した態様に限定されると解釈すべきではなく、むしろこれらの態様は、本開示が適用可能な法的要件満足するように提示するものである。本明細書及び図面全体を通して、同じ参照符号は同じ要素を示している。
【0013】
幾つかの図面全体を通じて同じ参照符号が同じ要素を示す図を参照して本発明の例示的な態様を説明する。
【0014】
電気機械を監視するためのシステム及び方法が開示される。1つの実施形態において、1つ又はそれ以上の好適なセンサにより、電気機械の外部の1つ又は複数のポイントにおける電気機械に関連する磁界の測定を可能にすることができる。測定磁界は、1つ又はそれ以上の予め記憶された又は予め設定された磁界期待値と比較することができる。この比較に少なくとも部分的に基づいて、故障又は非対称性を診断、識別、又は特定することができる。この点に関して、非侵襲的な方式で電気機械をその動作中に監視することができる。本発明の種々の実施形態を利用して、例えば電気モータ及び発電機のような幅広い電気機械を監視することができる点は理解されるであろう。
【0015】
図1は、本発明の例示的な実施形態による、電気機械を監視するのに利用することができるシステム100の一実施例の概略図である。システム100は、とりわけ、電気機械105、1つ又はそれ以上のセンサ110A−N、及び制御ユニット115のような少なくとも1つの好適な制御ユニットを含むことができる。
【0016】
電気機械105は、関連する磁界、電界、及び/又は電気磁界を発生、放出、又は有することが可能な何らかの電気機械とすることができる。例えば、監視される電気機械105は、何らかのモータ又は発電機とすることができる。本発明の幾つかの実施形態において、電気機械105は、ブラシレス直流(DC)モータとすることができる。例証として、ブラシレスDCモータは、本明細書では監視することができる電気機械105として記載される。
【0017】
1つ又はそれ以上のセンサ110A−Nは、電気機械105に関連する場の測定を可能にする幾つかの好適なセンサを含むことができる。本発明の一態様によれば、1つ又はそれ以上のセンサ110A−Nの各々は、電気機械105によって発生され又はこれに関連する1つ又はそれ以上の磁界を測定するよう動作することができる。本発明の幾つかの実施形態において、1つ又はそれ以上のセンサ110A−Nの各々は、電気機械105の外部線束密度を測定するよう動作することができる。例えば、1つ又はそれ以上のフラックスゲート磁力計或いは他の磁束センサは、電気機械105によって発生され又はこれに関連する1つ又はそれ以上の磁界を測定するために必要に応じて利用することができる。本発明の一態様によれば、本発明の種々の実施形態において必要に応じて1つ又はそれ以上のベクトルフラックスゲート磁力計を利用することができるが、例えば、回転コイル磁力計、ホール効果磁力計、陽子精密磁力計、オーバーハウザー磁力計、及び/又はセシウム蒸気磁力計など、幅広い様々なタイプの磁力計を利用できる点は理解されるであろう。本発明の幾つかの実施形態ではスカラー又はベクトル磁力計の何れかを利用することができる。加えて、磁界強度、伏角、及び/又は偏角の識別を容易にするために、本発明の幾つかの実施形態では直交ベクトル磁力計を利用することができる。
【0018】
1つ又はそれ以上のセンサ110A−Nは、電気機械105によって発生され又はこれに関連する1つ又はそれ以上の磁界に基づいて電気機械105の監視を容易にするシステム100において利用されるセンサとして説明されるが、本発明の幾つかの実施形態はまた、電気機械によって発生され又はこれに関連する1つ又はそれ以上の電界及び/又は磁界に基づいて電気機械105を監視することができる点は理解されるであろう。
加えて、本発明の幾つかの実施形態は、電気機械によって発生され又はこれに関連する場の異なるタイプの組み合わせに基づいて電気機械105を監視することができる点は理解されるであろう。
【0019】
本発明の1つの態様によれば、1つ又はそれ以上のセンサ110A−Nを電気機械105の外部に位置付けることができる。この点に関して、電気機械105は非侵襲的手法で監視することができる。加えて、電気機械105は、オンラインの間、又は動作している間に監視することができる。図1では、1つ又はそれ以上のセンサ110A−Nが電気機械105の外部に位置付けられているように図示されているが、本発明の幾つかの実施形態では必要に応じて、これに加えて1つ又はそれ以上のセンサを電気機械105の内部に位置付けるか又は他の方法で取り付けてもよい点は理解されるであろう。
【0020】
1つ又はそれ以上のセンサ110A−Nは各々、図1に距離「d」として示されるように、電気機械105からほぼ等距離に位置付けることができる。本発明の種々の実施形態では、例えば約1メートルの距離など、多様な距離「d」を用いることができる点は理解されるであろう。加えて、本発明の幾つかの実施形態では、電気機械105から異なる距離に位置付けられる複数のセンサを利用することもできる。
【0021】
本発明の幾つかの実施形態では、必要に応じてあらゆる数のセンサ110A−Nを利用することができる。本発明の1つの態様によれば、センサ110A−Nの数を増やすことによって、電気機械105によって発生され又はこれに関連する磁界の測定及び/又は特定についてのより高い解像度及び/又は精度を達成することができる。加えて、利用されるセンサ110A−Nの数を増やすと、システム100の感度及び電気機械105の1つ又はそれ以上の故障を識別する能力を向上させることができる。また、センサ110A−Nの数を増やすことで、電気機械105内の検出される故障の位置特定を容易にし、及び/又は支援することができる。
【0022】
引き続き図1を参照すると、制御ユニット115のような少なくとも1つの制御ユニットを備えることができる。本開示においては、単一の制御ユニットが利用されると仮定する。本発明の種々の実施形態において、例えば、パーソナルコンピュータ、マイクロコンピュータ、特定用途回路、ミニコンピュータ、その他など、幅広い様々なタイプの制御ユニットを利用することができる。
【0023】
制御ユニット115は、例えば、有線接続、無線接続、ローカルエリアネットワーク接続、直接接続、ワイドエリアネットワーク接続、インターネット、その他など、あらゆる数の好適なネットワーク接続を介して1つ又はそれ以上のセンサ110A−Nと通信することができる。制御ユニット115は、ネットワーク接続を介して1つ又はそれ以上のセンサ110A−Nから測定データを受信することができる。1つ又はそれ以上のセンサ110A−Nによりアナログ測定値が出力される場合には、制御ユニット115に通信する前に、アナログ測定値をあらゆる数の好適なアナログデジタル変換器により処理又は変換することができる点は理解されるであろう。
【0024】
制御ユニット115はまた、電気機械105及び/又は該電気機械105の動作を制御するあらゆる数の制御ユニット、コントローラ、及び/又は制御システム(図示せず)と通信することができる。或いは、制御ユニット115は、電気機械105の動作を制御することができる。この点に関して、制御ユニット115は、例えば、電気機械105の動作モード(例えばオン/オフ、オンライン/オフライン)に関連するデータ、電気機械105の回転及び/又は回転方向に関連するデータ、電気機械105の回転速度及び/又は速度に関連するデータ、電気機械105のトルクに関連するデータ、電気機械105の力率に関連するデータ、電気機械105の負荷に関連するデータ、その他など、電気機械105の動作に関連するデータを受信することができる。電気機械105の動作に関連する様々なデータは、必要に応じて制御ユニット115が監視及び/又は受信し、更に本発明の種々の実施形態において利用することができる。
【0025】
制御ユニット115は、1つ又はそれ以上のセンサ110A−Nから受信した測定値を利用して、電気機械105を監視し、電気機械105の何らかの故障及び/又は非対称性を識別するようにすることができる。制御ユニット115は、電気機械105によって発生され又はこれに関連する磁界に関する測定値を1つ又はそれ以上の予め記憶された又は予め設定された磁界期待値と比較することができる。この比較に少なくとも部分的に基づいて、電気機械105の故障又は非対称性を制御ユニット115が診断、識別、又は特定することができる。予め記憶された又は予め設定された磁界期待値は、制御ユニット115に関連する1つ又はそれ以上の好適なメモリデバイス内に記憶することができる。期待値は、電気機械105のシミュレーション、或いは1つ又はそれ以上の試験又は制御期間の間の電気機械105又は同様の機械を監視することによるなど、様々な異なる発生源から入手することができる。
【0026】
測定データを期待値と比較する実施例として、制御ユニット115は、受信した測定データを磁界の1つ又はそれ以上の期待値又は1つ又はそれ以上の範囲の期待値と比較することができる。期待値又は期待値の範囲は、電気機械105が通常の及び/又は許容可能なパラメータ又は条件で動作している場合の電気機械105の期待磁界を表すことができる。制御ユニット115は、受信した測定データと1つ又はそれ以上の期待値との間に差違又は不一致が存在する場合、電気機械105の故障を識別することができる。
【0027】
加えて、電気機械105によって発生され又はこれに関連する1つ又はそれ以上の磁界を測定するために複数のセンサ110A−Nを利用する場合には、それぞれのセンサ110A−Nから受信した複数の個々の測定値に少なくとも部分的に基づいて、電気機械105によって発生され又はこれに関連する磁界の合成値を求めることができる点は理解されるであろう。言い換えると、磁界は、種々の構成要素の合計として表すことができる。本発明の幾つかの実施形態によれば、磁界の合成値は、受信した測定データの少なくとも一部に基づいて求めることができる。加えて、本発明の幾つかの実施形態において、磁界は、必要に応じて球面又は円筒調和関数に分解することができ、調和関数は1つ又はそれ以上の期待値と比較することができる。
【0028】
制御ユニット115が電気機械105の動作に関連するデータを監視及び/又は受信する本発明の実施形態において、電気機械105の動作に関連するデータの少なくとも一部に少なくとも部分的に基づいて1つ又はそれ以上の期待値(又は1つ又はそれ以上の期待値の範囲)を求めることができる点は、理解されるであろう。予め設定された期待値に対して調整を実施することができ、或いは、電気機械105の動作に関連するデータに少なくとも部分的に基づいた様々な値のグループから予め設定された期待値を選択することができる。
【0029】
本発明の幾つかの実施形態によれば、制御ユニット105は、電気機械105で識別されるあるタイプの故障又は非対称性を特定することができる。電気機械105内にある故障又は非対称性が存在すると、電気機械105が放出する比較的予測可能な磁界をもたらす可能性がある。制御ユニット105は、電気機械105により放出される磁界の認識に少なくとも部分的に基づいてあるタイプの故障又は非対称性を識別することができる。故障タイプの識別は、例えば双極子のような放出磁界に関連する特定の特徴を認識、診断、又は識別することによって達成することができる。加えて、故障タイプの識別は、測定データの少なくとも一部を故障タイプに関連する1つ又はそれ以上の予め記憶された又は予め設定されたデータ値と比較することに少なくとも部分的に基づくことができる。
【0030】
本開示において、故障タイプに関連する1つ又はそれ以上の予め記憶された又は予め設定されたデータ値は、「故障シグニチャ」と呼ぶことができる。本発明の幾つかの実施形態によれば、測定データの少なくとも一部は、1つ又はそれ以上の故障署名と比較することができ、故障タイプは、比較に少なくとも部分的に基づいて識別することができる。故障タイプが識別されると、電気機械105の特有のメンテナンス及び/又は補修を可能にするために、適切なメンテナンス勧告を行うことができる。
【0031】
本発明の実施形態に従って、必要に応じて様々な異なる故障タイプ及び/又は非対称性を識別することができる。電気機械105において識別することができる故障タイプ及び/又は非対称性の実施例は、限定ではないが、不平衡磁極、ロータ偏心、ステータ偏心、コア透磁率の領域、コア短絡の領域、コア燃焼の領域、短絡界磁巻線、負荷アンバランス、励起、地絡、及び/又は電気機械105の種々の構成部品の不整合を含む。
【0032】
図2は、例えば図1に図示する制御ユニット115のような、本発明の種々の実施形態に従って利用することができる制御ユニットの一実施例のブロック図である。制御ユニット115は、本発明の実施形態によるプログラムドロジック215(例えばソフトウェア)を記憶するメモリ205を含むことができる。また、メモリ205は、本発明の動作で利用されるデータ220とオペレーティングシステム225とを含むことができる。データ220は、例えば、センサ110A−Nなどの1つ又はそれ以上のセンサから受け取った1つ又はそれ以上の測定値を含むことができ、これらのセンサを利用して、電気機械105のような監視される電気機械によって発生され又はこれに関連する磁界を測定する。データ220はまた、磁界の1つ又はそれ以上の期待値及び/又は識別することができる故障タイプに関連する1つ又はそれ以上の期待値を含むことができる。プロセッサ210は、オペレーティングシステム225を利用して、プログラムドロジック215を実行することができ、このようにすることでデータ220も利用することができる。データバス235は、メモリ205とプロセッサ210との間での通信を可能にすることができる。制御ユニット115は、1つ又はそれ以上の好適な入出力(I/O)インタフェース240を介してセンサ110A−Nのような外部デバイスと通信することができる。ユーザは、キーボード、マウス、制御パネル、又は制御ユニット115にデータを通信することができるあらゆる他のデバイスなど、1つ又はそれ以上のインタフェースデバイス245を介して制御ユニット115とインタフェース接続することができる。制御ユニット115及びこのようにして実装されるプログラムドロジック215は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はこれらの何らかの組み合わせを含むことができる。更に、本発明の実施形態に従って利用される好適な制御ユニットは、図2に示す構成要素の全てよりも多いか又は少ない構成要素を含むことができる。
【0033】
図3は、本発明の例示的な実施形態による、電気機械を監視する方法300の一実施例のフローチャートである。本方法を利用して、例えば、図1に示す電気機械105などの様々な異なる電気機械を監視することができる。本方法300はブロック305で始まることができる。
【0034】
ブロック305では、電気機械105の外部にある1つ又はそれ以上のポイントで外部線束密度を測定又は求めることができる。加えて、或いは代替として、電気機械105によって発生され又はこれに関連する磁界は、電気機械105の外部にある1つ又はそれ以上のポイントで測定又は求めることができる。外部線束密度又は発生磁界の測定は、例えば、図1に示すセンサ110A−Nのような1つ又はそれ以上のそれぞれのセンサにより可能にすることができる。ブロック305での測定後、動作はブロック310に続くことができる。
【0035】
ブロック310では、本発明の幾つかの実施形態では任意選択とことができるが、電気機械105によって発生され又はこれに関連する磁界の合成値を求めることができる。電気機械105によって発生され又はこれに関連する磁界の合成値は、それぞれのセンサ110A−Nから受け取った複数の個々の測定値の統合に少なくとも部分的に基づいて求めることができる。換言すると、磁界は、種々の成分の合計として表すことができる。ブロック310での合成磁界値の決定に続いて、動作はブロック315に続くことができる。
【0036】
ブロック315では、合成磁界値であるか又は1つ又はそれ以上の個々の測定値であるかに関わらず、測定された磁界は、磁界の1つ又はそれ以上の予め記憶された又は予め設定された期待値又は期待値の範囲と比較することができる。電気機械105の故障及び/又は非対称性は、この比較に少なくとも部分的に基づいて識別することができる。
【0037】
ブロック320では、何らかの故障及び/又は非対称性が識別されるかどうかに関しての判定を行うことができる。ブロック320で、故障又は非対称性が識別されない、又は存在しないと判定された場合、動作はブロック305に続き、電気機械105を引き続き監視することができる。或いは、方法300は終了することもできる。しかしながら、ブロック320で、比較に少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つの故障及び/又は非対称性が識別されたと判定された場合には、動作はブロック325に続くことができる。
【0038】
ブロック325では、故障タイプ又は識別された故障の原因を特定することができる。
故障タイプは、測定磁界値を電気機械105が診断することができる種々の故障タイプに関連する1つ又はそれ以上の予め設定された又は予め記憶された故障シグニチャと比較することによって特定することができる。本発明の実施形態において、必要に応じて様々な異なる故障タイプを試験して識別することができる点は理解されるであろう。
【0039】
本方法300は、次のブロック325で終了することができ、或いは、動作はブロック305に続くことができ、電気機械105を引き続き監視することができる。
【0040】
図3に示す方法300を参照しながら上述した動作は、必ずしも図に記載した順序で実施しなければならない訳ではなく、あらゆる好適な順序で実施してもよい。加えて、本発明の幾つかの実施形態において、図3に記載の動作の全てよりも多いか又は少ない動作を実施してもよい。
【0041】
図4A及び4Bは、本発明の例示的な実施形態による、電気機械の故障を識別する1つの実施例のグラフィカル表現を示している。図4A及び4Bの説明において、監視される電気機械はブラシレスDC同期モータと仮定する。モータはまた、6極表面搭載マグネット機械とすることができる。
【0042】
図4Aは、モータの極が適切に平衡されている状況においてモータが生成することができる磁界400のグラフィカル表現である。図4Aを参照すると、モータ及び6極配置により生成される磁界400が図示されている。図4Aに示す磁界400は、モータから約1メートルの距離で測定された磁界の磁位である。合成場が種々の測定場成分から求められ、合成場が図4Aに例示されている。
【0043】
図4Bは、6極モータが非平衡な状況においてモータによって発生され又はこれに関連することができる磁界405のグラフィカル表現である。図4Aと同様に、図示の磁界405は、モータから約1メートルの距離での合成磁位である。図4Bは、磁極(すなわちマグネット)の1つが比較的小さな割合だけ減衰している状況での磁界405を示している。この減衰は、モータ内でのコア燃焼によって引き起こされる可能性がある。
【0044】
図4Bに示すように、双極子410は、極の方向が異なる状況で生成することができる。本発明の種々の実施形態によりこの双極子を識別することができ、非平衡モータを診断することができる。
【0045】
図5A及び5Bは、本発明の例示的な実施形態による、電気機械の故障を識別する別の実施例のグラフィカル表現である。図5Aは、ステータ内にノッチ510を含むブラシレスDC同期モータ505を示している。ノッチ510は、図5Bにおいて515として示される、モータ505により発生した磁界内の比較的大きな双極子を生じさせることができる。双極子515又は双極子構成要素は、本発明の種々の実施形態により識別され、ノッチ510に由来することができる。
【0046】
図4A、4B、5A及び5Bに示す実施例は、単に、本発明の幾つかの実施形態によって識別することができる故障の異なるタイプを示している。種々の異なるタイプの故障を本発明の種々の実施形態によって必要に応じて識別することができる点は理解されるであろう。
【0047】
システム、方法、装置、及びコンピュータプログラム製品のブロック図を参照しながら本発明の種々の実施形態を説明した。ブロック図の各ブロック及びブロック図のブロックの組み合わせはそれぞれ、コンピュータプログラム命令により実装することができることは、理解されるであろう。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラマブルデータ処理装置上にロードされて機械を構成し、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置上で実行される命令が、以下の説明で詳細に検討するブロック図の各ブロック又はブロック図のブロックの組み合わせの機能を実装する手段をもたらすようになる。
【0048】
これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置に特定の方式で機能するよう指示することができるコンピュータ可読メモリ内に記憶され、コンピュータ可読メモリ内に記憶された命令が、1つ又は複数のブロックで指定される機能を実装する命令手段を含む製造物をもたらすようにすることができる。コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置上にロードされ、一連の演算要素をコンピュータ又は他のプログラマブル装置上で実行して、コンピュータ又は他のプログラマブル装置上で実行する命令が1つ又は複数のブロックで指定される機能を実装する要素を提供するようなコンピュータ実装プロセスをもたらすことができる。
【0049】
従って、ブロック図のブロックは、指定機能を実行する手段の組み合わせ、指定機能を実行する要素の組み合わせ、及び指定機能を実行するプログラム命令手段をサポートする。また、ブロック図の各ブロック及びブロック図のブロックの組み合わせは、指定機能又は要素、或いは専用ハードウェア及びコンピュータ命令の組み合わせを実行する専用ハードウェアベースコンピュータシステムによって実装することができる点は、理解されるであろう。
【0050】
本発明の種々の実施形態は、コンピュータのオペレーションプログラム上で動作するアプリケーションプログラムを通じて実装することができる。こうした実施形態はまた、ハンドヘルドデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロコンピュータベース又はプログラマブル家電製品、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、その他を含む他のコンピュータシステム構成でも実施することができる。
【0051】
本発明の実施形態の構成要素であるアプリケーションプログラムは、特定の抽象データ型を実施して特定のタスク又は動作を実行するルーチン、プログラム、コンポーネント、データ構造、その他を含むことができる。分散コンピューティング環境では、アプリケーションプログラム(全体又は部分的)は、ローカルメモリ又は他の記憶装置に配置することができる。これに加えて又は代替として、アプリケーションプログラム(全体又は部分的)は、リモートメモリ又は記憶装置に配置し、通信ネットワークを通じてリンクされたリモート処理デバイスによりタスクが行われる本発明の実施を可能にすることができる。
【0052】
上記の説明に関連し、該説明及び関連する図面において提示された本発明の教示の利点を有する当業者であれば、ここに記載された本発明の多くの変更形態及び他の実施形態が想起されるであろう。よって、本発明は、上述の例示的な実施形態に限定されるべきではなく、変更形態及び他の実施形態が添付の請求項の範囲内に含まれることが意図される点を理解されたい。本明細書では特定の用語が利用されているが、これらは、限定の目的ではなく、一般的及び説明的な意味でのみ用いられる。
【符号の説明】
【0053】
100 システム
105 電気機械
110A−N センサ
115 制御ユニット
205 メモリ
210 プロセッサ
215 プログラムドロジック
220 データ
225 オペレーティングシステム
235 データバス
240 I/Oインタフェース
245 ユーザインタフェースデバイス
300 方法
305 ブロック
310 ブロック
315 ブロック
320 ブロック
325 ブロック
400 磁界
405 磁界
410 双極子
505 モータ
510 ノッチ
515 双極子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械(105)を監視するための方法であって、
前記電気機械(105)の外部にある1つ又はそれ以上のポイントにおいて前記電気機械に関連する磁界(400)を測定する段階と、
測定された1つ又はそれ以上の磁界の値を1つ又はそれ以上の対応する期待値と比較する段階と、
前記比較に少なくとも部分的に基づいて、前記電気機械(105)内に故障が存在するかどうかを判定する段階と、
を含む方法。
【請求項2】
前記電気機械(105)の外部にある1つ又はそれ以上のポイントにおいて磁界(400)を測定する段階が、前記電気機械(105)の外部にある複数のポイントにおいて磁界を測定する段階を含み、
前記方法が更に、
前記複数の測定値に少なくとも部分的に基づいて前記磁界(400)の合成値を求める段階を含み、
前記1つ又はそれ以上の磁界値を1つ又はそれ以上の対応する期待値と比較する段階が、求められた前記合成値を期待合成値と比較する段階を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の測定値に少なくとも部分的に基づいて磁界の合成値を求める段階が、前記複数の測定値の統合に少なくとも部分的に基づいて合成値を求める段階を含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ又はそれ以上の測定磁界値を1つ又はそれ以上の対応する期待値と比較段階が、前記1つ又はそれ以上の測定磁界値を期待値の1つ又はそれ以上の対応する範囲と比較する段階を含む、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
故障が存在すると判定された場合に、前記方法が更に、
前記1つ又はそれ以上の測定磁界値を前記故障のタイプに関連する1つ又はそれ以上の対応する期待値と比較することに少なくとも部分的に基づいて、前記故障に関連する故障タイプを識別する段階を含む、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記電気機械(105)に関連する磁界(400)を測定する段階が、前記電気機械(105)がオンラインの間に磁界を測定する段階を含む、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記電気機械(105)の外部にある1つ又はそれ以上のポイントにおいて前記電気機械(105)に関連する磁界(400)を測定する段階が、前記1つ又はそれ以上のポイントに対応する1つ又はそれ以上の磁力計を用いて前記磁界を測定する段階を含む、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【公開番号】特開2009−247203(P2009−247203A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77902(P2009−77902)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】