説明

多層プリント配線板の絶縁層用樹脂組成物

【課題】 多層プリント配線板の絶縁層としての使用に好適なエポキシ樹脂組成物であって、粗化処理後の粗化面の粗度が比較的小さいにもかかわらず、該粗化面がメッキ導体に対して高い密着力を示す絶縁層(層間絶縁層)を達成し得るエポキシ樹脂組成物の提供。
【解決手段】 (A)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、(B)1分子中の平均水酸基含有率P((総水酸基数/総ベンゼン環数)の平均値)が0<P<1であるフェノール系硬化剤、(C)フェノキシ樹脂、及び(D)ゴム粒子を含有することを特徴とする、エポキシ樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層プリント配線板の絶縁層形成に好適な、エポキシ樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化、高性能化が進み、多層プリント配線板においては、ビルドアップ層が複層化され、配線の微細化及び高密度化も一層進んでいる。高密度の微細配線を形成するのに適した導体形成方法として、絶縁層表面を粗化処理後、無電解メッキで導体層を形成するアディティブ法と、無電解メッキと電解メッキで導体層を形成するセミアディティブ法が知られている。これらの方法においては、絶縁層とメッキ導体層(メッキ銅)との密着性は主に粗化処理によって形成された絶縁層表面(樹脂表面)の凹凸によって確保している(つまり、絶縁層表面(樹脂表面)が凹凸を有することでメッキ層との間にアンカー効果が得られる。)。従って、密着力を高めるには、絶縁層表面の凹凸の程度(粗度)をより大きくすることが考えられる。
【0003】
しかしながら、配線のさらなる高密度化のためには絶縁層表面(樹脂表面)の粗度は小さいのが好ましい。即ち、無電解メッキ、電解メッキにより導体層(メッキ層)を形成後、フラッシュエッチングにより薄膜のメッキ層を取り除いて配線形成を完了させる際、絶縁層表面(樹脂表面)の粗度が大きいと、凹部に潜り込んだメッキ残渣(スミア)を取り除くために長時間のフラッシュエッチが必要となり、フラッシュエッチを長時間行うと、その影響で微細配線が損傷または断線する危険性が高くなってしまう。従って、高信頼性の高密度配線を形成するためには、絶縁層表面には粗化処理後の粗度が小さくてもメッキ導体との密着性に優れることが要求されるが、これまでこのような性状の粗化面を形成できる絶縁材料は開発されていない。
【0004】
特許文献1には、特定の2種類のエポキシ樹脂と、フェノール系硬化剤、特定の熱可塑性樹脂(ポリビニルアセタール、フェノキシ樹脂等)及び無機充填材を特定の割合で含むエポキシ樹脂組成物が、多層プリント配線板の絶縁層に使用した場合に、熱膨張率が低く、メッキにより形成される導体層のピール強度に優れることが開示されている。
【0005】
特許文献2には、エポキシ樹脂、多価ヒドロキシ樹脂硬化剤、ビスフェノールA型又はF型フェノキシ樹脂、特定のゴム成分および硬化促進剤を特定量含むエポキシ樹脂組成物が、多層プリント配線板の絶縁層等に使用した場合に、耐熱性、機械的強度、フィルム支持性等に優れることが開示されている。
【0006】
特許文献3には、エポキシ樹脂、特定のフェノールビフェニルアラルキル型樹脂硬化剤、特定のフェノキシ樹脂、特定のゴム成分、硬化促進剤を特定量含むエポキシ樹脂組成物が、多層プリント配線板の絶縁層等に使用した場合に、耐熱性、機械的強度、フィルム支持性等に優れることが開示されている。
【0007】
しかしながら、これら各種の樹脂組成物を開示する特許文献においても、絶縁層に用いた場合に、低粗度かつ高ピール強度となる樹脂組成物は開示されておらず、またそのような解決課題も提示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−154727号公報
【特許文献2】特開2003−286390号公報
【特許文献3】特開2004−286391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたもので、その解決しようとする課題は、多層プリント配線板の絶縁層としての使用に好適なエポキシ樹脂組成物であって、粗化処理後の粗化面の粗度が比較的小さいにもかかわらず、該粗化面がメッキ導体に対して高い密着力を示す絶縁層(層間絶縁層)を達成し得るエポキシ樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、エポキシ樹脂に、フェノキシ樹脂、特定のフェノール系硬化剤及びゴム粒子を配合したエポキシ樹脂組成物において、該エポキシ樹脂を硬化して得られる硬化物を粗化処理すると、得られる粗化面は粗度が比較的小さくてもメッキ導体と高い密着力で密着し得るものとなることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] (A)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、(B)1分子中の平均水酸基含有率P((総水酸基数/総ベンゼン環数)の平均値)が0<P<1であるフェノール系硬化剤、(C)フェノキシ樹脂、及び(D)ゴム粒子を含有することを特徴とする、エポキシ樹脂組成物。
[2] 成分(B)のフェノール系硬化剤が、下式(1)又は(2)で表されるフェノール系硬化剤である、上記[1]記載のエポキシ樹脂組成物。
【0012】
【化1】

【0013】
(式中、R1〜R4は各々独立して、水素原子又はアルキル基を示し、X1はそれぞれアルキル基で置換されていてもよい、ベンゼン環、ヒドロキシベンゼン環、ナフタレン環又はヒドロキシナフタレン環を示し、Yはそれぞれアルキル基で置換されていてもよい、ベンゼン環、ヒドロキシベンゼン環又はビフェニル環を示し、j及びkはそれぞれ平均値で1〜15の数を示す。)
【0014】
【化2】

【0015】
(式中、R5は水素原子又はアルキル基を示し、R6は水素原子、アルキル基又はチオアルキル基を示し、X2はそれぞれアルキル基で置換されていてもよい、ベンゼン環又はナフタレン環を示し、j及びkはそれぞれ平均値で1〜15の数を示し、mは1〜5の整数を示す。)
[3] 成分(B)のフェノール系硬化剤が、下式(1’)又は(2’)で表されるフェノール系硬化剤である、上記[1]記載のエポキシ樹脂組成物。
【0016】
【化3】

【0017】
(式中、R1〜R4は各々独立して、水素原子又はアルキル基を示し、X1はそれぞれアルキル基で置換されていてもよい、ベンゼン環、ヒドロキシベンゼン環、ナフタレン環又はヒドロキシナフタレン環を示し、Yはそれぞれアルキル基で置換されていてもよい、ベンゼン環、ヒドロキシベンゼン環又はビフェニル環を示し、nは平均値で1〜15の数を示す。)
【0018】
【化4】

【0019】
(式中、R5は水素原子又はアルキル基を示し、R6は水素原子、アルキル基又はチオアルキル基を示し、X2はそれぞれアルキル基で置換されていてもよい、ベンゼン環又はナフタレン環を示し、nは平均値で1〜15の数を示す、mは1〜5の整数を示す。)
[4] 成分(B)のフェノール系硬化剤が、下式(3)〜(5)のいずれかで表されるフェノール系硬化剤である、上記[1]記載のエポキシ樹脂組成物。
【0020】
【化5】

【0021】
(式中、R7は水素原子又はメチル基を示し、Zはナフタレン環を示し、nは平均値で1〜15の数を示す。)
【0022】
【化6】

【0023】
(式中、R8およびR9はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を示し、nは平均値で1〜15の数を示す。)
【0024】
【化7】

【0025】
(式中、R10は水素原子又はメチル基を示し、nは平均値で1〜15の数を示す。)
[5] 成分(B)のフェノール系硬化剤が下式(6)で表されるフェノール系硬化剤である、[1]記載のエポキシ樹脂組成物。
【0026】
【化8】

【0027】
(式中、R11は水素原子、メチル基又はチオメチル基を示し、nは平均値で1〜15の数を示す。)
[6] 成分(B)のフェノール系硬化剤が下式(7)で表されるフェノール系硬化剤である、上記[1]記載のエポキシ樹脂組成物。
【0028】
【化9】

【0029】
(式中、R12は水素原子、メチル基又は水酸基を示し、R13は水素原子又はメチル基を示し、Zはナフタレン環を示し、nは平均値で1〜15の数を示す。)
[7] 成分(A)のエポキシ樹脂が、(A1)1分子中に2以上のエポキシ基を有し、温度20℃で液状の芳香族系エポキシ樹脂である、第1のエポキシ樹脂、および(A2)1分子中に3以上エポキシ基を有し、温度20℃で固体状の芳香族系エポキシ樹脂である、第2のエポキシ樹脂を含有する、上記[1]〜[6]いずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[8] 成分(A2)の第2のエポキシ樹脂のエポキシ当量が230以下である、上記[7]記載のエポキシ樹脂組成物。
[9] 成分(A2)の第2のエポキシ樹脂のエポキシ当量が150〜230の範囲である、上記[7]記載のエポキシ樹脂組成物。
[10] 第1のエポキシ樹脂(A1)と第2のエポキシ樹脂(A2)の配合割合(A1:A2)が、質量比で1:0.3〜1:2の範囲である、上記[7]〜[9]いずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[11] エポキシ樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、成分(A)の含有量が10〜50質量%、成分(C)の含有量が1〜20質量%、及び成分(D)の含有量が1〜10質量%であり、エポキシ樹脂組成物中に存在するエポキシ基に対するフェノール系硬化剤のフェノール性水酸基の割合が1:0.5〜1:1.5である、上記[1]〜[10]いずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[12] エポキシ樹脂組成物が更に無機充填材を含有する、上記[1]〜[11]いずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[13] エポキシ樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、無機充填材を10〜75質量%含有する、上記[12]記載のエポキシ樹脂組成物。
[14] 上記[1]〜[13]いずれかに記載のエポキシ樹脂組成物が支持フィルム上に層形成されている接着フィルム。
[15] 上記[1]〜[13]いずれかに記載のエポキシ樹脂組成物が繊維からなるシート状補強基材中に含浸されていることを特徴とするプリプレグ。
[16] 上記[1]〜[13]いずれかに記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物により絶縁層が形成されている、多層プリント配線板。
[17] 内層回路基板上に絶縁層を形成する工程及び該絶縁層上に導体層を形成する工程を含む多層プリント配線板の製造方法であって、該絶縁層が、上記[1]〜[13]いずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を熱硬化して形成され、該導体層が、該絶縁層表面を粗化処理した粗化面に銅メッキにより形成されることを特徴とする、多層プリント配線板の製造方法。
[18] 内層回路基板上に絶縁層を形成する工程及び該絶縁層上に導体層を形成する工程を含む多層プリント配線板の製造方法であって、絶縁層が、上記[14]記載の接着フィルムを内層回路基板上にラミネートし、支持フィルムを剥離するか又はしないで、エポキシ樹脂組成物を熱硬化し、硬化後に支持フィルムが存在する場合に支持フィルムを剥離して形成され、該導体層が、該絶縁層表面を粗化処理した粗化面に銅メッキにより形成されることを特徴とする、多層プリント配線板の製造方法。
[19] 内層回路基板上に絶縁層を形成する工程及び該絶縁層上に導体層を形成する工程を含む多層プリント配線板の製造方法であって、絶縁層が、上記[15]記載のプリプレグを内層回路基板上にラミネートし、エポキシ樹脂組成物を熱硬化して形成され、該導体層が、該絶縁層表面を粗化処理した粗化面に銅メッキにより形成されることを特徴とする、多層プリント配線板の製造方法。
[20] 粗化処理が、酸化剤を使用して行われる、上記[17]〜[19]のいずれかに記載の製造方法。
[21] 粗化処理が、アルカリ性過マンガン酸溶液を使用して行われる、上記[17]〜[19]のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、粗化処理後の粗化面の粗度が比較的小さいにもかかわらず、メッキで形成される導体層との密着強度に優れる絶縁層を多層プリント配線板に簡便に導入することが可能となる。すなわち、本発明の樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層を導入して、多層プリント配線板の製造を行うと、絶縁層を酸化剤で粗化処理して得られる粗化面は粗度が比較的小さいにもかかわらず、メッキ導体(導体層)を高い密着力にて保持し得るものとなり、その結果、メッキ導体層の不要部分をフラッシュエッチングで取り除いて配線形成を完了させる際のフラッシュエッチングを短時間で行うことができる。よって、高密着強度(ピール強度)で絶縁層に密着し、しかも、損傷や断線のない、信頼性の高い高密度配線を再現性よく形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0032】
[成分(A)のエポキシ樹脂]
本発明における成分(A)の「1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂」は特に限定はされず、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert−ブチル−カテコール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0033】
成分(A)のエポキシ樹脂は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよいが、「(A1)1分子中に2以上のエポキシ基を有し、温度20℃で液状の芳香族系エポキシ樹脂である、第1のエポキシ樹脂」および「(A2)1分子中に3以上エポキシ基を有し、温度20℃で固体状の芳香族系エポキシ樹脂である、第2のエポキシ樹脂」を併用する態様が好ましい。第2のエポキシ樹脂としては、エポキシ当量が230以下であるがの更に好ましく、エポキシ当量が150〜230の範囲にあるものが特に好ましい。なお、本発明でいう芳香族系エポキシ樹脂とは、その分子内に芳香環骨格を有するエポキシ樹脂を意味する。またエポキシ当量(g/eq)は、エポキシ基1個当たりの分子量のことである。
【0034】
エポキシ樹脂(A)として、第1のエポキシ樹脂(A1)と第2のエポキシ樹脂(A2)を使用することで、樹脂組成物を接着フィルムの形態で使用する場合に、十分な可撓性を示す(取扱い性に優れた)接着フィルムを形成できると同時に、樹脂組成物の硬化物の破断強度が向上し、多層プリント配線板の耐久性が向上する。
【0035】
本発明において、「(A1)1分子中に2以上のエポキシ基を有し、温度20℃で液状の芳香族系エポキシ樹脂である、第1のエポキシ樹脂」としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert−ブチル−カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられる。なお、本発明において、当該第1のエポキシ樹脂(A1)は1種を使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、当該第1のエポキシ樹脂(A1)は、20℃未満の温度で液状であってもよい。
【0036】
このようなエポキシ樹脂としては、具体的には、HP4032(大日本インキ化学工業(株)製)、HP4032D(大日本インキ化学工業(株)製)、エピコート807(ジャパンエポキシレジン(株)製)、エピコート828EL(ジャパンエポキシレジン(株)製)、エピコート152(ジャパンエポキシレジン(株)製)等が挙げられる。
【0037】
一方、(A2)1分子中に3以上エポキシ基を有し、温度20℃で固体状の芳香族系エポキシ樹脂である、第2のエポキシ樹脂」としては、例えば、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物(トリスフェノール型エポキシ樹脂)等が挙げられる。また、当該第2のエポキシ樹脂(A2)は、樹脂組成物のガラス転移温度等の物性向上のため、エポキシ当量が230以下のものが好ましく、エポキシ当量が150〜230の範囲にあるものがさらに好ましい。従って、本発明において、当該第2のエポキシ樹脂(A2)は、「1分子中に3以上のエポキシ基を有し、エポキシ当量が230以下であり、温度20℃で固体状の芳香族系エポキシ樹脂」であるのが好ましく、「1分子中に3以上のエポキシ基を有し、エポキシ当量が150〜230であり、温度20℃で固体状の芳香族系エポキシ樹脂」であるのがより好ましい。当該第2のエポキシ樹脂(A2)は1種を使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、当該第2のエポキシ樹脂(A2)は、20℃を超える温度で固体状であってもよい。
【0038】
このようなエポキシ樹脂としては、具体的には、大日本インキ化学工業(株)製のHP4700(EXA4700)(4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、エポキシ当量163、固形)、N−690(クレゾールノボラックエポキシ樹脂、エポキシ当量208、固形)、N−695(クレゾールノボラックエポキシ樹脂、エポキシ当量208、固形)、日本化薬(株)のEPPN−502H(トリスフェノールエポキシ樹脂、エポキシ当量168、固形)、NC7000L(ナフトールノボラックエポキシ樹脂、エポキシ当量228、固形)、NC3000H(ビフェニル型エポキシ樹脂、エポキシ当量290、固形)、東都化成(株)製のESN185(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量275、固形)、ESN475(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量350、固形)等が挙げられる。
【0039】
また、エポキシ樹脂(A)として、第1のエポキシ樹脂(A1)と第2のエポキシ樹脂(A2)を併用する場合、第1のエポキシ樹脂(A1)と第2のエポキシ樹脂(A2)の配合割合(A1:A2)は質量比で1:0.3〜2の範囲が好ましく、1:0.5〜1の範囲がより好ましい。かかる範囲を超えて第1のエポキシ樹脂(A1)の割合が多すぎると、樹脂組成物の粘着性が高くなり、接着フィルムの形態で使用する場合に、真空ラミネート時の脱気性が低下しボイドが発生しやすくなる傾向にある。また真空ラミネート時に保護フィルムや支持フィルムの剥離性の低下や、硬化後の耐熱性が低下する傾向にある。また、樹脂組成物の硬化物において十分な破断強度が得られにくい傾向にある。一方、かかる範囲を超えて第2のエポキシ樹脂(A2)の割合が多すぎると、接着フィルムの形態で使用する場合に、十分な可撓性が得られず、取り扱い性が低下する、ラミネートの際の十分な流動性が得られにくいなどの傾向がある。
【0040】
本発明のエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、成分(A)のエポキシ樹脂含有量は10〜50質量%であるのが好ましく、より好ましくは20〜40質量%であり、とりわけ好ましくは20〜35質量%である。エポキシ樹脂(A)の含有量がこの範囲から外れると、樹脂組成物の硬化性が低下する傾向にある。また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明の効果が発揮される範囲(通常、エポキシ樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合に50質量%以下)で、成分(A)以外の、他のエポキシ樹脂を含んでいてもよい。
【0041】
[成分(B)のフェノール系硬化剤]
本発明で使用するフェノール系硬化剤は、1分子中の平均水酸基含有率P(総水酸基数/総ベンゼン環数)が0<P<1のフェノ-ル系硬化剤である。すなわち、1分子中の平均水酸基含有率P(総水酸基数/総ベンゼン環数)が0<P<1であれば公知のフェノール系硬化剤を制限なく使用できる。1分子中の平均水酸基含有率Pは1/4<P<9/10の範囲であるのが好ましく、さらには1/3≦P≦4/5の範囲であるのが好ましい。なお、ここで、「フェノール系硬化剤」とは、1分子中に2以上のフェノール性水酸基を有し、エポキシ樹脂(A)の硬化剤として作用する化合物のことである。
「1分子中の平均水酸基含有率P((総水酸基数/総ベンゼン環数)の平均値)が0<P<1であるフェノール系硬化剤」としては、下式(1)又は(2)で表されるフェノール系硬化剤が好ましい。
【0042】
【化10】

【0043】
(式中、R1〜R4は各々独立して、水素原子又はアルキル基を示し、X1はそれぞれアルキル基で置換されていてもよい、ベンゼン環、ヒドロキシベンゼン環、ナフタレン環又はヒドロキシナフタレン環を示し、Yはそれぞれアルキル基で置換されていてもよい、ベンゼン環、ヒドロキシベンゼン環又はビフェニル環を示し、j及びkはそれぞれ平均値で1〜15の数を示す。)
【0044】
【化11】

【0045】
(式中、R5は水素原子又はアルキル基を示し、R6は水素原子、アルキル基又はチオアルキル基を示し、X2はそれぞれアルキル基で置換されていてもよい、ベンゼン環又はナフタレン環を示し、j及びkはそれぞれ平均値で1〜15の数を示し、mは1〜5の整数を示す。)
式(2)中、mが2〜5のとき、複数のR6は同一である必要はなく、各々独立して、水素原子、アルキル基又はチオアルキル基から選択される基であってよい。
式(1)及び(2)で表されるフェノール系硬化剤において、カッコ内の各ユニットの配列は、j、kが平均値で1〜15の数である限り任意であり、同じユニットが必ずしも連続して結合されている必要はなく、例えば各ユニットが交互または不規則に結合されていてもよい。
なお、アルキル基としては炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。また、チオアルキル基としては、炭素数1〜3のチオアルキル基が好ましく、特にチオメチル基が好ましい。
【0046】
さらに「1分子中の平均水酸基含有率P((総水酸基数/総ベンゼン環数)の平均値)が0<P<1であるフェノール系硬化剤」としては、下式(1’)又は(2’)で表されるフェノール系硬化剤が好ましい。
【0047】
【化12】

【0048】
(式中、R1〜R4は各々独立して、水素原子又はアルキル基を示し、X1はそれぞれアルキル基で置換されていてもよい、ベンゼン環、ヒドロキシベンゼン環、ナフタレン環又はヒドロキシナフタレン環を示し、Yはそれぞれアルキル基で置換されていてもよい、ベンゼン環、ヒドロキシベンゼン環又はビフェニル環を示し、nは平均値で1〜15の数を示す。)
【0049】
【化13】

【0050】
(式中、R5は水素原子又はアルキル基を示し、R6は水素原子、アルキル基又はチオアルキル基を示し、X2はそれぞれアルキル基で置換されていてもよいベンゼン環又はナフタレン環を示し、nは平均値で1〜15の数を示し、mは1〜5の整数を示す。)
なお、式(2)中、mが2〜5のとき、複数のR6は同一である必要はなく、各々独立して、水素原子、アルキル基又はチオアルキル基から選択される基であってよい。
【0051】
式(1’)及び(2’)中のアルキル基としては炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。また、式(2’)中のチオアルキル基としては、炭素数1〜3のチオアルキル基が好ましく、特にチオメチル基が好ましい。
【0052】
さらに「1分子中の平均水酸基含有率P((総水酸基数/総ベンゼン環数)の平均値)が0<P<1であるフェノール系硬化剤」としては、特に下式(3)〜(7)で表されるフェノール系硬化剤が好ましい。
【0053】
【化14】

【0054】
(式中、R7は水素原子又はメチル基を示し、Zはナフタレン環を示し、nは平均値で1〜15の数を示す。)
【0055】
【化15】

【0056】
(式中、R8およびR9はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を示し、nは平均値で1〜15の数を示す。)
【0057】
【化16】

【0058】
(式中、R10は水素原子又はメチル基を示し、nは平均値で1〜15の数を示す。)
【0059】
【化17】

【0060】
(式中、R11は水素原子、メチル基又はチオメチル基を示し、nは平均値で1〜15の数を示す。)
【0061】
【化18】

【0062】
(式中、R12は水素原子、メチル基又は水酸基を示し、R13は水素原子又はメチル基を示し、Zはナフタレン環を示し、nは平均値で1〜15の数を示す。)
【0063】
当該フェノール系硬化剤の好ましい具体例は以下の通りである。式(3)で表されるフェノール系硬化剤として、日本化薬(株)製のNHN(Z:ナフタレン環、R7:メチル基、平均水酸基含有量:3/5〜2/3、下図参照)、CBN(Z:ナフタレン環、R7:メチル基、平均水酸基含有量は3/5〜2/3、下図参照)が挙げられる。式(4)で表されるフェノール系硬化剤として、日本化薬(株)製のGPH103(R8及びR9:水素原子、平均水酸基含有量:1/3〜1/2)、明和化成(株)のMEH7851(R8及びR9:水素原子、平均水酸基含有量:1/3〜1/2)が挙げられる。式(5)で表されるフェノール系硬化剤として、明和化成(株)のMEH7800(R10:水素原子、平均水酸基含有量:1/3〜1/2)、三井化学(株)製のXL225(R10:水素原子、平均水酸基含有量:1/3〜1/2)が挙げられる。式(6)で表されるフェノール系硬化剤として、ジャパンエポキシレジン(株)のYLH1027(R11:水素原子、平均水酸基含有量:1/3〜1/2)、YLH1110L(R11:チオメチル基、平均水酸基含有量:1/3〜1/2)が挙げられる。式(7)で表されるフェノール系硬化剤として、東都化成(株)製のSN170、SN180、SN190(R12及びR13:水素原子、平均水酸基含有量:1/3〜2/5、下図参照、軟化点はそれぞれ70℃、80℃、90℃)、SN475、SN485、SN495(R12及びR13:水素原子、平均水酸基含有量:1/3〜2/5、下図参照、軟化点はそれぞれ75℃、85℃、95℃)、SN375、SN395(R12:水酸基、R13:水素原子、平均水酸基含有量:2/3〜4/5、下図参照、軟化点はそれぞれ75℃、95℃、)が挙げられる。本発明において、成分(B)のフェノール系硬化剤は1種を使用しても2種以上を併用してもよい。
【0064】
【化19】

【0065】
本発明の樹脂組成物には、上記フェノール系硬化剤(B)以外の他のフェノール系硬化剤を配合してもよい。この場合、本発明の効果を十分発揮する上で、組成物中の全フェノール系硬化剤のうちの50質量%以上がフェノール系硬化剤(B)であるのが好ましく、より好ましくは70質量%以上、特に90質量%以上がフェノール系硬化剤(B)であるのが好ましい。
【0066】
本発明において、樹脂組成物中のフェノール系硬化剤の量(フェノール系硬化剤(B)のみを使用する場合のフェノール系硬化剤(B)の全量、または、フェノール系硬化剤(B)とフェノール系硬化剤(B)以外の他のフェノール系硬化剤とを併用する場合のそれらの合計量)は、通常、樹脂組成物中に存在するエポキシ基の合計数とフェノール系硬化剤のフェノール性水酸基の合計数の比率が1:0.5〜1.5となる量にするのが好ましく、当該比率が1:0.5〜1.0となる量にするのがより好ましい。なお樹脂組成物中に存在するエポキシ基の合計数とは,各エポキシ樹脂の固形分質量をエポキシ当量で除した値をすべてのエポキシ樹脂について合計した値であり、フェノール系硬化剤のフェノール性水酸基の合計数とは、各フェノール系硬化剤の固形分質量をそのフェノール性水酸基当量で除した値をすべてのフェノール系硬化剤について合計した値である。フェノール系硬化剤の含有量がかかる好ましい範囲を外れると、樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の耐熱性が不十分となる場合がある。
【0067】
[成分(C)のフェノキシ樹脂]
本発明におけるフェノキシ樹脂は特に限定されず、公知のフェノキシ樹脂等を用いることができる。フェノキシ樹脂の配合により、接着フィルムの可撓性を向上させることもできる。エポキシ樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、当該フェノキシ樹脂の含有割合は3〜30質量%の範囲であることが好ましい。フェノキシ樹脂の具体例としては東都化成(株)製FX280、FX293、ジャパンエポキシレジン(株)製YX8100、YX6954(YL6954)、YL6974等が挙げられる。
【0068】
[成分(D)のゴム粒子]
本発明におけるゴム粒子は、エポキシ樹脂組成物を調製する際の有機溶媒にも溶解せず、エポキシ樹脂等の樹脂組成物中の成分とも相溶しないものである。従って、本発明におけるゴム粒子はエポキシ樹脂組成物のワニス中では分散状態で存在する。このようなゴム粒子は、一般には、ゴム成分の分子量を有機溶剤や樹脂に溶解しないレベルまで大きくし、粒子状とすることで調製される。例えば、溶媒に溶解し、樹脂組成物中でエポキシ樹脂等の他の成分と相溶するゴム成分を配合した場合、粗化処理後の粗度が大きく増大し、また硬化物の耐熱性も低下する。
【0069】
本発明におけるゴム粒子の好ましい例としては、コアシェル型ゴム粒子、架橋アクリルニトリルブタジエンゴム粒子、架橋スチレンブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子などが挙げられる。コアシェル型ゴム粒子は、粒子がコア層とシェル層を有するゴム粒子であり、例えば、外層のシェル層がガラス状ポリマー、内層のコア層がゴム状ポリマーで構成される2層構造、または外層のシェル層がガラス状ポリマー、中間層がゴム状ポリマー、コア層がガラス状ポリマーで構成される3層構造のものなどが挙げられる。ガラス層は例えば、メタクリル酸メチルの重合物などで構成され、ゴム状ポリマー層は例えば、ブチルアクリレート重合物(ブチルゴム)などで構成される。コアシェル型ゴム粒子の具体例としては、スタフィロイドAC3832、AC3816N、(ガンツ化成(株)商品名)、メタブレンKW−4426(三菱レイヨン(株)商品名)が挙げられる。アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)粒子の具体例としては、XER−91(平均粒径0.5μm、JSR(株)製)などが挙げられる。スチレンブタジエンゴム(SBR)粒子の具体例としては、XSK−500(平均粒径0.5μm、JSR(株)製)などが挙げられる。アクリルゴム粒子の具体例としては、メタブレンW300A(平均粒径0.1μm)、W450A(平均粒径0.2μm)(三菱レイヨン(株)製)を挙げることができる。なお、このようなゴム粒子は、硬化物の機械強度を高める、硬化物の応力緩和などの効果を付与することもできる。
【0070】
配合するゴム粒子の平均粒径は0.005〜1μmの範囲が好ましく、さらに0.2〜0.6μmの範囲が好ましい。本発明におけるゴム粒子の平均粒径は、動的光散乱法を用いて測定することが出来る。例えば、適当な有機溶剤にゴム粒子を超音波などにより均一に分散させ、FPRA−1000(大塚電子(株)社製)を用いて、ゴム粒子の粒度分布を質量基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。
【0071】
当該ゴム粒子を配合する場合の、樹脂組成物(不揮発分100質量%)に対する含有割合は、樹脂組成物に要求される特性によっても異なるが、1〜10質量%であるのが好ましく、更には、2〜5質量%がより好ましい。
【0072】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、熱膨張率を低下させる等の目的で無機充填材を含有してもよい。無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウムなどが挙げられ、これらの中でもシリカが特に好適である。無機充填材の平均粒径は1μm以下であるのが好ましく、0.8μm以下がより好ましく、0.7μm以下がとりわけ好ましい。平均粒径が1μmを超える場合、メッキにより形成される導体層のピール強度が低下する傾向にある。なお、無機充填材の平均粒径が小さくなりすぎると、エポキシ樹脂組成物を樹脂ワニスとした場合に、ワニスの粘度が上昇し、取り扱い性が低下する傾向にあるため、平均粒径は0.05μm以上であるのが好ましい。なお、無機充填材は耐湿性を向上させるため、シランカップリング剤等の表面処理剤で表面処理してあるものが好ましい。
【0073】
上記無機充填材の平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折式粒度分布測定装置としては、株式会社堀場製作所製 LA−500等を使用することができる。
【0074】
当該無機充填材を配合する場合の、樹脂組成物(不揮発分100質量%)に対する含有割合は樹脂組成物に要求される特性によっても異なるが、10〜75質量%であるのが好ましく、20〜50質量%がより好ましく、20〜40質量%がとりわけ好ましい。
【0075】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、硬化時間を調整する等の目的で硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤としては、例えば、有機フォスフィン化合物、イミダゾール化合物、アミンアダクト化合物、3級アミン化合物などが挙げられる。有機フォスフィン化合物の具体例としては、TPP、TPP−K、TPP−S、TPTP−S(北興化学工業(株)商品名)などが挙げられる。イミダゾール化合物の具体例としては、キュアゾール2MZ、2E4MZ、C11Z、C11Z−CN、C11Z−CNS、C11Z−A、2MZ−OK、2MA−OK、2PHZ(四国化成工業(株)商品名)などが挙げられる。アミンアダクト化合物の具体例としては、ノバキュア(旭化成工業(株)商品名)、フジキュア(富士化成工業(株)商品名)などが挙げられる。3級アミン化合物の具体例としては、DBU(1,8-diazabicyelo[5,4,0]undec-7-ene)などが挙げられる。本発明のエポキシ樹脂組成物において、硬化促進剤の含有量は、エポキシ樹脂組成物中に含まれるエポキシ樹脂とフェノール性硬化剤の総量を100質量%(固形分)とした場合、通常0.1〜5質量%の範囲で使用される。
【0076】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、難燃性を付与する目的で難燃剤を含有しても良い。難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。
【0077】
有機リン系難燃剤としては、三光(株)製のHCA、HCA−HQ、HCA−NQ等のフォスフィン化合物、味の素ファインテクノ(株)製のレオフォス30、50、65、90、110、TPP、RPD、BAPP、CPD、TCP、TXP、TBP、TOP、KP140、TIBP、北興化学工業(株)製のPPQ、クラリアント(株)製のOP930、大八化学(株)製のPX200等のリン酸エステル化合物、東都化成(株)製のFX289、FX310等のリン含有エポキシ樹脂、東都化成(株)製のERF001等のリン含有フェノキシ樹脂等が挙げられる。
【0078】
有機系窒素含有リン化合物としては、四国化成工業(株)製のSP670、SP703等のリン酸エステルミド化合物、大塚化学(株)社製のSPB100、SPE100等のホスファゼン化合物等が挙げられる。
【0079】
金属水酸化物としては、宇部マテリアルズ(株)製のUD65、UD650、UD653等の水酸化マグネシウム、巴工業(株)社製のB−30、B−325、B−315、B−308、B−303、UFH−20等の水酸化アルミニウム等が挙げられる。
【0080】
難燃剤を配合する場合、樹脂組成物(不揮発分100質量%)に対する含有割合は、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
【0081】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明の効果が発揮される範囲で、上述した以外の他の樹脂添加剤を含有しても良い。樹脂添加剤としては、例えばシリコンパウダー、ナイロンパウダー、フッ素パウダー等の有機充填剤、オルベン、ベントン等の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系の消泡剤又はレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤等の密着性付与剤、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、カーボンブラック等の着色剤等を挙げることができる。
【0082】
本発明の樹脂組成物は、支持フィルム上に塗布し樹脂組成物層を形成させて多層プリント配線板用の接着フィルムとするか、または繊維からなるシート状補強基材中に該樹脂組成物を含浸させて多層プリント配線板の層間絶縁層用のプリプレグとすることができる。本発明の樹脂組成物は回路基板に塗布して絶縁層を形成することもできるが、工業的には、一般に、接着フィルムまたはプリプレグの形態として絶縁層形成に用いられる。
【0083】
本発明の接着フィルムは、当業者に公知の方法、例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、支持フィルムを支持体として、この樹脂ワニスを塗布し、更に加熱、あるいは熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
【0084】
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。有機溶剤は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0085】
乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層への有機溶剤の含有割合が通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。ワニス中の有機溶媒量によっても異なるが、例えば30〜60質量%の有機溶剤を含むワニスを50〜150℃で3〜10分程度乾燥させることができる。当業者、簡単な実験により適宜、好適な乾燥条件を設定することができる。
【0086】
接着フィルムにおいて形成される樹脂組成物層の厚さは、通常、導体層の厚さ以上とする。回路基板が有する導体層の厚さは通常5〜70μmの範囲であるので、樹脂組成物層の厚さは10〜100μmの厚みを有するのが好ましい。樹脂組成物層は、後述する保護フィルムで保護されていてもよい。保護フィルムで保護することにより、樹脂組成物層表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。
【0087】
本発明における支持フィルム及び保護フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、更には離型紙や銅箔、アルミニウム箔等の金属箔などを挙げることができる。なお、支持フィルム及び保護フィルムはマッド処理、コロナ処理の他、離型処理を施してあってもよい。
【0088】
支持フィルムの厚さは特に限定されないが、通常10〜150μmであり、好ましくは25〜50μmの範囲で用いられる。また保護フィルムの厚さも特に制限されないが、通常1〜40μm、好ましくは10〜30μmの範囲で用いられる。なお、後述するように、接着フィルムの製造工程で支持体として用いる支持フィルムを、樹脂組成物層表面を保護する保護フィルムとして使用することもできる。
【0089】
本発明における支持フィルムは、回路基板にラミネートした後に、或いは加熱硬化することにより絶縁層を形成した後に、剥離される。接着フィルムを加熱硬化した後に支持フィルムを剥離すれば、硬化工程でのゴミ等の付着を防ぐことができ、また硬化後の絶縁層の表面平滑性を向上させることができる。硬化後に剥離する場合、通常、支持フィルムには予め離型処理が施される。なお、支持フィルム上に形成される樹脂組成物層は、層の面積が支持フィルムの面積より小さくなるように形成するのが好ましい。また接着フィルムは、ロール状に巻き取って、保存、貯蔵することができる。
【0090】
次に、本発明の接着フィルムを用いて本発明の多層プリント配線板を製造する方法について説明する。樹脂組成物層が保護フィルムで保護されている場合はこれらを剥離した後、樹脂組成物層を回路基板に直接接するように、回路基板の片面又は両面にラミネートする。本発明の接着フィルムにおいては真空ラミネート法により減圧下で回路基板にラミネートする方法が好適に用いられる。ラミネートの方法はバッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。またラミネートを行う前に接着フィルム及び回路基板を必要により加熱(プレヒート)しておいてもよい。
【0091】
ラミネートの条件は、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70〜140℃、圧着圧力を好ましくは1〜11kgf/cm(9.8×10〜107.9×10N/m)とし、空気圧20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートするのが好ましい。
【0092】
真空ラミネートは市販の真空ラミネーターを使用して行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、ニチゴー・モートン(株)製 バキュームアップリケーター、(株)名機製作所製 真空加圧式ラミネーター、(株)日立インダストリイズ製 ロール式ドライコータ、日立エーアイーシー(株)製真空ラミネーター等を挙げることができる。
【0093】
本発明における回路基板とは、主として、ガラスエポキシ、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成されたものをいう。また導体層と絶縁層が交互に層形成され、片面又は両面がパターン加工された導体層(回路)となっている多層プリント配線板も本発明にいう回路基板に含まれる。なお導体回路層表面は黒化処理等により予め粗化処理が施されていた方が絶縁層の回路基板への密着性の観点から好ましい。
【0094】
このように接着フィルムを回路基板にラミネートした後、支持フィルムを剥離する場合は剥離し、熱硬化することにより回路基板に絶縁層を形成することができる。加熱硬化の条件は150℃〜220℃で20分〜180分の範囲で選択され、より好ましくは160℃〜200℃で30〜120分である。
【0095】
絶縁層を形成した後、硬化前に支持フィルムを剥離しなかった場合は、ここで剥離する。次に回路基板上に形成された絶縁層に穴開けを行いビアホール、スルーホールを形成する。穴あけは例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等の公知の方法により、また必要によりこれらの方法を組み合わせて行うことができるが、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等のレーザーによる穴あけがもっとも一般的な方法である。
【0096】
次いで、絶縁層表面に粗化処理を行う。本発明における粗化処理は通常、酸化剤を使用した湿式粗化方法で行うのが好ましい。酸化剤としては、過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等)、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸等が挙げられる。好ましくはビルトアップ工法による多層プリント配線板の製造における絶縁層の粗化に汎用されている酸化剤である、アルカリ性過マンガン酸溶液(例えば過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウムの水酸化ナトリウム水溶液)を用いて粗化を行うのが好ましい。
【0097】
絶縁層表面を粗化処理した粗化面の粗さは、微細配線を形成する上で、Ra値で0.5μm以下であるのが好ましく、0.35μm以下であるのが更に好ましい。
【0098】
次に、粗化処理により凸凹のアンカーが形成された樹脂組成物層表面に、無電解メッキと電解メッキを組み合わせた方法で導体層を形成する。また導体層とは逆パターンのメッキレジストを形成し、無電解メッキのみで導体層を形成することもできる。なお導体層形成後、150〜200℃で20〜90分アニール(anneal)処理することにより、導体層のピール強度をさらに向上、安定化させることができる。本発明によれば、多層プリント配線板として好ましい導体層のピール強度が得ることができる。多層プリント配線板に好ましいピール強度は、好ましくは0.6kgf/cm以上である。
【0099】
また、導体層をパターン加工し回路形成する方法としては、例えば当業者に公知のサブトラクティブ法、セミアディディブ法などを用いることができる。
【0100】
本発明のプリプレグは、本発明の樹脂組成物を繊維からなるシート状補強基材にホットメルト法又はソルベント法により含浸させ、加熱により半硬化させることにより製造することができる。すなわち、本発明の樹脂組成物が繊維からなるシート状補強基材に含浸した状態となるプリプレグとすることができる。
【0101】
繊維からなるシート状補強基材としては、例えばガラスクロスやアラミド繊維等、プリプレグ用繊維として常用されているものを用いることができる。
【0102】
ホットメルト法は、樹脂を有機溶剤に溶解することなく、樹脂を樹脂と剥離性の良い塗工紙に一旦コーティングし、それをシート状補強基材にラミネートする、あるいはダイコーターにより直接塗工するなどして、プリプレグを製造する方法である。またソルベント法は、接着フィルムと同様、樹脂を有機溶剤に溶解した樹脂ワニスにシート状補強基材を浸漬し、樹脂ワニスをシート状補強基材に含浸させ、その後乾燥させる方法である。
【0103】
次に本発明のプリプレグを用いて本発明の多層プリント配線板を製造する方法について説明する。回路基板に本発明のプリプレグを1枚あるいは必要により数枚重ね、離型フィルムを介して金属プレートを挟み加圧・加熱条件下でプレス積層する。圧力は好ましくは5〜40kgf/cm(49×10〜392×10N/m)、温度は好ましくは120〜200℃で20〜100分の範囲で成型するのが好ましい。また接着フィルムと同様に真空ラミネート法により回路基板にラミネートした後、加熱硬化することによっても製造可能である。その後、前に記載した方法と同様、酸化剤により硬化したプリプレグ表面を粗化した後、導体層をメッキにより形成して多層プリント配線板を製造することができる。
【0104】
以下の実施例及び比較例を用いて本発明をより詳細に説明するが、これらは本発明をいかなる意味においても制限するものではない。なお、以下の記載において、「部」は「質量部」を意味する。
【実施例1】
【0105】
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828EL」)28部と、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量163、大日本インキ化学工業(株)製「EXA-4700」)28部とをメチルエチルケトン(以下MEKと略す)15部、シクロヘキサノン15部に撹拝しながら加熱溶解させた。そこへ、フェノール系硬化剤であるナフタレン構造のノボラック樹脂(東都化成(株)製「SN485」、フェノール性水酸基当量215、平均水酸基含有量1/3〜2/5)の固形分50%のMEK溶液110部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、「SOC2」アドマテックス社製)77部、コアシェルゴム粒子(平均粒子径0.5μ、「AC-3816N」ガンツ化成(株)社製)9部、フェノキシ樹脂ワニス(不揮発分30質量%のシクロヘキサノンとMEKの混合溶液、ジャパンエポキシレジン(株)製「YL6954BH30」、ガラス転位温度130℃)27部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した(樹脂ワニスの不揮発分に対する無機充填材含有量は38質量%、フェノール性水酸基合計数/エポキシ基合計数は0.78)。次に、かかる樹脂ワニスをポリエチレンテレフタレート(厚さ38μm、以下PETと略す)上に、乾燥後の樹脂厚みが40μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80〜120℃(平均100℃)で6分間乾燥した(残留溶媒量約1質量%)。次いで樹脂組成物の表面に厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを貼り合わせながらロール状に巻き取った。ロール状の接着フィルムを幅507mmにスリット(slit)し、これより507×336mmサイズのシート状の接着フィルムを得た。
【実施例2】
【0106】
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828EL」)28部と、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量163、大日本インキ化学工業(株)製「EXA-4700」)28部とをMEK15部、シクロヘキサノン15部に撹拝しながら加熱溶解させた。そこへ、チオメチル基含有のフェノール系硬化剤であるノボラック樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「YLH1110L」、フェノール性水酸基当量168、平均水酸基含有量1/3〜1/2)の固形分60%のMEK溶液75部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、「SOC2」アドマテックス社製)72部、コアシェルゴム粒子(平均粒子径0.5μ、「AC−3816N」ガンツ化成(株)社製)9部、フェノキシ樹脂ワニス(不揮発分30質量%のシクロヘキサノンとMEKの混合溶液、ジャパンエポキシレジン(株)製「YL6954BH30」、ガラス転位温度130℃)27部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した(樹脂ワニスの不揮発分に対する無機充填材含有量は38質量%、フェノール性水酸基合計数/エポキシ基合計数は0.82)。実施例1と同様の方法によりシート状の接着フィルムを得た。
【実施例3】
【0107】
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828EL」)28部と、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量163、大日本インキ化学工業(株)製「EXA-4700」)28部とをMEK15部、シクロヘキサノン15部に撹拝しながら加熱溶解させた。そこへ、フェノール系硬化剤であるノボラック樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「YLH1027」、フェノール性水酸基当量120、平均水酸基含有量1/3〜1/2)の固形分60%のMEK溶液65部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、「SOC2」アドマテックス社製)67部、アクリルゴム粒子(平均粒子径0.2μ、「W−450A」三菱レイヨン(株)社製)8部、フェノキシ樹脂ワニス(不揮発分30質量%のシクロヘキサノンとMEKの混合溶液、ジャパンエポキシレジン(株)製「YL6954BH30」、ガラス転位温度130℃)27部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した(樹脂ワニスの不揮発分に対する無機充填材含有量は38質量%、フェノール性水酸基合計数/エポキシ基合計数は0.99)。実施例1と同様の方法によりシート状の接着フィルムを得た。
【実施例4】
【0108】
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828EL」)28部と、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量163、大日本インキ化学工業(株)製「EXA-4700」)28部とをMEK15部、シクロヘキサノン15部に撹拝しながら加熱溶解させた。そこへ、フェノール系硬化剤であるナフタレン構造のノボラック樹脂(日本化薬(株)製「GPH103」、フェノール性水酸基当量231、平均水酸基含有量1/3〜1/2)の固形分50%のMEK溶液120部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、「SOC2」アドマテックス社製)80部、アクリルゴム粒子(平均粒子径0.2μ、「W−450A」三菱レイヨン(株)社製)9部、フェノキシ樹脂ワニス(不揮発分30質量%のシクロヘキサノンとMEKの混合溶液、ジャパンエポキシレジン(株)製「YL6954BH30」、ガラス転位温度130℃)27部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した(樹脂ワニスの不揮発分に対する無機充填材含有量は38質量%、フェノール性水酸基合計数/エポキシ基合計数は0.79)。実施例1と同様の方法によりシート状の接着フィルムを得た。
【実施例5】
【0109】
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828EL」)28部と、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量163、大日本インキ化学工業(株)製「EXA-4700」)28部とをMEK15部、シクロヘキサノン15部に撹拝しながら加熱溶解させた。そこへ、フェノール系硬化剤であるナフタレン構造のノボラック樹脂(日本化薬(株)製「NHN」、フェノール性水酸基当量143、平均水酸基含有量3/5〜2/3)の固形分50%のMEK溶液75部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、「SOC2」アドマテックス社製)67部、アクリルゴム粒子(平均粒子径0.2μ、「W−450A」三菱レイヨン(株)社製)8部、フェノキシ樹脂ワニス(不揮発分30質量%のシクロヘキサノンとMEKの混合溶液、ジャパンエポキシレジン(株)製「YL6954BH30」、ガラス転位温度130℃)27部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した(樹脂ワニスの不揮発分に対する無機充填材含有量は38質量%、フェノール性水酸基合計数/エポキシ基合計数は0.80)。実施例1と同様の方法によりシート状の接着フィルムを得た。
【実施例6】
【0110】
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828EL」)28部と、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量163、大日本インキ化学工業(株)製「EXA-4700」)28部とをMEK15部、シクロヘキサノン15部に撹拝しながら加熱溶解させた。そこへ、フェノール系硬化剤であるナフタレン構造のノボラック樹脂(日本化薬(株)製「SN395」、フェノール性水酸基当量107、平均水酸基含有量2/3〜4/5)の固形分50%のMEK溶液55部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、「SOC2」アドマテックス社製)67部、アクリルゴム粒子(平均粒子径0.2μ、「W−450A」三菱レイヨン(株)社製)8部、フェノキシ樹脂ワニス(不揮発分30質量%のシクロヘキサノンとMEKの混合溶液、ジャパンエポキシレジン(株)製「YL6954BH30」、ガラス転位温度130℃)27部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した(樹脂ワニスの不揮発分に対する無機充填材含有量は40質量%、フェノール性水酸基合計数/エポキシ基合計数は0.80)。実施例1と同様の方法によりシート状の接着フィルムを得た。
【0111】
<比較例1>
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828EL」)28部と、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量163、大日本インキ化学工業(株)製「EXA-4700」)28部とをMEK15部、シクロヘキサノン15部に撹拝しながら加熱溶解させた。そこへ、フェノール系硬化剤であるノボラック樹脂(大日本インキ化学工業(株)製「LA7052」、固形分が60質量%のMEK溶液、固形物のフェノール性水酸基当量120、平均水酸基含有量1/1、下式(8)で表される化合物)50部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、「SOC2」アドマテックス社製)62部、アクリルゴム粒子(平均粒子径0.2μ、「W−450A」三菱レイヨン(株)社製)8部、フェノキシ樹脂ワニス(不揮発分30質量%のシクロヘキサノンとMEKの混合溶液、ジャパンエポキシレジン(株)製「YL6954BH30」、ガラス転位温度130℃)27部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した(樹脂ワニスの不揮発分に対する無機充填材含有量は38質量%、フェノール性水酸基合計数/エポキシ基合計数は0.76)。実施例1と同様の方法によりシート状の接着フィルムを得た。
【0112】
【化20】

【0113】
<比較例2>
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828EL」)28部と、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量163、大日本インキ化学工業(株)製「EXA-4700」)28部とをMEK15部、シクロヘキサノン15部に撹拝しながら加熱溶解させた。そこへ、フェノール系硬化剤であるノボラック樹脂(大日本インキ化学工業(株)製「TD2090−60M」、固形分が60質量%のMEK溶液、固形物のフェノール性水酸基当量105、平均水酸基含有量1/1、下式(9)で表される化合物)45部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、「SOC2」アドマテックス社製)60部、アクリルゴム粒子(平均粒子径0.2μ、「W−450A」三菱レイヨン(株)社製)7部、フェノキシ樹脂ワニス(不揮発分30質量%のシクロヘキサノンとMEKの混合溶液、ジャパンエポキシレジン(株)製「YL6954BH30」、ガラス転位温度130℃)27部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した(樹脂ワニスの不揮発分に対する無機充填材含有量は38質量%、フェノール性水酸基合計数/エポキシ基合計数は0.79)。実施例1と同様の方法によりシート状の接着フィルムを得た。
【0114】
【化21】

【0115】
<比較例3>
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828EL」)28部と、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量163、大日本インキ化学工業(株)製「EXA-4700」)28部とをMEK15部、シクロヘキサノン15部に撹拝しながら加熱溶解させた。そこへ、フェノール系硬化剤であるナフタレン構造のノボラック樹脂(東都化成(株)製「SN485」、フェノール性水酸基当量215、平均水酸基含有量1/3〜2/5)の固形分50%のMEK溶液110部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、「SOC2」アドマテックス社製)72部を混合し、フェノキシ樹脂ワニス(不揮発分30質量%のシクロヘキサノンとMEKの混合溶液、ジャパンエポキシレジン(株)製「YL6954BH30」、ガラス転位温度130℃)27部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した(樹脂ワニスの不揮発分に対する無機充填材含有量は38質量%、フェノール性水酸基合計数/エポキシ基合計数は0.78)。実施例1と同様の方法によりシート状の接着フィルムを得た。
【0116】
<比較例4>
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828EL」)28部と、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量163、大日本インキ化学工業(株)製「EXA-4700」)28部とをMEK15部、シクロヘキサノン15部に撹拝しながら加熱溶解させた。そこへ、フェノール系硬化剤であるナフタレン構造のノボラック樹脂(東都化成(株)製「SN485」、フェノール性水酸基当量215、平均水酸基含有量1/3〜2/5)の固形分50%のMEK溶液110部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、「SOC2」アドマテックス社製)73部、アクリルゴム粒子(平均粒子径0.2μ、「W−450A」三菱レイヨン(株)社製)9部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した(樹脂ワニスの不揮発分に対する無機充填材含有量は38質量%、フェノール性水酸基合計数/エポキシ基合計数は0.78)。実施例1と同様の方法によりシート状の接着フィルムを得た。
【0117】
<比較例5>
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828EL」)28部と、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量163、大日本インキ化学工業(株)製「EXA-4700」)28部とをMEK15部、シクロヘキサノン15部に撹拝しながら加熱溶解させた。そこへ、フェノール系硬化剤であるナフタレン構造のノボラック樹脂(東都化成(株)製「SN485」、フェノール性水酸基当量215、平均水酸基含有量1/3〜2/5)の固形分50%のMEK溶液110部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、「SOC2」アドマテックス社製)73部、液状ゴム変成樹脂(「PB−3600」ダイセル化学工業(株)社製)9部、フェノキシ樹脂ワニス(不揮発分30質量%のシクロヘキサノンとMEKの混合溶液、ジャパンエポキシレジン(株)製「YL6954BH30」、ガラス転位温度130℃)27部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した(樹脂ワニスの不揮発分に対する無機充填材含有量は38質量%、フェノール性水酸基合計数/エポキシ基合計数は0.78)。実施例1と同様の方法によりシート状の接着フィルムを得た。
【実施例7】
【0118】
<多層プリント配線板の製造>
【0119】
(1)回路基板の作製
ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板[銅箔の厚さ18μm、基板厚み0.8mm、松下電工(株)製R5715ES]の両面に回路パターンをエッチングにより形成し、さらにメック(株)製CZ8100に浸漬して銅表面の粗化処理をおこない、回路基板を作製する。
【0120】
(2)接着フィルムのラミネート
実施例1〜6で作成した接着フィルムを、バッチ式真空加圧ラミネーターMVLP−500(名機(株)製商品名)を用いて、回路基板の両面にラミネートする。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、その後30秒間、圧力0.74MPaでプレスすることにより行う。
【0121】
(3)樹脂組成物の硬化
ラミネートされた接着フィルムからPETフィルムを剥離し、180℃、30分の硬化条件で樹脂組成物を硬化する。
【0122】
(4)ビアホール形成
松下溶接システム(株)製COレーザー加工機(YB−HCS03T04)を使用し、周波数1000Hzでパルス幅13μ秒、ショット数3の条件で加工して、絶縁層表面の直径が60μmのビアホールを形成する。
【0123】
(5)粗化処理
回路基板を、膨潤液である、アトテックジャパン(株)のジエチレングリコールモノブチルエーテル含有のスエリングディップ・セキュリガンドPに60℃で5分間浸漬する。次に粗化液である、アトテックジャパン(株)のコンセントレート・コンパクトP (KMnO4:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液)に80℃で20分間浸漬する。最後に中和液である、アトテックジャパン(株)のリダクションショリューシン・ セキュリガントPに40℃で5分間浸漬する。
【0124】
(6)セミアディティブ工法によるメッキおよび回路形成
絶縁層表面に回路を形成するために、回路基板を、PdClを含む無電解メッキ用溶液に浸漬し、次に無電解銅メッキ液に浸漬する。150℃にて30分間加熱してアニール処理を行った後に、エッチングレジストを形成し、エッチングによるパターン形成の後に、硫酸銅電解メッキを行う。次に、エッチングレジストを除去し、更にフラッシュエッチングを行った後に、アニール処理を180℃にて60分間行い、絶縁層表面に厚さ約25μmの回路を形成し、多層プリント配線板を得る。
【0125】
<ピール強度およびRa値測定用サンプルの調製>
【0126】
(1)積層板の下地処理
ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板[銅箔の厚さ18μm、基板厚み0.8mm、松下電工(株)製R5715ES]の両面をメック(株)製CZ8100に浸漬して銅表面の粗化処理をおこなった。
【0127】
(2)接着フィルムのラミネート
実施例及び比較例で作成した接着フィルムを、バッチ式真空加圧ラミネーターMVLP−500(名機(株)製商品名)を用いて、積層板の両面にラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、その後30秒間、圧力0.74MPaでプレスすることにより行った。
【0128】
(3)樹脂組成物の硬化
ラミネートされた接着フィルムからPETフィルムを剥離し、180℃、30分の硬化条件で樹脂組成物を硬化した。
【0129】
(4)粗化処理
積層板を、膨潤液である、アトテックジャパン(株)のジエチレングリコールモノブチルエーテル含有のスエリングディップ・セキュリガンドPに浸漬し、次に粗化液として、アトテックジャパン(株)のコンセントレート・コンパクトP(KMnO4:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液)に浸漬、最後に中和液として、アトテックジャパン(株)のリダクションショリューシン・セキュリガントPに40℃で5分間浸漬した。
粗化条件1:膨潤液に80℃で5分間浸漬、粗化液に80℃で15分間浸漬した。
粗化条件2:膨潤液に60℃で5分間浸漬、粗化液に80℃で20分間浸漬した。
この粗化処理後の積層板について、表面粗度(Ra値)の測定を行った。
【0130】
(6)セミアディティブ工法によるメッキ
絶縁層表面に回路を形成するために、積層板を、PdClを含む無電解メッキ用溶液に浸漬し、次に無電解銅メッキ液に浸漬した。150℃にて30分間加熱してアニール処理を行った後に、エッチングレジストを形成し、エッチングによるパターン形成の後に、硫酸銅電解メッキを行い、25±10μmの厚さで導体層を形成した。次に、アニール処理を180℃にて60分間行った。この積層板についてメッキ銅のピール強度の測定を行った。
【0131】
[メッキ導体層の引き剥がし強さ(ピール強度)]
積層板の導体層に、幅10mm、長さ100mmの部分の切込みをいれ、この一端を剥がしてつかみ具で掴み、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重を測定した。なお、この際の導体層の厚みは多層配線板の回路の厚みに相当する20〜30μmとした。
【0132】
[粗化後の表面粗さ(Ra値)]
非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製WYKO NT3300)を用いて、Ra値を求めた。なお、Ra値は全測定領域に渡って計算された高さの平均値であり、具体的には測定領域内で変化する高さの絶対値を平均ラインである表面から測定して算術平均したものであり、下式(1)で表すことができる。ここで、MとNはアレイのそれぞれの方向にあるデータ個数である。ここでは10点の平均粗さを求めることにより測定した。
【0133】
【数1】

【0134】
実施例及び比較例で得られた接着フィルムを使用した評価サンプルのメッキ導体層のピール強度及び粗化後の表面粗さ(Ra値)の結果について下記の表1に記載した。表1から明らかなように、本発明で規定するフェノール系硬化剤を使用した実施例の評価サンプルは、低粗度かつ高ピール強度である。一方、本発明で規定するフェノール系硬化剤の代わりに別のフェノール系硬化剤を使用した比較例の場合、ピール強度は比較的高いものの、粗度が大きく、微細配線形成に適しない。またゴム粒子が含まれない比較例3、フェノキシ樹脂が含まれない比較例4は粗度は低いものの、ピール強度が低い。また、ゴム粒子の代わりに液状ゴムが含まれる比較例5は、ピール強度は比較的高いものの、粗度が大きく、微細配線形成に適しない。
【0135】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明の樹脂組成物、該樹脂組成物により調製される接着フィルムおよびプリプレグは、多層プリント配線板、特にビルドアップ方式で製造される多層プリント配線板の層間絶縁材料として好適に使用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、(B)1分子中の平均水酸基含有率P((総水酸基数/総ベンゼン環数)の平均値)が0<P<1であるフェノール系硬化剤、(C)フェノキシ樹脂、及び(D)ゴム粒子を含有することを特徴とする、エポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
成分(B)のフェノール系硬化剤が、下式(1)又は(2)で表されるフェノール系硬化剤である、請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
【化1】


(式中、R1〜R4は各々独立して、水素原子又はアルキル基を示し、X1はそれぞれアルキル基で置換されていてもよい、ベンゼン環、ヒドロキシベンゼン環、ナフタレン環又はヒドロキシナフタレン環を示し、Yはそれぞれアルキル基で置換されていてもよい、ベンゼン環、ヒドロキシベンゼン環又はビフェニル環を示し、j及びkはそれぞれ平均値で1〜15の数を示す。)
【化2】


(式中、R5は水素原子又はアルキル基を示し、R6は水素原子、アルキル基又はチオアルキル基を示し、X2はそれぞれアルキル基で置換されていてもよい、ベンゼン環又はナフタレン環を示し、j及びkはそれぞれ平均値で1〜15の数を示し、mは1〜5の整数を示す。)
【請求項3】
成分(B)のフェノール系硬化剤が、下式(1’)又は(2’)で表されるフェノール系硬化剤である、請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
【化3】


(式中、R1〜R4は各々独立して、水素原子又はアルキル基を示し、X1はそれぞれアルキル基で置換されていてもよい、ベンゼン環、ヒドロキシベンゼン環、ナフタレン環又はヒドロキシナフタレン環を示し、Yはそれぞれアルキル基で置換されていてもよい、ベンゼン環、ヒドロキシベンゼン環又はビフェニル環を示し、nは平均値で1〜15の数を示す。)
【化4】


(式中、R5は水素原子又はアルキル基を示し、R6は水素原子、アルキル基又はチオアルキル基を示し、X2はそれぞれアルキル基で置換されていてもよい、ベンゼン環又はナフタレン環を示し、nは平均値で1〜15の数を示し、mは1〜5の整数を示す。)
【請求項4】
成分(B)のフェノール系硬化剤が、下式(3)〜(5)のいずれかで表されるフェノール系硬化剤である、請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
【化5】


(式中、R7は水素原子又はメチル基を示し、Zはナフタレン環を示し、nは平均値で1〜15の数を示す。)
【化6】


(式中、R8およびR9はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を示し、nは平均値で1〜15の数を示す。)
【化7】


(式中、R10は水素原子又はメチル基を示し、nは平均値で1〜15の数を示す。)
【請求項5】
成分(B)のフェノール系硬化剤が下式(6)で表されるフェノール系硬化剤である、請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
【化8】


(式中、R11は水素原子、メチル基又はチオメチル基を示し、nは平均値で1〜15の数を示す。)
【請求項6】
成分(B)のフェノール系硬化剤が下式(7)で表されるフェノール系硬化剤である、請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
【化9】


(式中、R12は水素原子、メチル基又は水酸基を示し、R13は水素原子又はメチル基を示し、Zはナフタレン環を示し、nは平均値で1〜15の数を示す。)
【請求項7】
成分(A)のエポキシ樹脂が、(A1)1分子中に2以上のエポキシ基を有し、温度20℃で液状の芳香族系エポキシ樹脂である、第1のエポキシ樹脂、および(A2)1分子中に3以上エポキシ基を有し、温度20℃で固体状の芳香族系エポキシ樹脂である、第2のエポキシ樹脂を含有する、請求項1〜6いずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項8】
成分(A2)の第2のエポキシ樹脂のエポキシ当量が230以下である、請求項7記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項9】
成分(A2)の第2のエポキシ樹脂のエポキシ当量が150〜230の範囲である、請求項7記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項10】
第1のエポキシ樹脂(A1)と第2のエポキシ樹脂(A2)の配合割合(A1:A2)が、質量比で1:0.3〜1:2の範囲である、請求項7〜9いずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項11】
エポキシ樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、成分(A)の含有量が10〜50質量%、成分(C)の含有量が1〜20質量%、及び成分(D)の含有量が1〜10質量%であり、エポキシ樹脂組成物中に存在するエポキシ基に対するフェノール系硬化剤のフェノール性水酸基の割合が1:0.5〜1:1.5である、請求項1〜10いずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項12】
エポキシ樹脂組成物が更に無機充填材を含有する、請求項1〜11いずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項13】
エポキシ樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、無機充填材を10〜75質量%含有する、請求項12記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項14】
請求項1〜13いずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物が支持フィルム上に層形成されている接着フィルム。
【請求項15】
請求項1〜13いずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物が繊維からなるシート状補強基材中に含浸されていることを特徴とするプリプレグ。
【請求項16】
請求項1〜13いずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物により絶縁層が形成されている、多層プリント配線板。
【請求項17】
内層回路基板上に絶縁層を形成する工程及び該絶縁層上に導体層を形成する工程を含む多層プリント配線板の製造方法であって、該絶縁層が、請求項1〜13いずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を熱硬化して形成され、該導体層が、該絶縁層表面を粗化処理した粗化面に銅メッキにより形成されることを特徴とする、多層プリント配線板の製造方法。
【請求項18】
内層回路基板上に絶縁層を形成する工程及び該絶縁層上に導体層を形成する工程を含む多層プリント配線板の製造方法であって、絶縁層が、請求項14記載の接着フィルムを内層回路基板上にラミネートし、支持フィルムを剥離するか又はしないで、エポキシ樹脂組成物を熱硬化し、硬化後に支持フィルムが存在する場合に支持フィルムを剥離して形成され、該導体層が、該絶縁層表面を粗化処理した粗化面に銅メッキにより形成されることを特徴とする、多層プリント配線板の製造方法。
【請求項19】
内層回路基板上に絶縁層を形成する工程及び該絶縁層上に導体層を形成する工程を含む多層プリント配線板の製造方法であって、絶縁層が、請求項15記載のプリプレグを内層回路基板上にラミネートし、エポキシ樹脂組成物を熱硬化して形成され、該導体層が、該絶縁層表面を粗化処理した粗化面に銅メッキにより形成されることを特徴とする、多層プリント配線板の製造方法。
【請求項20】
粗化処理が、酸化剤を使用して行われる、請求項17〜19のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項21】
粗化処理が、アルカリ性過マンガン酸溶液を使用して行われる、請求項17〜19のいずれか1項に記載の製造方法。

【公開番号】特開2012−97283(P2012−97283A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−27733(P2012−27733)
【出願日】平成24年2月10日(2012.2.10)
【分割の表示】特願2006−320769(P2006−320769)の分割
【原出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【Fターム(参考)】