説明

多層プリント配線板の製造方法

【課題】 高い歩留まりでコア基板に貫通孔を形成することを可能とし、さらには、スルーホール導体の信頼性を確保し得る多層プリント配線板の製造方法を提供する。
【解決手段】 第1開口部28A、第2開口部28B及び第3開口部28Cを第1面F側からのレーザによって形成する。第1開口部の径をX1とし、第2開口部の径をX2とし、第3開口部の径をX3としたとき、X2<X3≦X1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、貫通孔を有するコア基板と、そのコア基板上に形成されている第1導体回路及び第2導体回路と、貫通孔に形成されて第1導体回路と第2導体回路とを接続するスルーホール導体と、を有するプリント配線板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1においては、コア基板の表側(第1面側)からレーザを照射することで第1開口部を形成し、裏側(第2面側)から同じくレーザを照射することで第2開口部を形成する。第1開口部と第2開口部とにより貫通孔が形成される。第1開口部は第2面に向かうに連れてテーパしており、第2開口部は第1面に向かうに連れてテーパしている。そして、貫通孔の内部をめっきで充填することで、コア基板の表裏を接続し得る小径のスルーホール導体が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−41463号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、第1面側からレーザで第1開口部を設けるとともに第2面側からレーザで第2開口部を設けることでコア基板に貫通孔を形成する場合、第1開口部の位置に対し、第2開口部を形成する位置を精度良く合わせる必要があると考えられる。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、高い歩留まりでコア基板に貫通孔を形成することを可能とし、さらには、スルーホール導体の信頼性を確保することを可能とするプリント配線板の製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明は、第1面と該第1面とは反対側の第2面とを有するコア基板を準備することと、前記コア基板の第1面から第2面に向けて貫通孔を形成することと、前記コア基板の第1面に第1導体を形成することと、前記コア基板の第2面に第2導体を形成することと、
前記貫通孔内に導電性物質を充填することで前記第1導体と前記第2導体とを接続するスルーホール導体を形成することと、を含むプリント配線板の製造方法において、
前記貫通孔を形成することは、前記コア基板の第1面側に第1開口部を形成することと、前記第1開口部の底部から前記第2面に向けて第2開口部を形成することと、前記第2開口部の底部から前記第2面に向けて第3開口部を形成することとを含み、
前記第1開口部の径をX1とし、前記第2開口部の径をX2とし、前記第3開口部の径をX3としたとき、X2<X3≦X1であることを技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本願発明では、コア基板の片側(第1面側)からのみレーザを照射することで貫通孔を形成する。このため、コア基板の両側(第1面側及び第2面側)からレーザを照射して貫通孔を形成する場合と比較して、高い歩留まりでコア基板に貫通孔を形成することが可能になる。
さらに、貫通孔を形成する第1開口部、第2開口部及び第3開口部のうち、外方に位置する第1開口部及び第3開口部の双方が、第2開口部よりも径が大きい。すなわち、コア基板に設けられる貫通孔のうち、両方の開口部の径が相対的に大きく形成されている。このため、貫通孔の内壁の角部分が鈍角となりやすい。従って、仮に貫通孔の内壁の角部分に熱応力が集中した場合でも、この熱応力は緩和されやすい。その結果、貫通孔の内部に形成されているスルーホール導体に対し、この角部分を起点としたクラックが入りにくい。ひいては、スルーホール導体の信頼性が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の多層プリント配線板の製造方法を示す工程図である。
【図2】本発明の多層プリント配線板の製造方法を示す工程図である。
【図3】本発明の多層プリント配線板の製造方法を示す工程図である。
【図4】本発明の多層プリント配線板の製造方法を示す工程図である。
【図5】本発明の多層プリント配線板の製造方法を示す工程図である。
【図6】ICチップを搭載する前の多層プリント配線板の断面図である。
【図7】図7(A)は貫通孔を設けたコア基板の断面図であり、図7(B)は貫通孔の断面図である。
【図8】本発明の貫通孔の説明図である。
【図9】図9(A)及び図9(B)は、本発明の貫通孔の説明図である。
【図10】本発明の貫通孔の説明図である。
【図11】本発明の開口部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願発明の実施形態に係る製造方法で製造された多層プリント配線板について、図6の断面図を参照して説明する。
図6は、ICチップを搭載する前の多層プリント配線板10を示す。
【0010】
本実施形態の多層プリント配線板10では、コア基板30の第1面F上に第1導体34Aが形成され、第2面S上に第2導体34Bが形成されている。第1導体34Aと第2導体34Bとは、スルーホール導体36を介して電気的に接続されている。
導体34Aは、コア基板30の第1面F上に形成されている銅箔22Aと、銅箔22A上の無電解めっき膜31と、無電解めっき膜31上の電解めっき膜32とからなる。導体34Bは、コア基板30の第2面S上に形成されている銅箔22Bと、銅箔22B上の無電解めっき膜31と、無電解めっき膜31上の電解めっき膜32とからなる。
【0011】
コア基板30の第1面F上と第1導体34A上には、層間樹脂絶縁層50Aが形成されている。この層間樹脂絶縁層50A上には第3導体58Aが形成されている。第3導体58Aと第1導体34Aとは、層間樹脂絶縁層50Aを貫通するビア導体60Aで接続されている。層間樹脂絶縁層50A上及び第3導体58A上には、層間樹脂絶縁層150Aが形成されている。この層間樹脂絶縁層150A上には第4導体158Aが形成されている。第4導体158Aと第3導体58Aとは、層間樹脂絶縁層150Aを貫通するビア導体160Aで接続されている。
【0012】
一方、コア基板30の第2面S上と第2導体34Bとの上には、層間樹脂絶縁層50Bが形成されている。この層間樹脂絶縁層50B上には第3導体58Bが形成されている。第3導体58Bと第1導体34Aとは、層間樹脂絶縁層50Bを貫通するビア導体60Bで接続されている。層間樹脂絶縁層50B上及び第3導体58B上には、層間樹脂絶縁層150Bが形成されている。この層間樹脂絶縁層150B上には第4導体158Bが形成されている。第4導体158Bと第3導体58Bとは、層間樹脂絶縁層150Bを貫通するビア導体160Bで接続されている。
【0013】
層間樹脂絶縁層150A上にはソルダーレジスト層70Aが形成され、層間樹脂絶縁層150B上にはソルダーレジスト層70Bが形成されている。ソルダーレジスト層70A,70Bは、それぞれ第4導体158A,158Bの少なくとも一部を露出させる開口71A,71Bを有する。開口71A,71Bの内部には、それぞれ半田バンプ76U,76Dが設けられている。
【0014】
次いで、図6中のスルーホール導体36について説明する。
コア基板30は、第1面Fと、第1面Fとは反対側の第2面Sとを有する絶縁基板である。該コア基板30は、貫通孔28を有している。スルーホール導体36は、貫通孔28をめっきで充填している金属からなる。
【0015】
貫通孔28の拡大図を図7(A)に示す。貫通孔28は、コア基板30の第1面F側に設けられている第1開口部28Aと、第1開口部28Aの底部から第2面Sに向けて設けられる第2開口部28Bと、コア基板30の第2面S側に設けられている第3開口部28Cとからなる。
【0016】
第1開口部28A、第2開口部28B及び第3開口部28Cは、コア基板30の第1面F側からレーザを照射することで形成される。
図7(B)及び図11に示すように、第2開口部28Bの最大径X2は、第1開口部28Aの最大径X1より小さい。
第2開口部28Bの最大径X2は、第3開口部28Bの径X3よりも小さい。第3開口部28Cの最大径X3は、第1開口部の最大径X1よりも小さい。
第1開口部28A及び第2開口部28Bは、コア基板30の第1面Fから第2面Sに向かって径が細くなっている。
第3開口部28Cは、第1面Fから第2面Sに向かって径が大きくなっている。
なお、ここでいう各開口部28A〜28Cの径X1〜X3とは、各開口部の内径であり、各開口部における任意の箇所において向かい合う開口部の内壁間の距離のうち、最大の値を意味する。
【0017】
コア基板の第1面から第2面の方向に第1開口部の内径が細くなる割合をΔW1とし、コア基板の第1面から第2面の方向に第2開口部の内径が細くなる割合をΔW2としたとき、ΔW1>ΔW2となる。
これにより、貫通孔28は、第1開口部28Aと第2開口部28Bとの接合部分で屈曲することで、屈曲部P1を有している。
また、貫通孔28は、第2開口部28Bと第3開口部28Cとの接合部分で屈曲することで、屈曲部P2を有している。
【0018】
本実施形態では、スルーホール導体36に生じる応力が、第1開口部28Aと第2開口部28Bとの接合部分(屈曲部P1)と、第2開口部28Bと第3開口部28Cとの接合部分(屈曲部P2)との少なくとも2箇所に応力が分散する。このため、クラックが発生し難くなると推測される。
更に、スルーホール導体に生じる応力は屈曲部P1、P2で分散されるため、スルーホール導体の端部側へ加わる応力も低減される。その結果、スルーホール導体36とスルーホール導体直上のビア導体60との剥離が生じ難くなり、双方の接続信頼性が向上する。
図8に示すように第3開口部28Cは、第1面F側から第2面S側に向けて径が大きくなる。このため、第3開口部28Cの開口端部の角度θ4は鈍角になる。その結果、第3開口部28Cの開口端部に生じる熱応力が緩和されやすく、スルーホール導体の信頼性を向上することができる。
なお、「角度θ4」とは、第3開口部28Cの内壁の任意の点を通る接線と、コア基板の第2面に平行な直線とがなす角度を意味する。
【0019】
また、図8に示すように、第1開口部28A、第2開口部28B、第3開口部28Cが第1面側からのレーザによって形成されるので、第1開口部の中心軸G1、第2開口部の中心軸G2、第3開口部の中心軸G3がずれることがほとんど無い。
図9(A)に示すように、銅箔22Bは貫通孔22bを有している。この貫通孔22bは、第3開口部28Cと連通している。貫通孔22bの径X4は、上記第2開口部28Bの径X2よりも小さい。
このため、スルーホール導体36用の貫通孔28の内部に電解めっきを充填する際には、まず銅箔22Bの貫通孔22bの内部に電解めっきが充填されることで、貫通孔22bの底部が容易に電解めっきで閉塞される。
【0020】
引き続き、多層プリント配線板10の製造方法について図1〜図5を参照して説明する。
(1)補強材と樹脂とからなる厚み0.4mmのコア基板30を用意する(図1(A))。コア基板30の第1面F上及び第2面S上には、密着面が粗化処理された銅箔22A,22Bがそれぞれラミネートされている。
補強材としては、例えばガラスクロス、アラミド繊維、ガラス繊維などが挙げられる。樹脂としては、エポキシ樹脂、BT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂などが挙げられる。さらに、樹脂中には、水酸化物からなる粒子が含有されている。水酸化物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等の金属水酸化物が挙げられる。水酸化物は熱で分解されることで水が生成する。このため、水酸化物は、コア基板30を構成する材料から熱を奪うことが可能であると考えられる。すなわち、コア基板30が水酸化物を含むことで、レーザでの加工性が向上すると推測される。
次に、銅箔22の表面に、NaOH(10g/l)、NaClO2 (40g/l)、Na3 PO4 (6g/l)を含む水溶液を黒化浴(酸化浴)とする黒化処理を施す。
【0021】
(2)コア基板30の第1面(上面)側からCO2レーザにて、レーザを照射してコア基板30の第1面F側に第1開口部28Aを形成する(図1(B))。
コア基板30の第1面F(上面)側からCO2レーザにて、レーザを照射して第1開口部28Aの底部から第2面Sに向けて第2開口部28Bを形成する(図1(C))。
【0022】
次いで、コア基板30の第1面F(上面)側からCO2レーザにて、レーザを照射して第2開口部28Bの底部から第2面Sに向けて第3開口部28Cを形成する(図1(D))。
これら第1開口部28A、第2開口部28B及び第3開口部28Cがコア基板30内で連結することで、貫通孔28が形成される。
【0023】
このとき、図7(B)に示すように第1開口部28Aの径及び第2開口部28Bの内径は、Z軸のマイナス方向に向けて小さくなる。第3開口部28Cの内径は、Z軸のマイナス方向に向けて大きくなる。
【0024】
図10に示すように、第1開口部28AのZ軸に対する傾きをθ1、第2開口部28BのZ軸に対する傾きをθ2として示す。このとき、θ1>θ2となる。
【0025】
以下に、貫通孔28の形成方法について詳しく説明する。
コア基板30の第1面F側の所定位置に、CO2ガスレーザにて1ショットにより第1開口部28Aを設ける。次いで、コア基板30の第1面F(上面)側からCO2レーザにて、レーザを照射して第1開口部28Aの底部から第2面Sに向けて第2開口部28Bを形成する。第2開口部28Bの径X2は第1開口部28Aの径X1よりも小さい。
なお、第2開口部28Bを形成する際のレーザのショット数は特に限定されない。そのショット数が2以上の場合、生産効率の点で、レーザの条件は同じであることが好ましい。
【0026】
次に、CO2ガスレーザにて第2開口部28Bの底部から第3開口部28Cを設ける。第3開口部28Cを形成する際のレーザの条件は、第2開口部28Bを形成する際のレーザの条件と同じであることが好ましい。
なお、第3開口部28Cを形成する際のレーザのショット数は特に限定されない。そのショット数が2以上の場合、生産効率の点で、レーザの条件は同じであることが好ましい。
この第3開口部28Cを形成する際、レーザが銅箔22Bの内面で乱反射する。乱反射したレーザにより、コア基板30を形成する樹脂が溶解し、第1面Fから第2面Sに向けて径が大きくなるように開口される。
第2開口部、第3開口部を形成する際のレーザの径(アパーチャの開口径)は、第1開口部を形成する際のレーザの径(アパーチャの開口径)よりも小さい。第2開口部、第3開口部を形成する際のレーザのパルス幅は、第1開口部を形成する際のレーザのパルス幅よりも大きい。
【0027】
第2開口部及び第3開口部を形成する際のレーザのパルス幅をA、第1開口部を形成する際のレーザのパルス幅をBとしたとき、1.5≦A/B≦3を満たすことが望ましい。
【0028】
これにより、小径の貫通孔を効率良く(最小ショット数で)形成することが可能になる。なお、A/Bが1.5未満の場合、開口形成が進まずショット数を増大させる必要があり、製造効率が低下する可能性がある。他方、A/Bが3を越えると、横方向に過剰に熱拡散し、開口の深さに対して開口径が過剰に大きくなる可能性がある。
続いて、銅箔22Bに貫通孔22bを設ける。この貫通孔22bは、第3開口部28Cに連通する。貫通孔22bの径X4は、上述した第2開口部X2よりも小さい(図9(A)参照)。
【0029】
なお、コア基板30の厚みが0.4mm以下であることが望ましい。厚みが4mmを越えると、一方の面からのレーザで貫通孔を作りにくくなる。
【0030】
(3)次いで、貫通孔28を有するコア基板30は、所定濃度の過マンガン酸を含む溶液に浸漬され、デスミア処理が行われる。このとき、コア基板30の重量減少度が1.0wt%以下、更に好適には0.5wt%以下であることが望ましい。コア基板は、ガラスクロス等の強化材に樹脂を含浸させて成り、デスミヤ処理で樹脂を溶解すると、貫通孔内にはガラスクロスが突き出すことになる、コア基材の重量減少度が上記範囲の場合、ガラスクロスの突き出しを抑制でき、貫通孔内にめっきを充填する際にボイドが残ることがほとんどない。
【0031】
コア基板30の表面に、パラジウム触媒を付与する。その後、無電解めっき液にコア基板を浸漬し、コア基板の第1面F上、第2面S上及び貫通孔28の内壁に無電解めっき膜31を形成する(図1(E))。無電解めっき膜31を形成する材料としては、銅、ニッケルなどが挙げられる。
【0032】
無電解めっき膜をシード層として、電解銅めっき処理を行い無電解めっき膜31上に電解めっき膜32を形成する。ここで、第2面S側の銅箔22Bの貫通孔22bは、第2開口部28Cよりも径が小さい。このため、コア基板30の貫通孔28をめっきで充填する際に、まず、銅箔22Bの貫通孔22bを埋めるようにめっきが析出する(図1(E)、図9(B)参照)。その結果、コア基板30の貫通孔28の底部がめっきで閉塞する。この状態で、コア基板30の貫通孔28の内部が次第にめっきで充填される(図2(B))。
このとき、めっき膜で底部が閉塞された貫通孔28にめっきを析出させるため、中央部にボイドが残り難いと考えられる。その結果、スルーホール導体の信頼性を向上させることができる。
【0033】
(4)基板表面の電解めっき膜32に所定パターンのエッチングレジスト40を形成する(図2(C))。
【0034】
(5)エッチングレジスト40から露出している電解めっき膜31、電解めっき膜32、及び銅箔を除去する(図2(D))。
【0035】
(6)エッチングレジスト40を除去する。これにより、コア基板30の第1面F上に第1導体34Aが、コア基板30の第2面S上に第2導体34Bが形成される。これら第1導体34Aと第2導体34Bとは、貫通孔28内のスルーホール導体36により接続される(図3(A)参照)。
【0036】
(7)コア基板30の第1面F上及び第2面S上に、層間樹脂絶縁層用樹脂フィルム(味の素社製:商品名;ABF−45SH)を積層し、層間樹脂絶縁層50A,50Bをそれぞれ設ける(図3(B)参照)。
【0037】
(8)次に、CO2ガスレーザにて層間樹脂絶縁層50A,50Bにそれぞれバイアホール用開口51A,51Bを設ける(図3(C)参照)。過マンガン酸塩などの酸化剤等に基板を浸漬し、デスミア処理を行う(図示せず)。
【0038】
(9)層間樹脂絶縁層50A,50Bの表面にパラジウムなどの触媒を付与し、無電解めっき液に基板を浸漬させることにより、無電解めっき膜52A,52Bを設ける(図3(D))。
【0039】
(10)無電解めっき膜52上にめっきレジスト54を設ける(図4(A))。
【0040】
(11)めっきレジスト54から露出する無電解めっき膜52上に、電解めっき膜56A,56Bを形成する(図4(B)参照)。
【0041】
(12)モノエタノールアミンを含む溶液を用いてめっきレジスト54を除去する。電解めっき膜間の無電解めっき膜をエッチングで除去することで、第3導体58A,58B及びビア導体60A,60Bを形成する。次いで、第3導体58A,58Bの表面にSnめっきを施し、SnCu層を形成する。このSnCu層上にシランカップリング剤を塗布する(図4(C))。
【0042】
(13)次に上記(7)〜(12)の工程を繰り返す(図5(A))。
そして、基板の両面に、開口71A,71Bを有するソルダーレジスト層70A,70Bを形成する(図5(B))。開口71A,71Bから露出される第3導体158A,158Bの上面が半田パッドとして機能する。
半田パッド上にニッケルめっき層72A,72Bを形成し、さらにニッケルめっき層72上に金めっき層74A,74Bを形成する(図5(C))。ニッケル−金層以外にも、ニッケル−パラジウム−金層を形成してもよい。
【0043】
(19)この後、開口71A,71B内に半田ボールを搭載し、リフローを行うことで、第1面(上面)側に半田バンプ76Uを、第2面(裏面)側に半田バンプ76Dを形成し、多層プリント配線板10を完成する(図6)。
【0044】
[第1実施例]
本発明の第1実施例に係る多層プリント配線板の製造方法について説明する。
まず、ガラスクロスとエポキシ樹脂と水酸化マグネシウムとからなり、コア基板を用意する。コア基板の厚みは約0.4mmである。コア基板の第1面上及び第2面上には、それぞれ銅箔が形成されている。
【0045】
コア基板の第1面(上面)側からCO2レーザにて、レーザを照射してコア基板の第1面側に第1開口部を形成する。ここで照射されるレーザのショット数は1である。この第1開口部は、少なくとも銅箔を関する開口部である。
【0046】
次いで、コア基板の第1面(上面)側からCO2レーザにて、レーザを照射して第1開口部の底部から第2面に向けて第2開口部を形成する。ここで照射されるレーザのショット数は1である。第2開口部を形成する際のレーザの径(アパーチャの開口径)は、第1開口部を形成する際のレーザの径よりも小さい。第2開口部を形成する際のレーザのパルス幅は、第1開口部を形成する際のレーザのパルス幅よりも大きい。
第1開口部と第2開口部との境界部分に、屈曲部P1が形成される。
【0047】
コア基板の第1面(上面)側からCO2レーザにて、レーザを照射してコア基板の第2開口部の底部に第3開口部を形成する。ここで照射されるレーザのショット数は1である。
【0048】
貫通孔を有するコア基板を、所定濃度の過マンガン酸を含む溶液に浸漬し、デスミア処理を行う。
コア基板の表面に、パラジウム触媒を付与する。その後、無電解めっき液にコア基板を浸漬し、コア基板の第1面上、第2面上及び貫通孔の内壁に無電解めっき膜を形成する。無電解めっき膜をシード層として、無電解めっき膜上に電解めっき膜を形成する。貫通孔は電解めっき膜で充填される。
基板表面の電解めっき膜に所定パターンのエッチングレジストを形成する。
【0049】
エッチングレジストの非形成部の無電解めっき膜、電解めっき膜、及び銅箔を除去する。
【0050】
続けて、エッチングレジストを除去する。これにより、コア基板の第1面上に第1導体が、コア基板の第2面上に第2導体が形成される。これら第1導体と第2導体とは、貫通孔内のスルーホール導体により接続される。以上により、第1実施例のプリント配線板のスルーホール導体が完成する。
【0051】
[第2実施例]
第2実施例のプリント配線板の製造方法は第1実施例の変更例である。
第2実施例のコア基板は、第1実施例とは厚みが異なる。第2実施例のコア基板の厚みは、約0.7mmである。
コア基板の内部に貫通孔を設ける際、まず、コア基板の第1面(上面)側からCO2レーザにて、レーザを照射してコア基板の第1面側に第1開口部を形成する。ここで照射されるレーザのショット数は2である。この第1開口部は、少なくとも銅箔を関する開口部である。
【0052】
次いで、コア基板の第1面(上面)側からCO2レーザにて、レーザを照射して第1開口部の底部から第2面に向けて第2開口部を形成する。ここで照射されるレーザのショット数は2である。第2開口部を形成する際のレーザの径(アパーチャの開口径)は、第1開口部を形成する際のレーザの径よりも小さい。第2開口部を形成する際のレーザのパルス幅は、第1開口部を形成する際のレーザのパルス幅よりも大きい。
第1開口部と第2開口部との境界部分に、屈曲部が形成される。
【0053】
コア基板の第1面(上面)側からCO2レーザにて、レーザを照射してコア基板の第1面側から第3開口部を形成する。ここで照射されるレーザのショット数は1である。この第3開口部は、少なくとも銅箔を関する開口部である。これにより、コア基板の内部に貫通孔が形成される。
貫通孔を有するコア基板を、所定濃度の過マンガン酸を含む溶液に浸漬し、デスミア処理を行う。
コア基板の表面に、パラジウム触媒を付与する。その後、無電解めっき液にコア基板を浸漬し、コア基板の第1面上、第2面上及び貫通孔の内壁に無電解めっき膜を形成する。無電解めっき膜をシード層として、無電解めっき膜上に電解めっき膜を形成する。貫通孔は電解めっき膜で充填される。
基板表面の電解めっき膜に所定パターンのエッチングレジストを形成する。
【0054】
エッチングレジストの非形成部の無電解めっき膜、電解めっき膜、及び銅箔を除去する。
【0055】
続けて、エッチングレジストを除去する。これにより、コア基板の第1面上に第1導体が、コア基板の第2面上に第2導体が形成される。これら第1導体と第2導体とは、貫通孔内のスルーホール導体により接続される。以上により、第2実施例のプリント配線板のスルーホール導体が完成する。
【符号の説明】
【0056】
10 プリント配線板
28 貫通孔
28A 第1開口部
28B 第2開口部
28C 第3開口部
28D 第4開口部
30 コア基板
34A 第1導体
34B 第2導体
36 スルーホール導体
X1 第1開口部の径
X2 第2開口部の径
X3 第3開口部の径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と該第1面とは反対側の第2面とを有するコア基板を準備することと、
前記コア基板の第1面から第2面に向けて貫通孔を形成することと、
前記コア基板の第1面に第1導体を形成することと、
前記コア基板の第2面に第2導体を形成することと、
前記貫通孔内に導電性物質を充填することで前記第1導体と前記第2導体とを接続するスルーホール導体を形成することと、
を含むプリント配線板の製造方法において、
前記貫通孔を形成することは、前記コア基板の第1面側に第1開口部を形成することと、前記第1開口部の底部から前記第2面に向けて第2開口部を形成することと、前記第2開口部の底部から前記第2面に向けて第3開口部を形成することとを含み、
前記第1開口部の径をX1とし、前記第2開口部の径をX2とし、前記第3開口部の径をX3としたとき、X2<X3≦X1である。
【請求項2】
前記第1開口部及び前記第2開口部は、前記コア基板の第1面から第2面に向けて径が細くなる請求項1の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項3】
前記第1開口部と前記第2開口部との接合部分には屈曲部が設けられる請求項1の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項4】
前記第2開口部と前記第3開口部との接合部分には屈曲部が設けられる請求項4の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項5】
前記コア基板の第1面から第2面の方向に前記第1開口部の径が細くなる割合をΔW1とし、前記コア基板の第1面から第2面の方向に前記第2開口部の径が細くなる割合をΔW2としたとき、ΔW1>ΔW2である請求項2の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項6】
前記コア基板の第1面上には第1金属膜が設けられており、前記コア基板の第2面上には第2金属膜が設けられている請求項1の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項7】
前記第2金属膜は、前記第3開口部に繋がる第4開口部を有しており、該第4開口部の径は前記第2開口部の径よりも小さい請求項7の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項8】
前記第2開口部を設ける際のアパーチャの開口径は、前記第1開口部を設ける際のアパーチャの開口径よりも小さい請求項1の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項9】
前記第3開口部を設ける際のアパーチャの開口径は、前記第2開口部を設ける際のアパーチャの開口径と同じである請求項1の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項10】
前記第2開口部を設ける際のレーザのパルス幅を、前記第1開口部を設ける際のレーザのパルス幅よりも長くする請求項1の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項11】
前記第3開口部を設ける際のレーザのパルス幅を、前記第2開口部を設ける際のレーザのパルス幅と同じにする請求項1の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項12】
前記コア基板の厚みは0.4mm以下である請求項1の多層プリント配線板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−195581(P2012−195581A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−45584(P2012−45584)
【出願日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】