説明

多段可調高さ型家具足

【課題】高さ調節を高さ調節部の多段構造として家具足取付け脚の種々仕様に対応可能にした簡単かつ分別廃棄可能な家具足の提供。
【解決手段】家具支持脚部位100に嵌着可能な固定冠座20を上端部に備え、家具設置支承面で荷重負荷を受承する受座30を下端に備え、間に多段螺動杆40から成る高さ調節部60を有し高さ調節部60の多段螺動杆40下段ねじ軸41と、該下段ねじ軸41に螺合すると共に固定冠座20に形成した調節ねじ部に螺合する上段ねじ軸51とで構成し、固定冠座20は、多段螺動杆40の軸心方向と交差する方向に組立、分割自在な可分割構造を有し、また受座30の座板と押え板とは両者間に介在して両者を相互に着脱自在に結合すると共に結合時に前記高さ調節部の多段螺動杆40の最下端部位を挟持する結合手段を設けた多段可調高さ型家具足とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には家庭用、事務用家具又は電気、電子機器(以下、これらを総称して家具類と言う)の脚や座部等の下端に装着されて家具類の安定を図る家具用調節足に関し、特に高さ調節を二以上の段階にして遂行し得る改良機能を備えると共に廃棄時には素材分別を可能とする構造を有した多段可調高さ型家具足に関する。
【背景技術】
【0002】
家具用高さ調節足の従来の構造例としては、家具の脚端又は底端に螺合するねじスタッドを中心に立設した胴部を有する樹脂製足本体とその足本体に装着されて座を形成する樹脂製足座とを有し、ねじスタッドを家具類の脚端や座裏にねじ込みつつ足本体を足座に対して軽回転によって高さ調節可能とした家具用調節足が特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特公平4−46125号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
然しながら、上述の家具用調節足の場合には、この調節足のねじスタッドのねじ条部分を相手側の家具類の脚端等からねじ込んで固定する固定金具として用いることから、ねじスタッドのねじ条部分を脚端に対して軽便に出し入れして高さ調節を遂行可能にした構造を有する利点の反面で、そのねじスタッドから成る固定金具のねじ条部分の長さの中で相手脚端等のねじ孔に螺合したねじ条部分の長さ範囲よりも所詮は短い長さ範囲でしか調節できないと言う不利がある。
【0004】
しかも高さ調節のためにねじ条部分を脚端から離脱させると、ねじ条部分における固定作用部の長さが減少して固定の安定を欠く場合も生じるという問題点がある。特に、例えば、電子機器類の搭載台として用いられる机等では、脚構造として机裏面に固定した縦脚の脚下端から横に梁状に延設された横脚を有した逆T字型の脚構造を有し、該横脚の両端に家具用調節足を装着する構成等を採る場合には、横脚の脚端には肉厚の関係から十分な調節足取り付け代を確保できない場合があり、故に自ら高さ調節代の確保も十分でない場合が発生すると言う問題点も指摘されている。
【0005】
更に、従来のこの種の家具類用の調節足では、ねじスタッドを足座に埋設、固定する製法をとり、使用寿命が尽きた場合でも部品を相互に分解、分離して素材毎の分別を可能にすると言う資源有効利用を考慮した構造には至っていないものが多々あった。
よって、本発明は、上述した従来からの家具用調節足が抱える諸問題をクリアーして機能面から又構造面から改善した構成を有するようにした家具類用調節足、特に二段以上の多段構造で調節可能にした多段可調高さ型家具足を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決可能にした本発明の多段可調高さ型家具足は、家具類の支持脚等部位に嵌着可能な固定冠座を上端部に備え、家具類の設置支承面に位置して荷重負荷を受承する受座を下端に備え、固定冠座と受座との間に多段螺動杆から成る高さ調節部を有した多段可調高さ型家具足として形成され、上記高さ調節部の多段螺動杆の最下端部位を上記受座が有する座板、押え板の間に挟持固定せしめ、かつその多段螺動杆は、該最下端部位を有する下段ねじ軸と、該下段ねじ軸に螺合すると共に上記固定冠座に予め形成した調節ねじ部に螺合する中間環状の上段ねじ軸とを少なくとも有して成り、上記固定冠座は、上記多段螺動杆の上記上段ねじ軸の軸心方向と交差する方向に組立、分割自在な可分割構造を有して成り、また上記受座の座板と押え板とは両者間に介在して両者を相互に着脱自在に結合すると共に結合時に前記高さ調節部の上記多段螺動杆の最下端部位を挟持する結合手段を有して成る構成を備えている。
【0007】
また、上記受座の座板は樹脂材料から成り、かつ押え板は樹脂材料又は金属材料から成る構成を具備し、上記多段螺動杆の上記上段、下段ねじ軸は、金属材料又は高強度の樹脂材料から形成され、かつ両上下段ねじ軸は、螺合部の相互の抜け止め防止手段を備えた構成を具備して成り、更に上記固定冠座は、金属材料又は樹脂材料から形成されると共に相手家具類の支持脚部位に形成した嵌着孔に相補した外形形状を有し、内部に前記多段螺動杆の上段ねじ軸が螺合する前記調節ねじ部用の内ねじ条部とを有した構成、及び上記高さ調節部の上記多段螺動杆における上段ねじ軸は、外部に上記固定冠座の内ねじ条部に螺合する外ねじ条部を有すると共に該外ねじ条部の上端に該固定冠座からの抜け止め防止手段を有し、かつ内部に上記下段ねじ軸と螺合する内ねじ条を形成、具備している中間環状部材として形成され、しかも上記高さ調節部の多段螺動杆における上記の上下段ねじ軸が有する抜け止め防止手段は、ねじ条に対して螺合不可能な非ねじ部として形成、具備されている構成とした多段可調高さ型家具足とすることが好ましい。
【0008】
更に、好ましくは、上記受座が有する上記の結合手段は、上記樹脂製座板、押え板の夫々に形成した噛み合突爪から形成され、上記座板に形成した突爪と押え板に形成した突爪との噛み合によって該結合手段を構成し、結合時に高さ調節部の上記多段螺動杆の最下端部位を挟持し、以って受座から立設した高さ調節部、その高さ調節部の頂端に取着される上記固定冠座を備えた多段可調高さ型家具足として形成される。
【0009】
なお、上述の構成手段の場合には、高さ調節部を上下段ねじ軸の二つの部材で構成してある如く記載したが、上下段両ねじ軸の構成と同様に上段ねじ軸の外ねじ軸に対して螺動する中間環状の更に別の上段ねじ軸を、上記上段ねじ軸の外ねじ条部に螺合させる構成で設ければ、高さ調節を三段階で調節し得ることとなる。この意味で、本発明を多段調節高さ型家具足としたことが理解できるであろう。
【発明の効果】
【0010】
上述した本発明に係る多段可調高さ型家具足は、固定冠座を相手家具類の脚端に形成した嵌着孔にプレス又は打ち込みによって嵌着固定し、その後に高さ調節部の多段螺動杆における上段ねじ軸と下段ねじ軸とを作動させて、例えば上段ねじ軸を先ず、固定冠座に対してねじ作動による軸動を行なわせて該固定冠座から上段ねじ軸を引き出す方向に変位させ、次いでその上段ねじ軸に対して下段ねじ軸を引き出す方向にねじ軸動させることで上下ねじ軸を二段(多段)に引き出すことができ、両軸のねじ部分のストローク長に対応した長い距離に渡って受座から家具類の脚端に至る高さ距離を調節可能とするもので、この結果、家具の設置面から家具脚端までの高さ調整余裕が増加し、設置面に対する家具類の設置高さ調節に当たって多様に要求高さに対応して安定した家具足と機能発揮をできる効果を奏する。
【0011】
また、家具類の脚端に固定冠座を固定させ、家具足の高さ調節は、高さ調節部で遂行する構成は、例えば、脚端が家具足を装着するに十分な寸法形状を有しない構造にある際にも、固体冠座を嵌着、固定する寸法分だけ有すれば良く、
長い脚長を有して家具足の固定ねじの出し入れによる高さ調節を遂行する構成と比較して多様的に種々多種類の家具類へ装着、使用できる点で優れた効果を奏するのである。

しかも、固定冠座、高さ調節部、受座は、同高さ調節部の多段螺動杆における上下ねじ軸をそれぞれ収納方向に螺動させれば、多段可調高さ型家具足自体の全高さを縮小させ得るから、例えば家具類への装着前の家具足はコンパクト寸法部品として取り扱うことができ、故に装着現場までの搬送や商品として販売する過程では、そのコンパクトな姿で取り扱うことが可能となり、いわば、非使用時には嵩張らない有利な効果を奏する。
【0012】
しかも、家具類への装着、長期使用により交換等の理由で廃棄処理される場合には、家具類の脚端から固定冠座を抜き出し、それを分割、分離させ、次いで高さ調節部の多段螺動杆における上段ねじ軸と下段ねじ軸とを抜け止め防止手段の除去後に相互に螺動解離させて両者を分離せしめ、更に受座の座板と押え板との間の結合手段をドライバ等の簡単な工具で分離させれば、受座から上記下段ねじ軸を切り離し、以って全部品を分解させることができ、故に各部品を素材別に分別して処理することが可能となる。故に、廃棄品を材質別に分別処理することが可能となるから、資源素材の再利用を可能にし、かつ環境維持の寄与する有利な効果を奏することが可能になる。
【0013】
以下、本発明を添付図面に示す二段調節高さ型家具足の実施形態に基づいて更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施形態にのみ限定されるものではなく、請求項1〜5に記載の発明の範囲を逸脱することなく、種々の改変、変更等が可能であることを理解すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
さて、図1は、本発明の一実施形態に係る多段可調高さ型家具足の組み立て後の正面から見た全体構成の図であり、左右対称における左半分を断面して示したものである。また、図2は、同多段可調高さ型家具足を、例えば机の脚の脚端に装着した状態を示した一部断面正面図である。
図1、図2において、本実施形態に係る多段可調高さ型家具足10は、家具類の支持脚100の脚端等に嵌着可能な固定冠座20を上端部位に備え、また家具類の設置支承面に位置したときに重さ負荷を受承する下端部材としての受座30を備え、さらに固定冠座20と受座30との間に在って多段螺動杆40を有して成る高さ調節部60とを備えて構成されている。
【0015】
ここで、固定冠座20は、後述のように、樹脂材料、例えばナイロン6等のポリアミド系樹脂、又は鉄、アルミ等の金属系材料を利用して形成され、家具類の支持脚100の脚端に形成した嵌合孔102に打ち込みや叩き込みによって圧入状態に固定され、支持脚100端に家具足10全体を固定する。従って、固定冠座20自体は、外形が相手の家具支持脚100の嵌合孔102に相補形状または略相補形の外形形状を有するように予め形成され、好ましくは、外表面に嵌合孔102と強固に嵌め合い嵌合して通常の使用状態では抜け落ちることがないように適数の突起21を有して形成され、下端には家具類の支持脚100下面に衝合するフランジ22を有する環状中空体を成している。
【0016】
他方、受座30は、後に詳述するが、二つの部材31、32を相互に係合して一体化させることにより組み立てられ、本家具足10の最下端に設けられ、床面、その他の家具類設置面等へ着座する座部品を成し、部材31が座板を形成し、部材32が押え板を形成している。座板31は、通常は既述のアミド系樹脂等の強度に優れた合成樹脂材料を用いた成形部品として提供され、縁部に円周形状等の周壁33を備えて内部に高さ調節部60の最下端部を収納する円形収納室34を形成している。そして、周壁33に内周面には断面が内方に向けて突出した係合用の突爪35を有している。
【0017】
上記の受座30における座板31と係合する押え板32は、座板31の収納室34に嵌着、係合する部材として受座31と同様にアミド系等の合成樹脂材料、或いはアルミ材等の金属材料で成形加工により形成しても良く、また所要に応じて削り加工で形成して提供される。同押え板32は、その外周部に外周壁36を、内周部に内周壁37を備え、外周壁36には外周囲に前記の座板31の係合用突爪35と噛合するように予め設計された断面が外向きの突爪38を備え、座板31の収納室34に押え板32を押し込むことによって両者の係合用突爪35、38がパチント嵌着、係合して一体化し、受座30を形成する構造を有している。このとき、押え板32の内周壁37は、後述するように高さ調整部60の最下端に設けられるフランジ部(図4にて詳細に記述)を座板31の収納室34内に押さえ込んで保持、固定するようになっている。従って、逆に座板31と押え板32の突爪35、38による嵌着、係合を簡単な工具、例えばドライバ等で強制的に解離させれば、部材31、32を分解し得ると共に高さ調整部60を受座30から分離することも可能であるので、本家具足10を使用寿命後に廃棄したり、又は何らかの原因で破損を生じて交換、廃棄したりする際などに部品別に分解することができるのである。
【0018】
次に、上記の固定冠座20と受座30との間に設けられる高さ調整部60は、家具類の脚100と受座30との間の高さ寸法を調節して所望の寸法値に設定し、家具足10を設置面へ安定的に固定させる機能部分として提供されるものである。本実施形態では、二段階(多段階)にねじ動作を利用して高さ調節を実行可能な多段螺動杆40として設けられている。
【0019】
さて、本実施形態に係る多段螺動杆40は、基本的には二段階に高さ調節を遂行する装置として形成され、上記受座30に固定される下段ねじ軸41と、この下段ねじ軸41に対して上下(高さ方向)にねじ作用による螺動が可能な上段ねじ軸51とを備えて構成されている。上下段ねじ軸41、51は本実施形態の家具足10が、家具類の重さ負荷等や倒れ負荷等に耐えて支承機能を発揮する上から重要な高強度を有することが要求され、従って強度は十分、かつ加工性に優れたアミド系等の樹脂材料又は鉄等の金属材料で形成され、成形加工法又は切削等による機械加工方で作製されるものと解すれば良い。
【0020】
ここで、下段ねじ軸41は下端に前述のフランジ42を有し、軸部はねじ条43を備えたねじ軸を形成しているもので、このねじ条43に、中空円筒体の形状を有した上段ねじ軸51の内周面52に形成されたねじ条53が螺合している。更に下段ねじ軸41の最上端には抜け止め防止手段を形成するように、本例では、凹溝に周知のスナップリング45嵌入し、同スナップリング45が上段ねじ軸51の内ねじ条53を有した内周面の上端に係止してねじ作用の最終段で上下段ねじ軸41、51の離脱、分離が発生するのを防止する構成と成っている。
【0021】
他方、上記のように下段ねじ軸41に対して螺動、上下可能な上段ねじ軸51は、その外周に外ねじ条54が形成され、かつその最上端にはねじ条を故意の省いた非ねじ部55が形成されている。そして、この上段ねじ軸51の外ねじ条54は、前記の固定冠座20の内周面の一部適宜部分に削設された内ねじ条23に螺合して相対的に固定冠座20と上段ねじ軸51との間で軸線方向の変位が可能に成っている。つまり、固定座20が、図2に示すように家具類の脚端100における嵌合孔102に嵌着、固定された段階では、該固定冠座20に対して上段ねじ軸51が螺動によって出入可能になっており、図2は、上段ねじ軸51が固定冠座20から、故に脚端100の嵌合孔102から十分に引き出された状態にあることを示している。この段階では、上記の非ねじ部55が固定冠座20の内ねじ条23の最上端で係止し、抜け止め防止機能を果たしている。
【0022】
そして、同図2は、その上段ねじ軸51に対して下段ねじ軸41が引き出された位置に変位していることから、高さ調節が最も長いストローク長に渡って行われた状態を示しているものである。
ここで図3を参照すると、同図3の(a)、(b)は、本実施形態に係る多段可調高さ型家具足10を軸方向に最も短縮化させた状態、つまり、固定冠座20の内部に高さ調整部60の多段螺動杆40における上段ねじ軸51を収納し、かつその上段ねじ軸51の内部に下段ねじ軸41を収納して最も高さを短縮させた状態を示している。このようなコンパクトな短縮状態にすれば、家具足10を家具類の設置現場に持ち込む等の搬送段階や同家具足10を商品として販売する過程で、高さ調節が長いストロークに亘る多段可調高さ型家具足10であってもその取り扱いが簡便化される利点を有している。
【0023】
なお、図3の(a)は、短縮状態における正面図であり、左半分を断面して収納状態を明示したものであり、図3(b)は、上方から見た平面図である。なお、既述の図2および図3(a)からも明らかなように、多段可調高さ型家具足10の受座30の座板31の円周形状等の周壁33の外周には高さ調節操作を簡便にし、かつ家具類の脚端102(図2参照)に家具足10を装着する装着作業を簡便にするために、適宜の握り溝39が形成されている。
【0024】
次に、図4を参照すると、本実施形態に係る多段可調高さ型家具足10を構成要素毎に分離、分解した状態を示している。
同図4に図示のように、固定冠座20、受座30の押え板32、多段螺動杆40を有した高さ調整部60、受座30の座板31との各構成要素に分離、分割されているが、固定冠座20は更に以下に説明するように二部分に分解可能な構造を有し、高さ調整部60は、螺動杆40を形成する上下ねじ軸41、51における前述のスナップリング45を取り外して抜け止め防止機能を解除した状態にすれば、更に二分することが可能となっていることは自明であろう。
【0025】
さて、図4において、固定冠座20は、二つの部材を左右から結合して構成されることが図示されている。つまり、固定冠座20は予め二分設計、製造された左座部品24と右座部品25とを衝合させることで、一体化させたものであり、このように左右座部品24、25と二分化することで、高さ調節部60の多段螺動杆40における上段ねじ軸51を左右から挟むようにして組み立てることが可能であり、故に、上段ねじ軸51の最頂端の非ねじ部55が抜け止め防止手段を形成すべく設けられていても何らの支障なく組み立て得るのである。この固定冠座20の左右座部品24、25は両者を左右から互いに衝合させると、それぞれの端面域に形成された嵌合孔と嵌合ピンとが嵌め合って両者が一体に結合、組み立てされるのである。
【0026】
さて、図5(a)〜(c)は、図4の右座部品25に就いて、矢視線5a-5a、5b-5b、5c-5cで示す方向から見た夫々の端面図を示しており、左座部品24に就いても構造的には略同様に形成されており、嵌合ピンと嵌合孔又は嵌合凹所との嵌合による両者24、25の結合を達成する上でピン構造、配置、孔構造、配置における個数、形状、位置関係等に相互に違いが有るのみで実質的には同構造であると理解すれば良く、当業者ならば容易に理解することができよう。
【0027】
右座部品25は、その衝合面25aに左右に一対の鉤状の嵌合ピン26a、26b及び26c、26dを上下に隔てて形成具備され、又同衝合面25aの中間域に左座部品24における衝合面24aに設けられた嵌合ピン(図4のピン27)が嵌入する左右一対の嵌合孔26e、26eを有している。かくして、左右の座部品24、25を左右から衝合させれば、両者は嵌合ピン26a、26b及び26c、26d が相手側の嵌合凹所に嵌合、係止し、他方、嵌合孔26e、26eに相手側の嵌合ピン27が嵌合、係止して両者は一体化される。なお、この両者の一体化過程で、その内ねじ条23を高さ調節部60の螺動杆40における上段ねじ軸51の外ねじ条54に、螺合させて固定冠座20と高さ調節部60の組み立てを完成させるように成っている。
【0028】
図6、図7は、本実施形態に係る多段可調高さ家具足10の高さ調節部60を取り出し図示したもので、左半分を断面して図示している。
高さ調節部60の多段螺動杆40は、既述のように、下段ねじ軸41と上段ねじ軸51とを具備してなり、下段ねじ軸41の下端にフランジ42が一体形成され、このフランジ42が受座30の座板31と押え板32との間に挟持、固定される組み立て構成を備えていることは既述の通りである。下段ねじ軸41の頂端にはスナップリング45の装着溝が円周溝46が形成され、この円周溝46に嵌着されたスナップリング45が、上段ねじ軸51の内周面52に形成された内ねじ条53の最上端部に衝接して上段ねじ軸51から下段ねじ軸41が家具足10の使用過程又は家具類への装着過程の高さ調節作業時に抜け落ちることがないように抜け止め防止を図っている。
【0029】
なお、スナップリング45を用いた抜け止め防止手段は、単に好ましい実施形態であり、その他、例えば、上下段ねじ軸41、51を螺合、組み立て後に下段ねじ軸41の頂端に形成した貫通孔にピンを挿入し、そのピンの先端の係止作用で抜け止め防止を図る等の構成でも良い。
また、上段ねじ軸51の内ねじ条53は、同ねじ軸51の内部孔の下半分領域に形成され、上半分領域はやや内ねじ情3の内径より少し大きな径の中空円筒孔として形成され、下段ねじ軸41に円滑な上下螺動が遂行可能にしている。

そして、図7は、上段ねじ軸51が下段ねじ軸41のフランジ部分まで引き下ろされた状態を示している。すなわち、下段ねじ軸41に対して上段ねじ軸51は図6に示す上動状態と図7に示す下動状態との間で家具足10の高さ調節を実行すべく可動に成っているのである。
【0030】
図8は、家具類の一例としての机200の脚100に装着された本実施形態に係る多段可調高さ型家具足10を示しており、脚100は縦脚201の下端に横設された梁上の横脚100の両端に夫々、多段可調高さ型家具足10を装着して使用される場合を示し、このような横脚100の端部に装着される際には、横脚100の厚み寸法が多々構造的理由やでデザイン的な理由で十分な厚みを有しない場合があり、その場合には、脚厚みの範囲内で家具足を装着する必要があることから、本実施形態の多段可調高さ型家具足10のような固定冠座20が家具足10を脚100に装着、固定する機能を奏しながら高さ調節を固定冠座20に対して螺動する螺動杆40の上下段ねじ軸41、51の螺動による高さ調節作用で達成する構成とすれば、固定座20を脚厚みに対応させ得るから、長軸脚の下端に家具足を装着、固定して高さ調節を行う場合に対比して脚形状や寸法等の物理的条件に対する対応性が向上させ得る点で有利であることが分かる。また、既述のように、本実施形態の二段の高さ調節機能に限定されるものではなく、例えば、高さ調節部60多段螺動杆40における上段ねじ軸を更に二段化、三段化させる構造とすれば、高さ調節機能を所要に応じて更に増加させる構成とすることもできることは容易に当業者なら想起、理解し得るであろう。
【0031】
更にまた、本発明に係る多段可調高さ型家具足は、単に家庭用の家具、電気装置類の脚下端における高さ調節機能、脚と設置面との間の緩衝具として機能するばかりでなく、オフィス等大きな規模の事務施設における床面等の設置面に家具類を設置する場合にも簡単に大きな寸法余裕で高さ調節を行いながら緩衝具、荷重支承具として機能し得る利用性を備えている。しかも、使用寿命を終えて廃棄される際にも分離、分解し、構成要素の素材毎に分別して廃棄処理を遂行しえるから、資源回収可能な材料の再利用を促すこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態に係る多段可調高さ型家具足の全体的構成を示す正面図で左半分を断面して示した図である。
【図2】図1の多段可調高さ型家具足を家具類の脚端に装着した状態を示した図8の矢視2−2から見た正面図であり、脚端のみを断面図示している。
【図3】(a)、(b)は、本実施形態に係る多段可調高さ型家具足を高さを縮小させた状態で図示した断面を含む正面図と平面図である。
【図4】は、分解、分離させた状態を示す正面図である。
【図5】(a)、(b)、(c)は本実施形態に係る多段可調高さ型家具足の固定冠座の分解構造を説明するための上面図、側面図、下面図である。
【図6】本実施形態に係る多段可調高さ型家具足の高さ調節部の上段、下段ねじ軸の構成を詳細図示した左半分を断面した正面図で、両軸を伸ばした状態を示す図である。
【図7】本実施形態に係る多段可調高さ型家具足の高さ調節部の上段、下段ねじ軸の構成を詳細図示した左半分を断面した正面図で、両軸を縮小した状態を示す図である。
【図8】家具類としての机の脚に本発明の家具足を装着した状態を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
10:多段可調高さ型家具足
20:固定冠座
30:受座
31:受板
32:押え板
33:外周壁
34:円形収納室
35:突爪
38:突爪
40:多段螺動杆
41:下段ねじ軸
51:上段ねじ軸
53:内ねじ条
54:外ねじ条
55:非ねじ部
60:高さ調節部
100:脚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具類の支持脚等部位に嵌着可能な固定冠座を上端部に備え、家具類の設置支承面に位置して荷重負荷を受承する受座を下端に備え、固定冠座と受座との間に多段螺動杆から成る高さ調節部を有した多段可調高さ型家具足であって、
前記高さ調節部の多段螺動杆の最下端部位を前記受座が有する座板、押え板の間に挟持固定せしめ、かつその多段螺動杆は、該最下端部位を有する下段ねじ軸と、該下段ねじ軸に螺合すると共に前記固定冠座に予め形成した調節ねじ部に螺合する中間環状の上段ねじ軸とを少なくとも有して成り、
前記固定冠座は、前記多段螺動杆の前記上段ねじ軸の軸心方向と交差する方向に組立、分割自在な可分割構造を有して成り、また
前記受座の座板と押え板とは両者間に介在して両者を相互に着脱自在に結合すると共に結合時に前記高さ調節部の前記多段螺動杆の最下端部位を挟持する結合手段を有して成る、
ことを特徴とする多段可調高さ型家具足。
【請求項2】
前記受座の座板は樹脂材料から成り、かつ押え板は樹脂材料又は金属材料から成る構成を具備し、
前記多段螺動杆の前記上段、下段ねじ軸は、金属材料又は高強度の樹脂材料から形成され、かつ両上下段ねじ軸は、螺合部の相互の抜け止め防止手段を備えた構成を具備して成り、更に
前記固定冠座は、金属材料又は樹脂材料から形成されると共に相手家具類の支持脚部位に形成した嵌着孔に相補した外形形状を有し、内部に前記多段螺動杆の上段ねじ軸が螺合する前記調節ねじ部用の内ねじ条部とを有したことを特徴とする請求項1に記載の多段可調高さ型家具足。
【請求項3】
前記高さ調節部の前記多段螺動杆における前記上段ねじ軸は、外部に前記固定冠座の前記内ねじ条部に螺合する外ねじ条部を有すると共に該外ねじ条部の上端に該固定冠座からの抜け止め防止手段を有し、かつ内部に前記下段ねじ軸と螺合する内ねじ条を形成、具備している中間環状部材として形成されている請求項1又は2に記載の多段可調高さ型家具足。
【請求項4】
前記高さ調節部の前記多段螺動杆における上下段ねじ軸が有する抜け止め防止手段は、ねじ条に対して螺合不可能な非ねじ部として形成、具備されていることを特徴とする請求項3に記載の多段可調高さ型家具足。
【請求項5】
前記受座が有する前記結合手段は、前記樹脂製座板、押え板の夫々に形成した噛み合突爪から成り、前記座板に形成した突爪と押え板に形成した突爪との噛み合によって該結合手段を構成し、結合時に前記高さ調節部の前記多段螺動杆の前記最下端部位を挟持する請求項1〜3の何れか1項に記載の多段可調高さ型家具足。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−244727(P2007−244727A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−74467(P2006−74467)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(591220665)株式会社石黒製作所 (18)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】