多軸力ロードセル
【課題】フルブリッジ回路の採用が可能で、分力間の干渉も少なく高精度で小型の多軸力ロードセルを得る。
【解決手段】2つのロードセル半部11a、11bが上下対称に組み合わされており、それぞれのロードセル半部11a、11bにおいては、ねじ部12を有する平板状の荷重受部13が4本の十字状に配置したスポーク柱14の内端部により支持され、スポーク柱14の外端部は外周の円筒形の円筒体15に接続されており、円筒体15の端部同士が接続されている。
2つの荷重受部13は上下に独立して設けられることになり、スポーク柱14もそれぞれ上下に4本ずつ存在し、スポーク柱14の総本数は8本となり、32素子の歪ゲージ16に接着するには、1本のスポーク柱14当たり4素子を接着することになり、断面が四角のスポーク柱14では一面に1素子の歪ゲージ16を接着すればよいので、小型化が実現できる。
【解決手段】2つのロードセル半部11a、11bが上下対称に組み合わされており、それぞれのロードセル半部11a、11bにおいては、ねじ部12を有する平板状の荷重受部13が4本の十字状に配置したスポーク柱14の内端部により支持され、スポーク柱14の外端部は外周の円筒形の円筒体15に接続されており、円筒体15の端部同士が接続されている。
2つの荷重受部13は上下に独立して設けられることになり、スポーク柱14もそれぞれ上下に4本ずつ存在し、スポーク柱14の総本数は8本となり、32素子の歪ゲージ16に接着するには、1本のスポーク柱14当たり4素子を接着することになり、断面が四角のスポーク柱14では一面に1素子の歪ゲージ16を接着すればよいので、小型化が実現できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型化が可能な6分力測定を含む多軸力ロードセルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7は従来の通常の6分力ロードセルの斜視図、図8は平面図、図9は断面図である。この形状の6分力ロードセル1は、特許文献1、その他でその構造は周知であり、一応の水準の測定精度が得られる。このロードセル1は上面の荷重受部2が十字状に配置した4本の断面四角形のスポーク柱3を介して外周の円筒体4に支持されているが、スポーク柱3を完全に支持するためには、円筒体4は十分な剛性が必要とされる。このロードセル1は全ての分力、つまり図10に示すようにX、Y、Z軸の3方向の力Fx、Fy、Fzとその軸回りの3つの偶力Mx、My、Mzの座標軸が、一点に集中しているという利点を持っていて、焦点形6分力ロードセルとも云われている。
【0003】
図11の模式断面図のように、台座5に固定した円筒体4の剛性が不足すると、図12に示すように引っ張り荷重により円筒体4が僅かに内側にすぼまり、又は図13に示すように圧縮荷重により外側に拡がる変形が生ずる。これにより、円筒体4と例えば台座5との間に相対的な引きずりが生じ、これがヒステリシス発生の原因となって、安定した高精度の歪検出が困難となることがある。
【0004】
ロードセル1には、4本のスポーク柱3に3方向の力とその偶力検出に必要な歪ゲージ6が接着されて、通常ではフルブリッジ回路の構成が必要となる。それぞれの分力を検出する歪ゲージ6の接着位置の配置は、検出すべき1つの分力に対しては検出応力が最大限に有効な歪を捉え、それをブリッジ出力として信号を出さなければならない。他の5つの分力に対しては、なるべくは不感又は応力歪が相殺されて、歪検出の出力がないようにフルブリッジ回路を構成して、分力間の干渉を避けるように配置されている。
【0005】
フルブリッジ回路構成では、Fx、Fy、Mx、Myは各4素子の歪ゲージ6による構成に、Fz、Mzを測定するための各8素子を加えて、計32素子の歪ゲージ6を用いて6分力を検出することになる。4本のスポーク柱3には、それぞれ8素子の歪ゲージ6を接着し、1本のスポーク柱3の各面に、それぞれ2素子の歪ゲージ6の接着をしなければならない。長さ2mm程度の歪ゲージ6を接着するとしても、2素子の歪ゲージ6を接着するための占有面積をスポーク柱3の各面上に必要とする。
【0006】
一方、前述したように円筒体4の剛性を確保する必要があり、直径方向の厚み寸法を大きくする必要が生じ、図9に示すように、円筒体4の肉厚を大きくすると、円筒体4の内径が小さくなりスポーク柱3が短くなる。円筒体4の外径が25mm程度以下のロードセル1では、スポーク柱3が配置される円筒体4の内径が小さくなり過ぎて、4本のスポーク柱3に計32素子もの歪ゲージ6を接着することは困難である。
【0007】
最近になって、ヒューマノイドロボットの手首或いは更に小さい指等に加わる力の測定用、その他の医療用等に、外径25mm以下、特に外径18mm以下で高安定の6分力ロードセルの要望が多い。
【0008】
現状では、これらの小径の6分力ロードセルでは、歪ゲージ6の接着面積の不足のため、ブリッジ回路構成を2素子の歪ゲージと残りの2素子を歪ゲージに相当する単純な抵抗を用いてダミー化する手法を用い、歪検出回路を所謂ハーフブリッジ回路とした構成が採用されている。しかし、このハーフブリッジ回路はフルブリッジ回路と比較して、検出出力電圧が約1/2になり、SN比の低下でノイズの増加を伴い、更に周囲の温度変化に対する温度安定度も悪化し、分力相互間の干渉特性も生じ易い。
【0009】
更に、直径18mm以下のロードセルでは歪ゲージの接着面積がなく、所謂1ゲージ法のブリッジ回路が用いられている。この1ゲージ法では、残りの3素子分の歪ゲージがダミー化され、出力が1/4となって、ハーフブリッジ回路よりも更に温度特性を始め、諸特性が悪化する。
【0010】
このようなハーフブリッジ回路或いは1ゲージ法の歪検出回路を用いて、ロードセルを超小形化する場合には、残りのダミー抵抗はロードセル1の内部に収納できないので、別位置に固定しなければならないが、この場合に、ダミー抵抗を設置する適当な場所がないことも屡々発生する。別位置に配置した場合には、ロードセル本体とダミー抵抗間に温度差が発生し易く、零安定度等が大幅に悪化する。
【0011】
【特許文献1】特開昭57−169643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、上述の課題を解消し、フルブリッジ回路の採用が可能で、分力間の干渉も少なく高精度で小型の多軸力ロードセルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するための本発明に係る多軸力ロードセルの技術的特徴は、円筒形の保持体の中心に、十字状に配置した断面四角形の4本のスポーク柱によって荷重受部を支持した同形の2つのロードセル半部を、前記保持体の端部同士を向き合わせて上下対称に配置して前記保持体の端縁同士を接続し、前記スポーク柱の各面に歪ゲージを貼付したことにある。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る多軸力ロードセルによれば、それぞれ4本のスポーク柱を有する2つの半部部材を組み合わせることにより、高精度化、小型化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を図1〜図6に図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は実施例の斜視図、図2は平面図、図3は断面図である。この多軸力ロードセルである6分力ロードセルは、2つのロードセル半部11a、11bが上下対称に組み合わされている。それぞれのロードセル半部11a、11bにおいては、ねじ部12を有する平板状の荷重受部13が4本の十字状に配置したスポーク柱14の内端部により支持され、スポーク柱14の外端部は外周の円筒形の円筒体15に接続されている。
【0016】
各ロードセル半部11a、11bは従来の6分力ロードセルの形状と相似形であり、例えばアルミニウムなどの金属ブロックから機械加工などにより切り出して製作されている。上下のロードセル半部11a、11bは円筒体15の端縁同士を固着して一体構造とされ、一体化するに際しては、2つのロードセル半部11a、11bのスポーク柱14は各平行面を一致して配置されている。
【0017】
この構造により、2つの荷重受部13は上下に独立して設けられることになり、スポーク柱14もそれぞれ上下に4本ずつ存在し、スポーク柱14の総本数は8本となり、32素子の歪ゲージ16を接着するには、1本のスポーク柱14当たり4素子を接着することになり、断面が四角のスポーク柱14では一面に1素子の歪ゲージ16を接着すればよいことになる。
【0018】
実際の製作に当たっては、各ロードセル半部11a、11bのスポーク柱14に歪ゲージ16を貼り付け、リード線を引き出してから、円筒体15同士を溶接等により固着することになる。
【0019】
例えば、フルブリッジ回路構成により、上方のロードセル半部11aにFx、Fy、Mx、My検出機能を持たせ、下方のロードセル半部11bにFz、Mz検出の機能を持たせると、Fz、Mzの座標軸(Z軸)はFx、Mxの座標軸(X軸)とFy、Myの座標軸(Y軸)の交点と交叉し、従来の焦点形6分力ロードセルと同じ座標が構成でき、実際の動きも同様になる。これにより、6分力ロードセルの焦点位置は上方のロードセル半部11aの焦点と見倣すことができる。
【0020】
このように、従来では小形化する場合に大きな無駄寸法となる円筒体15の厚みも極度に薄くして、荷重受部13の円板部と同等な厚み或いは円板部の厚み以下に薄くした構造とすることができる。
【0021】
そして、上下の荷重受部13のねじ部12に被測定体を連結して測定を行う。図4はこの6分力ロードセルに引張り荷重を負荷した状態の模式断面図であり、上下のロードセル半部11a、11bのスポーク柱14、荷重受部13と外周の円筒体15の変形を誇張して図示している。上下の荷重受部13内に引っ張り荷重を負荷すると、荷重受部13にそれぞれスポーク柱14が負荷の増加に伴って膨らむ方向に弾性変形する。この変形は上下それぞれ4本のスポーク柱14に殆ど等しい歪を発生させることになり、この弾性変形に連動して薄く成形された円筒体15が内側にすぼまるように弾性変形をする。
【0022】
図5は圧縮荷重を負荷した状態の模式断面図であり、上下のロードセル半部11a、11bは引っ張り荷重の場合と逆向きに変形し、同様に作用する。
【0023】
このように、荷重を負荷すると円筒体15が変形し、従来構造に比べて大きな弾性歪が発生するが、上下4本のスポーク柱14と円筒部15が一体に弾性変形を起こすので、上下のロードセル半部11a、11bで変形が相殺され、測定精度に影響を与えることはない。
【0024】
円筒体15の肉厚を薄くしたことで、スポーク柱14の長さを増加させることができ、構造上からも円筒体15が他の部分例えば台座等と相対的に引きずりを起こす摺動摩擦は全く発生しなくなり、これによって発生するヒステリシスと、それに関連していた非直線性も大きく改善される。
【0025】
この6分力ロードセルについては、6分力測定ではなく、5、4、3、2分力測定に使用してもよい。また、上下のスポーク柱14は必ずしもその向きを一致させなくともよい。
【0026】
本発明によれば、高精度のフルブリッジ回路が使用できる6分力ロードセルを小形化する場合の全ての障害が解決できる。
【0027】
なお、外径17mmのフルブリッジ回路の小形ロードセルを試作したところ、問題のない性能が得られた。
【0028】
図6は6分力ロードセルの変形例であり、上下の各スポーク柱14の外端部はフレクシャ17を介して、円筒部15に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例の6分力ロードセルの斜視図である。
【図2】平面図である。
【図3】断面図である。
【図4】引っ張り荷重が加わった場合の模式断面図である。
【図5】圧縮荷重が加わった場合の模式断面図である。
【図6】変形例の6分力ロードセルの平面図である。
【図7】従来の6分力ロードセルの斜視図である。
【図8】平面図である。
【図9】断面図である。
【図10】3方向の力と3つの偶力の説明図である。
【図11】円筒体の肉厚を薄くした場合の模式断面図である。
【図12】引っ張り荷重が加わった場合の模式断面図である。
【図13】圧縮荷重が加わった場合の模式断面図である。
【符号の説明】
【0030】
11a、11b ロードセル半部
12 ねじ部
13 荷重受部
14 スポーク柱
15 円筒体
16 歪ゲージ
17 フレクシャ
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型化が可能な6分力測定を含む多軸力ロードセルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7は従来の通常の6分力ロードセルの斜視図、図8は平面図、図9は断面図である。この形状の6分力ロードセル1は、特許文献1、その他でその構造は周知であり、一応の水準の測定精度が得られる。このロードセル1は上面の荷重受部2が十字状に配置した4本の断面四角形のスポーク柱3を介して外周の円筒体4に支持されているが、スポーク柱3を完全に支持するためには、円筒体4は十分な剛性が必要とされる。このロードセル1は全ての分力、つまり図10に示すようにX、Y、Z軸の3方向の力Fx、Fy、Fzとその軸回りの3つの偶力Mx、My、Mzの座標軸が、一点に集中しているという利点を持っていて、焦点形6分力ロードセルとも云われている。
【0003】
図11の模式断面図のように、台座5に固定した円筒体4の剛性が不足すると、図12に示すように引っ張り荷重により円筒体4が僅かに内側にすぼまり、又は図13に示すように圧縮荷重により外側に拡がる変形が生ずる。これにより、円筒体4と例えば台座5との間に相対的な引きずりが生じ、これがヒステリシス発生の原因となって、安定した高精度の歪検出が困難となることがある。
【0004】
ロードセル1には、4本のスポーク柱3に3方向の力とその偶力検出に必要な歪ゲージ6が接着されて、通常ではフルブリッジ回路の構成が必要となる。それぞれの分力を検出する歪ゲージ6の接着位置の配置は、検出すべき1つの分力に対しては検出応力が最大限に有効な歪を捉え、それをブリッジ出力として信号を出さなければならない。他の5つの分力に対しては、なるべくは不感又は応力歪が相殺されて、歪検出の出力がないようにフルブリッジ回路を構成して、分力間の干渉を避けるように配置されている。
【0005】
フルブリッジ回路構成では、Fx、Fy、Mx、Myは各4素子の歪ゲージ6による構成に、Fz、Mzを測定するための各8素子を加えて、計32素子の歪ゲージ6を用いて6分力を検出することになる。4本のスポーク柱3には、それぞれ8素子の歪ゲージ6を接着し、1本のスポーク柱3の各面に、それぞれ2素子の歪ゲージ6の接着をしなければならない。長さ2mm程度の歪ゲージ6を接着するとしても、2素子の歪ゲージ6を接着するための占有面積をスポーク柱3の各面上に必要とする。
【0006】
一方、前述したように円筒体4の剛性を確保する必要があり、直径方向の厚み寸法を大きくする必要が生じ、図9に示すように、円筒体4の肉厚を大きくすると、円筒体4の内径が小さくなりスポーク柱3が短くなる。円筒体4の外径が25mm程度以下のロードセル1では、スポーク柱3が配置される円筒体4の内径が小さくなり過ぎて、4本のスポーク柱3に計32素子もの歪ゲージ6を接着することは困難である。
【0007】
最近になって、ヒューマノイドロボットの手首或いは更に小さい指等に加わる力の測定用、その他の医療用等に、外径25mm以下、特に外径18mm以下で高安定の6分力ロードセルの要望が多い。
【0008】
現状では、これらの小径の6分力ロードセルでは、歪ゲージ6の接着面積の不足のため、ブリッジ回路構成を2素子の歪ゲージと残りの2素子を歪ゲージに相当する単純な抵抗を用いてダミー化する手法を用い、歪検出回路を所謂ハーフブリッジ回路とした構成が採用されている。しかし、このハーフブリッジ回路はフルブリッジ回路と比較して、検出出力電圧が約1/2になり、SN比の低下でノイズの増加を伴い、更に周囲の温度変化に対する温度安定度も悪化し、分力相互間の干渉特性も生じ易い。
【0009】
更に、直径18mm以下のロードセルでは歪ゲージの接着面積がなく、所謂1ゲージ法のブリッジ回路が用いられている。この1ゲージ法では、残りの3素子分の歪ゲージがダミー化され、出力が1/4となって、ハーフブリッジ回路よりも更に温度特性を始め、諸特性が悪化する。
【0010】
このようなハーフブリッジ回路或いは1ゲージ法の歪検出回路を用いて、ロードセルを超小形化する場合には、残りのダミー抵抗はロードセル1の内部に収納できないので、別位置に固定しなければならないが、この場合に、ダミー抵抗を設置する適当な場所がないことも屡々発生する。別位置に配置した場合には、ロードセル本体とダミー抵抗間に温度差が発生し易く、零安定度等が大幅に悪化する。
【0011】
【特許文献1】特開昭57−169643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、上述の課題を解消し、フルブリッジ回路の採用が可能で、分力間の干渉も少なく高精度で小型の多軸力ロードセルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するための本発明に係る多軸力ロードセルの技術的特徴は、円筒形の保持体の中心に、十字状に配置した断面四角形の4本のスポーク柱によって荷重受部を支持した同形の2つのロードセル半部を、前記保持体の端部同士を向き合わせて上下対称に配置して前記保持体の端縁同士を接続し、前記スポーク柱の各面に歪ゲージを貼付したことにある。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る多軸力ロードセルによれば、それぞれ4本のスポーク柱を有する2つの半部部材を組み合わせることにより、高精度化、小型化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を図1〜図6に図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は実施例の斜視図、図2は平面図、図3は断面図である。この多軸力ロードセルである6分力ロードセルは、2つのロードセル半部11a、11bが上下対称に組み合わされている。それぞれのロードセル半部11a、11bにおいては、ねじ部12を有する平板状の荷重受部13が4本の十字状に配置したスポーク柱14の内端部により支持され、スポーク柱14の外端部は外周の円筒形の円筒体15に接続されている。
【0016】
各ロードセル半部11a、11bは従来の6分力ロードセルの形状と相似形であり、例えばアルミニウムなどの金属ブロックから機械加工などにより切り出して製作されている。上下のロードセル半部11a、11bは円筒体15の端縁同士を固着して一体構造とされ、一体化するに際しては、2つのロードセル半部11a、11bのスポーク柱14は各平行面を一致して配置されている。
【0017】
この構造により、2つの荷重受部13は上下に独立して設けられることになり、スポーク柱14もそれぞれ上下に4本ずつ存在し、スポーク柱14の総本数は8本となり、32素子の歪ゲージ16を接着するには、1本のスポーク柱14当たり4素子を接着することになり、断面が四角のスポーク柱14では一面に1素子の歪ゲージ16を接着すればよいことになる。
【0018】
実際の製作に当たっては、各ロードセル半部11a、11bのスポーク柱14に歪ゲージ16を貼り付け、リード線を引き出してから、円筒体15同士を溶接等により固着することになる。
【0019】
例えば、フルブリッジ回路構成により、上方のロードセル半部11aにFx、Fy、Mx、My検出機能を持たせ、下方のロードセル半部11bにFz、Mz検出の機能を持たせると、Fz、Mzの座標軸(Z軸)はFx、Mxの座標軸(X軸)とFy、Myの座標軸(Y軸)の交点と交叉し、従来の焦点形6分力ロードセルと同じ座標が構成でき、実際の動きも同様になる。これにより、6分力ロードセルの焦点位置は上方のロードセル半部11aの焦点と見倣すことができる。
【0020】
このように、従来では小形化する場合に大きな無駄寸法となる円筒体15の厚みも極度に薄くして、荷重受部13の円板部と同等な厚み或いは円板部の厚み以下に薄くした構造とすることができる。
【0021】
そして、上下の荷重受部13のねじ部12に被測定体を連結して測定を行う。図4はこの6分力ロードセルに引張り荷重を負荷した状態の模式断面図であり、上下のロードセル半部11a、11bのスポーク柱14、荷重受部13と外周の円筒体15の変形を誇張して図示している。上下の荷重受部13内に引っ張り荷重を負荷すると、荷重受部13にそれぞれスポーク柱14が負荷の増加に伴って膨らむ方向に弾性変形する。この変形は上下それぞれ4本のスポーク柱14に殆ど等しい歪を発生させることになり、この弾性変形に連動して薄く成形された円筒体15が内側にすぼまるように弾性変形をする。
【0022】
図5は圧縮荷重を負荷した状態の模式断面図であり、上下のロードセル半部11a、11bは引っ張り荷重の場合と逆向きに変形し、同様に作用する。
【0023】
このように、荷重を負荷すると円筒体15が変形し、従来構造に比べて大きな弾性歪が発生するが、上下4本のスポーク柱14と円筒部15が一体に弾性変形を起こすので、上下のロードセル半部11a、11bで変形が相殺され、測定精度に影響を与えることはない。
【0024】
円筒体15の肉厚を薄くしたことで、スポーク柱14の長さを増加させることができ、構造上からも円筒体15が他の部分例えば台座等と相対的に引きずりを起こす摺動摩擦は全く発生しなくなり、これによって発生するヒステリシスと、それに関連していた非直線性も大きく改善される。
【0025】
この6分力ロードセルについては、6分力測定ではなく、5、4、3、2分力測定に使用してもよい。また、上下のスポーク柱14は必ずしもその向きを一致させなくともよい。
【0026】
本発明によれば、高精度のフルブリッジ回路が使用できる6分力ロードセルを小形化する場合の全ての障害が解決できる。
【0027】
なお、外径17mmのフルブリッジ回路の小形ロードセルを試作したところ、問題のない性能が得られた。
【0028】
図6は6分力ロードセルの変形例であり、上下の各スポーク柱14の外端部はフレクシャ17を介して、円筒部15に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例の6分力ロードセルの斜視図である。
【図2】平面図である。
【図3】断面図である。
【図4】引っ張り荷重が加わった場合の模式断面図である。
【図5】圧縮荷重が加わった場合の模式断面図である。
【図6】変形例の6分力ロードセルの平面図である。
【図7】従来の6分力ロードセルの斜視図である。
【図8】平面図である。
【図9】断面図である。
【図10】3方向の力と3つの偶力の説明図である。
【図11】円筒体の肉厚を薄くした場合の模式断面図である。
【図12】引っ張り荷重が加わった場合の模式断面図である。
【図13】圧縮荷重が加わった場合の模式断面図である。
【符号の説明】
【0030】
11a、11b ロードセル半部
12 ねじ部
13 荷重受部
14 スポーク柱
15 円筒体
16 歪ゲージ
17 フレクシャ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形の保持体の中心に、十字状に配置した断面四角形の4本のスポーク柱によって荷重受部を支持した同形の2つのロードセル半部を、前記保持体の端部同士を向き合わせて上下対称に配置して前記保持体の端縁同士を接続し、前記スポーク柱の各面に歪ゲージを貼付したことを特徴とする多軸力ロードセル。
【請求項2】
前記スポーク柱の一面には、高々1素子の歪ゲージを貼付するようにした請求項1に記載の多軸力ロードセル。
【請求項3】
前記保持体の厚みを薄くしたことを特徴とする請求項1に記載の多軸力ロードセル。
【請求項1】
円筒形の保持体の中心に、十字状に配置した断面四角形の4本のスポーク柱によって荷重受部を支持した同形の2つのロードセル半部を、前記保持体の端部同士を向き合わせて上下対称に配置して前記保持体の端縁同士を接続し、前記スポーク柱の各面に歪ゲージを貼付したことを特徴とする多軸力ロードセル。
【請求項2】
前記スポーク柱の一面には、高々1素子の歪ゲージを貼付するようにした請求項1に記載の多軸力ロードセル。
【請求項3】
前記保持体の厚みを薄くしたことを特徴とする請求項1に記載の多軸力ロードセル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−163405(P2007−163405A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−363040(P2005−363040)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(000146021)株式会社昭和測器 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(000146021)株式会社昭和測器 (2)
【Fターム(参考)】
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