説明

多連形方向制御弁

【課題】 パイロット流路を他の流路に連通させるための連通溝の加工工数を減らして、コストダウンを図った方向制御弁を提供する。
【解決手段】 複数の弁本体1を複数連接し、これら弁本体1にスプールを摺動自在に組み込み、このスプールの切換位置に応じてアクチュエータに供給する圧力流体の流路およびアクチュエータからの戻り流体の流路を切り換える一方、他の制御弁に対するパイロット流路7を開閉する構成にし、かつ、弁本体1と弁本体1との合わせ面2には、上記パイロット流路7の流路端を開口させてなる多連形方向制御弁を前提にする。そして、上記弁本体1の合わせ面には2パイロット流路7を他の流路に連通させる連通溝9,10を弁本体1と一体にあらかじめ型成型した点に特徴を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パイロット流路を弁本体内に形成した多連形方向制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の方向制御弁として特許文献1に記載されたものが従来から知られている。この従来の方向制御弁は、その弁本体にスプールを摺動自在に組み込んでいる。そして、このスプールの切換位置に応じてアクチュエータに供給する圧力流体の流路およびアクチュエータからの戻り流体の流路を切り換える構成にするとともに、上記のようにスプールを切り換えたとき、他の制御弁に対するパイロット流路を開閉するようにしている。さらに、弁本体と弁本体との合わせ面には、上記パイロット流路の流路端であるパイロット流路を開口させている。
【0003】
そして、この種の方向制御弁において、例えば、その合わせ面に形成したパイロット流路を、同じく合わせ面に形成した他のポートに連通させなければならないということがある。それを示したのが、図4である。この図4に示した方向制御弁は、その弁本体1の合わせ面2に、中立流路3,4、パラレル通路5およびチェック弁ポート6を開口させている。このようにした合わせ面2には、パイロット流路7の流路端を開口させているが、このパイロット流路7は、このパイロット流路7を他の流路に連通させるための連通溝8に連通させている。そして、この連通溝8は、当該方向制御弁の用途等に応じて、その都度、機械加工を施していた。
【特許文献1】特開平5−098672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようにした従来の多連形方向制御弁では、パイロット流路を他の流路に連通させるために、その都度、連通溝8を機械加工していたので、その加工工数が多くなり、それだけコスト高になるという問題があった。
この発明の目的は、パイロット流路を他の流路に連通させるための連通溝の加工工数を減らして、コストダウンを図った方向制御弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、複数の弁本体を複数連接し、これら弁本体にスプールを摺動自在に組み込み、このスプールの切換位置に応じてアクチュエータに供給する圧力流体の流路およびアクチュエータからの戻り流体の流路を切り換える一方、他の制御弁に対するパイロット流路を開閉する構成にし、かつ、弁本体と弁本体との合わせ面には、上記パイロット流路の流路端を開口させてなる多連形方向制御弁を前提にする。そして、上記弁本体の合わせ面にはパイロット流路を他の流路に連通させる連通溝を弁本体と一体にあらかじめ型成型した点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、弁本体の合わせ面にはパイロット流路を他の流路に連通させる連通溝を弁本体と一体にあらかじめ型成型したので、連通溝を形成するための加工工数が従来に比べて減ることになる。したがって、その分、コストダウンにつながることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は連通溝の形態を示したもので、その他の構成は従来と同様である。したがって、従来と同一の構成要素に関しては、同一符号を付して説明し、その詳細な説明は省略する。
上記弁本体1の合わせ面2には、図1に示すほぼ三角形をした第1連通溝9と、この第1連通溝9に隣接して、直線的にした第2連通溝10とを形成している。そして、これら第1,2連通溝9,10は、弁本体1と一体的に型成型している。
【0008】
今、例えば、図1に示すパイロット流路7を流路11に連通するときにはエリア12を機械加工で削り出して、上記パイロット流路7を第2連通溝10に連通させる。そして、第2連通溝10と流路11との間におけるエリア13も、同じく機械加工で削り出して、それら両者を連通させる。このようにすれば、機械加工を必要とする部分が少なくなるので、その分、コストダウンにつながることになる。
【0009】
また、図2に示すように、パイロット流路7を上記とは別の流路14に連通するときには、図2のエリア15を機械加工で削り出して、上記パイロット流路7を第1連通溝9に連通させる。そして、第1連通溝9と流路14との間におけるエリア16も、同じく機械加工で削り出して、それら両者を連通させる。したがって、上記と同様に、機械加工を必要とする部分が少なくなり、その分、コストダウンを達成できる。
なお、図3は、パイロット流路7をさらに別の流路に連通させる場合を示しているが、いずれにしても、この実施形態では、パイロット流路7を他の流路に連通させるための機械加工はわずかで足りることになり、それだけコストダウンを達成できることになる。
【0010】
また、この実施形態では、第1連通溝9を三角形にして、第2連通溝10を直線的にしたが、当該方向制御弁の用途等に応じて、これら連通溝の形状や数をその都度決めるようにしてもよい。
ただし、当該方向制御弁の用途に応じては、合わせ面2に開口するポートあるいは流路の位置等がある程度定型化されることがある。このような場合に、連通溝もパターン化しておけば、弁本体1の形成型が一元化でき、さらなるコストダウンが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】パイロット流路7と流路11との連通状況を示す配置図である。
【図2】パイロット流路7と流路14との連通状況を示す配置図である。
【図3】パイロット流路7に他の流路を連続させた状況を示す配置図である。
【図4】従来の多連方向制御弁の合わせ面を示した平面図である。
【符号の説明】
【0012】
1 弁本体
2 合わせ面
7 パイロット流路
9,10 第1,2連通溝
11,14 流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の弁本体を複数連接し、これら弁本体にスプールを摺動自在に組み込み、このスプールの切換位置に応じてアクチュエータに供給する圧力流体の流路およびアクチュエータからの戻り流体の流路を切り換える一方、他の制御弁に対するパイロット流路を開閉する構成にし、かつ、弁本体と弁本体との合わせ面には、上記パイロット流路の流路端を開口させてなる多連形方向制御弁において、上記弁本体の合わせ面にはパイロット流路を他の流路に連通させる連通溝を弁本体と一体にあらかじめ型成型した多連形方向性制御弁。
【請求項2】
上記連通溝は、その形態をパターン化した請求項1記載の多連形方向制御弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−46579(P2006−46579A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−230785(P2004−230785)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】