説明

天井フック

【課題】家屋などの天井に物を提げるあるいは天井から物を吊り下げることを簡便に行う手段を提供する。
【解決手段】基盤1と針3とフック2で天井フックを形成する。針とフックを基盤の二面に分けて形成し、針を基盤と鋭角をなすように取り付け、基盤に針を刺す位置とフックを基盤に取り付ける位置が基盤重心に対し反対側にくるように設定する。さらに針に爪や刃などの形状や平面形状を付け加えるのも効果的である。これにより天井に容易に取り付けることができ、かつ外れにくい天井フックを実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は天井から物を提げるためのフックに関する。

【背景技術】
【0002】
家の部屋の壁に額縁などを提げるためにフックを用いる。外套や帽子を提げるときまたはハンガーをかけるときなどにもフックを利用する。壁の場合釘を使って固定するのが一般的であるが、もう少し簡略に細い針を差し込んでフックを固定することもある。針の先端が下を向くようにすればフックならびにそこにかけたものがずり落ちることはない。
【0003】
壁面に対してすることを天井に対しても行いたい。つまり天井にフックを設置したい。天井には壁にはない自由度があるからである。部屋全体に飾りつけを行うときや部屋の真ん中に飾りを吊りたいときなどにはこの自由度が貴重である。
【0004】
しかし、天井にフックを固定し、そこに物を提げることは必ずしも容易ではない。重力に逆らうことになるからである。また、釘を使うなどの作業もできれば避けたい。ただでさえ作業がしにくいところだからである。ねじはさらに使いたくない。見栄えが良くないうえに外した後に修復しがたい傷跡が残る。このような構造や取扱いの複雑さのせいでこれまで天井フックが広く用いられることがなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】株式会社「店研創意」のオンラインショップ「ストア・エキスプレス」の天井フックは市販品の一例である。二つの針を別々の方向から天井に打ち込むことによりフックを固定する。このようなフックは構造が複雑であるばかりでなく取り付けることもあまり容易ではない。(https://www.store-express.com/CGI/shopping/product_detail.cgi?ctg_cd=004005001&unit_id=01-84-6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の天井フックは構造や取り付け作業が複雑で製作や取扱いに難点があった。本発明は構造が単純でかつ取り付けやすく、それでいて外れにくい天井フックを提供するものである。

【課題を解決するための手段】
【0007】
天井にフックを取り付ける、しかも簡単な作業でとなると、釘打ちなどはなるべく避けて針を刺す程度の簡便なものが望まれる。さらに刺した針が簡単に抜け落ちてこないような仕組みを作りたい。これを実現するために基盤と針とフックからなる天井フックをつくる。まず針とフックを基盤の相対する面に取り付ける。針は基盤中央に向かうように形成し、針と基盤のなす角度を鋭角とする。そして針が基盤に刺さる位置とフックを基盤に取り付ける位置が基盤の中央もしくは重心位置に対し相対する側にあるように針とフックを取り付ける。
【0008】
このようにすればフックに物をかけた時の針に働く力がフックの方向に向かう回転力となり針は抜けにくくなる。フックは基盤の中心に向かうように取り付けるのが基本であるが、基盤の外側に向けて取り付けるのも効果的である。梃子の原理が働きやすくなる。フックと基盤は一体成型することもできる。針は基本的に一本であるが複数本としてもよい。また予め針を基盤に固定したものを使う場合が多いが、釘刺し方式であっても構わない。針に頭をつけた釘状の針を金槌などで打ち込むあるいは頭のついていない針を複数本打ち込むこともある。このとき針と基盤との角度が鋭角であることは変わらない。
【0009】
また、針の形状に変化をつければさらに効果が高まる。針を板状にして回転力に逆らうようにする、針の先端を尖った「矢尻」のようなものにする、あるいは針の途中に爪状の形を付け加える、刃型を付け加えるなどである。そして、これらの変化を組み合わせればさらに効果が高まる。
【0010】
最近の天井の素材には石膏ボードが多く用いられている。石膏ボードには針を刺すことができ、かつ抜き取ることも容易である。しかも取り外した後にその痕跡がほとんど残らない。少し手入れをすれば気にならなくなる。本発明はこのような石膏ボード素材の特徴を生かすものとなる。しかし、天井は必ずしも石膏ボードだけではない。天井がコンクリートの場合も本発明は有効である。このときは針を手で差し込むのは難しいから金槌を用いることになる。基盤と鋭角に取り付けた複数の針を打ち込むことになる。針に頭をつければ取り付けやすいが、頭がないほうが見栄えが良い。
【発明の効果】
【0011】
フックにかかる力が針に伝わって、針に力が働く。その力は図1中央の側面図において右回転するような力である。この力は針が天井から外れそうになるのを相殺する働きを持つ。フックの位置と針の刺さる位置が同じ場合に比べて大きな差を生ずる。これまであまり指摘されたことがないがこの力の威力はとても大きく、過大な荷重をかけない限り針が外れることはない。
【0012】
フックを基盤に対して外を向くようにつけるのもよい。そして針の形に付け加える変化もまた針が外れにくくなる効果を有する。本発明においては天井板に針を差し込むだけでフックを固定することができ、作業が簡単でかつ外れにくく便利である。そして細い針を刺すだけだから取り外すことも簡単で、外した後に傷跡が目立たない。とくに天井素材が石膏ボードである場合、そっと外せば作業前と見分けがつかない。天井がコンクリートでできているときも金槌が必要であるにせよ本発明は有効である。

【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の1実施例。上下に並んだ3ケの枠内の図面はそれぞれ天井フックの上面図、側面図、下面図である(以下同様)。
【図2】本発明の1実施例。基盤とフックの形状が図1とは異なる例である。
【図3】本発明の1実施例。フックの向きが外向きの実施例である。
【図4】本発明の1実施例。針形状が平板の実施例である。
【図5】本発明の1実施例。針に爪をつけた実施例である。
【図6】本発明の1実施例。爪を針の左右につけた実施例である。
【図7】本発明の1実施例。針に頭をつけた実施例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
基盤1とフック2と針3で天井フックを構成する。フック2と針3を基盤1の相対する面に取り付ける。針とフックを基盤重心に対してお互いに相対する位置に取り付ける。
【実施例1】
【0015】
図1は本発明の一実施例を示したものである。針とフックは基盤の相対する面に固定されており、同時に基盤重心に対し相対する位置に取り付けられている。針と基盤のなす角度は約30度である。フックに物をかけると針には図面中央の側面図で時計回りの力が働く。これにより針は簡単には抜け落ちなくなる。
【実施例2】
【0016】
図2は本発明の別の実施例を示したものである。基盤の形状が図1とはやや異なっている。また、フックと基盤は一体成型されている。
【実施例3】
【0017】
図3は本発明の別の実施例を示したものである。フックの向きが基盤の外側に向かっている例である。
【実施例4】
【0018】
図4は本発明の別の実施例を示したものである。針の形を平面状にして時計回りの力に対する抵抗力を増している。
【実施例5】
【0019】
図5は本発明の別の実施例を示したものである。基本構成は図1と変わらないが、針に爪4をつけている。これは針がずり落ちるのを防ぐもうひとつの工夫である。
【実施例6】
【0020】
図6は本発明の別の実施例を示したものである。爪を針の左右につけて抵抗力を増している。
【実施例7】
【0021】
図7は本発明の別の実施例を示したものである。針に頭をつけて打ち込む実施例を示す。
【符号の説明】
【0022】
1: 天井フックの基盤、 2: フック、 3: 針、 4: 爪、 5: 針の頭



【特許請求の範囲】
【請求項1】
基盤と針とフックからなる天井フックにおいて、針とフックが基盤の相対する面に分かれて形成され、針が基盤に刺さる位置とフックが基盤に取り付けられる位置が基盤重心に対し相対する側にあり、針が基盤と鋭角をなして形成されていることを特徴とする天井フック。
【請求項2】
請求項1記載の天井フックにおいて、フックが基盤の外側を向いていることを特徴とする天井フック。
【請求項3】
請求項1および請求項2記載の天井フックにおいて、針が爪形状部分や平面部分などの変形部分を有することを特徴とする天井フック。
【請求項4】
請求項1および請求項2および請求項3記載の天井フックにおいて、フックと基盤が一体成型されていることを特徴とする天井フック。
【請求項5】
請求項1および請求項2および請求項3および請求項4記載の天井フックにおいて、針と基盤のなす角度が45度以下であることを特徴とする天井フック。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−210369(P2012−210369A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78139(P2011−78139)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(502160109)
【Fターム(参考)】