説明

天井用補強金具とそれを用いた吊り天井

【課題】天井下地材で形成した天井格子枠を吊り金具を介して吊りボルトによって支持した構造の吊り天井において、簡単に取り付けることができ、吊りボルトと天井下地材の連結を補強して吊り天井の耐震性を向上させることの可能な補強金具を提供する。
【解決手段】補強金具7を、吊り金具6の背面に面接触させて取り付ける吊り金具取付部7aと、その両側に設けられた一対の連結部7b、7bを備え、該連結部がその下端に天井下地材3に固定するための下地材固定部7cと、上端領域にブレース材20を固定するためのブレース材固定部7dを備えた構造とし、補強部材7を吊り金具背面及び天井下地材にねじ止めすることで、吊りボルト5と天井下地材3の連結を補強する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メインバー、クロスバー等の天井下地材を組んで形成した天井格子枠を吊り金具を介して吊りボルトによって支持した構造の吊り天井を補強するための天井用補強金具及びそれを用いた吊り天井に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建築物の天井として、メインバー、クロスバー等の天井下地材を格子状に組んで形成した天井格子枠を吊り金具を介して吊りボルトによって支持した構造の吊り天井が知られている。この種の吊り天井では、地震等の振動が増幅しやすく、また、増幅した振動により天井下地材の変形量が大きくなる。これらの振動や変形により、内装材や室内天井面に設置された照明器具等が落下する危険性が大きい。そこで、振動や変形を抑制するため、天井格子枠を支持している吊りボルト間に斜めにブレース材を取り付けて吊りボルトを補強している。この補強により、かなりの効果は得られるが、一層耐震性を向上させるには、更なる補強が求められる。
【0003】
そこで、吊りボルトと天井下地材を補強金具で連結して補強することが特開2007−70978号公報に提案されている。この公報に提案の補強金具は、下端を天井下地材にあてがって取り付けることができる形状とした補強面部の上端側に、補強面部に対して直角に折り曲げて吊りボルトに取り付けるようにした取付部を備えており、その取付部を、吊りボルトに支持された吊り金具の上面に重ね合わせ、吊りボルトに取り付けているナットを締め込むことで取付部を吊りボルトに固定し、補強面部の下端を天井下地材に固定することで、吊りボルトと天井下地材を連結し補強するものである。ところが、この補強金具は、取付部を吊り金具の上面に重ね合わせて取り付ける構成であるため、補強金具を天井下地材に取り付けた状態で取付部の高さが、吊り金具の上面に重ね合わせることができる高さとなっていなければならず、従って、取付部の高さ寸法を吊り金具の上面高さに正確に合わせておかねばならない。このため、一つのサイズの吊り金具に対しては専用の補強金具を用意しておく必要があり、補強金具の汎用性が低いという問題があった。なお、補強金具の取付部の高さ寸法と吊り金具の上面高さとの差が小さい場合には、取付部と吊り金具の上面との間にスペーサを挟み込んで高さ調整することで取り付け可能とはなるが、高さ調整に手間がかかるといった問題が生じる。
【0004】
【特許文献1】特開2007−70978号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、異なるサイズの吊り金具に対しても容易に取り付けることができ、従って、既設の吊り天井に用いている吊り金具に対しても容易に取り付けることができ、吊りボルトと天井下地材の連結を補強して吊り天井の耐震性を向上させることの可能な天井用補強金具を提供すること、並びに、その天井用補強金具を備えた吊り天井を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するため、天井下地材を組んで形成した天井格子枠を吊り金具を介して吊りボルトによって支持した構造の吊り天井を補強するための天井用補強金具の構造を、前記吊り金具の、ほぼ垂直な背面若しくは側面に面接触させて取り付けられる吊り金具取付部と、その両側に前記吊り金具取付部にほぼ平行となるように設けられた一対の連結部を備え、該連結部がその下端に前記天井下地材に固定するための下地材固定部を、上端領域にブレース材を固定するためのブレース材固定部を備えるという構成としたものである。
【0007】
ここで、前記吊り金具取付部を、その両側に設けられた一対の連結部の間に前記吊り金具取付部を底面とする溝を形成するように前記一対の連結部よりも引っ込んだ位置に配置し、該溝の幅を、前記吊り金具取付部を前記吊り金具の背面に取り付ける際に該吊り金具を前記溝内に挿入させうるよう、前記吊り金具の幅以上に定めることが、補強金具の吊り金具に対する取り付けを容易に行うことができると共に補強金具の剛性を高めることができるので好ましい。
【0008】
また、前記一対の連結部を前記吊り金具取付部よりも下方に延び出し、両者間に切り欠きを形成した構成とすることが、連結部下端の下地材固定部を天井下地材に固定する作業を容易とできるので好ましい。
【0009】
前記した天井用補強金具は、全体を1枚の板材で形成することが、構造を簡略化し且つ製造が容易となるので好ましい。
【0010】
本発明の吊り天井は、天井下地材を組んで形成した天井格子枠と、該天井格子枠を、それぞれ吊り金具を介して支持する複数の吊りボルトを備えた吊り天井において、耐震性を向上させるために、少なくとも一部の吊りボルトで支持された前記吊り金具に、上記した本発明の天井用補強金具を取り付け、且つその天井用補強金具を前記天井下地材に固定するという構成としたものである。
【0011】
ここで、前記天井格子枠を形成する天井下地材が、互いに平行に配置された複数のメインバーと、複数のメインバー間を連結するように取り付けられた複数のクロスバーからなり、前記吊り金具が前記メインバーに連結されており、前記天井用補強金具が複数個設けられた構成とする場合、その一部の天井用補強金具を、前記吊り金具の背面に取り付けると共に前記メインバーに固定し、残りの天井用補強金具を、前記吊り金具の側面に取り付けると共に前記クロスバーに固定する構成とすることが、吊りボルトとメインバーその連結強度及び吊りボルトとクロスバーとの連結強度の双方を補強でき、耐震性を一層向上させることができるので好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の天井用補強金具は、その吊り金具取付部を、吊りボルトに固定された吊り金具に取り付けると共に下地材固定部を天井下地材に固定することで、吊り金具と天井下地材を強固に連結することができ、吊りボルトと天井下地面との連結を補強して吊り天井の耐震性を向上させることができる。ここで、天井用補強金具を吊り金具に取り付けるに当たっては、天井用補強金具の吊り金具取付部を、前記吊り金具の、ほぼ垂直な、従って前記吊りボルトにほぼ平行な背面若しくは側面に面接触させて取り付ける構成としたので、正確な高さ調整は必要なく、吊り金具の背面若しくは側面の一部領域が天井用補強金具の吊り金具取付部の一部領域に重なっておれば、例えば、ねじ打ち機によってねじを打ち込むとか、溶接するといった工法によって容易に取り付けることができ、天井用補強金具の取り付け作業を容易とすることができると共に異なるサイズの吊り金具に対しても使用でき、換言すれば天井用補強金具の汎用性を増すことができ、既設の吊り天井に対しても施工できる。更に、本発明の天井用補強金具はブレース材を固定するためのブレース材固定部を備えているので、このブレース材固定部にブレース材を固定することで、吊りボルトの動きを拘束して吊り天井の耐震性を一層向上させることができる。
【0013】
本発明の吊り天井は、天井用補強金具を、吊りボルトに固定された吊り金具に取り付けると共に天井下地材に固定しているので、吊りボルトと天井下地材の吊り金具による連結を天井用補強金具で補強でき、耐震性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態を説明する。図1は本発明の実施の形態に係る吊り天井を概略的に示す斜視図である。全体を参照符号1で示す吊り天井は、天井下地材3、4を格子状に組んで形成した天井格子枠2と、該天井格子枠2を、それぞれ吊り金具6を介して支持する複数の吊りボルト5と、吊り金具6に取り付けられ且つ天井下地材3又は4に固定された天井用補強金具(以下、単に補強金具という)7と、天井格子枠2の各開口部に配置された天井材(図示せず)等を備えている。天井格子枠2を形成する天井下地材3、4は、互いに平行に配置された複数のメインバー3と複数のメインバー3、3間を連結するように配置されたクロスバー4からなる。なお、図面ではメインバー3とクロスバー4の交差領域のすべてに吊りボルト5、吊り金具6及び補強金具7を設けているが、これは説明用であって、実際には、吊りボルト5及び吊り金具6は、メインバー3とクロスバー4のすべての交差領域に設けなくてもよく、必要に応じ、適宜箇所の交差領域に設ければよく、更には、交差領域ではない領域でメインバー3を支持するように設けてもよい。また、補強金具7もすべての吊り金具6に取り付けなくてもよく、必要に応じ、一部の吊り金具6に取り付ければよい。以下、吊り金具6及び補強金具7の構造を説明する。
【0015】
図2は、メインバー3とクロスバー4の一つの交差領域に設けられた吊りボルト5、吊り金具6及び補強金具7を示す概略斜視図、図3は図2に示す領域の概略断面図、図4は図2に示す領域を、補強金具7を外した状態で示す概略斜視図、図5は、メインバー3とクロスバー4の別の交差領域に設けられた吊りボルト5、吊り金具6及び補強金具7を示す概略斜視図、図6は図5に示す領域の概略正面図、図7は図5に示す領域を、補強金具7を外した状態で示す概略斜視図である。吊り金具6は、メインバー3を吊りボルト5に支持させるためのもので、吊りボルト5に支持される金具本体11と、その金具本体11との間にメインバー3を挟んで保持するための把持片12と、把持片12を金具本体11側に締め付けるためのねじ13等を備えている。金具本体11は、吊りボルト5に支持させるための水平な取付部11aと、その取付部11aから直角に下方に延びるように形成された第一連結部11bと、その第一連結部11bから取付部11a側に斜め下方に延び次いで垂直に下方に延びる第二連結部11cと、その下端に形成された把持部11dと、第一連結部11bと第二連結部11cの両側に取付部11a側に直角に折り曲げて形成された補強部11e等を備えている。第一連結部11b及び補強部11eは、吊り金具6を吊りボルト5に支持させた状態では吊りボルト5にほぼ平行に、従ってほぼ垂直となっており、後述するように補強金具7を取り付けるためにも用いられる。本明細書では、この第一連結部11bの取付部11a側とは反対側の面を吊り金具6の背面と称し、補強部11eの外側の面を吊り金具6の側面と称する。把持片12は、上端を水平に折り曲げており、その先端に金具本体11に形成している穴内に挿入させる挿入部12aを形成している。また、把持片12の下端には把持部12dが形成されている。この構成により、把持片12の挿入部12aを金具本体11に形成している穴に挿入させた状態でねじ13を締めたり、ゆるめたりすることで、把持片12を金具本体11に対して接近させたり、離したりすることができ、把持部11d、12dをメインバー3のウェブ領域に位置させ、ねじ13を締めることで把持部11d、12dでメインバー3のウェブをはさみ付け、支持することができる。
【0016】
補強金具7は、1枚の金属製の板材をプレス加工などによって形成されたもので、中央に平面状の吊り金具取付部7aを備え、その両側に吊り金具取付部7aにほぼ平行な一対の連結部7b、7bを備えている。吊り金具取付部7aは吊り金具6の背面若しくは側面に面接触させて取り付けるためのものであり、取付用のねじ15を通すための穴16を形成している。連結部7bは下端領域を除いて平面状に形成されており、その下端領域には天井下地材(メインバー3又はクロスバー4)に沿わせて固定することができるよう折り曲げて形成した下地材固定部7cを備えている。この下地材固定部7cにも取付用のねじ17を通す穴18を形成している。連結部7bの上端領域には、ブレース材20を固定するためのブレース材固定部7dが形成されており、取付用のねじを通す穴21が形成されている。
【0017】
補強金具7の吊り金具取付部7aは、その両側に設けられた一対の連結部7bの間に吊り金具取付部7aを底面とする溝23を形成するように一対の連結部7bよりも引っ込んだ位置に配置されており、吊り金具取付部7aと連結部7bの間には両者に直角な溝側面形成部7eが形成されている。この溝23の幅は図2に示すように、吊り金具取付部7aを吊り金具6の背面に取り付ける際に該吊り金具6を溝23内に挿入しうるよう、吊り金具6の幅以上に定めており、また溝23の深さは、吊り金具取付部7aを吊り金具6の背面に取り付けた状態で連結部7bの下端の下地材固定部7cをメインバー3に固定することができるように定められている。この構成により補強金具7の吊り金具取付部7aを、メインバー3を支持している吊り金具6の背面に当接させ、ねじ打ち機で穴16を通してねじ15を打ち込むことで、補強金具7を吊り金具6に取り付けることができ、且つ連結部7b下端の下地材固定部7cをメインバー3の上端領域に沿わせ、ねじ打ち機で穴18を通してねじ17を打ち込むことで、補強金具7をメインバー3にも固定できる。一対の連結部7bは、吊り金具取付部7aよりも下方に延び出すように形成されており、その一対の連結部7bの下端領域の間に切り欠き25を形成している。このように一対の連結部7bの下端領域を切り欠き25によって切り離したことで、それぞれに設けている下地材固定部7cを互いに干渉することなく動かすことができ、下地材固定部7cをメインバー3やクロスバー4に固定する作業が容易となる。
【0018】
上記構造の補強金具7は、図2〜図4に示すように、補強金具7の吊り金具取付部7aを、メインバー3を支持している吊り金具6の背面に当接させ、ねじ15を打ち込むことで取り付けられ、且つ連結部7b下端の下地材固定部7cをメインバー3の上端領域に沿わせ、ねじ17を打ち込むことでメインバー3にも固定される。このように補強金具7を取り付けることで、吊り金具6とメインバー3との連結を補強でき、結局、吊りボルト5とメインバー3との連結を補強して吊り天井1の耐震性を向上させることができる。また、この構造の補強金具7は図5〜図7に示すように、補強金具7とクロスバー4の連結を補強するように取り付けることもできる。この場合には、補強金具7の吊り金具取付部7aを、メインバー3を支持している吊り金具6の側面(補強部11aの外側の面)に背中合わせに面接触させ、ねじ打ち機で穴16を通してねじ15を打ち込むことで、補強金具7を吊り金具6に取り付けることができ、且つ連結部7b下端の下地材固定部7cをクロスバー4の上端領域に沿わせ、ねじ打ち機で穴18を通してねじ17を打ち込むことで、補強金具7をクロスバー4にも固定できる。このように補強金具7を取り付けることで、吊り金具6とクロスバー4との連結を補強でき、結局、吊りボルト5とクロスバー4との連結を補強して吊り天井1の耐震性を向上させることができる。ここで、補強金具7は1枚の金属製の板材で形成された構造の簡単なものであるが、一対の連結部7bの間に溝23を形成するように折り曲げた構造としているので、溝23を形成している吊り金具取付部7a及び溝側面形成部7eが補強用のリブの役目も果たしており、大きい剛性を備えている。なお、補強金具7の剛性を更に高めるために、平面状の連結部7bを部分的に隆起させるとか、連結部7bの側縁を略L字状に折り曲げる等の変更を加えてもよい。補強金具7には、必要に応じ、そのブレース材固定部7dにブレース材20を固定することができ、ブレース材20を固定することで吊りボルト5の動きを一層拘束して吊り天井の耐震性を向上させることができる。
【0019】
補強金具7を吊り金具6及び天井下地材(メインバー3又はクロスバー4)に取り付けるに当たっては、補強金具7の吊り金具取付部7aを、吊り金具6の、ほぼ垂直な背面若しくは側面に面接触させ、且つ下端の下地材固定部7cを天井下地材に載せた状態で、ねじ打ち機で吊り金具取付部7aの穴16を通してねじ15を打ち込み、且つ下地材固定部7cの穴18を通してねじ17を打ち込むことで、補強金具7を吊り金具6及び天井下地材(メインバー3又はクロスバー4)に固定することができる。このように、補強金具7の吊り金具取付部7aを、吊り金具6のほぼ垂直な背面若しくは側面に当接させ、ねじ打ち機でねじ15を打ち込むことで取り付けることが可能であるので、補強金具7の取付位置の高さ調整は必要なく、容易に取り付け作業を行うことができる。また、異なるサイズの吊り金具6に対して補強金具7を取り付ける場合においても、吊り金具取付部7aの穴16に面する位置に吊り金具6の背面や側面が存在していれば取り付け可能であり、従って、この補強金具7は異なるサイズの吊り金具6に対しても支障なく使用できる。
【0020】
図1において、吊り金具6に取り付けられた補強金具7は、一部のものはメインバー3に固定され、他のものはクロスバー4に固定されている。ここで、メインバー3に固定する補強金具7とクロスバー4に固定される補強金具7とは、吊り天井1の全域にほぼ均等となるように配置されている。また、必要に応じ一部若しくは全部の補強金具7にはブレース材20(図2、図5参照)が連結されている。このように、補強金具7を取り付け、また必要に応じブレース材20を連結することで、吊りボルト5と天井下地材(メインバー3及びクロスバー4)の吊り金具6による連結を補強でき、吊り天井1の耐震性を向上させることができる。
【0021】
なお、上記した実施の形態では、補強金具7を吊り金具6及び天井下地材にねじ止めするために、ねじ打ち機を用いており、吊り金具6及び天井下地材に対するねじ孔形成とねじ込みとを同時に行っている。このようにねじ打ち機を用いると作業を敏速且つ容易に行うことができる利点が得られるが、補強金具7のねじ止めに当たっては必ずしもねじ打ち機を用いる必要はなく、ねじ15、17をねじ込む前に、吊り金具や天井下地材にあらかじめねじ孔を形成しておき、その後、ねじ15、17をねじ止めする構成としてもよい。ねじ孔の形成は、現場においても容易に実施できるので、補強金具7の孔16、18に対応した所望の位置にねじ孔を形成することで、補強金具7の高さ調整などの面倒を作業を行うことなく補強金具7をねじ15、17によって吊り金具6及び天井下地材3、4に取り付けることができる。
【0022】
更に、上記の実施の形態では、補強金具7を吊り金具6及び天井下地材にねじ15、17で固定しているが、固定手段はねじに限らず、ボルトとナットを用いた固定手段、Uボルトとナットを用いた固定手段、溶接を用いた固定手段等任意である。また、補助金具7にブレース材20の固定する手段としてもねじ止めに限らず、ボルトとナット、溶接等を用いてもよい。
【0023】
更に、上記の実施の形態では、補強金具7として一定厚さの板材をプレス加工などによって折り曲げた構造のものを用いている。この構造の補強金具7は安価に製造できると共に軽量で取り扱い易いといった利点を有しているが、本発明に用いる補強金具7は図1〜図7に示すような単純な平板状のものに限らず、適宜変更可能であり、例えば、図8(a)に示す補強金具7Aのように、厚い金属板の一部に溝23を形成して吊り金具取付部7aとしたもの、図7(b)に示す補強金具7Bのように、中空の金属材を扁平に変形させて形成したもの等としてもよい。
【0024】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載の範囲内で適宜変更可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態に係る吊り天井を概略的に示す斜視図
【図2】メインバーとクロスバーの一つの交差領域に設けられた吊りボルト、吊り金具及び補強金具を示す概略斜視図
【図3】図2に示す領域の概略断面図
【図4】図2に示す領域を、補強金具を外した状態で示す概略斜視図
【図5】メインバーとクロスバーの別の交差領域に設けられた吊りボルト、吊り金具及び補強金具を示す概略斜視図
【図6】図5に示す領域の概略正面図
【図7】図5に示す領域を、補強金具を外した状態で示す概略斜視図
【図8】(a)、(b)は補強金具の変形例を示す概略斜視図
【符号の説明】
【0026】
1 吊り天井
2 天井格子枠
3 メインバー(天井下地材)
4 クロスバー(天井下地材)
5 吊りボルト
6 吊り金具
7、7A、7B 補強金具
7a 吊り金具取付部
7b 連結部
7c 下地材固定部
7d ブレース材固定部
7e 溝側面形成部
11 金具本体
11a 取付部
11b 第一連結部
11c 第二連結部
11d 把持部
11e 補強部
12 把持片
12a 挿入部
12d 把持部
13 ねじ
15 ねじ
16 穴
17 ねじ
18 穴
20 ブレース材
21 穴
23 溝
25 切り欠き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井下地材を組んで形成した天井格子枠を吊り金具を介して吊りボルトによって支持した構造の吊り天井を補強するための天井用補強金具であって、前記吊り金具の、ほぼ垂直な背面若しくは側面に面接触させて取り付けられる吊り金具取付部と、その両側に前記吊り金具取付部にほぼ平行となるように設けられた一対の連結部を備え、該連結部がその下端に前記天井下地材に固定するための下地材固定部を、上端領域にブレース材を固定するためのブレース材固定部を備えていることを特徴とする天井用補強金具。
【請求項2】
前記吊り金具取付部が、その両側に設けられた一対の連結部の間に前記吊り金具取付部を底面とする溝を形成するように前記一対の連結部よりも引っ込んだ位置に配置されており、該溝の幅は、前記吊り金具取付部を前記吊り金具の背面に取り付ける際に該吊り金具を前記溝内に挿入させうるよう、前記吊り金具の幅以上に定められていることを特徴とする請求項1記載の天井用補強金具。
【請求項3】
前記一対の連結部が前記吊り金具取付部よりも下方に延び出し、両者間に切り欠きを形成していることを特徴とする請求項1又は2記載の天井用補強金具。
【請求項4】
全体が1枚の板材で形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の天井用補強金具。
【請求項5】
天井下地材を組んで形成した天井格子枠と、該天井格子枠を、それぞれ吊り金具を介して支持する複数の吊りボルトと、少なくとも一部の吊りボルトで支持された前記吊り金具に取り付けられ且つ前記天井下地材に固定された請求項1から4のいずれか1項記載の天井用補強金具を備えた吊り天井。
【請求項6】
前記天井格子枠を形成する天井下地材が、互いに平行に配置された複数のメインバーと、複数のメインバー間を連結するように取り付けられた複数のクロスバーからなり、前記吊り金具が前記メインバーに連結されており、前記天井用補強金具が複数個設けられていて、その一部の天井用補強金具が前記吊り金具の背面に取り付けられると共に前記メインバーに固定されており、残りの天井用補強金具が前記吊り金具の側面に取り付けられると共に前記クロスバーに固定されていることを特徴とする請求項5記載の吊り天井。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−35942(P2009−35942A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−201541(P2007−201541)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(501131830)株式会社日東紡マテリアル (4)
【出願人】(000003975)日東紡績株式会社 (251)