天井部の吊下装置
【課題】建物等の揺れによる被吊下部材の揺れを有効に抑制することができる天井部の吊下装置を提供する。
【解決手段】天井部Cに設けた基板11上のボールローラ12に、吊下コードWを介して照明器具を吊り下げる変位体13を水平方向に変位可能に支持させた。さらに、変位体13の変位に対して抵抗力を付与するスプリングプランジャ15を設けた。
【解決手段】天井部Cに設けた基板11上のボールローラ12に、吊下コードWを介して照明器具を吊り下げる変位体13を水平方向に変位可能に支持させた。さらに、変位体13の変位に対して抵抗力を付与するスプリングプランジャ15を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、照明器具、スピーカ等の被吊下部材を天井部に吊り下げるための天井部の吊下装置に関するものであって、特に、地震や強風による建物の揺れや、波浪等による船舶の揺れ等による揺れを抑制するようにした天井部の吊下装置に関するものである。この明細書において、「天井部」とは、被吊下部材を吊り下げる部分を意味し、例えば、建物の部屋、廊下、ホール等や船舶内の部屋、廊下、ホール、デッキ等の天井部が該当する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術としては、例えば特許文献1に開示されているような構成がある。この構成は、図14(a)に示すように、建物の部屋等の天井部Cから吊り下げられる照明器具50の吊下コードWの途中にバランサー51を設けたものである。バランサー51は、図14(b)に示すように、その慣性力により地震時における照明器具50の揺れを減衰させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−330606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、吊下コードWが天井部Cに直接固定されているため、地震による建物の横揺れが吊下コードW及びバランサー51を介して照明器具50に直接伝達される。このため、バランサー51の固有振動数を外れた周波数の横揺れによって照明器具50が大きく揺れることがあった。そして、照明器具50が大きく揺れた場合は、照明器具が部屋の壁と衝突したりして、照明器具や壁が破損するおそれがあった。
【0005】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、建物等の揺れによる被吊下部材の揺れを有効に抑制することができる天井部の吊下装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明は、天井部に設けた支持部と、吊下コードを介して被吊下部材を吊り下げるとともに、前記支持部に対して水平方向に変位可能に支持された変位体と、前記支持部と変位体との間に設けられ、同変位体の変位に対して抵抗力を付与する抵抗付与手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
従って、この発明の天井部の吊下装置においては、建物や船舶等の揺れにより部屋、廊下、ホール等の天井部が振幅で小刻みに横揺れした場合、変位体は、自身の慣性及び抵抗付与手段の抵抗力により定位置を保持する。この結果、変位体に吊下コードを介して吊り下げられている被吊下部材も定位置を保持する。
【0008】
建物等が長周期振動により大きな振幅でゆっくり横揺れする場合、変位体は、抵抗付与手段により付与される抵抗力により、支持部よりも遅れて横揺れする。この結果、支持部の横揺れは減衰されて変位体に伝達され、吊下コードの揺れは抑制される。
【0009】
前記の構成において、前記支持部は、前記変位体を全水平方向に変位させるとよい。
前記の構成において、前記変位体は、球面状の凸状下面を有する構成であり、前記支持部は、前記変位体が変位可能な状態にその凸状下面を支持する支持部材であるとよい。
【0010】
前記の構成において、前記変位体は球面状の凹状上面を有する構成であり、前記抵抗付与手段は、前記変位体の凹状上面に沿って相対移動することにより抵抗を付与することを特徴とするとよい。
【0011】
前記の構成において、前記変位体は重りであり、その重りと前記支持部との間に多段振り子が設けられるとよい。
前記の構成において、前記抵抗付与手段は、前記支持部側に対し磁力によって吸着される磁性金属円板であり、その中心孔に前記吊下コードが挿通されているとよい。
【0012】
前記の構成において、前記支持部には、球面軸受が設けられ、前記変位体は、前記吊下コードが挿通された前記球面軸受の揺動部からなるとよい。
前記の構成において、前記抵抗付与手段は、前記球面軸受の上方に配置され、球面状の凹状下面を有する被接触体と、前記揺動部に支持されて同被接触体の凹状下面上を移動するとよい。
【発明の効果】
【0013】
この発明の天井部の吊下装置によれば、建物等の揺れによる被吊下部材の揺れを有効に抑制することができるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態の天井部の吊下装置を示す正面図。
【図2】吊下装置を示す分解斜視図。
【図3】図2におけるa−a線断面図。
【図4】図2におけるb−b線断面図。
【図5】吊下装置の作動状態を示す断面図。
【図6】他の実施形態の吊下装置を示す断面図。
【図7】第2実施形態の天井部の吊下装置を示す分解斜視図。
【図8】図7におけるc−c線断面図。
【図9】吊下装置の作動状態を示す断面図。
【図10】他の実施形態の吊下装置を示す断面図。
【図11】第3実施形態の天井部の吊下装置を示す分解斜視図。
【図12】図11におけるd−d線断面図。
【図13】他の実施形態の吊下装置を示す断面図。
【図14】(a)は従来の吊下装置を示す正面図、(b)は吊下装置の作動状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下に、この発明を具体化した天井部の吊下装置の第1実施形態を図1〜図5に従って説明する。
【0016】
図1及び図2に示すように、この実施形態の天井部の吊下装置10は、建物や船舶等の部屋、廊下、ホール等における天井部Cの上面に支持され、被吊下部材としての照明器具Lを吊下コードWを介して吊り下げ支持している。
【0017】
図3及び図4に示すように、吊下装置10は、天井部Cの上面に固定された略円板状の基板11を備え、この基板11の中央には、吊下コードWを通すための開口部11aが形成されている。基板11上における開口部11aの周囲の4箇所には、支持部及び支持部材としてのボールローラ12が上向きに配置されている。4つのボールローラ12上には、球面状の凸状下面13a及び凹状上面13bを有する鉢状の変位体13が支持されている。従って、変位体13は、4つのボールローラ12により変位可能な状態に支持されている。この変位体13の中央部には、前記吊下コードWが前記開口部11aを通じて固定されている。
【0018】
基板11上には支持板14が取着され、この支持板14の下面の4箇所には、前記ボールローラ12に対応する位置に抵抗付与手段としてのスプリングプランジャ15が下向きに固定支持されている。そして、各スプリングプランジャ15の先端のボール15aは、自重及び図示しないスプリングの付勢力により変位体13の球面状の凹状上面13bに当接されている。従って、変位体13は、4つのボールローラ12と4つのスプリングプランジャ15とにより、図3及び図4に二点鎖線で示すように、球面状の凸状下面13aの形状に従う円軌道に沿って変位可能に保持されている。さらに、変位体13は、その中央部に接続された吊下コードWを介して加わる照明器具Lの荷重により、図3及び図4に実線で示す移動範囲の中心部の初期位置に誘導されて、同位置で保持される。
【0019】
次に、前記のように構成された第1実施形態の天井部の吊下装置の作用を説明する。
建物等の揺れにより天井部Cが小刻みに横揺れすると、図5に示すように、4つのボールローラ12に支持されている変位体13は、照明器具L等の重量や、スプリングプランジャ15,ボールローラ12から受ける抵抗に基づく慣性によりほぼ定位置を保持する。従って、変位体13及び照明器具L等は、天井部C上の基板11に対して初期位置から横揺れ方向へ相対変位するものの、実際には殆ど揺れず、元の位置に留まる。
【0020】
次に、長周期振動により天井部Cが大きな振幅でゆっくり横揺れする場合は、変位体13はスプリングプランジャ15及びボールローラ12から付与される抵抗により、天井部Cの揺れから遅れて横揺れする。従って、天井部Cの横揺れは変位体13に伝達されるが、そのエネルギーは減衰されるとともに、天井部Cの横揺れが反転した場合は変位体13の横揺れは打ち消される。このため、照明器具Lの横揺れが抑制される。
【0021】
以上のように、建物等が小刻みに揺れたり、大きく揺れたりするどちらの場合であっても、照明器具Lの揺れを抑制することができて、照明器具Lや壁の破損を防止できる。
従って、この実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0022】
(1) この実施形態の天井部の吊下装置10においては、天井部Cに設けた基板11上のボールローラ12に、吊下コードWを介して照明器具Lを吊り下げる変位体13を水平方向に変位可能に支持させた。さらに、変位体13の変位に対して抵抗力を付与するスプリングプランジャ15を設けた。従って、天井部Cが小刻みに揺れるときには、基板11に対して変位体13が慣性によりほぼ定位置を保持し、天井部Cが大きく揺れるときには、基板11に対して変位体13が遅れて横揺れする。この結果、天井部Cの横揺れによる照明器具Lの横揺れを有効に抑制することができる。
【0023】
つまり、この実施形態は特許文献1の技術とは異なり、照明器具L等の固有振動数の影響を受けることなく、照明器具Lの横揺れ防止に有効である。
(2) この実施形態の天井部の吊下装置10においては、4つのボールローラ12により支持された変位体13は、天井部Cの横揺れ方向に応じた全水平方向へ変位することができる。従って、建物等の横揺れ方向がどの方向であっても、照明器具Lの揺れを有効に抑制できる。
【0024】
(第2実施形態)
次に、この発明を具体化した天井部の吊下装置の第2実施形態を図7〜図9に従って説明する。
【0025】
この実施形態の吊下装置10は、第1実施形態と同様に、建物等における天井部Cの上面に設置され、吊下コードWを介して照明器具Lを吊り下げ支持するようになっている。
図7及び図8に示すように、吊下装置10は、天井部Cの上面に固定される有底円筒状の基部21を備え、この基部21の底板中央には、吊下コードWを通すための開口部21aが形成されている。
【0026】
基部21の底板中央には、互いに径の異なる複数枚の円環状の磁性金属円板22a,22b,22c,22dが径の大きなものほど下側に位置するように、かつ、全体として開口部21aを覆うように重ね合わされている。この磁性金属円板22a〜22dの適宜な位置には、永久磁石23が固着されている。各磁性金属円板22a〜22dは、この永久磁石23の磁力により互いに吸着されている。そして、磁性金属円板22a〜22dの中央孔には、吊下コードWが挿通されている。この実施形態では、磁性金属円板22a〜22d及び永久磁石23が抵抗付与手段を構成する。
【0027】
また、磁性金属円板22a〜22dの上方には、基部21の上側開口部周縁から吊り下げられた多段振り子24が設けられている。多段振り子24は、互いに異なる径であって同心状に配置された複数の円環状の環状重り24a,24b,24cと、この環状重り24a〜24cの中央に配置された変位体としての短円柱状の中央重り24dとを備えている。環状重り24a〜24cは、外側から順にコード25により吊り下げられ、中央重り24dは、環状重り24cにコード25により吊り下げられている。中央重り24dには、照明器具Lの吊下コードWの上端側が固定されている。従って、中央重り24dは、環状重り24a〜24cにより、図8に二点鎖線で示すように、360度範囲の全水平方向へ変位可能な状態で支持されている。さらに、中央重り24dは、多段振り子24により、図8に実線で示す初期位置に保持される。このため、中央重り24dは、初期位置から全水平方向へ変位可能とされている。なお、基部21の上側開口部は、蓋26により覆われる。
【0028】
次に、前記のように構成された第2実施形態の天井部の吊下装置の作用を説明する。
建物等の揺れにより天井部Cが小さい振幅で小刻みに横揺れすると、図9に示すように、多段振り子24により支持されている中央重り24dは、基部21に対して水平方向の初期位置から横揺れ方向へ相対変位して、多段振り子24の慣性及び磁性金属円板22a〜22dの吸着抵抗によりほぼ定位置を保持する。従って、中央重り24dに吊下コードWを介して吊り下げられている照明器具Lもほぼ定位置を保持する。
【0029】
次に、長周期振動により天井部Cが大きな振幅でゆっくり横揺れする場合、中央重り24dは、吊下コードWを介して磁性金属円板22a〜22dどうしの吸着抵抗から付与される引っ張り抵抗により、基部21から遅れて横揺れする。従って、基部21の横揺れは中央重り24dに伝達されるが、そのエネルギーは減衰されるとともに、天井部Cの横揺れが反転した場合は中央重り24dの横揺れは打ち消される。このため、照明器具Lの横揺れが抑制される。
【0030】
従って、この実施形態によれば、前記第1実施形態の(1),(2)の効果を得ることができる。
(第3実施形態)
次に、この発明を具体化した天井部の吊下装置の第3実施形態を図11及び図12に従って説明する。
【0031】
この実施形態の吊下装置10も、第1実施形態と同様に、建物等における天井部Cの上面に設置され、吊下コードWを介して照明器具Lを吊り下げ支持するようになっている。
図11及び図12に示すように、吊下装置10の基部21の底板上中央には、支持部としての球面軸受31が開口部21aを覆うように固定されている。球面軸受31は、凹状球面を有し、基部21上に固定される固定部32と、この固定部32により揺動可能に支持される変位体としての球体状の揺動部33とにより構成されている。この揺動部33には、パイプ34が挿通状態で固定され、このパイプ34には、吊下コードWが挿通固定されている。従って、揺動部33及びパイプ34は、図12に二点鎖線で示すように、球面軸受31の中心を中心とした全ての方向へ変位可能に支持されている。さらに、揺動部33及びパイプ34は、吊下コードWを介して加わる照明器具Lの荷重により、図12に実線で示す揺動範囲の中心の初期位置に保持される。
【0032】
また、パイプ34の下端には、吊下コードWの局所的な過度の屈曲や摩擦による破損を防止するためのコイルばね35が取り付けられている。一方、パイプ34の上端には、抵抗付与手段としてのスプリングプランジャ36が上向きに固定されている。
【0033】
球面軸受31の上方には、蓋26の下面に位置する逆鉢状の被接触体37が固定されている。被接触体37の凹状下面37aには、前記パイプ34に支持されたスプリングプランジャ36のボール36aが弾性的に当接されている。すなわち、被接触体37の凹状下面37aには、球面軸受31の揺動部33が揺動してもスプリングプランジャ36のボール36aが常時弾性的に当接する。この実施形態では、スプリングプランジャ36及び被接触体37が抵抗付与手段を構成する。
【0034】
次に、前記のように構成された第3実施形態の天井部の吊下装置の作用を説明する。
建物等の揺れにより天井部Cが小さい振幅で小刻みに横揺れすると、図12に示すように、吊下コードW及びパイプ34を介して球面軸受31に支持されている照明器具Lは、天井部Cに対して水平方向の初期位置から横揺れ方向へ相対変位するが、自身の慣性及びスプリングプランジャ36のボール36aの接触抵抗によりほぼ定位置を保持する。
【0035】
次に、長周期振動により天井部Cが大きな振幅でゆっくり横揺れする場合は、揺動部33及びパイプ34はスプリングプランジャ36と被接触体37との間の転がり抵抗を含む接触抵抗により、天井部Cの横揺れから遅れて揺動する。従って、天井部Cの横揺れは揺動部33及びパイプ34に減衰されて伝達されるとともに、天井部Cの横揺れが反転した場合は球面軸受31の揺動部33の部分の横揺れは打ち消される。このため、照明器具Lの横揺れが抑制される。
【0036】
従って、この実施形態によれば、前記第1実施形態の(1),(2)の効果を得ることができる。
(他の実施形態)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
【0037】
・ 前記各実施形態において、吊下装置10を、建物、船舶等の部屋、廊下、ホール等の天井部Cの下面に設置すること。
・ 前記スプリングプランジャ15,36に代えて、スプリングや自重により付勢された状態で変位体13の凹状上面13bに当接され、変位体13の変位に伴って凹状上面13bに摺接する摩擦付与部材(抵抗付与手段)を採用すること。この摩擦付与部材の材質は限定されるものではなく、合成樹脂、金属、セラミック等、いずれでもよい。あるいは、合成樹脂や金属の表面に硬化処理等の表面処理を施してもよい。そして、摩擦付与部材は、照明器具Lの重量等の条件に応じた摩擦係数のものが用いられる。
【0038】
・ 第1実施形態において、球面状の凸状下面13aを有する変位体13と、ボールローラ12とに代えて、図6に示すように、円筒面形状の凸状下面13aを有する変位体13と、その凸状下面13aに当接するローラ16とを採用する。この構成は、一方向の横揺れに対して、照明器具Lの揺れが抑制されるため、一方向に横揺れする傾向の建物において適する。
【0039】
・ 第1実施形態において、変位体13を支持するボールローラ12の数を3または5以上とすること。
・ 第1実施形態において、変位体13の凹状上面13bに当接するスプリングプランジャ15の数を1,2,3または5以上とすること。
【0040】
・ 第2実施形態において、図10に示すように、1枚の磁性金属円板22aにより抵抗付与手段を構成すること。
・ 第3実施形態において、図13に示すように、球面状の凹状下面37aを有する被接触体37に代えて、円筒面形状の凹状下面37aを有する被接触体37を採用すること。この構成は、一方向の横揺れに対して、照明器具Lの揺れが抑制されるため、一方向に横揺れする傾向の建物において適する。
【0041】
・ この発明を、照明器具L以外の被吊下部材、例えばスピーカを被吊り下げとした吊下装置に具体化すること。
・ 基板11や基部21を設けることなく、吊下装置を天井部Cに直接支持すること。従って、この構成の場合は、天井部Cが吊下装置の支持部を構成する。
【符号の説明】
【0042】
C…天井、L…被吊下部材としての照明器具、W…吊下コード、10…吊下装置、12…支持部及び支持部材としてのボールローラ、13…変位体、13a…凸状下面、13b…凹状上面、15…速度抑制手段及び抵抗付与手段としてのスプリングプランジャ、22a〜22d…抵抗付与手段としての磁性金属円板、23…同じく永久磁石、24…支持部としての多段振り子、24d…変位体としての中央重り、31…支持部としての球面軸受、33…変位体としての揺動部、36…抵抗付与手段としてのスプリングプランジャ、37…同じく被接触体、37a…凹状下面。
【技術分野】
【0001】
この発明は、照明器具、スピーカ等の被吊下部材を天井部に吊り下げるための天井部の吊下装置に関するものであって、特に、地震や強風による建物の揺れや、波浪等による船舶の揺れ等による揺れを抑制するようにした天井部の吊下装置に関するものである。この明細書において、「天井部」とは、被吊下部材を吊り下げる部分を意味し、例えば、建物の部屋、廊下、ホール等や船舶内の部屋、廊下、ホール、デッキ等の天井部が該当する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術としては、例えば特許文献1に開示されているような構成がある。この構成は、図14(a)に示すように、建物の部屋等の天井部Cから吊り下げられる照明器具50の吊下コードWの途中にバランサー51を設けたものである。バランサー51は、図14(b)に示すように、その慣性力により地震時における照明器具50の揺れを減衰させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−330606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、吊下コードWが天井部Cに直接固定されているため、地震による建物の横揺れが吊下コードW及びバランサー51を介して照明器具50に直接伝達される。このため、バランサー51の固有振動数を外れた周波数の横揺れによって照明器具50が大きく揺れることがあった。そして、照明器具50が大きく揺れた場合は、照明器具が部屋の壁と衝突したりして、照明器具や壁が破損するおそれがあった。
【0005】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、建物等の揺れによる被吊下部材の揺れを有効に抑制することができる天井部の吊下装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明は、天井部に設けた支持部と、吊下コードを介して被吊下部材を吊り下げるとともに、前記支持部に対して水平方向に変位可能に支持された変位体と、前記支持部と変位体との間に設けられ、同変位体の変位に対して抵抗力を付与する抵抗付与手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
従って、この発明の天井部の吊下装置においては、建物や船舶等の揺れにより部屋、廊下、ホール等の天井部が振幅で小刻みに横揺れした場合、変位体は、自身の慣性及び抵抗付与手段の抵抗力により定位置を保持する。この結果、変位体に吊下コードを介して吊り下げられている被吊下部材も定位置を保持する。
【0008】
建物等が長周期振動により大きな振幅でゆっくり横揺れする場合、変位体は、抵抗付与手段により付与される抵抗力により、支持部よりも遅れて横揺れする。この結果、支持部の横揺れは減衰されて変位体に伝達され、吊下コードの揺れは抑制される。
【0009】
前記の構成において、前記支持部は、前記変位体を全水平方向に変位させるとよい。
前記の構成において、前記変位体は、球面状の凸状下面を有する構成であり、前記支持部は、前記変位体が変位可能な状態にその凸状下面を支持する支持部材であるとよい。
【0010】
前記の構成において、前記変位体は球面状の凹状上面を有する構成であり、前記抵抗付与手段は、前記変位体の凹状上面に沿って相対移動することにより抵抗を付与することを特徴とするとよい。
【0011】
前記の構成において、前記変位体は重りであり、その重りと前記支持部との間に多段振り子が設けられるとよい。
前記の構成において、前記抵抗付与手段は、前記支持部側に対し磁力によって吸着される磁性金属円板であり、その中心孔に前記吊下コードが挿通されているとよい。
【0012】
前記の構成において、前記支持部には、球面軸受が設けられ、前記変位体は、前記吊下コードが挿通された前記球面軸受の揺動部からなるとよい。
前記の構成において、前記抵抗付与手段は、前記球面軸受の上方に配置され、球面状の凹状下面を有する被接触体と、前記揺動部に支持されて同被接触体の凹状下面上を移動するとよい。
【発明の効果】
【0013】
この発明の天井部の吊下装置によれば、建物等の揺れによる被吊下部材の揺れを有効に抑制することができるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態の天井部の吊下装置を示す正面図。
【図2】吊下装置を示す分解斜視図。
【図3】図2におけるa−a線断面図。
【図4】図2におけるb−b線断面図。
【図5】吊下装置の作動状態を示す断面図。
【図6】他の実施形態の吊下装置を示す断面図。
【図7】第2実施形態の天井部の吊下装置を示す分解斜視図。
【図8】図7におけるc−c線断面図。
【図9】吊下装置の作動状態を示す断面図。
【図10】他の実施形態の吊下装置を示す断面図。
【図11】第3実施形態の天井部の吊下装置を示す分解斜視図。
【図12】図11におけるd−d線断面図。
【図13】他の実施形態の吊下装置を示す断面図。
【図14】(a)は従来の吊下装置を示す正面図、(b)は吊下装置の作動状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下に、この発明を具体化した天井部の吊下装置の第1実施形態を図1〜図5に従って説明する。
【0016】
図1及び図2に示すように、この実施形態の天井部の吊下装置10は、建物や船舶等の部屋、廊下、ホール等における天井部Cの上面に支持され、被吊下部材としての照明器具Lを吊下コードWを介して吊り下げ支持している。
【0017】
図3及び図4に示すように、吊下装置10は、天井部Cの上面に固定された略円板状の基板11を備え、この基板11の中央には、吊下コードWを通すための開口部11aが形成されている。基板11上における開口部11aの周囲の4箇所には、支持部及び支持部材としてのボールローラ12が上向きに配置されている。4つのボールローラ12上には、球面状の凸状下面13a及び凹状上面13bを有する鉢状の変位体13が支持されている。従って、変位体13は、4つのボールローラ12により変位可能な状態に支持されている。この変位体13の中央部には、前記吊下コードWが前記開口部11aを通じて固定されている。
【0018】
基板11上には支持板14が取着され、この支持板14の下面の4箇所には、前記ボールローラ12に対応する位置に抵抗付与手段としてのスプリングプランジャ15が下向きに固定支持されている。そして、各スプリングプランジャ15の先端のボール15aは、自重及び図示しないスプリングの付勢力により変位体13の球面状の凹状上面13bに当接されている。従って、変位体13は、4つのボールローラ12と4つのスプリングプランジャ15とにより、図3及び図4に二点鎖線で示すように、球面状の凸状下面13aの形状に従う円軌道に沿って変位可能に保持されている。さらに、変位体13は、その中央部に接続された吊下コードWを介して加わる照明器具Lの荷重により、図3及び図4に実線で示す移動範囲の中心部の初期位置に誘導されて、同位置で保持される。
【0019】
次に、前記のように構成された第1実施形態の天井部の吊下装置の作用を説明する。
建物等の揺れにより天井部Cが小刻みに横揺れすると、図5に示すように、4つのボールローラ12に支持されている変位体13は、照明器具L等の重量や、スプリングプランジャ15,ボールローラ12から受ける抵抗に基づく慣性によりほぼ定位置を保持する。従って、変位体13及び照明器具L等は、天井部C上の基板11に対して初期位置から横揺れ方向へ相対変位するものの、実際には殆ど揺れず、元の位置に留まる。
【0020】
次に、長周期振動により天井部Cが大きな振幅でゆっくり横揺れする場合は、変位体13はスプリングプランジャ15及びボールローラ12から付与される抵抗により、天井部Cの揺れから遅れて横揺れする。従って、天井部Cの横揺れは変位体13に伝達されるが、そのエネルギーは減衰されるとともに、天井部Cの横揺れが反転した場合は変位体13の横揺れは打ち消される。このため、照明器具Lの横揺れが抑制される。
【0021】
以上のように、建物等が小刻みに揺れたり、大きく揺れたりするどちらの場合であっても、照明器具Lの揺れを抑制することができて、照明器具Lや壁の破損を防止できる。
従って、この実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0022】
(1) この実施形態の天井部の吊下装置10においては、天井部Cに設けた基板11上のボールローラ12に、吊下コードWを介して照明器具Lを吊り下げる変位体13を水平方向に変位可能に支持させた。さらに、変位体13の変位に対して抵抗力を付与するスプリングプランジャ15を設けた。従って、天井部Cが小刻みに揺れるときには、基板11に対して変位体13が慣性によりほぼ定位置を保持し、天井部Cが大きく揺れるときには、基板11に対して変位体13が遅れて横揺れする。この結果、天井部Cの横揺れによる照明器具Lの横揺れを有効に抑制することができる。
【0023】
つまり、この実施形態は特許文献1の技術とは異なり、照明器具L等の固有振動数の影響を受けることなく、照明器具Lの横揺れ防止に有効である。
(2) この実施形態の天井部の吊下装置10においては、4つのボールローラ12により支持された変位体13は、天井部Cの横揺れ方向に応じた全水平方向へ変位することができる。従って、建物等の横揺れ方向がどの方向であっても、照明器具Lの揺れを有効に抑制できる。
【0024】
(第2実施形態)
次に、この発明を具体化した天井部の吊下装置の第2実施形態を図7〜図9に従って説明する。
【0025】
この実施形態の吊下装置10は、第1実施形態と同様に、建物等における天井部Cの上面に設置され、吊下コードWを介して照明器具Lを吊り下げ支持するようになっている。
図7及び図8に示すように、吊下装置10は、天井部Cの上面に固定される有底円筒状の基部21を備え、この基部21の底板中央には、吊下コードWを通すための開口部21aが形成されている。
【0026】
基部21の底板中央には、互いに径の異なる複数枚の円環状の磁性金属円板22a,22b,22c,22dが径の大きなものほど下側に位置するように、かつ、全体として開口部21aを覆うように重ね合わされている。この磁性金属円板22a〜22dの適宜な位置には、永久磁石23が固着されている。各磁性金属円板22a〜22dは、この永久磁石23の磁力により互いに吸着されている。そして、磁性金属円板22a〜22dの中央孔には、吊下コードWが挿通されている。この実施形態では、磁性金属円板22a〜22d及び永久磁石23が抵抗付与手段を構成する。
【0027】
また、磁性金属円板22a〜22dの上方には、基部21の上側開口部周縁から吊り下げられた多段振り子24が設けられている。多段振り子24は、互いに異なる径であって同心状に配置された複数の円環状の環状重り24a,24b,24cと、この環状重り24a〜24cの中央に配置された変位体としての短円柱状の中央重り24dとを備えている。環状重り24a〜24cは、外側から順にコード25により吊り下げられ、中央重り24dは、環状重り24cにコード25により吊り下げられている。中央重り24dには、照明器具Lの吊下コードWの上端側が固定されている。従って、中央重り24dは、環状重り24a〜24cにより、図8に二点鎖線で示すように、360度範囲の全水平方向へ変位可能な状態で支持されている。さらに、中央重り24dは、多段振り子24により、図8に実線で示す初期位置に保持される。このため、中央重り24dは、初期位置から全水平方向へ変位可能とされている。なお、基部21の上側開口部は、蓋26により覆われる。
【0028】
次に、前記のように構成された第2実施形態の天井部の吊下装置の作用を説明する。
建物等の揺れにより天井部Cが小さい振幅で小刻みに横揺れすると、図9に示すように、多段振り子24により支持されている中央重り24dは、基部21に対して水平方向の初期位置から横揺れ方向へ相対変位して、多段振り子24の慣性及び磁性金属円板22a〜22dの吸着抵抗によりほぼ定位置を保持する。従って、中央重り24dに吊下コードWを介して吊り下げられている照明器具Lもほぼ定位置を保持する。
【0029】
次に、長周期振動により天井部Cが大きな振幅でゆっくり横揺れする場合、中央重り24dは、吊下コードWを介して磁性金属円板22a〜22dどうしの吸着抵抗から付与される引っ張り抵抗により、基部21から遅れて横揺れする。従って、基部21の横揺れは中央重り24dに伝達されるが、そのエネルギーは減衰されるとともに、天井部Cの横揺れが反転した場合は中央重り24dの横揺れは打ち消される。このため、照明器具Lの横揺れが抑制される。
【0030】
従って、この実施形態によれば、前記第1実施形態の(1),(2)の効果を得ることができる。
(第3実施形態)
次に、この発明を具体化した天井部の吊下装置の第3実施形態を図11及び図12に従って説明する。
【0031】
この実施形態の吊下装置10も、第1実施形態と同様に、建物等における天井部Cの上面に設置され、吊下コードWを介して照明器具Lを吊り下げ支持するようになっている。
図11及び図12に示すように、吊下装置10の基部21の底板上中央には、支持部としての球面軸受31が開口部21aを覆うように固定されている。球面軸受31は、凹状球面を有し、基部21上に固定される固定部32と、この固定部32により揺動可能に支持される変位体としての球体状の揺動部33とにより構成されている。この揺動部33には、パイプ34が挿通状態で固定され、このパイプ34には、吊下コードWが挿通固定されている。従って、揺動部33及びパイプ34は、図12に二点鎖線で示すように、球面軸受31の中心を中心とした全ての方向へ変位可能に支持されている。さらに、揺動部33及びパイプ34は、吊下コードWを介して加わる照明器具Lの荷重により、図12に実線で示す揺動範囲の中心の初期位置に保持される。
【0032】
また、パイプ34の下端には、吊下コードWの局所的な過度の屈曲や摩擦による破損を防止するためのコイルばね35が取り付けられている。一方、パイプ34の上端には、抵抗付与手段としてのスプリングプランジャ36が上向きに固定されている。
【0033】
球面軸受31の上方には、蓋26の下面に位置する逆鉢状の被接触体37が固定されている。被接触体37の凹状下面37aには、前記パイプ34に支持されたスプリングプランジャ36のボール36aが弾性的に当接されている。すなわち、被接触体37の凹状下面37aには、球面軸受31の揺動部33が揺動してもスプリングプランジャ36のボール36aが常時弾性的に当接する。この実施形態では、スプリングプランジャ36及び被接触体37が抵抗付与手段を構成する。
【0034】
次に、前記のように構成された第3実施形態の天井部の吊下装置の作用を説明する。
建物等の揺れにより天井部Cが小さい振幅で小刻みに横揺れすると、図12に示すように、吊下コードW及びパイプ34を介して球面軸受31に支持されている照明器具Lは、天井部Cに対して水平方向の初期位置から横揺れ方向へ相対変位するが、自身の慣性及びスプリングプランジャ36のボール36aの接触抵抗によりほぼ定位置を保持する。
【0035】
次に、長周期振動により天井部Cが大きな振幅でゆっくり横揺れする場合は、揺動部33及びパイプ34はスプリングプランジャ36と被接触体37との間の転がり抵抗を含む接触抵抗により、天井部Cの横揺れから遅れて揺動する。従って、天井部Cの横揺れは揺動部33及びパイプ34に減衰されて伝達されるとともに、天井部Cの横揺れが反転した場合は球面軸受31の揺動部33の部分の横揺れは打ち消される。このため、照明器具Lの横揺れが抑制される。
【0036】
従って、この実施形態によれば、前記第1実施形態の(1),(2)の効果を得ることができる。
(他の実施形態)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
【0037】
・ 前記各実施形態において、吊下装置10を、建物、船舶等の部屋、廊下、ホール等の天井部Cの下面に設置すること。
・ 前記スプリングプランジャ15,36に代えて、スプリングや自重により付勢された状態で変位体13の凹状上面13bに当接され、変位体13の変位に伴って凹状上面13bに摺接する摩擦付与部材(抵抗付与手段)を採用すること。この摩擦付与部材の材質は限定されるものではなく、合成樹脂、金属、セラミック等、いずれでもよい。あるいは、合成樹脂や金属の表面に硬化処理等の表面処理を施してもよい。そして、摩擦付与部材は、照明器具Lの重量等の条件に応じた摩擦係数のものが用いられる。
【0038】
・ 第1実施形態において、球面状の凸状下面13aを有する変位体13と、ボールローラ12とに代えて、図6に示すように、円筒面形状の凸状下面13aを有する変位体13と、その凸状下面13aに当接するローラ16とを採用する。この構成は、一方向の横揺れに対して、照明器具Lの揺れが抑制されるため、一方向に横揺れする傾向の建物において適する。
【0039】
・ 第1実施形態において、変位体13を支持するボールローラ12の数を3または5以上とすること。
・ 第1実施形態において、変位体13の凹状上面13bに当接するスプリングプランジャ15の数を1,2,3または5以上とすること。
【0040】
・ 第2実施形態において、図10に示すように、1枚の磁性金属円板22aにより抵抗付与手段を構成すること。
・ 第3実施形態において、図13に示すように、球面状の凹状下面37aを有する被接触体37に代えて、円筒面形状の凹状下面37aを有する被接触体37を採用すること。この構成は、一方向の横揺れに対して、照明器具Lの揺れが抑制されるため、一方向に横揺れする傾向の建物において適する。
【0041】
・ この発明を、照明器具L以外の被吊下部材、例えばスピーカを被吊り下げとした吊下装置に具体化すること。
・ 基板11や基部21を設けることなく、吊下装置を天井部Cに直接支持すること。従って、この構成の場合は、天井部Cが吊下装置の支持部を構成する。
【符号の説明】
【0042】
C…天井、L…被吊下部材としての照明器具、W…吊下コード、10…吊下装置、12…支持部及び支持部材としてのボールローラ、13…変位体、13a…凸状下面、13b…凹状上面、15…速度抑制手段及び抵抗付与手段としてのスプリングプランジャ、22a〜22d…抵抗付与手段としての磁性金属円板、23…同じく永久磁石、24…支持部としての多段振り子、24d…変位体としての中央重り、31…支持部としての球面軸受、33…変位体としての揺動部、36…抵抗付与手段としてのスプリングプランジャ、37…同じく被接触体、37a…凹状下面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井部に設けた支持部と、
吊下コードを介して被吊下部材を吊り下げるとともに、前記支持部に対して水平方向に変位可能に支持された変位体と、
前記支持部と変位体との間に設けられ、同変位体の変位に対して抵抗力を付与する抵抗付与手段とを備えたことを特徴とする天井部の吊下装置。
【請求項2】
前記支持部は、前記変位体を全水平方向に変位させることを特徴とする請求項1に記載の天井部の吊下装置。
【請求項3】
前記変位体は、球面状の凸状下面を有する構成であり、
前記支持部は、前記変位体が変位可能な状態にその凸状下面を支持する支持部材であることを特徴とする請求項2に記載の天井部の吊下装置。
【請求項4】
前記変位体は球面状の凹状上面を有する構成であり、
前記抵抗付与手段は、前記変位体の凹状上面に沿って相対移動することにより抵抗を付与することを特徴とする請求項3に記載の天井部の吊下装置。
【請求項5】
前記変位体は重りであり、
その重りと前記支持部との間に多段振り子が設けられたことを特徴とする請求項2に記載の天井部の吊下装置。
【請求項6】
前記抵抗付与手段は、前記支持部側に対し磁力によって吸着される磁性金属円板であり、その中心孔に前記吊下コードが挿通されていることを特徴とする請求項5に記載の天井部の吊下装置。
【請求項7】
前記支持部には、球面軸受が設けられ、
前記変位体は、前記吊下コードが挿通された前記球面軸受の揺動部からなることを特徴とする請求項2に記載の天井部の吊下装置。
【請求項8】
前記抵抗付与手段は、前記球面軸受の上方に配置され、球面状の凹状下面を有する被接触体と、前記揺動部に支持されて同被接触体の凹状下面上を移動することを特徴とする請求項7に記載の天井部の吊下装置。
【請求項1】
天井部に設けた支持部と、
吊下コードを介して被吊下部材を吊り下げるとともに、前記支持部に対して水平方向に変位可能に支持された変位体と、
前記支持部と変位体との間に設けられ、同変位体の変位に対して抵抗力を付与する抵抗付与手段とを備えたことを特徴とする天井部の吊下装置。
【請求項2】
前記支持部は、前記変位体を全水平方向に変位させることを特徴とする請求項1に記載の天井部の吊下装置。
【請求項3】
前記変位体は、球面状の凸状下面を有する構成であり、
前記支持部は、前記変位体が変位可能な状態にその凸状下面を支持する支持部材であることを特徴とする請求項2に記載の天井部の吊下装置。
【請求項4】
前記変位体は球面状の凹状上面を有する構成であり、
前記抵抗付与手段は、前記変位体の凹状上面に沿って相対移動することにより抵抗を付与することを特徴とする請求項3に記載の天井部の吊下装置。
【請求項5】
前記変位体は重りであり、
その重りと前記支持部との間に多段振り子が設けられたことを特徴とする請求項2に記載の天井部の吊下装置。
【請求項6】
前記抵抗付与手段は、前記支持部側に対し磁力によって吸着される磁性金属円板であり、その中心孔に前記吊下コードが挿通されていることを特徴とする請求項5に記載の天井部の吊下装置。
【請求項7】
前記支持部には、球面軸受が設けられ、
前記変位体は、前記吊下コードが挿通された前記球面軸受の揺動部からなることを特徴とする請求項2に記載の天井部の吊下装置。
【請求項8】
前記抵抗付与手段は、前記球面軸受の上方に配置され、球面状の凹状下面を有する被接触体と、前記揺動部に支持されて同被接触体の凹状下面上を移動することを特徴とする請求項7に記載の天井部の吊下装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−41750(P2013−41750A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178009(P2011−178009)
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】
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