説明

天板構造

【課題】簡易な加工であって、コストを安く、電子機器を安定的に支持することができるとともに、スペースが増大してしまうことなく天板上の電子機器の落下を防止して執務者の使い勝手を良好とする天板構造を提供する。
【解決手段】天板構造1は、電子機器が載置される天板10を有する什器の天板構造1であって、天板10の外縁に形成されて上下に連通する切欠き部2と、切欠き部2に嵌合された取付部31、及び取付部31に支持されて天板10の上方に配された落下防止部材132が取り付けられた落下防止部材保持部32を有する保持部材3とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にオフィス、病院、又は公共施設等における執務空間にて使用される什器に設けられた電子機器載置用の天板構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィス、病院、公共施設等における執務空間においては、執務空間内の様々な場所に移動しながら電子機器を用いて執務を行う場合がある。この場合、カート装置の天板上に電子機器を載置し、執務者がカート装置と共に移動し、随時必要に応じた場所にて執務が行われていた。
ここで、カート装置の天板上に電子機器を載置した場合に、カート装置に外力を加えると、電子機器が天板から落下してしまう可能性がある。そこで、電子機器の落下を防止するために、天板の外周部近傍に天板の上面から上方に向かって落下防止部材が設けられた天板が採用されている(例えば、特許文献1参照)。この落下防止部材が設けられた天板の構造では、落下防止部材が取り付けられた電子機器を載置するための台を、カート装置の天板の上に固定する仕様となっている。電子機器を載置するための台は板金の折曲成形により構成され、台を天板に固定する部分には内向きチャネル部を設け、ピンを止着するための長穴を設ける等の加工を施す必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−142278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の天板構造では、板金を、第2の天板として什器であるカート装置の第1の天板に固定可能としつつ、電子機器を載置可能にするように加工をする必要があり、加工工数が増大し、又板金の材料費及び加工費等のコストが増大してしまうという問題点があった。
また、特許文献1の天板構造では、什器であるカート装置に設けられた第1の天板の外縁に、電子機器を載置するとともに落下防止部材が固定された第2の天板の内向きチャネル部を嵌合する必要があり、第1の天板よりも幅広となって設置スペースが増大してしまう問題があった。
【0005】
本発明は、前述の従来技術における問題を解決するために、簡易な加工であって、コストを安く、電子機器を安定的に支持することができるとともに、スペースが増大してしまうことなく天板上の電子機器の落下を防止して執務者の使い勝手を良好とする天板構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る天板構造は、電子機器が載置される天板を有する什器の天板構造であって、前記天板の外縁に形成されて上下に連通する切欠き部と、該切欠き部に嵌合された取付部、及び該取付部に支持されて前記天板の上方に配された落下防止部材が取り付けられた落下防止部材保持部を有する保持部材とを備えることを特徴とする。
【0007】
この構成では、落下防止部材は落下防止部材保持部に取り付けられ、落下防止部材保持部は保持部材に設けられ、保持部材の一部の取付部は天板に形成された切欠き部に嵌合されているので、落下防止部材は確実に天板に固定される。よって、天板構造を搭載したカート装置に外力を加えても、落下防止部材により天板に載置された電子機器の落下を防止することができるとともに、電子機器を安定的に支持することができる。
また、天板に切り欠き加工をして切欠き部を設け、切欠き部に取付部を嵌合させるだけという簡易な構造なので、簡易な加工で製作でき、コストの低減を図ることができる。
また、落下防止部材を保持する保持部材は、上記のとおり、取付部が天板の外縁に形成された切欠き部に嵌合されて天板に支持されており、落下防止部材も天板の上方に配されている。このため、平面視して天板が配置された範囲内で落下防止部材を設置することができ、設置スペースを最小限に抑えることができる。
【0008】
また、本発明に係る天板構造は、前記保持部材の前記取付部には、前記天板の上面側から下面側へと連通するとともに、前記天板の外縁に向かって開口し、配線を配設可能な配線空間部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
この構成では、天板の上に載置された電子機器の配線は、配線空間部の内部に納まって天板の上方から下方へと導かれるので、配線を、天板の外側に配線してしまうことなく、体裁よく案内することができる。
また、移動式の什器であったとしても、移動に伴って配線がみだりに動くことはないので、執務者の使い勝手を良好にすることができる。さらに、配線空間部は天板の外縁に向かって開口しているので、配線の抜き差しは上下方向からのみならず外縁の開口からもでき、執務者の使い勝手を良好にすることができる。
【0010】
また、本発明に係る天板構造は、前記保持部材は、前記配線空間部の外縁の開口を狭めるように突出する配線押さえ片を有することを特徴とする。
【0011】
この構成では、配線押さえ片は、配線空間部に挿入された配線を配線空間部の外縁の開口から抜けるのを防止することができる。このため、配線が挿入された状態を確実に維持することができ、配線を体裁よく案内することができるとともに、執務者の使い勝手を良好にすることができる。
【0012】
また、本発明に係る天板構造は、前記保持部材は、天板の上面側で前記取付部に支持され、配線を係合可能な第一配線係合部を有することを特徴とする。
【0013】
この構成では、配線は取付部に支持された第一配線係合部に係合されているため、配線を天板の近傍にて確実に支持することができるので、配線を体裁よく案内することができる。
また、移動式の什器であったとしても配線は第一配線係合部に係合されているために、移動に伴って天板上にてみだりに動くことはないので、執務者の使い勝手を良好にすることができる。
さらに、配線を抜いた後に一時的に第一配線係合部に係合しておけば、次に差しこむ際の差し込みが容易となり、配線を着脱する際における執務者の使い勝手も良好にすることができる。
【0014】
また、本発明に係る天板構造は、前記保持部材は、前記天板の下面側で前記取付部に支持され、配線を係合可能な第二配線係合部を有することを特徴とする。
【0015】
この構成では、配線は取付部に支持された第二配線係合部に係合されているため、配線を天板の下方にて確実に支持することができるので、配線を体裁よく案内することができる。
また、移動式の什器であったとしても配線は第二配線係合部に係合されているために、移動に伴って天板下にてみだりに動くことはないので、執務者の使い勝手を良好にすることができる。
【0016】
また、本発明に係る天板構造は、前記天板の下面に支持されて、物品を載置可能な物品載置棚を備え、該物品載置棚に載置された物品と、前記天板上の電子機器とは、前記配線空間部に配設された配線により接続可能であることを特徴とする。
【0017】
この構成では、物品が載置された物品載置棚は天板の下面に支持されているので、物品載置棚は安定的に物品を支持することができる。
また、電子機器に接続された物品を天板の下方に載置することができるので、電子機器の使用時における執務者の使い勝手を良好にすることができる。
そして、天板上と電子機器と配線空間部に配設された配線により接続することができる。
【0018】
また、本発明に係る天板構造は、前記切欠き部と、該切欠き部に前記取付部が嵌合された前記保持部材とは、前記天板の前後方向前側の前端部と、前記前後方向と直交する左右方向両側の両側端部とにそれぞれ設けられ、前記落下防止部材は、互いに対向して設けられ、前記天板の両側端部に設けられた前記保持部材の前記落下防止部材保持部に保持された一対の側部柵と、前後方向前側で一対の前記側部柵同士を連結し、前記天板の前端部に設けられた前記保持部材の前記落下防止部材保持部に保持された前部柵とを有することを特徴とする。
【0019】
この構成では、落下防止部材は一対の側部柵及び前部柵の三辺を有する柵であり、取付部は対応する前端部と両側端部の三箇所にて固定され、各取付部に支持された落下防止部材保持部により落下防止部材を保持している。よって、落下防止部材により電子機器の落下を三方向から確実に防止することができるとともに、電子機器を安定的に支持することができる。
また、配線空間部が形成された取付部は天板の三箇所に設けられているので、配線はより近い配線空間部より天板の上方から下方に導かれるので、配線を体裁よく案内することができる。
【0020】
また、本発明に係るカート装置は、前記天板構造を備えることを特徴とする。
【0021】
この構成では、カート装置は電子機器を安定的に支持することができるとともに、電子機器の落下を防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る天板構造によれば、簡易な加工であって、コストが安く、電子機器を安定的に支持することができるとともに、スペースが増大してしまうことなく天板上の電子機器の落下を防止することができ、執務者の使い勝手を良好執務者の使い勝手を良好とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第一実施形態に係るカート装置の概略図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る天板構造を示す概略図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係る天板構造の天板の前端部に取り付けられた第一保持部材を上前方から見た概略図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係る天板構造の天板の前端部に取り付けられた第一保持部材を上後方から見た概略図である。
【図5】本発明の第一実施形態に係る天板構造の天板の前端部に取り付けられた第一保持部材をした前方から見た概略図である。
【図6】本発明の第二実施形態に係る天板構造の天板の前端部に取り付けられた第一保持部材を上前方から見た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態に係る天板構造1について、図面を参照して説明する。
(カート装置101の構成)
図1は、本実施形態の天板構造1を搭載したカート装置101を示している。
カート装置101は、床面上を走行可能なキャスター151が設けられたベース部51と、ベース部51から上方に向かって立設された支持基体61と、支持基体61によって支持された電子機器Eが載置される略矩形の天板10と、天板10に設けられて電子機器Eを保持する天板構造1と、天板構造1から後方に突設した把持可能な操作ハンドル部71と、を備える。
ここで、執務者が操作ハンドル部71と対向するように位置して操作ハンドル部71を押し引きする方向となる図1の紙面の右奥から左手前に沿う方向をカート装置101の前後方向Yとし、操作ハンドル部71を押す側となる紙面右奥側をカート装置101の「前方」、操作ハンドル部71を引く側となる紙面左手前側をカート装置101の「後方」と称する。また、平面視して前後方向Yと直交する方向となる図1の紙面右手前から左奥に沿う方向をカート装置101の左右方向Xとし、紙面右手前側をカート装置101の「右側」、紙面左奥側をカート装置101の「左側」と称する。
【0025】
(ベース部51の構成)
ベース部51は、前後方向に配された2本の脚杆152と、各脚杆152の前後方向略中央において互いに連結する下側ビーム153と、各脚杆152の先端に設けられた4個のキャスター151と、を備える。
【0026】
(支持基体61の構成)
支持基体61は、各脚杆152の前後方向略中央より少し後方から立設された支持柱161と、各支持柱161の上側において互いに連結する上側ビーム162と、各支持柱161の内側にて複数のワイヤー部材が上下左右に所定の間隔をもって格子状に配された略矩形の側フレーム163と、を備える。
【0027】
(天板構造1)
次に、本実施形態の天板構造1について、以下に詳しく説明する。
図1及び図2に示すように、天板構造1は、天板10上の電子機器Eの落下防止のための落下防止部材132と、天板10の外縁に形成されて上下に連通する切欠き部2と、切欠き部2に取り付けられて落下防止部材132を保持する保持部材3と、を備える。
また、天板10は下面にて、物品Aを載置可能な物品載置棚4を支持している。
【0028】
(落下防止部材132の構成)
落下防止部材132は、互いに対向して設けられ、天板10の両側端部12に沿って設けられた一対の側部柵232と、前後方向前側で一対の側部柵232同士を連結し、天板10の前端部11に沿って設けられた前部柵233と、各側部柵232の先端から下方へ向けて延設された鉛直柵234と、を備える。また、側部柵232と前部柵233の連結箇所及び側部柵232と鉛直柵234の連結箇所は、曲線状に屈曲している。
【0029】
(切欠き部2の構成)
本実施形態の天板構造1は、切欠き部2として、天板10の前端部11であって天板10の左右方向の略中央に形成された第一切欠き部2Aと、天板10の左右方向両側の両側端部12であって前後方向の略中央に形成された二つの第二切欠き部2Bと、を有する。また、各切欠き部2には、対応する保持部材3が嵌合されている。
【0030】
(保持部材3の構成)
本実施形態の天板構造1は、保持部材3として、天板10の前端部11であって天板10の左右方向略中央に設けられ第一切欠き部2Aに取り付けられた第一保持部材3Aと、天板10の左右方向両側の両側端部12であって前後方向の略中央に設けられ第二切欠き部2Bに取り付けられた第二保持部材3Bと、を有する。
また、第一保持部材3Aは、第一切欠き部2Aに嵌合された第一取付部31Aと、第一取付部31Aから上方に向けて突出した上向き突部30と、該上向き突部30に設けられた第一落下防止部材保持部32Aと、天板10の上面側で第一取付部31Aに支持され、配線Wを係合可能な第一配線係合部34と、天板10の下面側で第一取付部31Aに支持され、配線Wを係合可能な第二配線係合部35と、を備える。
ここで、保持部材3は本実施形態では樹脂製品だが、樹脂製品に限られず、取付部31と落下防止部材保持部32を有していれば、金属製品等他の材料から形成されていてよい。
【0031】
図3及び図4に示すように、第一取付部31Aは、第一切欠き部2Aの内縁21Aに沿うように形成された第一嵌合部130Aと、天板10の上面側から下面側へと連通するとともに、天板10の外縁に向かって開口し、配線Wを配設可能に形成された配線空間部である第一配線空間部131Aと、を有する。
第一嵌合部130Aは、上下方向に沿う切断面で断面視して、第一切欠き部2Aの内縁21Aと対応した凹状に形成され、第一切欠き部2Aの内縁21Aに嵌合されている。
また、第一配線空間部131Aは、平面視して左右方向に細長であって上面側から下面側に連通するとともに、天板10の前端部11に向かって開口している。
【0032】
上向き突部30は、第一取付部31Aの左右方向略中央で第一嵌合部130Aと第一配線空間部131Aとの間に設けられ、第一取付部31Aの上面から上向きに突設している。また、上向き突部30は、平断面視して略矩形の形状であり、上端部には第一落下防止部材保持部32A及び第一配線係合部34が設けられている。
【0033】
第一落下防止部材保持部32Aは、上向き突部30の上端部より上向きに突設し、天板10の内方となる後向きに開口する凹曲面形状を有しており、その開口部分に前部柵233が係合されている。ここで、第一保持部材3Aは天板10の第一切欠き部2A内に設けられていることから、第一保持部材3Aの第一落下防止部材保持部32Aは天板10の前端より内側にて前部柵233を保持している。
【0034】
第一配線係合部34は、上向き突部30の上端部と第一落下防止部材保持部32Aとの間に設けられ、天板10の外方となる前向きに開口する曲面形状を有しており、その開口部分に配線Wを係合可能である。また、第一配線係合部34は、開口下部から上方に突出する第一係止片133Aを有し、第一係止片133Aによって係合された配線Wの開口からの脱落を規制することが可能である。
【0035】
第二配線係合部35は、図5に示すように、天板10の下面の前端部11であって平面視して第一配線空間部131Aの後方より下向きに突設する基部134Bと、基部134Bから左右両側に片持ち状に延設されて、配線Wを支持可能な支持片136Bと、支持片136Bの先端に設けられ、支持片136Bに支持された配線Wの脱落を規制する第二係止片133Bとを有する。
第二係止片133Bは、支持片136Bの上面から天板10の下面に向かって突出しているとともに、先端に向かうに従って次第に天板10の下面から離間するような傾斜面135Bを有している。
第二係止片133Bの突端と天板10の下面の離間距離は、使用される配線Wの径よりも小さく設定されている。そして、支持片136Bを弾性的に下側へ撓ませることで、第二係止片133Bと天板10との間を通過させて支持片136Bによって配線Wを支持させることが可能となっている。
【0036】
第一保持部材3Aは、さらに第一配線空間部131Aの左右両側から突出し、第一配線空間部131Aの開口を狭めるようにして設けられた第一配線押さえ片33Aを有している。
第一配線押さえ片33Aによって狭められた第一開口139Aの幅は、カート装置101や電子機器E等に力を加えても、第一配線空間部131Aの内部に挿入された配線Wが第一開口139Aから抜け出ない程度の大きさである。また、第一配線押さえ片33Aの高さは天板10の厚さと略同一である。
また、各第一配線押さえ片33Aの先端には、第一配線空間部131A内に向かって突出する係止部137Aが形成されており、第一配線空間部131A内に配設された配線Wが位置ずれして第一開口139Aへと移動してしまうのを規制することが可能となっている。
ここで、第一配線押さえ片33Aは、本実施形態では樹脂からなっているが、樹脂に限らない。なお、配線Wの挿脱時には、第一開口139Aからの配線Wの挿脱を可能にするように第一開口139Aの幅を若干拡げるように第一配線押さえ片33Aを変形させることが可能であるとともに、配線Wの挿脱後には元の形状に戻るように弾性変形が可能な材料であることが好ましい。
【0037】
次に、第二保持部材3Bは、第二切欠き部2Bに嵌合された第二取付部31Bと、第二取付部31Bに形成された第二落下防止部材保持部32Bと、を備える。
すなわち、第二保持部材3Bは、第一保持部材3Aと比較すると、第一保持部材3Aには備えられている上向き突部30、第一配線係合部34、及び第二配線係合部35を備えていない構成となっている。
【0038】
第二取付部31Bには、第二切欠き部2Bの内縁21Bに沿うように形成された第二嵌合部130Bと、天板10の上面側から下面側へと連通するとともに、天板10の外縁に向かって開口し、配線Wを配設可能に形成された配線空間部である第二配線空間部131Bと、を有する。
第二保持部材3Bは、さらに第二配線空間部131Bの左右両端から突出し、第二配線空間部131Bの開口を狭めるようにして設けられた第二配線押さえ片33Bを有している。
第二嵌合部130Bは、上下方向に沿う切断面で断面視して、第二切欠き部2Bの内縁21Bと対応した凹状に形成され、第二切欠き部2Bの内縁21Bに嵌合されている。
【0039】
また、第二配線空間部131Bは、平面視して略矩形であって上面側から下面側に連通するとともに、天板10の各側端部12に向かって開口している。
第二配線押さえ片33Bによって狭められた第二開口139Bの幅は、カート装置101や電子機器E等に力を加えても、第二配線空間部131Bの内部に挿入された配線Wが第二開口139Bから抜け出ない程度の大きさである。また、第二配線押さえ片33Bの高さは天板10の厚さと略同一である。
ここで、第二配線押さえ片33Bは、本実施形態では樹脂からなっているが、樹脂に限らない。なお、配線Wの挿脱時には、第二開口139Bからの配線Wの挿脱を可能にするように第二開口139Bの幅を若干拡げるように第二配線押さえ片33Bが変形させることが可能であるとともに、配線Wの挿脱後には元の形状に戻るように弾性変形が可能な材料であることが好ましい。
【0040】
第二落下防止部材保持部32Bは、平面視して、第二取付部31Bの左右方向中央で、第二配線空間部131Bと、第二切欠き部2Bの内縁21Bに嵌合された第二嵌合部130Bとの間に設けられ、上方に向けて開口した穴である。また、第二落下防止部材保持部32Bを形成する穴の断面は落下防止部材132の断面に対応した形状であり、第二落下防止部材保持部32Bの上方から鉛直柵234が挿入されることにより、鉛直柵234は固定されている。
【0041】
(物品載置棚4の構成)
物品載置棚4は、天板10の下面より下方に突設した支柱にて支持されている。また、物品載置棚4は、複数のワイヤー部材が前後左右に所定の間隔をもって格子状に配された略矩形の形状をしている。
また、物品載置棚4に載置された物品Aと、天板10の上の電子機器Eとは、第一配線空間部131A又は第二配線空間部131Bに配設された配線Wにより接続可能である。
【0042】
このように構成された天板構造1及び天板構造1を搭載したカート装置101では、落下防止部材132のうち一対の側部柵232は第二保持部材3Bの第二落下防止部材保持部32Bに嵌合され、保持されている。また、前部柵233は第一保持部材3Aの第一落下防止部材保持部32Aに係合され保持されている。そして、第一保持部材3Aの第一取付部31A及び第二保持部材3Bの第二取付部31Bは、それぞれ対応する第一切欠き部2Aまたは第二切欠き部2Bに嵌合され確実に固定されている。よって、天板構造1を搭載したカート装置101に外力を加えても、落下防止部材132により天板10に載置された電子機器Eの落下を防止することができる。
また、天板構造1は、支持基体61に支持され、支持基体61はベース部51に取り付けられていることにより、カート装置101が構成されている。よって、カート装置101全体として、電子機器Eを安定的に支持することができる。
また、天板10の前端部11と天板10の左右両側の両側端部12の三箇所に切り欠き加工をして切欠き部2を設け、切欠き部2に取付部31を嵌合させるだけという簡易な構造なので、簡易な加工で製作でき、コストの低減を図ることができる。
また、前部柵233は、天板10の前端部11に施された第一配線空間部131Aの後方に設けられた上向き突部30の上端部より上向きに突設する第一落下防止部材保持部32Aにて、内向き保持されている。また、側部柵232と連結された鉛直柵234は、天板10の両側端部12に施された第二配線空間部131Bの左右方向内側に設けられた第二落下防止部材保持部32Bに挿入され固定されている。このため、平面視して天板10が配置された範囲内で落下防止部材132を設置することができ、設置スペースを最小限に抑えることができる。
【0043】
第一配線空間部131Aは天板10の前端部11の第一取付部31Aに設けられ、第二配線空間部131Bは天板10左右方向両側の両側端部12の第二取付部31Bに設けられ、それぞれ上面側から下面側に連通する開口である。よって、天板10の上に載置された電子機器Eの配線Wは、第一配線空間部131A又は第二配線空間部131Bの内部に納まって体裁よく上方から下方へと導かれるので、配線Wを、天板10の外側に配線してしまうことなく、体裁よく案内することができる。
また、カート装置101を移動させたとしても、配線Wは第一配線空間部131A又は第二配線空間部131Bの内部に配設され保持されている。よって、カート装置101の移動に伴って配線Wがみだりに動くことはないので、執務者の使い勝手を良好にすることができる。さらに、第一配線空間部131A及び第二配線空間部131Bはそれぞれ天板10の外縁に向かって開口しているので、配線Wの抜き差しは上下方向からのみならず外縁の開口からもでき、執務者の使い勝手を良好にすることができる。
また、第一配線空間部131A及び第二配線空間部131Bは合わせて天板10の三箇所に設けられているので、配線Wはより近い配線空間部131より天板10の上方から下方に導かれるので、配線Wを体裁よく案内することができる。
【0044】
第一配線押さえ片33A、第二配線押さえ片33Bは、それぞれ第一配線空間部131A、第二配線空間部131Bの外縁の開口を両端方向から狭めるように突設した形状である。よって、第一配線空間部131A、第二配線空間部131Bに挿入された配線Wをそれぞれ第一配線空間部131A、第二配線空間部131Bの開口から抜けるのを防止することができる。
さらに、各第一配線押さえ片33Aの先端には、第一配線空間部131A内に向かって突設する係止部137Aが形成されているので、配線Wを第一配線空間部131Aの外縁の第一開口139Aから抜けるのを防止するのに効果的である。
また、第一配線押さえ片33A、第二配線押さえ片33Bによって狭められた第一開口139A、第二開口139Bの幅は、カート装置101や電子機器E等に力を加えても、第一配線空間部131A、第二配線空間部131Bから抜け出ない程度の大きさである。よって、配線Wが挿入された状態を確実に維持することができ、配線Wを体裁よく案内することができるとともに、執務者の使い勝手を良好にすることができる。
また、第一配線押さえ片33A、第二配線押さえ片33Bは、配線Wの挿脱時には、第一開口139A、第二開口139Bからの配線Wの挿脱を可能にするように第一開口139A、第二開口139Bの幅を若干拡げるように第一配線押さえ片33A、第二配線押さえ片33Bを変形させることが可能である。よって、太い配線Wの挿入時は、第一開口139A、第二開口139Bの幅を若干拡げるように変形することにより、太い配線Wの挿入も容易とする。さらに、配線Wの挿脱後は元の形状に戻るように弾性変形が可能なので、第一開口139A、第二開口139Bから配線Wが抜け出るのを防止することができる。
【0045】
第一配線係合部34は、天板10の前端部11において、上向き突部30の上端部と第一落下防止部材保持部32Aとの間に設けられ、天板10の外方となる前向きに開口する曲面形状を有している。よって、配線Wを天板10の近傍であり、かつ配線Wが案内される第一配線空間部131Aの近傍にて、確実に支持することができるので、配線Wを体裁よく案内することができる。
また、カート装置101を移動させたとしても、配線Wは第一配線係合部34に係合されているために、移動に伴って天板10上にてみだりに動くことはないので、執務者の使い勝手を良好にすることができる。
さらに、配線Wを抜いた後に一時的に第一配線係合部34に係合しておけば、次に差しこむ際の差し込みが容易となり、配線Wを着脱する際における執務者の使い勝手も良好にすることができる。
【0046】
第二配線係合部35は、天板10の下面の前端部11であって平面視して第一配線空間部131Aの後方より下向きに突設する基部134Bと、基部134Bから左右両側に片持ち状に延設されて、配線Wを支持可能な支持片136Bと、支持片136Bの先端に設けられ、支持片136Bに支持された配線Wの脱落を規制する第二係止片133Bとを有する。よって、支持片136Bにて配線Wを係合し、第二係止片133Bが配線Wの脱落を規制するので、確実に係合した状態を維持することができる。また、配線Wを天板10の下方にて確実に支持することができるので、配線Wを体裁よく案内することができる。
また、カート装置101を移動させたとしても、配線Wは第二配線係合部35に係合されているために、移動に伴って天板10下にてみだりに動くことはないので、執務者の使い勝手を良好にすることができる。
また、第二係止片133Bは、支持片136Bの上面から天板10の下面に向かって突出しているとともに、先端に向かうに従って次第に天板10の下面から離間するような傾斜面135Bを有している。第二係止片133Bの突端と天板10の下面の離間距離は、使用される配線Wの径よりも小さく設定されていて、支持片136Bを弾性的に下側へ撓ませる構成となっている。よって、配線Wの挿脱を容易にするとともに、配線Wを係合した状態をより確実に維持することができる。
【0047】
物品載置棚4は、天板10の下面より下方に突設した支柱にて支持され、直交する複数のワイヤー部材により構成されている。よって、物品載置棚4に物品Aを載置しても、物品載置棚4は安定的に物品Aを支持することができる。
また、電子機器Eに接続された配線Wを第一配線空間部131A又は第二配線空間部131Bから下方に案内し、配線Wに接続されたACアダプターや余長コード等の物品Aを天板10の下方に設けられた物品載置棚4に載置することができるので、電子機器Eの使用時における執務者の使い勝手を良好にすることができる。
【0048】
落下防止部材132は、一対の側部柵232及び前部柵233の三辺を有する柵である。また、前部柵233は第一落下防止部材保持部32Aに係合されることにより天板10に保持され、側部柵232は連結する鉛直柵234が第二落下防止部材保持部32Bに挿入されることにより固定されている。よって、落下防止部材132により電子機器Eの落下を三方向から確実に防止することができるとともに、電子機器Eを安定的に支持することができる。
【0049】
なお、上述した実施の形態においては、天板構造1を搭載したカート装置101について説明したが、天板構造1を搭載した什器であってもよい。
【0050】
(第二実施形態)
以下、本発明の第二実施形態について説明する。
図6は第二実施形態のカート装置101Xの天板構造1Xにおける第一保持部材3AXを示している。図6に示すように、本実施形態の第一保持部材3AXにおいては、第一配線係合部34Xが、上向き突部30Xの上端部に設けられた第一落下防止部材保持部32AXに対して前方側に隣接して、上向き突部30Xの上端部に設けられている。また、第一配線係合部34Xの先端は配線Wの係合を可能として上向きに凹形状となっている。
【0051】
このような天板構造1Xでは、配線Wを上方より第一配線係合部34Xの凹形状に挿入することができるので、配線Wを第一配線係合部34Xに容易に係合することができる。また、係合された配線Wは上向きの凹形状によって係合されているので、係合状態を確実に支持することができる。
【0052】
また、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0053】
1、1X…天板構造
2…切欠き部
3…保持部材
4…物品載置棚
10…天板
11…前端部
12…側端部
31…取付部
32…落下防止部材保持部
33…配線押さえ片
34、34X…第一配線係合部
35…第二配線係合部
101、101X…カート装置
131…配線空間部
132…落下防止部材
232…側部柵
233…前部柵
E…電子機器
W…配線
A…物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器が載置される天板を有する什器の天板構造であって、
前記天板の外縁に形成されて上下に連通する切欠き部と、
該切欠き部に嵌合された取付部、及び該取付部に支持されて前記天板の上方に配された落下防止部材が取り付けられた落下防止部材保持部を有する保持部材とを備えることを特徴とする什器の天板構造。
【請求項2】
請求項1に記載の天板構造において、
前記保持部材の前記取付部には、前記天板の上面側から下面側へと連通するとともに、前記天板の外縁に向かって開口し、配線を配設可能な配線空間部が形成されていることを特徴とする天板構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の天板構造において、
前記保持部材は、前記配線空間部の外縁の開口を狭めるように突出する配線押さえ片を有することを特徴とする天板構造。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の天板構造において、
前記保持部材は、天板の上面側で前記取付部に支持され、配線を係合可能な第一配線係合部を有することを特徴とする天板構造。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の天板構造において、
前記保持部材は、前記天板の下面側で前記取付部に支持され、配線を係合可能な第二配線係合部を有することを特徴とする天板構造。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の天板構造において、
前記天板の下面に支持されて、物品を載置可能な物品載置棚を備え、
該物品載置棚に載置された物品と、前記天板上の電子機器とは、前記配線空間部に配設された配線により接続可能であることを特徴とする天板構造。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の天板構造において、
前記切欠き部と、該切欠き部に前記取付部が嵌合された前記保持部材とは、前記天板の前後方向前側の前端部と、前記前後方向と直交する左右方向両側の両側端部とにそれぞれ設けられ、
前記落下防止部材は、
互いに対向して設けられ、前記天板の両側端部に設けられた前記保持部材の前記落下防止部材保持部に保持された一対の側部柵と、
前後方向前側で一対の前記側部柵同士を連結し、前記天板の前端部に設けられた前記保持部材の前記落下防止部材保持部に保持された前部柵とを有することを特徴とする天板構造。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の天板構造を備えることを特徴とするカート装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−17702(P2013−17702A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154282(P2011−154282)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】