説明

太陽光発電システムの制御方法

【課題】従来技術の山登り法では、太陽電池のパネルの一部に影が生じて、太陽電池の出力に複数の極大値が発生すると最大電力への追従ができなくなる。
【解決手段】日射の変化に追従して太陽電池出力設定値を適正値に制御する太陽光発電システムの制御方法において、所定の太陽電池出力設定値を設定し設定値より所定量大きい値及び小さい値を生成し、3つの設定値に応じた出力電力値の一番大きい値を選択し、以後上記の動作を繰り返す山登りモードと、太陽電池出力設定値を遺伝子と見なしかつ各遺伝子を選択しかつ交叉・突然変異を行なって所定個数の遺伝子を出力して新たな集団を形成し、以後上記の動作を繰り返す遺伝的アルゴリズム処理を少なくとも含む遺伝的アルゴリズムモードを具備し、太陽電池のパネルの日射に応じて山登りモード又は遺伝的アルゴリズムモードを選択することを特徴とする太陽光発電システムの制御方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池からの出力電力値が略最大値となるように制御する太陽光発電システムに係り、特に太陽電池のパネル面の日射量が不均一によって生じる出力電力の複数の極大値の最大電力を精度良く探索する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
[従来技術1]
図6は、従来技術1の太陽光発電システムのブロック図である。同図において、SC1乃至SC3は太陽電池で、例えば3枚並列に接続されている。PTは太陽電池の出力電圧を検出する出力電圧検出回路、CTは太陽電池の出力電流を検出する出力電流検出回路、CCはマイクロプロセッサにより山登り法を用いたMPPT制御(Maximum Power Point Tracking)(以後、山登り法と言う)を行なうコントローラで、上記マイクロプロセッサCCに太陽電池の出力電圧値及び出力電流値を読み込むためのAD変換器が内蔵されている。INは太陽電池からの直流出力を電圧に変換するDC/ACインバータ回路(又はDC/DCコンバータ回路)、ADは負荷、SPは商用の系統電源である。ここで、コントローラCCのマイクロプロセッサは太陽電池SCの出力電圧と出力電流とを乗算することによって太陽電池SCからの出力電力を算出し、メモリー内にその電圧、電力値を記憶する。また、コントローラCCはパルス幅制御回路PWMを介してDC/ACインバータ回路INの出力を制御し、太陽電池SCからの出力電圧を制御することができる。
【0003】
図7は、従来技術1の太陽光発電システムの山登り法を説明するための動作図であり、この図を参照しながら動作を説明する。
【0004】
図7(A)に示す、電力−電圧特性の所定の動作点Aに応じた太陽電池出力設定値を初期値とする。この初期値を第1の太陽電池出力設定値としてインバータを動作させて第1の太陽電池出力電圧V1を測定する。上記第1の太陽電池出力設定値に応じて出力される第1の太陽電池出力電流I1を測定する。コントローラCCのマイクロプロセッサは、上記第1の太陽電池出力電圧V1と第1の太陽電池出力電流I1とを乗算して第1の太陽電池出力電力W1を算出し、メモリーに上記第1の太陽電池出力電圧V1及び第1の太陽電池出力電力W1の値を記憶する。
【0005】
次に、第1の太陽電池出力設定値より所定量大きい第2の太陽電池出力設定値を設定してインバータを動作させ、図8(A)に示す第1の太陽電池出力電圧V1を第2の太陽電池出力電圧V2へと上昇させる。次に、上記第2の太陽電池出力設定値に応じて出力される第2の太陽電池出力電流I2を測定する。コントローラCCのマイクロプロセッサは、上記第2の太陽電池出力電圧V2と第2の太陽電池出力電流I2とを乗算して第2の太陽電池出力電力W2を算出し、メモリーに上記第2の太陽電池出力電圧V2及び第2の太陽電池出力電力W2の値を記憶する。
【0006】
続いて、第2の太陽電池出力設定値より所定量小さい第3の太陽電池出力設定値を設定してインバータを動作させて、図7(A)に示す第1の太陽電池出力電圧V1を第3の太陽電池出力電圧V3へと降下させる。次に、上記第3の太陽電池出力設定値に応じて出力される第3の太陽電池出力電流I3を測定する。コントローラCCのマイクロプロセッサは、上記第3の太陽電池出力電圧V3と第3の太陽電池出力電流I3とを乗算して第3の太陽電池出力電力W3を算出し、メモリーに上記第3の太陽電池出力電圧V3と第3の太陽電池出力電力W3との値を記憶する。
【0007】
上記より記憶された、図7(A)に示す太陽電池出力電圧V1、V2、V3に(V3<V1<V2)における出力電力値W1、W2、W3の相互の大小を比較し、最も出力電力値が大きかった点へ動作点Aを移動し、この一連の操作を繰り返す山登り処理により、図7(A)に示す最大電力点へと追従を行なう。上述の技術を開示した山登り法の先行文献として、例えば、特許文献1がある。
【0008】
また、太陽電池の日射量の減少によって、図7(A)に示すように、最大電力点が低下しても極大値が1つのために上述に示す山登り処理で最大電力点へと追従は可能である。
【0009】
[従来技術2]
従来技術2の遺伝的アルゴリズムによるMPPT制御(以後、遺伝的アルゴリズム法と言う)について説明する。図9は、従来技術2の太陽光発電システムのブロック図である。コントローラCCは遺伝的アルゴリズム法を行なう制御器であり、他は、図6に示す、従来技術1の太陽光発電システムのブロック図と同一動作を行なう。
【0010】
図8は、従来技術2の太陽光発電システムの遺伝的アルゴリズム法を説明するための動作図であり、この図を参照しながら動作を説明する。
【0011】
図8に示すように、太陽電池出力設定値を遺伝子と見なしかつ太陽電池からの出力電力値を遺伝子の評価値とし、上記太陽電池出力設定値の設定範囲から複数個の遺伝子を無作為または予め定めた条件に基づきに抽出し、この集団の各遺伝子に対応する各太陽電池出力設定値によってインバータを順次動作させると共に動作中の太陽電池からの出力電力値を各遺伝子の評価値として記憶し、上記各遺伝子の評価値によって選択しかつ交叉・突然変異させて所定個数の遺伝子を出力して新たな集団を形成し、以後上記の動作を繰り返す遺伝的アルゴリズム処理を行なって遺伝子を図8(A)に示す最大電力点近傍に収束させて、太陽電池からの出力電力値が略最大値になるように制御する。
【0012】
上述の遺伝的アルゴリズム法を用いて複数の極大値を追従すると、図8(A)に示す、最大電力でない小さい山の極大値を回避し、大きい山の極大値の追従が可能となる。上述の技術を開示した遺伝的アルゴリズム法の先行文献として、例えば、特許文献2がある。
【0013】
また、上記遺伝的アルゴリズム処理を、上記各遺伝子に応じた太陽電池出力設定値の最大値と最小値との差が所定の範囲に収束するまで繰り返す遺伝的アルゴリズム工程と、上記収束した遺伝子の中で評価値が最も大きい遺伝子に応じた太陽電池出力設定値を基準値と設定し、上記山登り法処理を繰り返す山登り工程とにより、最大電力点への追従を行っても、最大電力でない小さい山の極大値を回避し、大きい山の極大値の追従が可能となる。上述の技術を開示した遺伝的アルゴリズム法の先行文献として、例えば、特許文献3がある。
【0014】
【特許文献1】特開2001−325031号公報
【特許文献2】特願2004−240257号公報
【特許文献3】特開2004−265021号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
例えば、1日の太陽光放射中において、太陽の日射量又は日射状態は時刻とともに変化し、この変化によって図7(A)又は図7(B)に示すように太陽電池出力電力は変化する。このとき、図7(A)に示す太陽電池出力電力は、上記日射量が変化したときの標準変動パターンを示し、上記太陽光の日射量は時刻と共に変化するために図7(A)に示す変動パターンが高い確率で発生する。しかし、図7(B)に示す太陽電池出力電力は、上記日射状態が変化したときの標準変動パターンを示し、この変動パターンは太陽が高層ビル等にかかってパネルに影が生じたとき発生する。しかし、上記パネルの影は常時発生するものでなく、図7(B)に示す変動パターンの発生率は低い。
【0016】
従来技術1の山登り法では、図7(A)に示すように動作点Aを所定の場所に設定しこの動作点Aでの出力電力値Wを算出し、次に、強制的に動作点Aをある任意の太陽電池出力電圧の高い方に移動させ、その動作点での出力電力値を求める。次に低い方へ移動させ、同様に出力電力値をもとめる。このように求めた3点の動作点での出力電力値を比較して電力値が大きい点へと動作点Aを移動し、この一連の操作を繰り返すことによって速い処理速度で最大電力点を追従できる。
【0017】
しかし、太陽の日射状態が変化してパネルの一部に影が生じると、図7(B)に示すように、例えば、2つの極大値をもつ大小の山が生じる。このような場合に、仮に動作点をBに設定して山登り法で最大電力点を追従すると、大きい山の極大値を最大電力点として追従するが、動作点をAに設定して最大電力点を追従すると小さい山の極大値を最大電力点として追従し、大きい山への最大電力点の追従を停止してしまう。
【0018】
従来技術2の遺伝的アルゴリズム法では、図8(A)に示すように2つの極大値が発生しても、遺伝的アルゴリズム処理を行なうことによって、最大電力でない小さい山の極大値を回避し、大きい山の極大値の追従が可能となる。しかし、太陽の日射状態が変化しパネルの一部の影が無くなって、図8(B)に示す日射量に応じて変化する変動パターンに移行すると、上記変動パターンの発生率が高いために、処理速度の遅い遺伝的アルゴリズム処理では、常時変動する図8(B)に示す変動パターンに対して充分対応ができない。
【0019】
そこで、本発明は、上記2つのいずれの変動パターンにおいても、太陽電池からの出力電力値が略最大値になるように制御し、太陽電池パネルより最大電力を取り出すことができる太陽光発電システムの制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上述した課題を解決するために、第1の発明は、太陽電池からの出力電圧又は出力電流が予め定めた太陽電池出力設定値と略等しくなるようにインバータを制御し、日射状態の変化に追従して太陽電池からの出力電力値が略最大値になるように上記太陽電池出力設定値を適正値に制御する太陽光発電システムの制御方法において、予め定めた上記太陽電池出力設定値を設定し、上記太陽電池出力設定値より所定量大きい値及び所定量小さい値を生成し、上記3つの太陽電池出力設定値によってインバータを順次動作し出力電力値が大きい上記太陽電池出力設定値を選択し、上記太陽電池出力設定値を次の基準太陽電池出力設定値とし、以後上記の動作を繰り返す山登り処理を行なう山登りモードによって太陽電池からの出力電力値が略最大値になるように制御し、上記太陽電池出力設定値を遺伝子と見なしかつ太陽電池からの出力電力値を遺伝子の評価値とし、上記太陽電池出力設定値の設定範囲から複数個の遺伝子を無作為に抽出しこの集団の各遺伝子に対応する太陽電池出力設定値によって上記インバータを順次動作させると共に動作中の太陽電池からの出力電力値を各遺伝子の評価値として記憶し、上記各遺伝子の評価値によって選択しかつ交叉・突然変異させて所定個数の遺伝子を出力して新たな集団を形成し、以後上記動作を繰り返す遺伝的アルゴリズム処理を少なくとも含む遺伝的アルゴリズムモードによって太陽電池からの出力電力値が略最大値になるように制御し、上記モードを切り換えるモード切換制御器を設け、上記日射状態に応じて上記モード切換制御器を切り換えることによって上記モードが選択されることを特徴とする太陽光発電システムの制御方法である。
【0021】
第2の発明は、上記モード切換制御器は、有線又は無線によって遠隔で上記モードを切り換えることを特徴とする請求項1記載の太陽光発電システムの制御方法である。
【0022】
第3の発明は、上記モード切換制御器は、タイマ制御器を具備し、予め定めた日時に応じて上記モードを切り換えることを特徴とする請求項1記載の太陽光発電システムの制御方法である。
【発明の効果】
【0023】
第1の発明によれば、コントローラに山登りモードと遺伝的アルゴリズムモードとを備え、太陽の日射状態が変化しパネルの一部に影が生じて太陽電池の出力電力に複数の極大値が発生するときに、モード切換制御器によって上記遺伝的アルゴリズムモードを選択すると、この遺伝的アルゴリズムモードによって最大電力でない小さい山の極大値を回避し、大きい山の極大値の追従が可能となる。また、影が生じても太陽電池の出力電力が複数の極大値を持つ恐れが無いときに、上記モード切換制御器によって上記山登りモードを選択すると、極大値の値が常時変動しても処理速度の速い山登りモードにより最大電力値の追従が可能となる。
【0024】
第2の発明によれば、モード切換制御器に有線又は無線を設けてインバータ装置に接続すると、太陽の日射状態に応じて遠隔から容易に山登りモード又は遺伝的アルゴリズムモードを切り換えることができる。
【0025】
第3の発明によれば、タイマ制御器によって予め定めた日時に応じて山登りモード又は遺伝的アルゴリズムモードのどちらかを自動で切り換えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係る太陽光発電システムのブロック図である。同図において、図6に示す従来技術の太陽光発電システムのブロック図と同一符号は、同一動作を行なうので説明は省略し符号が相違する構成について説明する。
【0027】
図1に示す、太陽光発電システムのブロック図において、コントローラCCは、山登りモード(HC)と遺伝的アルゴリズムモード(GA)とを行なうコントローラであってマイクロプロセッサである。ここで、コントローラCCのマイクロプロセッサは、太陽電池SCの出力電圧と出力電流とを乗算することによって太陽電池SCの出力電力を算出し、メモリー内にその出力電圧、出力電力値を記憶する。また、コントローラCCはパルス幅制御回路PWMを介してDC/ACインバータINの出力を制御して、太陽電池SCからの出力電圧を制御する。
【0028】
次に、山登りモード(HC)について説明する。予め定めた太陽電池出力設定値を第1の基準太陽電池出力設定値とし、この第1の基準太陽電池出力設定値によってインバータを動作させると共に動作中の太陽電池からの出力電力値を算出して記憶し、次に、上記第1の基準太陽電池出力設定値より所定量大きい第2の太陽電池出力設定値の出力電力値を算出して記憶し、続いて、上記第1の基準太陽電池出力設定値より所定量小さい第3の太陽電池出力設定値の出力電力値を算出して記憶し、上記記憶した各出力電力値の大小を比較して一番大きい出力電力値に応じた太陽電池出力設定値を選択し、上記選択した太陽電池出力設定値を次の基準太陽電池出力設定値として設定し、以後上記の山登り処理の動作を繰り返して太陽電池からの出力電力値の最大値を追従する。
【0029】
続いて、遺伝的アルゴリズムモード(GA)について説明する。図示省略の太陽電池出力設定値を遺伝子と見なしかつ太陽電池からの出力電力値を遺伝子の評価値とし、太陽電池出力設定値の設定範囲から複数個の遺伝子を無作為または予め定めた条件に基づき抽出して集団を形成し、この集団の各遺伝子に対応する太陽電池出力設定値によって前記インバータを順次動作させると共に動作中の太陽電池からの出力電力値を各遺伝子の評価値として記憶し、上記遺伝子を選択しかつ交叉・突然変異させて所定個数の遺伝子を生成して第n世代集団を形成し、以後上記の動作を繰り返して上記太陽電池からの出力電力値の最大値を追従する。
【0030】
モード切換制御器MCは、例えば、切換スイッチ等で形成され、太陽光が高層ビル等によって遮断されて、上記太陽電池のパネルの一部に影が生じるときには上記遺伝的アルゴリズムモード(GA)を選択し、上記太陽電池のパネルに影が生じる恐れが無いときには上記山登りモード(HC)を選択する。
【0031】
図2及び図3は、本発明の動作を説明するための動作図であり、この図を参照しながら説明する。
【0032】
太陽光が高層ビル等によって遮断され、上記太陽電池のパネルの一部に影が生じて図2(A)に示すように、太陽電池の出力電力に2つの極大値が発生するとき、上記モード切換制御器MCで遺伝的アルゴリズムモード(GA)に切り換えると、上記モード切換制御器MCによって遺伝的アルゴリズムモード(GA)が設定され、コントローラCCは山登りモード(HC)から遺伝的アルゴリズムモード(GA)に切り換えて動作を開始する。
【0033】
まず、図2(A)に示すように、太陽電池出力設定値の設定範囲からn個の遺伝子を無作為または予め定めた条件に基づきに抽出して初期集団を生成する。
【0034】
この集団の各遺伝子に対応する太陽電池出力設定値によって前記インバータを順次動作させると共に動作中の太陽電池からの出力電力値を各遺伝子の評価値として記憶する。次に、上記集団のうち、無作為に遺伝子2個を抽出して評価値の大きい方を選択し上記選択を繰り返して2個の遺伝子を選択し、上記選択した2個の遺伝子を2進数の文字列に変換し、予め定めた確率である任意点で交叉させて新たに2個の遺伝子を生成する。そして、上記交叉した遺伝子に対して、予め定めた低い確率で意図的に文字列の一部を変化させて突然変異を行なう。
【0035】
上記選択、交叉及び突然変異を所定回数繰り返して、上記生成された遺伝子によって、図2(B)に示す第2世代集団を形成する。
【0036】
以後、上記の動作を繰り返すことによって次々と遺伝子集団の世代を新しくして、図2(C)示すに第n世代の集団が形成され、この第n世代集団の遺伝子は極大値近傍に収束されている。
【0037】
また、上記太陽電池のパネルに影が生じる恐れが無いとき、上記モード切換制御器MCで遺伝的アルゴリズムモード(GA)から山登りモード(HC)に切り換えると、上記モード切換制御器MCによって山登りモード(HC)が設定され、コントローラCCは、遺伝的アルゴリズムモード(GA)から山登りモード(HC)に切り換えて動作を開始する。
【0038】
図3に示す、電力−電圧特性の所定の動作点Aに応じた太陽電池出力設定値を設定する。上記設定値を第1の基準太陽電池出力設定値とし、上記設定値に応じてインバータを動作させて、第1の基準太陽電池出力電圧V1を測定する。上記第1の太陽電池出力設定値に応じて出力される第1の太陽電池出力電流I1を測定する。そして、コントローラCCのマイクロプロセッサは、上記第1の太陽電池出力電圧V1と第1の太陽電池出力電流I1とを乗算して第1の太陽電池出力電力W1を算出してメモリーに記憶する。
【0039】
次に、第1の基準太陽電池出力設定値より所定量大きい第2の基準太陽電池出力設定値を設定してインバータを動作させると、第1の基準太陽電池出力電圧V1は第2の基準太陽電池出力電圧V2となる。
【0040】
上記第2の基準太陽電池出力設定値に応じて出力される第2の基準太陽電池出力電流I2を測定する。コントローラCCのマイクロプロセッサは、上記第2の基準太陽電池出力電圧V2と第2の基準太陽電池出力電流I2とを乗算して第2の基準太陽電池出力電力W2を算出し、メモリーに上記第2の基準太陽電池出力電圧V2と第2の基準太陽電池出力電力W2との値を記憶する。
【0041】
続いて、第2の基準太陽電池出力設定値より所定量小さい第3の基準太陽電池出力設定値を設定してインバータを動作させると、第2の基準太陽電池出力電圧V2は第3の基準太陽電池出力電圧V3となる。
【0042】
上記第3の基準太陽電池出力設定値に応じて出力される第3の基準太陽電池出力電流I3を測定する。コントローラCCのマイクロプロセッサは、上記第3の基準太陽電池出力電圧V3と第3の基準太陽電池出力電流I3とを乗算して第3の基準太陽電池出力電力W3を算出してメモリーに上記第3の基準太陽電池出力電圧V3と第3の基準太陽電池出力電力W3との値を記憶する。
【0043】
上記記憶した各出力電力値の大小を比較して一番大きい出力電力値に応じた太陽電池出力設定値を選択し、上記選択した太陽電池出力設定値を次の基準太陽電池出力設定値として設定し、以後上記の動作を繰り返して太陽電池からの出力電力値の最大値を追従する。
【0044】
従って、上記太陽電池パネルに影が生じる恐れがあるかどうかを判断し、上記モード切換制御器MCにて山登りモード(HC)と遺伝的アルゴリズムモード(GA)を切り換えることにより、いかなる場合においても太陽電池パネルより最大電力を取り出すことができる。
【0045】
[実施の形態2]
図4は、本発明の実施の形態2に係る太陽光発電システムのブロック図である。同図において、図1に示す実施の形態1の太陽光発電システムのブロック図と同一符号は、同一動作を行なうので説明は省略し符号が相違する構成について説明する。
【0046】
図4に示すモード切換制御器MCは、図示省略の有線又は無線を用いてインバータ装置のコントローラCCと接続して遠隔で操作を行なう。例えば、太陽光が高層ビル等によって遮断されて、上記太陽電池のパネルの一部に影が生じるとき、上記遺伝的アルゴリズムモード(GA)を、上記太陽電池のパネルに影が無いときには上記山登りモード(HC)を、例えば、作業者が上記モード切換制御器MCを用いて遠隔から選択する。
【0047】
[実施の形態3]
図5は、本発明の実施の形態3に係る太陽光発電システムのブロック図である。同図において、図1に示す実施の形態1の太陽光発電システムのブロック図と同一符号は、同一動作を行なうので説明は省略し符号が相違する構成について説明する。
【0048】
図5に示すモード切換制御器MC/Tは、タイマ切換制御器Tと図示省略の起動スイッチを含み、起動スイッチがOFFのときに、上記モード切換制御器MC/Tによって山登りモード(HC)を選択し、起動スイッチがONのときには、上記タイマ切換制御器Tによって設定された予め定めた日時に応じて、上記山登りモード(HC)又は上記遺伝的アルゴリズムモード(GA)のどちらかを自動で切り換える。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態に係る太陽光発電システムのブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1を説明する動作図である。
【図3】本発明の実施の形態1を説明する第2動作図である。
【図4】実施の形態2の太陽光発電システムのブロック図である。
【図5】実施の形態3の太陽光発電システムのブロック図である。
【図6】従来技術1の太陽光発電システムのブロック図である。
【図7】従来技術1の説明する動作図である。
【図8】従来技術2の説明する動作図である。
【図9】従来技術2の太陽光発電システムのブロック図である。
【符号の説明】
【0050】
AD 負荷
CC コントローラ
CT 電流検出回路
IN インバータ回路
MC モード切換制御器(モード切換制御回路)
MC/T タイマ切換制御付きモード切換制御器
PT 電圧検出回路
PWM パルス幅制御回路
SP 系統電源
SC1 太陽電池
SC2 太陽電池
SC3 太陽電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池からの出力電圧又は出力電流が予め定めた太陽電池出力設定値と略等しくなるようにインバータを制御し、日射状態の変化に追従して太陽電池からの出力電力値が略最大値になるように前記太陽電池出力設定値を適正値に制御する太陽光発電システムの制御方法において、予め定めた前記太陽電池出力設定値を設定し、前記太陽電池出力設定値より所定量大きい値及び所定量小さい値を生成し、前記3つの太陽電池出力設定値によってインバータを順次動作し出力電力値が大きい前記太陽電池出力設定値を選択し、前記太陽電池出力設定値を次の基準太陽電池出力設定値とし、以後前記の動作を繰り返す山登り処理を行なう山登りモードによって太陽電池からの出力電力値が略最大値になるように制御し、前記太陽電池出力設定値を遺伝子と見なしかつ太陽電池からの出力電力値を遺伝子の評価値とし、前記太陽電池出力設定値の設定範囲から複数個の遺伝子を無作為に抽出しこの集団の各遺伝子に対応する太陽電池出力設定値によって前記インバータを順次動作させると共に動作中の太陽電池からの出力電力値を各遺伝子の評価値として記憶し、前記各遺伝子の評価値によって選択しかつ交叉・突然変異させて所定個数の遺伝子を出力して新たな集団を形成し、以後前記動作を繰り返す遺伝的アルゴリズム処理を少なくとも含む遺伝的アルゴリズムモードによって太陽電池からの出力電力値が略最大値になるように制御し、前記モードを切り換えるモード切換制御器を設け、前記日射状態に応じて前記モード切換制御器を切り換えることによって前記モードが選択されることを特徴とする太陽光発電システムの制御方法。
【請求項2】
前記モード切換制御器は、有線又は無線によって遠隔で前記モードを切り換えることを特徴とする請求項1記載の太陽光発電システムの制御方法。
【請求項3】
前記モード切換制御器は、タイマ制御器を具備し、予め定めた日時に応じて前記モードを切り換えることを特徴とする請求項1記載の太陽光発電システムの制御方法。

















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−134118(P2006−134118A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−323050(P2004−323050)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】