説明

太陽光発電パネル取付架台

【課題】搬送時の重量、敷設時の床面に対する荷重の削減が可能で、現場への搬入部品点数を少なくして、組立が容易でユニット化が可能な太陽光発電パネル取付架台を提供する。
【解決手段】角柱状部材によって形成され、上部材、下部材および側部材からなる矩形部と、矩形部の上部材を底面部とし、一方の側部材と一体的に形成された垂直部からなり、矩形部と同一面に位置する三角部からなる一対の側面部材と、一対の側面部材間の底面部および背面部を、それぞれ開閉自在に繋ぐ屈曲部と、屈曲部が開かれて直線状に延伸された状態で、対向配置された一対の側面部材を補強する補強部材とを備え、対向配置された一対の側面部材によって形成される傾斜面が太陽光発電パネル取付面を形成する、太陽光発電パネル取付架台。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽光によって発電する太陽光発電パネルを支持する太陽光発電パネル取付架台、特に軽量で折りたたみ式構造の太陽光発電パネル取付架台に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電に代わり、省資源化が可能なクリーンなエネルギーとして太陽光発電が開発・改良が進められ、積極的に広く導入されている。太陽光発電の設備は一般的に平らな面または建物屋上、住宅の屋根上に設置されている。通常、太陽の光を効率的に受光することができるように、太陽光発電パネル取付架台を使用して、太陽光発電パネルを所定の傾斜角度で支持している。
【0003】
太陽光発電パネルはその特性上、屋外に設置されるので、いろいろな方向からの風を受け、パネルに対して上向きの風圧力が働いたり、パネルに対して下向きの風圧力が働いたりする。従って、パネルに傾斜を持たせた姿勢で、強風による風荷重に耐えるように強固な取り付け架台が必要とされている。
これらの要求を満たすために、通常、強い強度の鋼材を用いて、パネル設置用の傾斜面を備えて鋼材を組み立て、柱部分、梁部分を、アンカー、ボルト・ナットを使用して組み上げている。
【0004】
図9は、従来の太陽光発電パネル取付架台を説明する図である。図9に示すように、従来の太陽光発電パネル取付架台101は、矩形枠状の取付フレーム102と、取付フレーム内に一定の間隔を保って並設した取付ビーム103と、取付フレームを前・後部において一定の高さ寸法で傾斜支持する低・高脚支柱104、105を備えている。取付フレーム102は、みぞ形鋼、角形鋼管等によって矩形枠状に形成されている。取付ビーム103は、みぞ形鋼によって形成されている。取付フレーム102、取付ビーム103、低・高脚支柱104、105はそれぞれボルト・ナットによって固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−101123号公報
【特許文献2】特開平8−274364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来の太陽光発電パネル取付架台は、建築材料のように鋼材を持ち運び、現地において組み立て、ボルト・ナットによって固定するので、各部材の現場への搬入部品点数が大きく、現地における組み立て工程が多くなり、時間的・両力的に大きな負担が生じる。更に、取付用の各部材に山形鋼・平鋼を使用するので、重量が過度に大きくなり移動に多大な労力を要すると共に、敷設時に床面に加わる負荷が大きくなるという問題点がある。
【0007】
従って、この発明の目的は、搬送時の重量、敷設時の床面に対する荷重の削減が可能で、現場への搬入部品点数を少なくして、組立が容易でユニット化が可能な太陽光発電パネル取付架台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者は従来の問題点を解決するため、鋭意研究を重ねた。その結果、アルミニウム等の軽量な素材によってフレームを形成し、それらを組み合わせることによって折りたたみ式の太陽光発電パネル取付架台を形成すると、一部の補強材を使用するだけで、組立が容易でユニット化が可能な軽量の太陽光発電パネル取付架台を得ることができる。即ち、概ね台形状の1対の側面部をフレームで形成し、1対の側面部の底面および背面を、フレームによって形成された開閉自在の屈曲部によって連絡すると、屈曲部を直線状に延ばすだけで太陽光発電パネル取付架台を得ることができることが判明した。
【0009】
この発明の太陽光発電パネル取付架台の第1の態様は、角柱状部材によって形成され、上部、下部および側部からなる矩形部と、前記矩形部の上部を底辺部とし、一方の側部と一体的に形成された垂直辺部からなり、前記矩形部と同一面に位置する三角部からなる一対の側面部材と、前記一対の側面部材間の底面部および背面部を、それぞれ開閉自在に繋ぐ屈曲部材と、前記屈曲部材が開かれて直線状に延伸された状態で、対向配置された前記一対の側面部材を補強する補強部材とを備え、対向配置された前記一対の側面部材によって形成される傾斜面が太陽光発電パネル取付面を形成する、太陽光発電パネル取付架台である。
【0010】
この発明の太陽光発電パネル取付架台の第2の態様は、前記屈曲部材が底面部側の第1屈曲部材と背面部側の第2屈曲部材からなり、前記第1屈曲部材が対向配置された前記矩形部の前記下部の両端部にそれぞれ設けられており、前記第2屈曲部材が対向配置された前記矩形部の前記三角部の垂直辺部の上端部に設けられている、太陽光発電パネル取付架台である。
【0011】
この発明の太陽光発電パネル取付架台の第3の態様は、前記第1および第2屈曲部材の各々が、中央部がV字形に屈曲する、先端部および他方の端部がそれぞれ回動可能に取り付けられた二本の角柱状部材からなっている、太陽光発電パネル取付架台である。
【0012】
この発明の太陽光発電パネル取付架台の第4の態様は、前記二本の角柱状部材の他方の端部の一方の側の高さを補正する高さ補正部材が、前記下部の端部上表面に備えられ、屈曲時に対向配置された前記側面部材が相互に接触する、太陽光発電パネル取付架台である。
【0013】
この発明の太陽光発電パネル取付架台の第5の態様は、前記補強部材が、背面部を補強する第1補強部材と、底面部を補強する第2補強部材とからなっており、第1補強部材が前記三角部の垂直辺部に着脱可能に取り付けられ、第2補強部材が前記矩形部の上部に着脱可能に取り付けられる、太陽光発電パネル取付架台である。
【0014】
この発明の太陽光発電パネル取付架台の第6の態様は、前記第1補強部材が板状部材からなり、前記三角部の垂直辺部に、前記板状部材が嵌合する鉤状部材を備えている、太陽光発電パネル取付架台である。
【0015】
この発明の太陽光発電パネル取付架台の第7の態様は、前記第2補強部材が板状部材と板状部材の両端部に設けられた、前記矩形部の上部に形成された孔部に対応する柱状部とを備えている、太陽光発電パネル取付架台である。
【0016】
この発明の太陽光発電パネル取付架台の第8の態様は、短辺部および長辺部からなる矩形の枠体からなる基体と、前記基体のそれぞれの短辺部に1つの辺部が重ねて配置され、前記1つの辺を中心に下方に向かって回動して設定される矩形の脚部と、前記基体の一方の短辺部に、短枠部が重ねて配置され前記短枠部を中心に上方に向かって回動可能な短枠部および長枠部からなる、上側の面が太陽光発電パネル取付面を形成するパネル用ベースと、前記基体の他方の短辺部に、短枠部材が重ねて配置され前記短枠部材を中心に上方に向かって回動可能な短枠部材および長枠部材からなる、前記パネル用ベースを支持する矩形の支持部材と、前記基体の短辺部と、前記脚部の1つの辺と、前記パネル用ベースの短枠部、並びに、前記基体の短辺部と、前記脚部の1つの辺と、前記支持部材の短枠部材を、それぞれ回動可能に結合する結合部材とを備えた、太陽光発電パネル取付架台である。
【0017】
この発明の太陽光発電パネル取付架台の第9の態様は、前記基体、前記脚部、前記パネル用ベース、および、前記支持部材がそれぞれ枠体から形成されている、太陽光発電パネル取付架台である。
【0018】
この発明の太陽光発電パネル取付架台の第10の態様は、前記パネル用ベースの前記長枠部材の下側面に、前記支持部材の上方に向かって回動可能な短枠部材の角部に対応する形状の複数個の凹部が形成されて、支持される前記パネル用ベースの傾斜角度を調整することが可能である、太陽光発電パネル取付架台である。
【発明の効果】
【0019】
この発明によると、搬送時の重量、敷設時の床面に対する荷重の削減が可能で、現場への搬入部品点数を少なくして、組立が容易でユニット化が可能な太陽光発電パネル取付架台を提供することができる。
即ち、この発明の太陽光発電パネル取付架台によると、パネル取付架台が折りたたみ式の構造を備えているので、現場における組み立て作業の組み立て工数を削減することができるので、現場での作業を非常に抑えることができる。
【0020】
更に、パネル取付架台を折りたたみ式の構造にするので、現場への搬入部品点数を大きく削減することができる。更に、パネル取付架台の部材をアルミニウム等の軽量な素材によって形成するので、現場への搬送時の重量、および、敷設時における床面の荷重を低減することができる。更に、パネル取付架台をユニット化するので、現地における加工工程を低減することが可能で、加工精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、この発明の太陽光発電パネル取付架台の1つの態様を説明する図である。
【図2】図2(a)は、二本の角柱状部材からなる屈曲部材を説明する図である。図2(b)は、高さ補正部材を説明する図である。
【図3】図3は、この発明の太陽光発電パネル取付架台の1つの態様から補強部材を取り除き、折りたたんだ状態を説明する図である。
【図4】図4は、折りたたまれた太陽光発電パネル取付架台を展開する状態を説明する図である。
【図5】図5は、第1屈折部材および第2屈折部材の二本の角柱状部材が一直線状に延伸して、太陽光発電パネル取付架台が展開された状態を説明する図である。
【図6】図6は、一直線状に延伸した二本の角柱状部材をその状態で固定する固定部材を説明する図である。
【図7】図7(a)は、展開された太陽光発電パネル取付架台に取り付けられる補強部材を説明する図である。図7(b)は垂直部に取り付けられた鉤状部材を説明する図である。
【図8】図8は、他の態様の太陽光発電パネル取付架台を説明する図である。
【図9】図9は、従来の太陽光発電パネル取付架台を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明の太陽光発電パネル取付架台を、図面を参照しながら説明する。
この発明の太陽光発電パネル取付架台の1つの態様は、角柱状部材によって形成され、上部、下部および側部からなる矩形部と、矩形部の上部を底面部とし、一方の側部と一体的に形成された垂直部と、底面部と垂直部のそれぞれの端部を連絡する傾斜部とからなり、矩形部と同一面に位置する三角部とからなる一対の側面部材と、一対の側面部材間の底面部および背面部を、それぞれ開閉自在に繋ぐ屈曲部材と、屈曲部材が開かれて直線状に延伸された状態で、対向配置された一対の側面部材を補強する補強部材とを備え、対向配置された一対の側面部材によって形成される傾斜面が太陽光発電パネル取付面を形成する、太陽光発電パネル取付架台である。
【0023】
図1は、この発明の太陽光発電パネル取付架台の1つの態様を説明する図である。図1に示すように、この発明の太陽光発電パネル取付架台1は、対向配置された一対の側面部材2−1、2−2と、一対の側面部材2−1、2−2間を開閉自在に繋ぐ屈曲部材3−1、3−2、3−3と、補強部材4−1、4−2、4−3とを備えている。
【0024】
側面部材2−1は、角柱状部材によって形成され、上部11−1、下部12−1および側部8−1、9−1からなる矩形部5−1と、矩形部5−1の上部11−1を底辺部とし、一方の側部8−1と一体的に形成された垂直辺部10−1と、底辺部と垂直辺部のそれぞれの端部を連絡する傾斜辺部13−1とからなり、矩形部5−1と同一面に位置する三角部6−1からなっている。対向配置される他方の側面部2−2も同様に矩形部5−2および三角部6−2からなっている。上述した1対の側面部2−1および2−2は、それぞれアルミニウム等の軽量の1つの部材で形成されている。
【0025】
屈曲部材3−1、3−2、3−3は、一対の側面部材2−1、2−2間の底面部14および背面部15を、それぞれ開閉自在に繋いでいる。底面部14は、対向配置された一対の側面部材2−1、2−2のそれぞれの下部12−1、12−2を含む面であり、背面部15は、対向配置された一対の側面部材2−1、2−2のそれぞれの垂直部7−1(即ち、側部8−1と垂直辺部10−1とからなる部分)を含む面である。
【0026】
屈曲部材3は、底面部14側の第1屈曲部材3−2、3−3と背面部15側の第2屈曲部材3−1からなっている。第1屈曲部材3−2、3−3は、対向配置された側面部材2−1、2−2の矩形部5−1、5−2の下部12−1、12−2の両端部にそれぞれ設けられている。第2屈曲部材3−1は、対向配置された側面部材2−1、2−2の三角部6−1、6−2の垂直辺部10−1、10−2の上端部に設けられている。
【0027】
第1屈曲部材3−2、3−3および第2屈曲部材3−1は、それぞれ二本の角柱状部材からなっており、二本の角柱状部材は、中央部がV字形に屈曲するように、先端部同士が回動可能に取り付けられ、そして他方の端部がそれぞれ上述した矩形部5−1、5−2の下部12−1、12−2の両端部(第1屈曲部材3−2、3−3)、または、垂直辺部の10−1、10−2の上端部(第2屈曲部材3−1)に回動可能に取り付けられている。
【0028】
補強部材4は、背面部15側を補強する第1補強部材4−1と、底面部14側を補強する第2補強部材4−2、4−3とからなっている。第1補強部材4−1は、三角部6−1、6−2の垂直辺部10−1、10−2に着脱可能に取り付けられ、第2補強部材4−2、4−3は、矩形部5−1、5−2の上部11−1、11−2に着脱可能に取り付けられている。
【0029】
図2(a)は、二本の角柱状部材からなる屈曲部材を説明する図である。図2(b)は、高さ補正部材を説明する図である。図2(a)に示すように、屈曲部材3は、二本の角柱状部材17、18からなり、先端部を重ね合わせて先端部同士がピン19等によって回動可能に組み合わされている。二本の角柱状部材17、18のそれぞれの他方の端部20、21は、同様にピン19等によって、矩形部5−1、5−2の下部12−1、12−2の端部の上表面に回動可能に取り付けられている。
【0030】
屈曲部材3−2においては、図中、左側の角柱状部材17が右側の角柱状部材17の上側に重ねられている。屈曲部材3−3においては、図中、左側の角柱状部材17が右側の角柱状部材17の下側に重ねられている。このように、二本の角柱状部材の先端部同士を回動可能に組み合わせ、他方の端部をそれぞれ矩形部5−1、5−2の下部11−1、11−2の端部の上表面にそれぞれ回動可能に取り付けることによって、二本の角柱状部材によって形成された屈曲部材の中央部がV字形に屈曲する。
【0031】
図2(b)に示すように、矩形部5−1、5−2の下部11−1、11−2の端部の上表面に上述した二本の角柱状部材17、18の一方の端部の高さを補正する高さ補正部材16が設けられている。この高さ補正部材16は、二本の角柱状部材17、18の上側に重ねられた側の端部に設けられる。即ち、先端部が重ね合わされた二本の角柱状部材17、18の上側に重ねられた側の端部は、角柱状部材の厚さ分だけ、下部11の上表面から高く位置している。
【0032】
当該端部をそのままの状態で支持するために、側部8−1、9−1と下部11−1、11−2との間の角部に、それぞれ高さ補正部材16が設けられている。従って、他方の端部がそれぞれ下部11に固定された二本の角柱状部材17、18の重ね合わされた先端部が、V字形に屈曲し、または、直線状に延伸するのを容易にすることができる。
【0033】
図3は、この発明の太陽光発電パネル取付架台の1つの態様から補強部材を取り除き、折りたたんだ状態を説明する図である。図3に示すように、太陽光発電パネル取付架台1を折りたたんだ状態では、補強部材が取り除かれ、対向配置された1対の側面部材2−1、2−1がそれぞれ接触した状態になる。現場にはこの状態で搬入することができる。
【0034】
即ち、底面部14および背面部15に設けられた第1屈折部材3−2、3−3、第2屈折部材3−1の二本の角柱状部材17、18の重ね合わされた先端部がV字形に屈曲し、側部9−1、9−2、下部12−1、12−2、垂直部7−1、7−2、および、傾斜辺部13−1、13−2が、それぞれ側面で重ね合わされて接触して、折りたたんだ状態を示している。図2を参照して説明した高さ補正部材16が下部12−1と垂直部7−1の角部に設けられて、第1屈折部材3−2の上側に重ね合わされた角柱状部材17の端部をその高さに保持している。第1屈折部材3−3、第2屈折部材3−1に関しても同様に高さ補正部材16が設けられて、折りたたみを容易にしている。なお、傾斜辺部13−1、13−2の上面の所定の位置に、太陽光発電パネルを配置するための孔部22を適宜設けている。
【0035】
図4は、折りたたまれた太陽光発電パネル取付架台を展開する状態を説明する図である。図3を参照したコンパクトな状態で現場に搬入された太陽光発電パネル取付架台は、図4に示すように、展開される。即ち、側面で相互に接触していた一対の側面部材2−1、2−2の一方または両方がそれぞれ外側に移動する。一対の側面部材2−1、2−2の外側への移動によって、底面部14に取り付けられた第1屈折部材3−2、3−3および背面部15に取り付けられた第2屈折部材3−1のそれぞれの二本の角柱状部材17、18の重ね合わされた先端部の角度が次第に広がって、二本の角柱状部材17、18が一直線状に延伸するまで移動する。上述したように、先端部が重ね合わされた二本の角柱状部材17、18は、高さ補正部材16によって、同一面を移動するので、折りたたまれた太陽光発電パネル取付架台の展開が容易に行われる。太陽光発電パネル取付架台の折りたたみは、上述した逆の操作によって容易にコンパクトな状態へと移動して行われる。
【0036】
図5は、第1屈折部材および第2屈折部材の二本の角柱状部材が一直線状に延伸して、太陽光発電パネル取付架台が展開された状態を説明する図である。図5に示すように、底面部14に取り付けられた第1屈折部材3−2、3−3および背面部15に取り付けられた第2屈折部材3−1のそれぞれの二本の角柱状部材17、18が一直線状に延伸するまで移動して、一対の側面部材2−1、2−2が完全に展開される。
【0037】
図6は、一直線状に延伸した二本の角柱状部材17、18をその状態で固定する固定部材を説明する図である。図4および図5を参照して説明したように展開された太陽光発電パネル取付架台の一直線状に延伸した二本の角柱状部材17、18を、例えば上面および両側面を覆うように固定部材25を取り付けて、その状態で固定する。固定部材は略コの字形の断面を有し、上面および両側面が一体的に形成されている。固定部材は二本の角柱状部材17、18と同様にアルミニウム等の軽量の材料で作製されている。
【0038】
図7(a)は、展開された太陽光発電パネル取付架台に取り付けられる補強部材を説明する図である。図7(b)は垂直部に取り付けられた鉤状部材を説明する図である。図7(a)に示すように、図5を参照して説明した状態の太陽光発電パネル取付架台1の強度を補強するために補強部材4を取り付ける。補強部材は、上部11−1、11−2の上面の両端部に取り付けられる第1の補強部材4−2、4−3と、垂直部7−1の上端部に取り付けられる第2の補強部材4−1からなっている。
【0039】
第1の補強部材4−2、4−3は、両端部の下面上に、それぞれ一体的に形成された柱状部26を備えている。上部11−1、11−2の上面の両端部には、上述した柱状部26に対応する嵌合孔部27が設けられている。それぞれの柱状部26が嵌合孔部27に嵌合されて、第1の補強部材4−2、4−3が上部11−1、11−2の上面の両端部に取り付けられる。なお、柱状部26の先端部分に所定のネジを形成して、対応するナットで固定してもよい。
【0040】
第2の補強部材4−1は、アルミニウム等の軽量の板状部材からなっている。第2の補強部材4−1は、図7(b)に示すように垂直部7−1に取り付けられた鉤状部材23によって形成された間隙部29に収納されて固定される。鉤状部材23は垂直部7−1と一体的に形成されてもよいし、別部材で形成されて、ネジ等によって垂直部7−1に固定されてもよい。
【0041】
なお、上述した態様においては、傾斜辺部13−1、13−2は、一体的に形成されて側面部材2−1、2−2の一部になっているが、傾斜辺部13−1、13−2を側面部材と別部材で形成してもよい。傾斜辺部13−1、13−2を別部材で形成することによって、傾斜辺部13−1、13−2の傾斜角度を自在に調整することができ、太陽光発電パネルの柔軟な設置が可能になる。
上述したように、太陽光発電パネル取付架台は、コンパクトな折りたたみ可能なユニットとして形成され、現地に搬入後、容易に展開され、補強部材によって強度が強化される。
【0042】
図8は、他の態様の太陽光発電パネル取付架台を説明する図である。図8(a
)は、この態様の太陽光発電パネル取付架台を折り畳んだ状態を説明する図である。図8(a)に示すように、この態様の太陽光発電パネル取付架台31は、基体32と、基体の下側に折り畳まれた2つの脚部33、34と、基体32の上側に折り畳まれた支持部材36と、パネル用ベース35と、結合部材45、46からなっている。
【0043】
図8(b)は、脚部を組み立てた状態の太陽光発電パネル取付架台を説明する図である。図8(b)に示すように、脚部33、34はそれぞれ1つの辺37と他の辺38からなる矩形の枠体である。基体32は、短辺部41および長辺部42からなる矩形の枠体である。支持部材36は、短枠部材43および長枠部材44からなる矩形の枠体である。パネル用ベース35は、短枠部39および長枠部40からなる矩形の枠体である。
【0044】
基体32のそれぞれの短辺部41の下側に、脚部33の1つの辺部37が重ねて配置され、1つの辺37を中心に下方に向かって概ね90度回動して、脚部33が組み立てられる。基体32の一方(図では左側)の短辺部41の上側には、パネル用ベース35の短枠部39が重ねて配置されている。
【0045】
図8(c)は、組み立てた状態のこの発明の1つの態様の太陽光発電パネル取付架台を説明する図である。図8(c)に示すように、脚部が上述したように組み立てられ、上述したように、基体32の一方(図では左側)の短辺部41の上側に短枠部39が重ねて配置され、パネル用ベース35が短枠部39を中心に上方に向かって回動し、所定の角度まで回転移動する。
【0046】
他方、基体32の他方(図では右側)の短辺部41の近傍に、軸部材によって支持部材36の短枠部材43が回転可能に結合されて、軸部材を中心に支持部材36が上方に向かって回動可能である。
【0047】
パネル用ベース35の長枠部材40の下側面に、支持部材36の上方に向かって回動可能な短枠部材43の角部に対応する形状の複数個の凹部が形成されている。短枠部材43の角部が、長枠部材40の凹部に嵌合されて、パネル用ベースを所定の傾斜角度で支持する。
【0048】
図8(d)は、傾斜角度を変えて組み立てた状態のこの発明の1つの態様の太陽光発電パネル取付架台を説明する図である。この態様では、支持部材によって支持されたパネル用ベース35の傾斜角度が大きくなっている。なお、結合部材45、46は、それぞれ加工された板材からなっている。結合部材45は、重ねて配置された脚部33の1つの辺部37、基体32の短辺部41、パネル用ベース35の短枠部39の側面を覆い、軸部材によって、脚部33の1つの辺部37、パネル用ベース35の短枠部39がそれぞれ回動可能に結合されている。結合部材46は、重ねて配置された脚部34の1つの辺部37および基体32の短辺部41の側面を覆い、軸部材によって、脚部34の1つの辺部37が回動可能に結合されている。
【0049】
上述したように、この発明によると、搬送時の重量、敷設時の床面に対する荷重の削減が可能で、現場への搬入部品点数を少なくして、組立が容易でユニット化が可能な太陽光発電パネル取付架台を提供することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 太陽光発電パネル取付架台
2 側面部材
3 屈折部材
4 補強部材
5 矩形部
6 三角部
7 垂直部
8 側部
9 側部
10 垂直辺部
11 上部
12 下部
13 傾斜辺部
14 底面部
15 背面部
16 高さ補正部材
17 角柱状部材
18 角柱状部材
19 ピン
20 角柱状部材の他方の端部
21 角柱状部材の他方の端部
22 孔部
23 鉤状部材
25 固定部材
26 柱状部
27 嵌合孔部
29 間隙部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
角柱状部材によって形成され、上部、下部および側部からなる矩形部と、前記矩形部の上部を底辺部とし、一方の側部材と一体的に形成された垂直辺部からなり、前記矩形部と同一面に位置する三角部からなる一対の側面部材と、
前記一対の側面部材間の底面部および背面部を、それぞれ開閉自在に繋ぐ屈曲部材と、
前記屈曲部材が開かれて直線状に延伸された状態で、対向配置された前記一対の側面部材を補強する補強部材とを備え、
対向配置された前記一対の側面部材によって形成される傾斜面が太陽光発電パネル取付面を形成する、太陽光発電パネル取付架台。
【請求項2】
前記屈曲部材が底面部側の第1屈曲部材と背面部側の第2屈曲部材からなり、前記第1屈曲部材が対向配置された前記矩形部の前記下部の両端部にそれぞれ設けられており、前記第2屈曲部材が対向配置された前記矩形部の前記三角部の垂直辺部の上端部に設けられている、請求項1に記載の太陽光発電パネル取付架台。
【請求項3】
前記第1および第2屈曲部材の各々が、中央部がV字形に屈曲する、先端部および他方の端部がそれぞれ回動可能に取り付けられた二本の角柱状部材からなっている、請求項2に記載の太陽光発電パネル取付架台。
【請求項4】
前記二本の角柱状部材の他方の端部の一方に高さを補正する高さ補正部材を備え、屈曲時に対向配置された前記側面部材が相互に接触する、請求項3に記載の太陽光発電パネル取付架台。
【請求項5】
前記補強部材が、背面部を補強する第1補強部材と、底面部を補強する第2補強部材とからなっており、第1補強部材が前記三角部の垂直辺部に着脱可能に取り付けられ、第2補強部材が前記矩形部の上部に着脱可能に取り付けられる、請求項1から4の何れか1項に記載の太陽光発電パネル取付架台。
【請求項6】
前記第1補強部材が板状部材からなり、前記三角部の垂直辺部に、前記板状部材が嵌合する鉤状部材を備えている、請求項5に記載の太陽光発電パネル取付架台。
【請求項7】
前記第2補強部材が板状部材と板状部材の両端部に設けられた、前記矩形部の上部に形成された孔部に対応する柱状部とを備えている、請求項5に記載の太陽光発電パネル取付架台。
【請求項8】
短辺部および長辺部からなる矩形の枠体からなる基体と、
前記基体のそれぞれの短辺部に1つの辺部が重ねて配置され、前記1つの辺を中心に下方に向かって回動して設定される矩形の脚部と、
前記基体の一方の短辺部に、短枠部が重ねて配置され前記短枠部を中心に上方に向かって回動可能な短枠部および長枠部からなる、上側の面が太陽光発電パネル取付面を形成するパネル用ベースと、
前記基体の他方の短辺部の近傍に、軸部材によって短枠部材が回転可能に結合されて、前記短枠部材を中心に上方に向かって回動可能な、短枠部材および長枠部材からなる、前記パネル用ベースを支持する矩形の支持部材と、
前記基体の短辺部と、前記脚部の1つの辺と、前記パネル用ベースの短枠部、並びに、前記基体の短辺部と、前記脚部の1つの辺とを、それぞれ回動可能に結合する結合部材とを備えた、太陽光発電パネル取付架台。
【請求項9】
前記基体、前記脚部、前記パネル用ベース、および、前記支持部材がそれぞれ枠体から形成されている、請求項8に記載の太陽光発電パネル取付架台。
【請求項10】
前記パネル用ベースの前記長枠部材の下側面に、前記支持部材の上方に向かって回動可能な短枠部材の角部に対応する形状の複数個の凹部が形成されて、支持される前記パネル用ベースの傾斜角度を調整することが可能である、請求項9に記載の太陽光発電パネル取付架台。








【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−204953(P2011−204953A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71502(P2010−71502)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】