説明

太陽光発電装置

【課題】大気等の外部環境の状況に応じて、適宜太陽光発電部を収納して保護することができる太陽光発電装置を提供すること。
【解決手段】例えばフィルム状の太陽光発電部11等を収納する収納部30と、太陽光発電部11を発電位置から収納位置30に移動可能に支持する支持部15と、太陽光発電部11を収納位置と発電位置のいずれかに移動させる駆動部33、37とを備えており、風雨や雪などのように太陽光発電部11が損傷を受ける可能性がある場合や、発電効率の低い夜などは、太陽光発電部11を収納部30に収納して保護することが可能となる。これにより、発電位置における太陽光発電部11の保護設備を簡略化することが可能となり、強固な設置が困難な場所にも比較的容易に太陽光発電装置10を設置可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電装置に関するものである。特に、屋外環境下に設置される太陽光発電装置の耐久性の向上に関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電装置には、多くの太陽光を受けることができるように太陽光の向きに合わせて角度を調整するもの等種々のものが提案されている。これらの太陽光発電装置は、携帯型のものを除き、いずれも屋外に設置されるものであるため、風雨に耐えるように強固に固定した状態で設置される(特許文献1参照)。また、特許文献2、3に示すように、小型で持ち運びが可能なものも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−27979号公報
【特許文献2】特開2006−86203号公報
【特許文献3】特開平11−91363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、太陽光発電装置は、屋外に設置されるために、台風のような強風や、雨や雪により損傷をうけ易く、太陽光受光面である表面が汚れやすい。また、これらの風雪に耐えることができるように強固に設置することが求められるために、設置場所が限定され、崖のような場所や傾斜の急な斜面等に設置することは難しかった。また、特許文献2、3に示すような携帯型のものは、小型で簡易なものであるため、常設の屋外常設型の太陽光発電装置としての耐久性は確保できない。
【0005】
そこで、本発明は上記課題を解消するために、常設の屋外設置の太陽光発電装置において、風雨や雪のような発電効率が悪いときや、太陽光発電装置が損傷するおそれがあるときに、太陽光発電装置を保護して耐久性を向上すること、及び当初の発電効率を長く維持することのできる太陽光発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の太陽光発電装置は外部大気の状況に応じて、太陽光発電部を収納して保護することにより、上記課題を解決する。また、本発明の他の態様では、外気環境下における太陽光発電部の表面の汚れを除去する構造を設けることにより、上記課題を解決する。
【0007】
本発明の第1の態様に係る太陽光発電装置は、太陽光発電を行う太陽光発電部と、前記太陽光発電部を移動可能に支持する支持部と、前記太陽光発電部により発電した電力の伝達する電力伝達機構と、前記太陽光発電部を収納する収納部と、前記太陽光発電部前記収納部へ収納するよう駆動する駆動部と、を備えることを特徴とする。
本発明は、このように太陽光発電部を移動可能とすることにより、風雨や雪のように、太陽光発電部が損傷を受ける可能性がある場合や、発電効率が著しく低下する場合などには、太陽光発電部を退避させることにより、太陽光発電部の損傷や劣化を防止することが可能となる。
【0008】
本発明の第2の態様に係る太陽光発電装置は、太陽光発電部が、フィルム状の太陽光発電部からなり、前記収納部は前記フィルム状の発電部を巻き取り収納する巻き取り装置を備え、前記駆動部は、前記フィルムを巻き取る駆動モータからなることを特徴とする。
【0009】
この態様により、フィルム状の太陽光発電部を巻き取って収納することが可能となり、コンパクトに収納することが可能となる。これにより、従来設置が難しかった場所への設置が、比較的容易に設置可能となる。このようなこのようなフィルム状の太陽光発電部は、設置が容易である反面、風雨や雪により損傷を受け易く、劣化し易いので、本願発明のように、発電効率の悪いときや悪天候のときには収納して保護することにより、大幅に寿命を延ばすことが可能となる。
【0010】
本発明の第3の態様に係る太陽光発電装置は、前記電力伝達機構が、絶縁トロリーであることを特徴とする。絶縁トロリーは、外部環境下にあっても電力伝達機構の劣化防止に有効であり、かつ、太陽光発電部の移動も可能であるので、電力伝達機構の耐久性を維持することが可能となる。
【0011】
本発明の第4の態様に係る太陽光発電装置は、前記太陽光発電部が、剛体の太陽光発電部からなり、該太陽光発電部を支持レールに沿って移動させることにより前記収納部に収納することを特徴とする。フィルム状の太陽光発電部のみならず、このような剛体のユニットであっても、風雨や雪のときには収納して保護することが望ましい。
【0012】
本発明の第5の態様に係る太陽光発電装置は、さらに、前記収納部内に、前記太陽光発電部の受光面に接するように設けられ、前記太陽光発電部の移動により前記受光表面の汚れを拭き取る拭取部を備えることを特徴とする。このような拭取部を設けることにより、太陽光発電部の収納動作の度に発電表面の汚れを除去できるので、特別の手入れなしに発電効率の高い状況に維持可能となる。
【0013】
本発明の第6の態様に係る太陽光発電装置は、外部環境を監視しており、所定の条件を満足したときに、前記駆動部を駆動して太陽光発電部を前記収納部に収納する制御部備えることを特徴とする。
この態様では、外部環境、例えば、天候や発電効率を監視しており、風雨、雪などの悪天候のように損傷を受ける危険があるときや、夜などのように発電効率が悪いときには、太陽光発電部を自動的に収納する。これにより、太陽光発電部をより確実に保護することが可能となる。
【0014】
本発明の第6の態様に係る太陽光発電装置は、前記制御部が、所定の第1の条件を満足したときに前記太陽光発電部を前記収納部に収納し、所定の第2の条件を満足したときに、前記太陽光発電部を前記収納部から前記発電位置に移動させるよう前記駆動部を制御することを特徴とする。
この態様によると、損傷の危険があるときや発電効率が低下したときに収納して太陽光発電部を保護するだけでなく、発電環境条件が良好なときには、自動的に発電を開始するので、発電効率をより高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、風雨、降雪などの悪天候または、夜などのように、太陽光発電部が損傷を受ける危険があるときや、太陽光発電の効率が著しく低下する環境状況のときには、太陽光発電部を収納部内部に収納して、太陽光発電部が大きな損傷を受けることを防止すること、及び表面劣化の進行を抑制することが可能となる。これにより耐久性を向上させるとともに、損傷による発電効率の低下を防止することができる。さらに、太陽光発電部を収納時に発電ユニットの表面のごみや汚れを除去する構成とすることにより、発電効率を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の1実施形態にかかる太陽光発電装置であり、(a)は 斜視図、(b)は図(a)のA−A’腺の端面を示す端面図、(c)は右側面図を示す。
【図2】図1に示す本発明の第一の実施形態にかかる太陽光発電装置の平面図を示す図である。
【図3】本発明の第一の実施形態にかかる太陽光発電装置に使用可能な電力伝達機構の及び接続部の構造の一例を説明するための図である。
【図4】本発明の第1実施形態にかかる太陽光発電装置の他の設置例を示す斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施形態にかかる太陽光発電装置を示す斜視図である。
【図6】本発明の第3の実施形態にかかる太陽光発電装置であり、(a)は、本発明の第2の実施形態にかかる太陽光発電装置を示す平面図を示し、(b)は、拭き取り部を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
図1乃至図2は、それぞれ本発明の1実施形態にかかる太陽光発電装置を示す図である。図1(a)は、本発明の第1の実施形態にかかるフィルム状の太陽光発電部を備える太陽光発電装置10の斜視図、図1(b)は図1(a)のA−A断面図、及び図1(c)は図(a)を基準にした場合の右側面図を示す。図2は、図1に示す太陽光発電装置の太陽光発電部11が途中まで収納された状態を示す平面図である。
【0018】
太陽光発電装置10は、フィルム上シート上に配置された複数の発電ブロック12からなる太陽光発電部11と、該太陽光発電部11を両サイドで摺動可能に支える支持部15と、該支持部15と並行に設けられて、太陽光発電部11で発電された電力を外部に伝達する電力伝達機構16とを備えている。太陽光発電部11は、支持腕13により支持部15に支持されており、支持腕13は支持部15に沿って移動可能に設けられる。また、発電ブロック12の出力端子と電力伝達機構16の間には、導体14が設けられており、発電ブロック12と電力伝達機構16とを電気的に接続されている。
【0019】
本発明に係る太陽光発電装置10では、さらに、一方の端部側(図1では右側)に収納部30を備えている。図1の実施形態においては、フィルム上の太陽光発電部11を巻き取って収納する収納部を備えており、該収納部30は風雪に耐え得る外壁40を備えている。
【0020】
なお、支持部15には強固なワイヤ等を用いることができる。このように、ワイヤを用いると、設置が困難な場所であっても比較的容易に太陽光発電部を設置して支持することが可能となる。以下第1の実施形態では、支持部15としてワイヤを用いた構造(以下、「支持ワイヤ」と称する)太陽光発電装置10を説明する。
【0021】
太陽光発電部11は、図に示すように複数のブロック構造からな発電ブロック12を設けることができる。各発電ブロック12の出力端子は、導体14を介して電力伝達機構16に電気的に接続されている集電子に接続されて、各発電ブロックにおいて発電された電力は、電力伝達機構16を介して、バッテリーに蓄積され、または外部の消費電力として供給される。
【0022】
図1に示す第1の実施形態においては、電力供給機構16が上下両サイドに2本設けられ、プラスのラインとマイナスラインを構成している。集電子は、電力伝達機構16の電気導体に接触しており、電力伝達機構16に沿って移動することが可能である。電力伝達機構16としては、例えば、絶縁トロリーを用いることができる(絶縁トロリーの構造については後述する)。
【0023】
また、太陽光発電部11は、両サイドの支持ワイヤ15に沿って複数設けられた支持腕13を介して、支持されている。支持腕13の一端は太陽光発電部11に接続固定されており、他端は支持ワイヤ15に沿って移動すうことができるように支持ワイヤ15に取り付けられている。支持腕13と支持ワイヤ15の取り付け構造は、支持腕先端にローラを設けて支持ワイヤ15に沿って移動するような構成としても、支持ワイヤを摺動することにより移動する構成としても良い。支持腕13は一端が太陽光発電部11の端部に取り付け固定され、他端がフック形状を有しており支持ワイヤ15に掛けられたワイヤとすることも可能である。
【0024】
太陽光発電部11の両端部には、収納用ワイヤ17と引出ワイヤ18が取り付けられている。収納用ワイヤ17の他端は、収納部30の巻き取りロール32に巻き付けられており、引出ワイヤ18は、引出ロール36に巻き付けられている。巻き取りロール32と引出ロール36は、それぞれモータ33及び37により、同期しながら逆方向に回転駆動される。
【0025】
太陽光発電部11は、上述の通り、支持ワイヤ15に沿って移動可能であるので、巻き取りロール32が巻き取り方向に回転駆動されると、収納ワイヤ17により巻き取りロール32の方に引き寄せられて、太陽光発電部11は巻き取りロール32に巻き取られる。図2は、巻き取りの途中の状態を示す平面図である。
逆に、引出ロール36を巻き取ると、引出ワイヤ18が巻き取られて、太陽光発電部11が外部に引き出される。これを収納部はモータにより、巻き取り軸を回転させて、太陽光発電部11を巻き取りまたは、発電位置に引き出す。発電位置に引き出す際には、先端に設けられたワイヤを反対側に巻き取ることにより、引き出すことができる。
【0026】
支持ワイヤ15は、太陽光発電部11の移動範囲の両端に装架される。支持ワイヤ15の両端には、張力がかかるようにおもりをつけて固定する等の構成をとることができる。また、図1の実施形態では、巻き取り用と引出用として別々のモータを設ける構成としたが、1つのモータとギアまたはベルト機構を用いることにより、双方のローラ32,36を駆動するように構成することも可能である。さらに、支持ワイヤ15に変えて、剛体を用いたレール状の支持部材(ガイド部材)を用いた支持部(支持機構)とすることも可能である。
【0027】
図3に、電力伝達機構16として使用可能な絶縁トロリー及び集電子の構成の一例を示す。説明を分かり易くするため、電力伝達機構16部分に相当する絶縁トロリーには、同じ符号16を付して、絶縁トロリー16として説明することとする。図3(a)は正面図を示し、集電子53が図3(a)の左右方向に摺動移動が可能である。(b)は(a)の左側面図、(c)は(b)の上部のみ(絶縁トロリー16と摺動部分のみ)を拡大して示す図である。
【0028】
絶縁トロリー16はスリット状の開口54を有しており、電導体51の周りを、開口54を残して絶縁体50で覆ったものである。開口54には集電子53が挿入されて電導体51と接触しながら絶縁トロリー16に沿って移動可能である。集電子53は導体14の一端に接続されており、導体14の他端は発電ブロック12に接続される。これにより、発電ブロック12の起電力は導体14及び集電子53を介して、絶縁トロリー(電力伝達機構)16に伝達され、外部に供給される。なお、図3に示す絶縁トロリーは特開2006-33935公開公報に記載されているものであるので、詳細はこちらを参照されたい。なお、この絶縁トロリーは一例として示したものであり、本願発明の電力伝達機構16としてこれ以外の絶縁トロリーを使用することも可能である。
【0029】
以上から、明らかなように、本願発明では、天候の状態に応じて、発電できないとき又は破損のおそれがあるときには太陽光発電部11を収納し、発電に適した条件のときには太陽光発電部11を屋外に露出させて太陽光発電を行うものである。この際に、太陽光発電部11を収納しまたは屋外に広げる等の駆動操作は、収納部の近くに設けた操作部により操作するようにしても、遠隔地からリモートコントロールにより操作することができるようにすることも可能である。
また、電力伝達機構に絶縁トロリーを使うことにより、耐久性の高い太陽光発電装置を実現することが可能となる。
【0030】
さらに、太陽光発電装置10内またはその近くに、外部環境を監視する装置、例えば、発電した電力の測定器、太陽光の強さ(光度等)を測定する測定器、気圧計等の発電効率や、天候状態を認識可能な装置を設けて、それらの出力に基づいて、自動的に太陽光発電部を収納し、太陽光発電部を引き出すように制御装置を設けることも可能である。
【0031】
このような制御装置を設ける場合、収納だけを自動的に行うようにしても、収納及び発電位置への駆動の双方を自動的に行うようにしてもよい。その際、太陽光発電部の収納条件と、発電開始条件とは異なる条件を設定しても良い。さらに、測定器だけは発電装置の近くに設けて、制御装置は遠隔地に設けて、遠隔地から自動制御するようにすることも可能である。
【0032】
このように、所定の条件を満足したときに、駆動部を駆動して太陽光発電部を前記収納部に収納する制御部備える構成とすることにより、例えば、風雨、雪などの悪天候のように損傷を受ける危険があるときや、夜などのように発電効率が悪いときには、太陽光発電部を自動的に収納し、太陽光発電部をより確実に保護することが可能となる。
また、所定の第1の条件を満足したときに太陽光発電部を前記収納部に収納し、所定の第2の条件を満足したときに、太陽光発電部を前記収納部から前記発電位置に移動させるよう前記駆動部を制御するようにすることで、太陽光発電部を保護するだけでなく、発電環境条件が良好なときには、自動的に発電を開始するので、発電効率をより高めることが可能となる。
【0033】
図4に、本願発明の効果をより明確に理解できる第1の実施態様の他の構成例を示す。図4(a)の構成例は、図1と同様にフィルム上の太陽光発電部11を曲面状の屋根に設置したものである。フィルム状であるので、曲面であっても、設置可能である。
図4(b)は、ビル等の構造物の壁面にフィルム状の太陽光発電部を設置した構成例を示す図である。
また、このようなビル等構造物に限らず、崖のような急峻な傾斜地に、第1の実施態様にかかる太陽光発電装置を配置して発電することも可能である。このような従来は、太陽光発電装置を簡単に設置できないような場所にでも比較的容易に設置でき、風雨が強いときには簡単に収納することが可能となる。
【0034】
本願発明によれば、フィルム状の太陽光発電部11を、天候の状態が悪く破損のおそれがあるときには、安全な場所に収納可能に設置することができるので、収納位置さえ強固な作りとすることができれば、発電位置での耐久性は従来程強固な作りは必要とされない。すなわち、発電位置における太陽光発電部の保護設備を簡略化することが可能となり、強固な設置が困難な場所にも比較的容易に太陽光発電装置を設置可能となる。従って、強固な設置が難しい場所であっても、太陽光発電装置の設置が可能となり、壁面や斜面等の発電効率の高い場所への太陽光発電装置の設置が可能となる。また、悪天候のときには、太陽光発電部11を収納するので、大きな損傷を防止できるだけでなく、風雨等に曝されることによる掲示変化による劣化も抑制可能であり、高発電効率を長期間維持することも可能となる。
【0035】
図5に本発明の第2の実施形態に係る太陽光発電装置60を示す。第2の実施形態では、太陽光発電部61が、フィルム状ではなく平面状のリジッドな構造体で構成され、該太陽光発電部61が、支持レール(支持枠)62、63上に太陽光をできるだけ垂直に受光できるように斜めに設置されている。また、太陽光発電部61は、支持レール62、63上を横方向に移動可能に設けられている。これにより、天候状態に応じて、太陽光発電部61を収納部64内に収納することや、発電位置(図5の位置)に移動させることが可能となる。
【0036】
実施態様1においては、太陽光発電部11の移動に収納ワイヤ17や引出ワイヤ18を用いて、太陽光発電部11を移動したが、本態様では、実施態様1とは異なり、太陽光発電部上に駆動モータ68が設けられている。駆動モータ68は、絶縁トロリー67から電力の供給を受けて、リモート制御で駆動可能である。駆動モータ68による太陽光発電部の駆動は、例えば、支持レール63をリニアの歯車状に形成して駆動モータの回転子に設けられた歯車と噛み合わせる等、各種従来技術を使用可能である。
【0037】
この実施形態では、下段に設けた絶縁トロリー67により駆動モータ68への電力を供給するため、発電した電力を送信するための2本の電力伝達機構(絶縁トロリー)65,66を双方ともに上部に設けている。また、収納部64内には、バッテリーまたは電力を制御する装置70が設けられており、発電された電力の蓄積または中継、及び絶縁トロリー68への電力を供給している。
【0038】
図6に、本発明の第3の実施形態を示す。第3の実施形態は、太陽光発電部の発電部の表面をふき取ることができる拭取部80を備えていることを特徴とする。拭取り部80は、例えば一例として図6に示すように、フィルム状の太陽光発電部11を収納する収納部30内部の入口付近に、発電ブロックの受光面と接するように、フィルム幅とほぼ同じくらいの長さとなるように設けることが望ましい。これにより、太陽光発電部11が収納部に収納される度、及び発電位置に移動する度に、太陽光発電部11の表面を擦りながら移動するため、太陽光発電部11の表面の汚れを拭き取ることができる。これにより、外気で汚れやすい太陽光発電部11の表面が頻繁に拭き取られるため、高い発電効率を維持することが可能となる。
【0039】
拭き取り部80としては、太陽光発電部との接触面側に、たとえば、比較的柔らかなブラシや柔らかい布が設けられた拭き取り装置とすることができる。また、拭き取り部80は、フィルム状の太陽光発電部11だけではなく、図5に示すような太陽光発電装置60にも設けることができる。このような拭き取り部を太陽光発電部の全幅に亘り、太陽光発電部の表面と接触するように配置することが望ましい。
【0040】
これにより、太陽光発電部を収納部に収納するたびに、太陽光発電部の表面をふき取り、汚れを落とすことができるので、汚れにより発電効率が低下するのを抑制することが可能となる。外部環境化においては、表面の汚れが激しく、発電低下につながるので、発電効率が落ちる夜や風雨のときなどに収納部に収納することにより、表面をふき取り発電効率の低下を防止することが可能となる。
【0041】
図6では、フィルム状の太陽光発電部11に拭取部80を設けた例を示したが、図5に示すような太陽光発電部61を備える太陽光発電装置60に拭取部80を設けることもできる。この場合も、拭取部80を収納部64の入口近くに設けて、太陽光発電部61を収納部へ出し入れする際に、太陽光発電部61の全体を拭き取ることができるようにすることが望ましい。
【0042】
なお、図6では、拭取部80が収納部の近くに固定されており、太陽光発電部の移動の際に太陽光発電部の表面を拭き取る構成例が示されている。しかし、このように拭取部80を固定せずに、拭取部自体が移動して、太陽光発電部11,61の表面を拭き取る構成とすることも可能である。
【0043】
例えば、拭取部を移動可能に支持するガイドレールと、ガイドレール上を移動するためのローラと、該ローラを駆動するための駆動モータ等を設けることにより、拭取部を移動可能とすることができる。駆動モータは拭取部とともに移動することが望ましい。駆動モータへは電力供給ラインにより駆動電力が供給される。電力供給ラインとして、例えば図3に示すような絶縁トロリーなどを用いることもできる。また、駆動用の電源として、当該太陽光発電装置で発電した電力を使用するように構成することも可能である。
なお、拭取部の移動機構としては、上記の方式の他に、ラック・アンド・ピニオン方式や、シャフトスクリュー方式を含む各種従来技術を用いることができる。
【符号の説明】
【0044】
10 第1の実施形態に係る太陽光発電装置
11 太陽光発電部
12 発電ブロック
13 支持腕
14 導体
15 支持部
16 電力伝達機構(絶縁トロリー)
17 収納用ワイヤ
19 引出用ワイヤ
20、21、22、23,24 支持枠
26、27 支柱
30 収納部
31、35 巻き取り装置支持台
32、36 巻き取りロール
33、37 駆動モータ(巻き取り用)
50 絶縁部
51 電導体
53 集電子
60 第2の実施形態に係る太陽光発電装置
61 太陽光発電部
64 収納部
65、66 絶縁トロリー
68 駆動モータ
80 拭取部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電を行う太陽光発電部と、
前記太陽光発電部を移動可能に支持する支持部と、
前記太陽光発電部により発電した電力の伝達する電力伝達機構と、
前記太陽光発電部を収納する収納部と、
前記太陽光発電部前記収納部へ収納するよう駆動する駆動部と、
を備える太陽光発電装置。
【請求項2】
前記太陽光発電部は、フィルム状の太陽光発電部からなり、前記収納部は前記フィルム状の発電部を巻き取り収納する巻き取り装置を備え、前記駆動部は、前記フィルムを巻き取る駆動モータからなることを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電装置。
【請求項3】
前記電力伝達機構は、絶縁トロリーであることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽発電装置。
【請求項4】
前記太陽光発電部は、剛体の太陽光発電部からなり、該太陽光発電部を支持レールに沿って移動させることにより前記収納部に収納することを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電装置。
【請求項5】
さらに、前記収納部内に、前記太陽光発電部の受光面に接するように設けられ、前記太陽光発電部の移動により前記受光表面の汚れを拭き取る拭取部を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の太陽光発電装置。
【請求項6】
外部環境を監視しており、所定の条件を満足したときに、前記駆動部を駆動して太陽光発電部を前記収納部に収納する制御部備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の太陽光発電装置。
【請求項7】
前記制御部は、所定の第1の条件を満足したときに前記太陽光発電部を前記収納部に収納し、所定の第2の条件を満足したときに、前記太陽光発電部を前記収納部から前記発電位置に移動させるよう前記駆動部を制御することを特徴とする請求項6に記載の太陽光発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−210796(P2011−210796A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74804(P2010−74804)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】