説明

太陽光発電集熱複合パネル及びその製造方法

【課題】構成部材の部品点数を少なくでき、集熱管の設計自由度の高い熱交換効率の向上が図れる太陽光発電集熱複合パネルを提供すること。
【解決手段】太陽電池モジュール2の裏面側に集熱パネル10を並置して構成される太陽光発電集熱複合パネル1において、各集熱パネル10は、太陽電池モジュール2の裏面に接合される板状フィン11と、該板状フィン11の非接合面側に板状フィン11の長手方向に沿う集熱管12とが一体に形成され、集熱管12の両端部をヘッダー管3に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽光発電集熱複合パネルに関するもので、例えば太陽電池モジュールの裏面側に集熱パネルを取り付けて構成される太陽光発電集熱複合パネル及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽熱エネルギを有効的に利用するために、太陽電池モジュールの裏面に集熱を行う工夫がなされてきた。
【0003】
例えば、太陽電池モジュールの裏面に配設される集熱板と、該集熱板と共働して集熱管を包囲する集熱管接続部材とを具備し、集熱板に形成された一対の集熱管を固定するための引掛けレールに、集熱管を包囲した集熱管接続部材の両端をスライドさせて集熱管を固定する構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−241021号公報(特許請求の範囲、図1〜図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術のものは、太陽電池モジュールの裏面に集熱管を固定するための引掛けレール及び集熱管を覆う集熱管接続部材が必要なため、材料の部品点数が多くなると共に、取付作業が面倒である等の懸念があった。また、引掛けレールや接続部材が嵩張るため、集熱管の配置設計自由度が損なわれてしまう問題もあった。
【0006】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、構成部材の部品点数を少なくでき、集熱管の設計自由度の高い熱交換効率の向上が図れる太陽光発電集熱複合パネル及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するために、この発明に係る太陽光発電集熱複合パネルは、太陽電池モジュールの裏面側に集熱パネルを並置して構成される太陽光発電集熱複合パネルであって、上記各集熱パネルは、上記太陽電池モジュールの裏面に接合される板状フィンと、該板状フィンの非接合面側に板状フィンの長手方向に沿う集熱管とが一体に形成され、上記集熱管の両端部がヘッダー管と接続してなる、ことを特徴とする(請求項1)。
【0008】
このように構成することにより、板状フィンと集熱管が一体形成された複数の集熱パネルにおける板状フィンを太陽電池モジュールの裏面に接合して、太陽電池モジュールの裏面側に複数の集熱パネルを並置することができる。
【0009】
この発明において、上記太陽電池モジュールの裏面に板状フィンを直接接合させても差し支えないが、好ましくは上記太陽電池モジュールと上記板状フィンとの間に、高熱伝導性の材料からなるシート状の密着部材を介在するのがよい(請求項2)。この場合、上記密着部材は粘着剤のないもの、あるいは表面に粘着剤層を有するもの(請求項3)のいずれであってもよい。粘着剤層を有するものにおいては太陽電池モジュールと板状フィンの接合が容易にできる。一方、集熱パネルの交換を考慮すると、太陽電池モジュールと集熱パネルとの直接接合や、密着部材を介在して太陽電池モジュールと集熱パネルとを接合するいずれの場合においても、粘着剤や接着剤のない接合であるのがよい。
【0010】
また、この発明において、上記密着部材としては、例えばエチレン・プロピレン・ジエン・メチレンゴム,クロロプレンゴム又はアルミニウム箔のいずれかを使用することができる(請求項4)。
【0011】
上記のように構成することにより、太陽電池モジュールと集熱パネルの板状フィンとの間に、高熱伝導性の材料からなるシート状の密着部材を介在して接合することにより、太陽電池モジュールと集熱パネルとの密着性の向上が図れると共に、太陽電池モジュールが受光して得られた太陽熱エネルギを効率よく集熱パネルの集熱管に伝熱することができる。なお、密着部材にエチレン・プロピレン・ジエン・メチレンゴムを使用した場合には、太陽電池モジュールと集熱パネルの板状フィンとの間に絶縁性の効果を高めることができる。
【0012】
また、この発明において、上記板状フィン及び集熱管の露出面を断熱材で被覆する方が好ましい(請求項5)。
【0013】
このように板状フィン及び集熱管の露出面を断熱材で被覆することにより、太陽電池モジュールを介して得られた太陽熱エネルギが集熱管から放熱されるのを防止することができる。
【0014】
また、この発明において、上記板状フィンは、上記太陽電池モジュールの裏面に接合される際に、上記集熱管の長手方向の両端側が上記太陽電池モジュール側から離れる方向に曲げ加工されており、かつ、上記板状フィンの曲げ剛性が上記太陽電池モジュールと同等若しくはそれよりも低く設定されているのが好ましい(請求項6)。
【0015】
このように構成することにより、太陽電池モジュールに集熱パネルを接合する際に、まず集熱パネルの板状フィンの長手方向の中央突出部が太陽電池モジュールの裏面に当接し、集熱パネルを押圧することで板状フィンは徐々に長手方向の端部側に沿って太陽電池モジュールの裏面に当接して、両者間に存在する空気を外部に抜いて、両者間の隙間を無くすことができる。また、板状フィンの曲げ剛性を太陽電池モジュールと同等若しくはそれよりも低く設定することにより、集熱パネルの接合による太陽電池モジュールの変形を抑制することができる。
【0016】
また、この発明において、上記集熱管の内周面は円形であってもよいが、好ましくは、内周面は周方向に沿う凹凸部が形成されるのがよい(請求項7)。
【0017】
このように構成することにより、集熱管内を流れる熱媒体と集熱管との接触面積を増大させて伝熱効率を高めることができる。
【0018】
また、この発明において、上記集熱管の内周面の対向する部位に熱伝導性を有する補助伝熱板を連結するのが好ましい(請求項8)。この場合、上記補助伝熱板をアルミニウム製薄板にて形成するのが好ましい(請求項9)。
【0019】
このように構成することにより、集熱管内を流れる熱媒体と集熱管及び補助伝熱板との接触面積を増大させて伝熱効率を高めることができる。
【0020】
加えて、この発明において、上記板状フィンと集熱管は溶接により接合して一体に形成しても差し支えないが、好ましくは、上記板状フィン及び集熱管は、アルミニウム製押出形材にて形成されている方がよい(請求項10)。
【0021】
このように構成することにより、熱伝導性が高く、かつ、寸法精度の高い集熱パネルを容易に作製することができる。
【0022】
また、この発明に係る太陽光発電集熱複合パネルの製造方法は、請求項1ないし4又は6ないし10のいずれかに記載の太陽光発電集熱複合パネルの製造方法であって、上記板状フィンにおける上記集熱管の長手方向の両端側が上記太陽電池モジュール側から離れる方向に曲げ加工する工程と、上記板状フィンの中央部から両端部へ向かって上記太陽電池モジュールと接合する工程と、を具備することを特徴とする(請求項11)。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、上記のように構成されているので、以下のような顕著な効果が得られる。
【0024】
(1)板状フィンと集熱管が一体形成された複数の集熱パネルにおいて、前記板状フィンを太陽電池モジュールの裏面に接合して、太陽電池モジュールの裏面側に複数の集熱パネルを並置することができるので、構成部材の部品点数を少なくでき、集熱管の設計自由度の高い熱交換効率の向上が図れる。
【0025】
(2)太陽電池モジュールと集熱パネルの板状フィンとの間に、高熱伝導性の材料からなるシート状の密着部材を介在して接合することにより、太陽電池モジュールと集熱パネルとの密着性の向上が図れると共に、太陽電池モジュールが受光して得られた太陽熱エネルギを効率よく集熱パネルの集熱管に伝熱することができる。したがって、上記(1)に加えて、更に熱交換効率の向上が図れる。
【0026】
(3)板状フィン及び集熱管の露出面を断熱材で被覆することにより、上記(1),(2)に加えて、更に太陽電池モジュールを介して得られた太陽熱エネルギが集熱管から放熱されるのを防止することができる。
【0027】
(4)太陽電池モジュールに集熱パネルを接合する際に、集熱管の長手方向の両端側が太陽電池モジュール側から離れる方向に曲げ加工されることにより、太陽電池モジュールと集熱パネルの接合部における隙間を無くすことができる。したがって、上記(1)〜(3)に加えて、更に熱交換効率の向上が図れる。また、板状フィンの曲げ剛性を太陽電池モジュールと同等かそれよりも低く設定することにより、集熱パネルの接合による太陽電池モジュールの変形を抑制することができる。
【0028】
(5)集熱管の内周面に周方向に沿う凹凸部を形成したり、集熱管内の対向する凹溝内に補助伝熱板を嵌挿することにより、集熱管内を流れる熱媒体と集熱管又は熱媒体と集熱管及び補助伝熱板との接触面積を増大させて伝熱効率を高めることができるので、上記(1)〜(4)に加えて、更に熱交換効率の向上が図れる。
【0029】
(6)板状フィン及び集熱管をアルミニウム製押出形材にて形成することにより、上記(1)〜(5)に加えて、更に熱伝導性が高く、かつ、寸法精度の高い集熱パネルを容易に作製することができる。また、アルミニウム製部材はリサイクル性にも優れているため、老朽化した後も素材を再利用することが可能となり、資源の有効利用が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明に係る太陽光発電集熱複合パネルの使用状態の一例を一部断面で示す概略側面図である。
【図2】上記太陽光発電集熱複合パネルの一部を断面で示す正面図である。
【図3】この発明における集熱管、板状フィン及びヘッダー管を示す正面図である。
【図4】上記太陽光発電集熱複合パネルの分解斜視図である。
【図5】上記太陽光発電集熱複合パネルの要部を示す斜視図である。
【図6】この発明における太陽電池モジュールと集熱パネルの接合部の断面図(a)及び(a)のI部拡大断面図(b)である。
【図7】この発明における集熱パネルを示す斜視図である。
【図8】この発明における断熱材を示す斜視図である。
【図9】この発明における太陽電池ジュールと集熱パネルの接合前の状態を示す分解側面図(a)、接合状態を示す側面図(b)及び接合時の要部拡大断面図(c)である。
【図10】この発明における集熱管に補助伝熱板を取り付ける状態を示す斜視図である。
【図11】上記補助伝熱板を取り付けた集熱パネルの使用状態を示す断面図である。
【図12】この発明における別の集熱管を示す断面図(a)及び集熱管に補助伝熱板を取り付けた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、この発明を実施するための形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、この発明に係る太陽光発電集熱複合パネルの一部を例えば太陽熱集熱器に適用した場合について説明する。
【0032】
この発明に係る太陽光発電集熱複合パネル1(以下に複合パネル1という)は、図1に示すように、太陽電池モジュール2と、この太陽電池モジュール2の裏面側に並置される複数(図面では、5個の場合を示す)の集熱パネル10と、集熱パネル10を構成する集熱管12の端部に接続するヘッダー管3と、を具備する。なお、太陽電池モジュール2の裏面側には、太陽電池モジュール2が太陽光から受光した光エネルギを電気に変換するための端子ボックス2aが配置されている。また、太陽電池モジュール2の表面には必要に応じて防風ガラスが被覆される。防風ガラスを取り付けた場合には、集熱効果の向上が図れる。
【0033】
上記集熱パネル10は、図5ないし図7に示すように、太陽電池モジュール2の裏面に接合される板状フィン11と、板状フィン11の非接合面側に板状フィン11の長手方向に沿い、両端部が板状フィン11より外方に突出する集熱管12とが一体に形成されている。この場合、集熱管12は、板状フィン11の表面中央に起立するリブ13を介して板状フィン11と一体に形成されている。これら板状フィン11と集熱管12及びリブ13は、アルミニウム合金製の押出形材にて一体に形成されており、押出成形された後、板状フィン11及びリブ13の長手方向の両端部を切除することにより、集熱管12の両端部が板状フィン11より外方に突出する。
【0034】
なお、図6に示すように、集熱管12の内周面に、周方向に沿う凹凸部12aが形成されている。このように集熱管12の内周面に、周方向に沿う凹凸部12aを形成することにより、集熱管12内を流れる熱媒体と集熱管12との接触面積を増大させて伝熱効率を高めることができる。
【0035】
なお、板状フィン11の長手方向に沿う両側縁には非接合側に向かって突出する起立片11aが設けられている。この場合、板状フィン11の厚みは、0.8〜2.0mmである。その理由は、0.8mmより薄いと押出成形が困難となり、また、2.0mmより厚くなると、加工性が低下し、また曲げ剛性が太陽電池モジュール2よりも大きくなる可能性があるからである。
【0036】
上記のように形成される集熱パネル10の板状フィン11の曲げ剛性は太陽電池モジュール2と同等若しくはよりも低く設定されている。
【0037】
板状フィン11の曲げ剛性を低く設計していれば、後述する集熱パネル10の曲げ加工を容易に行うことができる。また板状フィン11を太陽電池モジュール2に接着する際に、曲げた両端部を押圧するが、その時押圧する力が太陽電池モジュール2に加わる。板状フィン11の曲げ剛性を太陽電池モジュール2のそれと同等若しくは低く設計していれば、太陽電池モジュール2に変形を来さない程度の小さい力で板状フィン11の両端部を押圧して、板状フィン11と太陽電池モジュール2を接合することが可能になる。
【0038】
また、板状フィン11の曲げ剛性を小さく設計することで、集熱パネル10の曲げ加工時の板状フィン11の曲率をより大きくし、板状フィン11と太陽電池モジュール2との密着度を高めることが可能になる。
【0039】
また、太陽電池モジュール2と板状フィン11との間には、高熱伝導性の材料からなるシート状の密着部材20が介在されている。この場合、密着部材20には、例えば、エチレン・プロピレン・ジエン・メチレンゴム(EPDM),クロロプレンゴム又はアルミニウム箔等を使用することができる。なお、密着部材20にEPDMを使用した場合には、太陽電池モジュール2と集熱パネル10の板状フィン11との間に絶縁性の効果を高めることができる。
【0040】
また、この場合、図6に示すように、密着部材20の表面には粘着剤層21が形成されており、密着部材20と太陽電池モジュール2及び板状フィン11との接合を強固にしている。なお、この場合、粘着剤を剥離可能な軟粘着剤にて形成することにより、集熱パネル10の交換を容易にすることができる。なお、ここでは密着部材20の表面に粘着剤層21を形成する場合について説明したが、粘着剤を有しない密着部材20を介在して太陽電池モジュール2と集熱パネル10とを接合してもよい。このように粘着剤を有しない密着部材20を介在して太陽電池モジュール2と集熱パネル10とを接合することにより、集熱パネル10の交換が容易となる。
【0041】
一方、集熱管12の長手方向の両端部は、ヘッダー管3に接続されている。この場合、ヘッダー管3は、例えばアルミニウム合金製押出形材にて形成される四角筒状管本体3aの両端開口端にアルミニウム合金製の蓋部材3bを例えば、ろう付け等によって閉塞してなる。このように形成されるヘッダー管3の一側壁に設けられた貫通孔(図示せず)に集熱管12の端部を貫挿して、溶接等によってヘッダー管3と集熱管12とが固定されている。
【0042】
なお、上記のようにして複数の集熱パネル10の集熱管12を接続した一対のヘッダー管3の一方には、熱媒体の流入口部4が設けられ、他方には熱媒体の流出口部5が設けられている。
【0043】
また、太陽電池モジュール2に並置された集熱パネル10の板状フィン11及び集熱管12の露出面は、断熱材30によって被覆されている。この場合、断熱材30は、例えば発泡ポリウレタン製の矩形板状部材にて形成されており、断熱材30の内方側の表面には、集熱パネル10の集熱管12とリブ13が収容可能な凹溝31と、端子ボックス2aが収容可能な矩形凹状部32が形成されている(図8参照)。
【0044】
上記のように形成される断熱材30によって、板状フィン11及び集熱管12の露出面を断熱材で被覆することにより、太陽電池モジュール2を介して得られた太陽熱エネルギが集熱管12から放熱されるのを防止することができ、集熱効率の向上を図ることができる。
【0045】
なお、断熱材30の外側の2箇所には、断熱材30を補強するための補強アングル材40が配置されている。
【0046】
上記のように形成される集熱パネル10を太陽電池モジュール2に接合するには、以下のような手順にて行う。
【0047】
まず、集熱パネル10を太陽電池モジュール2に取り付ける前に、集熱パネル10を構成する板状フィン11、リブ13及び集熱管12を、集熱管12の長手方向の両端側が接合側すなわち太陽電池モジュール側から離れる方向に曲げ加工する(曲げ加工工程)。この場合、集熱パネル10を曲げ加工する方法として、例えばロールベンダーあるいは4点曲げなどの方法がある。
【0048】
ロールベンダーとは、3本のロールを三角形に配置し、その間を通過する集熱パネル10にロールを圧下、回転させることで連続的に曲げを与える方法である。一方、4点曲げ法とは、まず板状フィン11の表裏に4点の支点を設けて押圧し、長さ方向における両端部を集熱管側へ反らして曲げを与える方法である。
【0049】
上記のようにして曲げ加工された集熱パネル10を太陽電池モジュール2に接合するには、図9(a)に示すように、太陽電池モジュール2と集熱パネル10との間に密着部材20を介在させて配置し、図9(b)に示すように、太陽電池モジュール2の裏面に密着部材20を介して集熱パネル10を押圧する(接合工程)。すると、まず集熱パネル10の板状フィン11の長手方向の中央突出部が密着部材20を介して太陽電池モジュール2の裏面に当接し、集熱パネル10を押圧することで板状フィン11は徐々に長手方向の端部側に沿って太陽電池モジュール2の裏面に当接して、両者間に存在する空気を外部に抜いて、両者間の隙間を無くす。なお、密着部材20にアルミニウム箔を使用する場合には、隙間を確実に無くすために、アルミニウム箔に無数の皺を形成したものを使用する方がよい。
【0050】
上記のようにして、密着部材20を介在して太陽電池モジュール2と集熱パネル10の板状フィン11とを接合することにより、太陽電池モジュール2と集熱パネル10との密着性の向上が図れると共に、太陽電池モジュール2が受光して得られた太陽熱エネルギを効率よく集熱パネル10の集熱管12に伝熱することができ、熱交換効率の向上を図かることができる。
【0051】
また、板状フィン11の曲げ剛性を太陽電池モジュール2よりも低く設定することにより、集熱パネル10の接合による太陽電池モジュール2の変形を抑制することができる。
【0052】
上記のようにして構成された複合パネル1は、例えば建物の屋上に設置される架台(図示せず)によって傾斜状に取り付けられて使用される。例えば、図1に示すように、傾斜下方側のヘッダー管3の流入口部4に一端が接続する熱媒体流入管6に供給ポンプPと開閉弁Vaを介設すると共に、他端を熱媒体供給源7に接続する。また、傾斜上方側のヘッダー管3の流出口部5に一端が接続する熱媒体流出管8に開閉弁Vbを介設すると共に、他端を温調部9に接続して、太陽熱利用の温水器や冷暖房システムとして使用することができる。この場合、上記供給ポンプP、開閉弁Va及びVbを、図示しないコントローラに電気的に接続し、コントローラからの信号に基づいて熱媒体の供給・停止や供給量を制御するようにしてもよい。
【0053】
なお、この場合、熱媒体として、一般に水を使用することができる。水以外の熱媒体として、例えば、エチレングリコールやプロピレングリコール、エチルアルコール等の不凍液としての性質を有するものや真空中の水蒸気を吸収する臭化リチウム水溶液等を使用することができる。
【0054】
また、防食剤として「インヒビター」を混合すると、アルミニウム等の金属の防食を抑制することができる。この場合、無機系インヒビターには、各種のクロム酸塩,亜硝酸塩,ケイ酸塩,ポリリン酸塩などがある。また、有機材料に用いる有機系インヒビターには、オレイン酸,タイマー酸,ナフテン酸などのカルボン酸,カルボン酸金属石鹸(ラノリンCa,ナフテン酸Zn,酸化ワックスCa,Ba酸など),スルフォン酸塩(Na,Ca,Baスルフォネート),アミン酸,エステル(高級脂肪酸のグリセリンエステル,ソルビタンモノイソステアレート,ソルビタンモノオレートなど),などもある。これらのインヒビターはいずれも吸着力が高く、また、多重吸着膜を形成するなどしてさびの発生を防止する。
【0055】
上記実施形態の複合パネル1によれば、板状フィン11と集熱管12が一体形成された複数の集熱パネル10を、板状フィン11を太陽電池モジュール2の裏面に接合して、太陽電池モジュール2の裏面側に複数の集熱パネルを並置することができるので、構成部材の部品点数を少なくでき、集熱管12の設計自由度の高い熱交換効率の向上が図れる。
【0056】
また、太陽電池モジュール2と集熱パネル10の板状フィン11との間に、高熱伝導性の材料からなるシート状の密着部材20を介在して接合することにより、太陽電池モジュール2と集熱パネル10との密着性の向上が図れると共に、太陽電池モジュール2が受光して得られた太陽熱エネルギを効率よく集熱管12に伝熱することができる。
【0057】
また、板状フィン11及び集熱管12の露出面を断熱材30で被覆することにより、更に太陽電池モジュール2を介して得られた太陽熱エネルギが集熱管12から放熱されるのを防止することができる。
【0058】
更に、板状フィン11及び集熱管12をアルミニウム製押出形材にて形成することにより、熱伝導性が高く、かつ、寸法精度の高い集熱パネルを容易に作製することができる。また、アルミニウム製部材はリサイクル性にも優れているため、老朽化した後も素材を再利用することが可能となり、資源の有効利用が図れる。
【0059】
なお、上記実施形態では、集熱管12の内周面に、周方向に沿う凹凸部12aを形成した場合について説明したが、集熱管12の内周面の対向する部位に熱伝導性を有する材料例えばアルミニウム製薄板からなる補助伝熱板14を連結してもよい。補助伝熱板14の連結形態としては、例えば図10及び図11に示すように、集熱管12の内周面の対向する部位に一対の凹溝12bを長手通しに形成し、両凹溝12b内に補助伝熱板14を嵌挿してもよい。この場合、補助伝熱板14を集熱管12の全長に渡って嵌挿してもよく、あるいは、集熱管12の両端から所定の長さを嵌挿してもよい。また、補助伝熱板14の嵌挿に代えて押出成形によって集熱管12と補助伝熱板14を一体に形成してもよい。
【0060】
このように構成することにより、集熱管12内を流れる熱媒体と集熱管12及び補助伝熱板14との接触面積を増大させて伝熱効率を高めることができる。
【0061】
なお、この発明における集熱パネル10は、上記集熱管12に代えて、図12(a)に示すように、円形状の集熱管12Aとしてもよく、あるいは、例えば図12(b)に示すように、集熱管12Aの内周面の対向する部位に一対の凹溝12bを長手通しに形成し、両凹溝12b内に熱伝導性を有する材料例えばアルミニウム製薄板からなる補助伝熱板14を集熱管12Aの全長又は両端部の所定の長さ嵌挿してもよい。なお、嵌挿に代えて押出成形によって集熱管12と補助伝熱板14を一体に形成してもよい。
【0062】
なお、上記実施形態では、太陽電池モジュール2と集熱パネル10の板状フィン11との間に密着部材20を介在させた場合について説明したが、密着部材20を介在させずに、太陽電池モジュール2と集熱パネル10の板状フィン11とを直接接合してもよい。この場合、接着剤や粘着剤を介して太陽電池モジュール2と集熱パネル10の板状フィン11とを接合するか、あるいは、接着剤や粘着剤を用いずに太陽電池モジュール2と集熱パネル10の板状フィン11とを接合してもよい。
【0063】
接着剤や粘着剤を用いないで、太陽電池モジュール2と集熱パネル10の板状フィン11とを接合する方法としては、例えば接着シートを用いて太陽電池モジュール2と集熱パネル10の板状フィン11とを接合するか、あるいは、枠材を用いて太陽電池モジュール2と集熱パネル10の板状フィン11と固定して接合する方法などがある。
【符号の説明】
【0064】
2 太陽電池モジュール
3 ヘッダー管
10 集熱パネル
11 板状フィン
12,12A 集熱管
12a 凹凸部
12b 凹溝
14 補助伝熱板
20 密着部材
21 粘着剤層
30 断熱材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池モジュールの裏面側に集熱パネルを並置して構成される太陽光発電集熱複合パネルであって、
上記各集熱パネルは、上記太陽電池モジュールの裏面に接合される板状フィンと、該板状フィンの非接合面側に板状フィンの長手方向に沿う集熱管とが一体に形成され、上記集熱管の両端部がヘッダー管と接続してなる、
ことを特徴とする太陽光発電集熱複合パネル。
【請求項2】
請求項1記載の太陽光発電集熱複合パネルにおいて、
上記太陽電池モジュールと上記板状フィンとの間に、高熱伝導性の材料からなるシート状の密着部材を介在してなる、ことを特徴とする太陽光発電集熱複合パネル。
【請求項3】
請求項2記載の太陽光発電集熱複合パネルにおいて、
上記密着部材の表面に粘着剤層を有する、ことを特徴とする太陽光発電集熱複合パネル。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の太陽光発電集熱複合パネルにおいて、
上記密着部材が、エチレン・プロピレン・ジエン・メチレンゴム,クロロプレンゴム又はアルミニウム箔のいずれかである、ことを特徴とする太陽光発電集熱複合パネル。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の太陽光発電集熱複合パネルにおいて、
上記板状フィン及び集熱管の露出面を断熱材で被覆してなる、ことを特徴とする太陽光発電集熱複合パネル。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の太陽光発電集熱複合パネルにおいて、
上記板状フィンは、上記太陽電池モジュールの裏面に接合される際に、上記集熱管の長手方向の両端側が上記太陽電池モジュール側から離れる方向に曲げ加工されており、かつ、上記板状フィンの曲げ剛性が上記太陽電池モジュールと同等若しくはそれよりも低く設定されている、ことを特徴とする太陽光発電集熱複合パネル。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の太陽光発電集熱複合パネルにおいて、
上記集熱管の内周面に、周方向に沿う凹凸部を形成してなる、ことを特徴とする太陽光発電集熱複合パネル。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の太陽光発電集熱複合パネルにおいて、
上記集熱管の内周面の対向する部位に熱伝導性を有する補助伝熱板を連結してなる、ことを特徴とする太陽光発電集熱複合パネル。
【請求項9】
請求項8記載の太陽光発電集熱複合パネルにおいて、
上記補助伝熱板がアルミニウム製薄板にて形成されている、ことを特徴とする太陽光発電集熱複合パネル。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の太陽光発電集熱複合パネルにおいて、
上記板状フィン及び集熱管は、アルミニウム製押出形材にて形成されている、ことを特徴とする太陽光発電集熱複合パネル。



【請求項11】
請求項1ないし4又は6ないし10のいずれかに記載の太陽光発電集熱複合パネルの製造方法であって、上記板状フィンにおける上記集熱管の長手方向の両端側が上記太陽電池モジュール側から離れる方向に曲げ加工する工程と、上記板状フィンの中央部から両端部へ向かって上記太陽電池モジュールと接合する工程とを具備する、ことを特徴とする太陽光発電集熱複合パネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−100931(P2013−100931A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244122(P2011−244122)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000004743)日本軽金属株式会社 (627)
【出願人】(502444733)日軽金アクト株式会社 (107)
【出願人】(000250432)理研軽金属工業株式会社 (89)
【Fターム(参考)】