説明

太陽電池およびその製造方法

【課題】より安価なシリコン微粒子を原料として低コストで製造可能な太陽電池とその製造方法を提供する。
【解決手段】太陽電池1は、第1の官能基を有する被膜で被覆された透明電極14の表面に、第2の官能基を有する被膜で被覆されたn型シリコン微粒子24が1層結合固定され、その上には第3の官能基を有する被膜で被覆されたp型シリコン微粒子25が1層結合固定されており、第1と第2の官能基、および第2と第3の官能基とは、カップリング剤のカップリング反応基との間で生成された結合を介してそれぞれ固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、微粒子の表面に導入された反応性基と架橋剤との架橋反応により微粒子を含む塗膜を硬化して得られる太陽電池およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来知られているシリコン太陽電池としては、ガラス基板の表面にプラズマCVD法を用いて製膜したアモルファスシリコン太陽電池、シリコンの単結晶または多結晶を切断して板状に加工した後不純物拡散したシリコン結晶型太陽電池等が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−247629号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、アモルファスシリコン太陽電池の製造には高価な真空機器を必要とするという問題点がある。また、シリコン結晶型太陽電池の製造には、高純度のシリコン単結晶または多結晶を大量に必要とするため、製造コストが高くなるという問題点がある。
【0005】
本発明は、前記課題に鑑み、より安価な半導体微粒子を原料として低コストで製造可能な太陽電池とその製造方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う第1の発明に係る太陽電池は、第1の官能基を有する第1の膜化合物の形成する被膜で被覆された透明電極の表面に、第2の官能基を有する第2の膜化合物の形成する被膜で被覆されたn型半導体微粒子が1層結合固定され、前記n型半導体微粒子の層の上には第3の官能基を有する第3の膜化合物の形成する被膜で被覆されたp型半導体微粒子が1層結合固定された太陽電池であって、前記被覆されたn型半導体微粒子は、前記第1の官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第1のカップリング反応基と、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第2のカップリング反応基とを有する第1のカップリング剤と、前記第1および前記第2の官能基とのカップリング反応により形成された結合を介して結合固定され、前記被覆されたp型半導体微粒子は、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第2のカップリング反応基と、前記第3の官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第3のカップリング反応基とを有する第2のカップリング剤と、前記第2および前記第3の官能基とのカップリング反応により形成された結合を介して結合固定されている。
なお、「カップリング反応」とは、官能基間の付加反応、または縮合反応により生成する任意の反応をいい、熱反応、および光反応のいずれであってもよい。
【0007】
第1の発明に係る太陽電池において、前記透明電極の表面に前記第1の膜化合物の形成する被膜の表面は、前記第1の官能基と前記第1のカップリング反応基とのカップリング反応により結合した前記第1のカップリング剤の形成する被膜でさらに被覆され、前記p型半導体微粒子の表面に前記第3の膜化合物の形成する被膜の表面は、前記第3の官能基と前記第3のカップリング反応基とのカップリング反応により結合した前記第2のカップリング剤の形成する被膜でさらに被覆されていてもよい。
【0008】
第1の発明に係る太陽電池において、前記n型半導体微粒子の表面に前記第2の膜化合物の形成する被膜の表面は、前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応により結合した前記第1のカップリング剤の形成する被膜でさらに被覆されていてもよい。
【0009】
第1の発明に係る太陽電池において、前記第1〜第3の膜化合物とが同一の化合物であることが好ましい。
また、前記第1〜第3の膜化合物の形成する被膜が全て単分子膜であることが好ましい。
【0010】
第2の発明に係る太陽電池は、第1の官能基を有する第1の膜化合物の形成する被膜で被覆された透明電極の表面に、n型半導体微粒子が前記被覆された透明電極側から裏面電極側に向かって第1層から第x層(xは1以上の整数)まで順次積層し、その上に、p型半導体微粒子が、第y層(yは、y≧x+1である整数)までさらに順次積層した半導体微粒子層が形成され、第m番目(mは、1≦m≦yである整数)の前記半導体微粒子層を形成している前記被覆された半導体微粒子の表面は、第(m+1)の官能基を有する第mの膜化合物の形成する被膜で被覆されており、前記半導体微粒子層の第(m−1)層と第m層は、第mの官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第mのカップリング反応基と、前記第(m+1)の官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第(m+1)のカップリング反応基とを有する第mのカップリング剤と、前記第mの官能基と前記第mのカップリング反応基とのカップリング反応により形成された結合、および前記第(m+1)の官能基と前記第(m+1)のカップリング反応基とのカップリング反応により形成された結合を介して互いに固定されている。
【0011】
第2の発明に係る太陽電池において、前記第1〜第(y+1)の膜化合物、ならびに前記第1〜第yのカップリング剤がそれぞれ同一の化合物であることが好ましい。
また、前記第1〜第(y+1)の膜化合物が形成する被膜が全て単分子膜であることが好ましい。
【0012】
第1および第2の発明に係る太陽電池において、前記カップリング反応により形成された結合が、アミノ基またはイミノ基とエポキシ基との反応により形成されたN−CHCH(OH)結合であってもよい。
【0013】
第1および第2の発明に係る太陽電池において、前記カップリング反応により形成された結合が、アミノ基またはイミノ基とイソシアネート基との反応により形成されたNH−CONH結合であってもよい。
【0014】
第3の発明に係る太陽電池の製造方法は、分子の両端にそれぞれ第1の官能基および第1の結合基を有する第1の膜化合物の形成する被膜で被覆された透明電極の表面に、分子の両端にそれぞれ第2の官能基および第2の結合基を有する第2の膜化合物の形成する被膜で被覆されたn型半導体微粒子が配列した第1の微粒子層が結合固定され、前記n型半導体微粒子層の上には分子の両端にそれぞれ第3の官能基および第3の結合基を有する第3の膜化合物の形成する被膜で被覆されたp型半導体微粒子が配列した第2の微粒子層が結合固定された太陽電池の製造方法であって、前記第1の膜化合物を含む溶液を透明電極の表面に接触させ、前記第1の結合基と前記透明電極の表面との間で結合を形成させ、前記第1の膜化合物の形成する被膜で前記透明電極の表面が被覆された被覆透明電極を調製する工程Aと、第2の官能基を有する第2の膜化合物を含む溶液をn型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第2の結合基と前記第1の微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第2の膜化合物の形成する被膜で前記n型半導体微粒子の表面が被覆された被覆n型半導体微粒子を調製する工程Bと、前記第3の膜化合物を含む溶液をp型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第3の結合基と前記p型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第3の膜化合物の形成する被膜で前記p型半導体微粒子の表面が被覆された被覆p型半導体微粒子を調製する工程Cと、前記第1の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第1のカップリング反応基と、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第2のカップリング反応基とを有する第1のカップリング剤を、前記被覆された透明電極および前記被覆n型半導体微粒子の表面にそれぞれ接触させ、前記第1の官能基と前記第1のカップリング反応基とのカップリング反応、および前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応により結合を形成させ、前記被覆n型半導体微粒子からなる1層のn型半導体微粒子層を、前記被覆透明電極の表面に結合固定し、次いで、前記被覆透明電極の表面に固定されなかった前記被覆n型半導体微粒子を除去する工程Dと、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第2のカップリング反応基と、前記第3の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第3のカップリング反応基とを有する第2のカップリング剤を、前記n型半導体微粒子層および前記被覆p型半導体微粒子の表面にそれぞれ接触させ、前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応、および前記第3の官能基と前記第3のカップリング反応基とのカップリング反応により結合を形成させ、前記被覆p型半導体微粒子からなる1層のp型半導体微粒子層を、前記n型半導体微粒子層の上に結合固定し、次いで、前記n型半導体微粒子層の上に固定されなかった前記被覆p型半導体微粒子を除去する工程Eと、前記p型半導体微粒子層の上に裏面電極を形成する工程Fとを有する。
【0015】
第3の発明に係る太陽電池の製造方法において、前記工程Dでは、前記第1のカップリング剤を、まず、前記被覆透明電極の被覆された表面に接触させ、該第1のカップリング剤の被膜を有する反応性透明電極を調製し、次いで、該反応性透明電極の表面に前記被覆n型半導体微粒子を接触させ、該反応性透明電極の表面に前記被覆n型半導体微粒子を固定し、前記工程Eでは、まず前記第2のカップリング剤を前記被覆p型半導体微粒子に接触させ、該第2のカップリング剤の被膜を有する反応性p型半導体微粒子を調製し、次いで前記被覆n型半導体微粒子の上に前記反応性p型半導体微粒子を接触させ、前記反応性p型半導体微粒子を固定してもよい。
【0016】
第3の発明に係る太陽電池の製造方法において、前記工程Dでは、まず、前記被覆n型半導体微粒子の表面に前記第1のカップリング剤を接触させ、前記第1のカップリング剤の被膜を有する反応性n型半導体微粒子を調製し、次いで、該反応性n型半導体微粒子の表面を前記被覆透明電極と接触させ、該被覆透明電極の表面に前記反応性n型半導体微粒子を固定し、前記工程Eでは、前記反応性n型半導体微粒子の上に前記被覆p型半導体微粒子を接触させ、前記反応性p型半導体微粒子を固定してもよい。
【0017】
第3の発明に係る太陽電池の製造方法において、前記第1〜第3の膜化合物とが同一の化合物であることが好ましい。
【0018】
第3の発明に係る太陽電池の製造方法において、前記工程A、B、およびCにおいて、未反応の前記第1〜第3の膜化合物は洗浄除去され、前記第1〜第3の膜化合物が被膜は全て単分子膜であることが好ましい。
【0019】
第4の発明に係る太陽電池の製造方法は、分子の両端にそれぞれ第1の官能基および第1の結合基を有する第1の膜化合物の形成する被膜で被覆された透明電極の表面に、n型半導体微粒子が前記被覆された透明電極側から裏面電極側に向かって第1層から第x層(xは2以上の偶数)まで順次積層し、その上に、p型半導体微粒子が、第y層(yは、y≧x+1である整数)までさらに順次積層した半導体微粒子層が形成された太陽電池の製造方法であって、前記第1の膜化合物を含む溶液を透明電極の表面に接触させ、前記第1の結合基と前記透明電極の表面との間で結合を形成させ、前記第1の膜化合物の形成する被膜で前記透明電極の表面が被覆された被覆透明電極を調製する工程Aと、分子の両端にそれぞれ第2の官能基および第2の結合基を有する第2の膜化合物を含む溶液をn型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第2の結合基と前記n型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第2の膜化合物の形成する被膜で前記n型半導体微粒子の表面が被覆された被覆n型半導体微粒子を調製する工程Bと、前記第2の膜化合物を含む溶液をp型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第2の結合基と前記p型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第2の膜化合物の形成する被膜で前記p型半導体微粒子の表面が被覆された被覆p型半導体微粒子を調製する工程Cと、前記被覆透明電極の前記被覆された表面に前記第1の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第1のカップリング反応基と、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第2のカップリング反応基とを有する第1のカップリング剤を接触させ、該第1のカップリング剤の被膜を有する反応性透明電極を調製する工程Dと、分子の両端にそれぞれ第3の官能基および第3の結合基を有する第3の膜化合物を含む溶液をn型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第3の結合基と前記n型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、さらにその表面に、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第2のカップリング反応基と、前記第3の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第3のカップリング反応基とを有する第2のカップリング剤を接触させ、前記第3の官能基と前記第3のカップリング反応基とのカップリング反応により形成させた結合を介して固定された前記第2のカップリング剤の形成する被膜を表面に有する反応性n型半導体微粒子を調製する工程Eと、分子の両端にそれぞれ第4の官能基および第4の結合基を有する第4の膜化合物を含む溶液をp型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第4の結合基と前記p型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、さらにその表面に、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第2のカップリング反応基と、前記第4の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第4のカップリング反応基とを有する第3のカップリング剤を接触させ、前記第4の官能基と前記第4のカップリング反応基とのカップリング反応により形成させた結合を介して固定された前記第3のカップリング剤の形成する被膜を表面に有する反応性p型半導体微粒子を調製する工程Fと、前記反応性透明電極の表面に、前記被覆n型半導体微粒子および前記反応性n型半導体微粒子を交互に積層させ、前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応を介して固定し、第1層から第x層まで順次積層したn型半導体微粒子からなる半導体微粒子層を形成する工程Gと、前記工程Gで形成された前記半導体微粒子膜の表層に位置する前記反応性n型半導体微粒子の微粒子層の上に、前記被覆p型半導体微粒子および前記反応性p型半導体微粒子を交互に積層させ、前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応を介して固定し、第(x+1)層から第y層まで順次積層したp型半導体微粒子からなる半導体微粒子層を形成する工程Hと、前記工程Hで形成された前記半導体微粒子膜の表層に裏面電極を形成する工程Iとを有する。
【0020】
第5の発明に係る太陽電池の製造方法は、分子の両端にそれぞれ第1の官能基および第1の結合基を有する第1の膜化合物の形成する被膜で被覆された透明電極の表面に、n型半導体微粒子が前記被覆された透明電極側から裏面電極側に向かって第1層から第x層(xは1以上の奇数)まで順次積層し、その上に、p型半導体微粒子が、第y層(yは、y≧x+1である整数)までさらに順次積層した半導体微粒子層が形成された太陽電池の製造方法であって、前記第1の膜化合物を含む溶液を透明電極の表面に接触させ、前記第1の結合基と前記透明電極の表面との間で結合を形成させ、前記第1の膜化合物の形成する被膜で前記透明電極の表面が被覆された被覆透明電極を調製する工程Aと、分子の両端にそれぞれ第2の官能基および第2の結合基を有する第2の膜化合物を含む溶液をn型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第2の結合基と前記n型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第2の膜化合物の形成する被膜で前記n型半導体微粒子の表面が被覆された被覆n型半導体微粒子を調製する工程Bと、前記第2の膜化合物を含む溶液をp型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第2の結合基と前記p型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第2の膜化合物の形成する被膜で前記p型半導体微粒子の表面が被覆された被覆p型半導体微粒子を調製する工程Cと、前記被覆透明電極の前記被覆された表面に前記第1の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第1のカップリング反応基と、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第2のカップリング反応基とを有する第1のカップリング剤を接触させ、該第1のカップリング剤の被膜を有する反応性透明電極を調製する工程Dと、分子の両端にそれぞれ第3の官能基および第3の結合基を有する第3の膜化合物を含む溶液をn型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第3の結合基と前記n型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、さらにその表面に、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第2のカップリング反応基と、前記第3の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第3のカップリング反応基とを有する第2のカップリング剤を接触させ、前記第3の官能基と前記第3のカップリング反応基とのカップリング反応により形成させた結合を介して固定された前記第2のカップリング剤の形成する被膜を表面に有する反応性n型半導体微粒子を調製する工程Eと、分子の両端にそれぞれ第4の官能基および第4の結合基を有する第4の膜化合物を含む溶液をp型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第4の結合基と前記p型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、さらにその表面に、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第2のカップリング反応基と、前記第4の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第4のカップリング反応基とを有する第3のカップリング剤を接触させ、前記第4の官能基と前記第4のカップリング反応基とのカップリング反応により形成させた結合を介して固定された前記第3のカップリング剤の形成する被膜を表面に有する反応性p型半導体微粒子を調製する工程Fと、前記反応性透明電極の表面に、前記被覆n型半導体微粒子および前記反応性n型半導体微粒子を交互に積層させ、前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応を介して固定し、第1層から第x層まで順次積層したn型半導体微粒子からなる半導体微粒子層を形成する工程Gと、前記工程Gで形成された前記半導体微粒子膜の表層に位置する前記被覆n型半導体微粒子の微粒子層の上に、前記反応性p型半導体微粒子および前記被覆p型半導体微粒子を交互に積層させ、前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応を介して固定し、第(x+1)層から第y層まで順次積層したp型半導体微粒子からなる半導体微粒子層を形成する工程Hと、
前記工程Hで形成された前記半導体微粒子膜の表層に裏面電極を形成する工程Iとを有する。
【0021】
第4および第5の発明に係る太陽電池の製造方法において、前記第1〜第4の膜化合物、および前記第1〜第3のカップリング剤がそれぞれ同一の化合物であることが好ましい。
また、前記工程A、B、C、E、およびFにおいて、未反応の前記第1〜第4の膜化合物は洗浄除去され、前記第1〜第4の膜化合物が形成する被膜は、単分子膜であることが好ましい。
【0022】
第6の発明に係る太陽電池の製造方法は、分子の両端にそれぞれ第1の官能基および第1の結合基を有する第1の膜化合物の形成する被膜で被覆された透明電極の表面に、n型半導体微粒子が前記被覆された透明電極側から裏面電極側に向かって第1層から第x層(xは2以上の偶数)まで順次積層し、その上に、p型半導体微粒子が、第y層(yは、y≧x+1である整数)までさらに順次積層した半導体微粒子層が形成された太陽電池の製造方法であって、前記第1の膜化合物を含む溶液を透明電極の表面に接触させ、前記第1の結合基と前記透明電極の表面との間で結合を形成させ、前記第1の膜化合物の形成する被膜で前記透明電極の表面が被覆された被覆透明電極を調製する工程Aと、前記第1の膜化合物を含む溶液をn型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第1の結合基と前記n型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第1の膜化合物の形成する被膜で前記n型半導体微粒子の表面が被覆された被覆n型半導体微粒子を調製する工程Bと、前記第1の膜化合物を含む溶液をp型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第1の結合基と前記p型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第1の膜化合物の形成する被膜で前記p型半導体微粒子の表面が被覆された被覆p型半導体微粒子を調製する工程Cと、分子の両端にそれぞれ第2の官能基および第2の結合基を有する第2の膜化合物を含む溶液をn型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第2の結合基と前記n型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、さらにその表面に、前記第1の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第1のカップリング反応基と、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第2のカップリング反応基とを有する第1のカップリング剤を接触させ、前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応により形成させた結合を介して固定された前記第1のカップリング剤の形成する被膜を表面に有する反応性n型半導体微粒子を調製する工程Eと、分子の両端にそれぞれ第3の官能基および第3の結合基を有する第3の膜化合物を含む溶液をp型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第3の結合基と前記p型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、さらにその表面に、前記第1の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第1のカップリング反応基と、前記第3の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第3のカップリング反応基とを有する第2のカップリング剤を接触させ、前記第3の官能基と前記第3のカップリング反応基とのカップリング反応により形成させた結合を介して固定された前記第2のカップリング剤の形成する被膜を表面に有する反応性p型半導体微粒子を調製する工程Fと、前記被覆透明電極の表面に、前記反応性n型半導体微粒子および前記被覆n型半導体微粒子を交互に積層させ、前記第1の官能基と前記第1のカップリング反応基とのカップリング反応を介して固定し、第1層から第x層まで順次積層したn型半導体微粒子からなる半導体微粒子層を形成する工程Gと、前記工程Gで形成された前記半導体微粒子膜の表層に位置する前記被覆n型半導体微粒子の微粒子層の上に、前記反応性p型半導体微粒子および前記被覆p型半導体微粒子を交互に積層させ、前記第1の官能基と前記第1のカップリング反応基とのカップリング反応を介して固定し、第(x+1)層から第y層まで順次積層したp型半導体微粒子からなる半導体微粒子層を形成する工程Hと、前記工程Hで形成された前記半導体微粒子膜の表層に裏面電極を形成する工程Iとを有する。
【0023】
第7の発明に係る太陽電池の製造方法は、第1の官能基を有する第1の膜化合物の形成する被膜で被覆された透明電極の表面に、n型半導体微粒子が前記被覆された透明電極側から裏面電極側に向かって第1層から第x層(xは1以上の奇数)まで順次積層し、その上に、p型半導体微粒子が、第y層(yは、y≧x+1である整数)までさらに順次積層した半導体微粒子層が形成された太陽電池の製造方法であって、前記第1の膜化合物を含む溶液を透明電極の表面に接触させ、前記第1の結合基と前記透明電極の表面との間で結合を形成させ、前記第1の膜化合物の形成する被膜で前記透明電極の表面が被覆された被覆透明電極を調製する工程Aと、前記第1の膜化合物を含む溶液をn型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第1の結合基と前記n型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第1の膜化合物の形成する被膜で前記n型半導体微粒子の表面が被覆された被覆n型半導体微粒子を調製する工程Bと、前記第1の膜化合物を含む溶液をp型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第1の結合基と前記p型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第1の膜化合物の形成する被膜で前記p型半導体微粒子の表面が被覆された被覆p型半導体微粒子を調製する工程Cと、分子の両端にそれぞれ第2の官能基および第2の結合基を有する第2の膜化合物を含む溶液をn型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第2の結合基と前記n型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、さらにその表面に、前記第1の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第1のカップリング反応基と、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第2のカップリング反応基とを有する第1のカップリング剤を接触させ、前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応により形成させた結合を介して固定された前記第1のカップリング剤の形成する被膜を表面に有する反応性n型半導体微粒子を調製する工程Eと、分子の両端にそれぞれ第3の官能基および第3の結合基を有する第3の膜化合物を含む溶液をp型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第3の結合基と前記p型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、さらにその表面に、前記第1の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第1のカップリング反応基と、前記第3の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第3のカップリング反応基とを有する第2のカップリング剤を接触させ、前記第3の官能基と前記第3のカップリング反応基とのカップリング反応により形成させた結合を介して固定された前記第2のカップリング剤の形成する被膜を表面に有する反応性p型半導体微粒子を調製する工程Fと、前記被覆透明電極の表面に、前記反応性n型半導体微粒子および前記被覆n型半導体微粒子を交互に積層させ、前記第1の官能基と前記第1のカップリング反応基とのカップリング反応を介して固定し、第1層から第x層まで順次積層したn型半導体微粒子からなる半導体微粒子層を形成する工程Gと、前記工程Gで形成された前記半導体微粒子膜の表層に位置する前記反応性n型半導体微粒子の微粒子層の上に、前記被覆p型半導体微粒子および前記反応性p型半導体微粒子を交互に積層させ、前記第1の官能基と前記第1のカップリング反応基とのカップリング反応を介して固定し、第(x+1)層から第y層まで順次積層したp型半導体微粒子からなる半導体微粒子層を形成する工程Hと、前記工程Hで形成された前記半導体微粒子膜の表層に裏面電極を形成する工程Iとを有する。
【0024】
第6および第7の発明に係る太陽電池の製造方法において、前記第1〜第3の膜化合物、および前記第1および第2のカップリング剤がそれぞれ同一の化合物であることが好ましい。
また、前記工程A、B、C、E、およびFにおいて、未反応の前記第1〜第3の膜化合物は洗浄除去され、前記第1〜第3の膜化合物が形成する被膜が、単分子膜であることが好ましい。
【0025】
第3、第6および第7の発明に係る太陽電池の製造方法において、前記第1および第2の膜化合物は全てアルコキシシラン化合物であり、前記第1および第2の膜化合物を含む溶液は、さらに縮合触媒として、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル、およびチタン酸エステルキレートからなる群から選択される1または2以上の化合物を含んでいてもよい。
あるいは、前記第1〜第3の膜化合物は全てアルコキシシラン化合物であり、前記第1〜第3の膜化合物を含む溶液は、さらに縮合触媒として、ケチミン化合物、有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、およびアミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1または2以上の化合物をさらに含んでいてもよい。
【0026】
第4および第5の発明に係る太陽電池の製造方法において、前記第1〜第4の膜化合物は全てアルコキシシラン化合物であり、前記第1〜第4の膜化合物を含む溶液は、さらに縮合触媒として、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル、およびチタン酸エステルキレートからなる群から選択される1または2以上の化合物を含んでいてもよい。
また、前記第1〜第3の膜化合物は全てアルコキシシラン化合物であり、前記第1〜第3の膜化合物を含む溶液は、さらに縮合触媒として、ケチミン化合物、有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、およびアミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1または2以上の化合物をさらに含んでいてもよい。
【0027】
これらの場合において、さらに助触媒として、ケチミン化合物、有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、およびアミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1または2以上の化合物をさらに含むことが好ましい。
【0028】
第3〜第7の発明に係る太陽電池の製造方法において、前記カップリング反応により形成された結合が、アミノ基またはイミノ基とエポキシ基との反応により形成されたN−CHCH(OH)結合であってもよい。
あるいは、前記カップリング反応により形成された結合が、アミノ基またはイミノ基とイソシアネート基との反応により形成されたNH−CONH結合であることを特徴とする太陽電池の製造方法。
【発明の効果】
【0029】
請求項1〜10に記載の太陽電池および請求項11〜30に記載の太陽電池の製造方法においては、半導体性半導体微粒子を用い、半導体微粒子本来の機能を損なうことなく、任意の透明基板表面に、およびP型半導体微粒子を1層ずつ製膜した粒子サイズレベルで均一厚みの半導体微粒子膜太陽電池や、nおよびp型半導体微粒子を1層のみ並べた膜を複数層累積した半導体微粒子膜積層型太陽電池およびそれらの製造方法を低コストで提供できる格別の効果がある。
また、透明電極の表面に半導体微粒子が1層結合固定されているので、太陽電池の剥離強度を高めることができる。
さらに、カップリング反応により形成された結合を介して半導体微粒子膜を1層ずつ積層固定するので、微粒子膜の膜厚を容易に制御できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1(a)は本発明の第1の実施の形態に係る太陽電池の断面構造を模式的に表した説明図、図1(b)は本発明の第2の実施の形態に係る太陽電池の断面構造を模式的に表した説明図、図2は本発明の一実施の形態に係る太陽電池の製造方法において、エポキシ化ITOガラス板を製造する工程を説明するために分子レベルまで拡大した概念図であり、図2(a)は反応前のITOガラス板の断面構造、図2(b)はエポキシ基を有する膜化合物の単分子膜が形成されたITOガラス板の断面構造をそれぞれ表し、図3は同太陽電池の製造方法において、エポキシ化n型シリコン微粒子を製造する工程を説明するために分子レベルまで拡大した概念図であり、図3(a)は反応前のn型シリコン微粒子の断面構造、図3(b)はエポキシ基を有する膜化合物の単分子膜が形成されたn型シリコン微粒子の断面構造をそれぞれ表し、図4(a)、(b)はエポキシ化ITOガラス板の表面に、エポキシ基と2−メチルイミダゾールのアミノ基とのカップリング反応により形成された結合を介して固定された2−メチルイミダゾールの被膜を有する反応性ITOガラス板の断面構造を模式的に表した説明図、図5は太陽電池の製造に用いられる膜化合物およびカップリング剤の組み合わせを模式的に表した説明図である。
【0031】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る太陽電池1について説明する。
図1(a)に示すように、太陽電池1は、反応性ITOガラス板(反応性透明電極の一例)32の表面に、エポキシ化n型シリコン微粒子(被覆n型半導体微粒子の一例)24が配列した微粒子層が1層結合固定されている。エポキシ化n型シリコン微粒子24の上には、反応性p型シリコン微粒子(反応性p型半導体微粒子の一例)43が1層結合固定され、さらにその上にアルミニウム電極(裏面電極の一例)51が形成されている。
【0032】
反応性ITOガラス板32のITO被膜(図1(a)および図2において、斜線を付した長方形で図示している)側の表面は、エポキシ基を有する膜化合物(第1の膜化合物の一例)の単分子膜13で被覆され、さらにその表面は、2−メチルイミダゾール(第1のカップリング剤の一例)のアミノ基(第1のカップリング反応基の一例)とエポキシ基とのカップリング反応により形成された結合を介して固定された2-メチルイミダゾールの被膜で被覆されている(図2参照)。
反応性ITOガラス板32の表面には、エポキシ化n型シリコン微粒子24が1層結合固定されている。
エポキシ化n型シリコン微粒子24の上に結合固定されている反応性p型シリコン微粒子43の表面は、エポキシ基を有する膜化合物(第3の膜化合物の一例)の単分子膜23で被覆され、2−メチルイミダゾール(第3のカップリング剤の一例)のアミノ基(第3のカップリング反応基の一例)とエポキシ基とのカップリング反応により形成された結合を介して固定された2-メチルイミダゾールの被膜でさらに被覆されている(図1(a)、図3参照)。
反応性ITOガラス板32とエポキシ化n型シリコン微粒子24、およびエポキシ化n型シリコン微粒子24と反応性p型シリコン微粒子43との間は、エポキシ基と2−メチルイミダゾールのアミノ基またはイミノ基とのカップリング反応により形成された結合を介して互いに結合固定されている。
【0033】
太陽電池1の製造方法は、図2(a)、(b)、図3(a)、(b)、図4に示すように、エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物(第1の膜化合物の一例)を含む溶液をITOガラス板(基材の一例)11の表面に接触させ、アルコキシシリル基(第1の結合基の一例)とITOガラス板11の表面との間で結合を形成させ、エポキシ化ITOガラス板14(被覆基材の一例)を調製する工程A(図2参照)と、エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物(第2の膜化合物の一例)をn型シリコン微粒子(n型半導体微粒子の一例)21の表面に接触させ、アルコキシシリル基(第2の結合基の一例)とn型シリコン微粒子21の表面との間で結合を形成させ、エポキシ化n型シリコン微粒子24を調製する工程B(図3参照)と、
エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物(第3の膜化合物の一例)をp型シリコン微粒子(p型半導体微粒子の一例)の表面に接触させ、アルコキシシリル基(第3の結合基の一例)とp型シリコン微粒子21の表面との間で結合を形成させ、エポキシ化p型シリコン微粒子(被覆p型半導体微粒子の一例)25を調製する工程Cと、まず、エポキシ化ITOガラス板14の表面に、2−メチルイミダゾールを接触させ、エポキシ基とアミノ基とをカップリング反応させて反応性ITOガラス板32を調製し、次いで、反応性ITOガラス板32の表面にエポキシ化n型シリコン微粒子24を接触させ、エポキシ基とイミノ基(第2のカップリング反応基の一例)とのカップリング反応により結合を形成させ、反応性ITOガラス板32の表面にエポキシ化n型シリコン微粒子24を固定し、次いで、固定されなかったエポキシ化n型シリコン微粒子24を除去する工程D(図4(a)参照)と、エポキシ化アルコキシシラン化合物を含む溶液をp型シリコン微粒子の表面に接触させ、アルコキシシリル基とp型シリコン微粒子の表面との間で結合を形成させ、エポキシ化p型シリコン微粒子25を調製し、次いで、エポキシ化p型シリコン微粒子25の表面に、2−メチルイミダゾール(第2のカップリング剤の一例)を接触させ、エポキシ基(第3の官能基の一例)とアミノ基とのカップリング反応により形成させた結合を介して固定された2−メチルイミダゾールの形成する被膜を表面に有する反応性p型シリコン微粒子43を調製し、エポキシ化n型シリコン微粒子24の微粒子層の上に反応性p型シリコン微粒子43を接触させ、エポキシ基とイミノ基とのカップリング反応により結合を形成させ、反応性p型シリコン微粒子43をエポキシ化n型シリコン微粒子24の上に結合固定し、次いで、結合固定されなかった反応性p型シリコン微粒子43を除去する工程Eと、反応性p型シリコン微粒子43の層の上にアルミニウム電極51を形成する工程Fとを有する。
【0034】
以下、工程A〜Fについてより詳細に説明する。
工程Aでは、エポキシ基を有する膜化合物をITOガラス板11に接触させ、エポキシ基を有する膜化合物の単分子膜13で表面が覆われたエポキシ化ITOガラス板14を製造する(図2)。
なお、ITOガラス板11の大きさには特に制限はない。
【0035】
エポキシ基を有する膜化合物としては、ITOガラス板11の表面に吸着または結合し、自己組織化により単分子膜を形成することのできる任意の化合物を用いることができるが、直鎖状アルキレン基の一方の末端にエポキシ基(オキシラン環)を含む官能基を、他方の末端にアルコキシシリル基(第1の結合基の一例)をそれぞれ有し、下記の一般式(化1)で表されるアルコキシシラン化合物が好ましい。
【0036】
【化1】

【0037】
上式において、官能基Eはエポキシ基を有する官能基を、mは3〜20の整数を、Rは炭素数1〜4のアルキル基をそれぞれ表す。
用いることのできるエポキシ基を有する膜化合物の具体例としては、下記(1)〜(12)に示したアルコキシシラン化合物が挙げられる。
【0038】
(1) (CHOCH)CH2O(CH2)Si(OCH)3
(2) (CHOCH)CH2O(CH2)Si(OCH)3
(3) (CHOCH)CH2O(CH2)11Si(OCH)3
(4) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OCH)3
(5) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OCH)3
(6) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OCH)3
(7) (CHOCH)CH2O(CH2)Si(OC)3
(8) (CHOCH)CH2O(CH2)Si(OC)3
(9) (CHOCH)CH2O(CH2)11Si(OC)3
(10) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OC)3
(11) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OC)3
(12) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OC)3
【0039】
ここで、(CHOCH)CHO−基は、化2で表される官能基(グリシジル基)を表し、(CHCHOCH(CH)CH−基は、化3で表される官能基(3,4−エポキシシクロヘキシル基)を表す。
【0040】
【化2】

【0041】
【化3】

【0042】
エポキシ化ITOガラス板14の製造は、エポキシ基およびアルコキシシリル基(第2の結合基の一例)を含むアルコキシシラン化合物と、アルコキシシリル基とITOガラス板11の表面のヒドロキシル基12との縮合反応を促進するための縮合触媒と、非水系の有機溶媒とを混合した反応液をITOガラス板11の表面に塗布し、室温の空気中で反応させることにより行われる。塗布は、ドクターブレード法、ディップコート法、スピンコート法、スプレー法、スクリーン印刷法等の任意の方法により行うことができる。
【0043】
縮合触媒としては、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステルおよびチタン酸エステルキレート等の金属塩が利用可能である。
縮合触媒の添加量は、好ましくはアルコキシシラン化合物の0.2〜5質量%であり、より好ましくは0.5〜1質量%である。
【0044】
カルボン酸金属塩の具体例としては、酢酸第1スズ、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジオクテート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクタン酸第1スズ、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、2−エチルヘキセン酸鉄が挙げられる。
【0045】
カルボン酸エステル金属塩の具体例としては、ジオクチルスズビスオクチリチオグリコール酸エステル塩、ジオクチルスズマレイン酸エステル塩が挙げられる。
カルボン酸金属塩ポリマーの具体例としては、ジブチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジメチルスズメルカプトプロピオン酸塩ポリマーが挙げられる。
カルボン酸金属塩キレートの具体例としては、ジブチルスズビスアセチルアセテート、ジオクチルスズビスアセチルラウレートが挙げられる。
【0046】
チタン酸エステルの具体例としては、テトラブチルチタネート、テトラノニルチタネートが挙げられる。
チタン酸エステルキレート類の具体例としては、ビス(アセチルアセトニル)ジ−プロピルチタネートが挙げられる。
【0047】
アルコキシシリル基とITOガラス板11の表面のヒドロキシル基12とが縮合反応を起こし、下記の化4で示されるような構造を有するエポキシ基を有する膜化合物の単分子膜13を生成する。なお、酸素原子から延びた3本の単結合はITOガラス板11の表面または隣接するシラン化合物のケイ素(Si)原子と結合しており、そのうち少なくとも1本はITOガラス板11の表面のケイ素原子と結合している。
【0048】
【化4】

【0049】
アルコキシシリル基は、水分の存在下で分解するので、反応は相対湿度45%以下の空気中で行うことが好ましい。なお、縮合反応は、ITOガラス板11の表面に付着した油脂分や水分により阻害されるので、ITOガラス板11をよく洗浄して乾燥することにより、これらの不純物を予め除去しておくことが好ましい。
縮合触媒として上述の金属塩のいずれかを用いた場合、縮合反応の完了までに要する時間は2時間程度である。
【0050】
上述の金属塩の代わりに、ケチミン化合物、有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1または2以上の化合物を縮合触媒として用いた場合、反応時間を1/2〜2/3程度まで短縮できる。
【0051】
あるいは、これらの化合物を助触媒として、上述の金属塩と混合(質量比1:9〜9:1の範囲で使用可能だが、1:1前後が好ましい)して用いると、反応時間をさらに短縮できる。
【0052】
例えば、縮合触媒として、ジブチルスズオキサイドの代わりにケチミン化合物であるジャパンエポキシレジン社のH3を用い、その他の条件は同一にしてエポキシ化n型シリコン微粒子21の製造を行うと、エポキシ化n型シリコン微粒子21の品質を損なうことなく反応時間を1時間程度にまで短縮できる。
【0053】
さらに、縮合触媒として、ジャパンエポキシレジン社のH3とジブチルスズビスアセチルアセトネートとの混合物(混合比は1:1)を用い、その他の条件は同一にしてエポキシ化n型シリコン微粒子21の製造を行うと、反応時間を20分程度に短縮できる。
【0054】
なお、ここで用いることができるケチミン化合物は特に限定されるものではないが、例えば、2,5,8−トリアザ−1,8−ノナジエン、3,11−ジメチル−4,7,10−トリアザ−3,10−トリデカジエン、2,10−ジメチル−3,6,9−トリアザ−2,9−ウンデカジエン、2,4,12,14−テトラメチル−5,8,11−トリアザ−4,11−ペンタデカジエン、2,4,15,17−テトラメチル−5,8,11,14−テトラアザ−4,14−オクタデカジエン、2,4,20,22−テトラメチル−5,12,19−トリアザ−4,19−トリエイコサジエン等が挙げられる。
【0055】
また、用いることができる有機酸としても特に限定されるものではないが、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、マロン酸等が挙げられる。
【0056】
反応液の製造には、有機塩素系溶媒、炭化水素系溶媒、フッ化炭素系溶媒、シリコーン系溶媒、およびこれらの混合溶媒を用いることができる。アルコキシシラン化合物の加水分解を防止するために、乾燥剤または蒸留により使用する溶媒から水分を除去しておくことが好ましい。また、溶媒の沸点は50〜250℃であることが好ましい。
【0057】
具体的に使用可能な溶媒としては、非水系の石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、ノナン、デカン、灯油、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテルシリコーン、ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
さらに、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、あるいはそれらの混合物を用いることもできる。
【0058】
また、用いることができるフッ化炭素系溶媒としては、フロン系溶媒、フロリナート(米国3M社製)、アフルード(旭硝子株式会社製)等がある。なお、これらは1種単独で用いても良いし、良く混ざるものなら2種以上を組み合わせてもよい。さらに、ジクロロメタン、クロロホルム等の有機塩素系溶媒を添加してもよい。
【0059】
反応液におけるアルコキシシラン化合物の好ましい濃度は、0.5〜3質量%である。
【0060】
反応後、溶媒で洗浄し、未反応物として表面に残った余分なアルコキシシラン化合物および縮合触媒を除去すると、エポキシ基を有する膜化合物の単分子膜13で表面が覆われたエポキシ化ITOガラス板14が得られる。このようにして製造されるエポキシ化ITOガラス板14の断面構造の模式図を図2(b)に示す。
【0061】
洗浄溶媒としては、アルコキシシラン化合物を溶解できる任意の溶媒を用いることができるが、安価であり、溶解性が高く、風乾により容易に除去することのできるジクロロメタン、クロロホルム、N−メチルピロリドン等が好ましい。
【0062】
反応後、生成したエポキシ化ITOガラス板14を溶媒で洗浄せずに空気中に放置すると、表面に残ったアルコキシシラン化合物の一部が空気中の水分により加水分解を受け、生成したシラノール基がアルコキシシリル基と縮合反応を起こす。その結果、エポキシ化ITOガラス板14の表面にポリシロキサンよりなる極薄のポリマー膜が形成される。このポリマー膜は、エポキシ化ITOガラス板14の表面に必ずしも共有結合により固定されていないが、エポキシ基を含んでいるため、エポキシ化ITOガラス板14に対してエポキシ基を有する膜化合物の単分子膜13と同様の反応性を有している。そのため、洗浄を行わなくても、工程C以降の製造工程に特に支障をきたすことはない。
【0063】
なお、本実施の形態においては、エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物を用いたが、直鎖状アルキレン基の一方の末端にアミノ基を、他方の末端にアルコキシシリル基をそれぞれ有し、下記の一般式(化5)で表されるアルコキシシラン化合物を用いてもよい。なお、アミノ基と反応するカップリング剤としては、両端にグリシジル基を有するものが使用できる。
【0064】
【化5】

【0065】
上式において、mは3〜20の整数を、Rは炭素数1〜4のアルキル基をそれぞれ表す。
用いることのできるアミノ基を有する膜化合物の具体例としては、下記(21)〜(28)に示したアルコキシシラン化合物が挙げられる。
【0066】
(21) H2N(CH2)Si(OCH)3
(22) H2N(CH2)Si(OCH)3
(23) H2N(CH2)Si(OCH)3
(24) H2N(CH2)Si(OCH)3
(25) H2N(CH2)Si(OC)3
(26) H2N(CH2)Si(OC)3
(27) H2N(CH2)Si(OC)3
(28) H2N(CH2)Si(OC)3
【0067】
ただし、この場合に反応液において用いることのできる縮合触媒のうち、スズ(Sn)塩を含む化合物は、アミノ基と反応して沈殿を生成するため、アミノ基を有するアルコキシシラン化合物に対しては縮合触媒として用いることができない。
したがって、アミノ基を有するアルコキシシラン化合物を用いる場合には、カルボン酸スズ塩、カルボン酸エステルスズ塩、カルボン酸スズ塩ポリマー、カルボン酸スズ塩キレートを除き、エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物の場合と同様の化合物を単独でまたは2種類以上を混合して縮合触媒として用いることができる。
用いることのできる助触媒の種類およびそれらの組み合わせ、溶媒の種類、アルコキシシラン化合物、縮合触媒、および助触媒の濃度、反応条件ならびに反応時間についてはエポキシ基を有するアルコキシシラン化合物の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0068】
本実施の形態においては、ITOガラス板を基材として用いたが、その表面にヒドロキシル基、アミノ基等の活性水素基を有する透明導電層が形成された任意の透明基材を用いることができる。
(以上工程A)
【0069】
工程Bでは、工程Aにおいて用いたものと同様のエポキシ基を有する膜化合物をn型シリコン微粒子21と接触させ、エポキシ基を有する膜化合物の単分子膜23で表面が覆われたエポキシ化n型シリコン微粒子24を製造する(図3参照)。
【0070】
用いることのできるn型シリコン微粒子21の粒径に特に制限はないが、1nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。用いるn型シリコン微粒子21の粒径により、得られる太陽電池1の吸収波長を制御できる。
【0071】
エポキシ化n型シリコン微粒子24の製造は、エポキシ基を含むアルコキシシラン化合物と、アルコキシシリル基とn型シリコン微粒子21の表面のヒドロキシル基22との縮合反応を促進するための縮合触媒と、非水系の有機溶媒とを混合した反応液中にn型シリコン微粒子21を分散させ、室温の空気中で反応させることにより行われる。
【0072】
工程Bにおいて用いることのできるエポキシ基を有するアルコキシシラン化合物の種類、縮合触媒、助触媒の種類およびそれらの組み合わせ、溶媒の種類、アルコキシシラン化合物、縮合触媒、および助触媒の濃度、反応条件ならびに反応時間については工程Aと同様であるので、説明を省略する。
【0073】
反応後、溶媒で洗浄し、未反応物として表面に残った余分なアルコキシシラン化合物および縮合触媒を除去すると、エポキシ基を有する膜化合物の単分子膜23で表面が覆われたエポキシ化n型シリコン微粒子24が得られる。このようにして製造されるエポキシ化n型シリコン微粒子24の断面構造の模式図を図3(b)に示す。
【0074】
洗浄溶媒としては、工程Aと同様の洗浄溶媒を用いることができる。
反応後、生成したエポキシ化n型シリコン微粒子24を溶媒で洗浄せずに空気中に放置すると、表面に残ったアルコキシシラン化合物の一部が空気中の水分により加水分解を受け、生成したシラノール基がアルコキシシリル基と縮合反応を起こす。その結果、エポキシ化n型シリコン微粒子24の表面にポリシロキサンよりなる極薄のポリマー膜が形成される。このポリマー膜は、エポキシ化n型シリコン微粒子24の表面に共有結合により固定されていないが、エポキシ基を含んでいるため、エポキシ化n型シリコン微粒子24に対してエポキシ基を有する膜化合物の単分子膜23と同様の反応性を有している。そのため、洗浄を行わなくても、以下の製造工程に特に支障をきたすことはない。
【0075】
なお、本実施の形態においてはエポキシ基を有するアルコキシシラン化合物を用いたが、工程Aと同様、直鎖状アルキレン基の一方の末端にアミノ基を、他方の末端にアルコキシシリル基をそれぞれ有するアルコキシシラン化合物を用いてもよい。
また、本実施の形態においては工程Aと同一のアルコキシシラン化合物を用いているが、異なるアルコキシシラン化合物を用いてもよい。ただし、工程Cにおいて用いるカップリング剤のカップリング反応基と反応して結合を形成する官能基を有するものでなければならない。
【0076】
また、本実施の形態においては、微粒子としてn型シリコン微粒子を用いたが、任意のn型半導体微粒子を用いることができる。
【0077】
本実施の形態においては、第1および第2の膜化合物として、ともにエポキシ基を有する膜化合物を用いているが、両者は同一の化合物であってもよく、また異なる化合物であってもよい。さらに、第1および第2の膜化合物が異なる官能基(例えば、一方がエポキシ基で他方がイソシアネート基)を有していてもよい。
(以上工程B)
【0078】
工程Cでは、エポキシ化p型シリコン微粒子25を調製する。原料としてp型シリコン微粒子を用いる以外は、その粒径、用いることができる膜化合物、および反応条件等については工程Bと同様であるので、詳しい説明を省略する。
なお、本実施の形態においては、微粒子としてp型シリコン微粒子を用いたが、任意のp型半導体微粒子を用いることができる。
(以上工程C)
【0079】
工程Dでは、まず、エポキシ化ITOガラス板14の表面に、2−メチルイミダゾールを接触させ、エポキシ基とアミノ基とをカップリング反応させて反応性ITOガラス板32を調製し、次いで、反応性ITOガラス板32の表面にエポキシ化n型シリコン微粒子24を接触させ、エポキシ基とイミノ基とのカップリング反応により結合を形成させ、エポキシ化ITOガラス板14の表面にエポキシ化n型シリコン微粒子24を固定し、次いで、固定されなかったエポキシ化n型シリコン微粒子24を除去する
【0080】
2−メチルイミダゾールはエポキシ基と反応するアミノ基およびイミノ基をそれぞれ1−位および3−位に有しており、下記の化6に示すような架橋反応により結合を形成する。
【0081】
【化6】

【0082】
反応性ITOガラス板32の製造は、2−メチルイミダゾールと溶媒とを混合した反応液をエポキシ化ITOガラス板14の表面に塗布し、加熱して反応させることにより行われる。塗布は、ドクターブレード法、ディップコート法、スピンコート法、スプレー法、スクリーン印刷法等の任意の方法により行うことができる。
膜前駆体の製造には、2−メチルイミダゾールが可溶な任意の溶媒を用いることができるが、価格、室温での揮発性、および毒性等を考慮すると、イソプロピルアルコール、エタノール等の低級アルコール系溶媒が好ましい。
2−メチルイミダゾールの添加量、塗布する溶液の濃度、反応温度および反応時間は、用いる基材および微粒子の種類、形成する太陽電池の膜厚等に応じて適宜調節される。
【0083】
反応後、溶媒で洗浄し、未反応物として表面に残った余分な2−メチルイミダゾールを除去すると、反応性単分子膜31で表面が覆われた反応性ITOガラス板32が得られる(図4参照)。
【0084】
このようにして得られた反応性ITOガラス板32の表面にエポキシ化n型シリコン微粒子24の分散液を塗布後加熱し、エポキシ化n型シリコン微粒子21上のエポキシ基と、反応性単分子膜31上の2−メチルイミダゾールに由来するイミノ基とのカップリング反応によりエポキシ化n型シリコン微粒子24を反応性ITOガラス板32の表面に結合固定し、単層の微粒子層を有する微粒子膜1を製造する。
加熱温度は、100〜200℃が好ましい。加熱温度が100℃未満だと、カップリング反応の進行に長時間を要し、200℃を上回ると、エポキシ基を有する単分子膜23や反応性単分子膜31の分解反応が起こり、均一な太陽電池1が得られない。
【0085】
反応後、水やアルコール等の溶媒で洗浄することにより、余分のエポキシ化n型シリコン微粒子24を除去する。
【0086】
本実施の形態においては、カップリング剤として2−メチルイミダゾールを用いたが、下記化7で表される任意のイミダゾール誘導体を用いることができる。
【0087】
【化7】

【0088】
化7で表されるイミダゾール誘導体の具体例としては、下記(31)〜(38)に示すものが挙げられる。
(31) 2−メチルイミダゾール(R=Me、R=R=H)
(32) 2−ウンデシルイミダゾール(R=C1123、R=R=H)
(33) 2−ペンタデシルイミダゾール(R=C1531、R=R=H)
(34) 2−メチル−4−エチルイミダゾール(R=Me、R=Et、R=H)
(35) 2−フェニルイミダゾール(R=Ph、R=R=H)
(36) 2−フェニル−4−エチルイミダゾール(R=Ph、R=Et、R=H)
(37) 2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(R=Ph、R=Me、R=CHOH)
(38) 2−フェニル−4,5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール(R=Ph、R=R=CHOH)
なお、Me、Et、およびPhは、それぞれメチル基、エチル基、およびフェニル基を表す。
【0089】
また、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる無水フタル酸、無水マレイン酸等の酸無水物、ジシアンジアミド、ノボラック等のフェノール誘導体等の化合物をカップリング剤として用いてもよい。この場合、カップリング反応を促進するためにイミダゾール誘導体を触媒として用いてもよい。
【0090】
なお、本実施の形態においては官能基としてエポキシ基を有する膜化合物を用いた場合について説明しているが、官能基としてアミノ基またはイミノ基を有する膜化合物を用いる場合には、カップリング反応基として2もしくは3以上のエポキシ基または2もしくは3以上のイソシアネート基を有するカップリング剤を用いる。イソシアネート基を有する化合物の具体例としては、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシアネート等が挙げられる。
これらのジイソシアネート化合物の添加量は、2−メチルイミダゾールの場合と同様、エポキシ化シリカ微粒子の5〜15重量%が好ましい。この場合、膜前駆体の製造に用いることのできる溶媒としては、キシレン等の芳香族有機溶媒が挙げられる。
また、アミノ基を有する膜化合物を用いる場合には、架橋剤としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル等の2または3以上のエポキシ基を有する化合物を用いることもできる。
【0091】
次いで、反応性ITOガラス板32の表面に被覆n型シリコン微粒子24を接触させ、エポキシ基とイミノ基とのカップリング反応により結合を形成させ、被覆n型シリコン微粒子24を反応性ITOガラス板32の表面に結合固定し、次いで、結合固定されなかった被覆n型シリコン微粒子42を除去する。
【0092】
本実施の形態においては、第3の膜化合物として、ともにエポキシ基を有する膜化合物を用いているが、第1および第2の膜化合物の一方または双方と同一の化合物であってもよく、また異なる化合物であってもよい。さらに、第1および第2の膜化合物と異なる官能基(例えば、アミノ基)を有していてもよい。
(以上工程D)
【0093】
工程Eでは、まず、エポキシ化アルコキシシラン化合物を含む溶液をp型シリコン微粒子の表面に接触させ、アルコキシシリル基とp型シリコン微粒子の表面との間で結合を形成させ、エポキシ化p型シリコン微粒子25を調製し、次いで、エポキシ化p型シリコン微粒子25の表面に、2−メチルイミダゾールを接触させ、エポキシ基と2−メチルイミダゾールに由来するアミノ基とのカップリング反応により形成させた結合を介して固定された2−メチルイミダゾールの形成する被膜を表面に有する反応性p型シリコン微粒子43を調製する。
用いられる2−メチルイミダゾール溶液の濃度、反応条件等は、溶液を塗布するのではなく、エポキシ化p型シリコン微粒子25を溶液中に分散させて加熱することを除くと、工程Cにおける反応性ITOガラス板32の調製の場合と同様であるので、詳しい説明を省略する。他に用いることのできるカップリング剤についても、工程Dにおける反応性ITOガラス板42の調製の場合と同様である。
【0094】
次いで、反応性ITOガラス板32の表面に結合固定されたエポキシ化n型シリコン微粒子24の上に反応性p型シリコン微粒子43を接触させ、エポキシ基とイミノ基とのカップリング反応により結合を形成させ、反応性p型シリコン微粒子43をエポキシ化n型シリコン微粒子24の微粒子層の上に結合固定し、次いで、結合固定されなかった反応性p型シリコン微粒子43を除去する。
工程Eにおける反応条件については、工程C、およびDと同様であるので、詳しい説明を省略する。
(以上工程E)
【0095】
工程Fでは、工程Eで形成した反応性p型シリコン微粒子43の層の上にアルミニウム電極51を裏面電極として形成する。アルミニウム電極51の形成には、蒸着、スパッタリング等の任意の公知の手段を用いることができ、その厚みについては特に制限されない。
また、導電性を有する他の金属を用いてもよい。
(以上工程F)
【0096】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る太陽電池2について説明する。
図1(b)に示すように、太陽電池2は、エポキシ化ITOガラス板(被覆透明電極の一例)14の表面に、反応性n型シリコン微粒子(反応性n型半導体微粒子の一例)42が配列した微粒子層が1層結合固定されている。エポキシ化n型シリコン微粒子24の上には、エポキシ化p型シリコン微粒子25が1層結合固定され、さらにその上にアルミニウム電極51が形成されている。
【0097】
エポキシ化ITOガラス板14のITO被膜(図1(b)および図2において、斜線を付した長方形で図示している)側の表面は、エポキシ基を有する膜化合物(第1の膜化合物の一例)の単分子膜13で被覆されている(図2参照)。
エポキシ化ITOガラス板14の表面には、反応性n型シリコン微粒子42が1層結合固定されている。反応性n型シリコン微粒子42の表面は、エポキシ基を有する膜化合物(第2の膜化合物の一例)の単分子膜23で被覆され、2−メチルイミダゾール(第2のカップリング剤の一例)のアミノ基(第2のカップリング反応基の一例)とエポキシ基とのカップリング反応により形成された結合を介して固定された2-メチルイミダゾールの被膜でさらに被覆されている(図1(b)、図3参照)。
反応性n型シリコン微粒子42の上に結合固定されている被覆p型シリコン微粒子25の表面は、エポキシ基を有する膜化合物(第3の膜化合物の一例)の単分子膜23で被覆されている(図1(b)、図3参照)。
エポキシ化ITOガラス板14と反応性n型シリコン微粒子42、および反応性n型シリコン微粒子42とエポキシ化p型シリコン微粒子25との間は、エポキシ基と2−メチルイミダゾールのアミノ基またはイミノ基とのカップリング反応により形成された結合を介して互いに結合固定されている。
【0098】
太陽電池2の製造方法は、図2(a)、(b)、図3(a)、(b)、図4に示すように、エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物(第1の膜化合物の一例)を含む溶液をITOガラス板(基材の一例)11の表面に接触させ、アルコキシシリル基(第1の結合基の一例)とITOガラス板11の表面との間で結合を形成させ、エポキシ化ITOガラス板14を調製する工程A(図2参照)と、エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物(第2の膜化合物の一例)をn型シリコン微粒子21の表面に接触させ、アルコキシシリル基(第2の結合基の一例)とn型シリコン微粒子21の表面との間で結合を形成させ、エポキシ化n型シリコン微粒子24を調製する工程B(図3参照)と、
エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物(第3の膜化合物の一例)をp型シリコン微粒子の表面に接触させ、アルコキシシリル基(第3の結合基の一例)とp型シリコン微粒子21の表面との間で結合を形成させ、エポキシ化p型シリコン微粒子25を調製する工程Cと、
まず、被覆n型シリコン微粒子24の表面に、2−メチルイミダゾールを接触させ、エポキシ基とアミノ基とをカップリング反応させて反応性n型シリコン微粒子42を調製し、、次いで、エポキシ化ITOガラス板14の表面に反応性n型シリコン微粒子42を接触させ、エポキシ基とイミノ基とのカップリング反応により結合を形成させ、エポキシ化ITOガラス板14の表面に反応性n型シリコン微粒子42を固定し、次いで、固定されなかった反応性n型シリコン微粒子42を除去する工程D(図4(b)参照)と、
エポキシ化アルコキシシラン化合物を含む溶液をp型シリコン微粒子の表面に接触させ、アルコキシシリル基とp型シリコン微粒子の表面との間で結合を形成させ、エポキシ化p型シリコン微粒子25を調製し、次いで、反応性n型シリコン微粒子42の微粒子層の上にエポキシ化p型シリコン微粒子25を接触させ、エポキシ基とイミノ基とのカップリング反応により結合を形成させ、エポキシ化p型シリコン微粒子25を反応性n型シリコン微粒子42の上に結合固定し、次いで、結合固定されなかったエポキシ化p型シリコン微粒子25を除去する工程Eと、反応性p型シリコン微粒子43の層の上にアルミニウム電極51を形成する工程Fとを有する。
【0099】
工程A〜Fにおける、エポキシ化ITOガラス板14、エポキシ化n型シリコン微粒子24、エポキシ化p型シリコン微粒子25、反応性ITOガラス板32、反応性n型シリコン微粒子42、反応性p型シリコン微粒子43の調製、ならびにこれらの反応については、第1の実施の形態にかかる太陽電池1の場合と同様であるので、詳しい説明は省略する。
【0100】
以上、n型シリコン微粒子およびp型シリコン微粒子を、透明電極と裏面電極との間に1層ずつ積層した太陽電池1および2、ならびにそれらの製造方法について説明したが、被覆n型シリコン微粒子24および反応性シリコン微粒子42を交互に積層し、その上に被覆p型シリコン微粒子25および反応性シリコン微粒子43を交互に積層して、n型シリコン微粒子およびp型シリコン微粒子を、透明電極と裏面電極との間に2層以上の複数層ずつ積層した太陽電池を製造することもできる。
かかる方法は、エポキシ化ITOガラス板14を製造する工程A、エポキシ化n型シリコン微粒子24を製造する工程B、エポキシ化p型シリコン微粒子25を製造する工程C、反応性ITOガラス板32を製造する工程D(場合によっては省略可能である)、反応性n型シリコン微粒子42を製造する工程E、反応性p型シリコン微粒子43を調製する工程F、被覆n型シリコン微粒子24および反応性シリコン微粒子42を交互に積層する工程G、被覆p型シリコン微粒子25および反応性シリコン微粒子43を交互に積層する工程H,およびアルミニウム電極51を形成する工程Iとを有する。
【0101】
各工程において用いられる膜化合物、およびカップリング剤の組み合わせは、反応性ITOガラス板32およびエポキシ化ITOガラス板14のいずれを透明電極として用いるか、および積層されるn型シリコン微粒子の層の数が奇数であるか偶数であるかにより異なる。
(a)透明電極として反応性ITOガラス板32を用い、積層されるn型シリコン微粒子の層の数が偶数である場合、(b)透明電極として反応性ITOガラス板32を用い、積層されるn型シリコン微粒子の層の数が奇数である場合、(c)透明電極としてエポキシ化ITOガラス板14を用い、積層されるn型シリコン微粒子の層の数が偶数である場合、および(d)透明電極としてエポキシ化ITOガラス板14を用い、積層されるn型シリコン微粒子の層の数が奇数である場合である場合について、太陽電池の製造に用いられる膜化合物およびカップリング剤の組み合わせを模式的に表した説明図を図5に示す。
【0102】
図5において、官能基およびカップリング反応基を表すのに用いた各記号の意味は、下記の表1に示すとおりである。
【0103】
【表1】

【0104】
また、(a)〜(d)の各場合において、エポキシ化ITOガラス板14、エポキシ化n型シリコン微粒子24、エポキシ化p型シリコン微粒子25、反応性ITOガラス板32、反応性n型シリコン微粒子42、および反応性p型シリコン微粒子43において用いられる官能基、ならびにカップリング剤に用いられるカップリング反応基の組み合わせを下記の表2に示す。なお、表2中、「第n」とは、エポキシ化n型シリコン微粒子24、エポキシ化p型シリコン微粒子25、反応性ITOガラス板32、反応性n型シリコン微粒子42、および反応性p型シリコン微粒子43の製造に第n(nは1〜4の整数)の膜化合物を用いることを意味し、「第m&第n」とは、第1〜第3のカップリング剤の有するカップリング反応基が、第m、および第nのカップリング反応基であることを意味している。
【0105】
【表2】

【実施例】
【0106】
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
【0107】
(1)エポキシ化ITOガラス板の調製
ITOガラス板を用意し、洗浄後よく乾燥した。
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(化8、信越化学工業株式会社製)0.99重量部、およびジブチルスズビスアセチルアセトナート(縮合触媒)0.01重量部を秤量し、これを100重量部のヘキサメチルジシロキサン溶媒に溶解し、反応液を調製した。
【0108】
【化8】

【0109】
このようにして得られた反応液をITOガラス板のITO被膜側に塗布し、空気中(相対湿度45%)で2時間程度反応させた。
その後、クロロホルムで洗浄し、余分なアルコキシシラン化合物およびジブチルスズビスアセチルアセトナートを除去した。
【0110】
(2)エポキシ化n型シリコン微粒子の調製
粒径が100nmの無水のn型シリコン微粒子を用意し、よく乾燥した。
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(化8)0.99重量部、およびジブチルスズビスアセチルアセトナート(縮合触媒)0.01重量部を秤量し、これを100重量部のヘキサメチルジシロキサン溶媒に溶解し、反応液を調製した。
【0111】
このようにして得られた反応液中にn型シリコン微粒子を混合し、撹拌しながら空気中(相対湿度45%)で2時間程度反応させた。
その後、トリクレンで洗浄し、余分なアルコキシシラン化合物およびジブチルスズビスアセチルアセトナートを除去した。
【0112】
(3)エポキシ化p型シリコン微粒子の調製
粒径が100nmの無水のp型シリコン微粒子を用いて、(2)と同様の方法で調製した。
【0113】
(4)反応性ITOガラス板の調製
実施例1で調製したエポキシ化ITOガラス板の表面に、2−メチルイミダゾールのエタノール溶液を塗布し、100℃で加熱すると、エポキシ基と2−メチルイミダゾールのアミノ基とが反応して反応性ITOガラス板が得られた。エタノールで洗浄することにより余分な2−メチルイミダゾールを除去した。
【0114】
(5)反応性n型シリコン微粒子の調製
(2)で調製したエポキシ化n型シリコン微粒子を、2−メチルイミダゾールのエタノール溶液中に分散して、100℃で加熱すると、エポキシ基と2−メチルイミダゾールのアミノ基とが反応して反応性ITOガラス板が得られた。エタノールで洗浄することにより余分な2−メチルイミダゾールを除去した。
【0115】
(6)反応性p型シリコン微粒子の調製
(3)で調製したエポキシ化p型シリコン微粒子を用いて、(5)と同様の方法で調製した。
【0116】
(7)太陽電池の調製<1>
(4)で調製した反応性ITOガラス板の表面に、(2)で調製したエポキシ化n型シリコン微粒子のエタノール分散液を塗布し、100℃で加熱した。反応後、水で洗浄し、余分なエポキシ化n型シリコン微粒子を除去した。
次いで、(6)で調製した反応性p型シリコン微粒子のエタノール分散液をさらに塗布し、100℃で加熱した。反応後、水で洗浄し、余分な反応性p型シリコン微粒子を除去し、その上にアルミニウム電極を蒸着すると太陽電池が得られた。
【0117】
(8)太陽電池の調製<2>
(1)で調製したエポキシ化ITOガラス板の表面に、(5)で調製した反応性n型シリコン微粒子のエタノール分散液を塗布し、100℃で加熱した。反応後、水で洗浄し、余分な反応性n型シリコン微粒子を除去した。
次いで、(3)で調製したエポキシ化p型シリコン微粒子のエタノール分散液をさらに塗布し、100℃で加熱した。反応後、水で洗浄し、余分なエポキシ化p型シリコン微粒子を除去し、その上にアルミニウム電極を蒸着すると太陽電池が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】(a)は本発明の第1の実施の形態に係る太陽電池の断面構造を模式的に表した説明図、(b)は本発明の第2の実施の形態に係る太陽電池の断面構造を模式的に表した説明図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る太陽電池の製造方法において、エポキシ化ITOガラス板を製造する工程を説明するために分子レベルまで拡大した概念図であり、(a)は反応前のITOガラス板の断面構造、(b)はエポキシ基を有する膜化合物の単分子膜が形成されたITOガラス板の断面構造をそれぞれ表す。
【図3】同太陽電池の製造方法において、エポキシ化n型シリコン微粒子を製造する工程を説明するために分子レベルまで拡大した概念図であり、(a)は反応前のn型シリコン微粒子の断面構造、(b)はエポキシ基を有する膜化合物の単分子膜が形成されたn型シリコン微粒子の断面構造をそれぞれ表す。
【図4】(a)、(b)はエポキシ化ITOガラス板の表面に、エポキシ基と2−メチルイミダゾールのアミノ基とのカップリング反応により形成された結合を介して固定された2−メチルイミダゾールの被膜を有する反応性ITOガラス板の断面構造を模式的に表した説明図である。
【図5】太陽電池の製造に用いられる膜化合物およびカップリング剤の組み合わせを模式的に表した説明図である。
【符号の説明】
【0119】
1、2:太陽電池、11:ITOガラス板、12、22:ヒドロキシル基、13、23:エポキシ基を有する膜化合物の単分子膜、14:エポキシ化ITOガラス板、21:n型シリコン微粒子、24:エポキシ化n型シリコン微粒子、25:エポキシ化p型シリコン微粒子、31、41:反応性単分子膜、32:反応性ITOガラス板、42:反応性n型シリコン微粒子、43:反応性p型シリコン微粒子、51:アルミニウム電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の官能基を有する第1の膜化合物の形成する被膜で被覆された透明電極の表面に、第2の官能基を有する第2の膜化合物の形成する被膜で被覆されたn型半導体微粒子が1層結合固定され、前記n型半導体微粒子の層の上には第3の官能基を有する第3の膜化合物の形成する被膜で被覆されたp型半導体微粒子が1層結合固定された太陽電池であって、
前記被覆されたn型半導体微粒子は、前記第1の官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第1のカップリング反応基と、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第2のカップリング反応基とを有する第1のカップリング剤と、前記第1および前記第2の官能基とのカップリング反応により形成された結合を介して結合固定され、
前記被覆されたp型半導体微粒子は、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第2のカップリング反応基と、前記第3の官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第3のカップリング反応基とを有する第2のカップリング剤と、前記第2および前記第3の官能基とのカップリング反応により形成された結合を介して結合固定されていることを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
請求項1記載の太陽電池において、前記透明電極の表面に前記第1の膜化合物の形成する被膜の表面は、前記第1の官能基と前記第1のカップリング反応基とのカップリング反応により結合した前記第1のカップリング剤の形成する被膜でさらに被覆され、
前記p型半導体微粒子の表面に前記第3の膜化合物の形成する被膜の表面は、前記第3の官能基と前記第3のカップリング反応基とのカップリング反応により結合した前記第2のカップリング剤の形成する被膜でさらに被覆されていることを特徴とする太陽電池。
【請求項3】
請求項1記載の太陽電池において、前記n型半導体微粒子の表面に前記第2の膜化合物の形成する被膜の表面は、前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応により結合した前記第1のカップリング剤の形成する被膜でさらに被覆されていることを特徴とする太陽電池。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池において、前記第1〜第3の膜化合物とが同一の化合物であることを特徴とする太陽電池。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池において、前記第1〜第3の膜化合物の形成する被膜は全て単分子膜であることを特徴とする太陽電池。
【請求項6】
第1の官能基を有する第1の膜化合物の形成する被膜で被覆された透明電極の表面に、n型半導体微粒子が前記被覆された透明電極側から裏面電極側に向かって第1層から第x層(xは1以上の整数)まで順次積層し、その上に、p型半導体微粒子が、第y層(yは、y≧x+1である整数)までさらに順次積層した半導体微粒子層が形成され、
第m番目(mは、1≦m≦yである整数)の前記半導体微粒子層を形成している前記被覆された半導体微粒子の表面は、第(m+1)の官能基を有する第mの膜化合物の形成する被膜で被覆されており、
前記半導体微粒子層の第(m−1)層と第m層は、第mの官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第mのカップリング反応基と、前記第(m+1)の官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第(m+1)のカップリング反応基とを有する第mのカップリング剤と、前記第mの官能基と前記第mのカップリング反応基とのカップリング反応により形成された結合、および前記第(m+1)の官能基と前記第(m+1)のカップリング反応基とのカップリング反応により形成された結合を介して互いに固定されていることを特徴とする太陽電池。
【請求項7】
請求項6記載の太陽電池において、前記第1〜第(y+1)の膜化合物、ならびに前記第1〜第yのカップリング剤がそれぞれ同一の化合物であることを特徴とする太陽電池。
【請求項8】
請求項6および7のいずれか1項に記載の太陽電池において、前記第1〜第(y+1)の膜化合物が形成する被膜が全て単分子膜であることを特徴とする太陽電池。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の太陽電池において、前記カップリング反応により形成された結合が、アミノ基またはイミノ基とエポキシ基との反応により形成されたN−CHCH(OH)結合であることを特徴とする太陽電池。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の太陽電池において、前記カップリング反応により形成された結合が、アミノ基またはイミノ基とイソシアネート基との反応により形成されたNH−CONH結合であることを特徴とする太陽電池。
【請求項11】
分子の両端にそれぞれ第1の官能基および第1の結合基を有する第1の膜化合物の形成する被膜で被覆された透明電極の表面に、分子の両端にそれぞれ第2の官能基および第2の結合基を有する第2の膜化合物の形成する被膜で被覆されたn型半導体微粒子が配列した第1の微粒子層が結合固定され、前記n型半導体微粒子層の上には分子の両端にそれぞれ第3の官能基および第3の結合基を有する第3の膜化合物の形成する被膜で被覆されたp型半導体微粒子が配列した第2の微粒子層が結合固定された太陽電池の製造方法であって、
前記第1の膜化合物を含む溶液を透明電極の表面に接触させ、前記第1の結合基と前記透明電極の表面との間で結合を形成させ、前記第1の膜化合物の形成する被膜で前記透明電極の表面が被覆された被覆透明電極を調製する工程Aと、
第2の官能基を有する第2の膜化合物を含む溶液をn型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第2の結合基と前記第1の微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第2の膜化合物の形成する被膜で前記n型半導体微粒子の表面が被覆された被覆n型半導体微粒子を調製する工程Bと、
前記第3の膜化合物を含む溶液をp型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第3の結合基と前記p型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第3の膜化合物の形成する被膜で前記p型半導体微粒子の表面が被覆された被覆p型半導体微粒子を調製する工程Cと、
前記第1の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第1のカップリング反応基と、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第2のカップリング反応基とを有する第1のカップリング剤を、前記被覆された透明電極および前記被覆n型半導体微粒子の表面にそれぞれ接触させ、前記第1の官能基と前記第1のカップリング反応基とのカップリング反応、および前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応により結合を形成させ、前記被覆n型半導体微粒子からなる1層のn型半導体微粒子層を、前記被覆透明電極の表面に結合固定し、次いで、前記被覆透明電極の表面に固定されなかった前記被覆n型半導体微粒子を除去する工程Dと、
前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第2のカップリング反応基と、前記第3の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第3のカップリング反応基とを有する第2のカップリング剤を、前記n型半導体微粒子層および前記被覆p型半導体微粒子の表面にそれぞれ接触させ、前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応、および前記第3の官能基と前記第3のカップリング反応基とのカップリング反応により結合を形成させ、前記被覆p型半導体微粒子からなる1層のp型半導体微粒子層を、前記n型半導体微粒子層の上に結合固定し、次いで、前記n型半導体微粒子層の上に固定されなかった前記被覆p型半導体微粒子を除去する工程Eと、
前記p型半導体微粒子層の上に裏面電極を形成する工程Fとを有することを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項12】
請求項11記載の太陽電池の製造方法において、前記工程Dでは、前記第1のカップリング剤を、まず、前記被覆透明電極の被覆された表面に接触させ、該第1のカップリング剤の被膜を有する反応性透明電極を調製し、次いで、該反応性透明電極の表面に前記被覆n型半導体微粒子を接触させ、該反応性透明電極の表面に前記被覆n型半導体微粒子を固定し、
前記工程Eでは、まず前記第2のカップリング剤を前記被覆p型半導体微粒子に接触させ、該第2のカップリング剤の被膜を有する反応性p型半導体微粒子を調製し、次いで前記被覆n型半導体微粒子の上に前記反応性p型半導体微粒子を接触させ、前記反応性p型半導体微粒子を固定することを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項13】
請求項11記載の太陽電池の製造方法において、前記工程Dでは、まず、前記被覆n型半導体微粒子の表面に前記第1のカップリング剤を接触させ、前記第1のカップリング剤の被膜を有する反応性n型半導体微粒子を調製し、次いで、該反応性n型半導体微粒子の表面を前記被覆透明電極と接触させ、該被覆透明電極の表面に前記反応性n型半導体微粒子を固定し、
前記工程Eでは、前記反応性n型半導体微粒子の上に前記被覆p型半導体微粒子を接触させ、前記反応性p型半導体微粒子を固定することを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項14】
請求項11〜13のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法において、前記第1〜第3の膜化合物とが同一の化合物であることを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項15】
請求項11〜14のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法において、前記工程A、B、およびCにおいて、未反応の前記第1〜第3の膜化合物は洗浄除去され、前記第1〜第3の膜化合物が被膜は全て単分子膜であることを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項16】
分子の両端にそれぞれ第1の官能基および第1の結合基を有する第1の膜化合物の形成する被膜で被覆された透明電極の表面に、n型半導体微粒子が前記被覆された透明電極側から裏面電極側に向かって第1層から第x層(xは2以上の偶数)まで順次積層し、その上に、p型半導体微粒子が、第y層(yは、y≧x+1である整数)までさらに順次積層した半導体微粒子層が形成された太陽電池の製造方法であって、
前記第1の膜化合物を含む溶液を透明電極の表面に接触させ、前記第1の結合基と前記透明電極の表面との間で結合を形成させ、前記第1の膜化合物の形成する被膜で前記透明電極の表面が被覆された被覆透明電極を調製する工程Aと、
分子の両端にそれぞれ第2の官能基および第2の結合基を有する第2の膜化合物を含む溶液をn型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第2の結合基と前記n型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第2の膜化合物の形成する被膜で前記n型半導体微粒子の表面が被覆された被覆n型半導体微粒子を調製する工程Bと、
前記第2の膜化合物を含む溶液をp型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第2の結合基と前記p型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第2の膜化合物の形成する被膜で前記p型半導体微粒子の表面が被覆された被覆p型半導体微粒子を調製する工程Cと、
前記被覆透明電極の前記被覆された表面に前記第1の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第1のカップリング反応基と、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第2のカップリング反応基とを有する第1のカップリング剤を接触させ、該第1のカップリング剤の被膜を有する反応性透明電極を調製する工程Dと、
分子の両端にそれぞれ第3の官能基および第3の結合基を有する第3の膜化合物を含む溶液をn型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第3の結合基と前記n型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、さらにその表面に、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第2のカップリング反応基と、前記第3の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第3のカップリング反応基とを有する第2のカップリング剤を接触させ、前記第3の官能基と前記第3のカップリング反応基とのカップリング反応により形成させた結合を介して固定された前記第2のカップリング剤の形成する被膜を表面に有する反応性n型半導体微粒子を調製する工程Eと、
分子の両端にそれぞれ第4の官能基および第4の結合基を有する第4の膜化合物を含む溶液をp型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第4の結合基と前記p型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、さらにその表面に、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第2のカップリング反応基と、前記第4の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第4のカップリング反応基とを有する第3のカップリング剤を接触させ、前記第4の官能基と前記第4のカップリング反応基とのカップリング反応により形成させた結合を介して固定された前記第3のカップリング剤の形成する被膜を表面に有する反応性p型半導体微粒子を調製する工程Fと、
前記反応性透明電極の表面に、前記被覆n型半導体微粒子および前記反応性n型半導体微粒子を交互に積層させ、前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応を介して固定し、第1層から第x層まで順次積層したn型半導体微粒子からなる半導体微粒子層を形成する工程Gと、
前記工程Gで形成された前記半導体微粒子膜の表層に位置する前記反応性n型半導体微粒子の微粒子層の上に、前記被覆p型半導体微粒子および前記反応性p型半導体微粒子を交互に積層させ、前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応を介して固定し、第(x+1)層から第y層まで順次積層したp型半導体微粒子からなる半導体微粒子層を形成する工程Hと、
前記工程Hで形成された前記半導体微粒子膜の表層に裏面電極を形成する工程Iとを有することを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項17】
分子の両端にそれぞれ第1の官能基および第1の結合基を有する第1の膜化合物の形成する被膜で被覆された透明電極の表面に、n型半導体微粒子が前記被覆された透明電極側から裏面電極側に向かって第1層から第x層(xは1以上の奇数)まで順次積層し、その上に、p型半導体微粒子が、第y層(yは、y≧x+1である整数)までさらに順次積層した半導体微粒子層が形成された太陽電池の製造方法であって、
前記第1の膜化合物を含む溶液を透明電極の表面に接触させ、前記第1の結合基と前記透明電極の表面との間で結合を形成させ、前記第1の膜化合物の形成する被膜で前記透明電極の表面が被覆された被覆透明電極を調製する工程Aと、
分子の両端にそれぞれ第2の官能基および第2の結合基を有する第2の膜化合物を含む溶液をn型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第2の結合基と前記n型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第2の膜化合物の形成する被膜で前記n型半導体微粒子の表面が被覆された被覆n型半導体微粒子を調製する工程Bと、
前記第2の膜化合物を含む溶液をp型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第2の結合基と前記p型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第2の膜化合物の形成する被膜で前記p型半導体微粒子の表面が被覆された被覆p型半導体微粒子を調製する工程Cと、
前記被覆透明電極の前記被覆された表面に前記第1の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第1のカップリング反応基と、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第2のカップリング反応基とを有する第1のカップリング剤を接触させ、該第1のカップリング剤の被膜を有する反応性透明電極を調製する工程Dと、
分子の両端にそれぞれ第3の官能基および第3の結合基を有する第3の膜化合物を含む溶液をn型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第3の結合基と前記n型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、さらにその表面に、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第2のカップリング反応基と、前記第3の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第3のカップリング反応基とを有する第2のカップリング剤を接触させ、前記第3の官能基と前記第3のカップリング反応基とのカップリング反応により形成させた結合を介して固定された前記第2のカップリング剤の形成する被膜を表面に有する反応性n型半導体微粒子を調製する工程Eと、
分子の両端にそれぞれ第4の官能基および第4の結合基を有する第4の膜化合物を含む溶液をp型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第4の結合基と前記p型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、さらにその表面に、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第2のカップリング反応基と、前記第4の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第4のカップリング反応基とを有する第3のカップリング剤を接触させ、前記第4の官能基と前記第4のカップリング反応基とのカップリング反応により形成させた結合を介して固定された前記第3のカップリング剤の形成する被膜を表面に有する反応性p型半導体微粒子を調製する工程Fと、
前記反応性透明電極の表面に、前記被覆n型半導体微粒子および前記反応性n型半導体微粒子を交互に積層させ、前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応を介して固定し、第1層から第x層まで順次積層したn型半導体微粒子からなる半導体微粒子層を形成する工程Gと、
前記工程Gで形成された前記半導体微粒子膜の表層に位置する前記被覆n型半導体微粒子の微粒子層の上に、前記反応性p型半導体微粒子および前記被覆p型半導体微粒子を交互に積層させ、前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応を介して固定し、第(x+1)層から第y層まで順次積層したp型半導体微粒子からなる半導体微粒子層を形成する工程Hと、
前記工程Hで形成された前記半導体微粒子膜の表層に裏面電極を形成する工程Iとを有することを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項18】
請求項16および17のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法において、前記第1〜第4の膜化合物、および前記第1〜第3のカップリング剤がそれぞれ同一の化合物であることを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項19】
請求項16〜18のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法において、前記工程A、B、C、E、およびFにおいて、未反応の前記第1〜第4の膜化合物は洗浄除去され、前記第1〜第4の膜化合物が形成する被膜は、単分子膜であることを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項20】
分子の両端にそれぞれ第1の官能基および第1の結合基を有する第1の膜化合物の形成する被膜で被覆された透明電極の表面に、n型半導体微粒子が前記被覆された透明電極側から裏面電極側に向かって第1層から第x層(xは2以上の偶数)まで順次積層し、その上に、p型半導体微粒子が、第y層(yは、y≧x+1である整数)までさらに順次積層した半導体微粒子層が形成された太陽電池の製造方法であって、
前記第1の膜化合物を含む溶液を透明電極の表面に接触させ、前記第1の結合基と前記透明電極の表面との間で結合を形成させ、前記第1の膜化合物の形成する被膜で前記透明電極の表面が被覆された被覆透明電極を調製する工程Aと、
前記第1の膜化合物を含む溶液をn型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第1の結合基と前記n型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第1の膜化合物の形成する被膜で前記n型半導体微粒子の表面が被覆された被覆n型半導体微粒子を調製する工程Bと、
前記第1の膜化合物を含む溶液をp型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第1の結合基と前記p型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第1の膜化合物の形成する被膜で前記p型半導体微粒子の表面が被覆された被覆p型半導体微粒子を調製する工程Cと、
分子の両端にそれぞれ第2の官能基および第2の結合基を有する第2の膜化合物を含む溶液をn型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第2の結合基と前記n型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、さらにその表面に、前記第1の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第1のカップリング反応基と、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第2のカップリング反応基とを有する第1のカップリング剤を接触させ、前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応により形成させた結合を介して固定された前記第1のカップリング剤の形成する被膜を表面に有する反応性n型半導体微粒子を調製する工程Eと、
分子の両端にそれぞれ第3の官能基および第3の結合基を有する第3の膜化合物を含む溶液をp型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第3の結合基と前記p型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、さらにその表面に、前記第1の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第1のカップリング反応基と、前記第3の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第3のカップリング反応基とを有する第2のカップリング剤を接触させ、前記第3の官能基と前記第3のカップリング反応基とのカップリング反応により形成させた結合を介して固定された前記第2のカップリング剤の形成する被膜を表面に有する反応性p型半導体微粒子を調製する工程Fと、
前記被覆透明電極の表面に、前記反応性n型半導体微粒子および前記被覆n型半導体微粒子を交互に積層させ、前記第1の官能基と前記第1のカップリング反応基とのカップリング反応を介して固定し、第1層から第x層まで順次積層したn型半導体微粒子からなる半導体微粒子層を形成する工程Gと、
前記工程Gで形成された前記半導体微粒子膜の表層に位置する前記被覆n型半導体微粒子の微粒子層の上に、前記反応性p型半導体微粒子および前記被覆p型半導体微粒子を交互に積層させ、前記第1の官能基と前記第1のカップリング反応基とのカップリング反応を介して固定し、第(x+1)層から第y層まで順次積層したp型半導体微粒子からなる半導体微粒子層を形成する工程Hと、
前記工程Hで形成された前記半導体微粒子膜の表層に裏面電極を形成する工程Iとを有することを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項21】
第1の官能基を有する第1の膜化合物の形成する被膜で被覆された透明電極の表面に、n型半導体微粒子が前記被覆された透明電極側から裏面電極側に向かって第1層から第x層(xは1以上の奇数)まで順次積層し、その上に、p型半導体微粒子が、第y層(yは、y≧x+1である整数)までさらに順次積層した半導体微粒子層が形成された太陽電池の製造方法であって、
前記第1の膜化合物を含む溶液を透明電極の表面に接触させ、前記第1の結合基と前記透明電極の表面との間で結合を形成させ、前記第1の膜化合物の形成する被膜で前記透明電極の表面が被覆された被覆透明電極を調製する工程Aと、
前記第1の膜化合物を含む溶液をn型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第1の結合基と前記n型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第1の膜化合物の形成する被膜で前記n型半導体微粒子の表面が被覆された被覆n型半導体微粒子を調製する工程Bと、
前記第1の膜化合物を含む溶液をp型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第1の結合基と前記p型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第1の膜化合物の形成する被膜で前記p型半導体微粒子の表面が被覆された被覆p型半導体微粒子を調製する工程Cと、
分子の両端にそれぞれ第2の官能基および第2の結合基を有する第2の膜化合物を含む溶液をn型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第2の結合基と前記n型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、さらにその表面に、前記第1の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第1のカップリング反応基と、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第2のカップリング反応基とを有する第1のカップリング剤を接触させ、前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応により形成させた結合を介して固定された前記第1のカップリング剤の形成する被膜を表面に有する反応性n型半導体微粒子を調製する工程Eと、
分子の両端にそれぞれ第3の官能基および第3の結合基を有する第3の膜化合物を含む溶液をp型半導体微粒子の表面に接触させ、前記第3の結合基と前記p型半導体微粒子の表面との間で結合を形成させ、さらにその表面に、前記第1の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第1のカップリング反応基と、前記第3の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第3のカップリング反応基とを有する第2のカップリング剤を接触させ、前記第3の官能基と前記第3のカップリング反応基とのカップリング反応により形成させた結合を介して固定された前記第2のカップリング剤の形成する被膜を表面に有する反応性p型半導体微粒子を調製する工程Fと、
前記被覆透明電極の表面に、前記反応性n型半導体微粒子および前記被覆n型半導体微粒子を交互に積層させ、前記第1の官能基と前記第1のカップリング反応基とのカップリング反応を介して固定し、第1層から第x層まで順次積層したn型半導体微粒子からなる半導体微粒子層を形成する工程Gと、
前記工程Gで形成された前記半導体微粒子膜の表層に位置する前記反応性n型半導体微粒子の微粒子層の上に、前記被覆p型半導体微粒子および前記反応性p型半導体微粒子を交互に積層させ、前記第1の官能基と前記第1のカップリング反応基とのカップリング反応を介して固定し、第(x+1)層から第y層まで順次積層したp型半導体微粒子からなる半導体微粒子層を形成する工程Hと、
前記工程Hで形成された前記半導体微粒子膜の表層に裏面電極を形成する工程Iとを有することを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項22】
請求項20および21のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法において、前記第1〜第3の膜化合物、および前記第1および第2のカップリング剤がそれぞれ同一の化合物であることを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項23】
請求項20〜22のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法において、前記工程A、B、C、E、およびFにおいて、未反応の前記第1〜第3の膜化合物は洗浄除去され、前記第1〜第3の膜化合物が形成する被膜は、単分子膜であることを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項24】
請求項11〜15、および20〜23のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法において、前記第1および第2の膜化合物は全てアルコキシシラン化合物であり、前記第1および第2の膜化合物を含む溶液は、さらに縮合触媒として、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル、およびチタン酸エステルキレートからなる群から選択される1または2以上の化合物を含むことを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項25】
請求項11〜15、および20〜23のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法において、前記第1〜第3の膜化合物は全てアルコキシシラン化合物であり、前記第1〜第3の膜化合物を含む溶液は、さらに縮合触媒として、ケチミン化合物、有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、およびアミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1または2以上の化合物をさらに含むことを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項26】
請求項16〜19のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法において、前記第1〜第4の膜化合物は全てアルコキシシラン化合物であり、前記第1〜第4の膜化合物を含む溶液は、さらに縮合触媒として、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル、およびチタン酸エステルキレートからなる群から選択される1または2以上の化合物を含むことを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項27】
請求項16〜19のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法において、前記第1〜第3の膜化合物は全てアルコキシシラン化合物であり、前記第1〜第3の膜化合物を含む溶液は、さらに縮合触媒として、ケチミン化合物、有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、およびアミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1または2以上の化合物をさらに含むことを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項28】
請求項24および26のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法において、さらに助触媒として、ケチミン化合物、有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、およびアミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1または2以上の化合物をさらに含むことを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項29】
請求項11〜28のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法において、前記カップリング反応により形成された結合が、アミノ基またはイミノ基とエポキシ基との反応により形成されたN−CHCH(OH)結合であることを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項30】
請求項11〜28のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法において、前記カップリング反応により形成された結合が、アミノ基またはイミノ基とイソシアネート基との反応により形成されたNH−CONH結合であることを特徴とする太陽電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−258223(P2008−258223A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−95861(P2007−95861)
【出願日】平成19年3月31日(2007.3.31)
【出願人】(304028346)国立大学法人 香川大学 (285)
【出願人】(000144991)株式会社四国総合研究所 (116)
【Fターム(参考)】