太陽電池モジュール
【課題】太陽電池モジュールの端部を完全に封止させることができると共に、製造工程を少なくし製造効率を向上させることができる太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【解決手段】太陽電池素子4、太陽電池素子4の周囲を封止する封止材3,9、表面に配置されるカバーガラス2および裏面に配置されるバックシート10が重ね合わされラミネート処理された積層体11よりなる太陽電池モジュールにおいて、該太陽電池モジュールの端部の構造が、前記バックシート10が前記カバーガラス2の周囲より張り出した張り出し部10aを有し、前記張り出し部10aと前記カバーガラス2の端部2aとの間にできる空間に、前記カバーガラス2と前記バックシート10とが接する部分の隙間からはみ出した前記封止材3,9によって充填されたはみ出し部13を有する。
【解決手段】太陽電池素子4、太陽電池素子4の周囲を封止する封止材3,9、表面に配置されるカバーガラス2および裏面に配置されるバックシート10が重ね合わされラミネート処理された積層体11よりなる太陽電池モジュールにおいて、該太陽電池モジュールの端部の構造が、前記バックシート10が前記カバーガラス2の周囲より張り出した張り出し部10aを有し、前記張り出し部10aと前記カバーガラス2の端部2aとの間にできる空間に、前記カバーガラス2と前記バックシート10とが接する部分の隙間からはみ出した前記封止材3,9によって充填されたはみ出し部13を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電に用いられる太陽電池モジュールは通常、屋外に設置されるために耐候性や耐水性などを有していなければならない。特に、太陽電池モジュール内に水が浸入してしまうと太陽電池モジュールの劣化を招き長寿命化を図ることができない。そのため、太陽電池モジュールを製造する場合、太陽電池モジュールの端部を完全に封止する必要がある。
従来、太陽電池モジュールを製造する場合、ラミネート処理工程、切除工程、エッジ処理工程、シーリング材取付け工程およびフレーム取付け工程など数多くの工程を経て、太陽電池モジュールを製造していた。
ラミネート処理工程とは、太陽電池モジュールの構成部材を重ね合わせて所定の加圧下において所定温度で加熱することで積層体を製造する工程である。
また、切除工程とは、例えば特許文献1および2に開示されているように、ラミネート処理工程により製造された積層体の周囲にはみ出した封止材の余剰部をトリミング装置等によって切除する工程である。ラミネート処理工程では所定の加圧下において所定温度で加熱されることから、封止材の一部が積層体の周囲からはみ出し、余剰部が形成されるため、切除工程においてこの余剰部を切除する。
【0003】
また、エッジ処理工程とは、例えば特許文献3に開示されているように、積層体の端部をシリコーンゴム等で被覆する工程である。上述した切除工程により余剰部が切除された積層体の端部は、切除する際に封止性が破壊されている虞がある。したがって、エッジ処理工程により積層体の端部を被覆することで、積層体を封止する。
【0004】
また、シーリング材取付け工程とは、例えば特許文献4に開示されているように、積層体の端部にスペーサやシーリング材を取り付ける工程である。上述したエッジ処理工程により封止された積層体の端部にスペーサやシーリング材を嵌め込むことで、断熱性や防水性を向上させる。
また、フレーム取付け工程とは、例えば特許文献4に開示されているように、太陽電池モジュールを支持するためのフレームを取り付ける工程である。上述したシーリング材取付け工程により取り付けられたスペーサやシーリング材の外側にアルミニウム製フレームを取り付けることで太陽電池モジュール全体の剛性を向上させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−135840号公報
【特許文献2】特開2001−320069号公報
【特許文献3】特開2001−85726号公報
【特許文献4】特開平11−103086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような従来の太陽電池モジュールの製造方法によれば、エッジ処理工程、シーリング材取付け工程およびフレーム取付け工程によって、太陽電池モジュールの端部をある程度、封止することができる。しかしながら、積層体の周囲からはみ出した封止材の余剰部を切除すると、切除する際に封止材が破壊される場合があり、封止材が破壊された部分から水分が浸入すると封止材が加水分解を起こし、その結果太陽電池モジュールの劣化を招き太陽電池モジュールの寿命が短くなってしまうという問題があった。これは、たとえ端部をエッジ処理や端部にスペーサやシーリング材を取り付けた場合においても、処理が不十分であったりシーリング材等の劣化が進行することで、完全に水の浸入を防ぐことはできず、太陽電池モジュールの長寿命化の阻害要因となっていた。
【0007】
また、太陽電池モジュールが完成するまでに数多くの工程が必要であるために、製造効率の向上を図ることができないという問題があった。特に、切除工程においては製造された積層体をトリミング装置に搬送したり、積層体の4辺全ての余剰部を切除したりしなければならず、切除し終わるまでに時間を要してしまう。また、エッジ処理工程では、その処理に精度を有するために、切除工程と同様にエッジ処理工程が終了するまでに時間を要してしまう。更に、例えばシーリング材取付け工程およびフレーム取付け工程では、それぞれ積層体の端部に特定の部材を取り付ける工程が重複して行われていることから、これらの工程が終了するまでに時間を要してしまう。
このように、従来では太陽電池モジュールの端部の封止性の向上と太陽電池モジュールの製造効率の向上との両立を図ることが困難であった。
【0008】
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであって、太陽電池モジュールの端部を完全に封止することで太陽電池モジュールの長寿命化を図ると共に、製造工程を少なくし製造効率を向上させることができる太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の太陽電池モジュールは、太陽電池素子、前記太陽電池素子の周囲を封止する封止材、表面に配置される表面保護部および裏面に配置される裏面保護部が重ね合わされラミネート処理された積層体よりなる太陽電池モジュールにおいて、
該太陽電池モジュールの端部の構造が、
前記裏面保護部が前記表面保護部の周囲より張り出した張り出し部を有し、前記張り出し部と前記表面保護部の端部との間にできる空間に、前記表面保護部と前記裏面保護部とが接する部分の隙間からはみ出した前記封止材によって充填されたはみ出し部を有することを特徴とする。
【0010】
前記表面保護部の端部から前記はみ出し部の端部までの長さが0.05mm以上50mm以下であることを特徴とする。表面保護部の端部からはみ出し部の端部までの長さを0.05mm以上にすることで太陽電池モジュールの周縁部を封止でき、50mm以下にすることで太陽電池モジュールに対する太陽電池素子の大きさが相対的に小さくなることを防止することができる。
【0011】
また、前記表面保護部の表面、前記はみ出し部の表面および前記裏面保護部に亘って、シーリング材により一体的に被覆されていることを特徴とする。シーリング材によってはみ出し部だけでなく表面保護部から裏面保護部に亘って一体的に被覆することで、より水の浸入を防止することができ、太陽電池モジュールを長寿命化することができる。
【0012】
また、前記表面保護部の端部から前記積層体の端部側に向かって前記シーリング材により被覆される端部までの長さが前記表面保護部の端部から前記はみ出し部の端部までの長さよりも長いことを特徴とする。シーリング材により被覆される長さをこのような長さにすることで、より確実に水の浸入を防止することができる。
【0013】
また、前記はみ出し部全体を覆うと共に、前記表面保護部および前記裏面保護部も同時に覆うシール用成形部材が装着されていることを特徴とする。このような構造にすることで、より確実に水の浸入を防止することができる。
【0014】
また、前記積層体の端部を枠体により保持したことを特徴とする。このような構造にすることで、より確実に水の浸入を防止することができる。
【0015】
また、前記枠体と前記積層体の間に、前記枠体の開口端よりも前記積層体の中央側に向かって突出する水浸入防止部が設けられていることを特徴とする。このような構造にすることにより、太陽電池モジュールと枠体との間から水の浸入をより確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、太陽電池モジュールの端部を完全に封止することで太陽電池モジュールの長寿命化を図ることができると共に、太陽電池モジュールの製造工程を少なくし製造効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】太陽電池モジュールの積層体の構成部材を示す断面図である。
【図2】ラミネート処理工程を説明するための図である。
【図3】ラミネート処理工程を説明するための図である。
【図4】ラミネート処理された積層体の断面図である。
【図5】表面処理工程を説明するための断面図である。
【図6】防水処理工程を説明するための断面図である。
【図7】積層体および枠体の構成を示す平面図である。
【図8】サイド枠体の構成を示す断面図である。
【図9】コーナ保持部の構成を示す図である。
【図10】コーナ保持部を積層体に嵌め込む処理を説明するための図である。
【図11】サイド枠体を積層体に嵌め込む処理を説明するための図である。
【図12】製造された太陽電池モジュールの平面図である。
【図13】第2の実施形態により製造された太陽電池モジュールの断面図である。
【図14】他のサイドガスケットの構成を説明するための図である。
【図15】水侵入防止部材を設けた太陽電池モジュールの断面図である。
【図16】実施例において吸水紙を配置した位置を示す図である。
【図17】実施例に係る積層体の断面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本実施形態に係る太陽電池モジュールの製造方法について説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態の太陽電池モジュールの製造方法では、ラミネート処理工程、表面処理工程、防水処理工程、枠体保持工程によって太陽電池モジュールを製造することができる。ラミネート処理工程では、複数の構成部材を重ね合わせて被加工物を構成し、被加工物をラミネート処理することにより積層体を製造する。表面処理工程では、製造した積層体に表面処理を施す。防水処理工程では、表面処理を施した積層体に防水処理を施す。枠体保持工程では、積層体の端部を枠体で保持し、太陽電池モジュールを完成させる。本実施形態では、後述するように封止材の一部がはみ出して形成されたはみ出し部を積極的に利用することで太陽電池モジュールの封止性の向上を図ると共に、製造効率の向上を図ることができる。
以下、本実施形態の太陽電池モジュールの製造方法についてラミネート処理工程、表面処理工程、防水処理工程、枠保持工程を順に説明する。
【0019】
(ラミネート処理工程)
図1は、ラミネート処理工程で製造される積層体の構成部材を示す図である。なお、以下では、ラミネート処理される前であって、積層体の構成部材が単に重ね合わされたものを被加工物1といい、その被加工物1をラミネート処理したものを積層体という。
被加工物1は、表面保護部としてのカバーガラス2、第1封止材3、太陽電池素子4、第2封止材9、裏面保護部としてのバックシート10が下側から順番に重ね合わされている。ここでは、太陽電池モジュールに太陽光が照射される側を表側とし、その反対側を裏側としている。
【0020】
カバーガラス2は、太陽電池モジュールの表面を保護すると共に入射された太陽光を透過させ太陽電池素子4に照射させる役割を有する。また、カバーガラス2は、平板状であって、太陽電池素子4がストリングされた後述する太陽電池ストリング8全体を覆うことができる大きさを有している。
第1封止材3および第2封止材9は、太陽電池素子4の周囲を被覆して封止する役割を有する。第1封止材3および第2封止材9には、例えばEVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が使用される。また、第1封止材3および第2封止材9は、それぞれ平板状であって、カバーガラス2と略同一の大きさを有している。
【0021】
太陽電池素子4は、第1封止材3および第2封止材9の間に配置される。本実施形態では、電極5、6の間に結晶系セルである複数の太陽電池素子4をリード線7を介して接続した太陽電池ストリング8が配置されている。太陽電池素子4を接続する数は、製造する太陽電池モジュールに応じて増減させることができ、例えば太陽電池素子4は一つであってもよい。
バックシート10は、太陽電池モジュールの裏面を保護する役割を有する。バックシート10には、例えばPET(ポリエチレンテフタレート)樹脂等が使用される。また、バックシート10は、第1封止材3、第2封止材9およびカバーガラス2を覆うことができ、カバーガラス2よりも大きいサイズである。したがって、バックシート10を重ね合わせ、後述するラミネート処理したときに、バックシート10は、カバーガラス2の周囲から張り出した張り出し部10aが形成される(図4を参照)。
【0022】
ラミネート処理工程には、例えばラミネート装置40が用いられる。ラミネート装置40は、上述した被加工物1をラミネート処理することで、積層体を製造する。
図2および図3は、ラミネート装置40のラミネート処理を説明するための断面図である。
【0023】
図2に示すように、ラミネート処理を行う場合、搬送ベルト49が上ケース41と下ケース45との間に被加工物1を搬送する。ここで、被加工物1は、図1に示すように下側からカバーガラス2、第1封止材3、太陽電池素子4、第2封止材9、バックシート10の順番に重ね合わされている。
ラミネート装置40は、上ケース41を下降させ、上ケース41と下ケース45との内部空間を密閉させる。
【0024】
次に、ラミネート装置40は、上ケース41の吸排気口44を介して上チャンバ43の真空引きを行い、下ケース45の吸排気口48を介して、下チャンバ46の真空引きを行う。下チャンバ46の真空引きにより被加工物1に含まれている気泡を抜くことができる。この状態で、被加工物1は熱板47によって加熱され、第1封止材3および第2封止材9が溶融する。
【0025】
次に、ラミネート装置40は、下チャンバ46の真空状態を保ったまま、上ケース41の吸排気口44を介して、上チャンバ43に大気圧を導入する。これにより、上チャンバ43と下チャンバ46とに気圧差が生じ、ダイヤフラム42が膨張して、図3に示すようにダイヤフラム42が下方に押し出される。被加工物1は、下方に押し出されたダイヤフラム42と、熱板47とで挟圧され、溶融した第1封止材3および第2封止材9により各構成部材が接着される。このとき、第1封止材3および第2封止材9の一部は、カバーガラス2とバックシート10との間からはみ出し、自重によって垂れ落ちる。図4は、ラミネート処理された積層体11を示す断面図である。図4に示すように、カバーガラス2の端部2aとバックシート10の張り出し部10aとの間にできる空間に、カバーガラス2とバックシート10とが接する部分(図4に示すA部)の隙間から封止材が充填されはみ出し部13が形成される。
【0026】
なお、本実施形態では、溶融した第1封止材3および第2封止材9のうち所定の量がはみ出してはみ出し部13を形成できるよう、第1封止材3および第2封止材9の量や厚み等が設定されている。はみ出し部13は、表面13aがカバーガラス2の表面2bと略面一に形成され、カバーガラス2の端部2aを覆っている。また、はみ出し部13の表面13aの反対側には、傾斜部13bが形成されている。傾斜部13bは、上述したラミネート装置40のダイヤフラム42によって被加工物1が押圧されたときに形成されたものである。
【0027】
ここで、はみ出し部13はカバーガラス2の端部2aからはみ出し部13の端部13cまでの距離L1(図4を参照)が、0.05mm以上50mm以下であることが好ましい。0.05mmよりも小さいと太陽電池モジュールの端部を封止する性能が十分に得られず、50mmを超えると太陽電池モジュールに対する太陽電池素子4の大きさが相対的に小さくなり発電効率の面で不利になる場合があるためである。
【0028】
なお、上述したバックシート10の張り出し部10aは、その端部がはみ出し部13の表面13aの同一面に到達するまでの長さは必要なく、少なくともカバーガラス4と接する部分(A部)よりも長く形成されていればよい。すなわち、張り出し部10aをA部よりも長く形成することで、カバーガラス2の端部2aとバックシート10の張り出し部10aとの間にはみ出し部13を形成できるので、水が外部からA部を通って太陽電池モジュール内に侵入するのを防止することができる。
ラミネート装置40は、第1封止材3および第2封止材9が完全に架橋するまで加熱することで、第1封止材3および第2封止材9が凝固して太陽電池素子4の周囲を覆う封止部12として形成された積層体11が製造される。
【0029】
その後、ラミネート装置40は、下ケース45の吸排気口48を介して、下チャンバ46に大気圧を導入し、上ケース41を上昇させる。搬送ベルト49は、ラミネート処理された積層体11を次の工程に搬送する。
【0030】
さて、上述したように従来の太陽電池モジュールの製造方法では、積層体11に形成されたはみ出し部13を切除し、切除した部分にエッジ処理を行っていたために、製造効率の向上を図ることができなかった。そこで、本実施形態では、積層体11に形成されたはみ出し部13を切除することなく、次の表面処理工程に移行する。
【0031】
(表面処理工程)
表面処理工程では、図5に示すように、積層体11のカバーガラス2が上側になるように配置し直す。次に、はみ出し部13の表面13aを中心にして、カバーガラス2の表面2bの一部からバックシート10の張り出し部10aの端部10bに亘って表面処理を行う。すなわち、表面処理する範囲は、少なくとも後述する防水処理工程においてシーリング材14が塗布される範囲であり、その範囲よりもやや広い範囲が好ましい。表面処理としては、コロナ放電を照射して表面を改質させる、いわゆるコロナ処理を用いる。コロナ処理を行うことで、処理した表面とシーリング材14との接着力を高めると共にシーリング材14を塗布したときのムラを防止することができる。
【0032】
(防水処理工程)
防水処理工程では、積層体11のはみ出し部13の表面13aを中心にして、カバーガラス2の表面2bの一部からバックシート10の張り出し部10aの端部10bに亘り、すなわち表面処理を行った範囲に防水のためのシーリング材14を塗布する。したがって、図6に示すように、カバーガラス2の表面2b、はみ出し部13の表面13aおよびバックシート10の端部10bは、シーリング材14により一体的に被覆される。シーリング材14は、はみ出し部13による吸水を防止できるものであればよく、例えばペースト状であるシリコーン系シーリング材、特に耐候性、耐熱性および耐寒性に優れたオキシム型シーリング材を用いることが好ましい。シーリング材14は、後述するようにはみ出し部13と充填剤33を接着させる接着剤の機能を兼ねている。なお、シーリング材14は、はみ出し部13全体を被覆することが水の浸入を防ぐ目的において好ましい。したがって、図6に示すように、カバーガラス2の端部2aからシーリング材14により被覆されるシーリング材14の外側の端部までの長さL2が、上述したカバーガラス2の端部2aからはみ出し部13の端部13cまでの距離L1よりも長い。なお、シーリング材14の外側では、はみ出し部13の端部13cを下方に回り込むようにして、バックシート10の端部10bにまで到達している。一方、シーリング材14により、カバーガラス2の端部2aから内側に長さL3で被覆される。
したがって、カバーガラス2の端部2aからシーリング材14により被覆されるシーリング材14の外側の端部までの長さL2とシーリング材14の内側の端部までの長さL3との和は、上述したカバーガラス2の端部2aからはみ出し部13の端部13cまでの距離L1よりも長い。
防水処理工程を経て、次の枠体保持工程に移行する。
【0033】
(枠体保持工程)
枠体保持工程では、積層体11の端部に枠体15を取り付け、積層体11の端部を保持する。図7は、積層体11および枠体15の構成を示す平面図である。本実施形態の枠体15には、積層体11の端部のうち4辺のサイド部11bを覆うサイド枠体16と、4つのコーナ部11aを覆うコーナ保持部としてのコーナガスケット26の2種類を有している。サイド枠体16は直線状に形成され、コーナガスケット26は鉤状に形成されている。なお、コーナガスケット26は、シール用成形部材に相当する。
【0034】
図8は、サイド枠体16を図7に示すI−I線で切断した断面図である。サイド枠体16は、サイド保持部としてサイドガスケット17と外枠としてのアルミフレーム24とが一体的に構成されている。すなわち、枠体保持工程では、積層体11のサイド部11bにサイドガスケット17とアルミフレーム24とをそれぞれ別々に嵌め込むのではなく、予めアルミフレーム24内にサイドガスケット17を固定したサイド枠体16を用意し、そのサイド枠体16を積層体11のサイド部11bに嵌め込む。なお、サイドガスケット17は、シール用成形部材に相当する。
【0035】
サイドガスケット17は、断面略コ字状に形成され、内部に積層体11のサイド部11bを嵌め込むための空間18が形成されている。空間18の幅寸法(図8に示す寸法W)は、空間18の奥に向かう(図8に示す右側)にしたがい緩やかに大きくなるように形成されている。サイドガスケット17は、耐熱性、耐水性、耐荷重性に優れた材質であればよく、例えばシリコーンゴムを用いることができ、特にはオレフィン系ゴムを用いることが好ましい。オレフィン系ゴムは、ゴム成分をエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(EPDM)及び/またはエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPM)とするものである。
また、サイドガスケット17の内周面19には複数の溝部20が、サイドガスケット17の長手方向(図8に示す紙面直交方向)に沿って形成されている。各溝部20は、各溝部20の開口に向かうにしたがい溝幅が狭くなるような略台形状(略ハ字状)に形成されている。
【0036】
アルミフレーム24は、断面略コ字状に形成され、内部にサイドガスケット17を嵌め込める大きさに形成されている。アルミフレーム24とサイドガスケット17とを固定する場合、サイドガスケット17の外周面21やアルミフレーム24内に接着剤としてシリコーン系シーリング材を塗布しておき、アルミフレーム24内にサイドガスケット17を嵌め込むことで固定する。なお、アルミフレーム24の長手方向の両側には、サイドガスケット17が嵌め込まれていない領域25(図7を参照)がある。この領域25には、後述するようにコーナガスケット26が嵌め込まれる。
【0037】
コーナガスケット26は、図7および図9(a)に示すように、平面視で90度に屈曲した形状に形成されている。図9(b)は、コーナガスケット26を図7に示すII−II線で切断した断面図である。コーナガスケット26は、断面略コ字状に形成され、内部に積層体11のコーナ部11aを嵌め込むための空間27が形成されている。空間27の幅寸法(図9(b)に示す寸法W)は、空間27の奥に向かう(図9(b)に示す右側)にしたがい緩やかに大きくなるように形成されている。コーナガスケット26は、耐熱性、耐水性、耐荷重性に優れた材質であればよく、サイドガスケット17と同様、例えばシリコーンゴムを用いることができ、特にはオレフィン系ゴムを用いることが好ましい。コーナガスケット26の内周面28には、サイドガスケット17と同様、複数の溝部29が形成されている。各溝部29は、各溝部29の開口に向かうにしたがい溝幅が狭くなるような略台形状(略ハ字状)に形成されている。
【0038】
また、コーナガスケット26は、サイドガスケット17と異なり、コーナガスケット26中に断面略コ字状の補強材32が埋設されている。補強材32は例えば弾性を有する板バネ等が使用される。したがって、コーナガスケット26を積層体11のコーナ部11aに嵌め込んだ状態では、コーナガスケット26によりコーナ部11aを表裏から挟み込む力を発生させることができる。
【0039】
次に、上述したサイド枠体16およびコーナガスケット26を用いて積層体11の端部を保持する枠体保持工程について図10および図11を参照して説明する。本実施形態の枠体保持工程では、積層体11の端部にサイドガスケット17およびコーナガスケット26を嵌め込んでいく。
【0040】
枠体保持工程では、まず、積層体11の端部のうち4つのコーナ部11aにそれぞれコーナガスケット26を嵌め込む。このとき、図10(a)に示すように、コーナガスケット26の溝部29および内周面28に予め充填剤33を塗布する。充填剤33は、例えばペースト状であるシリコーン系シーリング材を用いることが好ましい。
図10(a)は、積層体11のコーナ部11aにコーナガスケット26を嵌め込んでいる状態を示す断面図である。コーナガスケット26をコーナ部11aに嵌め込む場合、図10(a)に示すように、補強材32の弾性力に抗してコーナガスケット26の開口縁部26a間を広げ、すなわち空間27を広くした状態でコーナ部11aに嵌め込む。コーナガスケット26をコーナ部11aに嵌め込むことで、図10(b)に示すように、はみ出し部13の全体、カバーガラス2の一部およびバックシート10の一部がコーナガスケット26によって被覆される。
【0041】
図10(b)に示すように、積層体11のコーナ部11aにコーナガスケット26を嵌め込んだ状態では、バックシート10とコーナガスケット26との間には、コーナガスケット26の内周面28に予め塗布された充填剤33が充填され、充填剤33が固まることで強固に接着される。特に、開口が狭くなるような略台形状に形成された溝部29内の充填剤は、コーナガスケット26が積層体11から剥離される方向の外力に対抗でき、バックシート10とコーナガスケット26とをより強固に接着されることができる。
なお、はみ出し部13の表面13aと充填剤33との間は、接着剤を兼ねたシーリング材14が塗布されていることから、はみ出し部13の表面13aと充填剤33との間も、強固に接着される。
【0042】
次に、積層体11の端部のうち4つのサイド部11bにそれぞれサイド枠体16を嵌め込む。このとき、コーナガスケット26と同様に、図11(a)に示すように、サイドガスケット17の溝部20および内周面19に予め充填剤33を塗布する。
図11(a)は、積層体11のサイド部11bにサイド枠体16を嵌め込んでいる状態を示す断面図である。サイド枠体16をサイド部11bに嵌め込む場合、図11(a)に示すように、サイド枠体16を積層体11のサイド部11bに対して押し込むようにして嵌め込む。サイド枠体16をサイド部11bに嵌め込むことで、図11(b)に示すように、はみ出し部13の全体、カバーガラス2の一部およびバックシート10の一部がサイド枠体16によって被覆される。
【0043】
図11(b)に示すように、積層体11のサイド部11bにサイド枠体16を嵌め込んだ状態では、バックシート10とサイドガスケット17との間には、サイドガスケット17の内周面19に予め塗布された充填剤33が充填され、充填剤33が固まることで強固に接着される。特に、開口が狭くなるような略台形状に形成された溝部20内の充填剤は、サイド枠体16が積層体11から剥離される方向の外力に対抗でき、バックシート10とサイド枠体16とをより強固に接着されることができる。
なお、はみ出し部13の表面13aと充填剤33との間は、接着剤を兼ねたシーリング材14が塗布されていることから、はみ出し部13の表面13aと充填剤33との間も、強固に接着される。
【0044】
図12は、上述した枠体保持工程を経て製造された太陽電池モジュール35を示す平面図である。なお、図12に示す太陽電池モジュール35では、コーナガスケット26の外側が、サイドガスケット17が嵌め込まれていないアルミフレーム24の領域25内に嵌め込まれることから、外観からコーナガスケット26が見えず見栄えが向上している。
【0045】
また、太陽電池モジュール35は、図10(b)および図11(b)に示すように、はみ出し部13は、シーリング材14およびバックシート10によって覆われ、封止部12全体は、バックシート10によって覆われている。したがって、外部から太陽電池モジュール35のはみ出し部13および封止部12まで水が浸入することがなく防水性の向上を図ることができる。
【0046】
このように第1の実施形態の太陽電池モジュール35の製造方法では、水が浸入する可能性のあるカバーガラス2とバックシート10とが接する部分(A部)に、はみ出し部13を形成したことにより水の浸入を防止し、太陽電池モジュールの封止性を向上させることができる。また、封止部12の一部がはみ出したはみ出し部13を切除せずに枠体15によって保持することから、従来のような切除工程やエッジ処理工程が必要なく、太陽電池モジュール35の製造工程を少なくすることができるので、太陽電池モジュール35の製造効率を向上させることができる。
また、予めアルミフレーム24内にサイドガスケット17を固定させたサイド枠体16を積層体11のサイド部11bに嵌め込むので、一度にサイドガスケット17とアルミフレーム24とを取り付けることができる。したがって、従来のシーリング材取付け工程およびフレーム取付け工程のように重複する工程が必要なく、太陽電池モジュール35の製造工程を少なくすることができるので、太陽電池モジュール35の製造効率を向上させることができる。
【0047】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、ラミネート処理工程、表面処理工程、防水処理工程、外枠保持工程によって太陽電池モジュールを製造する場合について説明した。第2の実施形態では、第1封止材3および第2封止材9の材料を変更することで表面処理工程、防水処理工程を省略する。すなわち、第2の実施形態では、ラミネート処理工程、外枠保持工程によって太陽電池モジュールを製造する。
【0048】
第2の実施形態では、第1封止材3、第2封止材9にゴムシートを用いる。ゴムシートは、ゴム成分をエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(EPDM)及び/またはエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPM)、すなわちオレフィン系ゴムとするものである。これらのゴム成分は、単独でも2種類を混合して用いてもよい。また、ゴムシートは、ゴム成分が主成分となっていればよく、他の樹脂組成物と混練、共重合化されていてもよい。
【0049】
<α−オレフィン>
共重合体ゴムに用いられるα−オレフィンは、炭素数2〜8が好ましく、単独でも2種以上混合しても差し支えない。炭素数2〜8のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが例示されるが、特に炭素数3のプロピレンを好ましく用いることができる。
【0050】
<非共役ジエン>
共重合体ゴムに用いられる非共役ジエンは公知の非共役ジエンを全て用いることができ、単独でも2種以上混合しても差し支えない。例えば、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどの鎖状非共役ジエン化合物、ビニルシクロヘキセン、シクロヘキサジエン、メチルテトラヒドロインデン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネンなどの環状非共役ジエン化合物を例示することができる。これらの中でも、好ましい非共役ジエンは、5−エチリデン−2−ノルボルネンである。
【0051】
<非共役ジエンのヨウ素価>
非共役ジエンのヨウ素価値を35以下とすることで酸素に対する劣化が抑えられるというメリットがある。さらに、ヨウ素価値の範囲は0〜30であることが材料の耐久性と機械的物性のバランスの点で好ましく、さらに好ましい範囲は0〜26である。
【0052】
<有機過酸化物>
また、上述したゴム成分に架橋剤として有機過酸化物を添加する。有機過酸化物を用いると、他の架橋剤を用いるのと比較して長期耐熱安定性に優れ、また、架橋剤のブリードによる他の材料への汚染がない点で好ましい。一般的な架橋剤であるイオウは、ゴム表面に噴出し、太陽電池モジュール内の金属材料を腐食させることがあるので好ましくない。
【0053】
有機過酸化物としては、ジクミルパ−オキサイド、ジ−t−ブチルパ−オキサイド、t−ブチルクミルパ−オキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパ−オキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパ−オキシ)ヘキシン−3,1,1−ビス−t−ブチルパ−オキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパ−オキシイソプロピル)ベンゼンなどが用いられる。これらの内では、反応性、臭気性、スコーチ安定性の点で、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパ−オキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパ−オキシ)ヘキシン−3,1,3−ビス(t−ブチルパ−オキジイソプロピル)ベンゼン等の2官能の有機過酸化物が特に好ましい。更にそのなかでも、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパ−オキシ)ヘキサンが最も好ましい。また、架橋助剤として、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、p,p−ジベンゾイルキノンジオキシム、p,キノンジオキシジズム、1,2ポリブタジエン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレンジメタクリレートを好ましく用いることができる。
【0054】
<有機過酸化物の添加量>
有機過酸化物の添加量は原料ゴム成分100gに対して0.005〜0.1molである。添加量が当該範囲であれば太陽電池モジュールの端部から進入する湿気をシャットアウトできる。また、経済性とゴムとしての伸縮性の観点からも有機過酸化物の添加量は原料ゴム成分100gに対して0.005〜0.1molであることが好ましい。さらに好ましい範囲は原料ゴム成分100gに対して0.01〜0.05molである。
【0055】
<耐熱安定剤>
オレフィン系ゴム中には耐熱性向上のために耐熱安定剤を含有させることが好ましい。耐熱安定剤として、フェノール系酸化防止剤、又はフェノール系酸化防止剤にフォスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤を任意に組み合わせたものを用いることが好適である。中でも、複数を任意に組み合わせた場合がより効果的である。
【0056】
フェノール系酸化防止剤の一種であるヒンダードフェノール系酸化防止剤を用いる場合には、耐熱性の点から分子量が400以上のものが好ましい。耐熱性の点以外でも、分子量が400未満であると、飛散、揮散や接触する物質に抽出される等の現象が見られることがある。したがって分子量が400以上のものが好ましく用いられ、更に好ましくは分子量が500以上のものである。また、高分子量のものを選択することにより、組成物の耐熱性を向上させることができる効果も奏する。
【0057】
このような分子量が400以上のヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、4,4'−メチレン−ビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)(MW=420)や、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(MW=531)(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガノックス1076)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](MW=1178)(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガノックス1010)、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(MW=741)(住友化学株式会社製 スミライザーGA−80)などが挙げられる。
【0058】
フォスファイト系酸化防止剤は、例えば、トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガフォス168、株式会社ADEKA製 アデカスタブ2112等)やビス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジフォスファイト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガフォス126、株式会社ADEKA製 アデカスタブPEP−24G等)、ビス−(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジフォスファイト(株式会社ADEKA製 アデカスタブPEP−36)、ジステアリル−ペンタエリスリトール−ジフォスファイト(株式会社ADEKA製 アデカスタブPEP−8、城北化学工業株式会社製 JPP−2000等)などが挙げられるが、耐加水分解性向上の点でペンタエリスリトール構造を有するものが好ましく、ペンタエリスリトール構造に加えて、さらにt−ブチル基を有する芳香族炭化水素基を有するものが特に好ましい。
【0059】
チオエーテル系酸化防止剤は、例えば、2,2−ビス({[3−(ドデシルチオ)プロピオニル]オキシ}メチル)−1,3−プロパンジイル=ビス[3−(ドデシルチオ)プロピオナート](株式会社ADEKA製 アデカスタブAO−412S)やジトリデカン−1−イル=3,3'−スルファンジイルジプロパノアート(株式会社ADEKA製 アデカスタブAO−503)などが挙げられる。
【0060】
アミン系酸化防止剤は、ジフェニルアミンやフェニルαナフチルアミンなどの芳香族アミン系を挙げることができる。また、ヒンダードフェノール系やフォスファイト系酸化防止剤と併用することができる。
【0061】
<その他の添加剤>
ゴム成分には、他の添加剤を必要に応じて用いることができる。添加剤の具体例として、発泡剤、発泡助剤、補強剤、無機充填剤、軟化剤、安定剤、加工助剤、可塑剤、着色剤架橋用の触媒、顔料、紫外線吸収剤、難燃剤および反応抑制剤などを例示することができる。これらの添加剤は、その種類、含有量が適宜選択される。
【0062】
<合成ゴムの製法>
合成ゴムの製法は、公知の方法によって製造され、重合触媒や重合条件に特に制限はない。重合触媒としては、例えば、チーグラ・ナッタ触媒、メタロセン触媒、イミン触媒、フェノキシイミン触媒など従来公知の各種触媒を使用できる。重合方法も、例えば溶液重合、スラリー重合、塊状重合法など従来公知の重合法が採用できる。具体的には、例えば、各モノマーを反応器内に連続供給し、触媒の存在下、所定温度で共重合反応を進行させて、得られた共重合体ゴムを分離、乾燥して得ることができる。
<ゴムシートの成形>
ゴムシートの成形はカレンダー成形、射出成形、押出成形、圧縮成形、真空成形等、従来から知られた各種の成形方法によって成形することができる。
【0063】
このように、成形されたゴムシートを図1に示す第1封止材3および第2封止材9に用いて、ラミネート装置40によりラミネート処理を行い、積層体11を製造する。このとき、第1の実施形態と同様に、図4に示すようにカバーガラス2の端部2aとバックシート10の張り出し部10aとの間にできる空間に、カバーガラス2とバックシート10とが接する部分(図4に示すA部)の隙間から封止材が充填されはみ出し部13が形成される。ここで、本実施形態のはみ出し部13の主成分は上述したゴム成分であるため、EVA樹脂のように吸水することなく防水性に優れている。したがって、第2の実施形態では、ラミネート処理工程が終了後、表面処理工程および防水処理工程を省略し、すぐに枠体保持工程に移行することができる。なお、枠体保持工程は、第1の実施形態と同様に、はり出し部13を切除せず、枠体15によって保持する。
【0064】
図13は、積層体11のサイド部11bにサイド枠体16を嵌め込んだ状態を示す断面図である。図13に示すように、はみ出し部13の表面13aにシーリング材が塗布されていなくても、はみ出し部13および封止部12のゴム成分が防水性に優れているので、はみ出し部13および封止部12から水が浸入することがなく防水性の向上を図ることができる。
【0065】
このように第2の実施形態の太陽電池モジュールの製造方法では、第1の実施形態の効果に加えて、表面処理工程および防水処理工程を省略することできるので、更に太陽電池モジュール35の製造工程を少なくすることができ、太陽電池モジュール35の製造効率を向上させることができる。
【0066】
以上、本発明を種々の実施形態と共に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。例えば、第1の実施形態および第2の実施形態では、サイドガスケット17はアルミフレーム24内に完全に入り込む形状を例にして説明したが、サイドガスケット17の形状は適宜変更することができる。
【0067】
図14は他の形状のサイドガスケット36を用いたサイド枠体16によって積層体11のサイド部11bを保持した状態を示している。なお、図11(b)に示す構成と同一の構成は同一符号を付して、その説明を省略する。図14に示すサイドガスケット36の開口縁部には、アルミフレーム24の開口縁24aよりも積層体11の中央側に向かって突出した水浸入防止部36aが形成されている。したがって、図11(b)に示すようなアルミフレーム24、カバーガラス2およびサイドガスケット17によって囲まれる空間が形成されないために水が貯留することがなく、サイド枠体16内への水の浸入を防止することができる。また、水侵入防止部36aは、カバーガラス2およびバックシート10からそれぞれ離間するほど、積層体11の端部11bに向かって傾斜しているので、カバーガラス2の表面2bに沿って落下した水は、水侵入防止部36aの傾斜に沿って外部に落下する。なお、コーナガスケットも同様な形状に形成することができる。また、第2の実施形態と同様に、封止部12およびはみ出し部13をオレフィン系ゴムとすることができる。
【0068】
なお、水侵入防止部36aは、ガスケット36に形成する場合に限られず、ガスケット36とは別体にして設けてもよい。図15は、枠体24とガスケット37との間に、略コ字状の水侵入防止部材38を設けたものを示している。なお、図14に示す構成と同一の構成は同一符号を付して、その説明を省略する。図15に示す水侵入防止部材38の開口縁部には、アルミフレーム24の開口縁24aよりも突出した水浸入防止部38aが形成されているので、図14に示す形態と同様にサイド枠体16内への水の浸入を防止することができる。水侵入防止部材38は、耐熱性、耐水性、耐荷重性に優れた材質であればよく、例えばシリコーンゴムを用いることができ、特にはオレフィン系ゴムを用いることが好ましい。オレフィン系ゴムは、ゴム成分をエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(EPDM)及び/またはエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPM)とするものである。
このように、水浸入防止部は、アルミフレーム24と積層体11の間に介在させればよく、図14のようにガスケット36に一体で形成してもよく、図15のように別体で形成してもよい。
【実施例】
【0069】
次に、上述した製造方法を用いて積層体11を製造し、積層体11の封止性について検証する。
(被加工物)
被加工物の構成部材として、カバーガラス2には、3.2mm厚、20cm正方形の白板ガラスを用いた。
第1封止材3および第2封止材9には、20cm正方形に調整したサンビック社製、EVA 400ミクロンを用いた。
バックシート10には、東洋アルミニウム株式会社製BS−W250−S−FA20−Leを用いた。
第1封止材3および第2封止材9の間には、封止性を検証するために、太陽電池素子4に代えて5mm角に調整した吸水紙を配置した。図16は、吸水紙を配置した位置を示す図であり、P1、P2、P3の3ヵ所に配置した。吸水紙として、株式会社東光工業社製水没検知シールPRD−1(8mm×10M)を用いた。
【0070】
(ラミネート処理工程)
上述したカバーガラス2、第1封止材3、吸水紙、第2封止材9およびバックシート10の重ね合わせた被加工物をラミネート装置を用いて、160℃で3分予熱した後、10分ダイヤフラムにて加圧し、積層体11を製造した。なお、ラミネート装置には、日清紡製Lam0505を用いた。
(表面処理工程)
製造した積層体11のはみ出し部13を中心にコロナ処理を行った。処理条件として、速度1m/min、電力500W、ガス流量130L/min、処理幅20mm、処理面からの距離5mmとした。なお、コロナ処理には、春日電気株式会社製大気圧プラズマ表面処理装置(ノズル型)を用いた。
【0071】
(防水処理工程)
表面処理をした積層体11のはみ出し部13を中心に防水処理を施した。防水処理に用いたシーリング材14として、モメンティブ社製シーリング材TSE382を用いた。
(試験方法)
試験方法として、プレッシャ・クッカー法を用いた。プレッシャ・クッカー法は、高温かつ高密度な水蒸気雰囲気を再現し加圧させることで、試験体内への水の浸入を時間的に短縮させ、試験体の耐湿評価の加速寿命の試験に用いられるものである。試験条件としては、115℃100%RHで2気圧に設定し、48時間行った。
(検証方法)
P1〜P3に配置された吸水紙が変色したか否かを判定する。
【0072】
次に、作成した積層体40について、それぞれ図17(a)〜(e)を参照して説明する。なお、図17(a)〜(e)では、各積層体の一部の端部のみを示しているが、全ての端部について同様に構成されている。
図17(a)は、実施例1の積層体40aに対応する。ラミネート処理によって、はみ出し部13の長さL1が10mmになるように形成した。表面処理を行った後、シーリング材14をカバーガラス2の端部2aから内側に向かって長さL3を5mmとする位置から、バックシート10の端部10bまで1.5mm厚で塗布した。
図17(b)は、実施例2の積層体40bに対応する。実施例1と同様にラミネート処理した後、はみ出し部13の長さL1が2mmになるようにはみ出し部の一部を切断した。表面処理(切断した側面の表面処理を含む)を行った後、シーリング材14をカバーガラス2の端部2aから内側に向かって長さL3を5mmとする位置から、バックシート10の端部10bまで1.5mm厚で塗布した。
図17(c)は、実施例3の積層体40cに対応する。ラミネート処理によって、はみ出し部13の長さL1が30mmになるように形成した。表面処理を行った後、シーリング材14をカバーガラス2の端部2aから内側に向かって長さL3を5mmとする位置から、バックシート10の端部10bまで1.5mm厚で塗布した。
図17(d)は、実施例4の積層体40dに対応する。ラミネート処理によって、はみ出し部13の長さL1が10mmになるように形成した。その後、表面処理および防水処理は行わなかった。
図17(e)は、比較例1の積層体40eに対応する。ラミネート処理後、はみ出し部を全て切除した。
検証結果として、以下に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
検証結果から、カバーガラス2の端部2aとバックシート10の張り出し部10aとの間にはみ出し部13を形成することによって、積層体の内部への水の浸入を防止させ太陽電池モジュールの封止性が向上することが実証された。更に、はみ出し部13の表面13aを中心に、カバーガラス2の表面2bおよびバックシート10の端部10bに亘ってシーリング材14を塗布することによって、より確実に積層体の内部への水の浸入を防止させ太陽電池モジュールの封止性が向上することが実証された。
【0075】
なお、実施例1、3でははみ出し部13を切除しない場合について説明したが、実施例2で製造した積層体40bのように、ラミネート処理した後、張り出し部13をカバーガラス2の端部2aの所定の距離の位置で積層体の一辺に沿って切断してもよい。この場合、カバーガラス2の端部2aの一辺に沿って所定の距離ではみ出し部13が形成される。この場合であっても、カバーガラス2の端部2aとバックシート10の張り出し部10aとの間に形成されたはみ出し部13によって、積層体の内部への水の浸入を防止できる。
【符号の説明】
【0076】
1:被加工物 2:表面保護部(カバーガラス) 2a:端部 2b:表面 3:第1封止材 4:太陽電池素子 8:太陽電池ストリング 9:第2封止材 10:裏面保護部(バックシート) 10a:張り出し部 10b:端部 11:積層体 11a:コーナ部 11b:サイド部 12:封止部 13:はみ出し部 13a:表面 13b:傾斜部 13c:端部 14:シーリング材 15:枠体 16:サイド枠体 17:サイド保持部(サイドガスケット) 18:空間 19:内周面 20:溝部 21:外周面 24:外枠(アルミフレーム) 25:領域 26:コーナ保持部(コーナガスケット) 26a:開口縁部 27:空間 28:内周面 29:溝部 32:補強材 33:充填剤 35:太陽電池モジュール 36:サイド保持部(サイドガスケット) 36a:水浸入防止部 38a:水浸入防止部
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電に用いられる太陽電池モジュールは通常、屋外に設置されるために耐候性や耐水性などを有していなければならない。特に、太陽電池モジュール内に水が浸入してしまうと太陽電池モジュールの劣化を招き長寿命化を図ることができない。そのため、太陽電池モジュールを製造する場合、太陽電池モジュールの端部を完全に封止する必要がある。
従来、太陽電池モジュールを製造する場合、ラミネート処理工程、切除工程、エッジ処理工程、シーリング材取付け工程およびフレーム取付け工程など数多くの工程を経て、太陽電池モジュールを製造していた。
ラミネート処理工程とは、太陽電池モジュールの構成部材を重ね合わせて所定の加圧下において所定温度で加熱することで積層体を製造する工程である。
また、切除工程とは、例えば特許文献1および2に開示されているように、ラミネート処理工程により製造された積層体の周囲にはみ出した封止材の余剰部をトリミング装置等によって切除する工程である。ラミネート処理工程では所定の加圧下において所定温度で加熱されることから、封止材の一部が積層体の周囲からはみ出し、余剰部が形成されるため、切除工程においてこの余剰部を切除する。
【0003】
また、エッジ処理工程とは、例えば特許文献3に開示されているように、積層体の端部をシリコーンゴム等で被覆する工程である。上述した切除工程により余剰部が切除された積層体の端部は、切除する際に封止性が破壊されている虞がある。したがって、エッジ処理工程により積層体の端部を被覆することで、積層体を封止する。
【0004】
また、シーリング材取付け工程とは、例えば特許文献4に開示されているように、積層体の端部にスペーサやシーリング材を取り付ける工程である。上述したエッジ処理工程により封止された積層体の端部にスペーサやシーリング材を嵌め込むことで、断熱性や防水性を向上させる。
また、フレーム取付け工程とは、例えば特許文献4に開示されているように、太陽電池モジュールを支持するためのフレームを取り付ける工程である。上述したシーリング材取付け工程により取り付けられたスペーサやシーリング材の外側にアルミニウム製フレームを取り付けることで太陽電池モジュール全体の剛性を向上させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−135840号公報
【特許文献2】特開2001−320069号公報
【特許文献3】特開2001−85726号公報
【特許文献4】特開平11−103086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような従来の太陽電池モジュールの製造方法によれば、エッジ処理工程、シーリング材取付け工程およびフレーム取付け工程によって、太陽電池モジュールの端部をある程度、封止することができる。しかしながら、積層体の周囲からはみ出した封止材の余剰部を切除すると、切除する際に封止材が破壊される場合があり、封止材が破壊された部分から水分が浸入すると封止材が加水分解を起こし、その結果太陽電池モジュールの劣化を招き太陽電池モジュールの寿命が短くなってしまうという問題があった。これは、たとえ端部をエッジ処理や端部にスペーサやシーリング材を取り付けた場合においても、処理が不十分であったりシーリング材等の劣化が進行することで、完全に水の浸入を防ぐことはできず、太陽電池モジュールの長寿命化の阻害要因となっていた。
【0007】
また、太陽電池モジュールが完成するまでに数多くの工程が必要であるために、製造効率の向上を図ることができないという問題があった。特に、切除工程においては製造された積層体をトリミング装置に搬送したり、積層体の4辺全ての余剰部を切除したりしなければならず、切除し終わるまでに時間を要してしまう。また、エッジ処理工程では、その処理に精度を有するために、切除工程と同様にエッジ処理工程が終了するまでに時間を要してしまう。更に、例えばシーリング材取付け工程およびフレーム取付け工程では、それぞれ積層体の端部に特定の部材を取り付ける工程が重複して行われていることから、これらの工程が終了するまでに時間を要してしまう。
このように、従来では太陽電池モジュールの端部の封止性の向上と太陽電池モジュールの製造効率の向上との両立を図ることが困難であった。
【0008】
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであって、太陽電池モジュールの端部を完全に封止することで太陽電池モジュールの長寿命化を図ると共に、製造工程を少なくし製造効率を向上させることができる太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の太陽電池モジュールは、太陽電池素子、前記太陽電池素子の周囲を封止する封止材、表面に配置される表面保護部および裏面に配置される裏面保護部が重ね合わされラミネート処理された積層体よりなる太陽電池モジュールにおいて、
該太陽電池モジュールの端部の構造が、
前記裏面保護部が前記表面保護部の周囲より張り出した張り出し部を有し、前記張り出し部と前記表面保護部の端部との間にできる空間に、前記表面保護部と前記裏面保護部とが接する部分の隙間からはみ出した前記封止材によって充填されたはみ出し部を有することを特徴とする。
【0010】
前記表面保護部の端部から前記はみ出し部の端部までの長さが0.05mm以上50mm以下であることを特徴とする。表面保護部の端部からはみ出し部の端部までの長さを0.05mm以上にすることで太陽電池モジュールの周縁部を封止でき、50mm以下にすることで太陽電池モジュールに対する太陽電池素子の大きさが相対的に小さくなることを防止することができる。
【0011】
また、前記表面保護部の表面、前記はみ出し部の表面および前記裏面保護部に亘って、シーリング材により一体的に被覆されていることを特徴とする。シーリング材によってはみ出し部だけでなく表面保護部から裏面保護部に亘って一体的に被覆することで、より水の浸入を防止することができ、太陽電池モジュールを長寿命化することができる。
【0012】
また、前記表面保護部の端部から前記積層体の端部側に向かって前記シーリング材により被覆される端部までの長さが前記表面保護部の端部から前記はみ出し部の端部までの長さよりも長いことを特徴とする。シーリング材により被覆される長さをこのような長さにすることで、より確実に水の浸入を防止することができる。
【0013】
また、前記はみ出し部全体を覆うと共に、前記表面保護部および前記裏面保護部も同時に覆うシール用成形部材が装着されていることを特徴とする。このような構造にすることで、より確実に水の浸入を防止することができる。
【0014】
また、前記積層体の端部を枠体により保持したことを特徴とする。このような構造にすることで、より確実に水の浸入を防止することができる。
【0015】
また、前記枠体と前記積層体の間に、前記枠体の開口端よりも前記積層体の中央側に向かって突出する水浸入防止部が設けられていることを特徴とする。このような構造にすることにより、太陽電池モジュールと枠体との間から水の浸入をより確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、太陽電池モジュールの端部を完全に封止することで太陽電池モジュールの長寿命化を図ることができると共に、太陽電池モジュールの製造工程を少なくし製造効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】太陽電池モジュールの積層体の構成部材を示す断面図である。
【図2】ラミネート処理工程を説明するための図である。
【図3】ラミネート処理工程を説明するための図である。
【図4】ラミネート処理された積層体の断面図である。
【図5】表面処理工程を説明するための断面図である。
【図6】防水処理工程を説明するための断面図である。
【図7】積層体および枠体の構成を示す平面図である。
【図8】サイド枠体の構成を示す断面図である。
【図9】コーナ保持部の構成を示す図である。
【図10】コーナ保持部を積層体に嵌め込む処理を説明するための図である。
【図11】サイド枠体を積層体に嵌め込む処理を説明するための図である。
【図12】製造された太陽電池モジュールの平面図である。
【図13】第2の実施形態により製造された太陽電池モジュールの断面図である。
【図14】他のサイドガスケットの構成を説明するための図である。
【図15】水侵入防止部材を設けた太陽電池モジュールの断面図である。
【図16】実施例において吸水紙を配置した位置を示す図である。
【図17】実施例に係る積層体の断面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本実施形態に係る太陽電池モジュールの製造方法について説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態の太陽電池モジュールの製造方法では、ラミネート処理工程、表面処理工程、防水処理工程、枠体保持工程によって太陽電池モジュールを製造することができる。ラミネート処理工程では、複数の構成部材を重ね合わせて被加工物を構成し、被加工物をラミネート処理することにより積層体を製造する。表面処理工程では、製造した積層体に表面処理を施す。防水処理工程では、表面処理を施した積層体に防水処理を施す。枠体保持工程では、積層体の端部を枠体で保持し、太陽電池モジュールを完成させる。本実施形態では、後述するように封止材の一部がはみ出して形成されたはみ出し部を積極的に利用することで太陽電池モジュールの封止性の向上を図ると共に、製造効率の向上を図ることができる。
以下、本実施形態の太陽電池モジュールの製造方法についてラミネート処理工程、表面処理工程、防水処理工程、枠保持工程を順に説明する。
【0019】
(ラミネート処理工程)
図1は、ラミネート処理工程で製造される積層体の構成部材を示す図である。なお、以下では、ラミネート処理される前であって、積層体の構成部材が単に重ね合わされたものを被加工物1といい、その被加工物1をラミネート処理したものを積層体という。
被加工物1は、表面保護部としてのカバーガラス2、第1封止材3、太陽電池素子4、第2封止材9、裏面保護部としてのバックシート10が下側から順番に重ね合わされている。ここでは、太陽電池モジュールに太陽光が照射される側を表側とし、その反対側を裏側としている。
【0020】
カバーガラス2は、太陽電池モジュールの表面を保護すると共に入射された太陽光を透過させ太陽電池素子4に照射させる役割を有する。また、カバーガラス2は、平板状であって、太陽電池素子4がストリングされた後述する太陽電池ストリング8全体を覆うことができる大きさを有している。
第1封止材3および第2封止材9は、太陽電池素子4の周囲を被覆して封止する役割を有する。第1封止材3および第2封止材9には、例えばEVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が使用される。また、第1封止材3および第2封止材9は、それぞれ平板状であって、カバーガラス2と略同一の大きさを有している。
【0021】
太陽電池素子4は、第1封止材3および第2封止材9の間に配置される。本実施形態では、電極5、6の間に結晶系セルである複数の太陽電池素子4をリード線7を介して接続した太陽電池ストリング8が配置されている。太陽電池素子4を接続する数は、製造する太陽電池モジュールに応じて増減させることができ、例えば太陽電池素子4は一つであってもよい。
バックシート10は、太陽電池モジュールの裏面を保護する役割を有する。バックシート10には、例えばPET(ポリエチレンテフタレート)樹脂等が使用される。また、バックシート10は、第1封止材3、第2封止材9およびカバーガラス2を覆うことができ、カバーガラス2よりも大きいサイズである。したがって、バックシート10を重ね合わせ、後述するラミネート処理したときに、バックシート10は、カバーガラス2の周囲から張り出した張り出し部10aが形成される(図4を参照)。
【0022】
ラミネート処理工程には、例えばラミネート装置40が用いられる。ラミネート装置40は、上述した被加工物1をラミネート処理することで、積層体を製造する。
図2および図3は、ラミネート装置40のラミネート処理を説明するための断面図である。
【0023】
図2に示すように、ラミネート処理を行う場合、搬送ベルト49が上ケース41と下ケース45との間に被加工物1を搬送する。ここで、被加工物1は、図1に示すように下側からカバーガラス2、第1封止材3、太陽電池素子4、第2封止材9、バックシート10の順番に重ね合わされている。
ラミネート装置40は、上ケース41を下降させ、上ケース41と下ケース45との内部空間を密閉させる。
【0024】
次に、ラミネート装置40は、上ケース41の吸排気口44を介して上チャンバ43の真空引きを行い、下ケース45の吸排気口48を介して、下チャンバ46の真空引きを行う。下チャンバ46の真空引きにより被加工物1に含まれている気泡を抜くことができる。この状態で、被加工物1は熱板47によって加熱され、第1封止材3および第2封止材9が溶融する。
【0025】
次に、ラミネート装置40は、下チャンバ46の真空状態を保ったまま、上ケース41の吸排気口44を介して、上チャンバ43に大気圧を導入する。これにより、上チャンバ43と下チャンバ46とに気圧差が生じ、ダイヤフラム42が膨張して、図3に示すようにダイヤフラム42が下方に押し出される。被加工物1は、下方に押し出されたダイヤフラム42と、熱板47とで挟圧され、溶融した第1封止材3および第2封止材9により各構成部材が接着される。このとき、第1封止材3および第2封止材9の一部は、カバーガラス2とバックシート10との間からはみ出し、自重によって垂れ落ちる。図4は、ラミネート処理された積層体11を示す断面図である。図4に示すように、カバーガラス2の端部2aとバックシート10の張り出し部10aとの間にできる空間に、カバーガラス2とバックシート10とが接する部分(図4に示すA部)の隙間から封止材が充填されはみ出し部13が形成される。
【0026】
なお、本実施形態では、溶融した第1封止材3および第2封止材9のうち所定の量がはみ出してはみ出し部13を形成できるよう、第1封止材3および第2封止材9の量や厚み等が設定されている。はみ出し部13は、表面13aがカバーガラス2の表面2bと略面一に形成され、カバーガラス2の端部2aを覆っている。また、はみ出し部13の表面13aの反対側には、傾斜部13bが形成されている。傾斜部13bは、上述したラミネート装置40のダイヤフラム42によって被加工物1が押圧されたときに形成されたものである。
【0027】
ここで、はみ出し部13はカバーガラス2の端部2aからはみ出し部13の端部13cまでの距離L1(図4を参照)が、0.05mm以上50mm以下であることが好ましい。0.05mmよりも小さいと太陽電池モジュールの端部を封止する性能が十分に得られず、50mmを超えると太陽電池モジュールに対する太陽電池素子4の大きさが相対的に小さくなり発電効率の面で不利になる場合があるためである。
【0028】
なお、上述したバックシート10の張り出し部10aは、その端部がはみ出し部13の表面13aの同一面に到達するまでの長さは必要なく、少なくともカバーガラス4と接する部分(A部)よりも長く形成されていればよい。すなわち、張り出し部10aをA部よりも長く形成することで、カバーガラス2の端部2aとバックシート10の張り出し部10aとの間にはみ出し部13を形成できるので、水が外部からA部を通って太陽電池モジュール内に侵入するのを防止することができる。
ラミネート装置40は、第1封止材3および第2封止材9が完全に架橋するまで加熱することで、第1封止材3および第2封止材9が凝固して太陽電池素子4の周囲を覆う封止部12として形成された積層体11が製造される。
【0029】
その後、ラミネート装置40は、下ケース45の吸排気口48を介して、下チャンバ46に大気圧を導入し、上ケース41を上昇させる。搬送ベルト49は、ラミネート処理された積層体11を次の工程に搬送する。
【0030】
さて、上述したように従来の太陽電池モジュールの製造方法では、積層体11に形成されたはみ出し部13を切除し、切除した部分にエッジ処理を行っていたために、製造効率の向上を図ることができなかった。そこで、本実施形態では、積層体11に形成されたはみ出し部13を切除することなく、次の表面処理工程に移行する。
【0031】
(表面処理工程)
表面処理工程では、図5に示すように、積層体11のカバーガラス2が上側になるように配置し直す。次に、はみ出し部13の表面13aを中心にして、カバーガラス2の表面2bの一部からバックシート10の張り出し部10aの端部10bに亘って表面処理を行う。すなわち、表面処理する範囲は、少なくとも後述する防水処理工程においてシーリング材14が塗布される範囲であり、その範囲よりもやや広い範囲が好ましい。表面処理としては、コロナ放電を照射して表面を改質させる、いわゆるコロナ処理を用いる。コロナ処理を行うことで、処理した表面とシーリング材14との接着力を高めると共にシーリング材14を塗布したときのムラを防止することができる。
【0032】
(防水処理工程)
防水処理工程では、積層体11のはみ出し部13の表面13aを中心にして、カバーガラス2の表面2bの一部からバックシート10の張り出し部10aの端部10bに亘り、すなわち表面処理を行った範囲に防水のためのシーリング材14を塗布する。したがって、図6に示すように、カバーガラス2の表面2b、はみ出し部13の表面13aおよびバックシート10の端部10bは、シーリング材14により一体的に被覆される。シーリング材14は、はみ出し部13による吸水を防止できるものであればよく、例えばペースト状であるシリコーン系シーリング材、特に耐候性、耐熱性および耐寒性に優れたオキシム型シーリング材を用いることが好ましい。シーリング材14は、後述するようにはみ出し部13と充填剤33を接着させる接着剤の機能を兼ねている。なお、シーリング材14は、はみ出し部13全体を被覆することが水の浸入を防ぐ目的において好ましい。したがって、図6に示すように、カバーガラス2の端部2aからシーリング材14により被覆されるシーリング材14の外側の端部までの長さL2が、上述したカバーガラス2の端部2aからはみ出し部13の端部13cまでの距離L1よりも長い。なお、シーリング材14の外側では、はみ出し部13の端部13cを下方に回り込むようにして、バックシート10の端部10bにまで到達している。一方、シーリング材14により、カバーガラス2の端部2aから内側に長さL3で被覆される。
したがって、カバーガラス2の端部2aからシーリング材14により被覆されるシーリング材14の外側の端部までの長さL2とシーリング材14の内側の端部までの長さL3との和は、上述したカバーガラス2の端部2aからはみ出し部13の端部13cまでの距離L1よりも長い。
防水処理工程を経て、次の枠体保持工程に移行する。
【0033】
(枠体保持工程)
枠体保持工程では、積層体11の端部に枠体15を取り付け、積層体11の端部を保持する。図7は、積層体11および枠体15の構成を示す平面図である。本実施形態の枠体15には、積層体11の端部のうち4辺のサイド部11bを覆うサイド枠体16と、4つのコーナ部11aを覆うコーナ保持部としてのコーナガスケット26の2種類を有している。サイド枠体16は直線状に形成され、コーナガスケット26は鉤状に形成されている。なお、コーナガスケット26は、シール用成形部材に相当する。
【0034】
図8は、サイド枠体16を図7に示すI−I線で切断した断面図である。サイド枠体16は、サイド保持部としてサイドガスケット17と外枠としてのアルミフレーム24とが一体的に構成されている。すなわち、枠体保持工程では、積層体11のサイド部11bにサイドガスケット17とアルミフレーム24とをそれぞれ別々に嵌め込むのではなく、予めアルミフレーム24内にサイドガスケット17を固定したサイド枠体16を用意し、そのサイド枠体16を積層体11のサイド部11bに嵌め込む。なお、サイドガスケット17は、シール用成形部材に相当する。
【0035】
サイドガスケット17は、断面略コ字状に形成され、内部に積層体11のサイド部11bを嵌め込むための空間18が形成されている。空間18の幅寸法(図8に示す寸法W)は、空間18の奥に向かう(図8に示す右側)にしたがい緩やかに大きくなるように形成されている。サイドガスケット17は、耐熱性、耐水性、耐荷重性に優れた材質であればよく、例えばシリコーンゴムを用いることができ、特にはオレフィン系ゴムを用いることが好ましい。オレフィン系ゴムは、ゴム成分をエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(EPDM)及び/またはエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPM)とするものである。
また、サイドガスケット17の内周面19には複数の溝部20が、サイドガスケット17の長手方向(図8に示す紙面直交方向)に沿って形成されている。各溝部20は、各溝部20の開口に向かうにしたがい溝幅が狭くなるような略台形状(略ハ字状)に形成されている。
【0036】
アルミフレーム24は、断面略コ字状に形成され、内部にサイドガスケット17を嵌め込める大きさに形成されている。アルミフレーム24とサイドガスケット17とを固定する場合、サイドガスケット17の外周面21やアルミフレーム24内に接着剤としてシリコーン系シーリング材を塗布しておき、アルミフレーム24内にサイドガスケット17を嵌め込むことで固定する。なお、アルミフレーム24の長手方向の両側には、サイドガスケット17が嵌め込まれていない領域25(図7を参照)がある。この領域25には、後述するようにコーナガスケット26が嵌め込まれる。
【0037】
コーナガスケット26は、図7および図9(a)に示すように、平面視で90度に屈曲した形状に形成されている。図9(b)は、コーナガスケット26を図7に示すII−II線で切断した断面図である。コーナガスケット26は、断面略コ字状に形成され、内部に積層体11のコーナ部11aを嵌め込むための空間27が形成されている。空間27の幅寸法(図9(b)に示す寸法W)は、空間27の奥に向かう(図9(b)に示す右側)にしたがい緩やかに大きくなるように形成されている。コーナガスケット26は、耐熱性、耐水性、耐荷重性に優れた材質であればよく、サイドガスケット17と同様、例えばシリコーンゴムを用いることができ、特にはオレフィン系ゴムを用いることが好ましい。コーナガスケット26の内周面28には、サイドガスケット17と同様、複数の溝部29が形成されている。各溝部29は、各溝部29の開口に向かうにしたがい溝幅が狭くなるような略台形状(略ハ字状)に形成されている。
【0038】
また、コーナガスケット26は、サイドガスケット17と異なり、コーナガスケット26中に断面略コ字状の補強材32が埋設されている。補強材32は例えば弾性を有する板バネ等が使用される。したがって、コーナガスケット26を積層体11のコーナ部11aに嵌め込んだ状態では、コーナガスケット26によりコーナ部11aを表裏から挟み込む力を発生させることができる。
【0039】
次に、上述したサイド枠体16およびコーナガスケット26を用いて積層体11の端部を保持する枠体保持工程について図10および図11を参照して説明する。本実施形態の枠体保持工程では、積層体11の端部にサイドガスケット17およびコーナガスケット26を嵌め込んでいく。
【0040】
枠体保持工程では、まず、積層体11の端部のうち4つのコーナ部11aにそれぞれコーナガスケット26を嵌め込む。このとき、図10(a)に示すように、コーナガスケット26の溝部29および内周面28に予め充填剤33を塗布する。充填剤33は、例えばペースト状であるシリコーン系シーリング材を用いることが好ましい。
図10(a)は、積層体11のコーナ部11aにコーナガスケット26を嵌め込んでいる状態を示す断面図である。コーナガスケット26をコーナ部11aに嵌め込む場合、図10(a)に示すように、補強材32の弾性力に抗してコーナガスケット26の開口縁部26a間を広げ、すなわち空間27を広くした状態でコーナ部11aに嵌め込む。コーナガスケット26をコーナ部11aに嵌め込むことで、図10(b)に示すように、はみ出し部13の全体、カバーガラス2の一部およびバックシート10の一部がコーナガスケット26によって被覆される。
【0041】
図10(b)に示すように、積層体11のコーナ部11aにコーナガスケット26を嵌め込んだ状態では、バックシート10とコーナガスケット26との間には、コーナガスケット26の内周面28に予め塗布された充填剤33が充填され、充填剤33が固まることで強固に接着される。特に、開口が狭くなるような略台形状に形成された溝部29内の充填剤は、コーナガスケット26が積層体11から剥離される方向の外力に対抗でき、バックシート10とコーナガスケット26とをより強固に接着されることができる。
なお、はみ出し部13の表面13aと充填剤33との間は、接着剤を兼ねたシーリング材14が塗布されていることから、はみ出し部13の表面13aと充填剤33との間も、強固に接着される。
【0042】
次に、積層体11の端部のうち4つのサイド部11bにそれぞれサイド枠体16を嵌め込む。このとき、コーナガスケット26と同様に、図11(a)に示すように、サイドガスケット17の溝部20および内周面19に予め充填剤33を塗布する。
図11(a)は、積層体11のサイド部11bにサイド枠体16を嵌め込んでいる状態を示す断面図である。サイド枠体16をサイド部11bに嵌め込む場合、図11(a)に示すように、サイド枠体16を積層体11のサイド部11bに対して押し込むようにして嵌め込む。サイド枠体16をサイド部11bに嵌め込むことで、図11(b)に示すように、はみ出し部13の全体、カバーガラス2の一部およびバックシート10の一部がサイド枠体16によって被覆される。
【0043】
図11(b)に示すように、積層体11のサイド部11bにサイド枠体16を嵌め込んだ状態では、バックシート10とサイドガスケット17との間には、サイドガスケット17の内周面19に予め塗布された充填剤33が充填され、充填剤33が固まることで強固に接着される。特に、開口が狭くなるような略台形状に形成された溝部20内の充填剤は、サイド枠体16が積層体11から剥離される方向の外力に対抗でき、バックシート10とサイド枠体16とをより強固に接着されることができる。
なお、はみ出し部13の表面13aと充填剤33との間は、接着剤を兼ねたシーリング材14が塗布されていることから、はみ出し部13の表面13aと充填剤33との間も、強固に接着される。
【0044】
図12は、上述した枠体保持工程を経て製造された太陽電池モジュール35を示す平面図である。なお、図12に示す太陽電池モジュール35では、コーナガスケット26の外側が、サイドガスケット17が嵌め込まれていないアルミフレーム24の領域25内に嵌め込まれることから、外観からコーナガスケット26が見えず見栄えが向上している。
【0045】
また、太陽電池モジュール35は、図10(b)および図11(b)に示すように、はみ出し部13は、シーリング材14およびバックシート10によって覆われ、封止部12全体は、バックシート10によって覆われている。したがって、外部から太陽電池モジュール35のはみ出し部13および封止部12まで水が浸入することがなく防水性の向上を図ることができる。
【0046】
このように第1の実施形態の太陽電池モジュール35の製造方法では、水が浸入する可能性のあるカバーガラス2とバックシート10とが接する部分(A部)に、はみ出し部13を形成したことにより水の浸入を防止し、太陽電池モジュールの封止性を向上させることができる。また、封止部12の一部がはみ出したはみ出し部13を切除せずに枠体15によって保持することから、従来のような切除工程やエッジ処理工程が必要なく、太陽電池モジュール35の製造工程を少なくすることができるので、太陽電池モジュール35の製造効率を向上させることができる。
また、予めアルミフレーム24内にサイドガスケット17を固定させたサイド枠体16を積層体11のサイド部11bに嵌め込むので、一度にサイドガスケット17とアルミフレーム24とを取り付けることができる。したがって、従来のシーリング材取付け工程およびフレーム取付け工程のように重複する工程が必要なく、太陽電池モジュール35の製造工程を少なくすることができるので、太陽電池モジュール35の製造効率を向上させることができる。
【0047】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、ラミネート処理工程、表面処理工程、防水処理工程、外枠保持工程によって太陽電池モジュールを製造する場合について説明した。第2の実施形態では、第1封止材3および第2封止材9の材料を変更することで表面処理工程、防水処理工程を省略する。すなわち、第2の実施形態では、ラミネート処理工程、外枠保持工程によって太陽電池モジュールを製造する。
【0048】
第2の実施形態では、第1封止材3、第2封止材9にゴムシートを用いる。ゴムシートは、ゴム成分をエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(EPDM)及び/またはエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPM)、すなわちオレフィン系ゴムとするものである。これらのゴム成分は、単独でも2種類を混合して用いてもよい。また、ゴムシートは、ゴム成分が主成分となっていればよく、他の樹脂組成物と混練、共重合化されていてもよい。
【0049】
<α−オレフィン>
共重合体ゴムに用いられるα−オレフィンは、炭素数2〜8が好ましく、単独でも2種以上混合しても差し支えない。炭素数2〜8のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが例示されるが、特に炭素数3のプロピレンを好ましく用いることができる。
【0050】
<非共役ジエン>
共重合体ゴムに用いられる非共役ジエンは公知の非共役ジエンを全て用いることができ、単独でも2種以上混合しても差し支えない。例えば、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどの鎖状非共役ジエン化合物、ビニルシクロヘキセン、シクロヘキサジエン、メチルテトラヒドロインデン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネンなどの環状非共役ジエン化合物を例示することができる。これらの中でも、好ましい非共役ジエンは、5−エチリデン−2−ノルボルネンである。
【0051】
<非共役ジエンのヨウ素価>
非共役ジエンのヨウ素価値を35以下とすることで酸素に対する劣化が抑えられるというメリットがある。さらに、ヨウ素価値の範囲は0〜30であることが材料の耐久性と機械的物性のバランスの点で好ましく、さらに好ましい範囲は0〜26である。
【0052】
<有機過酸化物>
また、上述したゴム成分に架橋剤として有機過酸化物を添加する。有機過酸化物を用いると、他の架橋剤を用いるのと比較して長期耐熱安定性に優れ、また、架橋剤のブリードによる他の材料への汚染がない点で好ましい。一般的な架橋剤であるイオウは、ゴム表面に噴出し、太陽電池モジュール内の金属材料を腐食させることがあるので好ましくない。
【0053】
有機過酸化物としては、ジクミルパ−オキサイド、ジ−t−ブチルパ−オキサイド、t−ブチルクミルパ−オキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパ−オキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパ−オキシ)ヘキシン−3,1,1−ビス−t−ブチルパ−オキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパ−オキシイソプロピル)ベンゼンなどが用いられる。これらの内では、反応性、臭気性、スコーチ安定性の点で、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパ−オキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパ−オキシ)ヘキシン−3,1,3−ビス(t−ブチルパ−オキジイソプロピル)ベンゼン等の2官能の有機過酸化物が特に好ましい。更にそのなかでも、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパ−オキシ)ヘキサンが最も好ましい。また、架橋助剤として、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、p,p−ジベンゾイルキノンジオキシム、p,キノンジオキシジズム、1,2ポリブタジエン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレンジメタクリレートを好ましく用いることができる。
【0054】
<有機過酸化物の添加量>
有機過酸化物の添加量は原料ゴム成分100gに対して0.005〜0.1molである。添加量が当該範囲であれば太陽電池モジュールの端部から進入する湿気をシャットアウトできる。また、経済性とゴムとしての伸縮性の観点からも有機過酸化物の添加量は原料ゴム成分100gに対して0.005〜0.1molであることが好ましい。さらに好ましい範囲は原料ゴム成分100gに対して0.01〜0.05molである。
【0055】
<耐熱安定剤>
オレフィン系ゴム中には耐熱性向上のために耐熱安定剤を含有させることが好ましい。耐熱安定剤として、フェノール系酸化防止剤、又はフェノール系酸化防止剤にフォスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤を任意に組み合わせたものを用いることが好適である。中でも、複数を任意に組み合わせた場合がより効果的である。
【0056】
フェノール系酸化防止剤の一種であるヒンダードフェノール系酸化防止剤を用いる場合には、耐熱性の点から分子量が400以上のものが好ましい。耐熱性の点以外でも、分子量が400未満であると、飛散、揮散や接触する物質に抽出される等の現象が見られることがある。したがって分子量が400以上のものが好ましく用いられ、更に好ましくは分子量が500以上のものである。また、高分子量のものを選択することにより、組成物の耐熱性を向上させることができる効果も奏する。
【0057】
このような分子量が400以上のヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、4,4'−メチレン−ビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)(MW=420)や、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(MW=531)(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガノックス1076)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](MW=1178)(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガノックス1010)、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(MW=741)(住友化学株式会社製 スミライザーGA−80)などが挙げられる。
【0058】
フォスファイト系酸化防止剤は、例えば、トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガフォス168、株式会社ADEKA製 アデカスタブ2112等)やビス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジフォスファイト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガフォス126、株式会社ADEKA製 アデカスタブPEP−24G等)、ビス−(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジフォスファイト(株式会社ADEKA製 アデカスタブPEP−36)、ジステアリル−ペンタエリスリトール−ジフォスファイト(株式会社ADEKA製 アデカスタブPEP−8、城北化学工業株式会社製 JPP−2000等)などが挙げられるが、耐加水分解性向上の点でペンタエリスリトール構造を有するものが好ましく、ペンタエリスリトール構造に加えて、さらにt−ブチル基を有する芳香族炭化水素基を有するものが特に好ましい。
【0059】
チオエーテル系酸化防止剤は、例えば、2,2−ビス({[3−(ドデシルチオ)プロピオニル]オキシ}メチル)−1,3−プロパンジイル=ビス[3−(ドデシルチオ)プロピオナート](株式会社ADEKA製 アデカスタブAO−412S)やジトリデカン−1−イル=3,3'−スルファンジイルジプロパノアート(株式会社ADEKA製 アデカスタブAO−503)などが挙げられる。
【0060】
アミン系酸化防止剤は、ジフェニルアミンやフェニルαナフチルアミンなどの芳香族アミン系を挙げることができる。また、ヒンダードフェノール系やフォスファイト系酸化防止剤と併用することができる。
【0061】
<その他の添加剤>
ゴム成分には、他の添加剤を必要に応じて用いることができる。添加剤の具体例として、発泡剤、発泡助剤、補強剤、無機充填剤、軟化剤、安定剤、加工助剤、可塑剤、着色剤架橋用の触媒、顔料、紫外線吸収剤、難燃剤および反応抑制剤などを例示することができる。これらの添加剤は、その種類、含有量が適宜選択される。
【0062】
<合成ゴムの製法>
合成ゴムの製法は、公知の方法によって製造され、重合触媒や重合条件に特に制限はない。重合触媒としては、例えば、チーグラ・ナッタ触媒、メタロセン触媒、イミン触媒、フェノキシイミン触媒など従来公知の各種触媒を使用できる。重合方法も、例えば溶液重合、スラリー重合、塊状重合法など従来公知の重合法が採用できる。具体的には、例えば、各モノマーを反応器内に連続供給し、触媒の存在下、所定温度で共重合反応を進行させて、得られた共重合体ゴムを分離、乾燥して得ることができる。
<ゴムシートの成形>
ゴムシートの成形はカレンダー成形、射出成形、押出成形、圧縮成形、真空成形等、従来から知られた各種の成形方法によって成形することができる。
【0063】
このように、成形されたゴムシートを図1に示す第1封止材3および第2封止材9に用いて、ラミネート装置40によりラミネート処理を行い、積層体11を製造する。このとき、第1の実施形態と同様に、図4に示すようにカバーガラス2の端部2aとバックシート10の張り出し部10aとの間にできる空間に、カバーガラス2とバックシート10とが接する部分(図4に示すA部)の隙間から封止材が充填されはみ出し部13が形成される。ここで、本実施形態のはみ出し部13の主成分は上述したゴム成分であるため、EVA樹脂のように吸水することなく防水性に優れている。したがって、第2の実施形態では、ラミネート処理工程が終了後、表面処理工程および防水処理工程を省略し、すぐに枠体保持工程に移行することができる。なお、枠体保持工程は、第1の実施形態と同様に、はり出し部13を切除せず、枠体15によって保持する。
【0064】
図13は、積層体11のサイド部11bにサイド枠体16を嵌め込んだ状態を示す断面図である。図13に示すように、はみ出し部13の表面13aにシーリング材が塗布されていなくても、はみ出し部13および封止部12のゴム成分が防水性に優れているので、はみ出し部13および封止部12から水が浸入することがなく防水性の向上を図ることができる。
【0065】
このように第2の実施形態の太陽電池モジュールの製造方法では、第1の実施形態の効果に加えて、表面処理工程および防水処理工程を省略することできるので、更に太陽電池モジュール35の製造工程を少なくすることができ、太陽電池モジュール35の製造効率を向上させることができる。
【0066】
以上、本発明を種々の実施形態と共に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。例えば、第1の実施形態および第2の実施形態では、サイドガスケット17はアルミフレーム24内に完全に入り込む形状を例にして説明したが、サイドガスケット17の形状は適宜変更することができる。
【0067】
図14は他の形状のサイドガスケット36を用いたサイド枠体16によって積層体11のサイド部11bを保持した状態を示している。なお、図11(b)に示す構成と同一の構成は同一符号を付して、その説明を省略する。図14に示すサイドガスケット36の開口縁部には、アルミフレーム24の開口縁24aよりも積層体11の中央側に向かって突出した水浸入防止部36aが形成されている。したがって、図11(b)に示すようなアルミフレーム24、カバーガラス2およびサイドガスケット17によって囲まれる空間が形成されないために水が貯留することがなく、サイド枠体16内への水の浸入を防止することができる。また、水侵入防止部36aは、カバーガラス2およびバックシート10からそれぞれ離間するほど、積層体11の端部11bに向かって傾斜しているので、カバーガラス2の表面2bに沿って落下した水は、水侵入防止部36aの傾斜に沿って外部に落下する。なお、コーナガスケットも同様な形状に形成することができる。また、第2の実施形態と同様に、封止部12およびはみ出し部13をオレフィン系ゴムとすることができる。
【0068】
なお、水侵入防止部36aは、ガスケット36に形成する場合に限られず、ガスケット36とは別体にして設けてもよい。図15は、枠体24とガスケット37との間に、略コ字状の水侵入防止部材38を設けたものを示している。なお、図14に示す構成と同一の構成は同一符号を付して、その説明を省略する。図15に示す水侵入防止部材38の開口縁部には、アルミフレーム24の開口縁24aよりも突出した水浸入防止部38aが形成されているので、図14に示す形態と同様にサイド枠体16内への水の浸入を防止することができる。水侵入防止部材38は、耐熱性、耐水性、耐荷重性に優れた材質であればよく、例えばシリコーンゴムを用いることができ、特にはオレフィン系ゴムを用いることが好ましい。オレフィン系ゴムは、ゴム成分をエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(EPDM)及び/またはエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPM)とするものである。
このように、水浸入防止部は、アルミフレーム24と積層体11の間に介在させればよく、図14のようにガスケット36に一体で形成してもよく、図15のように別体で形成してもよい。
【実施例】
【0069】
次に、上述した製造方法を用いて積層体11を製造し、積層体11の封止性について検証する。
(被加工物)
被加工物の構成部材として、カバーガラス2には、3.2mm厚、20cm正方形の白板ガラスを用いた。
第1封止材3および第2封止材9には、20cm正方形に調整したサンビック社製、EVA 400ミクロンを用いた。
バックシート10には、東洋アルミニウム株式会社製BS−W250−S−FA20−Leを用いた。
第1封止材3および第2封止材9の間には、封止性を検証するために、太陽電池素子4に代えて5mm角に調整した吸水紙を配置した。図16は、吸水紙を配置した位置を示す図であり、P1、P2、P3の3ヵ所に配置した。吸水紙として、株式会社東光工業社製水没検知シールPRD−1(8mm×10M)を用いた。
【0070】
(ラミネート処理工程)
上述したカバーガラス2、第1封止材3、吸水紙、第2封止材9およびバックシート10の重ね合わせた被加工物をラミネート装置を用いて、160℃で3分予熱した後、10分ダイヤフラムにて加圧し、積層体11を製造した。なお、ラミネート装置には、日清紡製Lam0505を用いた。
(表面処理工程)
製造した積層体11のはみ出し部13を中心にコロナ処理を行った。処理条件として、速度1m/min、電力500W、ガス流量130L/min、処理幅20mm、処理面からの距離5mmとした。なお、コロナ処理には、春日電気株式会社製大気圧プラズマ表面処理装置(ノズル型)を用いた。
【0071】
(防水処理工程)
表面処理をした積層体11のはみ出し部13を中心に防水処理を施した。防水処理に用いたシーリング材14として、モメンティブ社製シーリング材TSE382を用いた。
(試験方法)
試験方法として、プレッシャ・クッカー法を用いた。プレッシャ・クッカー法は、高温かつ高密度な水蒸気雰囲気を再現し加圧させることで、試験体内への水の浸入を時間的に短縮させ、試験体の耐湿評価の加速寿命の試験に用いられるものである。試験条件としては、115℃100%RHで2気圧に設定し、48時間行った。
(検証方法)
P1〜P3に配置された吸水紙が変色したか否かを判定する。
【0072】
次に、作成した積層体40について、それぞれ図17(a)〜(e)を参照して説明する。なお、図17(a)〜(e)では、各積層体の一部の端部のみを示しているが、全ての端部について同様に構成されている。
図17(a)は、実施例1の積層体40aに対応する。ラミネート処理によって、はみ出し部13の長さL1が10mmになるように形成した。表面処理を行った後、シーリング材14をカバーガラス2の端部2aから内側に向かって長さL3を5mmとする位置から、バックシート10の端部10bまで1.5mm厚で塗布した。
図17(b)は、実施例2の積層体40bに対応する。実施例1と同様にラミネート処理した後、はみ出し部13の長さL1が2mmになるようにはみ出し部の一部を切断した。表面処理(切断した側面の表面処理を含む)を行った後、シーリング材14をカバーガラス2の端部2aから内側に向かって長さL3を5mmとする位置から、バックシート10の端部10bまで1.5mm厚で塗布した。
図17(c)は、実施例3の積層体40cに対応する。ラミネート処理によって、はみ出し部13の長さL1が30mmになるように形成した。表面処理を行った後、シーリング材14をカバーガラス2の端部2aから内側に向かって長さL3を5mmとする位置から、バックシート10の端部10bまで1.5mm厚で塗布した。
図17(d)は、実施例4の積層体40dに対応する。ラミネート処理によって、はみ出し部13の長さL1が10mmになるように形成した。その後、表面処理および防水処理は行わなかった。
図17(e)は、比較例1の積層体40eに対応する。ラミネート処理後、はみ出し部を全て切除した。
検証結果として、以下に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
検証結果から、カバーガラス2の端部2aとバックシート10の張り出し部10aとの間にはみ出し部13を形成することによって、積層体の内部への水の浸入を防止させ太陽電池モジュールの封止性が向上することが実証された。更に、はみ出し部13の表面13aを中心に、カバーガラス2の表面2bおよびバックシート10の端部10bに亘ってシーリング材14を塗布することによって、より確実に積層体の内部への水の浸入を防止させ太陽電池モジュールの封止性が向上することが実証された。
【0075】
なお、実施例1、3でははみ出し部13を切除しない場合について説明したが、実施例2で製造した積層体40bのように、ラミネート処理した後、張り出し部13をカバーガラス2の端部2aの所定の距離の位置で積層体の一辺に沿って切断してもよい。この場合、カバーガラス2の端部2aの一辺に沿って所定の距離ではみ出し部13が形成される。この場合であっても、カバーガラス2の端部2aとバックシート10の張り出し部10aとの間に形成されたはみ出し部13によって、積層体の内部への水の浸入を防止できる。
【符号の説明】
【0076】
1:被加工物 2:表面保護部(カバーガラス) 2a:端部 2b:表面 3:第1封止材 4:太陽電池素子 8:太陽電池ストリング 9:第2封止材 10:裏面保護部(バックシート) 10a:張り出し部 10b:端部 11:積層体 11a:コーナ部 11b:サイド部 12:封止部 13:はみ出し部 13a:表面 13b:傾斜部 13c:端部 14:シーリング材 15:枠体 16:サイド枠体 17:サイド保持部(サイドガスケット) 18:空間 19:内周面 20:溝部 21:外周面 24:外枠(アルミフレーム) 25:領域 26:コーナ保持部(コーナガスケット) 26a:開口縁部 27:空間 28:内周面 29:溝部 32:補強材 33:充填剤 35:太陽電池モジュール 36:サイド保持部(サイドガスケット) 36a:水浸入防止部 38a:水浸入防止部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池素子、前記太陽電池素子の周囲を封止する封止材、表面に配置される表面保護部および裏面に配置される裏面保護部が重ね合わされラミネート処理された積層体よりなる太陽電池モジュールにおいて、
該太陽電池モジュールの端部の構造が、
前記裏面保護部が前記表面保護部の周囲より張り出した張り出し部を有し、前記張り出し部と前記表面保護部の端部との間にできる空間に、前記表面保護部と前記裏面保護部とが接する部分の隙間からはみ出した前記封止材によって充填されたはみ出し部を有することを特徴とする、太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記表面保護部の端部から前記はみ出し部の端部までの長さが0.05mm以上50mm以下であることを特徴とする、請求項1記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記表面保護部の表面、前記はみ出し部の表面および前記裏面保護部に亘って、シーリング材により一体的に被覆されていることを特徴とする、請求項1または2記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
前記表面保護部の端部から前記積層体の端部側に向かって前記シーリング材により被覆される端部までの長さが前記表面保護部の端部から前記はみ出し部の端部までの長さよりも長いことを特徴とする、請求項3記載の太陽電池モジュール。
【請求項5】
前記はみ出し部全体を覆うと共に、前記表面保護部および前記裏面保護部も同時に覆うシール用成形部材が装着されていることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項記載の太陽電池モジュール。
【請求項6】
前記積層体の端部を枠体により保持したことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項記載の太陽電池モジュール。
【請求項7】
前記枠体と前記積層体の間に、前記枠体の開口端よりも前記積層体の中央側に向かって突出する水浸入防止部が設けられていることを特徴とする、請求項6記載の太陽電池モジュール。
【請求項1】
太陽電池素子、前記太陽電池素子の周囲を封止する封止材、表面に配置される表面保護部および裏面に配置される裏面保護部が重ね合わされラミネート処理された積層体よりなる太陽電池モジュールにおいて、
該太陽電池モジュールの端部の構造が、
前記裏面保護部が前記表面保護部の周囲より張り出した張り出し部を有し、前記張り出し部と前記表面保護部の端部との間にできる空間に、前記表面保護部と前記裏面保護部とが接する部分の隙間からはみ出した前記封止材によって充填されたはみ出し部を有することを特徴とする、太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記表面保護部の端部から前記はみ出し部の端部までの長さが0.05mm以上50mm以下であることを特徴とする、請求項1記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記表面保護部の表面、前記はみ出し部の表面および前記裏面保護部に亘って、シーリング材により一体的に被覆されていることを特徴とする、請求項1または2記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
前記表面保護部の端部から前記積層体の端部側に向かって前記シーリング材により被覆される端部までの長さが前記表面保護部の端部から前記はみ出し部の端部までの長さよりも長いことを特徴とする、請求項3記載の太陽電池モジュール。
【請求項5】
前記はみ出し部全体を覆うと共に、前記表面保護部および前記裏面保護部も同時に覆うシール用成形部材が装着されていることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項記載の太陽電池モジュール。
【請求項6】
前記積層体の端部を枠体により保持したことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項記載の太陽電池モジュール。
【請求項7】
前記枠体と前記積層体の間に、前記枠体の開口端よりも前記積層体の中央側に向かって突出する水浸入防止部が設けられていることを特徴とする、請求項6記載の太陽電池モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−55250(P2013−55250A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193096(P2011−193096)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000004374)日清紡ホールディングス株式会社 (370)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000004374)日清紡ホールディングス株式会社 (370)
【Fターム(参考)】
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