説明

妨害波検出装置及び妨害波除去装置

【課題】妨害波の変調度によっても妨害波の希望波に対する影響度が異なるため、この点を考慮した妨害波除去を行う。
【解決手段】受信信号を中間周波数信号に変換する中間周波数変換部3と、中間周波数信号から希望波を抽出するフィルタ部4と、妨害波を検出しフィルタ部4における通過帯域幅を制御する妨害波検出部6とを備え、妨害波検出部6は、フィルタ部4における希望波の通過帯域幅を制御する通過帯域幅制御部18と、希望波の中心周波数の近傍周波数帯にバンドパスフィルタを配置した近傍周波数帯信号抽出部12〜15と、近傍周波数帯信号抽出部の出力結果に基づき、妨害波の変調度を検出する変調度検出部17とを備え、通過帯域幅制御部18は変調度検出部17の出力に基づきフィルタ部4の通過帯域幅を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、妨害波検出装置及び妨害波除去装置に関し、より詳細には、希望波に対する妨害波を検出し、妨害波が希望波に与える影響を抑制する妨害波検出装置及びその妨害波検出装置で検出した妨害波を除去する妨害波除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ラジオ受信機などでは、所望の周波数の信号(以下、「希望波」という)を受信するにあたり、希望波の近傍の周波数を使用した放送局などが存在する場合、この近傍周波数の信号の影響を受けて受信品質が劣化する。そのため、ラジオ受信機などでは、希望波の近傍周波数の信号(以下、適宜「(近傍)妨害波」という)を検知して、受信機側で、受信信号の中間周波数信号を通過させるIF(Intermediate Frequency)フィルタの通過帯域幅を変更するなどして、妨害波の影響を低減する等の対策がとられている。
【0003】
このような妨害波の有無を検知する方法として、例えば、特許文献1に記載のものは、受信希望波に隣接する妨害波を効率的に除去し、かつ検波後の受信信号に歪みの少ない隣接妨害波除去機能付き受信機の関するものである。この特許文献1では、希望波と妨害波の信号強度に基づいたしきい値判定によってIFフィルタの通過帯域幅の制御を行い、さらに、希望波を妨害波として誤検出するのを防ぐために、希望波の変調度を検出し、希望波が過変調時にしきい値の制御を行っている。
【0004】
また、特許文献2に記載のものは、受信信号が含まれる妨害波を検出する妨害は検出装置及び当該検出した妨害波を除去する妨害波除去装置に関するもので、この特許文献2では、隣接妨害波の存在する周波数範囲に応じてIFフィルタの通過帯域幅を制御している(段落番号[0023]乃至[0025]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開WO2007−000882号公報(特許第4203111号)
【特許文献2】特開2004−40367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献2に記載の方法では、バンドパスフィルタを順次走査しながら隣接妨害波の存在する周波数範囲を測定するため、各バンドパスフィルタからの出力に時間差が生じてしまう。例えば、バンドパスフィルタ(BPF+1)と(BPF+2)ではその出力に時間差が生じているので、特許文献2に記載の方法では、隣接妨害波の存在する周波数範囲が極めて短い時間で変化する場合にその周波数範囲を示す適切な瞬時値を表すことが出来ない、という問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、希望波に対する妨害波を検出し、妨害波が希望波に与える影響を抑制する妨害波検出装置及びその妨害波検出装置で検出した妨害波を除去する妨害波除去装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、希望波に対する妨害波を検出し、妨害波が希望波に与える影響を抑制する妨害波検出装置であって、前記希望波の中心周波数の近傍周波数帯にバンドパスフィルタを配置した近傍周波数帯信号抽出部と、前記近傍周波数帯信号抽出部を通過する妨害波の最大信号強度と平均信号強度とを検出する近傍周波数帯変調度検出部と、前記近傍周波数帯変調度検出部の出力結果に基づき、前記希望波の通過帯域幅を制御する通過帯域幅制御部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記希望波の中心周波数位置にバンドパスフィルタを配置した希望周波数帯信号抽出部と、前記希望周波数帯信号抽出部を通過する希望波の最大信号強度と平均信号強度とを検出する希望波変調度検出部と、をさらに備え、前記通過帯域幅制御部は、前記希望波変調度検出部の出力結果と、前記近傍周波数帯変調度検出部の出力結果と、に基づき、前記希望波の通過帯域幅を制御することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記近傍周波数帯は、前記希望波の中心周波数に近い周波数帯である第一近傍周波数帯と、前記希望波の中心周波数に近い周波数帯である第二近傍周波数帯と、を含み、前記近傍周波数帯信号抽出部は、前記第一近傍周波数帯にバンドパスフィルタを配置した第一近傍周波数帯信号抽出部と、前記第二近傍周波数帯にバンドパスフィルタを配置した第二近傍周波数帯信号抽出部と、を含み、前記近傍周波数帯変調度検出部は、前記第一近傍周波数帯信号抽出部を通過する妨害波の最大信号強度と平均信号強度とを検出する第一近傍周波数帯変調度検出部と、前記第二近傍周波数帯信号抽出部を通過する妨害波の変調度を検出する第二近傍周波数帯変調度検出部と、を含み、
前記通過帯域幅制御部は、前記第一近傍周波数帯変調度検出部の出力結果と、前記第二近傍周波数帯変調度検出部の出力結果と、に基づき、前記希望波の通過帯域幅を制御することを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記第二近傍周波数帯変調度検出部は、前記第二近傍周波数帯信号抽出部を通過する妨害波の最大信号強度と平均信号強度とを検出し、該最大信号強度と平均信号強度に基づき妨害波の変調度を検出することを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、希望波に対する妨害波を検出し、妨害波が希望波に与える影響を抑制する妨害波検出装置であって、前記希望波の中心周波数の周波数位置にバンドパスフィルタを配置した希望周波数帯信号抽出部と、前記希望周波数帯信号抽出部を通過する希望波の最大信号強度と平均信号強度とを検出する希望波変調度検出部と、前記希望波の中心周波数の近傍周波数帯にバンドパスフィルタを設置した近傍周波数帯信号抽出部と、前記希望波変調度検出部の出力結果と、前記近傍周波数帯信号抽出部の出力結果に基づき、前記希望波の通過帯域幅を制御する通過帯域幅制御部とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記近傍周波数帯信号抽出部を通過する妨害波の変調度を検出する近傍周波数帯変調度検出部と、を備えることを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、受信信号から妨害波を除去する妨害波除去装置であって、前記受信信号を中間周波数信号に変換する中間周波数変換部と、該中間周波数信号から所望の帯域の信号である希望波を抽出するフィルタ部と、前記妨害波を検出し、前記フィルタ部における通過帯域幅を制御する妨害波検出部とを有する妨害波検出装置を備え、該妨害波検出装置は、前記希望波の中心周波数の近傍周波数帯にバンドパスフィルタを配置した近傍周波数帯信号抽出部と、前記近傍周波数帯信号抽出部を通過する妨害波の最大信号強度と平均信号強度とを検出する近傍周波数帯変調度検出部と、前記近傍周波数帯変調度検出部の出力結果に基づき、前記フィルタ部における通過帯域幅を制御する通過帯域幅制御部とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項8に記載の発明は、受信信号から妨害波を除去する妨害波除去装置であって、前記受信信号を中間周波数信号に変換する中間周波数変換部と、該中間周波数信号から所望の帯域の信号である希望波を抽出するフィルタ部と、前記妨害波を検出し、前記フィルタ部における通過帯域幅を制御する妨害波検出部とを有する妨害波検出装置を備え、該妨害波検出装置は、前記希望波の中心周波数の周波数位置にバンドパスフィルタを配置した希望周波数帯信号抽出部と、前記希望周波数帯信号抽出部を通過する希望波の最大信号強度と平均信号強度とを検出する希望波変調度検出部と、前記希望波の中心周波数の近傍周波数帯にバンドパスフィルタを配置した近傍周波数帯信号抽出部と、前記希望波変調度検出部の出力結果と、前記近傍周波数帯信号抽出部の出力結果に基づき、前記フィルタ部における通過帯域幅を制御する通過帯域幅制御部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、希望波に対する妨害波を検出し、妨害波が希望波に与える影響を抑制する妨害波検出装置及びその妨害波検出装置で検出した妨害波を除去する妨害波除去装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る妨害波検出装置の受信装置の一実施形態を説明するための構成図である。
【図2】図1に示された妨害波検出部を説明するための具体的なブロック構成図である。
【図3】図2に用いられるBPFの通過特性の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る妨害波検出装置の受信装置の一実施形態を説明するための構成図で、図中符号1は受信装置、2はアンテナ、3はフロントエンド部(中間周波数変換部)、4はIFフィルタ(フィルタ部)、5は検波部、6は妨害波検出部を示している。
本発明に係る妨害波検出装置は、アンテナ2と、フロントエンド部3とIFフィルタ4と検波部5と妨害波検出部6とからなる受信装置1とから構成され、希望波に対する妨害波を検出し、妨害波が希望波に与える影響を抑制するものである。
【0017】
受信装置1は、例えば、FM(Frequency Modulation)ラジオを受信するための受信装置である。フロントエンド部3は、アンテナ2からの信号を受けて、選局、増幅処理を行った後、この信号の周波数を中間周波数にダウンコンバートする。IFフィルタ4は、フロントエンド部3の出力を受けるとともに、妨害波検出部6によってその通過帯域幅が制御されて、所望帯域の中間周波数信号を抽出する。このIFフィルタ4は、例えば、FIR(Finite Impulse Response Filter)フィルタによって実現可能である。また、FM検波部5は、IFフィルタ4の出力を受け、検波(復調)処理を行う。
【0018】
妨害波検出部6は、妨害波の変調度を検出し、この検出結果に基づいて所望の周波数帯の信号である希望波の通過帯域幅(IFフィルタ4の通過帯域幅)を制御する。
図2は、図1に示された妨害波検出部を説明するための具体的なブロック構成図である。妨害波検出部6は、希望波BPF(希望波バンドパスフィルタ)11(希望周波数帯信号抽出部)と、+100kHzBPF12と、−100kHzBPF13と、+200kHzBPF14と、−200kHzBPF15と、各帯域の信号強度を検出する信号強度検出部16と、希望波および妨害波の変調度を検出する変調度検出部17と、希望波の通過帯域幅を制御するための通過帯域幅制御部18とを備えている。また、BPF12乃至15により近傍周波数帯信号抽出部が構成され、この近傍周波数帯信号抽出部12乃至15は、希望波の中心周波数の近傍周波数位置にバンドパスフィルタを配置したものである。また、通過帯域幅制御部18は、近傍周波数帯信号抽出部12乃至15の出力結果に基づき、希望波の通過帯域幅を制御するものである。
【0019】
また、本発明に係る妨害波検出装置は、希望波の中心周波数位置にバンドパスフィルタが配置された希望周波数帯信号抽出部11をさらに備え、通過帯域幅制御部18は、希望周波数帯信号抽出部11の出力結果と、近傍周波数帯信号抽出部12乃至15の出力結果とに基づき、希望波の通過帯域幅を制御するものである。
変調度検出部17は、バンドパスフィルタを通過する希望波や妨害波の最大信号強度と平均信号強度とを検出し、この最大信号強度と平均信号強度に基づき希望波や妨害波の変調度を検出するものである。
【0020】
希望波BPF11は、希望波の中心周波数の位置に、その通過帯域幅の中心周波数が設置されたBPFである。+100kHzBPF12は、希望波の中心周波数を基準に+100kHzの位置に、その通過帯域幅の中心周波数が設置されたBPFである。−100kHzBPF13は、希望波の中心周波数を基準に−100kHzの位置に、その通過帯域幅の中心周波数が設置されたBPFである。+200kHzBPF14は、希望波の中心周波数を基準に+200kHzの位置に、その通過帯域幅の中心周波数が設置されたBPFである。−200kHzBPF15は、希望波の中心周波数を基準に−200kHzの位置に、その通過帯域幅の中心周波数が設置されたBPFである。
【0021】
なお、本実施形態においては、妨害波を検出するためのBPF12〜15が希望波の中心周波数の前後に100kHz間隔で配置されているが(BPF12乃至15)、この間隔については、当然のことながら、例えば各国の法律等により定められている放送局に割り当て可能なチャネルの間隔等に応じて決定される等となっていればよい。
また、本実施形態では、近傍周波数帯のうち、希望波の中心周波数に近い周波数帯を第一近傍周波数帯とし、希望波の中心周波数に遠い周波数帯を第二近傍周波数帯とし、+100kHzと−100kHzは第一近傍周波数帯に含まれ、+200kHzと−200kHzは第二近傍周波数帯に含まれるとする。そして、BPF12と13により第一近傍周波数帯信号抽出部が構成され、BPF14と15により第二近傍周波数帯信号抽出部が構成される。
また、希望波BPF11および妨害波検出用のBPF12〜15は、所望信号以外の信号が回り込まないよう、図3に示されるように、通過帯域幅の狭いBPFを用いることが好ましい。
【0022】
信号強度検出部16は、希望波BPF11と妨害波検出用のBPF12〜15において、各出力のある一定時間における信号強度の最大値をホールドし、そのホールドした最大値をそれぞれ、希望波、+100kHz近傍妨害波、−100kHz近傍妨害波、+200kHz近傍妨害波、および−200kHz近傍妨害波の最大信号強度とする(ここでは、各帯域の最大信号強度は各放送局の信号強度とみなす)。そして、希望波の信号強度を基準として、±100kHzの近傍妨害波の信号強度と、±200kHzの近傍妨害波の信号強度の大きさ(例えば、希望波の信号強度を1としたときの、各近傍妨害波の信号強度の比率)を算出する。
【0023】
変調度検出部17は、希望波と各近傍妨害波の平均信号強度を算出し、信号強度検出部16で検出された各近傍妨害波の最大信号強度と、算出された平均信号強度とから把握される希望波および各近傍妨害波の信号強度減衰から、希望波、+100kHz近傍妨害波、−100kHz近傍妨害波、+200kHz近傍妨害波、および−200kHz近傍妨害波の変調度を算出するものである。
【0024】
ここで、信号強度減衰については、変調度が小さい信号では、最大信号強度と平均信号強度との間の信号強度差が小さく(すなわち、最大信号強度から平均信号強度への減衰は小さい)、変調度が大きい信号では、最大信号強度と平均信号強度には信号強度差が大きい(すなわち、最大信号強度から平均信号強度への減衰は大きい)との関係がある。変調度検出部17はこの関係を利用し、変調度を算出する。なお、このような信号強度減衰の関係は、用いられるフィルタの仕様によって決定されるため、あらかじめモデル化しておくことができる。
【0025】
例えば、ある時刻における+100kHzの妨害波の変調度がほぼ0kHzに近いときは、+100kHzのBPFの中心および中心近傍を通過する値が出力されつづける(つまり、妨害波は中心周波数周辺を頻繁に通過する)。よって、この出力結果から平均信号強度を算出すると、最大信号強度と平均信号強度はほぼ同等の値となる。逆に、+100kHzの妨害波の変調度が例えば75kHz程度であった場合には、+100kHzのBPFの中心および中心近傍以外に、中心から大きく外れた周波数領域も通過する値が出力される。よって、この出力結果から平均信号強度を算出すると、最大信号強度と平均信号強度には大きな信号強度差が存在する。
【0026】
さらに、変調度検出部17における変調度の算出は、所望帯域の信号強度減衰関係のみだけでなく、近傍の周波数帯域の変調度を考慮することで、より精度よく変調度を検出することが可能となる。つまり、希望波の変調度は、希望波の最大信号強度と平均信号強度のみではなく、更に近傍妨害波の変調度に基づき算出されることが好ましく、各近傍妨害波の変調度は、各近傍妨害波の最大信号強度と平均信号強度のみではなく、希望波の変調度や、更には各近傍妨害波近傍の妨害波(例えば、変調度算出の対象が+100kHzの近傍妨害波である場合の+200kHzの近傍妨害波)の変調度に基づき算出されることが好ましい。
【0027】
具体的には、例えば、+100kHzの近傍妨害波の変調度を算出する場合は、+100kHz近傍妨害波の最大信号強度と平均信号強度だけではなく、近傍の周波数帯域に存在する信号の変調度、例えば、希望波や+200kHzの近傍妨害波の変調度を考慮して算出することが望ましい。
なぜならば、希望波や+200kHzの近傍妨害波の変調度が大きいほど、+100kHzの妨害波帯域に回りこむため、平均信号強度が増加し、逆に、希望波や+200kHzの近傍妨害波の変調度が小さいほど、+100kHzの妨害波帯域には回りこみにくく、平均信号強度は減少するためである。同様に、希望波の変調度を算出する場合は、希望波の最大信号強度と平均信号強度だけではなく、近傍する帯域に存在する信号の変調度、例えば、+100kHz近傍妨害波や−100kHz近傍妨害波、+200kHz近傍妨害波や−200kHz近傍妨害波の変調度を考慮して算出することが望ましい。
【0028】
また、例えば、+100kHzの近傍妨害波の変調度を算出する場合は、近傍の周波数帯域に存在する信号の変調度、例えば、希望波や+200kHzの近傍妨害波の変調度の他、近傍の周波数帯域に存在する信号の信号強度、例えば、希望波や+200kHzの近傍妨害波の信号強度を考慮して算出することが望ましい。
なぜならば、希望波や+200kHzの近傍妨害波の信号強度が大きいほど、+100kHzの妨害波帯域に信号が回りこんだ時の、+100kHzの近傍妨害波の変調度への影響が大きくなるからである。
【0029】
同様に、希望波の変調度を算出する場合は、近傍する帯域に存在する信号の変調度、例えば、+100kHz近傍妨害波や−100kHz近傍妨害波の変調度の他、近傍の周波数帯域に存在する信号の信号強度、例えば、+100kHz近傍妨害波や−100kHz近傍妨害波、+200kHz近傍妨害波や−200kHz近傍妨害波の信号強度を考慮して算出することが望ましい。
【0030】
通過帯域幅制御部18は、変調度検出部17から、希望波、−100kHz近傍妨害波、+100kHz近傍妨害波、−200kHz近傍妨害波、+200kHz近傍妨害波、の変調度を受けとって、あらかじめ設定されたしきい値を用いたしきい値判定に基づき、希望波の適切な通過帯域幅を決定する。具体的には、例えば、各妨害波の変調度がしきい値以上であれば通過帯域幅を所定の幅だけ狭くし、しきい値未満であれば通過帯域幅を所定の幅だけ広くする等の処理を行う。さらに、希望波の変調度がしきい値以上であれば通過帯域幅を所定の幅だけ広くし、しきい値未満であれば通過帯域幅を所定の幅だけ狭くする等の処理を行う。
【0031】
なお、希望波の通過帯域幅を決定する際は、上述した変調度の他に、±100kHzの近傍妨害波の信号強度と±200kHzの近傍妨害波の信号強度を用いることによって、より高品質な受信信号を提供することができる。なぜならば、近傍妨害波の影響は、妨害波の変調度だけでなく、±100kHzの近傍妨害波の信号強度と±200kHzの近傍妨害波の信号強度、ならびに希望波との周波数差によっても異なり、これらに応じて希望波の最適な通過帯域幅は異なるからである。
【0032】
なお、上述した実施形態では、+100kHzBPFと−100kHzBPFの出力結果において、+100kHzおよび−100kHzの双方の周波数に存在する信号を検出しているが、希望周波数の高周波側の信号又は低周波数側の信号のうちのどちらか一方のみの妨害波の信号を用いて、希望波の通過帯域幅を制御するようになっていても良い。
このような構成により、希望波に対する妨害波を検出し、妨害波が希望波に与える影響を抑制する妨害波検出装置を実現することができる。
【0033】
次に、上述した妨害波検出装置を用いた妨害波除去装置について以下に説明する。
本発明に係る受信信号から妨害波を除去する妨害波除去装置は、受信信号を中間周波数信号に変換する中間周波数変換部3と、この中間周波数信号から所望の帯域の信号である希望波を抽出するフィルタ部4と、妨害波を検出し、フィルタ部4における通過帯域幅を制御する妨害波検出部6とを有する妨害波検出装置とを備え、この妨害波検出装置は、希望波の中心周波数の近傍周波数位置にバンドパスフィルタが配置され、このバンドパスフィルタを通過する妨害波の最大信号強度と平均信号強度とを検出する近傍周波数帯信号抽出部12乃至15と、この近傍周波数帯信号抽出部12乃至15に基づき、フィルタ部4における通過帯域幅を制御する通過帯域幅制御部18とを備えている。
【0034】
また、本発明に係る受信信号から妨害波を除去する妨害波除去装置は、受信信号を中間周波数信号に変換する中間周波数変換部3と、中間周波数信号から所望の帯域の信号である希望波を抽出するフィルタ部4と、妨害波を検出し、フィルタ部4における通過帯域幅を制御する妨害波検出部6とを有する妨害波検出装置とを備え、この妨害波検出装置は、希望波の中心周波数の周波数位置にバンドパスフィルタが配置され、このバンドパスフィルタを通過する希望波の最大信号強度と平均信号強度とを検出する希望周波数帯信号抽出部11と、希望波の中心周波数の近傍周波数位置にバンドパスフィルタが配置され、このバンドパスフィルタを通過する妨害波を検出する近傍周波数帯信号抽出部12乃至15と、希望周波数帯信号抽出部11の出力結果と、近傍周波数帯信号抽出部12乃至15の出力結果に基づき、フィルタ部4における通過帯域幅を制御する通過帯域幅制御部18とを備えている。
【0035】
このような構成により、希望波に対する妨害波を検出し、妨害波が希望波に与える影響を抑制する妨害波検出装置を備え、検出した妨害波を除去する妨害波除去装置を実現することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 受信装置
2 アンテナ
3 フロントエンド部
4 IFフィルタ
5 検波部
6 妨害波検出部
11 希望波BPF
12 +100kHzBPF
13 −100kHzBPF
14 +200kHzBPF
15 −200kHzBPF
16 信号強度検出部
17 変調度検出部
18 通過帯域幅制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
希望波に対する妨害波を検出し、妨害波が希望波に与える影響を抑制する妨害波検出装置であって、
前記希望波の中心周波数の近傍周波数帯にバンドパスフィルタを配置した近傍周波数帯信号抽出部と、
前記近傍周波数帯信号抽出部を通過する妨害波の最大信号強度と平均信号強度とを検出する近傍周波数帯変調度検出部と、
前記近傍周波数帯変調度検出部の出力結果に基づき、前記希望波の通過帯域幅を制御する通過帯域幅制御部と
を備えたことを特徴とする妨害波検出装置。
【請求項2】
前記希望波の中心周波数位置にバンドパスフィルタを配置した希望周波数帯信号抽出部と、
前記希望周波数帯信号抽出部を通過する希望波の最大信号強度と平均信号強度とを検出する希望波変調度検出部と、
をさらに備え、
前記通過帯域幅制御部は、前記希望波変調度検出部の出力結果と、前記近傍周波数帯変調度検出部の出力結果と、に基づき、前記希望波の通過帯域幅を制御することを特徴とする請求項1に記載の妨害波検出装置。
【請求項3】
前記近傍周波数帯は、前記希望波の中心周波数に近い周波数帯である第一近傍周波数帯と、前記希望波の中心周波数に近い周波数帯である第二近傍周波数帯と、を含み、
前記近傍周波数帯信号抽出部は、
前記第一近傍周波数帯にバンドパスフィルタを配置した第一近傍周波数帯信号抽出部と、前記第二近傍周波数帯にバンドパスフィルタを配置した第二近傍周波数帯信号抽出部と、
を含み、
前記近傍周波数帯変調度検出部は、
前記第一近傍周波数帯信号抽出部を通過する妨害波の最大信号強度と平均信号強度とを検出する第一近傍周波数帯変調度検出部と、
前記第二近傍周波数帯信号抽出部を通過する妨害波の変調度を検出する第二近傍周波数帯変調度検出部と、
を含み、
前記通過帯域幅制御部は、前記第一近傍周波数帯変調度検出部の出力結果と、前記第二近傍周波数帯変調度検出部の出力結果と、に基づき、前記希望波の通過帯域幅を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の妨害波検出装置。
【請求項4】
前記第二近傍周波数帯変調度検出部は、前記第二近傍周波数帯信号抽出部を通過する妨害波の最大信号強度と平均信号強度とを検出し、該最大信号強度と平均信号強度に基づき妨害波の変調度を検出することを特徴とする請求項3に記載の妨害波検出装置。
【請求項5】
希望波に対する妨害波を検出し、妨害波が希望波に与える影響を抑制する妨害波検出装置であって、
前記希望波の中心周波数の周波数位置にバンドパスフィルタを配置した希望周波数帯信号抽出部と、
前記希望周波数帯信号抽出部を通過する希望波の最大信号強度と平均信号強度とを検出する希望波変調度検出部と、
前記希望波の中心周波数の近傍周波数帯にバンドパスフィルタを設置した近傍周波数帯信号抽出部と、
前記希望波変調度検出部の出力結果と、前記近傍周波数帯信号抽出部の出力結果に基づき、前記希望波の通過帯域幅を制御する通過帯域幅制御部と
を備えたことを特徴とする妨害波検出装置。
【請求項6】
前記近傍周波数帯信号抽出部を通過する妨害波の変調度を検出する近傍周波数帯変調度検出部と、を備えることを特徴とする請求項5に記載の妨害波検出装置。
【請求項7】
受信信号から妨害波を除去する妨害波除去装置であって、
前記受信信号を中間周波数信号に変換する中間周波数変換部と、該中間周波数信号から所望の帯域の信号である希望波を抽出するフィルタ部と、前記妨害波を検出し、前記フィルタ部における通過帯域幅を制御する妨害波検出部とを有する妨害波検出装置を備え、
該妨害波検出装置は、
前記希望波の中心周波数の近傍周波数帯にバンドパスフィルタを配置した近傍周波数帯信号抽出部と、
前記近傍周波数帯信号抽出部を通過する妨害波の最大信号強度と平均信号強度とを検出する近傍周波数帯変調度検出部と、
前記近傍周波数帯変調度検出部の出力結果に基づき、前記フィルタ部における通過帯域幅を制御する通過帯域幅制御部と
を備えたことを特徴とする妨害波除去装置。
【請求項8】
受信信号から妨害波を除去する妨害波除去装置であって、
前記受信信号を中間周波数信号に変換する中間周波数変換部と、該中間周波数信号から所望の帯域の信号である希望波を抽出するフィルタ部と、前記妨害波を検出し、前記フィルタ部における通過帯域幅を制御する妨害波検出部とを有する妨害波検出装置を備え、
該妨害波検出装置は、
前記希望波の中心周波数の周波数位置にバンドパスフィルタを配置した希望周波数帯信号抽出部と、
前記希望周波数帯信号抽出部を通過する希望波の最大信号強度と平均信号強度とを検出する希望波変調度検出部と、
前記希望波の中心周波数の近傍周波数帯にバンドパスフィルタを配置した近傍周波数帯信号抽出部と、
前記希望波変調度検出部の出力結果と、前記近傍周波数帯信号抽出部の出力結果に基づき、前記フィルタ部における通過帯域幅を制御する通過帯域幅制御部と
を備えたことを特徴とする妨害波除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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