説明

媒体処理装置

【課題】保守作業時における装置や媒体の損傷を防止し得るようにする。
【解決手段】現金自動預払機1の紙幣処理部11は、一時保留部15が装着状態にあるとき、操作抑制板41の切欠部41Xを操作ノブ21の溝部21Rに係合させて退避位置に保持することにより、歯車部21Cを何ら歯合させず、ドラム27及び搬送ローラ24等に対する回転操作を抑制することができる。一方紙幣処理部11は、一時保留部15が回動され離脱状態となることにより、操作抑制板41の切欠部41Xと操作ノブ21の溝部21Rとの係合を解除する。これにより一時保留部15は、操作ノブ21を退避位置から歯合位置へ移動させ歯車部21Cを歯車32及び35と歯合させることが可能となり、当該操作ノブ21を介したドラム27及び搬送ローラ24等に対する回転操作を可能とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体処理装置に関し、例えば紙幣等の媒体を投入して所望の取引を行う現金自動預払機(ATM)等に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関等で使用される現金自動預払機等においては、顧客との取引内容に応じて、例えば顧客に紙幣や硬貨等の現金を入金させ、また顧客へ現金を出金するようになされている。
【0003】
現金自動預払機としては、例えば顧客との間で紙幣の授受を行う紙幣入出金口と、投入された紙幣の金種及び真偽を鑑別する鑑別部と、投入された紙幣を一時的に保留する一時保留部と、金種ごとに紙幣を格納する金種カセットとを有するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この現金自動預払機は、入金取引において、顧客が紙幣入出金口に紙幣を投入すると、投入された紙幣を鑑別部で鑑別し、正常紙幣と鑑別された紙幣を一時保留部で保留する一方、取引すべきでないと鑑別された紙幣を紙幣入出金口へ戻して顧客に返却する。続いて現金自動預払機は、顧客により入金金額が確定されると、一時保留部に保留した紙幣の金種を鑑別部により再鑑別し、鑑別された金種に応じて各金種カセットへ収納する。
【0005】
ところで現金自動預払機のなかには、本体から一時保留部を切り離し得るよう構成することにより、保守作業等において作業効率を高めるようになされたものがある。
【0006】
例えば図16(A)に示すように、現金自動預払機200は、本体フレーム211Fに一時保留部215のフレーム20が取り付けられている。本体フレーム211F内においては、紙幣を搬送する搬送部13と一時保留部215の受渡口23との間で紙幣を受け渡すようになされている。
【0007】
現金自動預払機200では、図16(B)に示すように、保守作業等の際に回動軸22を中心に一時保留部215のフレーム20を回動させることにより、搬送部13の一部や一時保留部215の受渡口23等を外部へ露出させ、保守作業の効率を高め得ることができる。
【0008】
以下では、一時保留部215が本体フレーム211Fに装着され紙幣BLを授受できる状態(図16(A))を装着状態と呼び、一時保留部215が回動されて本体フレーム211Fから切り離され受渡口23等を露出させた状態(図16(B))を離脱状態と呼ぶ。
【0009】
一時保留部215は、本体フレーム211F側から紙幣が受け渡されると、搬送ローラ24等を回転させ搬送路26を介して当該紙幣を搬送し、図示しないテープによりドラム27の周側面に巻き付ける。
【0010】
また一時保留部215は、保守作業用の操作ノブ221が設けられている。操作ノブ221は、図示しない歯車が設けられており、フレーム20内へ押し込まれることにより、一時的に内部の他の歯車等と歯合し、内部のドラム27や搬送ローラ24等(図中破線で示す)を手動により作動させ得るようになされている(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第3207504号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで一時保留部215は、保守作業等において、ドラム27に紙幣が巻き付けられている状態で操作ノブ221が所定方向へ回転されると、搬送路26を介して受渡口23へ紙幣を搬送する。
【0013】
このとき一時保留部215は、離脱状態(図16(B))であれば、受渡口23から紙幣を排出することができ、この紙幣を保守作業員等に回収させることができる。
【0014】
一方、一時保留部215は、装着状態(図16(A))であれば、本体フレーム211F側の搬送部13が動作していないため、受渡口23に到達した紙幣を排出することができず、搬送路26等に詰まらせる可能性がある。
【0015】
このとき一時保留部215では、図17に示すように、紙幣を搬送路26に次々と詰まらせてしまうことになり、内部の各機構やテープ(図示せず)等、さらには紙幣を損傷させてしまう恐れがある。
【0016】
このように現金自動預払機200では、一時保留部215が本体フレーム211Fに装着された状態で操作ノブ221の操作がなされると、一時保留部215内において搬送路26等に紙幣を詰まらせ、或いは各機構や紙幣等を損傷させる恐れがある、という問題があった。
【0017】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、保守作業時における装置や媒体の損傷を防止し得る媒体処理装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
かかる課題を解決するため本発明の媒体処理装置においては、媒体を一時的に内部に保留する一時保留部と、一時保留部内に設けられ、一時保留部内に媒体を収納し又は当該一時保留部内から当該媒体を排出する機構を駆動する歯車と、一時保留部が装着される装着箇所を有し、当該一時保留部が当該装着箇所に装着されたときに当該一時保留部との間で媒体を授受する本体部と、一時保留部の外部から加えられる回転操作を歯車に伝達する操作ノブと、本体部に設けられ、当該本体部の装着箇所に一時保留部が装着された装着状態では操作ノブから歯車に対する回転操作の伝達を禁止する一方、装着箇所から一時保留部が離脱された離脱状態では操作ノブから歯車に対する回転操作の伝達を許容する操作抑制部とを設けるようにした。
【0019】
これにより、一時保留部が装着状態にあるときには操作抑制部により操作ノブから歯車への回転の伝達を禁止できる一方、一時保留部が離脱状態にあるときには操作ノブから歯車へ回転を伝達することができ、当該操作ノブを介して当該歯車を駆動させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、一時保留部が装着状態にあるときには操作抑制部により操作ノブから歯車への回転の伝達を禁止できる一方、一時保留部が離脱状態にあるときには操作ノブから歯車へ回転を伝達することができ、当該操作ノブを介して当該歯車を駆動させることができる。かくして本発明は、保守作業時における装置や媒体の損傷を防止し得る媒体処理装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】現金自動預払機の外観構成を示す略線的斜視図である。
【図2】現金自動預払機の内部構成を示す略線図である。
【図3】一時保留部の構成(1)を示す略線図である。
【図4】一時保留部の構成(2)を示す略線図である。
【図5】第1の実施の形態による操作ノブの構成を示す略線図である。
【図6】第1の実施の形態による操作抑制板の構成を示す略線的斜視図である。
【図7】第1の実施の形態における操作ノブと操作抑制板との関係(1)を示す略線的斜視図である。
【図8】第1の実施の形態における操作ノブと操作抑制板との関係(2)を示す略線図である。
【図9】第1の実施の形態における操作ノブと操作抑制板との関係(3)を示す略線図である。
【図10】第2の実施の形態による操作ノブの構成(1)を示す略線的斜視図である。
【図11】第2の実施の形態による操作ノブの構成(2)を示す略線的図である。
【図12】第2の実施の形態による操作ノブの構成(3)を示す略線的図である。
【図13】第2の実施の形態における操作ノブと操作抑制板との関係(1)を示す略線的斜視図である。
【図14】第2の実施の形態における操作ノブと操作抑制板との関係(2)を示す略線図である。
【図15】第2の実施の形態における操作ノブと操作抑制板との関係(3)を示す略線図である。
【図16】従来の一時保留部の構成を示す略線図である。
【図17】従来の一時保留部における紙幣の詰まりの説明に供する略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0023】
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動預払機の全体構成]
図1に外観を示すように、現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、顧客との間で現金に関する取引を行うようになされている。
【0024】
筐体2は、その前面2A側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所、すなわち前面2Aの上部から上面に渡る箇所に、接客部3が設けられている。
【0025】
接客部3は、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになされており、硬貨入出金口4、紙幣入出金口5、通帳挿入口6、カード挿入口7及び表示操作部8が設けられている。
【0026】
硬貨入出金口4及び紙幣入出金口5は、顧客が入金する硬貨及び紙幣BLがそれぞれ投入されると共に、顧客へ出金する硬貨及び紙幣BLがそれぞれ排出される部分である。また硬貨入出金口4及び紙幣入出金口5は、それぞれに設けられたシャッタを駆動することにより開放又は閉塞するようになされている。因みに紙幣BLは、例えば長方形の紙で構成されている。
【0027】
通帳挿入口6は、取引で使用される通帳が挿入され、取引が終了すると通帳が排出される部分である。この通帳挿入口6の奥部には、取引内容等を通帳に記録する通帳処理部(図示せず)が設けられている。
【0028】
カード挿入口7は、キャッシュカード等の各種カードが挿入または排出される部分である。カード挿入口7の奥部には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。
【0029】
表示操作部8は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチパネルとが一体化されている。
【0030】
因みに筐体2は、前面2A側やその反対側(すなわち背面側)等の一部の側面が開閉可能な扉により構成されている。すなわち筐体2は、顧客との間で現金に関する取引を行う取引動作時には、各扉を閉塞することにより、内部に保有している紙幣BLや硬貨等を保護する。一方筐体2は、作業者等が保守作業を行う保守作業時には、必要に応じて各扉を開放することにより、内部の各部に対する作業を容易に行わせ得る。
【0031】
以下では、現金自動預払機1の前面2A側となる前側及びその反対の後側、当該前面2A側に対峙した顧客から見て左及び右となる左側及び右側、並びに上側及び下側を定義して説明する。
【0032】
図2は、図1の現金自動預払機1を左側から見た側面図であり、当該現金自動預払機1の内部構成のうち主に紙幣の処理に関する部分を示している。同図に示したように、現金自動預払機1の内部には、上側に紙幣BLに関する種々の処理を行う紙幣処理部11が設けられ、下側に紙幣BLを貯蔵する紙幣貯蔵部12が設けられている。
【0033】
紙幣処理部11内には、接客部3の一部である紙幣入出金口5、紙幣BLの金種や真偽を判定する鑑別部14及び入金された紙幣を一時的に保留する一時保留部15等が設けられている。
【0034】
また紙幣処理部11内には、紙幣BLの短辺方向を進行方向とし、各部の間で当該紙幣BLを所定の搬送路(図中太線で示す)に沿って搬送する搬送部13が設けられている。
【0035】
紙幣貯蔵部12には、紙幣BLを金種別に収納する紙幣収納庫17及び損傷等により流通させるべきでないと鑑別された紙幣BLを収納するリジェクト庫18が設けられている。
【0036】
この現金自動預払機1は、制御部10により全体を統括制御するようになされている。制御部10は、例えば顧客が紙幣BLを入金する入金取引を行う場合、表示操作部8(図1)を介して所定の操作入力を受け付けた後、紙幣入出金口5のシャッタを開いて紙幣BLを投入させる。
【0037】
続いて制御部10は、投入された紙幣BLを搬送部13を介して鑑別部14へ搬送して鑑別させ、正常紙幣と鑑別された紙幣BLを一時保留部15へ搬送して一時的に保留する一方、取引すべきでないと鑑別された紙幣BLを紙幣入出金口5へ搬送して顧客に返却する。
【0038】
その後制御部10は、表示操作部8を介して顧客に入金金額を確定させ、一時保留部15に保留している紙幣BLを再び鑑別部14へ搬送して金種を再鑑別させた後、さらに紙幣貯蔵部12へ搬送する。
【0039】
紙幣貯蔵部12は、鑑別部14により損傷していないと鑑別された紙幣BLを、その金種に対応した各紙幣収納庫17へ搬送して収納させる。また紙幣貯蔵部12は、鑑別部14により損傷していると鑑別されたた紙幣BLをリジェクト庫18へ搬送して収納させる。
【0040】
[1−2.一時保留部の構成]
図3に側面図を示すように、一時保留部15は、外殻を形成するフレーム20内に各部品が配置された構成となっており、また当該フレーム20の左側面に形成された孔部20Hから操作ノブ21を露出させている。
【0041】
一時保留部15は、紙幣処理部11(図2)の搬送部13から受渡口23を介して紙幣BLが受け渡されると、矢印S1方向へ回転する搬送ローラ24及び当該搬送ローラ24の回転に伴って矢印T1方向へ回転する従動ローラ25等により、搬送路26に沿って紙幣BLを後方向へ進行させる。
【0042】
そして一時保留部15は、円筒形状のドラム27を矢印R1方向へ回転させ、当該ドラム27の外周にテープ(図示せず)と共に紙幣BLを巻き付けることにより、当該紙幣BLを順次収納するようになされている。
【0043】
また一時保留部15は、制御部10(図2)から紙幣BLを排出すべき命令を受け付けると、ドラム27を矢印R2方向へ回転させることにより、当該ドラム27の周側面に巻き付けた紙幣BLをテープと共に巻き戻して搬送路26に受け渡す。
【0044】
続いて一時保留部15は、搬送ローラ24を矢印S2方向へ、従動ローラ25を矢印T2方向へそれぞれ回転させることにより、搬送路26に沿って紙幣BLを前方向へ進行させ、受渡口23から紙幣処理部11の搬送部13に紙幣BLを受け渡すようになされている。
【0045】
また一時保留部15は、左右方向に沿った回動軸22(図3)を中心として、紙幣処理部11の紙幣処理部フレーム11F(図2)に対し、矢印U1方向又は矢印U2方向へ回動し得るようになされている。
【0046】
すなわち一時保留部15は、回動軸22を中心に回動されることにより、従来の一時保留部215と同様、紙幣処理部フレーム11Fに装着された装着状態(図16(A))と当該紙幣処理部フレーム11Fから切り離された離脱状態(図16(B))との間を遷移することができる。
【0047】
ところで一時保留部15の内部には、図4に模式的な斜視図を示すように、上述したドラム27や搬送ローラ24等に加えて、動力源となるモータや駆動力を伝達する歯車等が設けられている。
【0048】
モータ31は、制御部10(図2)の制御に基づいて回転するようになされており、その出力軸に歯車32が取り付けられている。歯車32は、ドラム27の回転軸に取り付けられた歯車33と歯合している。
【0049】
かかる構成により一時保留部15は、モータ31を回転させると、歯車32及び歯車33を介してその回転駆動力をドラム27へ伝達し、当該ドラム27を回転させるようになされている。
【0050】
またモータ34は、制御部10(図2)の制御に基づいて回転するようになされており、その出力軸に歯車35が取り付けられている。歯車35は、搬送ローラ24の回転軸に取り付けられた歯車36と歯合している。
【0051】
かかる構成により一時保留部15は、モータ34を回転させると、歯車35及び歯車36を介してその回転駆動力を搬送ローラ24へ伝達し、搬送ローラ24及び従動ローラ25を回転させるようになされている。
【0052】
因みに一時保留部15では、モータ31からドラム27まで駆動力を伝達するドラム駆動系と、モータ34から搬送ローラ24まで駆動力を伝達する搬送駆動系とを分離しており、それぞれを互いに独立に動作させ得るようになされている。
【0053】
操作ノブ21は、図4に示したように、複数の円筒状の部材や歯車等が左右方向に積層されたような形状となっている。
【0054】
図5(A)に平面図を示すように、操作ノブ21は、全体として左右方向に沿った中心軸を有する円柱状に構成されており、左右の中ほどの箇所に細くくびれた溝部21Rが形成され、また右端に平歯車でなる歯車部21Cが中心軸を共有するように取り付けられている。
【0055】
因みに操作ノブ21の円柱状部分における左側面には、所定形状にえぐられることにより、指先で容易に把持できるつまみが形成されている。
【0056】
操作ノブ21は、軸28に対し中心軸を共有するように取り付けられており、当該軸28を回転中心として自在に回転し得るようになされている。
【0057】
軸28は、図示しない伸縮機構を有しており、その全長を伸縮させることにより、操作ノブ21を左右方向へ所定の移動範囲内で移動させることができる。また軸28には、コイルばねでなるばね29が自然長から圧縮された状態で挿通されている。
【0058】
かかる構成により操作ノブ21は、現金自動預払機1において通常の取引処理が行われる通常動作時のように何ら外力が加えられていない状態では、ばね29の付勢力により左方向へ付勢され、図5(A)に示したように、最も左方向へ移動した状態となる。
【0059】
このとき操作ノブ21は、溝部21Rを含む大部分をフレーム20よりも左側へ、すなわちフレーム20の外側へ突出させる。また歯車部21Cは、いずれの歯車とも歯合せず、いわば退避され、浮いた状態となる。以下、このときの操作ノブ21の位置を退避位置と呼ぶ。
【0060】
一方操作ノブ21は、右方向へ押し込むような外力が加えられると、ばね29を圧縮させながら右方向へ移動し、図5(B)に示すように、最も右方向へ移動した状態となる。
【0061】
このとき操作ノブ21は、溝部21Rを含む大部分をフレーム20よりも右側へ、すなわちフレーム20の内側へ没入させる。また歯車部21Cは、歯車32及び35の双方と歯合した状態となる。以下、このときの操作ノブ21の位置を歯合位置と呼ぶ。
【0062】
このため操作ノブ21は、この歯合位置においていずれかの方向へ回転されると、その駆動力を歯車32及び35の双方に伝達することができ、ドラム27並びに搬送ローラ24及び従動ローラ25を同時に回転させることができる。
【0063】
実際上一時保留部15では、ドラム27の周側面に紙幣BLが巻き付けられた状態において、保守作業員等の操作により操作ノブ21が没入状態において所定の方向へ回転されると、ドラム27、搬送ローラ24及び従動ローラ25をそれぞれ矢印R2方向、S2方向及びT2方向へ同時に回転させ、紙幣BLを受渡口23から排出することができる。
【0064】
因みに操作ノブ21は、没入状態において右方向への外力が解放されると、ばね29の復元力により左方向へ移動し、突出状態(図5(A))に戻る。
【0065】
このように一時保留部15は、通常動作時には操作ノブ21を退避位置に保持して歯車部21Cを浮かせる一方、保守作業時等に操作ノブ21が歯合位置に押し込まれると歯車部21Cを歯車32及び35に歯合させ、当該操作ノブ21に対する回転駆動力を伝達し得るようになされている。
【0066】
[1−3.操作抑制板の構成]
ところで紙幣処理部11(図2)には、図6に示すように操作抑制板41が取り付けられている。
【0067】
操作抑制板41は、厚手の金属板が後側から見て逆L字状に折り曲げられたような構成となっており、紙幣処理部11の外殻を形成する紙幣処理部フレーム11Fにおける左後方の上面にねじ止めされることにより固定されている。
【0068】
操作抑制板41の上辺における前後の中央近傍には、左右方向から見て略U字状に切り欠かれることにより、上側部分が矩形状でなり下側部分が半円状でなる切欠部41Xが形成されている。
【0069】
切欠部41Xの下側部分を形成する半円の直径、すなわち上側部分における前後方向の幅は、操作ノブ21の円柱状部分における直径よりも小さく、且つ溝部21Rにおける直径よりも僅かに大きくなっている。
【0070】
そして操作抑制板41は、図7に示すように、一時保留部15が装着状態であるときに、当該一時保留部15の操作ノブ21に形成された溝部21Rと係合するようになされている。
【0071】
このとき操作抑制板41は、図8(A)及び図9に示すように、操作ノブ21の溝部21Rに対し切欠部41Xが嵌り込み、当該切欠部41Xの最も下側となる、いわば底となる部分も含めて溝部21Rと係合する。
【0072】
これにより操作抑制板41は、操作ノブ21の右方向への移動を抑制し、当該操作ノブ21を退避位置に、すなわち歯車部21Cを歯車32及び35のいずれとも歯合させない位置に維持する。
【0073】
一方、図8(B)に示すように、一時保留部15が装着状態から矢印U1方向(図3)に回動され離脱状態となった場合、操作抑制板41の切欠部41Xと操作ノブ21の溝部21Rとの係合は解除される。
【0074】
このとき操作ノブ21は、右方向への移動が可能となるため、右方向への外力が加えられると歯合位置まで移動し、図5(B)に示したように、歯車部21Cを歯車32及び35と歯合させることが可能となる。
【0075】
因みに操作抑制板41は、一時保留部15が離脱状態から矢印U2方向(図3)に回動され再び装着状態に戻った場合、切欠部41Xを再び操作ノブ21の溝部21Rと係合させ、当該操作ノブ21の右方向への移動を再び抑制し、退避位置に維持する。
【0076】
このように操作抑制板41は、一時保留部15が装着状態にある場合のみ、切欠部41Xを操作ノブ21の溝部21Rと係合させることにより、当該操作ノブ21を退避位置に維持して歯車部21Cと歯車32及び35との歯合を抑制するようになされている。
【0077】
[1−4.動作及び効果]
以上の構成において、第1の実施の形態による現金自動預払機1の紙幣処理部11は、紙幣処理部フレーム11Fに対し一時保留部15を回動可能に構成し、操作ノブ21に溝部21Rを形成した。
【0078】
一時保留部15は、操作ノブ21を退避位置と歯合位置との間で移動可能とし、当該操作ノブ21の歯車部21Cを、退避位置では何ら歯合させない一方、歯合位置において歯車32及び35と歯合させるようにした。
【0079】
一方、紙幣処理部フレーム11Fには、U字状の切欠部41Xが形成された操作抑制板41を設けた。操作抑制板41は、一時保留部15が装着状態にあり受渡口23が紙幣処理部11の搬送部13と近接しているとき、切欠部41Xを操作ノブ21の溝部21Rに係合させるようにした(図7、図8(A)及び図9)。
【0080】
例えば現金自動預払機1は、保守作業等が行われる際、保守作業員等の操作により、筐体2に対し紙幣処理部フレーム11Fが後方向へ引き出される。この段階において、一時保留部15は装着状態となっており、操作ノブ21の溝部21Rが操作抑制板41の切欠部41Xと係合されている。
【0081】
このため一時保留部15は、仮に保守作業員により操作ノブ21に対し右方向への外力が加えられたとしても、操作ノブ21を退避位置(図5(A))に維持することができ、歯車部21Cを歯車32及び35と歯合させることがない。
【0082】
すなわち一時保留部15は、装着状態のまま内部のドラム27や搬送ローラ24等が回転されることがないため、内部に紙幣BLを収納していたとしても、この紙幣BLを搬送することがない。
【0083】
この結果、一時保留部15では、受渡口23から紙幣BLを排出しようとして搬送路26内に詰まらせることや、詰まった紙幣BLによりドラム27やテープ(図示せず)等を損傷させること、或いは詰まった紙幣BLも損傷させること等を未然に防止することができる。
【0084】
また操作抑制板41は、厚手の金属板により構成されているため、保守作業員等が無理に、或いは不用意に外力を加えたとしても、変形され若しくは破損される恐れが低く、操作ノブ21を退避位置に維持し続けることができる。
【0085】
さらに操作抑制板41は、切欠部41Xを半円状よりも深いU字状に形成したことにより、操作ノブ21の回転中心(図8(A)に点Pとして示す)よりも上側の部分にまで渡る広い範囲で溝部21Rと係合することができる。
【0086】
このため操作抑制板41は、操作ノブ21の回転中心を挟む前後両側において溝部21Rと係合することができるので、位置精度等の問題により(いわゆるがたつき等により)この係合が容易に解除されてしまう危険性を低減できる。
【0087】
また操作抑制板41は、位置精度等の問題により一時保留部15が装着状態において紙幣処理部フレーム11Fに対し上方向へ多少浮き上がっていたとしても、切欠部41Xを操作ノブ21の溝部21Rと係合させ得る可能性を高めることができる。
【0088】
さらに操作抑制板41は、左右方向から見て比較的広い面積を有しており、一時保留部15が装着状態となるとき、フレーム20の左側に位置し、当該フレーム20のうち左側板を形成する部分と僅かな隙間を空けてほぼ平行となる(図8(A)、図9)。
【0089】
このため操作抑制板41は、仮に一時保留部15と紙幣処理部フレーム11Fとの間における左右方向の位置精度が低く、当該一時保留部15のフレーム20における左側板との間隔が変動したとしても、当該フレーム20の左側板に当接することにより、操作ノブ21における溝部21Rよりも左側の部分を当該フレーム20よりも左側に突出させた状態を維持することができる。
【0090】
一方、一時保留部15は、装着状態から矢印U1方向(図3)に回動され離脱状態となることにより、操作ノブ21の溝部21Rと操作抑制板41の切欠部41Xとの係合を解除することができる(図8(B))。
【0091】
すなわち一時保留部15は、保守作業の効率を高め、或いは受渡口23や搬送部13の一部を露出させる等の目的で、従来と同様に保守作業員等により回動させるだけで、操作ノブ21に対する操作の禁止を解除することができる。
【0092】
これにより一時保留部15は、受渡口23が紙幣処理部11の搬送部13から離脱され紙幣BLを排出し得る離脱状態においてのみ、操作ノブ21に対する操作を許容し、歯合位置に移動させ歯車部21Cを歯車32及び35と歯合させてドラム27や搬送ローラ24等を回転させることができる。
【0093】
このとき操作ノブ21は、本来互いに独立に駆動される歯車32及び35の双方に歯車部21Cを歯合させることにより、当該操作ノブ21に対する回転操作をドラム27及び搬送ローラ24等の双方へ同時に伝達することができる。
【0094】
これにより一時保留部15は、例えば保守作業者等に対し、片手で操作ノブ21を操作させるだけでドラム27に巻き付けられていた紙幣BLを受渡口23から排出させることができ、もう片方の手で当該紙幣BLを取得させることができる。
【0095】
以上の構成によれば、現金自動預払機1の紙幣処理部11は、一時保留部15が装着状態にあるとき、操作抑制板41の切欠部41Xを操作ノブ21の溝部21Rに係合させて退避位置に保持することにより、歯車部21Cを何ら歯合させず、ドラム27及び搬送ローラ24等に対する回転操作を抑制することができる。一方紙幣処理部11は、一時保留部15が回動され離脱状態となることにより、操作抑制板41の切欠部41Xと操作ノブ21の溝部21Rとの係合を解除する。これにより一時保留部15は、操作ノブ21を退避位置から歯合位置へ移動させ歯車部21Cを歯車32及び35と歯合させることが可能となり、当該操作ノブ21を介したドラム27及び搬送ローラ24等に対する回転操作を可能とすることができる。
【0096】
[2.第2の実施の形態]
第2の実施の形態による現金自動預払機101は、第1の実施の形態による現金自動預払機1(図1、図2)と比較して、紙幣処理部11に代わる紙幣処理部111を有する点が相違するものの、他の部分については同様に構成されている。
【0097】
紙幣処理部111は、第1の実施の形態による紙幣処理部11と比較して、一時保留部15及び操作抑制板41に代わる一時保留部115及び操作抑制板141を有する点が相違するものの、他の部分については同様に構成されている。
【0098】
[2−1.一時保留部の構成]
一時保留部115は、第1の実施の形態による一時保留部15(図3〜図9)と比較して、操作ノブ21に代わる操作ノブ121を有する点が相違するものの、他の部分については同様に構成されている。
【0099】
操作ノブ121は、図10及び図11に示すように、第1歯車121A及び第2歯車121Bにより構成されている。
【0100】
第1歯車121Aは、薄い円盤状の部材と平歯車とが互いの中心軸を揃えるよう重ね合わされた構成となっており、軸128に対しても中心軸を揃えるように取り付けられている。また第1歯車121Aにおける円盤状部分の左面には、所定形状にえぐられることによりつまみ121AKが形成されている。
【0101】
さらに第1歯車121Aにおける歯車部121ACの右側面には、図12(A)に示すように、右方向へ突出する小さな四角柱状の突起121APが、互いに中心軸を挟んで対向する2カ所に突設されている。
【0102】
第2歯車121Bは、図11(B)に示したように平歯車でなり、軸128に挿通されている。また第2歯車121Bの左側面には、第1歯車121Aにおける2カ所の突起121APとそれぞれ対応する位置に、当該突起121APよりも僅かに大きな角孔でなる孔部121BHが穿設されている。
【0103】
また第2歯車121Bは、図12(A)に示したように、歯車32と常に歯合されている。因みに歯車35は、第2歯車121Bよりもわずかに左側に位置しており、当該第2歯車121Bとは歯合しないようになされている。
【0104】
軸128は、第2歯車121Bを左右方向に移動させず且つ回転可能に支持すると共に、一部を伸縮させることにより第1歯車121Aを第2歯車121Bと当接するまで右方向へ移動可能に且つ回転可能に支持するようになされている。
【0105】
また軸128における第1歯車121Aと第2歯車121Bとの間には、ばね29が自然長から圧縮された状態で挿通されている。
【0106】
かかる構成により操作ノブ121の第1歯車121Aは、何ら外力が加えられていない状態では、ばね29の付勢力により左方向へ付勢され、図12(A)に示したように、最も左側に位置し、第2歯車121Bから分離した状態となる。以下、このときの第1歯車121Aの位置を分離位置と呼ぶ。
【0107】
このとき第1歯車121Aの歯車部121ACは、いずれの歯車とも歯合せず、いわば浮いた状態となる。一方第2歯車121Bは、歯車32と歯合しているものの、第1歯車121Aからは分離している。
【0108】
このため操作ノブ121は、第1歯車121Aが回転されたとしても、第2歯車121B及び他のいずれの歯車をも回転させることができず、当該第1歯車121Aを空回りさせることになる。
【0109】
一方、操作ノブ121の第1歯車121Aは、右方向へ押し込むような外力が加えられると、ばね29を圧縮させながら右方向へ移動し、図12(B)に示すように、突起121APを孔部121BHに嵌め込むようにして第2歯車121Bと連結した状態となる。以下、このときの第1歯車121Aの位置を連結位置と呼ぶ。
【0110】
因みに操作ノブ121では、第1歯車121Aを右方向に移動させただけでは、突起121APと第2歯車121Bの孔部121BHとの位置が合わず、両者を連結させ得ない可能性がある。このような場合、操作ノブ121では、第1歯車121Aを右方向に押し込みながら適宜回転させることにより、突起121APを孔部121BHに嵌め込むことができる。
【0111】
このとき第1歯車121Aは、歯車部121ACを歯車35と歯合させる。また第2歯車121Bは、常に歯車32と歯合している。さらに第1歯車121Aは、軸128を中心とした回転力が加えられると、これを突起121APを介して第2歯車121Bに伝達することができる。
【0112】
このため操作ノブ121は、第1歯車121Aが回転されると、第2歯車121Bと一体に回転することにより、その駆動力を歯車32及び35の双方に伝達することができ、第1の実施の形態と同様、ドラム27並びに搬送ローラ24及び従動ローラ25を同時に回転させることができる。
【0113】
因みに操作ノブ121の第1歯車121Aは、連結位置において右方向への外力が解放されると、ばね29の復元力により左方向へ移動し、分離位置(図12(A))に戻る。
【0114】
このように一時保留部115は、通常動作時には操作ノブ121の第1歯車121Aを分離位置に保持して歯車32及び35から切り離す一方、保守作業時等に第1歯車121Aが連結位置に押し込まれると、当該操作ノブ121に対する回転駆動力を歯車32及び35に伝達し得るようになされている。
【0115】
[2−2.操作抑制板の構成]
操作抑制板141は、図13に示すように、第1の実施の形態における操作抑制板41から切欠部41Xが省略されると共に、上方へ延長されたような形状となっている。
【0116】
そして操作抑制板141は、図14(A)及び図15に示すように、一時保留部115が装着状態であるときに操作ノブ121の第1歯車121Aを覆うようになされている。
【0117】
これにより操作抑制板141は、操作ノブ121の第1歯車121Aを保守作業員等に操作させないよう阻止することができる。すなわち操作抑制板141は、第1歯車121Aにおける右方向への移動を抑制し、当該第1歯車121Aを分離位置に、すなわち当該第1歯車121Aを第2歯車121Bと連結させず歯車部121Cを35と歯合させない状態に維持する。
【0118】
一方、図14(B)に示すように、一時保留部115が装着状態から矢印U1方向(図3)に回動され離脱状態となった場合、操作ノブ121の第1歯車121Aを操作抑制板141から露出させる。
【0119】
このとき操作ノブ121は、保守作業員等による第1歯車121Aに対する操作が可能となるため、右方向への外力が加えられると連結位置まで移動し、図12(B)に示したように、第1歯車121Aを第2歯車121Bに連結させると共に歯車部121Cを歯車35と歯合させることが可能となる。
【0120】
因みに操作抑制板141は、一時保留部15が離脱状態から矢印U2方向(図3)に回動され再び装着状態に戻った場合、操作ノブ121の第1歯車121Aを再び覆い、当該第1歯車121Aに対する押し込みや回転等の操作を抑制し、分離位置に維持する。
【0121】
このように操作抑制板141は、一時保留部115が装着状態にある場合のみ、操作ノブ121の第1歯車121Aを覆うことにより、当該第1歯車121Aを分離位置に維持して第2歯車121Bとの連結及び歯車部121Cと歯車35との歯合を抑制するようになされている。
【0122】
[2−3.動作及び効果]
以上の構成において、第2の実施の形態による現金自動預払機101の紙幣処理部111は、紙幣処理部フレーム11Fに対し一時保留部115を回動可能に構成し、操作ノブ121を互いに連結又は分離する第1歯車121A及び第2歯車121B2により構成した。
【0123】
一時保留部15は、操作ノブ121の第1歯車121Aを分離位置と連結位置との間で移動可能とし、当該第1歯車121Aが連結位置にあるときに、第2歯車121B2と連結させると共に歯車部121Cを歯車35と歯合させるようにした。
【0124】
紙幣処理部フレーム11Fに取り付けられた操作抑制板141は、一時保留部15が装着状態にあるとき、操作ノブ121の第1歯車121Aを覆う(図13、図14(A)及び図15)。
【0125】
このため一時保留部115は、保守作業員が操作ノブ121の第1歯車121Aに触れることを防止でき、当該第1歯車121Aを分離位置に維持することができる。
【0126】
すなわち一時保留部115は、第1の実施の形態と同様、装着状態のまま内部のドラム27や搬送ローラ24等が回転されることがないため、内部に紙幣BLを収納していたとしても、この紙幣BLを搬送することがない。
【0127】
この結果一時保留部115では、やはり第1の実施の形態と同様、受渡口23から紙幣BLを排出しようとして搬送路26内に詰まらせることや、詰まった紙幣BLによりドラム27やテープ(図示せず)等を損傷させること、或いは詰まった紙幣BLも損傷させること等を未然に防止することができる。
【0128】
また操作抑制板141は、厚手の金属板により構成されているため、保守作業員等が無理に、或いは不用意に外力を加えたとしても、変形され若しくは破損される恐れが低く、操作ノブ121の第1歯車121Aを分離位置に維持し続けることができる。
【0129】
一方、一時保留部115は、装着状態から矢印U1方向(図3)に回動され離脱状態となることにより、操作抑制板141から操作ノブ121の第1歯車121Aを露出させることができる(図14(B))。
【0130】
これにより一時保留部115は、受渡口23が紙幣処理部111の搬送部13から切り離され紙幣BLを排出し得る離脱状態においてのみ、操作ノブ121に対する操作を許容し、第1歯車121Aを連結位置に移動させ第2歯車121B2と連結させると共に歯車部121Cを歯車35と歯合させて、ドラム27や搬送ローラ24等を回転させることができる。
【0131】
以上の構成によれば、現金自動預払機101の紙幣処理部111は、一時保留部115が装着状態にあるとき、操作抑制板141によって操作ノブ121の第1歯車121Aを覆い分離位置に保持することにより、歯車32及び35に駆動力を伝達せず、ドラム27及び搬送ローラ24等に対する回転操作を抑制することができる。一方紙幣処理部111は、一時保留部115が回動され離脱状態となることにより、操作抑制板141から操作ノブ121の第1歯車121Aを露出させる。これにより一時保留部115は、操作ノブ121の第1歯車121Aを分離位置から連結位置へ移動させ第2歯車121B2と連結させると共に歯車部121Cを歯車35と歯合させることが可能となり、当該操作ノブ121を介したドラム27及び搬送ローラ24等に対する回転操作を可能とすることができる。
【0132】
[3.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、操作抑制板41の切欠部41Xを左右方向から見てU字状に構成するようにした場合について述べた。
【0133】
しかしながら本発明はこれに限らず、切欠部の形状を例えばクランク状やV字状、或いは折れ線状等、種々の形状とするようにしても良い。この場合、要は一時保留部15が装着状態にあるときに、切欠部が操作ノブ21の溝部21Rと安定的に係合することにより当該操作ノブ21を退避位置に保持することができれば良い。
【0134】
また上述した第1の実施の形態においては、操作抑制板41のうち紙幣処理部フレーム11Fの上面から上方へ伸びる部分を板状に形成するようにした場合について述べた。
【0135】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば棒状の部材を加工し左右方向から見てY字状やV字状等に形成しても良く、要は一時保留部15が装着状態にあるときのみ操作ノブ21の溝部21Rと安定的に係合し、且つ容易に変形されない程度の強度を有していれば良い。
【0136】
さらに上述した第1の実施の形態においては、操作ノブ21に溝部21Rを形成し、操作抑制板41の切欠部41Xと当該溝部21Rとを係合させるようにした場合について述べた。
【0137】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば操作ノブ21から溝部21Rを省略する一方、切欠部41Xにおける半円部分の直径を軸28の外径よりも僅かに大きくし、当該切欠部41Xを操作ノブ21と軸28との接続箇所付近に係合させるようにしても良い。
【0138】
さらに上述した第1の実施の形態においては、操作抑制板41の切欠部41Xが操作ノブ21の溝部21Rと係合しているときに、操作抑制板41の上端部分が操作ノブ21の回転中心である点Pよりも上側まで到達し、当該操作ノブ21の中心を挟んだ両側において係合するようにした場合について述べた。
【0139】
しかしながら本発明はこれに限らず、操作抑制板41の切欠部41Xが操作ノブ21の溝部21Rと係合しているときに、操作抑制板41の上端部分が操作ノブ21の回転中心である点Pよりも下側に止まるようにしても良い。
【0140】
さらに上述した第2の実施の形態においては、一時保留部115が装着状態にあるときに、操作抑制板141により操作ノブ121を完全に覆うようにした場合について述べた。
【0141】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば一時保留部115が装着状態にあるときに、操作抑制板141により操作ノブ121の一部を露出させるようにしても良く、このとき保守作業者等が当該操作ノブ121の第1歯車121Aを押し込んで第2歯車121Bと連結させることができないよう抑制できれば良い。
【0142】
さらに上述した第1の実施の形態においては、操作ノブ21を一体に構成し、第2の実施の形態においては操作ノブ121を第1歯車121A及び第2歯車121Bに分離可能に構成するようにした場合について述べた。
【0143】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば第1の実施の形態において操作ノブ21を第2の実施の形態と同様に分離可能に構成しても良く、また第2の実施の形態において操作ノブ121を第1の実施の形態と同様に一体に構成するようにしても良い。
【0144】
さらに上述した第1の実施の形態においては、操作ノブ21が移動され歯合位置にあるときに、ドラム27を駆動するための歯車32及び搬送ローラ24等を駆動するための歯車35の双方と歯合するようにした場合について述べた。
【0145】
しかしながら本発明はこれに限らず、操作ノブ21が歯合位置にあるときに、歯車32又は35のいずれか一方のみと歯合するようにしても良く、或いは3以上の歯車と歯合するようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0146】
さらに上述した第2の実施の形態においては、第1歯車121Aに設ける突起121APの数及び第2歯車121Bに設ける孔部121BHの数をいずれも2個とするようにした場合について述べた。
【0147】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば突起121AP及び孔部121BHの数をそれぞれ4個ずつや6個ずつのように任意の数としても良い。また、突起121APの数を孔部121BHの数よりも少なくしても良い。
【0148】
さらに上述した第1の実施の形態においては、操作ノブ21の歯車部21Cや歯車32及び35等の間において、歯車同士の歯合により回転力を伝達するようにした場合について述べた。
【0149】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば円板状の部材の外周に摩擦力の大きいゴム材料等を取り付けておき、かかる円板状の部材同士を当接させることにより回転力を伝達するようにしても良く、要は操作ノブを介して加えられる回転力を他の部材に伝達することができれば良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0150】
さらに上述した第1の実施の形態においては、紙幣処理部11の紙幣処理部フレーム11Fに対し、回動軸22を中心に一時保留部15を回動させることにより装着状態又は離脱状態に遷移させるようにした場合について述べた。
【0151】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば所定のスライドレールを介して紙幣処理部フレーム11Fに対し一時保留部15をスライドさせることにより装着状態又は離脱状態に遷移させるようにしても良い。この場合、切欠部41Xの形成方向を一時保留部15の移動方向と対応させれば良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0152】
さらに上述した第1の実施の形態においては、紙幣BLを一時的に保持する一時保留部15に本発明を適用するようにした場合について述べた。
【0153】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば搬送部13の一部や鑑別部12、或いは紙幣収納庫17等のように、現金自動預払機1内における種々の部分に本発明を適用するようにしても良い。この場合、当該部分が紙幣処理部フレーム11F等に対し着脱可能に構成されると共に保守作業用の操作ノブを有し、紙幣処理部フレーム11F等に設けた操作抑制板により、当該部分の装着状態において操作ノブによる紙幣BLの排出操作を抑制する一方、当該部分の離脱状態において操作ノブによる当該操作を可能とすることができれば良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0154】
さらに上述した第1の実施の形態においては、現金自動預払機1の一時保留部15において、媒体としての紙幣BLを保留するようにした場合について述べた。
【0155】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば商品券や金券、入場券等のような紙葉状の媒体、或いは硬貨のような媒体を保留する種々の装置に適用するようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0156】
さらに上述した第1の実施の形態においては、一時保留部としての一時保留部15と、歯車としての歯車32及び35と、本体部としての紙幣処理部フレーム11Fと、操作ノブとしての操作ノブ21と、操作抑制部としての操作抑制板41とによって媒体処理装置としての紙幣処理部11を構成する場合について述べた。
【0157】
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる一時保留部と、歯車と、本体部と、操作ノブと、操作抑制部とによって媒体処理装置を構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明は、紙幣を含む現金に関する取引を行う現金自動預払機でも利用できる。
【符号の説明】
【0159】
1、101……現金自動預払機、2……筐体、3……接客部、11、111……紙幣処理部、11F……紙幣処理部フレーム、13……搬送部、15、115……一時保留部、20……フレーム、21、121……操作ノブ、21R……溝部、21C……歯車部、23……受渡口、24……搬送ローラ、25……従動ローラ、27……ドラム、28、128……軸、29……ばね、31、34……モータ、32、33、35、36……歯車、41、141……操作抑制板、41X……切欠部、121A……第1歯車、121B……第2歯車、121AC……歯車部、121AP……突起、121BH……孔部、BL……紙幣。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を一時的に内部に保留する一時保留部と、
上記一時保留部内に設けられ、上記一時保留部内に上記媒体を収納し又は当該一時保留部内から当該媒体を排出する機構を駆動する歯車と、
上記一時保留部が装着される装着箇所を有し、当該一時保留部が当該装着箇所に装着されたときに当該一時保留部との間で上記媒体を授受する本体部と、
上記一時保留部の外部から加えられる回転操作を上記歯車に伝達する操作ノブと、
上記本体部に設けられ、当該本体部の上記装着箇所に上記一時保留部が装着された装着状態では上記操作ノブから上記歯車に対する上記回転操作の伝達を禁止する一方、上記装着箇所から上記一時保留部が離脱された離脱状態では上記操作ノブから上記歯車に対する上記回転操作の伝達を許容する操作抑制部と
を具えることを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
上記操作ノブは、
歯車を有し、所定の歯合位置へ移動することにより上記歯車に歯合する一方、上記歯合位置から離隔した退避位置へ移動することにより上記歯車との歯合が解除され、
上記操作抑制部は、
上記装着状態において上記操作ノブを上記退避位置に止めることにより当該操作ノブから上記歯車に対する上記回転操作の伝達を禁止する一方、上記離脱状態において上記操作ノブの上記歯合位置への移動を許容する
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
上記操作抑制部は、
上記装着状態において上記操作ノブと係合することにより、当該操作ノブを上記退避位置に止める
ことを特徴とする請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
上記操作抑制部は、
上記装着状態において上記操作ノブを覆い、当該操作ノブに対する外部からの操作を阻止することにより、当該操作ノブを上記退避位置に止める
ことを特徴とする請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
上記操作抑制部は、
上記装着状態において上記操作ノブの退避位置と歯合位置との間に位置することにより、当該操作ノブを上記退避位置に止める
ことを特徴とする請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項6】
上記操作抑制部は、
上記装着状態において上記操作ノブの回転中心を挟む複数箇所で上記操作ノブと係合する
ことを特徴とする請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項7】
上記一時保留部は、
上記媒体を周側面に巻き付けるドラムと、当該ドラムと上記本体部との間で上記媒体を搬送する搬送部とを有し、
上記歯車は、
所定のドラム用モータから上記ドラムへ駆動力を伝達するドラム用歯車と、上記ドラム用モータからの駆動力が伝達されること無く所定の搬送用モータから上記搬送部へ駆動力を伝達する搬送用歯車とからなり、
上記操作ノブは、
上記一時保留部の外部から上記回転操作が加えられない非操作時には上記ドラム用歯車及び上記搬送用歯車の少なくとも一方に上記回転操作を伝達せず、上記一時保留部の外部から上記回転操作が加えられた操作時には上記ドラム用歯車及び上記搬送用歯車の双方に上記回転操作を伝達する
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2013−109500(P2013−109500A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252916(P2011−252916)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】