説明

媒体処理装置

【課題】媒体収納部に収納された媒体の位置ずれを防止する。
【解決手段】回転支点49を中心にして媒体収納部40を回動させる回動部50と、媒体と当接する部分が媒体収納部の内部に配置され、媒体の媒体収納部内部への取り込み及び外部への繰り出しを行う搬送部60と、搬送駆動力を生成する搬送駆動源M2と、搬送駆動力を搬送部に伝達する駆動伝達部70とを有し、駆動伝達部は、それぞれ、回転支点を中心にして回転する第1伝達部材71と第2伝達部材81とを備えており、第1伝達部材は、搬送駆動源に連結されており、搬送駆動源からの搬送駆動力を受けて、回転支点を中心にして回転し、第2伝達部材は、搬送部に連結されており、第1伝達部材の回転に伴って、その一部が第1伝達部材と離間した状態から第1伝達部材と当接した状態に変化することにより、回転支点を中心にして第1伝達部材と同じ方向に回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の搬送路間で媒体の受け渡しを行う媒体処理装置に関し、特に、カード状の媒体(以下、「カード」と称する)を内部に収納した状態で回転支点を中心にして回動する媒体収納部(以下、「カード収納部」と称する)を介して、カード収納部の周囲に配置された複数の搬送路間でカードの受け渡しを行う媒体処理装置(以下、「カード処理装置」と称する)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カードを内部に収納した状態で回転支点を中心にして回動するカード収納部を介して、カード収納部の周囲に配置された複数の搬送路間でカードの受け渡しを行うカード処理装置がある(例えば、特許文献1参照)。このようなカード処理装置は、例えば、交通機関の定期券を発行する発券機に利用されている。
【0003】
そのカード処理装置は、例えば、以下のような構成になっている。
カード処理装置は、カードを内部に収納した状態で回転支点を中心にして回動するカード収納部と、回転支点を中心にしてカード収納部を回動させる回動部と、カードと当接する部分がカード収納部の内部に配置され、カード収納部の外部から内部の方向へのカードの搬送及びカード収納部の内部から外部の方向へのカードの搬送を行う搬送部と、回動部を駆動させる駆動力(以下、「回転駆動力」と称する)を生成する駆動源(以下、「回動駆動源」と称する)と、搬送部を駆動させる駆動力(以下、「搬送駆動力」と称する)を生成する駆動源(以下、「搬送駆動源」と称する)とを有している。そして、カード処理装置は、カード収納部の周囲に複数の搬送路が配置されている。
【0004】
カード処理装置は、例えば、カード収納部の周囲に配置された2つの搬送路(以下、「第1搬送路」及び「第2搬送路」と称する)の間で、カードの受け渡しを行う場合に、以下のように動作する。なお、カード収納部は、カードを収納する空間(以下、「収納室」と称する)が内部に設けられており、その収納室の端部が開口部として開口された構成になっている。また、搬送部は、回動部がカード収納部を回動させる際に、カード収納部とともに回動する構成となっている。
【0005】
まず、カード処理装置は、第1搬送路の端部とカード収納部の開口部とを対向させた状態にする。このとき、カード処理装置は、第1搬送路の端部とカード収納部の開口部とが対向していなければ、双方が対向するように、回動部によってカード収納部を回動させる。
【0006】
次に、カード処理装置は、第1搬送路に沿って、カードをカード収納部まで搬送する。
そして、カード処理装置は、カードがカード収納部に到達し、その一部がカード収納部の内部に設けられた収納室に挿入されると、搬送部によってカードをカード収納部の外部から内部の方向に搬送する。これにより、カードが、第1搬送路からカード収納部に受け渡される。その結果、カードが、カード収納部の内部に設けられた収納室に収納される。
【0007】
カード処理装置は、カードが収納室に収納されると、第2搬送路の端部とカード収納部の開口部とが対向するように、回動部によってカード収納部を回動させる。
【0008】
カード処理装置は、カード収納部を回動させると、搬送部によってカードをカード収納部の内部から外部の方向に搬送する。これにより、カードが、カード収納部から第2搬送路に受け渡される。
【0009】
カード処理装置は、カードが第2搬送路に受け渡されると、第2搬送路に沿って、カードを所定の位置まで搬送する。このようにして、カード処理装置は、第1搬送路と第2搬送路との間で、カードの受け渡しを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−131445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来の媒体処理装置としてのカード処理装置は、以下に説明する通り、媒体収納部としてのカード収納部に収納された媒体(カード)に位置ずれが発生する場合があるため、カード収納部と搬送路との間でカードを受け渡す際に、複雑な制御を行う必要があるという課題や、製造コストが上昇するという課題があった。
【0012】
例えば、従来のカード処理装置は、回動部がカード収納部を回動させる際に、搬送部がカード収納部とともに回動する。このとき、従来のカード処理装置は、搬送部が搬送駆動源に連結されているため、搬送部の回動を規制する負荷が搬送駆動源から搬送部にかかる。その結果、搬送部は、カード収納部が回動するのに対して、回動せずに、停止したままの状態になる。これにより、搬送部は、カード収納部に対して相対的に回動した状態になる。すなわち、搬送部が動いた状態になる。そのため、従来のカード処理装置は、カード収納部に収納されたカードに位置ずれが発生する場合がある。したがって、従来のカード処理装置は、カードの位置を検知するためのセンサをカード収納部の内部に設けて、カードの位置を監視する必要があった。
【0013】
このような従来のカード処理装置は、センサでカードの位置を検知する検知動作、及び、検知されたカードの位置に基づいて、カードを搬送する搬送動作を行う必要がある。そのため、従来のカード処理装置は、カード収納部と搬送路との間でカードを受け渡す際に、複雑な制御を行う必要があった。
【0014】
また、従来のカード処理装置は、センサをカード収納部の内部に設ける必要があるため、センサを用意する手間や費用、センサを装置に取り付ける手間や工数等が必要になる。その結果、従来のカード処理装置は、製造コストが上昇していた。
【0015】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、カード収納部に収納されたカードの位置ずれを防止するカード処理装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成するため、本発明は、媒体を内部に収納した状態で回転支点を中心にして回動する媒体収納部を介して、当該媒体収納部の周囲に配置された複数の搬送路間で当該媒体の受け渡しを行う媒体処理装置であって、前記回転支点を中心にして前記媒体収納部を回動させる回動部と、前記媒体と当接する部分が前記媒体収納部の内部に配置され、前記媒体収納部の外部から内部の方向への前記媒体の搬送及び前記媒体収納部の内部から外部の方向への前記媒体の搬送を行う搬送部と、搬送駆動力を生成する搬送駆動源と、前記搬送駆動力を前記搬送部に伝達する駆動伝達部とを有し、前記駆動伝達部は、それぞれ、前記回転支点を中心にして回転する第1伝達部材と第2伝達部材とを備えており、前記第1伝達部材は、前記搬送駆動源に連結されており、前記搬送駆動源からの前記搬送駆動力を受けて、前記回転支点を中心にして回転し、前記第2伝達部材は、前記搬送部に連結されており、前記第1伝達部材の回転に伴って、その一部が前記第1伝達部材と離間した離間状態から前記第1伝達部材と当接した当接状態に変化することにより、前記回転支点を中心にして前記第1伝達部材と同じ方向に回転して、前記搬送駆動源からの前記搬送駆動力を前記搬送部に伝達する構成とする。
【0017】
この媒体処理装置は、駆動伝達部として、第1伝達部材と第2伝達部材とを備える構成になっている。第1伝達部材及び第2伝達部材は、ともに、回転支点を中心にして回転する構成となっている。
【0018】
第1伝達部材は、搬送駆動源に連結されており、搬送駆動源からの搬送駆動力を受けて、回転支点を中心にして回転する。一方、第2伝達部材は、第1伝達部材の回転に伴って、その一部が第1伝達部材と離間した離間状態から第1伝達部材と当接した当接状態に変化する。これにより、第2伝達部材は、回転支点を中心にして第1伝達部材と同じ方向に回転する。
【0019】
その第2伝達部材には、搬送部が連結されている。そのため、第2伝達部材は、回転することにより、搬送駆動源からの搬送駆動力を搬送部に伝達する。したがって、搬送部は、第2伝達部材が回転すると、媒体を搬送する。
【0020】
このような駆動伝達部は、第1伝達部材及び第2伝達部材が離間状態になっている場合に、第2伝達部材が回転しない。そのため、この場合に、駆動伝達部は、搬送駆動力の搬送部への伝達を行わない。一方、駆動伝達部は、第1伝達部材及び第2伝達部材が当接状態になっている場合に、第2伝達部材が回転する。そのため、この場合に、駆動伝達部は、搬送駆動力の搬送部への伝達を行う。
【0021】
したがって、この媒体処理装置は、第1伝達部材及び第2伝達部材の状態を離間状態及び当接状態のいずれか一方の状態に選択的に変化させることにより、選択的に、搬送駆動力の搬送部への伝達を分断したり、又は、搬送駆動力の搬送部への伝達を行ったりすることができる。
【0022】
しかも、この媒体処理装置は、回動部が第2伝達部材を第1伝達部材に押し付ける方向に媒体収納部を回動させる場合に、その前に、第1伝達部材と第2伝達部材とを離間状態にすることにより、搬送駆動源から第1伝達部材にかかる負荷を第1伝達部材と第2伝達部材との間で分断することができる。
【0023】
例えば、この媒体処理装置は、回動部が媒体収納部を回動させる際に、搬送部が媒体収納部とともに回動する。このとき、第2伝達部材は、搬送部に連結されているため、媒体収納部の回動方向に回転させる回転力を搬送部から受ける。これに対し、第1伝達部材は、搬送駆動源に連結されているため、第1伝達部材の回転を規制する負荷が搬送駆動源からかかる。
【0024】
そのため、回動部が第2伝達部材を第1伝達部材に押し付ける方向に媒体収納部を回動させる場合に、仮に、第1伝達部材と第2伝達部材とが当接状態になっていると、第1伝達部材が第2伝達部材の回転を阻害する。したがって、このとき、第2伝達部材は、媒体収納部が回動するのに対して、回転せずに、停止したままの状態になる。そのため、第2伝達部材は、媒体収納部に対して相対的に回転した状態になる。
【0025】
搬送部は、第2伝達部材に連結されているため、第2伝達部材が媒体収納部に対して相対的に回転した状態になると、動いてしまい、媒体を搬送する。そのため、このとき、媒体収納部に収納された媒体に位置ずれが発生する。
【0026】
そこで、この媒体処理装置は、回動部が第2伝達部材を第1伝達部材に押し付ける方向に媒体収納部を回動させる場合に、その前に、第1伝達部材と第2伝達部材とを離間状態にする。これにより、この媒体処理装置は、媒体収納部の回動時に、第1伝達部材が第2伝達部材の回転を阻害するのを回避する。その結果、第2伝達部材は、媒体収納部の回動時に、搬送部から受ける回転力により、媒体収納部の回動方向と同じ方向に回転する。これにより、第2伝達部材は、媒体収納部に対して相対的に停止した状態になる。
【0027】
搬送部は、第2伝達部材が媒体収納部に対して相対的に停止した状態になると、媒体を搬送しない。そのため、この媒体処理装置は、搬送部の搬送を停止させたままの状態に維持することができ、これにより、媒体収納部に収納された媒体の位置ずれを防止することができる。
【0028】
したがって、この媒体処理装置は、回動部が第2伝達部材を第1伝達部材に押し付ける方向に媒体収納部を回動させる場合に、その前に、第1伝達部材と第2伝達部材とを離間状態にすることにより、搬送駆動源から第1伝達部材にかかる負荷を第1伝達部材と第2伝達部材との間で分断することができる。そのため、この媒体処理装置は、搬送部の搬送を停止させたままの状態に維持することができ、これにより、媒体収納部に収納された媒体の位置ずれを防止することができる。
【0029】
この媒体処理装置は、媒体収納部に収納された媒体の位置ずれを防止することができるため、媒体の位置を監視する必要がない。そのため、この媒体処理装置は、媒体の位置を検知するためのセンサを媒体収納部の内部に設ける必要がない。
【0030】
したがって、この媒体処理装置は、媒体の位置を検知する検知動作、及び、検知された媒体の位置に基づいて、媒体を搬送する搬送動作を行う必要がない。そのため、この媒体処理装置は、媒体収納部と搬送路との間で媒体を受け渡す際の制御を簡素化することができる。
【0031】
また、この媒体処理装置は、センサを媒体収納部の内部に設ける必要がないため、センサを用意する手間や費用、センサを装置に取り付ける手間や工数等が不要になる。その結果、この媒体処理装置は、製造コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、媒体収納部に収納された媒体の位置ずれを防止する媒体処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施形態1に係る媒体処理装置の内部構成を示す図(1)である。
【図2】実施形態1に係る媒体処理装置の内部構成を示す図(2)である。
【図3】実施形態1に係る媒体処理装置の要部の構成を示す図である。
【図4】実施形態1に係る媒体処理装置の動作の概要を示す図である。
【図5】実施形態1に係る媒体処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】実施形態1に係る媒体処理装置の要部の動作を示す図である。
【図7】実施形態1に係る媒体処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】実施形態1に係る媒体処理装置の要部の動作を示す図である。
【図9】実施形態2に係る媒体処理装置の要部の構成及び動作を示す図(1)である。
【図10】実施形態2に係る媒体処理装置の要部の構成及び動作を示す図(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0035】
[実施形態1]
<媒体処理装置としてのカード処理装置の構成>
本実施形態1に係る媒体処理装置1は、複数の搬送路間で媒体の受け渡しを行う装置である。ここでは、媒体がカード状の媒体(以下、「カード100」と称する)である場合を想定して説明する。以下、図1及び図2を参照して、本実施形態1に係る媒体処理装置としてのカード処理装置1の構成につき説明する。図1及び図2は、それぞれ、実施形態1に係るカード処理装置1の内部構成を示す図である。図1は、側面方向から見たカード処理装置1の内部構成を示している。また、図2は、図1に示すA−A線に沿ってカード処理装置1を切断し、正面方向から見たカード処理装置1の内部構成を示している。
【0036】
カード処理装置1は、回転支点を中心にして回動する媒体収納部(以下、「カード収納部40」と称する)を介して、カード収納部40の周囲に配置された複数の搬送路2の間でカード100の受け渡しを行う。カード処理装置1は、例えば、交通機関の定期券を発行する発券機に利用することができる。なお、ここでは、カード100は、磁気カードやICカード等によって構成されているものとして説明する。
【0037】
カード処理装置1は、カード収納部40を有しており、その周囲に複数の搬送路2が配置されている。カード収納部40は、その周囲に設けられた搬送路2から受け渡されたカード100を収納する構成要素である。ここでは、カード収納部40の周囲に2つの搬送路2が設けられている場合を想定して説明する。以下、2つの搬送路2を、それぞれ、「第1搬送路21」及び「第2搬送路26」と称する。
【0038】
図1に示す例では、第1搬送路21は、略水平方向に延伸して設けられている。一方、第2搬送路26は、その延伸方向が第1搬送路21の延伸方向に対して傾斜して交差するように、第1搬送路21の上方に延伸して設けられている。
【0039】
第1搬送路21には、カード100の搬送時に、カード100を案内する1対のガイド部材(以下、「第1搬送ガイド21a,21b」と称する)が設けられている。同様に、第2搬送路26には、カード100の搬送時に、カード100を案内する1対のガイド部材(以下、「第2搬送ガイド26a,26b」と称する)が設けられている。
【0040】
また、第1搬送路21には、カード100を搬送する搬送ローラ(以下、「第1搬送ローラ23」と称する)が設けられている。同様に、第2搬送路26には、カード100を搬送する搬送ローラ(以下、「第2搬送ローラ28」と称する)が設けられている。搬送ローラ23,28は、図示せぬ駆動源によって駆動される。
【0041】
第1搬送路21の端部(厳密には、第1搬送路21に設けられた第1搬送ガイド21a,21bの端部)は、開口部(以下、「第1開口部22」と称する)として開口された構成になっている。同様に、第2搬送路26の端部(厳密には、第2搬送路26に設けられた第2搬送ガイド26a,26bの端部)は、開口部(以下、「第2開口部27」と称する)として開口された構成になっている。第1開口部22及び第2開口部27は、それぞれ、後記するシャフト49の中心軸からほぼ同じ距離に設けられている。
【0042】
図1及び図2に示すように、カード処理装置1は、カード収納部40、回動部50、搬送部60、駆動伝達部70、及び、モータM1,M2を有している。
【0043】
カード収納部40は、前記した通り、その周囲に設けられた搬送路2から受け渡されたカード100を収納する構成要素である。
回動部50は、カード収納部40を回動させる構成要素である。
搬送部60は、カード収納部40の外部から内部の方向へのカード100の搬送及びカード収納部40の内部から外部の方向へのカード100の搬送を行う構成要素である。
駆動伝達部70は、モータM2からの駆動力(搬送駆動力)を搬送部60に伝達する構成要素である。
モータM1は、回動部50を駆動する駆動力(以下、「回転駆動力」と称する)を生成する駆動源(以下、「回動駆動源」と称する場合もある)である。
モータM2は、搬送部60を駆動する駆動力(以下、「搬送駆動力」と称する)を生成する駆動源(以下、「搬送駆動源」と称する場合もある)である。
【0044】
以下に、カード収納部40の構成について説明する。
カード収納部40は、全体がフレーム41によって構成されている。図2に示す例では、アッパフレーム41A、ロアフレーム41B、サイドフレーム41R、及び、サイドフレーム41Lの4つのフレーム41が示されている。
【0045】
アッパフレーム41Aは、カード収納部40の上側の壁面を構成している。
ロアフレーム41Bは、カード収納部40の下側の壁面を構成している。
サイドフレーム41Rは、カード収納部40の右側の壁面を構成している。
サイドフレーム41Lは、カード収納部40の左側の壁面を構成している。
【0046】
アッパフレーム41Aは、少なくとも、後記する押圧ローラ66a,66bの周囲が開口された構成になっている(図2参照)。
ロアフレーム41Bは、少なくとも、後記する搬送ベルト61の周囲が開口された構成になっている(図2参照)。
【0047】
サイドフレーム41R及びサイドフレーム41Lは、それぞれ、図示せぬ2つ(又はそれ以上)の軸受けが設けられており、これらの軸受けによって後記する駆動シャフト64及び後記する従動シャフト65を支持する。なお、駆動シャフト64は、後記する駆動プーリ62及び後記する伝達プーリ89の回転軸である。また、従動シャフト65は、後記する従動プーリ63の回転軸である。
【0048】
サイドフレーム41R及びサイドフレーム41Lは、それぞれの外側の面の略中央部に、シャフト49が一体に設けられている。シャフト49は、カード収納部40の回転支点として機能する部材である。本実施形態1では、シャフト49は、サイドフレーム41Rに設けられたシャフト49とサイドフレーム41Lに設けられたシャフト49とに分断されている。以下、サイドフレーム41Rに設けられたシャフト49とサイドフレーム41Lに設けられたシャフト49とを区別する場合に、サイドフレーム41Rに設けられたシャフト49を「シャフト49a」と称し、サイドフレーム41Lに設けられたシャフト49を「シャフト49b」と称する。
【0049】
シャフト49a,49bは、それぞれ、同径の円柱状に形成されている。シャフト49aは、サイドフレーム41Rの外側の面の略中央部に設けられており、サイドフレーム41Rの外側の面から外側方向に突出している。一方、シャフト49bは、サイドフレーム41Lの外側の面の略中央部に設けられており、サイドフレーム41Lの外側の面から外側方向に突出している。シャフト49a,49bは、それぞれの中心軸が一致するように配置されている。シャフト49aは、図2に示すように、回転プーリ51、差動プーリ81、及び、回転プーリ71が取り付けられるため、シャフト49bよりも長くなっている。
【0050】
カード収納部40は、その内部に、カード100を収容する空間(以下、「収納室42」と称する)が設けられている。収納室42は、カード100を収納することができるように、その縦方向の長さ、横方向の長さ、及び、高さが、それぞれ、カード100の縦方向の長さ、横方向の長さ、及び、厚さよりも、任意の長さだけ大きく形成されている。収納室42は、端部が開口部(以下、「収納開口部44」と称する)として開口された構成になっている。
【0051】
収納室42は、カード収納部40の一端側から他端側に向けて延伸して設けられたアッパガイド43a及びロアガイド43bによって、その外部の空間と区画されている。アッパガイド43a及びロアガイド43bは、それぞれ、カード100を収納室42の内部に案内する部材である。
【0052】
アッパガイド43a及びロアガイド43bは、少なくとも、後記する従動プーリ63と後記する押圧ローラ66bとのニップ部(当接部)から後記する駆動プーリ62と後記する押圧ローラ66aとのニップ部(当接部)までの間に亘って延伸して設けられている。
【0053】
アッパガイド43a及びロアガイド43bは、互いの対向面が平坦面として形成されている。ただし、アッパガイド43aは、少なくとも、後記する押圧ローラ66a,66bの周囲が開口された構成になっている(図2参照)。また、ロアガイド43bは、少なくとも、後記する搬送ベルト61の周囲が開口された構成になっている(図2参照)。カード100は、収納室42の内部で、後記する押圧ローラ66a,66bと後記する搬送ベルト61との間に挟まれた状態で収納される。
【0054】
カード処理装置1は、カード収納部40の外部に、シャフト49a,49bを回転自在に支持する図示せぬ2つの軸受けを有している。図示せぬ2つの軸受けは、それぞれ、第1搬送路21(厳密には、第1搬送ガイド21a,21bの互いの対向面同士の中間の面)を第1開口部22側に延長させた面と第2搬送路26(厳密には、第2搬送ガイド26a,26bの互いの対向面同士の中間の面)を第2開口部27側に延長させた面とが交差する線の延長線上の位置に、設けられている。シャフト49a,49bは、その図示せぬ2つの軸受けによって回転自在に支持される。したがって、カード収納部40は、図示せぬ2つの軸受けの間に、配置される。
【0055】
なお、本実施形態1では、カード処理装置1は、カード収納部40の周囲に図示せぬ2つの軸受けを設け、その2つの軸受けによってカード収納部40を回動自在に支持する構成になっている場合を想定している。すなわち、本実施形態1では、カード処理装置1は、カード収納部40を両持ちで支持する構成となっている。そのため、カード収納部40には、2つのシャフト49aとシャフト49bとが設けられている。
【0056】
しかしながら、カード処理装置1は、カード収納部40を片持ちで支持する構成にすることもできる。このような構成は、シャフト49a(すなわち、回動部50及び駆動伝達部70が配置される側のシャフト49)を図2に示す構成よりもさらに外側に延長された構成にするとともに、シャフト49aの軸がぶれないように、シャフト49a側の図示せぬ軸受けがそのシャフト49aの延長された部分を回動自在に支持する構成にすることにより、実現される。なお、この場合に、シャフト49b及びシャフト49b側の図示せぬ軸受けは、削除される。
【0057】
カード収納部40は、シャフト49を回転支点とし、シャフト49を中心にして回動する。これにより、カード収納部40は、第1搬送路21(図1参照)との間でカード100を受け渡す場合に、シャフト49を中心にして回動して、収納開口部44(図1参照)が第1開口部22(図1参照)と対向した状態になる。また、カード収納部40は、第2搬送路26(図1参照)との間でカード100を受け渡す場合に、シャフト49を中心にして回動して、収納開口部44(図1参照)が第2開口部27(図1参照)と対向した状態になる。
【0058】
なお、カード収納部40は、回動する際に、第1搬送路21に設けられた第1搬送ガイド21a,21bや第2搬送路26に設けられた第2搬送ガイド26a,26bに接触しないように、構成されている。
【0059】
以下に、回動部50の構成について説明する。
本実施形態1では、回動部50は、モータプーリMP1、回転プーリ51、及び、駆動ベルト52を備えた構成になっている。
【0060】
モータプーリMP1は、モータM1の回転軸に固定された回転体である。モータプーリMP1は、回転プーリ51とともに、駆動ベルト52を張架している。モータプーリMP1は、モータM1の回転軸が回転することにより、回転する。このとき、モータプーリMP1は、モータM1からの回転駆動力を駆動ベルト52に伝達して、駆動ベルト52を駆動(走行)させる駆動部材として機能する。
【0061】
回転プーリ51は、シャフト49に固定された回転体である。回転プーリ51は、モータプーリMP1とともに、駆動ベルト52を張架している。回転プーリ51は、駆動ベルト52が走行することにより、モータM1からの回転駆動力が伝達されて、シャフト49とともに回転する。そのシャフト49には、カード収納部40が固定されている。そのため、このとき、カード収納部40が、シャフト49とともに、回動する。したがって、回転プーリ51は、シャフト49を介して、カード収納部40を回動させる駆動部材として機能する。
【0062】
駆動ベルト52は、モータM1からの回転駆動力を回転プーリ51に伝達して、回転プーリ51を駆動(回転)させる駆動部材である。駆動ベルト52は、モータプーリMP1と回転プーリ51とによって張架されている。
【0063】
回動部50は、モータM1が矢印A1a(図1参照)方向又は矢印A1b(図1参照)方向に回転することにより、回転プーリ51を回転させる。回転プーリ51は、カード収納部40のシャフト49に固定されている。そのため、シャフト49は、回転プーリ51とともに回転する。これにより、カード収納部40が、シャフト49とともに、回動する。その結果、回動部50は、シャフト49を中心にして、カード収納部40を回動させる。
【0064】
以下に、搬送部60の構成について説明する。
本実施形態1では、搬送部60は、搬送ベルト61、駆動プーリ62、従動プーリ63、及び、押圧ローラ66a,66bを備えた構成になっている。搬送ベルト61、駆動プーリ62、従動プーリ63、及び、押圧ローラ66a,66bは、カード収納部40の内部に配置されている。
【0065】
搬送ベルト61は、カード100を搬送する搬送部材である。搬送ベルト61は、走行することにより、カード収納部40の外部から内部の方向へのカード100の搬送及びカード収納部40の内部から外部の方向へのカード100の搬送を行う。
【0066】
駆動プーリ62は、従動プーリ63とともに、搬送ベルト61を走行自在に張架する支持部材である。駆動プーリ62は、モータM2からの搬送駆動力が駆動伝達部70によって伝達されることによって、回転する。これにより、駆動プーリ62は、搬送ベルト61を走行させる。駆動プーリ62は、駆動シャフト64に固定されている。駆動シャフト64は、駆動プーリ62及び後記する伝達プーリ89の回転軸である。駆動シャフト64は、サイドフレーム41R,41Lに設けられた図示せぬ軸受けによって回転自在に支持されている。
【0067】
駆動シャフト64は、サイドフレーム41Lからサイドフレーム41Rに亘って、カード収納部40の内部に設けられているとともに、サイドフレーム41Rからカード収納部40の外部に突出して設けられている。駆動シャフト64は、カード収納部40の内部の部分に駆動プーリ62が固定されており、カード収納部40の外部に突出した部分に後記する伝達プーリ89が固定されている。
【0068】
従動プーリ63は、駆動プーリ62とともに、搬送ベルト61を走行自在に張架する支持部材である。従動プーリ63は、搬送ベルト61の走行に連れ回されて回転する。従動プーリ63は、カード収納部40の内部で、従動シャフト65に固定されている。従動シャフト65は、従動プーリ63の回転軸である。従動シャフト65は、サイドフレーム41R,41Lに設けられた図示せぬ軸受けによって回転自在に支持されている。
【0069】
押圧ローラ66aは、搬送ベルト61を駆動プーリ62に押圧する押圧部材である。押圧ローラ66aは、搬送ベルト61を挟んで駆動プーリ62に対向して配置されている。押圧ローラ66aは、カード収納部40の内部に設けられた押圧スプリング67a(図2参照)の押圧を受けて、その外周面で搬送ベルト61を駆動プーリ62の外周面に押圧する。
【0070】
押圧ローラ66bは、搬送ベルト61を従動プーリ63に押圧する押圧部材である。押圧ローラ66bは、搬送ベルト61を挟んで従動プーリ63に対向して配置されている。押圧ローラ66bは、カード収納部40の内部に設けられた押圧スプリング67b(図2参照)の押圧を受けて、その外周面で搬送ベルト61を従動プーリ63の外周面に押圧する。
【0071】
押圧ローラ66a,66bは、カード100がカード収納部40の収納室42に収納される際に、押圧スプリング67a,67bが縮むことにより、カード100の厚さ分だけ上昇する。その結果、カード100は、押圧ローラ66a,66bと搬送ベルト61との間に挟まれた状態で収納される。
【0072】
以下に、駆動伝達部70の構成について説明する。
本実施形態1では、駆動伝達部70は、モータプーリMP2、回転プーリ71、駆動ベルト72、差動プーリ81、伝達ベルト82、及び、伝達プーリ89を備えた構成になっている。
【0073】
モータプーリMP2は、モータM2の回転軸に固定された回転体である。モータプーリMP2は、回転プーリ71とともに、駆動ベルト72を張架している。モータプーリMP2は、モータM2の回転軸が回転することにより、回転する。このとき、モータプーリMP2は、モータM2からの搬送駆動力を駆動ベルト72に伝達して、駆動ベルト72を駆動(走行)させる駆動部材として機能する。
【0074】
回転プーリ71は、シャフト49によって回転自在に支持された回転体である。回転プーリ71は、モータM2からの搬送駆動力を差動プーリ81に伝達する第1伝達部材として機能する。
【0075】
回転プーリ71は、モータプーリMP2とともに、駆動ベルト72を張架している。回転プーリ71は、中心に軸受け(ベアリング)が形成されている。シャフト49は、その軸受けを貫通して、フリーな状態で回転プーリ71を支持している。回転プーリ71は、駆動ベルト72が走行することにより、モータM2からの搬送駆動力が伝達されて、回転する。
【0076】
回転プーリ71は、差動プーリ81と平行に配置されている。回転プーリ71は、差動プーリ81との対向面(差動プーリ81と対向する側の回転面)上に、ピン76が設けられている。ピン76は、回転プーリ71の差動プーリ81との対向面上に一体に設けられた突出部である。ピン76は、差動プーリ81に設けられた溝86に、移動自在に嵌め込まれている(図3参照)。溝86の構成については、後記する。
【0077】
ピン76は、回転プーリ71が回転することにより、溝86の内部で移動し、溝86の端部の壁面86a(図3参照)又は壁面86b(図3参照)と当接する。そして、ピン76は、回転プーリ71がさらに回転することにより、壁面86a又は壁面86bを介して、差動プーリ81を回転プーリ71の回転方向に押圧する。これにより、回転プーリ71は、差動プーリ81を回転させる。したがって、このとき、ピン76は、差動プーリ81を回転プーリ71の回転方向に押圧する押圧部として機能する。
【0078】
駆動ベルト72は、モータM2からの搬送駆動力を回転プーリ71に伝達して、回転プーリ71を駆動(回転)させる駆動部材である。駆動ベルト72は、モータプーリMP2と回転プーリ71とによって張架されている。
【0079】
差動プーリ81は、シャフト49によって回転自在に支持された回転体である。差動プーリ81は、回転プーリ71を介して伝達されたモータM2からの搬送駆動力を、搬送部60(厳密には、搬送部60の駆動プーリ62が固定された駆動シャフト64に固定された伝達プーリ89)に伝達する第2伝達部材として機能する。
【0080】
差動プーリ81は、伝達プーリ89とともに、伝達ベルト82を張架している。差動プーリ81は、中心に軸受け(ベアリング)が形成されている。シャフト49は、その軸受けを貫通して、フリーな状態で差動プーリ81を支持している。
【0081】
差動プーリ81は、回転プーリ71と平行に配置されている。差動プーリ81は、回転プーリ71との対向面(回転プーリ71と対向する側の回転面)上に、溝86が設けられている。溝86は、回転プーリ71に設けられたピン76が嵌め込まれている(図3参照)。
【0082】
差動プーリ81は、回転プーリ71が回転して、回転プーリ71に設けられたピン76が差動プーリ81に設けられた溝86の端部の壁面86a又は壁面86bを回転プーリ71の回転方向に押圧することにより、回転する。差動プーリ81は、回転することにより、モータM2からの搬送駆動力を伝達ベルト82に伝達して、伝達ベルト82を駆動(走行)させる。
【0083】
図3は、実施形態1に係るカード処理装置の要部の構成を示す図である。図3は、図2に示すB−B線に沿ってカード処理装置1を切断した差動プーリ81の断面構成を示している。図3に示すように、差動プーリ81には、溝86が設けられており、その溝86には、回転プーリ71のピン76が移動自在に嵌め込まれている。
【0084】
溝86は、差動プーリ81の回転プーリ71との対向面(回転面)上に、差動プーリ81の中心軸(すなわち、シャフト49の中心軸)を中心にして、円弧状に形成されている。ここでは、差動プーリ81の中心軸を中心とする溝86の右側端部の壁面86aから左側端部の壁面86bまでの角度(以下、「溝86の形成角度」と称する)を角度「θA」として説明する。角度「θA」は、好ましくは、後記する角度「θ1」の2倍以上(特に、好ましくは、後記する角度「θ1」と後記する角度「α」とを合計した角度「(θ1+α)」の2倍以上)の角度にするとよい。
【0085】
溝86は、差動プーリ81の中心軸(すなわち、シャフト49の中心軸)から溝86の外周と内周との中間を通る円弧までの距離が、回転プーリ71の中心軸(すなわち、シャフト49の中心軸)からピン76の中心軸までの距離と一致するように形成されている。すなわち、溝86は、ピン76と同心円の軌跡上に設けられている。また、溝86は、その外周と内周との間にピン76が嵌め込まれるため、溝86の外周から内周までの間隔がピン76の直径よりも大きくなるように形成されている。
【0086】
ピン76は、前記した通り、回転プーリ71が回転することにより、溝86の内部で移動し、溝86の端部の壁面86a(図3参照)又は壁面86b(図3参照)と当接する。そして、ピン76は、回転プーリ71がさらに回転することにより、壁面86a又は壁面86bを介して、差動プーリ81を回転プーリ71の回転方向に押圧する。これにより、回転プーリ71は、差動プーリ81を回転させる。したがって、このとき、壁面86a又は壁面86bは、ピン76によって押圧される被押圧部として機能する。
【0087】
このような差動プーリ81は、回転プーリ71が回転することにより、回転プーリ71に設けられたピン76が、溝86の内部で移動する。そして、ピン76が、溝86の端部の壁面86a又は壁面86bに当接すると、壁面86a又は壁面86bを回転プーリ71の回転方向に押圧する。これにより、差動プーリ81が、回転プーリ71に遅れて回転を開始する。したがって、差動プーリ81は、回転プーリ71の回転に対して、差動して回転する差動部材となっている。
【0088】
伝達ベルト82は、差動プーリ81を介して伝達されるモータM2からの駆動力(搬送駆動力)を伝達プーリ89に伝達して、伝達プーリ89を駆動(回転)させる駆動部材である。伝達ベルト82は、差動プーリ81と伝達プーリ89とによって張架されている。
【0089】
伝達プーリ89は、駆動シャフト64に固定された回転体である。伝達プーリ89は、カード収納部40の外部で、駆動シャフト64に固定されている。その駆動シャフト64には、カード収納部40の内部で、搬送部60の駆動プーリ62が固定されている。駆動プーリ62は、従動プーリ63とともに、搬送ベルト61を張架している。したがって、伝達プーリ89は、回転することにより、駆動シャフト64とともに、搬送部60の駆動プーリ62を回転させて、搬送部60の搬送ベルト61を駆動(走行)させる。すなわち、伝達プーリ89は、回転することにより、モータM2からの駆動力(搬送駆動力)を搬送部60に伝達して、搬送部60の搬送ベルト61を駆動(走行)させる。
【0090】
係る構成において、モータM1からの回転駆動力は、モータプーリMP1、駆動ベルト52、回転プーリ51、シャフト49、カード収納部40の順に伝達される。
また、モータM2からの搬送駆動力は、モータプーリMP2、駆動ベルト72、回転プーリ71、ピン76、溝86の壁面86a(又は、壁面86b)、差動プーリ81、伝達ベルト82、駆動プーリ62、駆動シャフト64、伝達プーリ89、搬送ベルト61の順に伝達される。
【0091】
なお、モータM1からの回転駆動力を伝達するプーリMP1及び回転プーリ51の組み合わせは、ギヤに置き換えることができる。
同様に、モータM2からの搬送駆動力を伝達するモータプーリMP2及び回転プーリ71の組み合わせも、ギヤに置き換えることができる。
【0092】
(第1伝達部材と第2伝達部材とを回転支点上に設ける理由)
本実施形態1では、カード処理装置1は、第1伝達部材としての回転プーリ71と第2伝達部材としての差動プーリ81とをカード収納部40の回転支点となるシャフト49上に設けている。その理由は、モータM2から駆動伝達部70への搬送駆動力の伝達を常に同じ位置で行うためである。
【0093】
すなわち、カード処理装置1は、モータM2から駆動伝達部70への搬送駆動力の伝達を常に同じ位置で行うことが好ましい。しかしながら、カード処理装置1は、カード収納部40がシャフト49を中心にして回動する。したがって、カード処理装置1は、シャフト49の位置だけが同じ位置に固定され、シャフト49以外の構成要素の位置が変動する構成となっている。そのため、このような理由から、駆動伝達部70は、回転プーリ71と差動プーリ81とをカード収納部40の回転支点となるシャフト49上に設けている。
【0094】
(回転支点上の伝達部材を第1伝達部材と第2伝達部材とに分割する理由)
本実施形態1では、カード処理装置1は、第1伝達部材としての回転プーリ71と第2伝達部材としての差動プーリ81とが、一体の伝達部材としてではなく、2つの伝達部材に分割されている。その理由は、搬送駆動源(モータM2)から第1伝達部材(回転プーリ71)にかかる負荷を第1伝達部材(回転プーリ71)と第2伝達部材(差動プーリ81)との間で分断するためである。
【0095】
以下、その理由について詳述する。ここでは、仮に、回転プーリ71と差動プーリ81とが一体の伝達部材として一体化されている場合を想定して説明する。以下、回転プーリ71と差動プーリ81とが一体化された伝達部材を「一体化された伝達部材」と称する。
【0096】
例えば、カード処理装置1は、回動部50がカード収納部40を回動させる際に、搬送部60がカード収納部40とともに回動する。このとき、一体化された伝達部材は、伝達ベルト82を介して搬送部60に連結された構成になる。そのため、一体化された伝達部材は、シャフト49を中心にして搬送部60の回動方向(すなわち、カード収納部40の回動方向)に回転させる回転力(ここでは、張力)を、伝達ベルト82を介して搬送部60から受ける。
【0097】
しかしながら、このとき、一体化された伝達部材は、駆動ベルト72を介して搬送駆動源であるモータM2に連結された構成になる。そのため、一体化された伝達部材は、その回転を規制する負荷が駆動ベルト72を介してモータM2からかかる。その結果、一体化された伝達部材は、カード収納部が回動するのに対して、回転せずに、停止したままの状態になる。これにより、一体化された伝達部材は、カード収納部に対して相対的に回転した状態になる。
【0098】
搬送部60は、一体化された伝達部材がカード収納部40に対して相対的に回転した状態になると、動いてしまう。そのため、カード収納部40に収納されたカード100が移動する。したがって、駆動伝達部70は、回転プーリ71と差動プーリ81とを一体の伝達部材として構成した場合に、カード収納部40に収納されたカード100に位置ずれが発生する。
【0099】
そのため、駆動伝達部70は、モータM2からかかる負荷を伝達部材で分断する必要がある。このような理由から、駆動伝達部70は、回転プーリ71と差動プーリ81とが、一体の伝達部材としてではなく、2つの伝達部材に分割されている。そして、駆動伝達部70は、差動プーリ81が、回転プーリ71の回転に対して差動して回転するように構成されている。
【0100】
<カード処理装置の動作>
(カード処理装置の動作の概要)
以下、図4を参照して、カード処理装置1の動作の概要につき説明する。図4は、本実施形態1に係るカード処理装置1の動作の概要を示す図である。
【0101】
ここでは、カード処理装置1が、カード収納部40を介して、第1搬送路21と第2搬送路26との間でカード100の受け渡しを行う場合を想定して説明する。カード処理装置1は、カード100を第1搬送路21から第2搬送路26に受け渡す動作と、カード100を第2搬送路26から第1搬送路21に受け渡す動作とを行うことができる。
【0102】
(カード100を第1搬送路21から第2搬送路26に受け渡す場合の動作の概要)
まず、カード100を第1搬送路21から第2搬送路26に受け渡す場合のカード処理装置1の動作の概要について説明する。
【0103】
(1)まず、カード処理装置1は、図4(a)に示すように、第1搬送路21の第1開口部22とカード収納部40の収納開口部44とを対向させた状態にする。
(2)次に、カード処理装置1は、第1搬送路21に沿ってカード100を搬送し、カード100を第1搬送路21からカード収納部40に受け渡す(図4(a)に示す矢印A21a参照)。
【0104】
(3)次に、カード処理装置1は、シャフト49を中心にして、カード収納部40を矢印A40a(図4(a)参照)方向に回動させて、図4(b)に示すように、第2搬送路26の第2開口部27とカード収納部40の収納開口部44とを対向させた状態にする。
(4)次に、カード処理装置1は、カード100をカード収納部40から第2搬送路26に受け渡し(図4(b)に示す矢印A26a参照)、第2搬送路26に沿ってカード100を所定の位置に搬送する。
【0105】
(カード100を第2搬送路26から第1搬送路21に受け渡す場合の動作の概要)
次に、カード100を第2搬送路26から第1搬送路21に受け渡す場合のカード処理装置1の動作の概要について説明する。
【0106】
(1)まず、カード処理装置1は、図4(b)に示すように、第2搬送路26の第2開口部27とカード収納部40の収納開口部44とを対向させた状態にする。
(2)次に、カード処理装置1は、第2搬送路26に沿ってカード100を搬送し、カード100を第2搬送路26からカード収納部40に受け渡す(図4(b)に示す矢印A26b参照)。
【0107】
(3)次に、カード処理装置1は、シャフト49を中心にして、カード収納部40を矢印A40b(図4(b)参照)方向に回動させて、図4(a)に示すように、第1搬送路21の第1開口部22とカード収納部40の収納開口部44とを対向させた状態にする。
(4)次に、カード処理装置1は、カード100をカード収納部40から第1搬送路21に受け渡し(図4(a)に示す矢印A21b参照)、第1搬送路21に沿ってカード100を所定の位置に搬送する。
【0108】
(カード処理装置の動作の詳細)
以下、図5〜図8を参照して、カード処理装置1の動作の詳細につき説明する。図5及び図7は、それぞれ、本実施形態1に係るカード処理装置1の動作を示すフローチャートである。また、図6及び図8は、それぞれ、実施形態1に係るカード処理装置の要部の動作を示す図である。
【0109】
図5は、カード100を第1搬送路21から第2搬送路26に受け渡す場合のカード処理装置1の動作を示している。また、図6は、カード100を第1搬送路21から第2搬送路26に受け渡す場合の、第1伝達部材としての回転プーリ71及び第2伝達部材としての差動プーリ81の動きを示している。また、図7は、カード100を第2搬送路26から第1搬送路21に受け渡す場合のカード処理装置1の動作を示している。また、図8は、カード100を第2搬送路26から第1搬送路21に受け渡す場合の、第1伝達部材としての回転プーリ71及び第2伝達部材としての差動プーリ81の動きを示している。
【0110】
以下に説明するカード処理装置1の動作は、カード処理装置1の制御部9(図1参照)が、搬送ローラ23,28(図1参照)の図示せぬ駆動源、及び、モータM1,M2を駆動することにより実現される。
【0111】
ここでは、モータM1の回転軸の回転方向について、時計回り方向を矢印A1a方向とし、反時計回り方向を矢印A1b方向として説明する(図4参照)。
また、モータM2の回転軸の回転方向について、時計回り方向を矢印A2a方向とし、反時計回り方向を矢印A2b方向として説明する(図4参照)。
また、カード収納部40の回動方向について、時計回り方向を矢印A40a方向とし、反時計回り方向を矢印A40b方向として説明する(図4参照)。
また、回転プーリ71の回転方向について、時計回り方向を矢印A71a方向とし、反時計回り方向を矢印A71b方向として説明する(図6及び図8参照)。
また、差動プーリ81の回転方向について、時計回り方向を矢印A81a方向とし、反時計回り方向を矢印A81b方向として説明する(図6及び図8参照)。
【0112】
また、ここでは、シャフト49の中心軸を中心とする、カード100の受け渡しを行う2つの搬送路2(すなわち、第1搬送路21及び第2搬送路26)間の配置角度を「カード収納部40の回動角度」とし、その「カード収納部40の回動角度」を角度「θ1」として説明する。角度「θ1」は、例えば、45°の角度となっている。
【0113】
また、ここでは、図4(b)に示す状態から図4(a)に示す状態にカード収納部40を回動させる場合に、カード収納部40を回動させる前に行われる、回転プーリ71の回転の設定角度を角度「θ2(図8(b)参照)」として説明する。
【0114】
設定角度「θ2(図8(b)参照)」は、カード収納部40の回動角度(すなわち、シャフト49の中心軸を中心とする第1搬送路21と第2搬送路26との間の配置角度)「θ1」に、予め定められた誤差許容角度「α」を加算した角度となる。ここでは、「θ1」の値を45°とし、「α」の値を10°とし、「θ2」の値を「θ2=(θ1+α)=(45°+10°)=55°」として説明する。
【0115】
なお、「α」は、各プーリやベルト、シャフト等の機械的な動作誤差を許容するために予め設定された誤差許容角度を意味している。したがって、角度「θ2」は、角度「θ1」よりも大きな角度で、かつ、各プーリやベルト、シャフト等の機械的な動作誤差が十分に見込まれた角度になっている。
【0116】
(カード100を第1搬送路21から第2搬送路26に受け渡す場合の動作の詳細)
まず、カード処理装置1がカード100を第1搬送路21から第2搬送路26に受け渡す場合の動作について説明する。
【0117】
カード処理装置1は、電源が投入されると、図示せぬ上位装置からカード100の搬送命令(受け渡し命令)が受信されるまで、待機状態になる。そして、図5に示すように、カード処理装置1は、例えば、図示せぬ上位装置から、カード100の第1搬送路21から第2搬送路26への搬送命令(受け渡し命令)を受信する(S105)と、一連の動作を開始する。
【0118】
このとき、カード処理装置1は、図4(a)に示すように、第1搬送路21の端部に設けられた第1開口部22とカード収納部40の収納開口部44とを対向させた状態にする。このとき、カード処理装置1は、第1開口部22と収納開口部44とが対向していなければ、双方が対向するように、回動部50によってカード収納部40を回動させる。
【0119】
具体的には、カード処理装置1は、回動駆動源であるモータM1を駆動して、モータM1の回転軸を矢印A1a(図4参照)方向又は矢印A1b(図4参照)方向に回転させる。これにより、カード処理装置1は、回動部50を駆動させて、カード収納部40を矢印A40a(図4参照)方向又は矢印A40b(図4参照)方向に回動させる。そして、カード処理装置1は、第1開口部22と収納開口部44とが対向した状態になると、モータM1の駆動を停止する。
【0120】
なお、第1開口部22と収納開口部44とが対向しているか否かの判定は、例えば、制御部9(図1参照)がカード収納部40の周囲に設けられたセンサSN1(図4(a)参照)から出力される検知信号の値の変化を検知することによって、行うことができる。
【0121】
具体的には、カード処理装置1は、図4(a)に示すように、カード収納部40の周囲にセンサSN1を備えるとともに、カード収納部40の端部に、センサSN1に設けられた図示せぬセンサ部を遮蔽する遮蔽板47を備える構成になっているものとする。
【0122】
センサSN1は、図示せぬセンサ部の露出状態又は遮蔽状態を表す検知信号を制御部9(図1参照)に出力する。遮蔽板47は、第1開口部22と収納開口部44とが対向した状態になると、センサSN1の図示せぬセンサ部を遮蔽する。これにより、センサSN1から制御部9(図1参照)に出力される検知信号の値が変化する。制御部9は、その検知信号の値の変化を検知することにより、第1開口部22と収納開口部44とが対向しているか否かを判定する。
【0123】
S105の後、カード処理装置1は、第1開口部22と収納開口部44とが対向した状態になると、第1搬送ローラ23(図1参照)によってカード100をカード収納部40に向けて搬送する。
【0124】
具体的には、カード処理装置1は、第1搬送ローラ23の図示せぬ駆動源が正転駆動を開始する(S110)。これにより、第1搬送ローラ23が、回転して、第1搬送路21に沿って、カード100をカード収納部40まで搬送する。なお、ここでは、「図示せぬ駆動源の正転駆動」とは、駆動源によって駆動される部材(ここでは、第1搬送ローラ23及び第2搬送ローラ28)がカード100を所定の位置からカード収納部40に向けて搬送する動作を行う方向の駆動を意味するものとする。
【0125】
また、S110と同時に、カード処理装置1は、カード100を第1搬送路21からカード収納部40の収納室42に取り込むために、搬送部60の搬送ベルト61を駆動(走行)する。
【0126】
具体的には、カード処理装置1は、搬送駆動源であるモータM2が正転駆動を開始する(S115)。なお、ここでは、「搬送駆動源の正転駆動」とは、搬送部60の搬送ベルト61がカード100を収納室42の外部から内部の方向に搬送する動作(以下、「カード100の取込動作」と称する)を行う方向の駆動を意味するものとする。
【0127】
このとき、カード処理装置1は、モータM2の回転軸を矢印A2a(図4(a)参照)方向に回転させる。これにより、回転プーリ71が、矢印A71a(図6(a)参照)方向に回転する。その結果、回転プーリ71のピン76が、差動プーリ81の溝86の内部で移動して、溝86の右側端部の壁面86a(図6(a)参照)に当接した状態になる。
【0128】
この後、カード処理装置1は、さらに、モータM2を駆動して、モータM2の回転軸を矢印A2a方向に回転させる。これにより、回転プーリ71がさらに矢印A71a方向に回転する。その結果、ピン76が、溝86の右側端部の壁面86aを押圧して、差動プーリ81を矢印A81a(図6(a)参照)方向に回転させる。
【0129】
カード処理装置1は、差動プーリ81が回転すると、伝達ベルト82(図4(a)参照)が走行し、これによって、伝達プーリ89(図4(a)参照)が回転する。伝達プーリ89は、駆動シャフト64(図4(a)参照)に固定されている。その駆動シャフト64には、搬送部60の駆動プーリ62(図4(a)参照)が固定されている。
【0130】
したがって、カード処理装置1は、差動プーリ81が回転すると、伝達プーリ89が回転し、その伝達プーリ89の回転に応答して、搬送部60の駆動プーリ62が回転する。その結果、カード処理装置1は、搬送部60の搬送ベルト61が、カード100の取込動作を行う方向に駆動(走行)する。
【0131】
S115の後、カード処理装置1は、カード100がカード収納部40に到達し、その一部がカード収納部40の内部に設けられた収納室42に挿入されると、搬送部60の搬送ベルト61が走行しているため、搬送ベルト61によってカード100をカード収納部40の外部から内部の方向(図4(a)に示すA21a方向)に搬送する。これにより、カード100が、第1搬送路21からカード収納部40に受け渡される。その結果、カード100が、カード収納部40の内部に設けられた収納室42に収納される(S120)。
【0132】
そして、カード処理装置1は、カード100が収納室42に収納されたことを検出すると、第1搬送ローラ23(図1参照)の図示せぬ駆動源、及び、モータM2の駆動を停止する(S125)。
【0133】
その結果、カード100が、収納室42の内部で停止した状態となる。ここでは、このとき、回転プーリ71及び差動プーリ81が図6(a)に示す状態で停止したものとして説明する。図6(a)に示す例では、このときのピン76の位置を「P1」として示している。
【0134】
なお、カード100がカード収納部40に収納されたか否かの判定は、例えば、制御部9(図1参照)が第1開口部22の周囲に設けられた図示せぬセンサから出力される検知信号の値の変化を検知することによって、行うことができる。
【0135】
具体的には、カード処理装置1は、第1開口部22の周囲に、図示せぬセンサを備える構成になっているものとする。図示せぬセンサは、カード100の非通過状態又は通過状態を表す検知信号を制御部9(図1参照)に出力する。検知信号は、カード100が図示せぬセンサ上を通過している間、その状態(通過状態)に応じた値に変化する。制御部9は、その検知信号の値の変化を検知することにより、カード100が図示せぬセンサ上を通過したか否かを検知する。
【0136】
例えば、制御部9は、検知信号の値が、非通過状態から通過状態に変化し、さらに、非通過状態に変化すると、カード100の後端が図示せぬセンサ上を通過したと判断する。そして、制御部9は、カード100の後端が図示せぬセンサ上を通過してから所定時間経過したときに、カード100が収納室42に収納されたと判断する。
【0137】
S125の後、カード処理装置1は、カード100が収納室42に収納されると、第2搬送路26の端部に設けられた第2開口部27とカード収納部40の収納開口部44とが対向するように、回動部50によってカード収納部40を回動させる。
【0138】
具体的には、カード処理装置1は、回動駆動源であるモータM1が正転駆動を開始する(S140)。なお、ここでは、「回動駆動源の正転駆動」とは、回動部50がカード収納部40を矢印A40a(図4(a)参照)方向に回動させる動作を行う方向の駆動を意味するものとする。
【0139】
このとき、カード処理装置1は、モータM1の回転軸を矢印A1a(図4(a)参照)方向に回転させる。これにより、カード処理装置1は、回動部50を駆動させて、カード収納部40を矢印A40a(図4(a)及び図6(b)参照)方向に角度「θ1(例えば、45°)」回動させる。
【0140】
このとき、搬送部60は、カード収納部40の回動に伴って、シャフト49を中心にして、カード収納部40の回動方向(矢印A40a方向)と同じ方向に回動する。その結果、搬送部60の駆動プーリ62、駆動プーリ62が固定された駆動シャフト64、及び、その駆動シャフト64に固定された伝達プーリ89が、カード収納部40の回動に伴って、シャフト49を中心にして、矢印A40a方向に回動する。
【0141】
また、差動プーリ81は、伝達ベルト82によって、伝達プーリ89に連結されている。そのため、差動プーリ81は、カード収納部40の回動に伴って、伝達プーリ89が回転することにより、伝達ベルト82から張力を受ける。その結果、差動プーリ81は、シャフト49を中心にして、カード収納部40の回動方向(矢印A40a方向)と同じ方向(矢印A81a(図6(b)参照)方向)に回転する。
【0142】
その差動プーリ81の回転方向(矢印A81a方向)は、回転プーリ71のピン76から差動プーリ81の溝86の壁面86aを離間させる方向である。そのため、差動プーリ81は、矢印A81a方向に回転しても、壁面86aがピン76と接触することがない。したがって、差動プーリ81は、矢印A81a方向に回転しても、回転プーリ71から押圧されない。
【0143】
そのため、このとき、差動プーリ81は、カード収納部40とともに、同じ方向に、同じ角度「θ1」だけ回転する。その結果、差動プーリ81は、カード収納部40に対して、相対的に停止したままの状態となる。
【0144】
搬送部60は、差動プーリ81がカード収納部40に対して相対的に回転することにより、動く。したがって、「差動プーリ81がカード収納部40に対して相対的に停止したままの状態」とは、搬送部60が搬送を停止したままの状態を意味する。そのため、カード処理装置1は、搬送部60の搬送を停止させたままの状態を維持することができ、これによって、カード100がカード収納部40の内部で動くのを防止することができる。
【0145】
S140の後、カード処理装置1は、カード収納部40が角度「θ1」だけ回動して、第2開口部27と収納開口部44とが対向した状態になると、モータM1の駆動を停止する(S145)。その結果、カード収納部40は、図4(a)に示す状態から図4(b)に示す状態になる。
【0146】
なお、第2開口部27と収納開口部44とが対向しているか否かの判定は、例えば、制御部9(図1参照)がカード収納部40の周囲に設けられたセンサSN2(図4(b)参照)から出力される検知信号の値の変化を検知することによって、行うことができる。
【0147】
具体的には、カード処理装置1は、図4(b)に示すように、前記したセンサSN1(図4(a)参照)に加え、カード収納部40の周囲にセンサSN2を備える構成になっているものとする。
【0148】
センサSN2は、センサSN1と同様に、図示せぬセンサ部の露出状態又は遮蔽状態を表す検知信号を制御部9(図1参照)に出力する。遮蔽板47は、第2開口部27と収納開口部44とが対向した状態になると、センサSN2の図示せぬセンサ部を遮蔽する。これにより、センサSN2から制御部9(図1参照)に出力される検知信号の値が変化する。制御部9は、その検知信号の値の変化を検知することにより、第2開口部27と収納開口部44とが対向しているか否かを判定する。
【0149】
S145の後、カード処理装置1は、モータM1の駆動を停止すると、第2搬送ローラ28(図1参照)によってカード100を所定の位置に向けて搬送する。
【0150】
具体的には、カード処理装置1は、第2搬送ローラ28の図示せぬ駆動源が反転駆動を開始する(S150)。これにより、第2搬送ローラ28が、回転して、第2搬送路26に沿って、カード100を所定の位置まで搬送する。なお、ここでは、「図示せぬ駆動源の反転駆動」とは、駆動源によって駆動される部材(ここでは、第1搬送ローラ23及び第2搬送ローラ28)がカード100をカード収納部40から所定の位置に向けて搬送する動作を行う方向の駆動を意味するものとする。
【0151】
また、S150と同時に、カード処理装置1は、カード100をカード収納部40の収納室42から第2搬送路26に繰り出すために、搬送ベルト61を駆動(走行)する。
【0152】
具体的には、カード処理装置1は、搬送駆動源であるモータM2が反転駆動を開始する(S155)。なお、ここでは、「搬送駆動源の反転駆動」とは、搬送部60の搬送ベルト61がカード100を収納室42の内部から外部の方向に搬送する動作(以下、「カード100の繰出動作」と称する)を行う方向の駆動を意味するものとする。
【0153】
このとき、カード処理装置1は、モータM2の回転軸を矢印A2b(図4(b)参照)方向に回転させる。これにより、回転プーリ71が矢印A71b(図6(c)参照)方向に回転する。その結果、回転プーリ71のピン76が、差動プーリ81の溝86の内部で移動して、溝86の左側端部の壁面86b(図6(c)参照)に当接した状態になる。図6(c)に示す例では、このときのピン76の位置を「P2」として示している。
【0154】
この後、カード処理装置1は、さらに、モータM2を駆動して、モータM2の回転軸を矢印A2b方向に回転させる。これにより、回転プーリ71がさらに矢印A71b方向に回転する。その結果、ピン76が、溝86の左側端部の壁面86bを押圧して、差動プーリ81を矢印A81b(図6(c)参照)方向に回転させる。
【0155】
カード処理装置1は、差動プーリ81が回転すると、伝達ベルト82(図4(b)参照)が走行し、これによって、伝達プーリ89(図4(b)参照)が回転する。伝達プーリ89は、駆動シャフト64(図4(b)参照)に固定されており、その駆動シャフト64には搬送部60の駆動プーリ62(図4(b)参照)が固定されている。
【0156】
したがって、カード処理装置1は、差動プーリ81が回転すると、伝達プーリ89が回転し、その伝達プーリ89の回転に応答して、搬送部60の駆動プーリ62が回転する。その結果、カード処理装置1は、搬送部60の搬送ベルト61が、カード100の繰出動作を行う方向に駆動(走行)する。これにより、カード100が、収納室42の内部から外部に繰り出される(S160)。
【0157】
そして、カード処理装置1は、カード100がカード収納部40から第2搬送路26に繰り出されたことを検出すると、第2搬送ローラ28(図1参照)が回転しているため、第2搬送ローラ28によってカード100をカード収納部40の内部から外部の方向(図4(b)に示すA26a方向)に搬送する。これにより、カード100が、カード収納部40から第2搬送路26に受け渡される。その結果、カード100が、第2搬送ローラ28によって所定の位置まで搬送される。
【0158】
カード処理装置1は、カード100が第2搬送路26に繰り出されると、モータM2の駆動を停止する。また、カード処理装置1は、カード100が所定の位置まで搬送されると、第2搬送ローラ28(図1参照)の図示せぬ駆動源を停止する(S165)。
カード処理装置1は、このようにして、第1搬送路21から第2搬送路26にカード100の受け渡しを行う。
【0159】
なお、カード100が第2搬送路26に繰り出されたか否かの判定は、例えば、制御部9(図1参照)が第2開口部27の周囲に設けられた図示せぬセンサから出力される検知信号の値の変化を検知することによって、行うことができる。
【0160】
具体的には、カード処理装置1は、第2開口部27の周囲に、図示せぬセンサを備える構成になっているものとする。図示せぬセンサは、カード100の非通過状態又は通過状態を表す検知信号を制御部9(図1参照)に出力する。検知信号は、カード100が図示せぬセンサ上を通過している間、その状態(通過状態)に応じた値に変化する。制御部9は、その検知信号の値の変化を検知することにより、カード100が図示せぬセンサ上を通過したか否かを検知する。
【0161】
例えば、制御部9は、検知信号の値が、非通過状態から通過状態に変化すると、カード100の先端が図示せぬセンサ上を通過した(すなわち、カード100が第2搬送路26に繰り出された)と判断する。
【0162】
なお、回転プーリ71のピン76及び差動プーリ81の溝86の動作に注視すると、回転プーリ71及び差動プーリ81は、カード処理装置1がカード100を第1搬送路21から第2搬送路26に受け渡す場合に、以下のように動作する。ここでは、図5及び図6を参照して、回転プーリ71及び差動プーリ81の動作を説明する。
【0163】
カード処理装置1は、カード100を第1搬送路21からカード収納部40の収納室42に受け渡す。その際に、S115で、モータM2が正転駆動を開始する。これにより、回転プーリ71が、図6(a)に示すように、矢印A71a方向に回転する。これに伴い、回転プーリ71のピン76が、矢印A71a方向に移動する。そして、ピン76は、溝86の壁面86aと当接し、溝86の壁面86aを回転プーリ71の回転方向に押圧する。その結果、差動プーリ81が、回転プーリ71の回転方向と同じ方向(矢印A81a方向)に回転する。
【0164】
カード処理装置1は、カード100がカード収納部40の収納室42に収納されると、S125で、モータM2が駆動を停止する。このとき、例えば、図6(a)に示すように、回転プーリ71のピン76が位置P1で停止したとする。
【0165】
この後、カード処理装置1は、カード収納部40を矢印A40a(図4(a)参照)方向に角度「θ1」回動させる。その際に、S140で、モータM1が正転駆動を開始する。このとき、差動プーリ81は、伝達ベルト82の張力を受けて、図6(b)に示すように、矢印A81a方向に角度「θ1」回転する。
【0166】
カード処理装置1は、カード収納部40が角度「θ1」回動すると、S145で、モータM1が駆動を停止する。
【0167】
この後、カード処理装置1は、カード100をカード収納部40の収納室42から第2搬送路26に受け渡す。その際に、S155で、モータM2が反転駆動を開始する。これにより、回転プーリ71が、図6(c)に示すように、矢印A71b方向に回転する。これに伴い、回転プーリ71のピン76が、矢印A71b方向に移動する。そして、ピン76は、図6(c)に示す位置P2に到達すると、溝86の壁面86bと当接し、溝86の壁面86bを回転プーリ71の回転方向に押圧する。その結果、差動プーリ81が、回転プーリ71の回転方向と同じ方向(矢印A81b方向)に回転する。
【0168】
カード処理装置1は、カード100がカード収納部40の収納室42から第2搬送路26に受け渡されると、S165で、モータM2の駆動を停止する。
回転プーリ71及び差動プーリ81は、以上のように動作する。
【0169】
(カード100を第2搬送路26から第1搬送路21に受け渡す場合の動作の詳細)
次に、カード処理装置1がカード100を第2搬送路26から第1搬送路21に受け渡す場合の動作について説明する。
【0170】
この場合のカード処理装置1の動作は、以下のような特徴がある。すなわち、カード処理装置1は、回動部50によってカード収納部40を矢印A40b(図4(b)及び図8(c)参照)方向に回動させるが、その前に、差動プーリ81の溝86の壁面86aから回転プーリ71のピン76を離間させる方向(矢印A71b(図8(b)参照)方向)に、回転プーリ71を回転させることを特徴とする。以下、この場合のカード処理装置1の動作の詳細を説明する。
【0171】
カード処理装置1は、電源が投入されると、図示せぬ上位装置からカード100の搬送命令(受け渡し命令)が受信されるまで、待機状態になる。そして、図7に示すように、カード処理装置1は、例えば、図示せぬ上位装置から、カード100の第2搬送路26から第1搬送路21への搬送命令(受け渡し命令)を受信する(S205)と、一連の動作を開始する。
【0172】
このとき、カード処理装置1は、図4(b)に示すように、第2搬送路26の端部に設けられた第2開口部27とカード収納部40の収納開口部44とを対向させた状態にする。このとき、カード処理装置1は、第2開口部27と収納開口部44とが対向していなければ、双方が対向するように、回動部50によってカード収納部40を回動させる。
【0173】
具体的には、カード処理装置1は、回動駆動源であるモータM1を駆動して、モータM1の回転軸を矢印A1a(図4参照)方向又は矢印A1b(図4参照)方向に回転させる。これにより、カード処理装置1は、回動部50を駆動させて、カード収納部40を矢印A40a(図4参照)方向又は矢印A40b(図4参照)方向に回動させる。そして、カード処理装置1は、第2開口部27と収納開口部44とが対向した状態になると、モータM1の駆動を停止する。
【0174】
なお、第2開口部27と収納開口部44とが対向しているか否かの判定は、例えば、制御部9(図1参照)がセンサSN2(図4(b)参照)から出力される検知信号の値の変化を検知することによって、行うことができる。
【0175】
S205の後、カード処理装置1は、第2開口部27と収納開口部44とが対向した状態になると、第2搬送ローラ28(図1参照)によってカード100をカード収納部40に向けて搬送する。
【0176】
具体的には、カード処理装置1は、第2搬送ローラ28の図示せぬ駆動源が正転駆動を開始する(S210)。これにより、第2搬送ローラ28が、回転して、第2搬送路26に沿って、カード100をカード収納部40まで搬送する。
【0177】
また、S210と同時に、カード処理装置1は、カード100を第2搬送路26からカード収納部40の収納室42に取り込むために、搬送部60の搬送ベルト61を駆動(走行)する。
【0178】
具体的には、カード処理装置1は、搬送駆動源であるモータM2が正転駆動を開始する(S215)。
このとき、カード処理装置1は、モータM2の回転軸を矢印A2a(図4(b)参照)方向に回転させる。これにより、回転プーリ71が矢印A71a(図8(a)参照)方向に回転する。その結果、回転プーリ71のピン76が、差動プーリ81の溝86の内部で移動して、溝86の右側端部の壁面86a(図8(a)参照)に当接した状態になる。
【0179】
この後、カード処理装置1は、さらに、モータM2を駆動して、モータM2の回転軸を矢印A2a方向に回転させる。これにより、回転プーリ71がさらに矢印A71a方向に回転する。その結果、ピン76が、溝86の右側端部の壁面86aを押圧して、差動プーリ81を矢印A81a(図8(a)参照)方向に回転させる。
【0180】
カード処理装置1は、差動プーリ81が回転すると、伝達ベルト82(図4(b)参照)が走行し、これによって、伝達プーリ89(図4(b)参照)が回転する。伝達プーリ89は、駆動シャフト64(図4(b)参照)に固定されており、その駆動シャフト64には、搬送部60の駆動プーリ62(図4(b)参照)が固定されている。
【0181】
したがって、カード処理装置1は、差動プーリ81が回転すると、伝達プーリ89が回転し、その伝達プーリ89の回転に応答して、搬送部60の駆動プーリ62が回転する。その結果、カード処理装置1は、搬送部60の搬送ベルト61が、カード100の取込動作を行う方向に駆動(走行)する。
【0182】
S215の後、カード処理装置1は、カード100がカード収納部40に到達し、その一部がカード収納部40の内部に設けられた収納室42に挿入されると、搬送部60の搬送ベルト61が走行しているため、搬送ベルト61によってカード100をカード収納部40の外部から内部の方向(図4(b)に示すA26b方向)に搬送する。これにより、カード100が、第2搬送路26からカード収納部40に受け渡される。その結果、カード100が、カード収納部40の内部に設けられた収納室42に収納される(S220)。
【0183】
S220の後、カード処理装置1は、カード100が収納室42に収納されると、第2搬送ローラ28(図1参照)の図示せぬ駆動源、及び、モータM2の駆動を停止する(S225)。
【0184】
その結果、カード100が、収納室42の内部で停止した状態となる。ここでは、このとき、回転プーリ71及び差動プーリ81が図8(a)に示す状態で停止したものとして説明する。図8(a)に示す例では、このときのピン76の位置を「P1」として示している。
【0185】
なお、カード100がカード収納部40に収納されたか否かの判定は、例えば、制御部9(図1参照)が第2開口部27の周囲に設けられた図示せぬセンサから出力される検知信号の値の変化を検知することによって、行うことができる。
【0186】
例えば、制御部9は、検知信号の値が、非通過状態から通過状態に変化し、さらに、非通過状態に変化すると、カード100の後端が図示せぬセンサ上を通過したと判断する。そして、制御部9は、カード100の後端が図示せぬセンサ上を通過してから所定時間経過したときに、カード100が収納室42に収納されたと判断する。
【0187】
S225の後、カード処理装置1は、カード100が収納室42に収納されると、差動プーリ81の溝86の壁面86aから回転プーリ71のピン76を離間させる方向(矢印A71b(図8(b)参照)方向)に、回転プーリ71を回転させる。以下、この動作を「壁面86aからの離間方向への回転プーリ71の回転動作」と称する。
【0188】
具体的には、カード処理装置1は、搬送駆動源であるモータM2が反転駆動を開始する(S230)。
このとき、カード処理装置1は、モータM2の回転軸を矢印A2b(図4(b)参照)方向に回転させる。これにより、回転プーリ71が、矢印A71b(図8(b)参照)方向に回転する。その結果、回転プーリ71の押圧部であるピン76が、差動プーリ81の溝86の内部で、矢印A71b方向に移動する。
【0189】
カード処理装置1は、ピン76が矢印A71b方向に設定角度「θ2(例えば、55°)」移動したときに、モータM2の駆動を停止する(S235)。図8(b)に示す例では、このときのピン76の位置を「P3」として示している。なお、設定角度「θ2」は、前記した通り、カード収納部40の回動角度「θ1」に、予め定められた誤差許容角度「α」を加算した角度(すなわち、(θ1+α))となる。
【0190】
なお、前記した「壁面86aからの離間方向への回転プーリ71の回転動作」を行う理由は、以下の通りである。
【0191】
すなわち、カード処理装置1は、この後に、カード100を第1搬送路21に受け渡すために、回動部50によってカード収納部40を矢印A40b(図4(b)及び図8(c)参照)方向に回動させる。
【0192】
このとき、搬送部60は、カード収納部40の回動に伴って、シャフト49を中心にして、カード収納部40の回動方向(矢印A40b方向)と同じ方向に回動する。その結果、搬送部60の駆動プーリ62、駆動プーリ62が固定された駆動シャフト64、及び、その駆動シャフト64に固定された伝達プーリ89が、カード収納部40の回動に伴って、シャフト49を中心にして、矢印A40b方向に回動する。
【0193】
差動プーリ81は、カード100が収納室42に収納されたときに、回転プーリ71のピン76と差動プーリ81の溝86の壁面86aとが当接した状態になっている。その差動プーリ81は、図1に示すように、伝達ベルト82によって、伝達プーリ89に連結されている。その伝達プーリ89は、駆動シャフト64に固定されている。そして、駆動シャフト64には、搬送部60の駆動プーリ62が固定されている。
【0194】
そのため、差動プーリ81は、カード収納部40の回動に伴って、伝達プーリ89が回転することにより、カード収納部40の回動方向(矢印A40b方向)と同じ方向(矢印A81b(図8(c)参照)方向)に回転させようとする回転力(ここでは、張力)を、伝達ベルト82を介して搬送部60から受ける。その差動プーリ81の張力の方向(矢印A81b方向)は、差動プーリ81の溝86の壁面86aを回転プーリ71のピン76に押し付ける方向である。
【0195】
しかしながら、回転プーリ71は、駆動ベルト72及びモータプーリMP2によってモータM2に連結されている。そのため、回転プーリ71は、その回転を規制する負荷がモータM2からかかった状態になっている。
【0196】
したがって、差動プーリ81は、仮に、回転プーリ71のピン76と差動プーリ81の溝86の壁面86aとが当接したままの状態で、伝達ベルト82から矢印A81b方向の張力を受けた場合に、回転を規制する負荷が、回転プーリ71を介してモータM2からかかる。そのため、この場合に、回転プーリ71が、差動プーリ81の回転を阻害する。その結果、このとき、差動プーリ81は、カード収納部40が矢印A40b方向に回動するのに対して、回転せずに、停止したままの状態となる。そのため、差動プーリ81は、カード収納部40に対して相対的に回転した状態になる。
【0197】
カード処理装置1は、差動プーリ81がカード収納部40に対して相対的に回転した状態になると、伝達ベルト81及び伝達プーリ89が動き、これにより、搬送部60の搬送ベルト61が動く。その結果、カード収納部40に収納されたカード100が、カード収納部40の内部で動く。
【0198】
したがって、カード処理装置1は、仮に、回転プーリ71のピン76と差動プーリ81の溝86の壁面86aとが当接したままの状態で、カード収納部40の回動に伴って、差動プーリ81が伝達ベルト82から矢印A81b方向の張力を受けた場合に、カード収納部40に収納されたカード100の位置ずれが発生する。
【0199】
そのため、カード処理装置1は、回動部50によってカード収納部40を回動させる前に、差動プーリ81の溝86の壁面86aから回転プーリ71のピン76を離間させる方向(矢印A71b(図8(b)参照)方向)に、回転プーリ71を回転させる。
【0200】
これにより、カード処理装置1は、差動プーリ81の溝86の壁面86aが、回転プーリ71のピン76と当接して、回転プーリ71によって押圧されるのを回避する。その結果、カード処理装置1は、カード収納部40に収納されたカード100の位置ずれの発生を防止することができる。前記した「壁面86aからの離間方向への回転プーリ71の回転動作」を行う理由は、以上の通りである。
【0201】
S235の後、カード処理装置1は、モータM2を停止すると、第1搬送路21の端部に設けられた第1開口部22とカード収納部40の収納開口部44とが対向するように、回動部50によってカード収納部40を回動させる。
【0202】
具体的には、カード処理装置1は、回動駆動源であるモータM1が反転駆動を開始する(S240)。なお、ここでは、「回動駆動源の反転駆動」とは、回動部50がカード収納部40を矢印A40b(図4(b)参照)方向に回動させる動作を行う方向の駆動を意味するものとする。
【0203】
このとき、カード処理装置1は、モータM1の回転軸を矢印A1b(図4(b)参照)方向に回転させる。これにより、カード処理装置1は、回動部50を駆動させて、カード収納部40を矢印A40b(図4(b)及び図8(c)参照)方向に角度θ1(例えば、45°)回動させる。
【0204】
このとき、搬送部60は、カード収納部40の回動に伴って、シャフト49を中心にして、カード収納部40の回動方向(矢印A40b方向)と同じ方向に回動する。その結果、搬送部60の駆動プーリ62、駆動プーリ62が固定された駆動シャフト64、及び、その駆動シャフト64に固定された伝達プーリ89が、カード収納部40の回動に伴って、シャフト49を中心にして、矢印A40b方向に回動する。
【0205】
また、差動プーリ81は、伝達ベルト82によって、伝達プーリ89に連結されている。そのため、差動プーリ81は、カード収納部40の回動に伴って、伝達プーリ89が回転することにより、伝達ベルト82から張力を受ける。その結果、差動プーリ81は、シャフト49を中心にして、カード収納部40の回動方向(矢印A40b方向)と同じ方向(矢印A81b(図8(c)参照)方向)に回転する。
【0206】
その差動プーリ81の回転方向(矢印A81b方向)は、差動プーリ81の溝86の壁面86aを回転プーリ71のピン76に接近させる方向である。しかしながら、回転プーリ71は、事前に、カード収納部40の回動角度「θ1」よりも大きな設定角度「θ2」だけ回転されている。そのため、差動プーリ81は、矢印A81b方向に回転しても、溝86の壁面86aが回転プーリ71のピン76と接触することがない。したがって、差動プーリ81は、矢印A81b方向に回転しても、回転プーリ71から押圧されない。
【0207】
そのため、このとき、差動プーリ81は、カード収納部40とともに、同じ方向に、同じ角度「θ1」だけ回転する。その結果、差動プーリ81は、カード収納部40に対して、相対的に停止したままの状態となる。
【0208】
搬送部60は、差動プーリ81がカード収納部40に対して相対的に回転することにより、動く。したがって、前記した通り、「差動プーリ81がカード収納部40に対して相対的に停止したままの状態」とは、搬送部60が搬送を停止したままの状態を意味する。そのため、カード処理装置1は、搬送部60の搬送を停止させたままの状態を維持することができ、これによって、カード100がカード収納部40の内部で動くのを防止することができる。
【0209】
S240の後、カード処理装置1は、カード収納部40が角度「θ1」だけ回動して、第1開口部22と収納開口部44とが対向した状態になると、モータM1の駆動を停止する(S245)。その結果、カード収納部40は、図4(b)に示す状態から図4(a)に示す状態になる。
【0210】
なお、第2開口部22と収納開口部44とが対向しているか否かの判定は、例えば、制御部9(図1参照)がカード収納部40の周囲に設けられたセンサSN1(図4(a)参照)から出力される検知信号の値の変化を検知することによって、行うことができる。
【0211】
S245の後、カード処理装置1は、モータM1の駆動を停止すると、第1搬送ローラ23(図1参照)によってカード100を所定の位置に向けて搬送する。
【0212】
具体的には、カード処理装置1は、第1搬送ローラ23の図示せぬ駆動源が反転駆動を開始する(S250)。これにより、第1搬送ローラ23が、回転して、第1搬送路21に沿って、カード100を所定の位置まで搬送する。
【0213】
また、S250と同時に、カード処理装置1は、カード100をカード収納部40の収納室42から第1搬送路21に繰り出すために、搬送ベルト61を駆動(走行)する。
【0214】
具体的には、カード処理装置1は、搬送駆動源であるモータM2が反転駆動を開始する(S255)。
このとき、カード処理装置1は、モータM2の回転軸を矢印A2b(図4(a)参照)方向に回転させる。これにより、回転プーリ71が矢印A71b(図8(d)参照)方向に回転する。その結果、回転プーリ71のピン76が、差動プーリ81の溝86の内部で移動して、溝86の左側端部の壁面86b(図8(d)参照)に当接した状態になる。図8(d)に示す例では、このときのピン76の位置を「P4」として示している。
【0215】
この後、カード処理装置1は、さらに、モータM2を駆動して、モータM2の回転軸を矢印A2b方向に回転させる。これにより、回転プーリ71がさらに矢印A71b方向に回転する。その結果、ピン76が、溝86の左側端部の壁面86bを押圧して、差動プーリ81を矢印A81b(図8(d)参照)方向に回転させる。
【0216】
カード処理装置1は、差動プーリ81が回転すると、伝達ベルト82(図4(a)参照)が走行し、これによって、伝達プーリ89(図4(a)参照)が回転する。伝達プーリ89は、駆動シャフト64(図4(a)参照)に固定されており、その駆動シャフト64には搬送部60の駆動プーリ62(図4(a)参照)が固定されている。
【0217】
したがって、カード処理装置1は、差動プーリ81が回転すると、伝達プーリ89が回転し、その伝達プーリ89の回転に応答して、搬送部60の駆動プーリ62が回転する。その結果、カード処理装置1は、搬送部60の搬送ベルト61が、カード100の繰出動作を行う方向に駆動(走行)する。これにより、カード100が、収納室42の内部から外部に繰り出される(S260)。
【0218】
S260の後、カード処理装置1は、カード100がカード収納部40から第1搬送路21に繰り出されると、第1搬送ローラ23(図1参照)が回転しているため、第1搬送ローラ23によってカード100をカード収納部40の内部から外部の方向(図4(a)に示すA21b方向)に搬送する。これにより、カード100が、カード収納部40から第1搬送路21に受け渡される。その結果、カード100が、第1搬送ローラ23によって所定の位置まで搬送される。
【0219】
カード処理装置1は、カード100が第1搬送路21に繰り出されると、モータM2の駆動を停止する。また、カード処理装置1は、カード100が所定の位置まで搬送されると、第1搬送ローラ23(図1参照)の図示せぬ駆動源を停止する(S265)。
カード処理装置1は、このようにして、第2搬送路26から第1搬送路21にカード100の受け渡しを行う。
【0220】
なお、カード100が第1搬送路21に繰り出されたか否かの判定は、例えば、制御部9(図1参照)が第1開口部22の周囲に設けられた図示せぬセンサから出力される検知信号の値の変化を検知することによって、行うことができる。
【0221】
例えば、制御部9は、検知信号の値が、非通過状態から通過状態に変化すると、カード100の先端が図示せぬセンサ上を通過した(すなわち、カード100が第1搬送路21に繰り出された)と判断する。
【0222】
なお、回転プーリ71のピン76及び差動プーリ81の溝86の動作に注視すると、回転プーリ71及び差動プーリ81は、カード処理装置1がカード100を第2搬送路26から第1搬送路21に受け渡す場合に、以下のように動作する。ここでは、図7及び図8を参照して、回転プーリ71及び差動プーリ81の動作を説明する。
【0223】
カード処理装置1は、カード100を第2搬送路26からカード収納部40の収納室42に受け渡す。その際に、S215で、モータM2が正転駆動を開始する。これにより、回転プーリ71が、図8(a)に示すように、矢印A71a方向に回転する。これに伴い、回転プーリ71のピン76が、矢印A71a方向に移動する。そして、ピン76は、溝86の壁面86aと当接し、溝86の壁面86aを回転プーリ71の回転方向に押圧する。その結果、差動プーリ81が、回転プーリ71の回転方向と同じ方向(矢印A81a方向)に回転する。
【0224】
カード処理装置1は、カード100がカード収納部40の収納室42に収納されると、壁面86aからの離間方向への回転プーリ71の回転動作を行う。その際に、S230で、モータM2が反転駆動を開始する。これにより、回転プーリ71が、図8(b)に示すように、矢印A71b方向に設定角度「θ2」回転する。これに伴い、回転プーリ71のピン76が、矢印A71b方向に設定角度「θ2」移動する。
【0225】
カード処理装置1は、壁面86aからの離間方向への回転プーリ71の回転動作が終了すると(すなわち、回転プーリ71が矢印A71b方向に設定角度「θ2」回転すると)、S235で、モータM2が駆動を停止する。このとき、例えば、図8(b)に示すように、回転プーリ71のピン76が位置P3で停止したとする。
【0226】
この後、カード処理装置1は、カード収納部40を矢印A40b(図4(b)参照)方向に角度「θ1」回動させる。その際に、S240で、モータM1が反転駆動を開始する。このとき、差動プーリ81は、伝達ベルト82の張力を受けて、図8(c)に示すように、矢印A81b方向に角度「θ1」回転する。
【0227】
カード処理装置1は、カード収納部40が角度「θ1」回動すると、S245で、モータM1が駆動を停止する。
【0228】
この後、カード処理装置1は、カード100をカード収納部40の収納室42から第1搬送路21に受け渡す。その際に、S255で、モータM2が反転駆動を開始する。これにより、回転プーリ71が、図8(d)に示すように、矢印A71b方向に回転する。これに伴い、回転プーリ71のピン76が、矢印A71b方向に移動する。そして、ピン76は、図8(d)に示す位置P4に到達すると、溝86の壁面86bと当接し、溝86の壁面86bを回転プーリ71の回転方向に押圧する。その結果、差動プーリ81が、回転プーリ71の回転方向と同じ方向(矢印A81b方向)に回転する。
【0229】
カード処理装置1は、カード100がカード収納部40の収納室42から第1搬送路21に受け渡されると、S265で、モータM2の駆動を停止する。
回転プーリ71及び差動プーリ81は、以上のように動作する。
【0230】
このようなカード処理装置1は、シャフト49上に設けられた駆動伝達部70の伝達部材を第1伝達部材としての回転プーリ71と第2伝達部材としての差動プーリ81とに2分割し、回転プーリ71にピン76を設けるとともに、差動プーリ81に溝86を設けて、ピン76が溝86の壁面86a又は86bを押圧しなければ、搬送部60が動かないように構成されている。
【0231】
係る構成において、差動プーリ81の溝86は、モータM2から回転プーリ71に伝達される搬送駆動力の回転プーリ71から差動プーリ81への伝達を分断する分断領域として機能する。
【0232】
また、差動プーリ81の溝86は、回動部50が溝86の壁面86a(又は、壁面86b)を回転プーリ71のピン76に押し付ける方向にカード収納部40を回動させる場合に、壁面86a(又は、壁面86b)と回転プーリ71のピン76とが当接するのを回避する非接触領域としても機能する。
【0233】
そして、カード処理装置1は、回動部50がカード収納部40を回動させる際に、搬送部60がカード収納部40とともに回動する。このとき、カード処理装置1は、回転プーリ71がモータM2に連結されているため、その回転を規制する負荷がモータM2から回転プーリ71にかかる。そこで、カード処理装置1は、回動部50がカード収納部40を回動させる前に、回転プーリ71のピン76と差動プーリ81の溝86の壁面86a(又は、壁面86b)とを離間させた状態にすることにより、その負荷を回転プーリ71と差動プーリ81との間で分断することができる。
【0234】
したがって、カード処理装置1は、回動部50がカード収納部40を回動させる際に、回転を規制する負荷が回転プーリ71から差動プーリ81に伝達されるのを防止することができる。そのため、カード処理装置1は、カード収納部40に収納されたカード100の位置ずれを防止することができる。
【0235】
また、カード処理装置1は、カード収納部40に収納されたカード100の位置ずれを防止することができるため、カード100の位置を監視する必要がない。そのため、カード処理装置1は、カード100の位置を検知するためのセンサをカード収納部40の内部に設ける必要がない。
【0236】
したがって、カード処理装置1は、カード100の位置を検知する検知動作、及び、検知されたカード100の位置に基づいて、カード100を搬送する搬送動作を行う必要がない。そのため、カード処理装置1は、カード収納部40と搬送路2との間でカード100を受け渡す際の制御を簡素化することができる。
【0237】
また、カード処理装置1は、センサをカード収納部40の内部に設ける必要がないため、センサを用意する手間や費用、センサを装置に取り付ける手間や工数等が不要になる。その結果、カード処理装置1は、製造コストを低減することができる。
【0238】
以上の通り、本実施形態1に係るカード処理装置1によれば、回動部50がカード収納部40を回動させる場合に(特に、差動プーリ81の溝86の壁面86a(又は、壁面86b)を回転プーリ71のピン76に押し付ける方向にカード収納部40を回動させる場合に)、カード収納部40に収納されたカード100の位置ずれを防止することができる。
【0239】
[実施形態2]
本実施形態2に係るカード処理装置1Bは、実施形態1に係るカード処理装置1と比較すると、第2伝達部材に、溝86の代わりに、ピン186が設けられている点で相違している。
【0240】
以下、図9及び図10を参照して、本実施形態2に係るカード処理装置1Bの構成及び動作につき説明する。図9及び図10は、それぞれ、実施形態2に係るカード処理装置の要部の構成及び動作を示す図である。図9は、カード100を第1搬送路21から第2搬送路26に受け渡す場合の、第1伝達部材としての回転プーリ71及び第2伝達部材としての差動プーリ181の動きを示している。また、図10は、カード100を第2搬送路26から第1搬送路21に受け渡す場合の、第1伝達部材としての回転プーリ71及び第2伝達部材としての差動プーリ181の動きを示している。
【0241】
本実施形態2に係るカード処理装置1Bは、第2伝達部材としての差動プーリ181が、第1伝達部材である回転プーリ71と平行に配置されている。そして、図9及び図10に示すように、差動プーリ181は、回転プーリ71との対向面上に、ピン186が設けられている。
【0242】
ピン186は、差動プーリ181の回転プーリ71との対向面上に一体に設けられた突出部である。ピン186は、ピン76と同心円の軌跡200上に設けられている。すなわち、ピン186は、差動プーリ181の中心軸からピン186の中心軸までの距離と回転プーリ71の中心軸からピン76の中心軸までの距離とが等しくなる位置に設けられている。
【0243】
差動プーリ181は、回転プーリ71の回転に伴って、回転プーリ71に設けられたピン76が軌跡200に沿って移動して、ピン76が差動プーリ181設けられたピン186の右側又は左側の壁面に突き当たることによって、回転プーリ71の回転方向と同じ方向に回転する。
【0244】
カード処理装置1Bは、ピン186が実施形態1の溝86と同様の機能を果たすことにより、差動プーリ181が実施形態1の差動プーリ81と同様の動作を行う。そのため、カード処理装置1Bは、実施形態1に係るカード処理装置1と同様の動作(図5及び図7参照)を行う。
【0245】
なお、回転プーリ71のピン76及び差動プーリ181のピン186の動作に注視すると、回転プーリ71及び差動プーリ181は、カード処理装置1Bがカード100を第1搬送路21から第2搬送路26に受け渡す場合に、以下のように動作する。ここでは、図5及び図9を参照して、回転プーリ71及び差動プーリ181の動作を説明する。
【0246】
カード処理装置1Bは、カード100を第1搬送路21からカード収納部40の収納室42に受け渡す。その際に、S115で、モータM2が正転駆動を開始する。これにより、回転プーリ71が、図9(a)に示すように、矢印A71a方向に回転する。これに伴い、回転プーリ71のピン76が、矢印A71a方向に移動する。そして、ピン76は、その左側の壁面がピン186の右側の壁面と当接し、ピン186の右側の壁面を回転プーリ71の回転方向に押圧する。その結果、差動プーリ181が、回転プーリ71の回転方向と同じ方向(矢印A81a方向)に回転する。
【0247】
カード処理装置1Bは、カード100がカード収納部40の収納室42に収納されると、S125で、モータM2が駆動を停止する。このとき、例えば、図9(a)に示すように、回転プーリ71のピン76が位置P101で停止し、また、差動プーリ181のピン186が位置P201で停止したとする。
【0248】
この後、カード処理装置1Bは、カード収納部40を矢印A40a(図4(a)参照)方向に角度「θ1」回動させる。その際に、S140で、モータM1が正転駆動を開始する。このとき、差動プーリ181は、伝達ベルト82の張力を受けて、図9(b)に示すように、矢印A81a方向に角度「θ1」回転する。
【0249】
カード処理装置1Bは、カード収納部40が角度「θ1」回動すると、S145で、モータM1が駆動を停止する。このとき、例えば、図9(b)に示すように、差動プーリ181のピン186が位置P202で停止したとする。
【0250】
この後、カード処理装置1Bは、カード100をカード収納部40の収納室42から第2搬送路26に受け渡す。その際に、S155で、モータM2が反転駆動を開始する。これにより、回転プーリ71が、図9(c)に示すように、矢印A71b方向に回転する。これに伴い、回転プーリ71のピン76が、矢印A71b方向に移動する。そして、ピン76は、図9(c)に示す位置P102に到達すると、その右側の壁面がピン186の左側の壁面と当接し、ピン186の左側の壁面を回転プーリ71の回転方向に押圧する。その結果、差動プーリ181が、回転プーリ71の回転方向と同じ方向(矢印A81b方向)に回転する。
【0251】
カード処理装置1Bは、カード100がカード収納部40の収納室42から第2搬送路26に受け渡されると、S165で、モータM2の駆動を停止する。
回転プーリ71及び差動プーリ181は、以上のように動作する。
【0252】
なお、回転プーリ71のピン76及び差動プーリ181のピン186の動作に注視すると、回転プーリ71及び差動プーリ181は、カード処理装置1Bがカード100を第2搬送路26から第1搬送路21に受け渡す場合に、以下のように動作する。ここでは、図7及び図10を参照して、回転プーリ71及び差動プーリ181の動作を説明する。
【0253】
カード処理装置1Bは、カード100を第2搬送路26からカード収納部40の収納室42に受け渡す。その際に、S215で、モータM2が正転駆動を開始する。これにより、回転プーリ71が、図10(a)に示すように、矢印A71a方向に回転する。これに伴い、回転プーリ71のピン76が、矢印A71a方向に移動する。そして、ピン76は、その左側の壁面がピン186の右側の壁面と当接し、ピン186の右側の壁面を回転プーリ71の回転方向に押圧する。その結果、差動プーリ181が、回転プーリ71の回転方向と同じ方向(矢印A81a方向)に回転する。
【0254】
カード処理装置1Bは、カード100がカード収納部40の収納室42に収納されると、ピン186の右側の壁面からの離間方向への回転プーリ71の回転動作を行う。その際に、S230で、モータM2が反転駆動を開始する。これにより、回転プーリ71が、図10(b)に示すように、矢印A71b方向に設定角度「θ2」回転する。これに伴い、回転プーリ71のピン76が、矢印A71b方向に設定角度「θ2」移動する。
【0255】
カード処理装置1Bは、ピン186の右側の壁面からの離間方向への回転プーリ71の回転動作が終了すると(すなわち、回転プーリ71が矢印A71b方向に設定角度「θ2」回転すると)、S235で、モータM2が駆動を停止する。このとき、例えば、図10(b)に示すように、回転プーリ71のピン76が位置P103で停止したとする。
【0256】
この後、カード処理装置1Bは、カード収納部40を矢印A40b(図4(b)参照)方向に角度「θ1」回動させる。その際に、S240で、モータM1が反転駆動を開始する。このとき、差動プーリ181は、伝達ベルト82の張力を受けて、図10(c)に示すように、矢印A81b方向に角度「θ1」回転する。
【0257】
カード処理装置1Bは、カード収納部40が角度「θ1」回動すると、S245で、モータM1が駆動を停止する。このとき、例えば、図10(c)に示すように、差動プーリ181のピン186が位置P203で停止したとする。
【0258】
この後、カード処理装置1Bは、カード100をカード収納部40の収納室42から第1搬送路21に受け渡す。その際に、S255で、モータM2が反転駆動を開始する。これにより、回転プーリ71が、図10(d)に示すように、矢印A71b方向に回転する。これに伴い、回転プーリ71のピン76が、矢印A71b方向に移動する。そして、ピン76は、図10(d)に示す位置P104に到達すると、その右側の壁面がピン186の左側の壁面と当接し、ピン186の左側の壁面を回転プーリ71の回転方向に押圧する。その結果、差動プーリ181が、回転プーリ71の回転方向と同じ方向(矢印A81b方向)に回転する。
【0259】
カード処理装置1Bは、カード100がカード収納部40の収納室42から第1搬送路21に受け渡されると、S265で、モータM2の駆動を停止する。
回転プーリ71及び差動プーリ181は、以上のように動作する。
【0260】
このようなカード処理装置1Bは、実施形態1に係るカード処理装置1と同様の効果を得ることができる。すなわち、カード処理装置1Bは、回動部50がカード収納部40を回動させる場合に(特に、差動プーリ181のピン186を回転プーリ71のピン76に押し付ける方向にカード収納部40を回動させる場合に)、カード収納部40に収納されたカード100の位置ずれを防止することができる。
【0261】
以上の通り、本実施形態2に係るカード処理装置1Bによれば、実施形態1に係るカード処理装置1と同様に、回動部50がカード収納部40を回動させる場合に(特に、差動プーリ181のピン186を回転プーリ71のピン76に押し付ける方向にカード収納部40を回動させる場合に)、カード収納部40に収納されたカード100の位置ずれを防止することができる。
【0262】
しかも、本実施形態2に係るカード処理装置1Bによれば、実施形態1に係るカード処理装置1に比べて、第1伝達部材及び第2伝達部材に同じ構成のプーリを用いることができるため、製造コストを低減することができる。
【0263】
本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。
例えば、本発明は、交通機関の定期券以外のカードの搬送や発行を行うカード処理装置に利用することができる。
また、例えば、第1搬送路21と第2搬送路26との間の角度θ1は、45°に限らず、任意の角度に変更することができる。また、角度θAや角度αも、任意の角度に変更することができる。
【0264】
また、例えば、カード処理装置1は、図1に示すように、カード収納部40の収納室44の両側に2つの収納開口部44を設け、第1搬送路21と第2搬送路26との間でカード100を受け渡す際に、カード収納部40の回動角度を「(θ1+180°)」にして受け渡すことにより、カード100の一方の端部を常に搬送方向の先端にして搬送することができる。
また、例えば、カード処理装置1は、プーリとベルトとの組み合わせの代わりに、ギヤを用いることができる。
また、例えば、実施形態1及び実施形態2のピン76や実施形態2のピン186の断面形状は、円以外の形状にすることができる。
【符号の説明】
【0265】
1 媒体処理装置(カード処理装置)
2(21,26) 搬送路
9 制御部
21a,21b 第1搬送ガイド
22 開口部(第1開口部)
23 第1搬送ローラ
26a,26b 第2搬送ガイド
27 開口部(第2開口部)
28 第2搬送ローラ
40 媒体収納部(カード収納部)
41(41A,41B,41R,41L) フレーム
42 収納室
43a アッパガイド
43b ロアガイド
44 開口部(収納開口部)
49(49a,49b) シャフト(回転支点)
50 回動部
51 回転プーリ
52 駆動ベルト
60 搬送部
61 搬送ベルト
62 駆動プーリ
63 従動プーリ
64 駆動シャフト
65 従動シャフト
66a,66b 押圧ローラ
67a,67b 押圧スプリング
70 駆動伝達部
71 回転プーリ(第1伝達部材)
72 駆動ベルト
76,186 ピン(押圧部)
81,181 差動プーリ(第2伝達部材)
82 伝達ベルト
86 溝(分断領域)
86a,86b 壁面(被押圧部)
89 伝達プーリ
M1 モータ(回動駆動源)
M2 モータ(搬送駆動源)
MP1 モータプーリ
MP2 モータプーリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を内部に収納した状態で回転支点を中心にして回動する媒体収納部を介して、当該媒体収納部の周囲に配置された複数の搬送路間で当該媒体の受け渡しを行う媒体処理装置において、
前記回転支点を中心にして前記媒体収納部を回動させる回動部と、
前記媒体と当接する部分が前記媒体収納部の内部に配置され、前記媒体収納部の外部から内部の方向への前記媒体の搬送及び前記媒体収納部の内部から外部の方向への前記媒体の搬送を行う搬送部と、
搬送駆動力を生成する搬送駆動源と、
前記搬送駆動力を前記搬送部に伝達する駆動伝達部とを有し、
前記駆動伝達部は、それぞれ、前記回転支点を中心にして回転する第1伝達部材と第2伝達部材とを備えており、
前記第1伝達部材は、前記搬送駆動源に連結されており、前記搬送駆動源からの前記搬送駆動力を受けて、前記回転支点を中心にして回転し、
前記第2伝達部材は、前記搬送部に連結されており、前記第1伝達部材の回転に伴って、その一部が前記第1伝達部材と離間した離間状態から前記第1伝達部材と当接した当接状態に変化することにより、前記回転支点を中心にして前記第1伝達部材と同じ方向に回転して、前記搬送駆動源からの前記搬送駆動力を前記搬送部に伝達する
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体処理装置において、
前記搬送部は、前記回動部による前記媒体収納部の回動時に、前記媒体収納部とともに、前記回転支点を中心にして回動し、
前記第2伝達部材は、前記離間状態になっている場合で、かつ、前記搬送部が回動した場合に、前記搬送部と同じ方向に回転して、前記媒体収納部に対して相対的に停止した状態になることにより、前記搬送部の搬送を停止させたままの状態に維持する
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の媒体処理装置において、
前記駆動伝達部は、
前記第1伝達部材及び前記第2伝達部材が前記離間状態になっている場合に、前記搬送駆動力及び前記搬送駆動源から前記第1伝達部材にかかる負荷に対して、前記第1伝達部材から前記第2伝達部材への伝達を分断して、前記搬送部を停止させ、
一方、前記第1伝達部材及び前記第2伝達部材が前記当接状態になっている場合に、前記搬送駆動力を前記第1伝達部材から前記第2伝達部材に伝達して、前記搬送部を駆動させる
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の媒体処理装置において、
前記搬送駆動源は、
前記第1伝達部材の前記第2伝達部材と当接する部分を押圧部とし、前記第2伝達部材の前記第1伝達部材と当接する部分を被押圧部とし、
前記第1伝達部材及び前記第2伝達部材が前記当接状態になっている場合で、かつ、前記回動部が前記被押圧部を前記押圧部に押し付ける方向に前記媒体収納部を回動させるときに、
前記回動部が前記媒体収納部を回動させる前に、予め設定された設定角度だけ、前記押圧部と前記被押圧部とを離間させる方向に、前記第1伝達部材を回転させて、前記第1伝達部材及び前記第2伝達部材を前記離間状態にする
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の媒体処理装置において、
前記設定角度は、前記回転支点を中心とする、前記媒体の受け渡しを行う2つの前記搬送路間の配置角度に、予め定められた誤差許容角度を加算した角度である
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の媒体処理装置において、
前記押圧部は、前記第1伝達部材の前記対向面上に設けられたピンによって構成されており、
前記被押圧部は、前記第2伝達部材の前記対向面上に形成された溝の端部の壁面によって構成されており、
前記溝は、前記回転支点を中心にして、円弧状に形成されており、かつ、その内部に前記ピンが移動自在に嵌まり込む
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の媒体処理装置において、
前記溝は、前記搬送駆動力及び前記搬送駆動源から前記第1伝達部材にかかる負荷に対して、前記第1伝達部材から前記第2伝達部材への伝達を分断する分断領域として機能する
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項8】
請求項4又は請求項5に記載の媒体処理装置において、
前記押圧部は、前記第1伝達部材の前記対向面上に設けられた第1ピンによって構成されており、
前記被押圧部は、前記第2伝達部材の前記対向面上に前記第1ピンに対向して設けられた第2ピンによって構成されている
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の媒体処理装置において、
前記第1ピン及び前記第2ピンが離間している場合に、前記第1ピンと前記第2ピンとの間の空間は、前記搬送駆動力及び前記搬送駆動源から前記第1伝達部材にかかる負荷に対して、前記第1伝達部材から前記第2伝達部材への伝達を分断する分断領域として機能する
ことを特徴とする媒体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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