説明

媒体鑑別装置及び媒体取引装置

【課題】媒体からの磁気の検出精度を高め得るようにする。
【解決手段】現金自動預払機1の鑑別部13は、磁気検出部26において、樹脂材料でなる押付部35に軸受35Aを穿設し、当該軸受35Aにより、紙幣BLを磁気センサ34の下面に押し付けるガイドローラ36の軸36Aを回転自在に支持するようにした。ガイドローラ36は、紙幣BLが搬送路24を走行することに伴い回転するものの、軸受35Aが樹脂材料により構成され動部品を有さず、軸36Aが非磁性材料で構成されるため、その回転に伴い周囲の磁場を変化させることがない。これにより磁気検出部26では、回転するガイドローラ36によって周囲の磁場を変化させることがなく、当該ガイドローラ36の近傍に位置する磁気センサ34の磁気ヘッド34Aにより紙幣BLの磁気を精度良く読み取ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は媒体鑑別装置及び媒体取引装置に関し、例えば紙幣等の媒体を投入して所望の取引を行う現金自動預払機(ATM)等に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関等で使用される現金自動預払機等においては、顧客との取引内容に応じて、例えば顧客に紙幣や硬貨等の現金を入金させ、また顧客へ現金を出金するようになされている。
【0003】
現金自動預払機としては、例えば顧客との間で紙幣の授受を行う紙幣入出金口と、投入された紙幣の金種及び真偽を鑑別する鑑別部と、投入された紙幣を一時的に保留する一時保留部と、金種ごとに紙幣を格納する金種カセットとを有するものが提案されている。
【0004】
この現金自動預払機は、入金取引において、顧客が紙幣入出金口に紙幣を投入すると、投入された紙幣を鑑別部で鑑別し、正常紙幣と鑑別された紙幣を一時保留部で保留する一方、取引すべきでないと鑑別された紙幣を紙幣入出金口へ戻して顧客に返却する。続いて現金自動預払機は、顧客により入金金額が確定されると、一時保留部に保留した紙幣を鑑別部により金種を再鑑別し、鑑別された金種に応じてカセットへ収納する。
【0005】
ところで紙幣のなかには、所定箇所に磁気インクを印刷されたものがある。そこで鑑別部として、磁気センサを用いてこの磁気インクから磁気を検出することにより、紙幣の種類や真偽等を判別するようになされたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−198337公報(第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、かかる構成の現金自動預払機1における鑑別部では、磁気センサに当接させるように紙幣を搬送させるべく、当該磁気センサの近傍にガイドローラ等が配置される。このガイドローラには、耐久性やコスト等の観点から、金属製の材料、特に磁性体で構成されたボールベアリングでなる軸受を用いる場合が多い。
【0008】
しかしながら磁性体でなる軸受は、例えば鑑別部の組立作業や保守作業の際に、磁気を帯びてしまう場合がある。
【0009】
この場合、軸受は、ガイドローラの回転に伴い周囲の磁場を変化させることになる。これにより磁気センサは、変化する磁場をノイズとして検出してしまい、紙幣の磁気を検出する精度を低下させてしまう、という問題があった。
【0010】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、媒体からの磁気の検出精度を高め得る媒体鑑別装置及び媒体取引装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる課題を解決するため本発明の媒体鑑別装置においては、磁気ヘッドにより媒体から磁気を検出する磁気検出部と、磁気ヘッドの近傍に配置され、当該磁気ヘッドに媒体を当接させながら搬送するよう媒体に当接して回転するローラと、磁性材料部品の回転を伴わずに当接ローラを回転自在に支持する軸受と、磁気ヘッドによる磁気の検出結果を基に媒体を鑑別する鑑別制御部とを設けるようにした。
【0012】
これにより、ローラにより媒体を搬送しながら磁気検出部の磁気ヘッドに媒体を当接させ得ると共に、当該ローラの回転に伴い磁場を変化させる恐れを排除でき、磁気ヘッドに及ぼす磁場変化の影響を格段に減少させることができる。
【0013】
また本発明の媒体取引装置においては、媒体に関する取引を受け付ける受付部と、受付部により受け付けた媒体を搬送する搬送部と、搬送部から搬送されてきた媒体の磁気を磁気ヘッドにより検出する磁気検出部と、磁気ヘッドの近傍に配置され、当該磁気ヘッドに媒体を当接させながら搬送するよう媒体に当接して回転するローラと、磁性材料部品の回転を伴わずに当接ローラを回転自在に支持する軸受と、磁気ヘッドによる磁気の検出結果を基に媒体を鑑別する鑑別制御部とを設けるようにした。
【0014】
これにより、ローラにより媒体を搬送しながら磁気検出部の磁気ヘッドに媒体を当接させ得ると共に、当該ローラの回転に伴い磁場を変化させる恐れを排除でき、磁気ヘッドに及ぼす磁場変化の影響を格段に減少させることができる。
【0015】
さらに本発明の媒体鑑別装置においては、磁気ヘッドにより媒体から磁気を検出する磁気検出部と、円環状に形成されると共に磁気ヘッドの近傍に配置され、当該磁気ヘッドに媒体を当接させながら搬送するよう媒体に当接して回転するローラと、磁性材料により構成されたボールベアリングでなると共にローラの内周に取り付けられ、ローラを回転自在に支持する軸受と、磁気ヘッドによる磁気の検出結果を基に媒体を鑑別する鑑別制御部とを設けるようにした。
【0016】
これにより、ローラにより媒体を搬送しながら磁気検出部の磁気ヘッドに媒体を当接させ得ると共に、当該ローラの回転に伴い磁場を変化させる恐れが有る軸受をローラの厚さだけ遠ざけることができ、磁気ヘッドに及ぼす磁場変化の影響を格段に減少させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ローラにより媒体を搬送しながら磁気検出部の磁気ヘッドに媒体を当接させ得ると共に、当該ローラの回転に伴い磁場を変化させる恐れを排除でき、磁気ヘッドに及ぼす磁場変化の影響を格段に減少させることができる。また本発明によれば、ローラにより媒体を搬送しながら磁気検出部の磁気ヘッドに媒体を当接させ得ると共に、当該ローラの回転に伴い磁場を変化させる恐れが有る軸受をローラの厚さだけ遠ざけることができ、磁気ヘッドに及ぼす磁場変化の影響を格段に減少させることができる。かくして本発明は、媒体からの磁気の検出精度を高め得る媒体鑑別装置及び媒体取引装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】現金自動預払機の外観構成を示す略線的斜視図である。
【図2】現金自動預払機の内部構成を示す略線図である。
【図3】鑑別部の構成(1)を示す略線図である。
【図4】鑑別部の構成(2)を示す略線図である。
【図5】第1の実施の形態によるテンションローラの構成を示す略線図である。
【図6】第1の実施の形態による磁気検出部の構成を示す略線図である。
【図7】第2の実施の形態によるテンションローラの構成を示す略線図である。
【図8】第4の実施の形態によるテンションローラの構成を示す略線図である。
【図9】第5の実施の形態による磁気検出部の構成を示す略線図である。
【図10】第6の実施の形態による磁気検出部の構成を示す略線図である。
【図11】他の実施の形態による磁気検出部の構成を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0020】
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動預払機の全体構成]
図1に外観を示すように、現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、顧客との間で現金に関する取引を行うようになされている。
【0021】
筐体2は、その前面2A側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所、すなわち前面2Aの上部から上面に渡る箇所に、接客部3が設けられている。
【0022】
接客部3は、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになされており、硬貨入出金口4、紙幣入出金口5、通帳挿入口6、カード挿入口7及び表示操作部8が設けられている。
【0023】
硬貨入出金口4及び紙幣入出金口5は、顧客が入金する硬貨及び紙幣BLがそれぞれ投入されると共に、顧客へ出金する硬貨及び紙幣BLがそれぞれ排出される部分である。また硬貨入出金口4及び紙幣入出金口5は、それぞれに設けられたシャッタを駆動することにより開放又は閉塞するようになされている。因みに紙幣BLは、例えば長方形の紙で構成されている。
【0024】
通帳挿入口6は、取引で使用される通帳が挿入され、取引が終了すると通帳が排出される部分である。この通帳挿入口6の奥部には、取引内容等を通帳に記録する通帳処理部(図示せず)が設けられている。
【0025】
カード挿入口7は、キャッシュカード等の各種カードが挿入または排出される部分である。カード挿入口7の奥部には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。
【0026】
表示操作部8は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチパネルとが一体化されている。
【0027】
因みに筐体2は、前面2A側やその反対側(すなわち背面側)等の一部の側面が開閉可能な扉により構成されている。すなわち筐体2は、顧客との間で現金に関する取引を行う取引動作時には、各扉を閉塞することにより、内部に保有している紙幣BLや硬貨等を保護する。一方筐体2は、作業者等が保守作業を行う保守作業時には、必要に応じて各扉を開放することにより、内部の各部に対する作業を容易に行わせ得る。
【0028】
以下では、現金自動預払機1の前面2A側となる前側及びその反対の後側、当該前面2A側に対峙した顧客から見て左及び右となる左側及び右側、並びに上側及び下側を定義して説明する。
【0029】
図2は、図1の現金自動預払機1を矢印A方向から見た側面図であり、当該現金自動預払機1の内部構成のうち主に紙幣BLの処理に関する部分を示している。同図に示したように、現金自動預払機1の内部には、上側に接客部3、紙幣BLの金種や真偽を判定する鑑別部13及び入金された紙幣BLを一時的に保留する一時保留部14等が設けられており、下側に紙幣BLを金種別に貯蔵する紙幣貯蔵部15等が設けられている。
【0030】
また現金自動預払機1の内部には、図中太線で示す搬送路に沿って各部の間で紙幣BLを搬送する搬送部12が設けられている。搬送部12は、図示しないモータ、ギヤ、プーリやベルト等で構成されており、紙幣BLの短辺方向を進行方向として搬送するようになされている。
【0031】
因みに現金自動預払機1の内部では、搬送部12において紙幣BLを搬送するモータや、当該搬送路を切り替えるためのソレノイド、或いは各種冷却ファン等(いずれも図示せず)といった磁気ノイズを発生する部品の殆どが、鑑別部13の上下中央よりも上側に配置されている。
【0032】
この現金自動預払機1は、制御部10により全体を統括制御するようになされている。制御部10は、例えば顧客が紙幣BLを入金する入金取引を行う場合、表示操作部8(図1)を介して所定の操作入力を受け付けた後、紙幣入出金口5のシャッタを開いて紙幣BLを投入させる。
【0033】
続いて制御部10は、投入された紙幣BLを搬送部12を介して鑑別部13へ搬送して鑑別させ、正常紙幣と鑑別された紙幣BLを一時保留部14へ搬送して一時的に保留する一方、取引すべきでないと鑑別された紙幣BLを紙幣入出金口5へ搬送して顧客に返却する。
【0034】
その後制御部10は、表示操作部8を介して顧客に入金金額を確定させ、一時保留部14に保留している紙幣BLを再び鑑別部13へ搬送して金種を再鑑別させた後、さらに紙幣貯蔵部15へ搬送する。
【0035】
紙幣貯蔵部15は、鑑別部13により損傷していないと鑑別された紙幣BLを、その金種に対応した各紙幣収納庫16へ搬送し、厚さ方向に重ねて集積するように収納させる。また紙幣貯蔵部15は、鑑別部13により損傷していると鑑別されたた紙幣BLをリジェクト庫17へ搬送し、厚さ方向に重ねて集積するように収納させる。
【0036】
このように現金自動預払機1は、紙幣BLの入金処理又は出金処理において、鑑別部13により当該紙幣BLの鑑別処理を実行し、その結果に応じて搬送先を決定して搬送部12によりこの搬送先へ当該紙幣BLを搬送するようになされている。
【0037】
[1−2.鑑別部の構成]
鑑別部13は、図3に左側面図を示すように、直方体状の筐体21内において、上側の上部ユニット22と下側の下部ユニット23との間に搬送路24を形成しており、この搬送路24に沿って紙幣BLを前方向又は後方向へ走行させながら、制御部20の制御に基づき当該紙幣BLの鑑別処理を行うようになされている。
【0038】
また鑑別部13には、筐体21内を後側から前側へ向かうように、第1搬送部25、磁気検出部26、第2搬送部27、光学検出部28及び厚み検出部29といった各モジュールが順次配置されている。
【0039】
因みに図3では、説明の都合上、筐体21の左側面板を省略し内部の各部品を模式的に表している。
【0040】
鑑別部13では、現金自動預払機1内における設置箇所の制約や、短辺方向に沿って搬送される紙幣BLを確実に受け渡すための制約等により、各モジュールが互いに前後方向に近接して配置されている。
【0041】
[1−2−1.第1搬送部の構成]
第1搬送部25は、搬送路24の下側に配置された搬送ローラ31と、当該搬送路24の上側に配置された軸32及びテンションローラ33とにより構成されている。
【0042】
搬送ローラ31は、左右に細長い円柱状でなる軸31Aにより複数の円環状のゴムローラ31Bを貫通した構成となっている。
【0043】
軸31Aは、非磁性のステンレス材料でなり、図示しない駆動モータや当該駆動モータと歯合された駆動ギヤ等を介して駆動力が伝達されることにより、左右に沿った回転軸を中心に、双方向に回転し得るようになされている。このため搬送ローラ31では、軸31A及びゴムローラ31Bが一体に回転することになる。
【0044】
軸32は、軸31Aと同様に左右に細長い円柱状に構成されると共に、筐体21に対し上下方向へ揺動可能に保持されており、図示しないスプリングにより下方向へ付勢されている。因みにこの軸32は、軸31Aと異なり、回転しないようになされている。
【0045】
テンションローラ33は、全体として円環状に形成され、その中心に軸32が貫通している。また図4に平面図を示すように、軸32には、左右方向に所定間隔ずつ離れるように5個のテンションローラ33が設けられている。因みに搬送ローラ31のゴムローラ31Bは、テンションローラ33と対向する箇所に設けられている。
【0046】
テンションローラ33は、図5に拡大した側面図を示すように、内輪33A、ボール33B及び外輪33Cが組み合わされており、いわゆるボールベアリングと同様に構成されている。内輪33A、ボール33B及び外輪33Cは、いずれも磁性を有する金属材料により構成されている。また内輪33Aは、軸32に固定されている。
【0047】
このテンションローラ33は、一般的なボールベアリングと同様、ボール33Bの転がり抵抗が極めて小さくなるため、軸32及び内輪33Aに対し外輪33Cを円滑に回転させることができる。
【0048】
かかる構成により第1搬送部25は、テンションローラ33を搬送ローラ31に押し付け、両者の間である搬送路24に紙幣BLが有る場合、テンションローラ33の外輪33Cを円滑に回転させながら、搬送ローラ31の回転駆動力をこの紙幣BLに伝達することができる。
【0049】
これにより第1搬送部25は、搬送路24に沿って前方向又は後方向へ紙幣BLを搬送することができる。
【0050】
[1−2−2.磁気検出部の構成]
磁気検出部26(図3)は、搬送路24の上側に配置された磁気センサ34と、当該搬送路24の下側に配置された押付部35及びガイドローラ36とにより構成されている。
【0051】
磁気センサ34は、図3及び図4に示したように、左右方向に長い直方体状に構成されており、その下面に磁気ヘッド34Aが設けられている。因みに磁気センサ34内には、左右方向の複数箇所に磁気ヘッド34Aが配置されている。
【0052】
磁気センサ34は、搬送路24を搬送される紙幣BLの磁気を磁気ヘッド34Aにより検出し、その検出結果を制御部20へ送出するようになされている。
【0053】
押付部35は、図6に正面図を示すように、磁気センサ34の下方における左右の端部にそれぞれ設けられている。押付部35は、所定の樹脂材料により、左右に薄い直方体状に形成されている。
【0054】
押付部35は、図示しないフレームにより上下方向へ移動可能に支持されると共に、下面にスプリング35Bが設けられている。スプリング35Bは、その下端が筐体20に固定されると共に自然状態から圧縮されており、その復元力により押付部35を上方へ付勢するようになされている。これにより押付部35は、その上面を磁気センサ34の下面に押し付けることになる。
【0055】
また押付部35の左右方向から見てほぼ中心となる箇所には、左右方向に貫通された丸孔状の軸受35Aが形成されている。軸受35Aの内周面は、滑らかに形成されており、いわゆる樹脂軸受(樹脂ベアリング)として機能するようになされている。
【0056】
押付部35の軸受35Aには、左右に細長い円柱状の軸36Aが左右方向に挿通されている。軸36Aは、非磁性のステンレス材料で構成されており、その外径が軸受35Aの孔径よりも僅かに小さくなっている。また軸36Aは、軸31Aと同様、図示しない駆動モータや当該駆動モータと歯合された駆動ギヤ等を介して駆動力が伝達されることにより、双方向へ回転するようになされている。
【0057】
軸36Aには、ゴムローラ31Bと同様に円環状に形成されたガイドローラ36が複数貫通され、固定されている。このためガイドローラ36は、軸受35Aに対し、軸36Aと一体に円滑に回転することができる。
【0058】
また押付部35は、ガイドローラ36の上端が当該押付部35の上面から紙幣BL1枚の厚さとほぼ同等の間隔Gだけ下方に位置するよう、各部の長さや間隔等が適切に設計されている。
【0059】
すなわち磁気検出部26では、押付部35が磁気センサ34の下面に当接すると、当該磁気センサ34の下面とガイドローラ36の上端との間を間隔Gに合わせることができる。
【0060】
かかる構成により磁気検出部26は、搬送路24に沿って紙幣BLが前側又は後側から搬送されてきた場合、ガイドローラ36により当該紙幣BLを磁気センサ34の下面に押し付け、走行する紙幣BLに追従して当該ガイドローラ36を回転させながら、磁気センサ34の磁気ヘッド34Aにより当該紙幣BLの磁気を検出するようになされている。
【0061】
このとき押付部35は、磁気センサ34の下面とガイドローラ36の上端との間を間隔Gに合わせるため、紙幣BLの有無に関わらずほぼ一定の高さを維持することができ、磁気センサ34に殆ど振動を加えることがない。
【0062】
[1−2−3.第2搬送部の構成]
第2搬送部27(図3)は、第1搬送部25の搬送ローラ31、軸32及びテンションローラ33とそれぞれ対応する搬送ローラ37、軸38及びテンションローラ39により構成されている。
【0063】
図4に示したように、軸38は軸32と同様に左右に細長い円柱状に形成されているものの、左右方向の長さが軸32の約半分となっており、左右に2本並べて配置されている。また軸38は、軸32と同様、筐体21に対し上下方向へ揺動可能に保持されると共に図示しないスプリングにより下方向へ付勢され、また回転しないようになされている。
【0064】
軸38には、テンションローラ39がそれぞれ2個ずつ設けられている。テンションローラ39は、テンションローラ33(図5)と同様、いわゆるボールベアリングと同様に構成されている。
【0065】
搬送ローラ37は、搬送ローラ31と同様に構成されているものの、ゴムローラ31Bと対応するゴムローラ37Bの数及び左右方向に関する配置が異なっている。すなわちゴムローラ37Bは、軸37A上におけるテンションローラ39と同数の4個が、当該テンションローラ39とそれぞれ対応する位置に配置されている。
【0066】
かかる構成により第2搬送部27は、第1搬送部25と同様、テンションローラ39を搬送ローラ37に押し付け、両者の間である搬送路24に紙幣BLが挟まれている場合、テンションローラ39の外輪を円滑に回転させながら、搬送ローラ37の回転駆動力をこの紙幣BLに伝達することができる。
【0067】
これにより第2搬送部27は、第1搬送部25と同様、紙幣BLを搬送路24に沿って前方向又は後方向へ搬送することができる。
【0068】
[1−2−4.光学検出部の構成]
光学検出部28(図3)は、上側の発光部28Aと下側の受光部28Bにより構成されている。発光部28Aは、下方向へ向けて所定の照射光を照射する。この照射光は、紙幣BLのインクや透かし等に応じて、その一部が当該紙幣BLを透過する。
【0069】
受光部28Bは、上方向からの光、すなわち発光部28Aからの照射光のうち紙幣BLを部分的に透過してなる透過光を受光し、その受光結果を制御部20へ送出する。この透過光は、紙幣BLにおける光の透過パターンを表すことになる。
【0070】
かかる構成により光学検出部28は、紙幣BLの透過パターンを検出し、その検出結果を制御部20へ供給することができる。
【0071】
因みに光学検出部28の発光部28A及び受光部28Bは、いずれも周囲からの磁場の変化の影響を殆ど受けることなく照射光を発光し、また受光することができる。また発光部28A及び受光部28Bは、いずれも可動する部品を有していない。
【0072】
[1−2−5.厚み検出部の構成]
厚み検出部29(図3)は、搬送路24の下側に配置された基準ローラ41と、当該搬送路24の上側に配置された厚み検知ローラ42とを中心に構成されている。
【0073】
基準ローラ41は、磁性を有する所定の金属材料でなり、全体として左右に長い円筒状に形成され、細長い円柱状の軸41Aにより左右方向に貫通されている。この軸41Aは、厚み検出部29の筐体29Aにより回転自在に支持されている。
【0074】
厚み検出ローラ42は、基準ローラ41と同様に磁性を有する所定の金属材料でなり左右に長い円筒状に形成され、さらに細長い円柱状の軸42Aにより左右方向に貫通されている。この厚み検出ローラ42は、ブラケット43に取り付けられている。
【0075】
ブラケット43は、上下に薄く左右に細長い薄板状の金属材料でなり、その天板における左右の端部がそれぞれ下方へ折り曲げられることにより側板を形成しており、左右の側板における前側に、軸42Aと対応する孔径の軸孔が穿設されている。
【0076】
ブラケット43は、左右の側板における軸孔に軸42Aを挿通させることにより、厚み検出ローラ42を基準ローラ41のほぼ真上となる位置において回転自在に保持するようになされている。
【0077】
またブラケット43は、左右の側板における軸孔よりも後方に回動孔が穿設されており、筐体29Aに対し小さな円柱状の回動軸44を介して回動自在に取り付けられている。このためブラケット43は、回動軸44を回動中心として回動することにより、厚み検出ローラ42を上下に変位させることができる。
【0078】
ブラケット43の天板と筐体29Aの天板部分との間には、コイルばねでなるスプリング45が自然状態から圧縮された状態で取り付けられている。
【0079】
スプリング45は、自然状態への復元力が作用することにより、筐体29Aに対しブラケット43の天井板を下方向へ押し付け、当該ブラケット43における左右の側板を介して厚み検知ローラ42を下方向へ、すなわち基準ローラ41へ向けて押し付ける。
【0080】
また筐体29A内におけるブラケット43の上方には、変位センサ46が設けられている。変位センサ46は、厚み検知ローラ42が基準ローラ41へ当接するときの位置を基準とし、ブラケット43の天板における相対的な変位量を検出して、その検出結果を制御部20(図示せず)へ送出するようになされている。
【0081】
制御部20は、この検出結果を基に、変位量が紙幣BL1枚分又は複数枚分のいずれに相当するかを判定する。
【0082】
かかる構成により厚み検出部29では、搬送路24に何も搬送されていない場合、スプリング45の作用により厚み検知ローラ42を基準ローラ41に当接させる。このとき厚み検出部29は、変位センサ46によりブラケット43及び厚み検知ローラ42が基準となる高さに位置していることを検出し、その検出結果を制御部20へ送出することができる。
【0083】
その一方で厚み検出部29では、搬送路24に紙幣BLが搬送されている場合、厚み検出ローラ42と基準ローラ41との間に当該紙幣BLを挟持するため、当該紙幣BLの厚さに応じてブラケット43及び厚み検知ローラ42が上方向へ変位する。このとき厚み検出部29は、変位センサ46によりブラケット43及び厚み検知ローラ42の変位量を検出し、その検出結果を制御部20へ送出することができる。
【0084】
[1−3.動作及び効果]
以上の構成において、現金自動預払機1の鑑別部13は、磁気検出部26の押付部35を樹脂材料により構成すると共に丸孔状の軸受35Aを形成し、当該軸受35Aにガイドローラ36の軸36Aを挿通させた。
【0085】
押付部35は、軸受35Aにより軸36Aを介してガイドローラ36を回転可能に支持し、当該ガイドローラ36を介して、搬送路24を走行する紙幣BLを磁気センサ34の下面に押し付ける。
【0086】
このときガイドローラ36は、軸36Aと共に回転駆動されるが、樹脂ベアリングとして作用する軸受35Aにより円滑に回転することができ、紙幣BLを搬送しながら磁気センサ34の下面に押し付け続けることができる。
【0087】
これにより磁気センサ34の磁気ヘッド34Aは、走行する紙幣BLに当接し続けることができるので、当該紙幣BLの磁気を安定して読み取ることができる。
【0088】
特に鑑別部13の磁気検出部26では、樹脂材料でなる押付部35に穿設した丸孔により、可動部分を有しない軸受35Aを構成した。また当該軸受35Aに挿通される軸36Aは、非磁性のステンレス材料により構成されている。
【0089】
これにより磁気検出部26では、従来のボールベアリングを用いた構成において部品が磁化された場合に生じ得た、ガイドローラ36の回転に伴う磁界の変化を原理的に排除することができる。
【0090】
すなわち鑑別部13の磁気検出部26では、磁気ヘッド34Aのごく近傍においてガイドローラ36が回転するものの、その回転によって周囲の磁場を変化させることがない。このため磁気センサ34は、磁気ヘッド34Aにより磁場の変化に起因したノイズを検出することなく紙幣BLの磁気を精度良く読み取ることができる。
【0091】
さらに磁気検出部26では、軸受35A及び軸36Aによりいわゆる樹脂ベアリングを構成したため、ガイドローラ36が回転する際に発生する振動を、従来のボールベアリングを用いた場合よりも抑制することができる。
【0092】
これにより磁気検出部26は、磁気センサ34において振動に起因して発生し得るピエゾノイズを大幅に減少させることができ、紙幣BLからの磁気の読み取り精度を格段に高めることができる。
【0093】
またテンションローラ33は、ボールベアリングとして構成されており、回転時に摩擦抵抗ではなく転がり抵抗が生じるため、耐摩耗性が高く、長期間にわたって安定して紙幣BLを搬送でき、保守作業等の工数や交換部品のコスト等を削減することができる。
【0094】
また磁気検出部26では、押付部35の上面とガイドローラ36の上端との間を1枚の紙幣BLにおける標準的な厚さと同等な間隔Gに合わせたため、磁気センサ34の下面とガイドローラ36の上端との間における紙幣BLの有無に関わらず、当該ガイドローラ36の高さを殆ど変化させることが無い。
【0095】
すなわち磁気検出部26では、ガイドローラ36と磁気センサ34との間を紙幣BLが搬送されている場合にも、当該押付部35を当該磁気センサ34の下面に殆ど当接させたままとすることができるので、押付部35から磁気センサ34に殆ど振動を加えることが無く、いわゆるピエゾノイズの発生を格段に減少させることができる。
【0096】
ところで鑑別部13の厚み検出部29では、搬送されている紙幣BLの厚みを精度良く検出するべく、変形しやすい樹脂材料ではなく、変形し難い金属材料により構成された
基準ローラ41及び厚み検出ローラ42が用いられている。
【0097】
このような金属材料のローラは、従来のボールベアリングと同様、磁化されていた場合に、回転により周囲の磁場を変化させてしまう恐れがある。また鑑別部13については、このような磁場の変化を防止するべく、磁化の有無についての検査作業や、磁化されていた場合の消磁作業等により、組立作業や保守作業の工数が増加してしまう問題もある。
【0098】
一方、鑑別部13の光学検出部28は、上述したように、紙幣BLの搬送に伴って可動する部分が無く、周囲の磁場を変化させる恐れがない。また一般に、磁場の発生源からの影響は、当該発生源からの距離が大きくなるに連れて、その影響が小さくなることが知られている。
【0099】
このような特性を考慮し、鑑別部13では、前後方向に関し磁気検出部26と厚み検出部29との間に光学検出部28を配置することにより、両者を物理的に離隔させるようにした。
【0100】
また光学検出部28には、その筐体等に少なからず磁性材料が用いられているため、ある程度磁気を遮蔽する効果も期待できる。
【0101】
これにより鑑別部13では、厚み検出部29による磁場の変化の影響を磁気検出部26の磁気センサ34にまで極力到達させないようにすることができ、当該磁気センサ34における磁気の検出精度の低下を未然に防止することができる。
【0102】
以上の構成によれば、現金自動預払機1の鑑別部13は、磁気検出部26において、樹脂材料でなる押付部35に軸受35Aを穿設し、当該軸受35Aにより、紙幣BLを磁気センサ34の下面に押し付けるガイドローラ36の軸36Aを回転自在に支持するようにした。ガイドローラ36は、紙幣BLが搬送路24を走行することに伴い回転するものの、軸受35Aが樹脂材料により構成され可動部品を有さず、軸36Aが非磁性材料で構成されるため、その回転に伴い周囲の磁場を変化させることがない。これにより磁気検出部26では、回転するガイドローラ36によって周囲の磁場を変化させることがなく、当該ガイドローラ36の近傍に位置する磁気センサ34の磁気ヘッド34Aにより紙幣BLの磁気を精度良く読み取ることができる。
【0103】
[2.第2の実施の形態]
第2の実施の形態による現金自動預払機101は、第1の実施の形態による現金自動預払機1(図1、図2)と比較して、鑑別部13に代わる鑑別部113を有する点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0104】
[2−1.鑑別部の構成]
鑑別部113は、第1の実施の形態による鑑別部13と比較して、第1搬送部25及び第2搬送部27に代わる第1搬送部125及び第2搬送部127を有する点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0105】
第1搬送部125は、図5と対応する図7に示すように、テンションローラ33に代わるテンションローラ133を有する点が相違するものの、搬送ローラ31及び軸32については同様に構成されている。
【0106】
テンションローラ133は、第1の実施の形態のようなボールベアリングではなく、所定の樹脂材料が円環状に形成されてなり、その外形がテンションローラ33とほぼ同様となっている。
【0107】
またテンションローラ133は、その内径が軸32の外形よりも僅かに大きく、且つその内周面が滑らかに構成されることにより、いわゆる樹脂ベアリングとなっている。このためテンションローラ133は、軸32挿通されると、当該軸32に対し円滑に回転することができる。
【0108】
また第2搬送部127は、第1搬送部125のテンションローラ133と同様のテンションローラ139(図示せず)が軸38に挿通された構成となっており、当該テンションローラ139を軸38に対し円滑に回転させることができる。
【0109】
このように第1搬送部125及び第2搬送部127は、テンションローラ133及び139の内周面を樹脂ベアリングとして機能させることにより、軸32及び38に対しそれぞれ円滑に回転させ得るようになされている。
【0110】
[2−2.動作及び効果]
以上の構成において、第2の実施の形態による現金自動預払機101の鑑別部113は、第1搬送部125において軸32によりテンションローラ133を搬送ローラ31に押し付け、紙幣BLの搬送方向に応じた回転方向に搬送ローラ31を回転駆動させる。
【0111】
ここで第1搬送部125は、テンションローラ133と搬送ローラ31との間、すなわち搬送路24に紙幣BLが有る場合、テンションローラ133を樹脂ベアリングにより円滑に回転させながら、搬送ローラ31の回転駆動力をこの紙幣BLに伝達することができる。
【0112】
これにより第1搬送部125は、搬送ローラ31の回転駆動を紙幣BLに伝達することができ、その駆動力をテンションローラ133により減衰させることが無いため、紙幣BLを所望の速度で確実に搬送することができる。
【0113】
このときテンションローラ133は、全て樹脂材料により構成されているため、その構成部品が磁化される恐れが無く、回転に伴い周囲の磁場を変化させることが無い。
【0114】
またテンションローラ133は、第1の実施の形態におけるボールベアリングでなるテンションローラ33と比較して、構造が単純であり部品点数も少ないため、製造コストの削減や組立作業及び保守作業等における作業工数の削減を図ることができる。
【0115】
さらに第2搬送部127においても、第1搬送部125と同様、樹脂材料により構成されたテンションローラ139が回転する際に周囲の磁場を変化させることがない。
【0116】
すなわち鑑別部113では、磁気センサ34の前方及び後方にテンションローラ133及び139がそれぞれ近接配置されているものの、当該テンションローラ133及び139から磁気センサ34へ磁場の変化による影響を及ぼすことが無い。このため磁気センサ34は、磁気ヘッド34Aにより磁場の変化に起因したノイズを検出すること無く、紙幣BLの磁気を精度良く読み取ることができる。
【0117】
また鑑別部113では、第1の実施の形態と同様、前後方向に関し磁気検出部26と厚み検出部29との間に光学検出部28を配置することにより、両者を物理的に離隔させるようにした。
【0118】
これにより鑑別部113では、厚み検出部29による磁場の変化の影響を磁気検出部26の磁気センサ34にまで極力到達させないようにすることができ、当該磁気センサ34における磁気の検出精度の低下を未然に防止することができる。
【0119】
以上の構成によれば、第2の実施の形態による現金自動預払機101の鑑別部113は、第1搬送部125のテンションローラ133及び第2搬送部127のテンションローラ139を全て樹脂材料により構成し、その内周面を樹脂ベアリングとして作用させる。これにより鑑別部113では、紙幣BLを円滑に搬送する一方、テンションローラ133及び139の回転により周囲の磁場を変化させることが無いため、磁気センサ34の磁気ヘッド34Aにより磁場の変化に起因したノイズを検出すること無く、紙幣BLの磁気を精度良く読み取ることができる。
【0120】
[3.第3の実施の形態]
第3の実施の形態による現金自動預払機201は、第1の実施の形態による現金自動預払機1(図1、図2)と比較して、鑑別部13に代わる鑑別部213を有する点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0121】
[3−1.鑑別部の構成]
鑑別部213は、第1の実施の形態による鑑別部13と比較して、第1搬送部25及び第2搬送部27に代わる第1搬送部225及び第2搬送部227を有する点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0122】
第1搬送部225は、テンションローラ33に代わるテンションローラ233を有する点が相違するものの、搬送ローラ31及び軸32については同様に構成されている。
【0123】
テンションローラ233は、第1の実施の形態におけるテンションローラ33の内輪33A、ボール33B及び外輪33C(図5)とそれぞれ同等の形状でなる内輪233A、ボール233B及び外輪233C(図示せず)の組み合わせにより構成されている。
【0124】
この内輪233A、ボール233B及び外輪233Cは、いずれも非磁性のステンレス(オーステナイト系ステンレス)やセラミックのような非磁性の材料により構成されている。
【0125】
このためテンションローラ233は、内輪233A、ボール233B及び外輪233Cのいずれにおいても磁化される恐れがない。従ってテンションローラ233は、外輪233Cを回転させた際に、周囲の磁場を変化させる恐れが無い。
【0126】
また第2搬送部227は、テンションローラ39に代わるテンションローラ239を有する点が相違するものの、搬送ローラ37及び軸38については同様に構成されている。このテンションローラ239は、テンションローラ233と同様、非磁性の材料により構成されたボールベアリングとなっている。
【0127】
このように第1搬送部225及び第2搬送部227は、テンションローラ233及び239の内輪、ボール及び外輪のいずれもが非磁性の材料により構成されている。
【0128】
[3−2.動作及び効果]
以上の構成において、第3の実施の形態による現金自動預払機201の鑑別部213は、第1搬送部225において軸32によりテンションローラ233を搬送ローラ31に押し付け、紙幣BLの搬送方向に応じた回転方向に搬送ローラ31を回転駆動させる。
【0129】
ここで第1搬送部225は、テンションローラ233と搬送ローラ31との間、すなわち搬送路24に紙幣BLが有る場合、ボールベアリングの外輪233Cを円滑に回転させながら、搬送ローラ31の回転駆動力をこの紙幣BLに伝達することができる。
【0130】
これにより第1搬送部225は、搬送ローラ31の回転駆動を紙幣BLに伝達することができ、その駆動力をテンションローラ133により減衰させることが無いため、紙幣BLを所望の速度で確実に搬送することができる。
【0131】
このときテンションローラ233は、全て非磁性材料により構成されているため、その構成部品が磁化される恐れが無く、外輪233Cの回転に伴い周囲の磁場を変化させることが無い。
【0132】
またテンションローラ233は、第1の実施の形態によるテンションローラ33と同様にボールベアリングとして構成されており、回転時に摩擦抵抗ではなく転がり抵抗が生じるため、耐摩耗性が高く、長期間にわたって安定的に外輪233Cを回転させることができ、保守作業等の工数や交換部品のコスト等を削減することができる。
【0133】
さらに第2搬送部227においても、第1搬送部225と同様、非磁性材料により構成されたテンションローラ239が回転する際に周囲の磁場を変化させることがない。
【0134】
すなわち鑑別部213では、磁気センサ34の前方及び後方にテンションローラ233及び239がそれぞれ近接配置されているものの、当該テンションローラ233及び239から磁気センサ34へ磁場の変化による影響を及ぼすことが無い。このため磁気センサ34は、磁気ヘッド34Aにより磁場の変化に起因したノイズを検出すること無く、紙幣BLの磁気を精度良く読み取ることができる。
【0135】
また鑑別部213では、第1の実施の形態と同様、前後方向に関し磁気検出部26と厚み検出部29との間に光学検出部28を配置することにより、両者を物理的に離隔させるようにした。
【0136】
これにより鑑別部213では、厚み検出部29による磁場の変化の影響を磁気検出部26の磁気センサ34にまで極力到達させないようにすることができ、当該磁気センサ34における磁気の検出精度の低下を未然に防止することができる。
【0137】
以上の構成によれば、第3の実施の形態による現金自動預払機201の鑑別部213は、第1搬送部225のテンションローラ233及び第2搬送部227のテンションローラ239を全て非磁性材料により構成し、一般的なボールベアリングと同様に作用させる。これにより鑑別部213では、紙幣BLを円滑に搬送する一方、テンションローラ233及び239における外輪の回転により周囲の磁場を変化させることが無いため、磁気センサ34の磁気ヘッド34Aにより磁場の変化に起因したノイズを検出すること無く、紙幣BLの磁気を精度良く読み取ることができる。
【0138】
[4.第4の実施の形態]
第4の実施の形態による現金自動預払機301は、第1の実施の形態による現金自動預払機1(図1、図2)と比較して、鑑別部13に代わる鑑別部313を有する点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0139】
[4−1.鑑別部の構成]
鑑別部313は、第1の実施の形態による鑑別部13と比較して、第1搬送部25及び第2搬送部27に代わる第1搬送部325及び第2搬送部327を有する点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0140】
第1搬送部325は、図5と対応する図8に示すように、テンションローラ33に代わるテンションローラ333を有する点が相違するものの、搬送ローラ31及び軸32については同様に構成されている。
【0141】
テンションローラ333は、第1の実施の形態における内輪33A、ボール33B及び外輪33Cとそれぞれ対応する内輪333A、ボール333B及び外輪333Cを有している。
【0142】
内輪333Aは、内輪33Aと比較してその内径が同等であるものの、その外径が小さくなっている。また外輪333Cは、外輪33Cと比較して、内径及び外径のいずれも小さくなっている。
【0143】
すなわち内輪333A、ボール333B及び外輪333Cは、第1の実施の形態におけるテンションローラ33と比較して、内径は同等であるものの外径が小さいボールベアリングを形成している。因みに内輪333Aは、内輪33Aと同様、軸32に固定されている。
【0144】
さらに外輪333Cの外側には、樹脂材料が円環状に形成された樹脂ローラ333Dが嵌め込まれている。樹脂ローラ333Dは、その内径が外輪333Cの外径とほぼ同等である一方、その外径が第1の実施の形態における外輪33Cにおける外径とほぼ同等となっている。
【0145】
すなわちテンションローラ333は、全体としてテンションローラ33とほぼ同等の大きさに構成される一方、テンションローラ33よりも外形が小さいボールベアリングを有し、さらに非磁性体の材料である樹脂ローラ333Dによりその外周部分を覆った構成となっている。
【0146】
このためテンションローラ333は、ボールベアリングとしての機能により、軸32に固定された内輪333Aに対し、外輪333C及び樹脂ローラ333Dを一体として円滑に回転させることができる。
【0147】
また第2搬送部327は、第1搬送部325のテンションローラ333と同様のテンションローラ339(図示せず)が軸38に挿通された構成となっており、当該テンションローラ339の内輪に対し外輪及び樹脂ローラを一体として円滑に回転させることができる。
【0148】
このように第1搬送部325及び第2搬送部327は、テンションローラ333及び339におけるボールベアリングの外径を小さく抑え、その外輪と当該外輪に取り付けた樹脂ローラとを一体に回転させるようになされている。
【0149】
[4−2.動作及び効果]
以上の構成において、第4の実施の形態による現金自動預払機301の鑑別部313は、第1搬送部325において軸32によりテンションローラ333を搬送ローラ31に押し付け、紙幣BLの搬送方向に応じた回転方向に搬送ローラ31を回転駆動させる。
【0150】
ここで第1搬送部325は、テンションローラ333と搬送ローラ31との間、すなわち搬送路24に紙幣BLが有る場合、テンションローラ333のボールベアリングを作用させ外輪333C及び樹脂ローラ333Dを円滑に回転させながら、搬送ローラ31の回転駆動力をこの紙幣BLに伝達することができる。
【0151】
これにより第1搬送部325は、搬送ローラ31の回転駆動を紙幣BLに伝達することができ、その駆動力をテンションローラ333により減衰させることが無いため、紙幣BLを所望の速度で確実に搬送することができる。
【0152】
ここでテンションローラ333は、外輪333Cの周囲に樹脂ローラ333Dを取り付けると共にその外径がテンションローラ33(図5)と同等に構成されていること、すなわち外輪333Cの外径が外輪33Cよりも小さく構成されている。
【0153】
このため鑑別部313では、磁気センサ34からテンションローラ333までの距離を第1の実施の形態と同等に保ちながら、回転する磁性体である外輪333Cと当該磁気センサ34との距離を第1の実施の形態よりも遠ざけることができる。
【0154】
またテンションローラ333は、第1の実施の形態によるテンションローラ33と同様にボールベアリングとして構成されており、回転時に摩擦抵抗ではなく転がり抵抗が生じるため、耐摩耗性が高く、長期間にわたって安定的に外輪333C及び樹脂ローラ333Dを回転させることができ、保守作業等の工数や交換部品のコスト等を削減することができる。
【0155】
また鑑別部313では、第2搬送部327についても、磁気センサ34からテンションローラ339までの距離を第1の実施の形態と同等に保ちながら、回転する磁性体である外輪と当該磁気センサ34との距離を第1の実施の形態よりも遠ざけることができる。
【0156】
すなわち鑑別部313では、磁気センサ34の前方及び後方にテンションローラ333及び339がそれぞれ近接配置されているものの、当該テンションローラ333及び339から磁気センサ34へ及ぼされる磁場の変化の影響を格段に減少させることができる。このため磁気センサ34は、磁気ヘッド34Aにより検出する磁場の変化に起因したノイズを大幅に削減することができ、紙幣BLの磁気を精度良く読み取ることができる。
【0157】
また鑑別部213では、第1の実施の形態と同様、前後方向に関し磁気検出部26と厚み検出部29との間に光学検出部28を配置することにより、両者を物理的に離隔させるようにした。
【0158】
これにより鑑別部213では、厚み検出部29による磁場の変化の影響を磁気検出部26の磁気センサ34にまで極力到達させないようにすることができ、当該磁気センサ34における磁気の検出精度の低下を未然に防止することができる。
【0159】
以上の構成によれば、第4の実施の形態による現金自動預払機301の鑑別部313は、第1搬送部325及び第2搬送部327において、テンションローラ333及び339におけるボールベアリングの外径を小さく抑えると共にその周囲に樹脂ローラを取り付け、紙幣BLの搬送時に当該樹脂ローラを外輪と一体に回転させるようにした。これにより鑑別部313では、各テンションローラの外径や磁気センサ34から各テンションローラまでの距離を第1の実施の形態と同等に保ちながら、回転する磁性体までの距離を遠ざけることができるので、磁気センサ34の磁気ヘッド34Aに及ぼす磁場の変化の影響を減少でき、紙幣BLの磁気を精度良く読み取ることができる。
【0160】
[5.第5の実施の形態]
第5の実施の形態による現金自動預払機401は、第1の実施の形態による現金自動預払機1(図1、図2)と比較して、鑑別部13に代わる鑑別部413を有する点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0161】
[5−1.鑑別部の構成]
鑑別部413は、第1の実施の形態による鑑別部13と比較して、磁気検出部26に代わる磁気検出部426を有する点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0162】
磁気検出部426は、図6と対応する図9に示すように、第1の実施の形態における磁気検出部26と比較して、押付部35に代わる押付部435を有している点と、中継部441を有する点が大きく異なっている。
【0163】
押付部435は、第1の実施の形態による押付部35とほぼ同様の外形に形成されているものの、軸受35Aに代えて、いわゆるボールベアリングでなる軸受435Aが埋め込まれている。押付部435の下方には、第1の実施の形態と同様のスプリング35Bが取り付けられている。
【0164】
また押付部435は、磁気センサ34における左右の両端部よりもそれぞれ外方に位置しており、当該押付部435の位置に合わせるように、ガイドローラ36の軸436Aが第1の実施の形態における軸36Aよりも左右方向に延長されている。
【0165】
押付部435と磁気センサ34との間には、中継部441が介在している。中継部441は、押付部435の上側に位置する部分と磁気センサ34の下側に位置する部分とが接合されたような形状となっており、さらに左右の外方へ延長される部分同士が図示しない周囲の部分により互いに連結されている。また中継部441は、比較的硬質な所定の樹脂材料により構成されているものの、若干の弾性を有している。
【0166】
この中継部441は、左右の内方に設けた上面441Bにおいて磁気センサ34の下面と当接すると共に、その外方に設けた下面441Aにおいて押付部435の上面と当接している。また中継部441の下面441A及び上面441Bは、それぞれの高さ、すなわち上下方向の位置を互いにほぼ同等に揃えるよう形成されている。
【0167】
かかる構成により磁気検出部426は、スプリング35Bの復元力により押付部435を上方向へ持ち上げ、当該押付部435の上面を中継部441の下面441Aに当接させる。さらに磁気検出部426は、スプリング35Bの復元力により押付部435と共に中継部441を上方向へ持ち上げ、当該中継部441の上面141Bを磁気センサ34の下面に当接させる。
【0168】
このとき磁気検出部426は、下面441A及び上面441Bの高さをほぼ同等に揃えているため、第1の実施の形態と同様に、磁気センサ34の下面とガイドローラ36の上端との間を、1枚の紙幣BLの厚さとほぼ同等の間隔Gに合わせることができる。
【0169】
このように磁気検出部426では、中継部441を介して押付部435を磁気センサ34へ押し付けることにより、当該磁気センサ34の下面からガイドローラ36を間隔Gだけ離隔させ、且つ当該磁気センサ34から左右方向へ離れた箇所にボールベアリングでなる軸受435Aを位置させるようになされている。
【0170】
[5−2.動作及び効果]
以上の構成において、第5の実施の形態による現金自動預払機401の鑑別部413は、磁気検出部426において、搬送路24(図3)を搬送されてくる紙幣BLをガイドローラ36により磁気センサ34の下面に当接させる。
【0171】
このときガイドローラ36は、紙幣BLの搬送に伴い、ボールベアリングでなる軸受435Aの内輪を軸436Aと一体に回転する。このため軸受435Aは、その内輪が磁化されていれば、ガイドローラ36の回転に伴い周囲の磁場を変化させる。
【0172】
しかしながら磁気検出部426では、磁気センサ34と押付部435との間に中継部441を介在させ、当該磁気センサ34から軸受435Aまでの距離を左右方向にある程度離隔させている。
【0173】
このため磁気検出部426は、軸受435Aによる磁場の変化が磁気センサ34へ及ぼす影響を極めて小さく抑えることができ、当該磁気センサ34に殆どノイズを検出させることなく、紙幣BLの磁気を検出させることができる。
【0174】
また押付部435は、テンションローラ33(図5)と同様のボールベアリングにより軸受435Aを構成しており、その回転時に摩擦抵抗ではなく転がり抵抗を生じるため、樹脂ベアリングを用いる場合よりも耐久性を大幅に高めることができる。
【0175】
さらに磁気検出部426では、押付部435と磁気センサ34との間に中継部441が介在している。このため中継部441は、紙幣BLの搬送に伴い回転するガイドローラ36により押付部435に上下方向への振動が生じたとしても、磁気センサ34へ伝達される振動をその弾性により減衰させ、若しくは吸収することができる。
【0176】
これにより中継部441は、磁気センサ34において振動に起因して発生し得るピエゾノイズを大幅に減少させることができ、紙幣BLからの磁気の読み取り精度を格段に高めることができる。
【0177】
また鑑別部413では、第1の実施の形態と同様、前後方向に関し磁気検出部426と厚み検出部29との間に光学検出部28を配置することにより、両者を物理的に離隔させるようにした。
【0178】
これにより鑑別部413では、厚み検出部29による磁場の変化の影響を磁気検出部426の磁気センサ34にまで極力到達させないようにすることができ、当該磁気センサ34における磁気の検出精度の低下を未然に防止することができる。
【0179】
以上の構成によれば、第5の実施の形態による現金自動預払機401の鑑別部413は、磁気検出部426において、磁気センサ34と押付部435との間に中継部441を介在させ、当該磁気センサ34からボールベアリングでなる軸受435Aまでの距離を左右方向にある程度離隔させた。これにより磁気検出部426は、軸受435Aによる磁場の変化が磁気センサ34へ及ぼす影響を極めて小さく抑えることができ、当該磁気センサ34に殆どノイズを検出させることなく、紙幣BLの磁気を検出させることができる。
【0180】
[6.第6の実施の形態]
第6の実施の形態による現金自動預払機501は、第1の実施の形態による現金自動預払機1(図1、図2)と比較して、鑑別部13に代わる鑑別部513を有する点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0181】
[6−1.鑑別部の構成]
鑑別部513は、第1の実施の形態による鑑別部13と比較して、磁気検出部26に代わる磁気検出部526を有する点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0182】
磁気検出部526は、図3の一部と対応する図10に示すように、第1の実施の形態における磁気検出部26と比較して、磁気センサ34の近傍に磁気遮蔽板534を有する点が相違するものの、他の点は同様に構成されている。
【0183】
磁気遮蔽板534は、磁気を遮蔽し若しくは大きく減衰させる材料により構成されており、磁気センサ34の上面よりも僅かに大きく形成された薄板状の天板534Aにおける前端及び後端から、当該磁気センサ34の前面及び後面を覆うような薄板状の前側板534B及び後側板534Cがそれぞれ下方へ延設されている。
【0184】
因みに磁気遮蔽板534における前側板534B及び後側板534Cの下端は、磁気センサ34の下面よりも僅かに上方に位置しており、搬送路24を確保して紙幣BLの搬送を妨げないようになされている。
【0185】
このように磁気センサ34は、その前方、後方及び上方が磁気遮蔽板534により殆ど覆われている。このため磁気遮蔽板534は、磁気センサ34の前方、後方及び上方における磁場の変化の影響を排除し、若しくは大幅に減少させることができる。
【0186】
[6−2.動作及び効果]
以上の構成において、第6の実施の形態による現金自動預払機501の鑑別部513は、磁気検出部526において、磁気センサ34の前方、後方及び上方を覆うように磁気遮蔽板534を設けた。
【0187】
鑑別部513内では、磁気センサ34の前後にそれぞれ近接配置されたテンションローラ33及び39が、紙幣BLの搬送に伴い、その外輪33C等を回転させる。このときテンションローラ33及び39は、外輪33C等が磁化されていれば、その回転に伴い周囲の磁界を随時変化させることになる。
【0188】
これに対し磁気検出部526は、磁気遮蔽板534により、磁気センサ34の前方、後方及び上方からの磁気を遮断し、又は大きく減衰させることができる。
【0189】
これにより磁気センサ34は、近接配置されたテンションローラ33及び39による磁界変化に伴うノイズを検出することなく、若しくはその検出レベルを大幅に低下させて、紙幣BLの磁気を精度良く検出することができる。
【0190】
これを他の観点から見れば、鑑別部513では、第1搬送部25及び第2搬送部27のテンションローラ33及び39において、磁性体材料で構成されたボールベアリングを用いることができるので、樹脂ベアリングを用いる場合よりも、その耐久性を大幅に高めることができる。
【0191】
また現金自動預払機501の内部では、上述したように、搬送部12において紙幣BLを搬送するモータや、当該搬送路を切り替えるソレノイド、或いは各種冷却ファン等(いずれも図示せず)といった磁気ノイズの発生源の殆どが、鑑別部513の搬送路24よりも上側に配置されている。
【0192】
このため鑑別部513の磁気検出部526では、このような磁気ノイズの発生源による磁場変化の影響についても、磁気遮蔽板534により遮断若しくは大きく減衰させることができるので、磁気センサ34により紙幣BLの磁気を精度良く検出させることができる。
【0193】
また鑑別部513では、第1の実施の形態と同様、前後方向に関し磁気検出部526と厚み検出部29との間に光学検出部28を配置することにより、両者を物理的に離隔させるようにした。
【0194】
これにより鑑別部513では、厚み検出部29による磁場の変化の影響を磁気検出部526の磁気センサ34にまで極力到達させないようにすることができ、当該磁気センサ34における磁気の検出精度の低下を未然に防止することができる。
【0195】
以上の構成によれば、第6の実施の形態による現金自動預払機501の鑑別部513は、磁気検出部526において磁気センサ34の前方、後方及び上方を覆うよう、磁気を遮断若しくは大きく減衰させる磁気遮蔽板534を設けた。これにより磁気検出部526は、磁気センサ34の前後にそれぞれ近接配置されたテンションローラ33及び39の回転に伴い周囲の磁界が変化したとしても、磁気遮蔽板534によりその影響を遮断し、若しくは大きく減衰させることができる。この結果磁気センサ34は、周囲の磁界の変化によるノイズを検出することなく、若しくはその検出レベルを大幅に低下させて、紙幣BLの磁気を精度良く検出することができる。
【0196】
[7.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、押付部35を所定の樹脂材料により構成すると共に、左右に貫通する丸孔を穿設することにより軸受35Aを形成するようにした場合について述べた。
【0197】
しかしながら本発明はこれに限らず、押付部35を種々の材料により構成し、当該材料により軸受35Aを形成するようにしても良い。或いは、押付部35を任意の材料で構成すると共に比較的大きな丸孔を穿設し、当該丸孔に円環状の部品を嵌め込むことにより、当該部品を軸受として機能させる等、他の部品との組み合わせにより軸受を構成するようにしても良い。この場合、軸受の内周面を滑らかに形成することにより、軸36Aを円滑に回転させることができれば良い。要は、ボールベアリングにおける外輪のような磁性材料の回転を伴うことなく、軸36Aを円滑に回転させるよう支持できれば良い。
【0198】
また上述した第2の実施の形態においては、テンションローラ133及び139を樹脂ベアリングにより構成するようにした場合について述べた。
【0199】
しかしながら本発明はこれに限らず、これらを例えば非磁性のステンレス(オーステナイト系ステンレス)やセラミックのような非磁性の材料により構成しても良い。また非磁性の材料に限らず、磁化されにくい材料であっても良い。
【0200】
さらに上述した第3の実施の形態においては、ボールベアリングでなるテンションローラ233を構成する内輪233A、ボール233B及び外輪233Cのいずれも非磁性の材料により構成するようにした場合ついて述べた。
【0201】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば外輪233Cのみ、又は外輪233C及びボール233Bの双方を非磁性の材料とすることにより、回転に伴う磁場の変化を小さく抑えるようにしても良い。
【0202】
さらに上述した第5の実施の形態においては、押付部435と中継部441とを互いに独立した部品として構成し、また左右の中継部441を図示しない外周部分で連結させるようにした場合について述べた。
【0203】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば左右の中継部441を互いに独立して構成すると共に鑑別部413の筐体に固定しても良く、或いは中継部441を省略すると共に押付部435から左右の内方へ向けて当該中継部441の一部と同様の機能を有する腕部を延設し、当該腕部を介して磁気センサ34の下面と当接させるようにしても良い。
【0204】
この場合、要は軸受435Aを磁気センサ34の下方における左右の外方へ位置させると共に、当該磁気センサ34の下面とガイドローラ36の上端との間に間隔Gを形成できれば良い。またこの場合、ガイドローラ36の回転により押付部435に生じる振動を中継部441又は腕部により減衰又は吸収できることが好ましい。
【0205】
さらに上述した第5の実施の形態においては、押付部435にボールベアリングでなる軸受435Aを埋め込むようにした場合について述べた。
【0206】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば第1の実施の形態と同様、樹脂材料に穿設された丸孔により樹脂ベアリングでなる軸受を形成しても良く、或いは第3の実施の形態におけるテンションローラ233等と同様に、非磁性材料でなるボールベアリングを埋め込むようにしても良い。
【0207】
さらに上述した第1及び第5の実施の形態においては、磁気センサ34の下面とガイドローラ36の上端との間に、紙幣BLの1枚分の厚さに相当する間隔Gを空けるようにした場合について述べた。
【0208】
しかしながら本発明はこれに限らず、磁気センサ34の下面とガイドローラ36の上端との間に任意の間隔を空けても良く、或いは磁気センサ34の下面にガイドローラ36を当接させるようにしても良い。この場合、ガイドローラ36により紙幣BLを磁気センサ34の下面に押し付けながら搬送できれば良い。
【0209】
さらに上述した第6の実施の形態においては、磁気遮蔽板534により磁気センサの上方、前方及び後方を覆うようにした場合について述べた。
【0210】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば図10と対応する図11に示すように、磁気検出部626において磁気遮蔽板534に代えて磁気遮蔽板634を設けるようにしても良い。
【0211】
この磁気遮蔽板634は、磁気遮蔽板534における前側板534B及び後側板534Cとそれぞれ対応する前側板634B及び後側板634Cから、それぞれ磁気センサ34へ向けて、すなわち後方又は前方へ向けて、下面板634D及び634Eが延設されている。
【0212】
このため磁気遮蔽板634は、磁気遮蔽板534と比較して、磁気センサ34の周囲における磁場の変化による当該磁気センサ34への影響をさらに減少させることができる。
【0213】
さらに上述した第6の実施の形態においては、磁気センサ34の上方、前方及び後方から、すなわち外側から覆うような磁気遮蔽板534を設ける場合について述べた。
【0214】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば磁気センサ34の内部に磁気遮蔽板を内蔵するようにしても良い。
【0215】
さらに上述した第6の実施の形態においては、磁気センサ34の上方、前方及び後方といった3方向にそれぞれ位置する天板534A、前側板534B及び後側板534Cにより磁気遮蔽板534を構成するようにした場合について述べた。
【0216】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば上方からの磁場の変化の影響が小さいことが判明している場合に、天板534Aを省略し、前側板534B及び後側板534Cのみにより磁気遮蔽板534を構成するようにしても良い。この場合、要は磁気ヘッド34Aから見て、主に磁場を変化させる部品等が設けられた方向であり、且つ紙幣BLの搬送を妨げないような箇所に磁気遮蔽板を設ければ良い。
【0217】
さらに上述した第1の実施の形態においては、鑑別部13内において、前後方向に関し磁気検出部26と厚み検出部29との間に光学検出部28を設けるようにした場合について述べた。
【0218】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば厚み検出部の基準ローラ41及び厚み検知ローラ42による磁気センサ34への磁場の変化の影響が小さいことが判明している場合に、磁気検出部26及び厚み検出部29を隣接させるよう配置しても良い。第2〜第6の実施の形態についても同様である。
【0219】
さらに上述した第1の実施の形態においては、鑑別部13の筐体21内に第1搬送部25、磁気検出部26、第2搬送部27、光学検出部28及び厚み検出部29といった各モジュールを設けるようにした場合について述べた。
【0220】
しかしながら本発明はこれに限らず、鑑別部13において少なくとも磁気検出部26における磁気の検出結果を基に紙幣BLの紙幣の種類や真偽等を判別することができれば良く、その判別手法に応じて光学検出部28や厚み検出部29等、さらには各搬送部を適宜組み合わせれば良い。第5及び第6の実施の形態についても同様である。
【0221】
また上述した第2の実施の形態においては、鑑別部113において少なくとも第1搬送部125又は第2搬送部127のいずれか一方を有することにより、磁気検出部26を通るように紙幣BLを搬送路に沿って搬送することができれば良い。第3及び第4の実施の形態についても同様である。
【0222】
さらに上述した第1〜第6の実施の形態においては、磁気検出部26、426又は526と、第1搬送部125、225又は325並びに第2搬送部127、227又は327とをそれぞれ単独で構成するようにした場合について述べた。
【0223】
しかしながら本発明はこれに限らず、これらを適宜組み合わせるようにしても良い。例えば、鑑別部において、第1の実施の形態による押付部35と第2の実施の形態によるテンションローラ133及び139とを組み合わせても良く、さらに第6の実施の形態による磁気遮蔽板534を組み合わせても良い。或いは、例えば鑑別部において、第5の実施の形態による押付部435及び中継部441と第4の実施の形態によるテンションローラ333及び339とを組み合わせても良い。
【0224】
これらの場合、複数の実施の形態を組み合わせることにより、磁気センサ34に対する周囲からの磁場の変化の影響を相乗的に減少させることができ、当該磁気センサ34による紙幣BLからの磁気の検出精度を格段に高めることができる。
【0225】
さらに上述した第1の実施の形態においては、紙幣等の現金を取引する現金自動預払機1の鑑別部13において、媒体としての紙幣について鑑別処理を行うようにした場合について述べた。
【0226】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば商品券や金券、入場券、或いは磁気カード等のような種々の形状であって磁気を有する媒体について鑑別処理を行う種々の装置に適用するようにしても良い。この場合、媒体の形状に合わせて搬送部12や鑑別部13内の搬送路24等を適宜設計すれば良い。第2〜第5の実施の形態についても同様である。
【0227】
さらに上述した第1の実施の形態においては、磁気検出部としての磁気センサ34と、ローラとしてのガイドローラ36と、軸受としての軸受35Aと、鑑別制御部としての制御部20とによって媒体鑑別装置としての鑑別部13を構成する場合について述べた。
【0228】
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる磁気検出部と、ローラと、軸受と、鑑別制御部とによって媒体鑑別装置を構成するようにしても良い。
【0229】
さらに上述した第1の実施の形態においては、受付部としての接客部3と、搬送部としての搬送部12と、磁気検出部としての磁気センサ34と、ローラとしてのガイドローラ36と、軸受としての軸受35Aと、鑑別制御部としての制御部20とによって媒体取引装置としての現金自動預払機1を構成する場合について述べた。
【0230】
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる受付部と、搬送部と、磁気検出部と、ローラと、軸受と、鑑別制御部とによって媒体取引装置を構成するようにしても良い。
【0231】
さらに上述した第4の実施の形態においては、磁気検出部としての磁気センサ34と、ローラとしてのテンションローラ333と、軸受としての内輪333A、ボール333B及び外輪333Cと、鑑別制御部としての制御部20とによって媒体鑑別装置としての鑑別部313を構成する場合について述べた。
【0232】
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる磁気検出部と、ローラと、軸受と、鑑別制御部とによって媒体鑑別装置を構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0233】
本発明は、磁気を有する媒体を搬送しながらその磁気を検出することにより鑑別する種々の媒体鑑別装置でも利用できる。
【符号の説明】
【0234】
1、101、201、301、401、501……現金自動預払機、3……接客部、12……搬送部、13、113、213、313、413、513……鑑別部、20……制御部、21……筐体、24……搬送路、25、125、225、325……第1搬送部、26、426、526……磁気検出部、27、127、227、327……第2搬送部、28……光学検出部、29……厚み検出部、31、37……搬送ローラ、32、38……軸、33、133、233、333、39、139、239、339……テンションローラ、33A、333A……内輪、33B、333B……ボール、33C、333C……外輪、34……磁気センサ、34A……磁気ヘッド、35、435……押付部、35A、435A……軸受、36……ガイドローラ、36A、436A……軸、333D……樹脂ローラ、441……中継部、534……磁気遮蔽板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ヘッドにより媒体から磁気を検出する磁気検出部と、
上記磁気ヘッドの近傍に配置され、当該磁気ヘッドに上記媒体を当接させながら搬送するよう上記媒体に当接して回転するローラと、
磁性材料部品の回転を伴わずに上記当接ローラを回転自在に支持する軸受と、
上記磁気ヘッドによる磁気の検出結果を基に上記媒体を鑑別する鑑別制御部と
を具えることを特徴とする媒体鑑別装置。
【請求項2】
上記ローラは、上記磁気ヘッドと対向する位置に配置され、
上記磁気ヘッドに対し上記ローラを上記媒体の厚さに相当する距離まで近接させるよう、上記軸受を押し付ける押付部
をさらに具えることを特徴とする請求項1に記載の媒体鑑別装置。
【請求項3】
上記磁気ヘッドと上記押付部との間に介在し、上記押付部により上記磁気ヘッドと上記ローラとの距離を上記媒体の厚さに相当する距離まで近接させながら、当該磁気ヘッドと上記軸受との距離を離隔させる中継部
をさらに具えることを特徴とする請求項2に記載の媒体鑑別装置。
【請求項4】
上記中継部は、弾性を有する
ことを特徴とする請求項3に記載の媒体鑑別装置。
【請求項5】
上記磁気検出部の近傍において回転することにより上記媒体を搬送する搬送ローラ
をさらに具え、
上記ローラは、
上記媒体の搬送路を挟んで上記搬送ローラと対向する位置に配置され、
上記軸受は、
上記ローラの回転に伴って回転する部分が非磁性材料により構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体鑑別装置。
【請求項6】
上記ローラの回転中心となる軸
をさらに具え、
上記ローラは、
非磁性材料が円環状に形成されてなり、
上記軸受は、
上記ローラの内周面でなり上記軸に対し当該ローラを回転可能に支持する
ことを特徴とする請求項5に記載の媒体鑑別装置。
【請求項7】
上記軸受は、
少なくとも外輪が非磁性体材料により構成されたボールベアリングでなる
ことを特徴とする請求項5に記載の媒体鑑別装置。
【請求項8】
上記磁気検出部の近傍において磁気を遮る磁気遮蔽板
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の媒体鑑別装置。
【請求項9】
上記磁気遮蔽板は、
上記磁気検出部における上記磁気ヘッドを有する面を除いた周側面を覆うよう形成された
ことを特徴とする請求項8に記載の媒体鑑別装置。
【請求項10】
上記磁気遮蔽板は、
上記周側面に加え、上記磁気ヘッドを有する面における上記磁気ヘッドの近傍を覆うよう形成された
ことを特徴とする請求項9に記載の媒体鑑別装置。
【請求項11】
上記媒体に光を照射すると共に当該媒体を透過した光を受光し、可動する磁性体部品を持たない光学検出部と、
磁性体でなる厚み検知ローラの変位量を基に上記媒体の厚みを検出すると共に、上記磁気検出部との間に上記光学検出部を挟むよう配置された厚み検出部と
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の媒体鑑別装置。
【請求項12】
媒体に関する取引を受け付ける受付部と、
上記受付部により受け付けた上記媒体を搬送する搬送部と、
上記搬送部から搬送されてきた上記媒体の磁気を磁気ヘッドにより検出する磁気検出部と、
上記磁気ヘッドの近傍に配置され、当該磁気ヘッドに上記媒体を当接させながら搬送するよう上記媒体に当接して回転するローラと、
磁性材料部品の回転を伴わずに上記当接ローラを回転自在に支持する軸受と、
上記磁気ヘッドによる磁気の検出結果を基に上記媒体を鑑別する鑑別制御部と
を具えることを特徴とする媒体取引装置。
【請求項13】
上記磁気検出部における上記磁気ヘッドを有する面を除いた周側面を覆うよう形成され磁気を遮る磁気遮蔽板
をさらに具え、
上記搬送部は、
磁性体でなる部品を回転させることにより上記媒体を搬送する搬送ローラが、上記磁気検出部における上記磁気ヘッドとの間に上記磁気遮蔽板を挟む位置に配置されている
ことを特徴とする請求項12に記載の媒体取引装置。
【請求項14】
磁気ヘッドにより媒体から磁気を検出する磁気検出部と、
円環状に形成されると共に上記磁気ヘッドの近傍に配置され、当該磁気ヘッドに上記媒体を当接させながら搬送するよう上記媒体に当接して回転するローラと、
磁性材料により構成されたボールベアリングでなると共に上記ローラの内周に取り付けられ、上記ローラを回転自在に支持する軸受と、
上記磁気ヘッドによる磁気の検出結果を基に上記媒体を鑑別する鑑別制御部と
を具えることを特徴とする媒体鑑別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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