説明

字幕監視装置

【課題】 CM素材のCM期間中の字幕表示の合否を判定する機能を持つ字幕監視装置は、CM素材のCM期間中の字幕表示の合否判定についてはユーザーがIN点とOUT点をその都度設定することが必要不可欠であった。本発明は、上記問題を解決し、CM素材のCM期間を抽出することを含めて字幕表示の合否判定を自動化することを課題としている。
【解決手段】 本発明の字幕監視装置は、音声1kHzのはじまりとおわりをトリガとしてCM素材のCM期間を自動判別し、そのCM期間中の字幕表示の合否判定をする機能をもつことを特徴としている。
この発明によれば、音声1kHzをトリガとしてCM期間のIN点とOUT点が判別されるので、CM素材のCM期間については開始と終了をユーザーが手動で設定する必要がなくなり、ユーザーの手を煩わせることなく、CM期間の抽出と字幕表示の合否判定の自動化が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声1kHzをトリガとしたCM期間の判定方法を用いて、CM素材のそのCM期間中の字幕表示の合否を判定する機能を持つことを特徴とした字幕監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CM素材のCM期間中の字幕表示の合否を判定する機能を持つことを特徴とした字幕監視装置は、字幕表示の運用において守るべき、CM開始後の1秒間に字幕が表示されないこと、CM終了前の1秒間に字幕が表示されないこと、字幕を消去するクリアスクリーンの実行でCMが終了していること、を自動で監視できるものの、CM素材のCM期間については開始と終了をユーザーが装置スイッチ/接点入力/CM期間の時間入力等より手動で設定する必要がある。
【0003】
またCM素材に多重されるタイムコードのリニアリティにより、その開始と終了を自動的に判別できる機能はあるものの、全てのCM素材にタイムコードが多重されているわけではなく、結果、字幕表示の合否判定は自動化できず人の手を離れない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願2007−198819号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、CM素材のCM期間中の字幕表示の合否を判定する機能を持つことを特徴とした字幕監視装置は、CM素材のCM期間については開始と終了をユーザーが装置スイッチ/接点入力/CM期間の時間入力等より手動で設定する必要があり、またCM素材に多重されるタイムコードのリニアリティにより、その開始(IN点)と終了(OUT点)を自動的に判別できる機能はあるものの、全てのCM素材にタイムコードが多重されているわけではなく、結果、字幕表示の合否判定は自動化できず人の手を離れない、という問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決し、CM素材のCM期間を抽出することを含めて字幕表示の合否判定を自動化することが可能な装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決する為に、本発明のCM素材のCM期間中の字幕表示の合否判定機能を持つ字幕監視装置は、CM素材のCM期間開始前に存在する音声1kHzをトリガとして、その音声1kHzの終わりをもってCM期間のIN点を判別し、またCM素材を格納するバンクのもつCM期間終了後に音声1kHzを多重する機能を利用することにより、そのCM期間終了に多重された音声1kHzのはじまりをもってCM期間のOUT点を判別する機能を持つことを特徴とした装置に関するものである。
【0008】
この発明によれば、音声1kHzをトリガとしてCM期間のIN点とOUT点が判別されるので、CM素材のCM期間については開始と終了をユーザーが装置スイッチ/接点入力/CM期間の時間入力等より手動で設定する必要がなくなり、ユーザーの手を煩わせることなく、CM期間を抽出することを含めて字幕表示の合否判定の自動化が可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、CM素材のCM期間についてIN点とOUT点をユーザーが装置スイッチ/接点入力/CM期間の時間入力等より手動で設定する必要がなくなり、音声1kHzをトリガにしてCM素材のCM期間のIN点とOUT点が判別することが可能であるので、CM期間を抽出することを含めて字幕表示の合否判定が自動化でき、ユーザーの負担が大幅に軽減されるとともに、ユーザーが常時監視する必要がなくなることから、作業の効率化にもつながるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】従来技術による字幕監視装置のブロック図である。
【図2】従来技術による字幕監視装置の画面表示図である。
【図3】本発明による音声1kHzをトリガとしてCM期間を自動判別する為のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、従来の技術について図1を用いて説明する。
【0012】
SDI信号100を字幕監視装置300に入力し、入力コンバータ回路110にて映像データ112に変換する。
【0013】
アンシラリデコーダ回路120にて、入力データ112から映像データ121と字幕データ122を抽出する。
【0014】
字幕文作成&合否判定回路130にて、字幕データ122から画面に表示される文言となる字幕文データ132を作成する。またスイッチ操作あるいはPC制御200からのIN点設定202とOUT点設定204にてCM期間を入力し、その期間中に字幕データ124を監視することで字幕表示の合否判定134を行う。
【0015】
画面コンバータ回路140にて、映像データ121と字幕文データ132より字幕付き映像を作成し、合否判定134より、それに字幕表示の合否判定結果も付加して画面データ142を作成する。
【0016】
出力コンバータ回路150にて、SDI出力152とHDMI出力154を字幕監視装置300より出力する。
【0017】
以上により、本装置をモニタとつなぐことでCM素材の字幕監視が可能となり、ユーザーがIN点とOUT点を設定することでCM期間中の字幕表示についての合否判定結果もモニタ可能となる。但し、CM素材のCM期間中の字幕表示の合否判定についてはユーザーがIN点とOUT点を設定することが必要不可欠となり、CM素材毎にその作業を行うことは効率的ではなくユーザーの負担も大きい。
【0018】
次に、従来の技術を字幕監視装置に適用し、外部モニタに接続した場合の画面表示について図2を用いて説明する。
【0019】
画面400には、CM素材の字幕文付き映像402とユーザーがIN点とOUT点を入力することで設定したCM期間中の字幕表示の合否判定結果404が表示される。
【0020】
次に、本発明による音声1kHzトリガ機能を字幕監視装置に追加した場合について図3を用いて説明する。
【0021】
SDI信号100を字幕監視装置300に入力し、入力コンバータ回路110にて映像データ112に変換する。
【0022】
アンシラリデコーダ回路120にて、入力データ112から映像データ121と字幕データ122と音声データ124を抽出する。
【0023】
音声1kHzトリガ回路500にて、音声データ124から1kHz音声を検出する。音声1kHz検出は、スイッチ操作あるいはPC制御200からの音声CH設定206にて選択された音声チャンネルに対して、その音声データの符号ビットの変化する間隔をみて判断する。それにより検出した音声1kHzのおわりをCM期間の開始となるIN点設定(AUTO)502とし、その後CM期間中に検出した音声1kHzのはじまりをCM期間の終了となるOUT点設定(AUTO)504とする。尚、ユーザーが手動でIN点とOUT点を設定する必要もあることを想定して、スイッチ操作あるいはPC制御200からのIN点設定202とOUT点設定204も実行可能とする。
【0024】
字幕文作成&合否判定回路130にて、字幕データ122から画面に表示される文言となる字幕文データ132を作成する。また音声1kHzトリガ回路500からのIN点設定(AUTO)502とOUT点設定(AUTO)504にてCM期間を入力し、その期間中に字幕データ122を監視することで字幕表示の合否判定134を行う。
【0025】
ここでCM期間の開始と終了を微調整するために、字幕文作成&合否判定回路130では、CM期間の開始となるIN点設定(AUTO)502はそのタイミングを実際の音声1kHzのおわりからある程度遅らせることを可能とし、同じく字幕文作成&合否判定回路130にて、CM期間の終了となるOUT点設定(AUTO)504はそのタイミングを、過去の字幕データ122を参照することで相対的に、実際の音声1kHzのはじまりからある程度さかのぼることを可能とする。両者のタイミングはスイッチ操作あるいはPC制御200からのタイミング設定208にて行われる。
【0026】
画面コンバータ回路140にて、映像データ121と字幕文データ132より字幕付き映像を作成し、合否判定134より、それに字幕表示の合否判定結果も付加して画面データ142を作成する。
【0027】
出力コンバータ回路150にて、SDI出力152とHDMI出力154を字幕監視装置300より出力する。
【0028】
以上により、本装置をモニタとつなぐことでCM素材の字幕監視が可能となり、音声1kHzトリガを用いることでIN点とOUT点が自動で設定でき、CM期間中の字幕表示についての合否判定結果もモニタ可能となる。
【0029】
これにより、CM素材のCM期間中の字幕表示の合否判定についてユーザーが手動でIN点とOUT点を設定する必要がなくなり、CM期間を抽出することを含めて字幕表示の合否判定が自動化でき、ユーザーの負担が大幅に軽減されるとともに、履歴を保存しておくことでユーザーが常時監視する必要がなくなることから、作業の効率化が図れる。
【0030】
また本発明における音声1kHzトリガ機能は、判定対象に制限はなく、例えば聴感を定量的に表現するラウドネスの測定装置に実装することで、CM期間中のラウドネスの運用規定を監視できるラウドネス監視装置としても転用できる。
【符号の説明】
【0031】
100 SDI信号
110 入力コンバータ回路
112 入力データ
120 アンシラリデコーダ回路
121 映像データ
122 字幕データ
124 音声データ
130 字幕文作成&合否判定回路
132 字幕文データ
134 合否判定
140 画面コンバータ回路
142 画面データ
150 出力コンバータ回路
152 SDI出力
154 HDMI出力
200 スイッチ操作あるいはPC制御
202 IN点設定
204 OUT点設定
206 音声CH設定
208 タイミング設定
300 字幕監視装置
400 画面
402 字幕付き映像
404 合否判定結果
500 音声1kHzトリガ回路
502 IN点設定(AUTO)
504 OUT点設定(AUTO)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声1kHzのはじまりとおわりをトリガとしてCM素材のCM期間を自動判別し、そのCM期間中の字幕表示の合否判定する機能をもつことを特徴とする字幕監視装置。
【請求項2】
前記CM期間を自動判別する機能は、その機能に加えてCM期間を字幕監視装置のスイッチ等から手動で設定することもできることを特徴とする請求項1に記載の字幕監視装置。
【請求項3】
前記CM期間を自動判別する機能は、CM期間の開始と終了のタイミングを微調整できることを特徴とする請求項1、2に記載の字幕監視装置。
【請求項4】
前記CM期間を自動判別する機能は、ラウドネス測定装置に実装することでCM期間中のラウドネスの運用規定も自動判定できるようになることを特徴とする請求項1、2、3に記載の字幕監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−89990(P2013−89990A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225667(P2011−225667)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000101330)アストロデザイン株式会社 (28)
【Fターム(参考)】