学習用教材

【課題】特色のインクを用いることなく標準4色のインクで印刷することができ、しかも印刷現場での微妙な色調整の手間が不要で、且つ印刷機械をはじめとする技術に左右されない安価な学習用教材を提供する。
【解決手段】本発明は、媒体1の特定領域2に色地3を印刷し、更に当該特定領域2の上記色地3より文字4の形を抜きとり、当該箇所にマゼンタインク、またはイエローインクとマゼンタインクとの混合色により文字4を印刷し、赤色フィルタ5を重ねた際に上記色地3の模様の視認性を高め、上記文字4の視認性を低くすることで当該文字の暗記を促すことを特徴とする学習用教材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習効率を高める学習用教材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、学習効率を高める為の各種工夫が施された書籍等の学習用教材が多数存在する。
【0003】
例えば、特許文献1では、黒色印刷による一連の表示のうち特定表示のみを包囲する区域の地を、表示の視認を可能に保ちつつ、一つの補色対の一方の色に着色した書面と他方の色で透明に一様に着色されたチェックシートとを組にし、チェックシートの透視下における区域の暗転した地色に特定の表示を混同させる暗記能率増進学習具が開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、学習教材において重要語句や解説文に用いる特定の文字や地色と、着色透明フィルムを組み合わせた学習教材が開示されている。この学習教材は、重要語句や解説文の文字や文字の地色を印刷する色と付属の着色透明フィルムの色を重ねた時に両者の色との組み合わせによって上記文字を判読不能とするものである。
【特許文献1】特公昭57−37871号公報
【特許文献2】特開平11−202748号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
今日ではカラーの写真や絵等を多く採用するため、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)、ブラック(B)といった標準4色を用いた学習教材が求められている。
【0006】
しかしながら、上記従来技術に係る発明では、文字(スミ)に赤マーカーで背景に色付けする、または赤の色地を背景に印刷し、緑色の透明フィルタを掛けて背景を黒くして見えなくする方法や、赤系の文字に赤色の透明フィルタを掛けて文字を見えなくする方法が開示されているが、これら文献では暗記学習する箇所に2色(文字色と網色)を用いることは記載されているが、標準4色を使用した学習教材とするための工夫は示唆されていない。この標準4色を用いたカラーの学習教材で赤色フィルタにより文字等を見えなくするためには、赤色フィルタに対応した微妙な色合いの特殊調合したインク、つまり特色を上記標準4色とは別に使った学習用教材が実施されている。
【0007】
通常の印刷機械・技術においては、標準4色で概ね必要な色を表現することができるので、カラー写真等を印刷する場合は、この標準4色で対応できる。
【0008】
しかし、そこに特色を用いる場合、この標準4色の中から必要な色インクを特色インクに置き換える必要がある。例えば、マゼンタ(100%)をオレンジの特色(例えば、マゼンタ80%、イエロー60%の混色に相当するインク)に置き換えると、本来マゼンタ100%で出すべき色の部分がこのオレンジの特色の色が指定されるため本来の色が出せない。
【0009】
そのため、インクの影響を受けて、写真や絵等のカラー印刷に関しては、この特色インクの影響を受けて写真や絵等が本来有する色をそのまま表現できないという不具合が生じる。
【0010】
また、特色を用いる場合には、印刷技術や印刷機械によって、微妙に色合いが異なることがあり、出来上がった教材にフィルタを掛けても文字等が見えてしまう等の不具合も生じるので、印刷現場で微妙な色調整を行う必要があり、非常に手間がかかる。
【0011】
本発明の目的とするところは、特色のインクを用いることなく標準4色のインクで印刷することができ、しかも印刷現場での微妙な色調整の手間が不要で、且つ印刷機械をはじめとする技術に左右されない安価な学習用教材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の一態様では、媒体の特定領域に色地を印刷し、更に当該特定領域の上記色地より文字の形を抜き取り、当該箇所にマゼンタインク、又はイエローインクとマゼンタインクとの混合色により文字を印刷し、赤色フィルタを重ねた際に上記色地の模様の視認性を高め、上記文字の視認性を低くすることで当該文字の暗記を促すことを特徴とする学習用教材が提供される。
【0013】
この態様において、上記色地は、マゼンタのインク濃度が100%でシアンまたはブラックのインク濃度が15%乃至35%の色で印刷されてもよい。
【0014】
また、この態様において、上記媒体の特定領域に印刷される上記色地に白地を混ぜることで地紋を形成することとしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、特色のインクを用いることなく標準4色のインクで印刷することができるので、印刷現場での微妙な色調整の手間が不要で、且つ印刷機械をはじめとする技術に左右されない安価な学習用教材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
図1は赤色フィルタを重ねていない状態の学習用教材を示す図であり、図2は赤色フィルタを重ねた状態の学習用教材の様子を示す図であり、図3は図1の学習用教材の一部拡大図である。図1乃至3に示されるように、この学習用教材では、紙等の媒体1に文字が印刷されており、当該文字のうち暗記対象の文字4については、背景として色地3が印刷された特定領域2の中に印刷されている。暗記対象の文字4は、100%濃度のマゼンタ(M)と100%濃度のイエローとを混合したインクで印刷されている。このように混合したインクは、100%濃度のマゼンタ(M)のインクよりも視認性が高く、後述する赤色フィルタ5を重ねたときに視認不能とする作用も損なわれない。
【0018】
一方、色地3に使うのに好適な色としては、標準4色のうちのシアン(C)とブラック(K)があるが、ブラック(K)よりもシアン(C)の方が赤色フィルタ5を重ねていないときの審美性が高いので、ここではシアン(C)を使用している。
【0019】
ここで、赤色フィルタ5を重ねると、標準4色の色が見えなくなり、文字や地色が黒色の濃淡で影のように見えるようになる。そして、この影の「濃さ」は、標準4色で以下のように異なる。
【0020】
マゼンタ(M)… 赤色フィルタ5の色に同調しやすく見え難い。
【0021】
イエロー(Y)… 赤色フィルタ5の色で完全に見えなくなる。
【0022】
シアン (C)… 赤色フィルタ5に同調しにくいので見え易い。
【0023】
ブラック(K)… 赤色フィルタ5に同調しにくいので見え易い。
【0024】
尚、「見え難い」とは赤色フィルタ5をかけたときに薄い影に見えるという意であり、「見え易い」とは逆に濃い影に見えるという意である。
【0025】
しかるに、上記文字4に使う100%濃度のマゼンタ(M)と100%濃度のイエロー(Y)の混合色は、赤色フィルタ5を重ねると薄い影に見える。色地3に使うシアン(C)は、赤色フィルタ5を重ねると濃い影に見える。そこで、シアン(C)の濃度を90%、80%、70%…と濃度を下げていけば、徐々に薄い影に見えるようになる。
【0026】
この文字4に赤色フィルタ5を重ねたときの影が、色地3の赤色フィルタ5を重ねたときの影と略同じ濃さになるように調整した結果、色地3はシアン(C)の濃度を25%とするのが好適であることが解った。この関係下では、赤色フィルタ5を重ねたときに、文字が見え難くなる。そこで、この実施の形態に係る学習用教材では、図3に示されるように、更に25%の濃度のシアン(C)の色地3に模様を入れる。即ち、濃度25%のシアン(C)の色地3の中に、白地を不規則に入れ、赤色フィルタ5を重ねたときに白地と色地3の部分が斑模様に見えるようする。赤色フィルタ5の影響で、当該赤色フィルタ5をかける前よりも斑模様は明確に見える。尚、色地3の模様の色は、ブラック(K)でもよい。また、シアン(C)の濃度は25%には限定されず15〜35%程度であれば色フィルタ5を重ねたときに文字4を見え難くする機能を奏するので、多少のインク濃度にブレがあっても問題は無い。
【0027】
そして、この色地3より形抜きした箇所に、前述したマゼンタ(M)100%とイエロー(Y)100%を混合した色のインクで文字4を印刷する。すると、赤色フィルタ5を重ねたとき、文字4の影と色地3の影の濃度の差よりも、影と白地部分の濃度の差の方が遥かに大きい為に、白地の白が目立ち、文字4の影が目立たなくなり、文字4が読み難くなるので、完全に消すまでには至らなくても、浮きでた模様が目立つことで読み難くなる。
【0028】
尚、使用する赤色フィルタ5の濃さは、色地3の色の濃度と関係がある。薄い赤色フィルタ5を使うと、文字4の部分が濃く見えるために色地3の色の濃度を濃くしないと文字が見えてしまう。つまり、使う赤色フィルタ5を事前に決めておけば、それに応じて色地3の濃度を設定するだけで文字を見えなくすることが可能である。
【0029】
以上説明したように、本発明の一実施の形態によれば、標準4色のインクを用いて印刷することができ、印刷した際に多少インク濃度にブレがあっても文字を学習用途で見え難くすることができる。
【0030】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなくその趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良・変更が可能であることは勿論である。尚、色地3はその色地と白地が適度の割合で存在するよう模様状、つまり地紋とした。この地紋の模様については、今回の模様以外でも見え難くすることができる。綺麗に見えるかどかは白地の大きさと割合によるところが大きい。白地が小さいと、即ち細かい模様だと文字は見え易くなるので、過度な白地の大きさと割合が必要である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施の形態に係る学習用教材の構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る学習用教材に色フィルタを重ねた際の様子を示す図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る学習用教材の特定領域2の地紋の模様を拡大して示した図である。
【符号の説明】
【0032】
1・・・媒体、2・・・特定領域、3・・・色地、4・・・文字、5・・・赤色フィルタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体の特定領域に色地を印刷し、更に当該特定領域の上記色地より文字の形を抜き取り、当該箇所にマゼンタインク、又はイエローインクとマゼンタインクとの混合色により文字を印刷し、赤色フィルタを重ねた際に上記色地の模様の視認性を高め、上記文字の視認性を低くすることで当該文字の暗記を促すことを特徴とする学習用教材。
【請求項2】
上記色地は、マゼンタのインク濃度が100%でシアンまたはブラックのインク濃度が15%乃至35%の色で印刷されることを更に特徴とする請求項1に記載の学習用教材。
【請求項3】
上記媒体の特定領域に印刷される上記色地に白地を混ぜることで地紋を形成することを更に特徴とする請求項1に記載の学習用教材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−123334(P2006−123334A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−314386(P2004−314386)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(000000930)株式会社学習研究社 (8)