説明

安全カミソリ

【課題】 本発明は、サポートを安全カミソリのハンドルの一部として利用することにより、安全カミソリとして使用するときに十分に長いハンドルを得ることを課題とする。さらには、サポートを電動トリマーなどの電動具としたときに、サポートと安全カミソリ本体とが協働して使用し易い握り具合を得ることを課題とする。
【解決手段】 サポートがその把持部の基部においてサポートに対して横方向に延びる回転軸線を中心に回転可能となるようにサポート保持部に結合され、サポートの把持部と反対側に作用部が設けられており、安全カミソリ本体による髭剃り時に、作用部はカミソリヘッドに設けられた空間部に置かれ、且つ把持部はサポート保持部よりも下方向に延びサポート保持部と協働して安全カミソリのハンドルを構成し、サポートを使用する際にその作用部が使用可能な位置までサポートが回転可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に男性が使用する安全カミソリに関し、さらには電動トリマーなどのサポートを有する安全カミソリに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、鼻毛カッターのサポートを備えた安全カミソリは存在している(例えば、特許文献1参照。)。また、通常サイズの刃を有する安全カミソリに小型サイズの刃を有する幅狭の安全カミソリをサポートとして備えた安全カミソリも存在している(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】実開昭55−130669号公報
【特許文献2】特表2008−506480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、サポートを安全カミソリのハンドルの一部として利用することにより、安全カミソリとして使用するときに十分に長いハンドルを得ることを課題とする。
【0004】
また、サポートを電動トリマーなどの電動具としたときに、サポートと安全カミソリ本体とが協働して使用し易い握り具合を得ることを課題とする。
【0005】
特許文献1及び特許文献2のサポートは、いずれも安全カミソリの使用時にハンドル内にほぼ完全に格納されるので、サポートを安全カミソリのハンドルの一部として使用していない。したがって、これらの安全カミソリは使用時に十分な長さのハンドルを得ることができない。また、特許文献1及び特許文献2の安全カミソリにおいて十分な長さのハンドルを採用するときは、サポートの使用時における安全カミソリ全体の長さが、十分に長いハンドルとサポート全体の長さの合計となって長すぎるために使用しづらい欠点を有する。本発明は、サポートの使用時に安全カミソリ全体が長すぎることなく、かつ安全カミソリの使用時にはサポートをハンドルの一部として十分な長さのハンドルを得ることができる安全カミソリを提供しようとするものである。
【0006】
また、安全カミソリで髭を剃るときは安全カミソリを引きながら作業を行う。この場合、安全カミソリを引くので、刃先は皮膚の上を滑るように移動するから、ハンドルを指で軽く握るだけで髭剃りを円滑に行うことができる。これに対して、電動トリマーを使用するときは刃先を前に押し進めるように作業を行う。電動トリマーの刃先を前に押し進めると、その刃先が皮膚を押上げるので刃先の移動に抵抗し、モーターの振動と相俟って円滑に皮膚の上を滑らない。そこで、電動トリマーを使用するときはハンドルを手でしっかり握って、皮膚の抵抗を克服しながら電動トリマーを移動させる必要がある。あるいは、電動トリマーのハンドルをしっかり握って、皮膚の抵抗をなるべく受けないように抵抗を上手に捌いて刃先を押し進める必要がある。このようなことは、電動鼻毛カッターでも同様である。そこで、本発明は、サポートを電動トリマーなどの電動具としたときに、ハンドルをしっかり握ることができ、皮膚の抵抗を受けないように抵抗を上手に捌くことができるハンドルを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1は、安全カミソリ本体とサポートとから成り、安全カミソリ本体は髭切断構造とカミソリヘッドとサポート保持部とを有し、前記髭切断構造はカミソリヘッドの上部に存在し、前記サポート保持部はカミソリヘッドの下方に存在し、サポートは細長く形成され把持部を有し、その把持部はサポートの途中部分を基部として長さ方向にサポート端部まで延びており、且つサポートはその把持部の基部においてサポートに対して横方向に延びる回転軸線を中心に回転可能となるようにサポート保持部に結合され、サポートの把持部と反対側に作用部が設けられており、安全カミソリ本体による髭剃り時に、作用部はカミソリヘッドに設けられた空間部に置かれ、且つ把持部はサポート保持部よりも下方向に延びサポート保持部と協働して安全カミソリのハンドルを構成し、サポートを使用する際にその作用部が使用可能な位置までサポートを回転させることができる構成である。
【0008】
請求項2は、安全カミソリの使用時に、その安全カミソリの、顔の表面と対向する側を前側、その前側と反対の側を後ろ側と定義して、カミソリヘッドに設けられた空間部に後壁が存在する要素が請求項1に付加された構成である。
【0009】
請求項3は、サポート保持部の上部に後壁が設けられ、サポートの使用時に、サポートの把持部が前記後壁に設けられた受け部に当接し、サポートは安全カミソリ本体の長さ方向に対して傾斜した状態で使用される要素が請求項2に付加された構成である。
【0010】
請求項4は、サポートの回転軸線が通るその両側部に一対のジャーナル軸が設けられ、サポート保持部に前記ジャーナル軸の軸受が設けられている要素が請求項1乃至請求項3のいずれか一項に付加された構成である。
【0011】
請求項5は、サポート保持部に長孔が設けられ、この長孔の下側の端部がジャーナル軸の軸受に形成され、サポートのジャーナル軸を長孔の上側の端部まで移動させることによりサポートが安全カミソリ本体に対してその上方向に移動したときに、サポートの端部の前方への回転を阻止するための回転阻止手段を備えている要素が請求項4に付加された構成である。
【0012】
請求項6は、サポートはコードレスの電動であって電源スイッチを有し、この電源スイッチは把持部の端部側部分を形成し、且つサポートの長さ方向の中心軸線を中心に回転可能となるようにサポートに取り付けられ、電源スイッチを回転することによって電流がオンオフし、サポートの作用部をカミソリヘッドに設けられた空間部に収納し且つサポートを安全カミソリ本体に対してその上方に移動させたときに、電源スイッチの回転を阻止するための手段が電源スイッチとサポート保持部との間に設けられている要素が請求項1乃至請求項5のいずれか一項に付加された構成である。
【0013】
さらに、本願発明のサポートはコードレスの電動トリマーあるいはスリット外刃と回転駆動される内刃を備えた電動鼻毛カッターであることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
請求項1は、サポート保持部がカミソリヘッドの下方に存在し、サポートは細長く形成され把持部を有し、その把持部はサポートの途中部分を基部として長さ方向にサポート端部まで延びており、且つサポートはその把持部の基部においてサポートに対して横方向に延びる回転軸線を中心に回転可能となるようにサポート保持部に結合され、サポートの把持部と反対側に作用部が設けられており、安全カミソリ本体による髭剃り時に、作用部はカミソリヘッドに設けられた空間部に置かれ、且つ把持部はサポート保持部よりも下方向に延びサポート保持部と協働して安全カミソリのハンドルを構成し、サポートを使用する際にその作用部が使用可能な位置までサポートを回転させることができる。したがって、サポートの把持部を安全カミソリのハンドルの一部として利用することにより、安全カミソリの使用時に十分に長いハンドルを得ることができる。
【0015】
請求項2は、安全カミソリの使用時に、その安全カミソリの、顔の表面と対向する側を前側、その前側と反対の側を後ろ側と定義して、カミソリヘッドに設けられた空間部に後壁が存在する構成である。したがって、空間部に置かれたサポートの作用部が空間部の後壁によって覆われるから、安全カミソリ本体の使用時に安全カミソリの後面に宛がわれている指が作用部に触れることがない。
【0016】
請求項3は、サポート保持部の上部に後壁が設けられ、サポートの使用時に、サポートの把持部が前記後壁に設けられた受け部に当接し、サポートは安全カミソリ本体の長さ方向に対して傾斜した状態で使用される構成である。このような構成によって、恰も本発明のサポートがピストルの銃身に該当し、安全カミソリ本体がピストルのハンドルに該当する位置関係になる。ピストルは銃弾が発射されるときに大きな衝撃が生じるからハンドルは銃身から受ける力に対して最もしっかり握っていられる位置関係にあり、且つハンドルは標的を確実に狙うために銃身の方向を上手に捌ける位置関係にある。したがって、安全カミソリ本体をハンドルのようにして握ることにより、サポートを安定した状態でしっかり持って作業することができる。特にサポートが電動トリマーである場合の使用時に安全カミソリ本体をハンドルのようにして握れば、モーターの振動に影響されることなくハンドルをしっかり握ることができ、皮膚の抵抗を克服しながら電動トリマーを容易に移動させることができる。あるいは刃先を押し進めるときに皮膚の抵抗を受けないように抵抗を上手に捌くことができる。このことは、サポートがスリット外刃と回転駆動される内刃とを備えた電動鼻毛カッターでも同様である。
【0017】
請求項4は、サポートの回転軸線が通るその両側部に一対のジャーナル軸が設けられ、サポート保持部にジャーナル軸の軸受が設けられている。したがって、ジャーナル軸線を回転軸線としてサポートをサポート保持部に対して回転することができる。
【0018】
請求項5は、サポート保持部に長孔が設けられ、この長孔の下側の端部がジャーナル軸の軸受に形成され、サポートのジャーナル軸を長孔の上側の端部まで移動させることによりサポートが安全カミソリ本体に対してその上方向に移動したときに、サポートの端部の前方への回転を阻止するための回転阻止手段が備えられている。サポートのジャーナル軸を長孔の上側の端部まで移動させてサポートが安全カミソリ本体に対してその上方向に移動した状態は、安全カミソリ本体の使用状態である。したがって、安全カミソリの使用時に不意にサポートが回転して作用部が飛び出すことを防止できる。
【0019】
請求項6は、サポートの作用部をカミソリヘッドに設けられた空間部に収納し且つサポートを安全カミソリ本体に対してその上方に移動させたときに、電源スイッチの回転を阻止するための手段が電源スイッチとサポート保持部との間に設けられている。したがって、安全カミソリ本体の使用時に不意に電源スイッチがオンとなって作用部が作動することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明の実施態様について説明する。安全カミソリ1は、安全カミソリ本体2とサポート3とを有する。サポート3は安全カミソリ本体2に対し回動可能にジャーナル結合されている。安全カミソリ本体2は、カミソリヘッド4と、髭切断構造であるカートリッジ替刃5とサポート保持部6とを有する。カートリッジ替刃5はカミソリヘッド4の上部に着脱自在に取り付けられている。カミソリヘッド4にはカートリッジ替刃5を保持する一対の替刃取り付けアーム13と、そのアーム13を動かしてカートリッジ替刃5を着脱するための機構が取り付けられている。その機構は、カートリッジ替刃を着脱するための公知の技術が使用される。カミソリヘッド4の後壁7に取り付けられたボタン8を押すことによってカートリッジ替刃5を着脱することができる。
【0021】
カミソリヘッド4は、後壁7及び両側壁10,10に囲まれた空間部11を有する。空間部11の前部には、空間部11の上部から下方に突出する板状のストッパー12がカミソリヘッド4と一体に設けられている。このストッパー12はサポート3の回転を阻止するためのものである。
【0022】
サポート保持部6は下方に延びる一対のアーム9,9を有している。それぞれのアーム9,9の下部にアーム9の長さ方向に延びる長孔14が設けられている。長孔14の下側の端部にジャーナル軸の軸受15が形成されている。この軸受15にサポート3のジャーナル軸16がジャーナル結合する。ジャーナル軸16は大径の頭部17を有しており、ジャーナル軸16が軸受15から外れることを防止する。また、軸受15内のジャーナル軸16が自然に長孔14の上部に移動することを防止するために、軸受15の上方開口は幅狭に形成されている。
【0023】
サポート保持部6の上部には、カミソリヘッド4の後壁7から一体に続く後壁18が設けられている。図4に示すように、サポート3を使用するときはサポート3を安全カミソリ本体2の長さ方向に対して傾斜した状態で使用するが、そのときに、回転させたサポート3の把持部20を留め置くための受け部19が後壁18に設けられている。受け部19は凹面状に形成されて、円筒形の把持部20の形状に合わせてある。ただし、受け部19は凹面状のものに限定されるものでなく、例えば平面状であってもよい。
【0024】
安全カミソリ本体1は、カートリッジ替刃5のカバー21を備えている。カバー21は、カートリッジ替刃5の不使用時に刃先を覆うと共に、カートリッジ替刃5の前面と両側面を覆う。また、カートリッジ替刃5の使用時は、カートリッジ替刃5の下方にカバー21を移動させてカートリッジ替刃5の刃先を露出させる。カバー21を下方に移動させるときに、空間部11内にあるサポート3が邪魔にならないように、カバー21の前面に半円形の凹部46が設けられている。同様に、カミソリヘッド4の両側壁10,10及び又はサポート保持部6の両側壁が邪魔にならないように、半円形の凹部46の両側に凹部47,47が設けられている。図10は、カバー21がカートリッジ替刃5の刃先を覆っている状態の説明図である。カバー21は、カバー体22の一部をなしている。すなわち、カバー体22は、カバー21と、カバー支持アーム23と、連結杆24とから成る。カバー21は一対のカバー支持アーム23に支持され、各カバー支持アーム23の基部に連結杆24が設けられている。カバー体22はプラスチックで一体に形成されている。カミソリヘッド4の両側壁10,10及び又はサポート保持部6の両側壁の内面に一対のクランク25が支点26を中心に回転可能に取り付けられている。一対のクランク25は横方向に延びるシャフト(図示せず)によって一体的に連結されている。クランク25の支点26と反対側の端部と、連結杆24の端部が軸27で結合されている。連結杆24の他方の端部に突起28が設けられている。カミソリヘッド4の両側壁10,10及び又はサポート保持部6の両側壁の内面にカム溝29が設けられ、突起28はこのカム溝29内を移動する。したがって、図10の、カバー21がカートリッジ替刃5の刃先を覆っている状態から、カバー21を手で摘んで下方に移動させると、突起28がカム溝29内を移動して図11に示すようにカム溝29の他方の端部に移動する。この操作により、カバー21はカートリッジ替刃5の下方に位置し、且つカム運動によりカバー21の全体がカートリッジ替刃5の上面で構成される髭剃り面よりも後退するのでカートリッジ替刃5を使用することができる。
【0025】
前述したように、カバー21はカートリッジ替刃5の刃先を覆う作用をなすが、以下の作用もなす。すなわち、図2は安全カミソリの使用状態を示しているが、このとき、サポート3は安全カミソリ本体2に対して最も上方に位置している。安全カミソリの使用が終了してサポート3を使用するときは、図5に示すようにカバー21でカートリッジ替刃5を覆い、サポート3を下げ、次いでサポート3を回転させる。このときに、カバー21を移動させることなく、カートリッジ替刃5を覆っていない状態でサポート3を下げサポート3を回転させようとすると、サポート3の上端部がカバー21に当たってサポート3の回転が阻止される。このように、カートリッジ替刃5の刃先を露出したままではサポート3が使用できないという安全対策が講じられている。また、サポート3の使用中にカバー3が動いてカートリッジ替刃5の下方に移動したときは、サポート3の使用後にサポート3を不使用時の位置に戻そうとしてもカバー21に当たって戻すことができないから、カバー21がカートリッジ替刃5の刃先を正しく覆っていないことを把握できる。したがって、カートリッジ替刃5の刃先を露出させたままで安全カミソリを保管することがない。
【0026】
サポート3は、モーター及び電池を内蔵する電動トリマーである。一方の端部が作用部であり、櫛状の固定刃と櫛状の可動刃を備えている。図9に示すように、サポート3は幅広刃30と幅狭刃31の2種類の刃を使うことができる。幅狭刃31はサポート3の端部に恒久的に取り付けられている。電源スイッチをオンすると可動刃が左右に往復動する。サポート3の端部側面に可動突起32が突出しており、その可動突起32は前記可動刃の往復動と連動して横長孔48内を往復移動するように取り付けられている。
【0027】
幅広刃30はアタッチメント33の端部に取り付けられている。アタッチメント33はキャップ状をなし、幅狭刃31の上からサポート3の端部に嵌合凹部49を利用して着脱可能に取り付けることができる。アタッチメント33をサポート3の端部に取り付けたときに、幅広刃30の可動刃が可動突起32と連結する。したがって、電源スイッチをオンすると、幅狭刃31の可動刃及び可動突起32が左右に往復動し、それと同時に幅広刃30の可動刃も往復動する。これによって、幅広刃30を使用することができる。なお、幅狭刃をサポート3に恒久的に取り付けず、アタッチメントを2つ用意して、一方を幅広刃のものとし他方を幅狭刃のものとして、いずれもサポートに交換可能に着脱できる構成にしてもよい。
【0028】
図6(a)に示すように、サポート3の一方の側面に3つの凹部34,35,36が設けられている。上側の凹部34は長さ方向に細長く形成され、凹部34の上端から下端に行くに従ってその底が徐々に浅くなるように形成されている。下側の凹部36はサポート3の側面の中心線よりもやや右側に偏倚している。
【0029】
図7及び図8は、前述した凹部34,35,36と係止する2つの凸部37,38を設けた係止部材39である。係止部材39はその両側に一対の支軸40,40を有している。係止部材39はその支軸40,40を中心に回転できるように一方のアーム9に取り付けられている。したがって、その一方のアーム9とサポート3との間に係止部材39が介在している。係止部材39は端部にボタン41が設けられており、図4に示すようにボタン41は一方のアーム9に設けた孔の中に位置している。係止部材39には弾性片42が一体に設けられており、この弾性片42は弾性的にアーム9の内面に圧接している。この弾性力によって、ボタン41がアーム9の表面から突出する方向に付勢される。同時に、係止部材39の凸部37,38がサポート3の凹部34,35,36方向に付勢される。
【0030】
図1は、サポート3が安全カミソリ本体2に対して最も上方にある状態を示している。カートリッジ替刃5で髭剃りを行うときは、図2に示すようにカバー21を下方に移動させて行う。安全カミソリ1の持ち方の一つは、手の平でサポート3の把持部20を電源スイッチ43を含めて包むように握り、親指と人差し指をサポート保持部6両側面に宛がう。使用者の好みによって、サポート保持部6の長さ方向に対する親指と人差し指の位置を選択することができる。サポート保持部6のみでは安全カミソリのハンドルとして短すぎるが、これとサポート3の把持部20が協働して十分な長さのハンドルを得ることができる。図1に示すようにアーム9,9は板状に形成され、アーム9,9の周囲は斜面状に面取りがなされている。そして、図2に示すように筒状のサポート3はアーム9,9よりもやや突出しており、その突出しているサポート3の表面と前記アーム9,9の面取りされた周囲の傾斜面とが滑らかな面を形成するので、一つの指がサポート3の表面と前記アーム9,9の面取りされた周囲の傾斜面を同時に握ったときに段差を感じさせることなく握り心地が悪くなることがない。また、安全カミソリの持ち方の他の一つは、前述の持ち方よりも手の位置を安全カミソリの下方に下げ、親指と中指をアーム9の中ほどに宛がい、人差し指先方の腹を図3に示す受け部19に宛がって使用する。この場合、電源スイッチ43の端部が手の平に支持される。また、サポート保持部6の両側の表面にそれぞれ横方向に延びる5つの突条が滑り止めとして形成されている。滑り止めのための突条は、図1に示すようにサポート保持部6のほかカバー21の側面と、サポート3にも形成されている。
【0031】
図1の状態からサポート3を使用するときは、ボタン41を押して凹部35と凸部37の係止状態を解除し、サポート3を安全カミソリ本体2に対して最も下方に移動させてからサポート3を回転する。サポート3を安全カミソリ本体2に対して最も下方に移動させたときの係止状態を示した図が図6(b)である。サポート3の使用後はサポート3を反転させサポート3とアーム9,9とを同じ方向とし、次いでサポート3を安全カミソリ本体2に対して上方に移動させる。そのときに、凸部37は、凹部34の傾斜した底に接しながら凹部34の下方に移動し、凹部34の最も高い部分を乗り越えて凹部35に係止する。凸部37が凹部34内を移動しているときは、凸部37の両側に凹部34の内面が当たるのでサポート3が回転する虞がない。
【0032】
サポート3を安全カミソリ本体2に対して完全に上方に移動させると、トリマー刃は空間部11内に位置し、サポート3の端部はストッパー12の裏側に位置する。したがって、サポート3の端部はストッパー12の存在によっても、前方に回転することがない。また、サポート3の端部は安全カミソリ本体2の一定の部分で囲まれるので、その一定の部分はサポート3の作用部のためのカバーの役目を果たす。再度、サポート3を安全カミソリ本体2に対して下方に移動させるときは、係止部材39のボタン41を押すと係止部材39が支軸40,40を中心に回転して凸部37が凹部35から抜け出し、両者の係止状態が解除されるから、サポート3を円滑に移動できる。
【0033】
さらに、サポート3が安全カミソリ本体2に対して最も下方にあるときは、前述したようにボタン41を押すことによりサポート3を安全カミソリ本体2に対して回転でき得る状態でもある。サポート3を使用するときもこの状態からサポート3を回転させる。図4は、サポート3の使用状態を示す。この状態において、サポート3の把持部20はサポート保持部6の後壁18に設けられた受け部19に留め置かれる。それと共に、係止部材39の凸部38がサポート3の凹部36に係止してサポート3の回転を阻止する。図4に示すように、サポート3の使用状態においては、安全カミソリ本体2は水平状態のサポート3に対して、斜め下方に傾斜している。この状態で、安全カミソリ本体2を手の平全体で包むようにして握り、親指と人差し指とでアーム9,9の先端部表面を摘むと、恰もサポート3がピストルの銃身に該当し、安全カミソリ本体2がピストルのハンドルに該当するような関係となる。ピストルのハンドルはピストルをしっかり安定した状態に保持できる構成であり、これと同様に本発明は安全カミソリ本体2をハンドルのようにしてしっかり安定した状態で保持してトリマー作業をすることができる。再度、サポート3を回転して元の位置に戻すときは、係止部材39のボタン41を押すと係止部材39が支軸40,40を中心に回転して凸部38が凹部36から抜け出し、両者の係止状態が解除されるから、サポート3を円滑に回転できる。
【0034】
サポート3は電動トリマーであるから、電源スイッチを有している。電源スイッチ43は把持部20の端部側部分を形成し、サポート3の長さ方向の中心軸線を中心に回転可能となるようにサポート3に取り付けられている。電源スイッチ43を回転することによって電流がオンオフする。電池は電源スイッチ43に内蔵されている。電池は安全かみそり1の各部品に比して重量が大きいので、安全かみそり1の重心の位置について影響が大きい。図2に示すカートリッジ替刃5の使用時、あるいは図4に示すサポート3の使用時のいずれについても、電池を内蔵している電源スイッチ43は手元に近い位置にある。したがって、安全かみそり1又はサポート3のいずれの使用時においても安定した作業をすることができる。なお、安全カミソリ1の使用中に、安全カミソリ1の一方のアーム9を下側にして洗面台に横向きに置いた場合、すなわちアーム9が洗面台と接するように安全カミソリ1を洗面台に横向きに置いた場合には、サポート3は洗面台との間にアーム9が介在するので洗面台から離間した状態で洗面台に載置される。安全カミソリの使用環境下では洗面台が濡れている場合が多く、サポート3内への水の浸入も心配されるが、サポート3が洗面台と離間しているのでその心配がなくなる。
【0035】
図3及び図6に示すように、電源スイッチ43の側面に係止凸部44が設けられている。係止凸部44は電源スイッチ43の両側にそれぞれ1つ設けられている。サポート3が安全カミソリ本体2の下方にあるときは、係止凸部44はアーム9,9の下方にあって露出している。アーム9の内面の下端に係止溝45が設けられていて、サポート3を上方に移動すると係止凸部44が係止溝45に係止し、カートリッジ替刃5で髭を剃っているときに不意に電源スイッチ43が回転して電源がオンになることを防止できる。
【0036】
次に、本実施態様のサイズについて説明する。図2における安全カミソリ1の全長は約150mmである。安全カミソリ本体2からカートリッジ替刃5と替刃取り付けアーム13を除いた安全カミソリ本体2の全長は約96mmである。アーム9に設けた長孔14内でジャーナル軸16が長孔14の長さ方向に移動できる距離は約10mmである。図6(a)におけるサポート3の全長は約122mmである。ジャーナル軸16の中心からサポート3の下端までの長さは約60mmである。図9における電動トリマーの幅広刃の全長は約13mmである。幅狭刃の全長は約5mmである。サイズは以上の通りであるが、本発明がこれらの数値に限定されないことは勿論である。
【0037】
なお、本発明は前述した構成に基づいて種々の態様をとることが可能である。例えば、サポート3はスリット外刃と回転駆動される内刃を備えた電動鼻毛カッターでもよい。内刃を回転駆動する構成は公知の技術手段が採用される。また、電動具でなく髭剃りブラシなどの手道具であってもよい。また、アーム9は一対のものでなく片方のみのものであってもよい。この場合、サポート3をアームに確実に保持させるために、アームは強固に形成され、サポートのジャーナル軸は太く形成されていることが好ましい。及び又は、長孔14は設けずにサポート3は回転のみ可能で、長さ方向に移動できない構成が好ましい。また、カートリッジ替刃5は、刃を囲う枠部材の前後及び又は左右にシェービングエイドを設けてもよい。シェービングエイドには、トルマリン、シアバター、ココナッツ油、炭成分が重量比0.001〜5%の適量添加されることが好ましい。前記枠部材は、例えばABS樹脂やポリプロピレン樹脂等のプラスチックで成形され、さらにその材料にフッ素樹脂、シリコーン樹脂又はシリコーン油が重量比0.001〜5%の適量添加されることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の安全カミソリ及びサポートの不使用時の斜視図
【図2】本発明の安全カミソリ使用時の側面図
【図3】本発明の安全カミソリ使用時の後面図
【図4】本発明のサポート使用時の側面図
【図5】本発明の安全カミソリ及びサポートの不使用時の側面図
【図6】(a)はサポートの側面図、(b)はサポートと係止部材の係止状態を示す一部拡大断面図
【図7】係止部材をそれが取り付けられているアームの前側から見た図
【図8】係止部材をそれが取り付けられているアームの内面側から見た図
【図9】電動トリマーの幅広刃と幅狭刃の関係説明図
【図10】刃先をカバーで覆った状態を示す機構図
【図11】カバーを下方に移動させた状態を示す機構図
【符号の説明】
【0039】
1 安全カミソリ 2 安全カミソリ本体 3 サポート
4 カミソリヘッド 5 カートリッジ替刃 6 サポート保持部
7 後壁 8 ボタン 9 アーム 10 側壁
11 空間部 12 ストッパー 13 替刃取り付けアーム
14 長孔 15 軸受 16 ジャーナル軸
17 頭部 18 後壁 19 受け部
20 把持部 21 カバー 22 カバー体
23 カバー支持アーム 24 連結杆 25 クランク
26 支点 27 軸 28 突起
29 カム溝 30 幅広刃 31 幅狭刃
32 可動突起 33 アタッチメント 34 凹部
35 凹部 36 凹部 37 凸部
38 凸部 39 係止部材 40 支軸
41 ボタン 42 弾性片 43 電源スイッチ
44 係止凸部 45 係止溝 46 半円形の凹部
47 凹部 48 横長孔 49 嵌合凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全カミソリ本体とサポートとから成り、安全カミソリ本体は髭切断構造とカミソリヘッドとサポート保持部とを有し、前記髭切断構造はカミソリヘッドの上部に存在し、前記サポート保持部はカミソリヘッドの下方に存在し、サポートは細長く形成され把持部を有し、その把持部はサポートの途中部分を基部として長さ方向にサポート端部まで延びており、且つサポートはその把持部の基部においてサポートに対して横方向に延びる回転軸線を中心に回転可能となるようにサポート保持部に結合され、サポートの把持部と反対側に作用部が設けられており、安全カミソリ本体による髭剃り時に、作用部はカミソリヘッドに設けられた空間部に置かれ、且つ把持部はサポート保持部よりも下方向に延びサポート保持部と協働して安全カミソリのハンドルを構成し、サポートを使用する際にその作用部が使用可能な位置までサポートを回転させることができることを特徴とする安全カミソリ。
【請求項2】
安全カミソリの使用時に、その安全カミソリの、顔の表面と対向する側を前側、その前側と反対の側を後ろ側と定義して、カミソリヘッドに設けられた空間部に後壁が存在する請求項1記載の安全カミソリ。
【請求項3】
サポート保持部の上部に後壁が設けられ、サポートの使用時に、サポートの把持部が前記後壁に設けられた受け部に当接し、サポートは安全カミソリ本体の長さ方向に対して傾斜した状態で使用される請求項2記載の安全カミソリ。
【請求項4】
サポートの回転軸線が通るその両側部に一対のジャーナル軸が設けられ、サポート保持部に前記ジャーナル軸の軸受が設けられている請求項1乃至請求項3のいずれか一項記載の安全カミソリ。
【請求項5】
サポート保持部に長孔が設けられ、この長孔の下側の端部がジャーナル軸の軸受に形成され、サポートのジャーナル軸を長孔の上側の端部まで移動させることによりサポートが安全カミソリ本体に対してその上方向に移動したときに、サポートの端部の前方への回転を阻止するための回転阻止手段を備えている請求項4記載の安全カミソリ。
【請求項6】
サポートはコードレスの電動具であって電源スイッチを有し、この電源スイッチは把持部の端部側部分を形成し、且つサポートの長さ方向の中心軸線を中心に回転可能となるようにサポートに取り付けられ、電源スイッチを回転することによって電流がオンオフし、サポートの作用部をカミソリヘッドに設けられた空間部に収納し且つサポートを安全カミソリ本体に対してその上方に移動させたときに、電源スイッチの回転を阻止するための手段が電源スイッチとサポート保持部との間に設けられている請求項1乃至請求項5のいずれか一項記載の安全カミソリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−131229(P2010−131229A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−310628(P2008−310628)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000001454)株式会社貝印刃物開発センター (123)