説明

安全スイッチ

【課題】産業設備の設計変更等に容易に対応することができるにも関わらず作業者の安全性を確実に保つことができる安全スイッチを提供する。
【解決手段】作業者が作業を行うケース105の前面側から、スイッチ部7がケース105の内部(背後)側に隠れて容易に触れることができないように配置されるため、従来の安全スイッチのようにスイッチ部7を特殊な部品を用いて完全に密封せずとも、作業者がスイッチ部7の配線を変更して安全スイッチを無効化するのを確実に防止することができる。したがって、安全スイッチの配線状態を産業設備の設計に応じて容易に変更でき、しかも、スイッチ本体1をケース105に取り付けた状態でケース105によりスイッチ部7を保護することができるため、産業設備の設計変更等に容易に対応することができるにも関わらず、作業者の安全性を確実に保つことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば産業機械等の防護扉周縁の壁面に取り付けられ、防護扉が開かれたときには、産業機械等への電源供給を停止する安全スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、産業機械の防護扉などには、作業者が機械に巻き込まれて負傷するといったトラブルの発生を防止することを目的として、防護扉が完全に閉まっていないときには、機械を駆動させないようにする、例えば特許文献1に開示されているような安全スイッチが配設されている。
【0003】
この種の安全スイッチは、ロボット等の産業機械に電気的に接続されるもので、スイッチ本体とアクチュエータとにより構成されており、スイッチ本体は防護扉周縁の壁面に固着され、またアクチュエータは防護扉に固着される。そのときのアクチュエータの固着位置はスイッチ本体のアクチュエータ進入口に対向し、かつ、防護扉を閉鎖した状態のときにスイッチ本体上部のヘッドケース内に進入可能なように設定されている。
【0004】
そして、アクチュエータの進入により、スイッチ本体のヘッドケース(操作部)の下方のスイッチ部に内蔵された開閉器が閉に切り換わり、産業機械へ電源が供給されて機械が駆動可能な状態となる。一方、防護扉の開放によりアクチュエータが後退してヘッドケースから抜け出ると、内蔵の開閉器が開に切り換わり、機械への電源供給が遮断される。
【0005】
ところで、操作部の中央には、操作部の下方に位置するスイッチ部の操作ロッドを移動させて接点を開閉させるため駆動カムが設けられている。この駆動カムはその回転軸が操作部におけるケース部材の内面に枢支されて回転自在に支持されている。そして、アクチュエータが操作部に進入していない状態では、操作ロッドは、駆動カムによりスイッチ部側へ押圧されており、産業機械への電源供給が遮断されている。一方、専用のアクチュエータが操作部内に進入すると、アクチュエータの連結片が駆動カムを押圧して、駆動カムが回転され、その結果、操作ロッドが駆動カム側へ移動し、産業機械への電源供給が行われる。
【0006】
【特許文献1】特開平10−69831号公報([0005]、[0015]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来の安全スイッチでは、作業者がスイッチ部に内蔵された開閉器を短絡する等、安全スイッチを無効化して産業機械を駆動可能な状態とするのを防止するための措置が講じられている。例えば、上記した安全スイッチでは、スイッチ部内の開閉器の接点端子へ配線を施した後、特殊な工具によってのみ締付け可能なねじを用いてカバーを取り付けることによって当該スイッチ部を完全に密封している。
【0008】
このように、特殊な工具を用いなければスイッチ部のカバーを取り外すことができないため、作業者が危険な状態でスイッチ部内の開閉器の配線状態を変更し、産業機械が駆動可能状態とするのを防止することができる。しかしながら、その結果、産業設備に急な設計変更が生じた場合や、産業設備の点検またはメンテナンスの際に部品交換を行う必要が生じた場合に、保守点検者がスイッチ部内の開閉器の配線状態を容易に変更することができないという問題があった。
【0009】
また、上記した安全スイッチでは、安全スイッチの取り付け位置の位置ずれを防止するために、スイッチ本体に取り付け用の取付孔を2つ以上透設して、ビス等を用いてスイッチ本体を取り付け場所に配設している。そのため、スイッチ本体の位置決めのために配設場所に2つ以上の孔を設けなければならず、スイッチ本体の配設作業が煩雑になるという問題があった。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、産業設備の設計変更等に容易に対応することができるにも関わらず作業者の安全性を確実に保つことができる安全スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した課題を解決するため、本発明にかかる安全スイッチは、アクチュエータが進退する進入口を有する操作部と、前記進入口への前記アクチュエータの進入及び前記アクチュエータからの後退により開閉する開閉器を内蔵したスイッチ部とを備えて成り、前記開閉器が、前記アクチュエータの進退のみにより開閉可能であって外部からは操作不能に内蔵されている安全スイッチにおいて、前記操作部と前記スイッチ部との間に、スイッチ固定用部材に取り付けられる取付部を備え、取り付け状態において、前記操作部が前記スイッチ固定用部材の前面側に露出し、かつ、前記スイッチ部が前記スイッチ固定用部材の背後側に隠れるように配置されることを特徴としている(請求項1)。
【0012】
このように構成された発明では、安全スイッチは、取付部がスイッチ固定用部材に取り付けられた取り付け状態において、操作部がスイッチ固定用部材の前面側に露出し、かつ、スイッチ部がスイッチ固定用部材の背後側に隠れるように配置される。したがって、作業者が作業を行うスイッチ固定用部材の前面側からは、スイッチ部がスイッチ固定用部材の背後側に隠れて見えず、容易に触れることもできないため、従来の安全スイッチのようにスイッチ部を特殊な部品を用いて完全に密封せずとも、作業者がスイッチ部の配線を変更して安全スイッチを無効化することを確実に防止でき、これにより、作業者が危険な状態で産業機械が駆動可能な状態となるのを確実に防止することができる。
【0013】
また、スイッチ部を従来のように完全に密封せずとも安全スイッチが無効化されるのを防止できるので、産業設備に急な設計変更等が生じた場合には、安全スイッチを所定の配設場所に取り付ける直前に、当該設計変更に応じて作業現場で容易にスイッチ部内の開閉器の配線状態を変更できる。したがって、安全スイッチの配線状態を産業設備の設計変更に応じて変更した後に安全スイッチをスイッチ固定用部材に取り付けることができる。すなわち、安全スイッチのスイッチ部を保護するためにスイッチ部に対して特殊な構造を用いることなく、安全スイッチをスイッチ固定用部材に取り付けることで当該スイッチ固定用部材によりスイッチ部を保護することができるため、産業設備の設計変更等に容易に対応することができるにも関わらず、安全スイッチをスイッチ固定用部材に取り付けた状態で作業者の安全性を確実に保つことができる。
【0014】
ところで、通常、作業者の安全性を確保し産業機械の故障を防止するために定期的に産業設備の点検およびメンテナンスを行う必要がある。このような産業設備の点検およびメンテナンスは作業者ではなく専門の保守点検者が行うことが多く、産業設備の点検またはメンテナンスの際に安全スイッチの部品交換を行う必要が生じた場合に、当該保守点検者が部品の交換等を行っていた。ところが、従来の安全スイッチでは、作業者によって安全スイッチが無効化されるのを防止するためにスイッチ部を特殊な構造を用いて密封していたため、部品の交換が必要になった場合に保守点検者が容易に部品の交換を行うことができないという問題があった。そこで、作業者の安全性を確実に保つとともに、保守点検者による保守点検を容易に行うことができる技術が要望されていた。
【0015】
しかしながら、本発明では、上記したようにスイッチ部を特殊な構造を用いて密封する必要がないため、産業設備の点検またはメンテナンスの際に、スイッチ部の部品交換またはスイッチ部の配線状態の変更等を行う必要が生じた場合に、保守点検者は保守点検作業を行うスイッチ固定用部材の背後側から安全スイッチのスイッチ部の部品交換等や配線状態の変更を容易に行うことができる。したがって、安全スイッチをスイッチ固定用部材に取り付けた状態で、作業者の安全性を確実に保つことができるという効果と、保守点検者が安全スイッチの保守点検を容易に行うことができるという効果を同時に奏することができる。
【0016】
また、スイッチ部がスイッチ固定用部材の背後側に隠れるように配置されるため、安全スイッチのスイッチ部への配線を、スイッチ固定用部材の背後側に隠すことができ、産業設備へ安全スイッチを配設する際の見栄えをよくすることができる。また、スイッチ固定用部材の材質を、破壊強度の強い材質を任意に選択して採用することで、スイッチ部が当該スイッチ固定用部材の背後側に隠れるように配置されているので、安全スイッチのスイッチ部の保護部材(カバー)に特殊で高価な部材を使用しなくとも、スイッチ部を適切に保護することができる。したがって、安全スイッチの低コスト化を図ることができる。
【0017】
また、前記取付部が、前記操作部と前記スイッチ部とを連結する円筒体から成り、前記円筒体が、前記スイッチ固定用部材に透設された円形孔に挿通されて固定部材により固定される構成でもよい(請求項2)。このような構成とすれば、円筒体がスイッチ固定用部材に透設された円形孔に挿通されて固定部材により固定されて安全スイッチがスイッチ固定用部材に取り付けられているため、スイッチ固定用部材に1つの円形孔を透設するのみで安全スイッチを容易にスイッチ固定用部材に取り付けることができる。
【0018】
また、円筒体がスイッチ固定用部材に透設された円形孔に挿通されて配設されているため、アクチュエータが操作部に横方向から進入する際に強い力が加わった場合であっても、安全スイッチの円筒体がスイッチ固定用部材に透設された円形孔の内周面に当接して固定されることから、アクチュエータが操作部の進入口に進入する際のアクチュエータの進入力が当該円形孔の内周面に分散されるため、円筒体の位置ずれが防止される。したがって、安全スイッチの取り付け位置からの位置ずれを確実に防止することができる。
【0019】
また、安全スイッチの円筒体をスイッチ固定用部材に透設された円形孔に挿通して固定部材で固定するのみで安全スイッチを強固にスイッチ固定用部材に取り付けることができるため、安全スイッチの固定ために、従来の安全スイッチのように複数の固定用のビス等を必要とせず、部品点数の簡素化を図ることができる。また、安全スイッチの取り付けのために、安全スイッチに取り付け用の取付孔を設ける必要がなく、当該取付孔からスイッチ部内に水・埃が侵入するのを防止するための防水対策等を施す必要がないので、安全スイッチの構成の簡素化を図ることができる。
【0020】
また、スイッチ固定用部材に透設する安全スイッチを取り付けるための取付孔は多角形状等、安全スイッチの取付部の形状に応じてどのようなものであっても構わないが、特に、取付部および取付孔を円形状に構成することで以下のような作用効果を奏することができる。すなわち、取付孔として円形孔を透設する方が、取付孔を多角形状に透設するのに比べて加工し易く、円形孔に安全スイッチの取付部としての円筒体を挿通して安全スイッチを取り付けることで、安全スイッチを円筒体の中心軸を回転の中心として、360°どのような角度にも回転させることができ、安全スイッチの操作部に設けられた進入口の向きを、どのような方向にでも任意に配置することができる。
【0021】
また、例えば、スイッチ固定用部材がパネル状のものである場合には、安全スイッチ取り付け用の取付孔の形状が多角形状よりも円形状の方が、当該取付孔の周縁のパネルを構成する部材の強度バランスがよいため、安全スイッチの操作部へアクチュエータが強い力で急激に進入した場合でも、取付孔を円形孔とした方が、当該円形孔周縁のパネルを構成する部材が歪みにくいという効果を奏することができる。
【0022】
また、前記円筒体の外周には雄ねじが形成されており、前記固定部材が、前記スイッチ固定用部材の両側から前記雄ねじに螺着される一対の位置調整用ナットであり、前記両ナットの締付位置の調整により、前記操作部の前記スイッチ固定用部材の前面側への突出量が調整される構成でもよい(請求項3)。このような構成とすれば、スイッチ固定用部材を挟んで位置調整用ナットで、安全スイッチの円筒体をスイッチ固定用部材に固定することで、スイッチ固定用部材の前面側へ安全スイッチの操作部が突出する突出量を容易に調整することができる。したがって、アクチュエータと、アクチュエータが進入する操作部に設けられた進入口との位置関係を容易に調整することができる。
【0023】
また、前記操作部と前記スイッチ部とが分離・合体自在に形成され、前記取付部が、前記操作部と前記スイッチ部のいずれか一方に一体化されている構成でもよい(請求項4)。このような構成とすれば、安全スイッチの操作部とスイッチ部とが、分離・合体自在に形成されているため、使用目的に応じてスイッチ部内の開閉器数等の内部構成、スイッチ部の大きさを任意に変更してスイッチ部を構成し、当該スイッチ部を操作部に結合することで、安全スイッチを容易に使用目的に応じた構成とすることができる。したがって、例えば、産業設備を拡大・改修するために設計変更する場合に、操作部は従来使用していたものを利用し、スイッチ部のみを設計変更の内容に適した構成に変更することで当該設計変更に容易に対応することができる。また、逆に、スイッチ部は従来のものを利用して、操作部のみを変更する等、産業設備の設計変更に伴って安全スイッチの構成を柔軟に変更することができ、安全スイッチを無駄に廃棄することが防止され、コスト削減を図ることができる。
【0024】
また、前記スイッチ固定用部材が筐体状に形成され、少なくともその1つの面に前記取付部が取り付けられるものである構成でもよい(請求項5)。このような構成とすれば、従来は安全スイッチの構造上、周知の非常停止スイッチやキースイッチと、安全スイッチとを集中配置することが難しかったが、安全スイッチの取付部を筐体状に形成されたスイッチ固定用部材の少なくとも1つの面に取り付けることで、これらのスイッチ類を近接した場所にまとめて配設することができる。このように、安全スイッチの取り付け場所の自由度が増すことで、上記したスイッチ類をまとめて同一の筐体に配設することができる。なお、安全スイッチを取り付ける面は、筐体が有する面のうちのどの面であってもよく、産業設備の設計に応じて適切な面に取り付ければよい。また、1つの筐体に複数の安全スイッチを取り付けてもよく、複数の面に複数の安全スイッチを取り付けてもよい。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、請求項1に記載の発明によれば、作業者が作業を行うスイッチ固定用部材の前面側から、スイッチ部がスイッチ固定用部材の背後側に隠れるように配置されるため、従来の安全スイッチのようにスイッチ部を特殊な部品を用いて完全に密封せずとも、作業者がスイッチ部の配線を変更して安全スイッチを無効化するのを確実に防止することができる。したがって、スイッチ部を特殊な部品を用いて完全に密封する必要がないため、安全スイッチの配線状態を産業設備の設計変更に応じて容易に変更でき、しかも、安全スイッチをスイッチ固定用部材に取り付けた状態でスイッチ固定用部材によりスイッチ部を保護することができるため、産業設備の設計変更等に容易に対応することができるにも関わらず、作業者の安全性を確実に保つことができる。
【0026】
また、請求項2に記載の発明によれば、円筒体がスイッチ固定用部材に透設された円形孔に挿通されて固定部材により固定されて安全スイッチがスイッチ固定用部材に取り付けられているため、スイッチ固定用部材に1つの円形孔を透設するのみで安全スイッチを容易にスイッチ固定用部材に取り付けることができる。
【0027】
また、請求項3に記載の発明によれば、スイッチ固定用部材を挟んで位置調整用ナットで、安全スイッチの円筒体をスイッチ固定用部材に固定することで、スイッチ固定用部材の前面側へ安全スイッチの操作部が突出する突出量を容易に調整することができるため、アクチュエータと、アクチュエータが進入する操作部に設けられた進入口との位置関係を容易に調整することができる。
【0028】
また、請求項4に記載の発明によれば、安全スイッチの操作部とスイッチ部とが、分離・合体自在に形成されているため、使用目的に応じてスイッチ部内の開閉器数等の内部構成、スイッチ部の大きさを任意に変更してスイッチ部を構成し、当該スイッチ部を操作部に結合することで、安全スイッチを容易に使用目的に応じた構成とすることができる。
【0029】
また、請求項5に記載の発明によれば、安全スイッチの取付部を筐体状に形成されたスイッチ固定用部材の少なくとも1つの面に取り付けることで、周知の非常停止スイッチやキースイッチと、安全スイッチとを、近接した場所にまとめて配設することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
<第1実施形態>
この発明の第1実施形態について図1ないし図3を参照して説明する。図1は安全スイッチの斜視図であり、(a)は操作部とスイッチ部とが合体した状態を示す図、(b)は操作部とスイッチ部とが分離した状態を示す図、(c)はアクチュエータを示す図である。また、図2は安全スイッチのスイッチ固定用部材への取り付け方法を示す図であり、(a)はスイッチ固定用部材に取り付けるために安全スイッチの操作部とスイッチ部とを分離した状態を示す図、(b)はスイッチ固定用部材に透設された円形孔に操作部に一体化された円筒体を挿通した図、(c)はスイッチ固定用部材に透設された円形孔に挿通された円筒体を固定部材により固定した図、(d)はスイッチ固定用部材に固定された操作部にスイッチ部が合体した状態を示す図である。また、図3は図1に示す安全スイッチをケースに取り付けた図である。
【0031】
なお、本発明における安全スイッチの内部構成および動作は、従来の種々の安全スイッチの内部構成および動作とほぼ同一である。したがって、以下では主として従来の安全スイッチとの相違点について詳細に述べ、安全スイッチの内部構成および動作については、代表的な安全スイッチの内部構成および動作を例に挙げて説明することで図面を用いた詳細な説明は省略する。また、以下に詳述する安全スイッチは、本発明を適用することのできる種々の安全スイッチのうちの一例であり、安全スイッチが有する常開・常閉開閉器の種類および数は必要に応じて任意に設定すればよい。さらに、以下の安全スイッチでは、アクチェータの進入/後退により、それぞれ操作ロッドが上方/下方に移動する構成を例として説明しているが、アクチェータの進入/後退により、それぞれ操作ロッドが下方/上方に移動する構成であってもよく、駆動カムの形状も以下で説明するものに限られるものではない。また、本発明における安全スイッチは、進入状態のアクチュエータの引抜を防止するロック機能や、正規のアクチュエータ以外の異物の進入を防止するロック機能を備える構成であってもよい。
【0032】
本発明における安全スイッチは、外部装置であるロボット等の産業機械等にケーブルを介して電気的に接続されるスイッチであり、スイッチ本体1と、アクチュエータ3とにより構成される。
【0033】
このとき、図1に示すようにスイッチ本体1は、操作部5とスイッチ部7とからなり、図示を省略する産業機械の防護扉周縁の壁面に固着される。また、アクチュエータ3は防護扉に固着され、その位置は操作部5の側面および上面に形成されたアクチュエータ進入口9a,9bのうち一方の進入口に対向する位置であり、防護扉を閉鎖した状態のときに操作部5のアクチュエータ進入口9a,9b内に進入する。なお、アクチュエータ3は、図1(c)に示すように、コ字状の基部3aと、該基部3aの先端寄りの両側を橋絡して一体形成された連結片3bとから構成されている。
【0034】
また、操作部5には円筒状の円筒体51(本発明の「取付部」に相当)が、スイッチ部7には円筒体51よりも少し径が大きく構成された円筒状の被結合体71がそれぞれ一体的に形成されており、操作部5とスイッチ部7とが円筒体51および被結合体71を介して分離・合体自在に形成されている。
【0035】
具体的には、図1(b)に示すように円筒体51下部の外周面には、縦溝51a1および横溝51a2を有する凹溝51aが複数個形成されており、被結合体71の内周面には凹溝51aと嵌合可能に凸部71aが凹溝51aと同じ数だけ形成されている。したがって、同図(b)に示すように縦溝51a1と凸部71aとの位置を合わせた状態でスイッチ部7を矢印UPの方向へ移動させることで、縦溝51a1と凸部71aとが摺接して操作部5とスイッチ部7とが合体する。さらに、スイッチ部7を矢印LKの方向に回転させることで、横溝51a2と凸部71aとが摺接して、凹溝51aと凸部71aとが嵌合し、スイッチ部7が操作部5に合体して固定される。
【0036】
また、操作部5からスイッチ部7を分離させる場合には、図1(a)に示すようにスイッチ部7を矢印ULKの方向に回転させた後、矢印DWの方向へ移動させることで、操作部5とスイッチ部7とが分離される。このように、スイッチ本体1の操作部5とスイッチ部7とはワンタッチで分離・合体自在に構成されている。なお、本実施形態では、操作部5を基準としてスイッチ部7を移動・回転させることで、操作部5とスイッチ部7とを分離・合体する手順を説明したが、スイッチ部7を基準として操作部5を、または操作部5およびスイッチ部7の両方を移動・回転させることで操作部5とスイッチ部7とを分離・合体してもよい。
【0037】
また、操作部5の円筒体51上部の外周面にはナット53(本発明の「固定部材」に相当)が螺着可能に雄ねじ部52が形成されている。したがって、図2(d)に示すように、筐体状のケース105(本発明の「スイッチ固定用部材」に相当)に透設された円形孔105aに円筒体51を挿通した状態でナット53を円筒体51に螺着することで、スイッチ本体1をケース105に固定することができる。なお、スイッチ本体1をケース105に取り付ける具体的な方法については後で詳細に述べる。
【0038】
続いて、安全スイッチの構成および動作について説明する。スイッチ本体1の上部に配設された操作部5は、ケース部材と、回転軸がこのケース部材の内面に枢支されて回転自在に支持された駆動カム(図示省略)とを備えている。この駆動カムの上部外周面には、アクチュエータ3の連結片3bが嵌挿する係合部が、上記したアクチュエータ進入口9a,9bから覗く位置に形成されている。また、駆動カムの下部外周面にはカム曲線部が形成されている。
【0039】
また、操作部5の下方に位置するスイッチ部7から先端部分が出退自在に操作部5内に突出する操作ロッド(図示省略)が、その半球状の先端がカム曲線部と摺接するように設けられている。そして、駆動カムの回転に伴って操作ロッドの先端がカム曲線部の径大部と径小部とを摺接することで、操作ロッドが操作部5に進入、後退して往復移動し、スイッチ部7に内蔵されている開閉器部の開閉器の開閉状態が切り換えられる。
【0040】
次に、スイッチ部7について説明する。このスイッチ部7は、ケース部材の内部であって操作部5の下方に配設され、開閉器が内蔵された開閉器部と、上記した操作ロッドとから構成されている。
【0041】
ところで、開閉器部は、操作ロッドの往復移動に連動して開閉する開閉器を備えている。開閉器は、可動接点と固定接点とからなり、可動接点は操作ロッドに上向きに固定され、固定接点は開閉器部に配設された枠部材に下向きに固定されている。ここで、開閉器は産業機械への電源供給および遮断用であり、開閉器が閉状態となることで、産業機械へ電源が供給される。また、操作ロッドはコイルバネにより操作部5に向って付勢されている。
【0042】
ここで、スイッチ部7のケース部材には、産業機械と電気的に接続されるケーブル(図示省略)が装着されており、開閉器部の内部においてケーブルと開閉器とが電気的に接続されている。そして、開閉器が開閉することによる電気信号によって、産業機械への電源供給及び電源供給の遮断が行われるようになっている。
【0043】
なお、アクチュエータ3が進入していない状態では、操作ロッドは駆動カムの径大部分により押圧されてほとんどの部分がスイッチ部7側に没した状態となっている。この操作ロッドのスイッチ部7側への移動により可動接点も同時に固定接点から開離する方向へ押し込まれ、開閉器の可動接点および固定接点が離間し、開閉器が開状態となり、産業機械への電源供給が遮断されて産業機械が操作不能な状態となっている。
【0044】
次に、防護扉等を閉じることによって、アクチュエータ3が操作部5に進入すると、アクチュエータ3の連結片3bが駆動カムの係合部と係合して、アクチュエータ3が進入するに連れて駆動カムがアクチュエータ3に押圧されて回転する。駆動カムがアクチュエータ3の進入方向に回転するのに伴い、操作ロッドの先端がカム曲線部の径大部分から径小部分へと摺接しつつ、操作ロッドがコイルバネの付勢力によって操作部5に向かう上方に移動する。さらに、操作ロッドが上方に移動するに連れて、可動接点が固定接点に接触して開閉器が開状態から閉状態となる。したがって、開閉器が閉状態となるため、この開閉器に直列に接続されているロボット等の産業機械に電源が供給され、産業機械が操作可能な状態となる。
【0045】
一方、防護扉等が開放されて、進入状態のアクチュエータ3が引抜かれると、アクチュエータ3の連結片3bと駆動カムの係合部との係合状態が解除されるまで駆動カムがアクチュエータ3の引抜き方向に回転する。この駆動カムの回転に伴って、操作ロッドが駆動カムのカム曲線部の径小部から径大部へと摺接する。そして、カム曲線部の径大部により、操作ロッドはスイッチ部7に向う下方へ押し込まれ、可動接点は固定接点から開離して開閉器が開状態になり、産業機械は操作不能な状態となる。
【0046】
続いて、図2および図3を参照して、スイッチ本体1をケース105に取り付ける方法について説明する。上記したように、ケース105には操作部に一体的に形成された円筒体51が挿通可能に円形孔105aが透設されている。このケース105は、2つの部材がねじや係合爪等で結合されることで、内部空間を密封するように構成されている。このように密封されているケース105を分離開放した後、図2(a)に示すように、操作部5とスイッチ部7とを分離した状態で、操作部5をケース105の前面側に、スイッチ部7およびナット53をケース105の内部(背後)側に配置する。
【0047】
次に、図2(b)に示すように、操作部5の円筒体51をケース105の前面側から円形孔105aに挿通する。続いて、同図(c)に示すように円筒体51の雄ねじ部52にナット53を螺合して、ケース105が円筒体51に螺着されたナット53と操作部5との間で介装された状態にする。そして、ナット53を操作部5に対して締め付けることで、操作部5をケース105に固定することができる。さらに、同図(d)に示すようにケース105に固定された操作部5の円筒体51にスイッチ部7を取り付けて合体させることで、スイッチ本体1のケース105への取り付けが完了する。
【0048】
最後に、分離開放されたケース105をねじや係合爪等で再び結合密封することで、スイッチ本体1がケース105に取り付けられた状態で、操作部5がケース105の前面側に露出し、かつ、スイッチ部7がケース105の内部側、すなわち背後側に隠れるように配置される。
【0049】
以上のように、この実施形態では、作業者が作業を行うケース105の前面側から、スイッチ部7がケース105の内部(背後)側に隠れて容易に触れることができないように配置されるため、従来の安全スイッチのようにスイッチ部7を特殊な部品を用いて完全に密封せずとも、作業者がスイッチ部7の配線を変更して安全スイッチを無効化するのを確実に防止することができる。したがって、スイッチ部7を特殊な部品を用いて完全に密封する必要がないため、安全スイッチの配線状態を産業設備の設計に応じて容易に変更でき、しかも、スイッチ本体1をケース105に取り付けた状態でケース105の壁面によりスイッチ部7を保護することができる。したがって、産業設備の設計変更等に容易に対応することができるにも関わらず、スイッチ本体1をケース105に取り付けた状態でスイッチ部7を保護することで安全スイッチの無効化を防止でき、作業者の安全性を確実に保つことができる。
【0050】
また、この実施形態では、円筒体51がケース105に透設された円形孔105aに挿通されてナット53により固定されてスイッチ本体1がケース105に取り付けられているため、ケース105に1つの円形孔105aを透設するのみでスイッチ本体1を容易にケース105に取り付けることができる。
【0051】
また、この実施形態では、スイッチ本体1の操作部5とスイッチ部7とが、分離・合体自在に形成されているため、安全スイッチの使用目的に応じてスイッチ部7内の開閉器数等の内部構成、スイッチ部7の大きさを任意に変更してスイッチ部7を構成し、当該スイッチ部7を操作部5に結合することで、安全スイッチを容易に使用目的に応じた構成とすることができる。また、スイッチ部7に形成された被結合体71に2つ以上のスイッチ部7を取り付けられるようにすることもでき、より汎用性の高い安全スイッチを提供することができる。
【0052】
また、この実施形態では、円筒体51をケース105の円形孔105aに挿通してスイッチ本体1をケース105に取り付けることができる。したがって、図3に示すように、従来では安全スイッチの構造上不可能であった、周知の非常停止スイッチ102やキースイッチ101と、スイッチ本体1とを、並設した状態で筐体状に形成されたケース105に取り付けることができ、これらのスイッチ類を近接した場所にまとめて配設することができる。
【0053】
したがって、この実施形態では、図3(a)、(b)に示すように、例えば、操作盤に対しスイッチ本体1、キースイッチ101、非常停止スイッチ102を並設したケース105ごと取り付けることが可能となり、各種スイッチを配設する際、配線等をコンパクトにまとめて配設することができる。なお、各種スイッチを取り付ける面は、ケース105のどの面であってもよいし、ケース105の複数の面に各種スイッチを取り付けてもよい。
【0054】
なお、この実施形態では、操作部5に本発明の「取付部」としての円筒体を一体的に形成したが、この円筒体をスイッチ部7に一体的に形成し、円筒体の外周面に雄ねじ部を形成してケース105の前面側からナットを螺着して取り付けるようにしてもよい。この場合、操作部5に円筒体を介して操作部5とスイッチ部7とが分離・合体可能に被結合体を設ければよい。また、ナット53と螺合可能な雄ねじ部を被結合体に設けてもよい。
【0055】
<第2実施形態>
本発明にかかる安全スイッチの第2実施形態について図4を参照して説明する。この第2実施形態において、上記第1実施形態と相違する点は、操作部50と円筒体510とスイッチ部70とが一体的に形成されている点であり、その他の構成および動作は上記第1実施形態と同様であるため、以下においては図1および図2も参照しつつ主として第1実施形態との相違点について詳述する。なお、第1実施形態と同一の構成および動作については、同一および相当符号を付してその構成および動作の説明を省略する。ここで、以下に詳述する安全スイッチは、少なくとも操作部50とスイッチ部70とがねじ等の固定具により固定されることで一体化され、この固定具を外すせば両者が分離できる構成であってもよい。
【0056】
図4は安全スイッチの正面図であり、(a)はスイッチ本体100をケース105から取り外した状態を示す図、(b)はスイッチ本体100をケース105に取り付けた状態を示す図である。円筒体510には上記した第1実施形態と同様にナット53と螺合可能に雄ねじ部520が形成されている。また、この実施形態では、円筒体510およびスイッチ部70は両方とも円形状に形成されており、ケース105には円筒体510およびスイッチ部70が挿通可能な大きさの円形孔(図示省略)が形成されている。
【0057】
この実施形態では、第1実施形態と同様にしてスイッチ本体100をケース105に取り付けることができる。すなわち、図4(a)に示す状態からナット53を取り外して、ケース105の前面側からスイッチ部70がケース105の内部側に入るようにスイッチ本体100を円形孔に挿通する。その後、同図(b)に示すように、ナット53を円筒体510に螺合して締め付けることで、スイッチ本体100を、操作部50がケース105の前面側に露出し、かつ、スイッチ部70がケース105の内部(背後)側に隠れるように取り付けることができる。
【0058】
したがって、作業者が作業を行うケース105の前面側から、スイッチ部70がケース105の内部(背後)側に隠れるように配置されるため、作業者がスイッチ部70の配線を変更して安全スイッチを無効化するのを確実に防止することができるという上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0059】
また、この実施形態では、外部の配線(図示省略)とスイッチ部70内部の開閉器との接続を行うための端子70aが露出しているが、上記したように、スイッチ部70はケース105の内部側に隠れるように配置されるので、作業者が勝手に配線を変更するのを確実に防止することができる。
【0060】
<第3実施形態>
本発明にかかる安全スイッチの第3実施形態について図5を参照して説明する。この第3実施形態において、上記第2実施形態と相違する点は、円筒体510aに、操作部のスイッチ固定用部材の前面側への突出量を調整するための一対の位置調整用ナット53a,53bが螺着されている点であり、その他の構成および動作は上記第2実施形態と同様であるため、以下においては主として第2実施形態との相違点について詳述する。なお、第1および第2実施形態と同一の構成および動作については、同一および相当符号を付してその構成および動作の説明を省略する。
【0061】
図5は安全スイッチの正面図であり、(a)および(b)はスイッチ本体200をケース105に取り付けたそれぞれ異なる状態を示す図である。円筒体510aには上記した第2実施形態と同様にナット53a,53bと螺合可能に雄ねじ部520aが形成されている。また、上記第2実施形態と同様に、円筒体510aおよびスイッチ部70は両方とも円形状に形成されており、ケース105には円筒体510aおよびスイッチ部70が挿通可能な大きさの円形孔(図示省略)が形成されている。
【0062】
この実施形態では、第1および第2実施形態と同様にしてスイッチ本体200をケース105に取り付けることができる。すなわち、ナット53aを取り外した状態で、ケース105の前面側からスイッチ部70がケース105の内部側に入るようにスイッチ本体200を円形孔に挿通する。その後、図5(a)に示すように、ナット53aを円筒体510aに螺合して締め付けることで、スイッチ本体200を、操作部50がケース105の前面側に露出し、かつ、スイッチ部70がケース105の内部(背後)側に隠れるように取り付けることができる。
【0063】
したがって、作業者が作業を行うケース105の前面側から、スイッチ部70がケース105の内部(背後)側に隠れて容易に触れることができないように配置されるため、作業者がスイッチ部70の配線を変更して安全スイッチを無効化するのを確実に防止することができるという上記第1および第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0064】
また、この実施形態では、ケース105を挟んだ位置調整用ナット53a,53bの締付位置を調整してスイッチ本体200をケース105に固定することで、図5(b)に示すように操作部50がケース105の前面側へ突出する突出量を容易に調整することができる。したがって、アクチュエータ3と、アクチュエータ3が進入する操作部50に設けられた進入口9a,9bとの位置関係を容易に調整することができる。
【0065】
なお、本実施形態における位置調整用ナット53a,53bを、上記第1実施形態における操作部5とスイッチ部7とが分離・合体自在の安全スイッチに適用することで、第1実施形態における安全スイッチを、操作部5がケース105の前面側へ突出する突出量を調整可能な構成としてもよい。
【0066】
<第4実施形態>
本発明にかかる安全スイッチの第4実施形態について図6を参照して説明する。この第4実施形態において、上記第1実施形態と相違する点は、スイッチ部700を操作部500に直動的に嵌め込むことで分離・合体する点であり、その他の構成および動作は上記第1実施形態と同様であるため、以下においては主として第1実施形態との相違点について詳述する。なお、第1実施形態と同一の構成および動作については、第1ないし第3実施形態と同一および相当符号を付してその構成および動作の説明を省略する。
【0067】
図6は安全スイッチの斜視図であって、(a1)および(b1)は操作部500とスイッチ部700とが合体・分離した状態を示し、(a2)は操作部500とスイッチ部700とが合体した状態にあるときのスイッチ部700を操作部500から取り外した状態で上側から見た平面図、(b2)は操作部500とスイッチ部700とが分離した状態にあるときのスイッチ部700を上側から見た平面図である。同図(b1)に示すように、操作部500には円筒状の円筒体501(本発明の「取付部」に相当)が一体的に形成されており、スイッチ部700には円筒体501よりも少し径が大きく構成された被結合体701が設けられている。
【0068】
また、図6(b1)に示すように円筒体501下部の外周面には、縦溝501a1および横溝501a2を有する凹溝501aが複数個形成されており、被結合体701の内周面には凹溝501aと嵌合可能に凸部701a,701bが凹溝501aと同じ数だけ形成されている。また、同図(b2)に示すように、操作部500とスイッチ部700とが分離した状態では凸部701a,701bは重合している。
【0069】
次に、図6(b1)に示すように縦溝501a1と凸部701a,701bとの位置を合わせた状態でスイッチ部700を矢印UPの方向へ移動させることで、縦溝501a1と凸部701a,701bとが摺接して操作部500とスイッチ部700とが合体する。さらに、被結合体701のレバー701cを矢印LKの方向に回転させることで、同図(a2)に示すように、凸部701bが回転移動することで、横溝501a2と凸部701bとが摺接して、凹溝501aと凸部701a,701bとが嵌合し、スイッチ部700が操作部500に合体して固定される。
【0070】
また、操作部500からスイッチ部700を分離させる場合には、図6(a2)に示す状態から被結合体701のレバー701cを矢印ULKの方向に回転させた後、スイッチ部700を矢印DWの方向へ移動させることで、操作部500とスイッチ部700とが分離される。このように、スイッチ本体400の操作部500とスイッチ部700とは互いに直動することで分離・合体自在に構成されている。
【0071】
したがって、本実施形態では、レバー701cの操作により操作部500とスイッチ部700とを容易に分離・合体することができる。
【0072】
<第5実施形態>
本発明にかかる安全スイッチの第5実施形態について図7を参照して説明する。この第5実施形態において、上記第4実施形態と相違する点は、操作部550とスイッチ部710とを合体して固定する構成が異なる点であり、その他の構成および動作は上記第4実施形態と同様であるため、以下においては主として第4実施形態との相違点について詳述する。なお、第4実施形態と同一の構成および動作については、第1ないし第4実施形態と同一および相当符号を付してその構成および動作の説明を省略する。
【0073】
図7は安全スイッチの斜視図であって、(a1)および(b1)は操作部550とスイッチ部710とが合体・分離した状態を示し、(a2)は操作部550とスイッチ部710とが合体した状態にあるときの(a1)のA−A矢視断面図、(b2)は操作部550とスイッチ部710とが分離した状態にあるときの(b1)B−B矢視断面図である。同図(b1)に示すように、操作部550には円筒状の円筒体551(本発明の「取付部」に相当)が、スイッチ部710には円筒体551よりも少し径が大きく構成された被結合体711がそれぞれ一体的に形成されている。
【0074】
また、図7(b1)に示すように円筒体551下部の外周面には凹溝551aが形成されており、被結合体711の一部には凹溝551aと係合可能に弾性を有するフック体711aが形成されている。
【0075】
次に、図7(b1)に示すように凹溝551aとフック体711aとの位置を合わせた状態でスイッチ部710を矢印UPの方向へ移動させることで、同図(a2)に示すように、凹溝511aとフック体711aとが係合して、スイッチ部710が操作部550に合体して固定される。
【0076】
また、操作部550からスイッチ部710を分離させる場合には、ドライバなどによりフック体711aの先端部分を起こして図7(a2)に示す状態のフック体711aと凹溝551aとの係合状態を解除させた後、スイッチ部710を矢印DWの方向へ移動させることで、操作部550とスイッチ部710とが分離される。このように、スイッチ本体401の操作部550とスイッチ部710とは互いに直動することで分離・合体自在に構成されている。
【0077】
したがって、本実施形態では、図6のレバー701cのような複雑な構成でなくとも、フック体711aと凹溝551aとの係合により操作部550とスイッチ部710とを容易に分離・合体することができる。
【0078】
<その他>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記した第1ないし第3実施形態では、本発明の取付部として円筒体を備える構成であったが、図8(a1)、(a2)に示すように、スイッチ本体300の操作部50aを円形状に形成するとともに、操作部50aの上面部周縁に本発明の「取付部」として機能するフランジ部510bを形成する構成でもよい。このように構成すると、ケース105に形成された円形孔にスイッチ本体300を挿通して、ナット53cを操作部50aの外周面に形成された雄ねじ部520bに螺合することで、スイッチ本体300を、操作部50aの上面がケース105の前面側に露出し、かつ、スイッチ部70がケース105の内部(背後)側に隠れるように取り付けることができる。なお、同図(a1)はスイッチ本体300を上側から見た平面図であり、(a2)はスイッチ本体300の側面図である。
【0079】
また、ケース105の形状を変形することで、上記第2実施形態におけるスイッチ本体100を図8(b1)、(b2)に示すように取り付けることもできる。なお、同図(b1)はスイッチ本体100を上側から見た平面図であり、(b2)はスイッチ本体100の側面図である。
【0080】
また、上記第1ないし第3実施形態ではケース105に円形孔を透設することでスイッチ本体をケース105に取り付けたが、透設する取付孔の形状としては円形状に限られず、スイッチ本体を取り付けることができればどのような形状であってもよい。例えば、図8(c1)、(c2)に示すように、操作部50の形状と同様の四角形状の取付孔を透設し、本発明の「固定部材」として補助フレーム54a,54bを用いてケース105にスイッチ本体100を取り付けることができる。このとき、ナット53を締付けることで、補助フレーム54aのフランジ部と補助フレーム54bの上端部とでケース105に透設された取付孔の周縁部を挟持してスイッチ本体100はケース105に固定される。なお、同図(c1)はスイッチ本体100を上側から見た平面図であり、(b2)はスイッチ本体100の側面図である。
【0081】
なお、図8では操作部とスイッチ部とが一体型の安全スイッチを用いて、スイッチ本体の様々な取り付け方法について説明したが、これらの取り付け方法は操作部とスイッチ部とが分離・合体自在な安全スイッチについても採用することができる。
【0082】
また、上記第1ないし第3実施形態では、本発明の「固定部材」としてナットを利用してスイッチ本体をケース105に配設したが、ケース105に透設した円形孔105aの内周面に雌ねじを形成することで、ナットを用いずともスイッチ本体をケース105に取り付けることができる。
【0083】
また、上記実施形態では、スイッチ固定用部材としてケース105を例に挙げて説明したが、スイッチ固定用部材としてはこれに限られず、産業機械の周りに配設された安全柵を構成するフレーム、または操作盤等、安全スイッチを取り付けることのできるものであればどのようなものであってもよい。要は、安全スイッチを取り付けた状態において、操作部がスイッチ固定用部材の前面側に露出し、かつ、スイッチ部がスイッチ固定用部材の背後側に隠れるように配置することができるものであればどのようなものであってもよい。
【0084】
また、上記第4実施形態において、スイッチ部700を図9に示すように必要な数だけ組み合わせてスイッチ本体402を構成して使用してもよい。なお、スイッチ部700が内蔵する開閉器の種類としては、常開開閉器および常閉開閉器のいずれであってもよく、産業設備に応じて必要な数だけスイッチ部700を組み合わせることができる。また、この例では、操作部500の進入口9aまたは9bにアクチュエータ3が進入・後退することで、組み合わされたスイッチ部700に内蔵された開閉器が連動して動作するように構成されている。このように、安全スイッチを分離・合体自在に構成することで、スイッチ部の構成を産業設備の設計に応じて自由に構成することができる。
【0085】
また、上記した実施形態では、アクチュエータ3を防護扉に固着して安全スイッチを使用する方法について説明したが、安全スイッチの使用方法としては上記した方法に限定されず、使用目的に応じて種々の方法で安全スイッチを使用することができる。具体的には、チェーンや、防護扉のハンドルと連動して動作する、例えば棒状部材を介してアクチュエータ3を防護扉に配設することができる。また、アクチュエータ3を作業者が産業機械の作業領域内に持込む、所謂、持込キー(安全キー)として使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】この発明の第1実施形態における安全スイッチの斜視図である。
【図2】この発明の第1実施形態における安全スイッチのスイッチ固定用部材への取り付け方法を示す図である。
【図3】この発明の第1実施形態における安全スイッチをケースに取り付けた図である。
【図4】この発明の第2実施形態における安全スイッチの正面図である。
【図5】この発明の第3実施形態における安全スイッチの正面図である。
【図6】この発明の第4実施形態における安全スイッチの斜視図である。
【図7】この発明の第5実施形態における安全スイッチの斜視図である。
【図8】この発明の実施形態の変形例を示す図である。
【図9】この発明の実施形態の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0087】
1,100,200,300,400,401,402,…スイッチ本体(安全スイッチ)
3…アクチュエータ(安全スイッチ)
5,50,50a,500,550…操作部
51,510,510a,501,551…円筒体(取付部)
510b…フランジ部(取付部)
53,53a,53b,53c…ナット(固定部材)
7,70,700,710…スイッチ部
9a,9b…進入口
105…ケース(スイッチ固定用部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータが進退する進入口を有する操作部と、前記進入口への前記アクチュエータの進入及び前記アクチュエータからの後退により開閉する開閉器を内蔵したスイッチ部とを備えて成り、前記開閉器が、前記アクチュエータの進退のみにより開閉可能であって外部からは操作不能に内蔵されている安全スイッチにおいて、
前記操作部と前記スイッチ部との間に、スイッチ固定用部材に取り付けられる取付部を備え、取り付け状態において、前記操作部が前記スイッチ固定用部材の前面側に露出し、かつ、前記スイッチ部が前記スイッチ固定用部材の背後側に隠れるように配置されることを特徴とする安全スイッチ。
【請求項2】
前記取付部が、前記操作部と前記スイッチ部とを連結する円筒体から成り、
前記円筒体が、前記スイッチ固定用部材に透設された円形孔に挿通されて固定部材により固定されることを特徴とする請求項1に記載の安全スイッチ。
【請求項3】
前記円筒体の外周には雄ねじが形成されており、
前記固定部材が、前記スイッチ固定用部材の両側から前記雄ねじに螺着される一対の位置調整用ナットであり、
前記両ナットの締付位置の調整により、前記操作部の前記スイッチ固定用部材の前面側への突出量が調整されることを特徴とする請求項2に記載の安全スイッチ。
【請求項4】
前記操作部と前記スイッチ部とが分離・合体自在に形成され、
前記取付部が、前記操作部と前記スイッチ部のいずれか一方に一体化されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の安全スイッチ。
【請求項5】
前記スイッチ固定用部材が筐体状に形成され、少なくともその1つの面に前記取付部が取り付けられるものであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の安全スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−34237(P2008−34237A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−206366(P2006−206366)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
【Fターム(参考)】