説明

安全スイッチ

【課題】 従来のソレノイドを用いた安全スイッチに対して、施錠又は開錠に関する電気的な構成を簡素化すると共に、使用環境の選択性に対する自由度を増加させる。
【解決手段】 安全スイッチの構成を、筐体と、アクチュエータの挿抜動作に連動する挿抜連動機構と、挿抜連動機構の動作を規制する挿抜規制機構と、前記挿抜連動機構及び前記挿抜規制機構の少なくとも一方の動作に応じて作動するスイッチ部とを備え、挿抜規制機構が、筐体の外側からの機構的な所定の操作に機構的に連動して、挿抜連動機構からのアクチュエータの抜脱を許容する抜脱許容状態と挿抜連動機構からのアクチュエータの抜脱を禁止する抜脱禁止状態との間で機構的に挿抜連動機構を状態移行させる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全スイッチに関し、詳しくは、アクチュエータの挿抜を規制する挿抜規制機構を備える安全スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の典型的な安全スイッチは、ソレノイド等の電気的に駆動される駆動装置の作動によってアクチュエータ機能部のアクチュエータの抜脱を禁止する状態から許容する状態へ移行させるロック機構を備えている。具体的には、図11又は図12に示されたように、カム被覆部123及び本体被覆部121を含む筐体と、アクチュエータ機能部150のアクチュエータ153の挿抜動作に応じて回動するカム132と、カム132の回動に連動して並進移動するロッド133と、接点スイッチ素子141〜144と、接点スイッチ素子141〜144の検出状態を外部に伝達する配線ケーブル169(図11のみ)と、カム132とは別にロッド133を並進移動させるソレノイド110と、ソレノイド110のプランジャ113とロッド133とを離隔させる方向に付勢する付勢体139とを備える安全スイッチ101が提案されている(例えば、下記の特許文献1参照)。以下において、この構成の安全スイッチ101を「従来例の安全スイッチ101」と称す。
【0003】
従来例の安全スイッチ101において、図12(A)に示されたように、カム被覆部123の挿通孔123Bを通してアクチュエータ153が挿入され、ソレノイド110の励磁コイル112への電流が遮断されたロック状態では、ソレノイド110の付勢体114からの付勢力によって、ソレノイド110の固定筒111に対してプランジャ113がカム132の方向に移動しており、このプランジャ113の移動に応じてロッド133もカム132の方向に移動してロッド133の先端がカム132の凹部132Dに挿入されている。この状態において、アクチュエータ153を抜脱させようとした場合、動力伝達壁132Cを介してカム132に回転力が付与されてカム132は回転(図中においては時計周りの回転)を開始するが、ロッド133の先端がカム132の凹部132Dの側壁に当接し、それ以上のカム132の回転は阻止される。したがって、ロック状態においては、アクチュエータ153を抜脱することはできない。ロック状態において、励磁コイル112へ電流を印加して励磁コイル112を励磁すると、付勢体114の付勢力に抗して、図12(B)に示されたように、プランジャ113がカム132と反対方向に移動し、このプランジャ113の移動に応じてロッド133もカム132と反対方向に移動して、ロッド133の先端がカム132の凹部132Dから実質的に抜脱される。この状態において、アクチュエータ153を抜脱させようとした場合、動力伝達壁132Cを介してカム132に回転力が付与されてカム132は回転を開始し、カム132とロッド133の先端との当接を回避できるために、カム132の回転が続行される。最終的に、図12(C)に示されたように、アクチュエータ153が抜脱される。アクチュエータ153が抜脱された状態においては、ロッド133の先端はカム132の凹部132Eに挿入されると共にカム132に当接している。また、ロッド133とプランジャ113との相対位置は、図12(A)及び図12(B)に示された場合よりも互いが近づく方向に変化しており、付勢体139は短縮されている。なお、励磁コイル112への電流は、図12(C)に示された状態へ到達した後においては遮断される。逆に、図12(C)に示された状態からアクチュエータ153が挿入されると、カム132の動力伝達壁132Aを介してカム132に回転力が付与されて、カム132は抜脱する場合と逆方向の回転(図中においては反時計周りの回転)を開始し、ロッド133の先端はカム132の回転に応じてカム132の外縁に当接した状態を保つように、その外縁の形状に応じてカム132側の方向又はその逆方向へ移動する。最終的に、アクチュエータ153の挿入が完了すると、図12(A)に示されたロック状態へ移行する。
【0004】
従来例の安全スイッチ101において、接点スイッチ素子141〜144の検出状態の組合せはロッド133の移動に応じて変化し、接点スイッチ素子141〜144の検出状態の組合せを[接点スイッチ素子141の検出状態,接点スイッチ素子142の検出状態,接点スイッチ素子143の検出状態,接点スイッチ素子144の検出状態]で表すと、接点スイッチ素子141〜144の検出状態の組合せは、アクチュエータ153が挿入され、励磁コイル112への電流が遮断されたロック状態では図12(A)に示されたように[オフ状態,オン状態,オフ状態,オン状態]であり、アクチュエータ153が挿入され、励磁コイル112への電流が印加されたロック解除状態では図12(B)に示されたように[オン状態,オフ状態,オフ状態,オン状態]であり、アクチュエータ153が抜脱された状態では図12(C)に示されたように[オン状態,オフ状態,オン状態,オフ状態]である。したがって、接点スイッチ素子141〜144の検出状態の組合せによって、少なくとも、アクチュエータ153が挿入されているか([−,−,オフ状態,オン状態])否か([−,−,オン状態,オフ状態])と、ロック状態であるか([オフ状態,−,−,−])ロック解除状態であるか([オン状態,−,−,−])とを識別できる。なお、上記において、「−」はオン状態及びオフ状態の任意の状態を意味することとする。
【0005】
ここで、従来例の安全スイッチ101を用いた従来の典型的な安全システムについて説明する。安全システムは、図11及び図13に示されたように、安全柵191と開閉扉192とによって区画された立入規制領域に配置され、作動を停止させる停止モード又は通常作動モードに応じて運転制御される産業機器181〜183(図13のみ)と、安全柵191に収納固定カバー193を介して固着された安全スイッチ101と、開閉扉192に固着され、安全スイッチ101を作動させるアクチュエータ153(図12参照)を含むアクチュエータ機能部150と、立入規制領域外に配置され、安全スイッチ101の接点スイッチ素子141〜144(図12参照)の各々に接続される信号ケーブル(図示せず)及びソレノイド110を駆動する電源ケーブルを同一被覆部材(図示せず)で一体化した配線ケーブル169を介して安全スイッチ101に接続され、産業機器181〜183に停止モード又は通常作動モードに対応する運転制御信号を出力する制御盤160とを備えている。産業機器181〜183が通常作動モードで正常に運転されている場合において、制御盤160には、4対の信号ケーブルを介して、接点スイッチ素子141〜144の検出状態の組合せが[オフ状態,オン状態,オフ状態,オン状態]であることを表す検出信号が入力されており、また、制御盤160に接続された遠隔信号伝達ケーブル(図示せず)を介して立入規制領域から離れた集中運転管理室(図示せず)からの産業機器181〜183の作動を指示する遠隔運転制御信号が入力されている。制御盤160は、[オフ状態,オン状態,オフ状態,オン状態]であることを表す検出信号と産業機器181〜183の作動を指示する遠隔運転制御信号とが入力されているために、産業機器181〜183に対して通常作動モードでの運転を指示する運転制御信号を出力している。
【0006】
産業機器181〜183が通常作動モードで正常に運転されている場合に、立入規制領域に入るためには、まず、集中運転管理室から産業機器181〜183の停止を指示する遠隔運転制御信号を出力する。制御盤160は、この停止を指示する遠隔運転制御信号を検知すると、停止モードを表す運転制御信号を出力して産業機器181〜183の動作を停止させると共に、電源ケーブルを介して安全スイッチ101のソレノイド110を駆動する電流を流す。これによって、ソレノイド110が作動して、安全スイッチ101がロック解除状態に移行する。次に、アクチュエータ機能部150のハンドル152(図11のみ)を操作して、安全スイッチ101からアクチュエータ153を抜脱する。これによって、開閉扉192が開放できる状態となる。その後、開閉扉192を開放して立入規制領域に進入し、所望の作業を実行する。なお、作業中においては、アクチュエータ機能部150のアクチュエータ153が安全スイッチ101から抜脱されている状態を維持させる。逆に、産業機器181〜183を通常作動モードの運転に戻すためには、まず、立入規制領域から退去して開閉扉192を閉塞する。その後、アクチュエータ機能部150のハンドル152を操作して、安全スイッチ101にアクチュエータ153を挿入する。これによって、安全スイッチ101が自動的にロック状態に移行する。その後、集中運転管理室から産業機器181〜183の作動を指示する遠隔運転制御信号を出力する。これによって、制御盤160は、安全スイッチ101からの[オフ状態,オン状態,オフ状態,オン状態]であることを表す検出信号と産業機器181〜183の作動を指示する遠隔運転制御信号とが入力されるために、産業機器181〜183に対して通常作動モードでの運転を指示する運転制御信号が出力されて、産業機器181〜183が通常作動モードでの運転を開始する。
【0007】
立入規制領域において所望の作業中に、不測の事態によって、制御盤160に産業機器181〜183の作動を指示する遠隔運転制御信号が入力されたとしても、安全スイッチ101からは[オフ状態,オン状態,オフ状態,オン状態]以外であることを表す検出信号が出力されているために、制御盤160から産業機器181〜183に対して通常作動モードでの運転を指示する運転制御信号は出力されない。これによって、立入規制領域に人間が滞在している場合に産業機器181〜183が通常作動モードで運転を開始することを防止でき、安全性が確保される。また、通常、産業機器181〜183の停止を指示する遠隔運転制御信号が入力されなければ安全スイッチ101のソレノイド110は作動しないために、開閉扉192を開放することはできないが、産業機器181〜183が通常作動モードで正常に運転されている場合における不測の事態によって開閉扉192が開放された場合には、安全スイッチ101からの[オフ状態,オン状態,オフ状態,オン状態]以外であることを表す検出信号が出力されるために、制御盤160から産業機器181〜183を停止させる停止モードを意味する運転制御信号が出力されて産業機器181〜183が停止する。これによって、不測の事態によって、立入規制領域に人間が進入した場合にも産業機器181〜183が停止し、安全性が確保される。なお、上記においては、産業機器181〜183の停止を指示する遠隔運転制御信号が入力されると即座に安全スイッチ101をロック解除状態に移行する場合について説明したが、その遠隔運転制御信号の入力に基づいて産業機器181〜183を停止させるが、産業機器181〜183の完全に停止したことや立入規制領域の周辺環境が許容される所定の環境に復帰したことを確認した後に、安全スイッチ101をロック解除状態に移行させる構成も知られている。
【0008】
【特許文献1】特開2005−294047号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の従来例の安全スイッチを含め従来の典型的な安全スイッチでは、少なくともロック状態からロック解除状態へ移行させる場合に、電気的に作動するソレノイドを用いているために、ソレノイドの励磁コイルに電流を流すための電源ケーブルが必要であるために電気的な構成が複雑であった。更に、ソレノイドの励磁コイルに電流を流すための電源ケーブルが必要であるために、ソレノイド用の電源ケーブルと安全スイッチのスイッチ素子による検出状態を外部に伝達する信号ケーブルとが個別のケーブルである場合には配線が煩雑となり、一方、それらのケーブルが一体化された複合ケーブルである場合には一般的に電源ケーブルで伝達される電源電圧や電源電流が信号ケーブルで伝達される信号電圧や信号電流に比べて大幅に大きく、また電源ケーブルが信号ケーブルと極めて近接するために、信号ケーブルによって伝達される信号に大きなノイズが発生して誤作動を引き起こす危惧があった。電源ケーブルを介してソレノイドへ流れる電流はソレノイドの周辺温度の増加に応じた励磁コイルの高抵抗化によって減少するために、使用環境によってはソレノイドの動作が不安定となる危惧もあった。更に、ソレノイドは磁場を発生させるために接点スイッチ素子等の機構的スイッチの動作を不安定にする危惧もあった。
【0010】
そこで、本発明に係る安全スイッチでは、従来の安全スイッチに対して施錠又は開錠に関する電気的な構成を簡素化すると共に、使用環境の選択性に対する自由度を増加させる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明に係る安全スイッチは、
筐体と、
前記筐体の内側に配設され、アクチュエータの挿抜動作に連動する挿抜連動機構と、
前記挿抜連動機構の動作を規制する挿抜規制機構と、
前記筐体の内側に配置され、前記挿抜連動機構及び前記挿抜規制機構の少なくとも一方の動作に応じて作動するスイッチ部と、
を備える安全スイッチであって、
前記挿抜規制機構が、前記筐体の外側からの機構的な所定の操作に機構的に連動して、前記挿抜連動機構からの前記アクチュエータの抜脱を許容する抜脱許容状態と前記挿抜連動機構からの前記アクチュエータの抜脱を禁止する抜脱禁止状態との間で機構的に前記挿抜連動機構を状態移行させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る安全スイッチでは、ソレノイドに代えて機構的に作動する挿抜規制機構を用いるために、施錠又は開錠に関する電気的な構成が簡素化されると共に使用環境の選択性に対する自由度が増加する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明に係る安全スイッチ及びそれを用いた安全システムの最良の形態について説明する。なお、本発明の概念的な構成について説明した後に、具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0014】
[概念的構成]
本発明に係る安全スイッチは、筐体と、筐体の内側に配設され、アクチュエータの挿抜動作に連動する挿抜連動機構と、挿抜連動機構の動作を規制する挿抜規制機構と、筐体の内側に配置され、挿抜連動機構及び挿抜規制機構の少なくとも一方の動作に応じて作動するスイッチ部とを備えている。筐体、挿抜連動機構、スイッチ部については、公知のいかなる構成と同一であってもよい。
【0015】
ここで、安全スイッチの説明に先立ち、説明の便宜のために、アクチュエータについて簡単に説明する。アクチュエータは、安全スイッチに挿入されたり、安全スイッチから抜脱されたりすることによって、安全スイッチの内部状態を変化させる。アクチュエータとしては、扉等の可動部材に固着されており可動部材の移動(扉の開閉等)に伴って安全スイッチに挿入されたり、安全スイッチから抜脱されたりする構成や、扉等の可動部材に固着されたアクチュエータ機能部に対する操作に応じて安全スイッチに挿入されたり、安全スイッチから抜脱されたりする構成が挙げられる。アクチュエータ機能部としては、例えば、アクチュエータのみを含む構成や、ハンドル、つまみ、ボタン等の操作部と、操作部の操作によって、アクチュエータを円周方向に回転させたり、アクチュエータを並進移動させたりする動力伝達機構を更に備える構成が挙げられる。
【0016】
挿抜連動機構は、アクチュエータの挿抜動作に連動すればよく、挿抜連動機構としては、アクチュエータの挿抜動作の一部のみに連動する構成や、実質的にアクチュエータの挿抜動作の全体に連動する構成が挙げられる。また、挿抜連動機構としては、アクチュエータの挿入動作と抜脱動作とにおいて実質的に同一の連動を示す構成、例えば、アクチュエータの位置と挿抜連動機構の内部構造の配位とがアクチュエータの挿入動作と抜脱動作とにおいて実質的に同一である構成や、アクチュエータの挿入動作と抜脱動作とにおいて異なる連動を示す構成であってもよい。
【0017】
スイッチ部は、挿抜連動機構及び挿抜規制機構の少なくとも一方の動作に応じて作動すればよく、スイッチ部としては、例えば、挿抜規制機構の動作に基づく規制状態及び挿抜連動機構の動作に基づくアクチュエータの挿抜状態の少なくとも一方を検出する構成や、スイッチ部を介して接続される配線の短絡や開放を制御する構成が挙げられる。また、スイッチ部としては、例えば、単一の素子を含む構成や複数の素子を含む構成が挙げられる。スイッチ部を構成する素子としては、機構的な状態移行の変化によって規制状態や挿抜状態の変化を検出する接点スイッチ素子や、光学的な状態の変化によって規制状態や挿抜状態の変化を検出する非接触型の光学スイッチ素子(光学センサ)、磁気的な状態の変化によって規制状態や挿抜状態の変化を検出する非接触型の磁気スイッチ素子(磁気センサ)、接触状態と非接触状態との間を移行する接触型のスイッチ回路素子(リレー回路素子)が挙げられる。なお、スイッチ部が、1又は複数の接点スイッチ素子やスイッチ回路素子のみで構成されている場合には、安全スイッチの電気的な構成が更に簡素化される。
【0018】
挿抜規制機構は、筐体の外側からの機構的な所定の操作に機構的に連動して、挿抜連動機構からのアクチュエータの抜脱を許容する抜脱許容状態と挿抜連動機構からのアクチュエータの抜脱を禁止する抜脱禁止状態との間で機構的に挿抜連動機構を状態移行させる。ここで、本明細書において、「機構的に」とは、外部からの電力に応じて作動する電気・電子機器を介在させないことを意味する。また、挿抜規制機構は、所定の操作に連動すればよく、挿抜規制機構としては、つまみやレバーやボタン等の操作部材を備えており、それらの操作部材への操作に応じて連動する構成や、抜脱可能な外部部材(例えば鍵部材)による操作に応じて連動する構成が挙げられる。なお、外部部材は、少なくとも一部が特定の構造に加工された部材であり、外部部材としては、例えば、把持部と所定の形状に加工された突出部とを含む鍵、把持部と所定の配列で磁石が埋設された突出部を含む鍵、一側部が所定の形状に加工されたり、一側部に所定の配列の貫通孔が形成されたりしたカード型の鍵が挙げられる。また、挿抜規制機構としては、操作部材や外部部材の所定の動作の一部のみに連動する構成や、実質的に操作部材や外部部材の所定の動作の全体に連動する構成が挙げられ、操作部材や鍵部材の一方向(回転方向や並進方向)への操作とその逆操作とにおいて実質的に同一の連動形態を示す構成や操作部材や鍵部材の施錠操作と開錠操作とにおいて異なる連動形態を示す構成であってもよい。また、「機構的に挿抜連動機構を状態移行させる」とは、挿抜規制機構の機構的な状態変化に応じて、外部からの電力に基づいて作動する部材を介さずに挿抜連動機構が抜脱許容状態と抜脱禁止状態との間で状態移行することを意味する。挿抜規制機構と挿抜連動機構とは、機構的に連結されていればよく、挿抜規制機構と挿抜連動機構との連結としては、それらが直接に連結されている場合や、それらが他の機構的に連動する部材又は機構を介して間接的に連結されている場合を含意する。
【0019】
挿抜規制機構は、アクチュエータの抜脱が禁止された抜脱禁止状態である場合のみにおいて操作部材や外部部材が操作できる構成であってもよいし、アクチュエータの抜脱が許容された抜脱許容状態である場合のみにおいて操作部材や外部部材が操作できる構成であってもよいし、抜脱禁止状態及び抜脱許容状態の双方において操作部材や外部部材が操作できる構成であってもよい。また、挿抜規制機構が外部部材によって操作される構成である場合においては、抜脱禁止状態のみにおいて外部部材が挿抜規制機構から乖離自在な構成であってもよいし、抜脱許容状態のみにおいて外部部材が挿抜規制機構から乖離自在な構成であってもよいし、抜脱禁止状態及び抜脱許容状態の双方において外部部材が挿抜規制機構から乖離自在な構成であってもよい。
【0020】
本発明の安全スイッチであれば、機構的に作動する挿抜規制機構によって挿抜連動機構の規制を制御できるために、ソレノイドを含む従来の安全スイッチに比べて電気的な構成が簡素化される。また、挿抜規制機構は機構的に作動するために、温度変化等による挿抜連動機構の規制状態の変化を抑制でき、温度変化等に敏感であるソレノイドを含む従来の安全スイッチに比べて使用環境の選択性に対する自由度が増加する。更に、挿抜規制機構は機構的に作動するために、ソレノイドを含む安全スイッチの場合のようなソレノイドへの配線が不要となり、配線ケーブルの接続操作を簡便かつ迅速に行える。なお、以下において上記の構成の安全スイッチを「安全スイッチA」とも称す。
【0021】
上記の安全スイッチAにおいて、
挿抜連動機構が、アクチュエータの挿抜動作に応じて回動する挿抜連動回動体と、挿抜連動回動体の回動に連動して並進移動し、スイッチ部の作動状態を変化させる棒状体とを備え、
挿抜規制機構が、筐体に固定された外筒、及び、外筒の内側に回動自在に配設されて開錠位置と開錠位置と回転角度の異なる施錠位置との間で移行自在であり、所定の鍵部材の挿入される鍵穴が形成され、鍵穴に挿入された鍵部材による施錠操作に応じて開錠位置から施錠位置に移行し、鍵穴に挿入された鍵部材による開錠操作に応じて施錠位置から開錠位置に移行する内筒を含むキーシリンダと、キーシリンダの内筒に連結され、キーシリンダの動作に機構的に連動して回動するキー操作連動回動体と、棒状体に連結され、キー操作連動回動体の回動に機構的に連動して棒状体の並進移動と実質的に同一方向に並進移動する並進移動体と、筐体に対して固定され、並進移動体の移動方向を制限する移動方向制限体と、並進移動体を挿抜連動回動体側に付勢する付勢体とを備え、
挿抜規制機構が、挿抜連動機構へのアクチュエータの挿入状態における施錠操作に応じて、施錠操作に基づくキー操作連動回動体の回転に伴う挿抜連動回動体に近づく方向への並進移動体の移動により、棒状体と挿抜連動回動体とを係合させて挿抜連動機構を抜脱禁止状態へ移行させ、挿抜連動機構へのアクチュエータの挿入状態における開錠操作に応じて、開錠操作に基づくキー操作連動回動体の回転に伴う挿抜連動回動体から離れる方向への並進移動体の移動により、棒状体と挿抜連動回動体とを乖離させて挿抜連動機構を抜脱許容状態へ移行させる構成であることが好ましい。なお、以下においてこの構成の安全スイッチを「安全スイッチB」とも称す。
【0022】
上記の構成であれば、簡素な構成によって機構的に作動する挿抜規制機構を実現できる。また、挿抜規制機構におけるキーシリンダとして一般的な施錠装置のキーシリンダを用いることができるために簡便に所望の安全スイッチを実現できる。
【0023】
上記の安全スイッチBにおいて、
キー操作連動回動体が、キー操作連動回動体の回動軸に対する放射方向に突出し、放射方向に向かって先細りする尖頭形状の押圧突起部を含み、
並進移動体が、棒状体に連結される連結部と、アクチュエータの挿入状態においてキー操作連動回動体と当接し、開錠操作に基づくキー操作連動回動体の回転に伴う押力を並進力に変換する動力変換部と、連結部と動力変換部とを接続する接続部とを含む構成であることが好ましい。なお、以下においてこの構成の安全スイッチを「安全スイッチC」とも称す。
【0024】
上記の構成であれば、簡素な構成によって、キーシリンダに付与される回転力を挿抜連動機構の規制に必要な並進力に変換することができる。
【0025】
上記の安全スイッチCにおいて、
キー操作連動回動体が、キー操作連動回動体の回動軸に対する放射方向に突出する係合突起部を更に含み、
並進移動体が、アクチュエータの抜脱状態における施錠操作に基づくキー操作連動回動体の回転を係合突起部との当接により阻止する回転阻止部を更に含む構成であることが好ましい。なお、以下においてこの構成の安全スイッチを「安全スイッチD」とも称す。
【0026】
上記の構成であれば、アクチュエータの抜脱状態において施錠操作がなされることを極めて簡便な構成によって防止できる。
【0027】
上記の安全スイッチB〜Dにおいて、
キーシリンダは、内筒が施錠位置である場合のみにおいて鍵部材が挿抜自在である構造であることが好ましい。
【0028】
上記の構成であれば、施錠位置において鍵部材が挿抜でき、かつ開錠位置において鍵部材が抜脱できないために、鍵部材の挿抜状態によって安全スイッチの挿抜規制状態が目視によって判断でき、安全性が更に向上する。また、立入規制領域における電気機器等の作動や停止等を制御するために同一鍵部材を用いる安全システムを構築した場合には、安全スイッチが施錠状態でない場合、つまり、立入規制領域内に人が滞在している可能性のある場合に電気機器等が作動することを良好に防止でき、極めて安全性の高い安全システムを構築できることともなる。
【0029】
上記の安全スイッチB〜Dにおいて、
キーシリンダは、内筒が開錠位置である場合のみにおいて鍵部材が挿抜自在である構造であることが好ましい。
【0030】
上記の構成であれば、開錠位置において鍵部材が挿抜でき、かつ施錠位置において鍵部材が抜脱できないために、鍵部材の挿抜状態によって安全スイッチの挿抜規制状態が目視によって判断でき、安全性が更に向上する。また、作業者がメンテナンス等のために立入規制領域に進入するときに、鍵部材を立入規制領域に持ち込むことができ、作業者の安全が確保される。
【0031】
[具体的構成]
ここで、本発明に係る安全スイッチについて、具体例に基づいて図面を参照しながら説明する。なお、以下においては、本発明に係る安全スイッチを用いた安全システムについても併記する。
【0032】
〔第1実施形態〕
第1実施形態の安全スイッチ及びそれを用いた安全システムについて説明する。図1は、安全システムを適用した製造現場の一例を模式的に表す説明図である。なお、図1においては、安全システムの電気的な構成もブロック図によって示されている。図2は、安全システムを適用した製造現場の開閉扉近傍の一例を模式的に表す正面図である。
【0033】
図1に示されたように、工業製品の製造現場に、安全柵91と開閉扉92とによって隔離された立入規制領域A1が形成されている。立入規制領域A1には、互いに連携して所定の動作を行う産業機器81〜83と、産業機器81〜83を制御する内部制御装置89が設置されている。内部制御装置89は、産業機器81〜83の運転や停止の制御と共に、それらの連携動作を制御する。図1及び図2に示されたように、開閉扉92にはハンドル型のアクチュエータ機能部50が固着されており、安全柵91における開閉扉92近傍には、アクチュエータ機能部50に対向させて本形態の安全スイッチ1(〔安全スイッチ〕の一種)が取設されている。立入規制領域A1の外側には、開閉扉92から離れた位置に制御盤60が配設されている。制御盤60には、外部電源(図示せず)から電力供給路L10(図1のみ図示)を介して電力が供給されており、制御盤60は、産業機器81〜83、内部制御装置89等の立入規制領域A1に設置された各種の装置へ電力供給路L11〜L13、L19等を介して駆動電力を供給している。また、制御盤60と安全スイッチ1とは、配線ケーブル69で接続されている。更に、制御盤60と内部制御装置89とは、信号伝達路L9を介して信号通信可能に接続されている。本形態の安全システムは、安全スイッチ1と、アクチュエータ機能部50と、制御盤60と、産業機器81〜83と、内部制御装置89とで構成されている。
【0034】
ここで、アクチュエータ機能部50について説明する。図3(A)及び図3(B)は、アクチュエータ機能部の一例を模式的に表す正面図であり、図3(A)がアクチュエータ機能部の非作動状態を表し、図3(B)がアクチュエータ機能部の作動状態している。なお、図3(A)及び図3(B)には、説明の便宜のために安全スイッチ1も示されている。図3(A)及び図3(B)に示されたように、アクチュエータ機能部50は、筐体51と、筐体51から突出するハンドル52と、安全スイッチ1に対して挿抜されるアクチュエータ53と、ハンドル52の操作に連動してアクチュエータ53を移動させる動力伝達機構54とを備えている。
【0035】
アクチュエータ機能部50は、図3(A)に示された非作動状態において、アクチュエータ53を筐体51の内部に格納している。この非作動状態において、ハンドル52を反時計回りに回転させると、その回転に伴い動力伝達機構54が作動して、アクチュエータ53が反時計回りに回転する。これによって、図3(B)に示されたように、アクチュエータ53が、筐体51の外部に表出して、安全スイッチ1に挿入される。一方、図3(B)に示された作動状態において、ハンドル52を時計回りに回転させると、動力伝達機構54の作動に伴いアクチュエータ53が時計回りに回転して、図3(A)に示された非作動状態に戻る。
【0036】
安全スイッチ1は、図2に示されたように、収納固定カバー93を介して取設されている。安全スイッチ1は、収納固定カバー93の下側から挿入され、安全スイッチ1の一部が被覆されている状態で固定されている。収納固定カバー93には、アクチュエータ機能部50と対向する側面に貫通孔(図示せず)が形成されており、アクチュエータ機能部50の作動状態においてその貫通孔を通してアクチュエータ53が安全スイッチ1に挿入される。ここで、安全スイッチ1について説明する。図4は、安全スイッチの一例を表す斜視図であり、図4(A)が上面視を表し、図4(B)が底面視を表している。図5は、安全スイッチの一例を模式的に表す縦断面図である。なお、図5においては、説明の便宜のために、ヘッド封止部材23と支軸31と挿脱連動カム32とを上下方向を回転軸として90°回転させた状態が示されている。また、破線によって可動シリンダ部12(図4参照)及びその鍵穴12A(図4参照)が示されている。
【0037】
安全スイッチ1は、図4(A)、図4(B)及び図5に示されたように、桶状の本体収容部材21と、板状の本体封止部材22(図4(A)及び図4(B)のみ図示)と、桶状のヘッド封止部材23とで構成される外囲体(〔筐体〕の一種)を備えている。ヘッド封止部材23は、その開口を本体収容部材21側に向けて本体収容部材21に取設されている。本体封止部材22は、本体収容部材21の開口を塞ぐように本体収容部材21に取設されている。ヘッド封止部材23には、2つの貫通孔23A,23Bが形成されており、いずれの貫通孔23A,23Bからアクチュエータ機能部50のアクチュエータ53が挿入されたとしても正常に作動する。これによって、安全スイッチ1は、各種のアクチュエータ機能部50に対して共通で利用できる構成となっている。なお、本形態においては、貫通孔23Aを通してアクチュエータ53が挿入される。一方、本体収容部材21には、その上面側(ヘッド封止部材23側)において後述のロッド33の挿通される貫通孔21Aが形成され、また、底面側(ヘッド封止部材23と反対側)において配線ケーブル69(図2参照)の挿通される貫通孔が形成されている。
【0038】
ヘッド封止部材23には、図5に示されたように、ヘッド封止部材23の内側において支軸31が軸止されており、支軸31には挿抜連動カム32(〔挿抜連動機構〕の一種の一部;〔挿抜連動回動体〕の一種)が軸支されている。挿抜連動カム32は、アクチュエータ機能部50(図3参照)のアクチュエータ53(図3参照)の挿抜に連動して作動することとなる。挿抜連動カム32の外輪郭は複雑に凹凸する形状であり、挿抜連動カム32には、主に、上面側からのアクチュエータ53の抜脱及び側面側(アクチュエータ機能部50側)からのアクチュエータ53の挿入においてアクチュエータ53と当接する突出部32Aと、上面側からのアクチュエータ53の挿入においてアクチュエータ53と当接する突出部32Bと、側面側からのアクチュエータ53の抜脱においてアクチュエータ53と当接する突出部32Cと、挿抜連動カム32の動作を規制することとなる陥没部32Dと、抜脱状態における挿抜連動カム32の回転位置を一定に保つための陥没部32Eが形成されている。
【0039】
本体収容部材21には、外囲体の内側において、挿抜連動カム32の動作に連動して上下方向に並進移動するロッド33(〔挿抜連動機構〕の一種の一部;〔棒状体〕の一種)が配設されており、ロッド33の大部分は本体収容部材21の内側に配置され、ロッド33の上方側の先端の一部は、貫通孔21Aを通して本体収容部材21の外側であってヘッド封止部材23の内側に突出している。ロッド33は、主に、中心軸部33Aと、中心軸部33Aから中心軸部33Aの中心軸に対して放射方向に突出する作動丘33B,33Cとで構成されている。作動丘33B及び作動丘33Cは、それぞれ、ロッド33の並進移動に応じて、接点スイッチ素子41,42及び接点スイッチ素子43,44を作動させる。
【0040】
本体収容部材21には、ロッド33に対向して、接点スイッチ素子41(〔スイッチ部〕の一種の一部)と、接点スイッチ素子42(〔スイッチ部〕の一種の一部)と、接点スイッチ素子43(〔スイッチ部〕の一種の一部)と、接点スイッチ素子44(〔スイッチ部〕の一種の一部)とが配設されている。接点スイッチ素子41〜接点スイッチ素子44の各々は同一構成であり、素子本体41A〜素子本体44Aと、検出可動部41B〜44Bとで構成されている。検出可動部41B及び検出可動部42Bの各々は、それぞれ、ロッド33の並進移動に応じて、作動丘33Bの傾斜面S11及び作動丘33Bの傾斜面S12を介して、作動丘33Bに乗り上がったり乗り下がったりする。同様に、検出可動部43B及び検出可動部44Bの各々は、ロッド33の並進移動に応じて、作動丘33Cの傾斜面S13及び作動丘33Cの傾斜面S14を介して、作動丘33Cに乗り上がったり乗り下がったりする。検出可動部41Bが作動丘33Bに乗り上がって素子本体41A側に移動した状態が、接点スイッチ素子41のオフ状態であり、検出可動部41Bが作動丘33Bに乗り下がって素子本体41Aと反対側(ロッド33側)に移動した状態が、接点スイッチ素子41のオン状態である。他の接点スイッチ素子42〜接点スイッチ素子44についても同様である。したがって、接点スイッチ素子41〜接点スイッチ素子44の検出状態を[接点スイッチ素子41の検出状態,接点スイッチ素子42の検出状態,接点スイッチ素子43の検出状態,接点スイッチ素子44の検出状態]で表すと、図5に示された状態においては、[オン状態,オフ状態,オン状態,オフ状態]である。なお、これらの組合せは、ロッド33の移動に応じて変化する。
【0041】
安全スイッチ1は、更に、挿抜連動カム32とロッド33とで構成される挿抜連動機構の動作を規制する挿抜規制機構として、本体収容部材21に固定された固定シリンダ部11(〔キーシリンダ〕の一種の一部;〔外筒〕の一種)(図4参照)及び固定シリンダ部11の内側に回動自在に配設された可動シリンダ部12(〔キーシリンダ〕の一種の一部;〔内筒〕の一種)(図4参照)を含むキーシリンダと、可動シリンダ部12に連結され、可動シリンダ12に連動して回動するキー操作連動カム13(〔キー操作連動回動体〕の一種)と、ロッド33に連結され、キー操作連動カム13の回動に連動してロッド33の並進移動と実質的に同一方向に並進移動するスライダ14(〔並進移動体〕の一種)と、本体収容部材21に取設され、スライダ14の移動方向を制限するベース15(〔移動方向制限体〕の一種)と、ロッド33とベース15とを離隔させる方向に付勢するコイルバネ16(〔付勢体〕の一種)とを備えている。可動シリンダ部12には、開閉鍵の挿入される鍵穴12A(図4参照)が形成されており、可動シリンダ部12は、開閉鍵を鍵穴に挿入して可動シリンダ部12を回転操作すると、所定の開錠位置と所定の施錠位置との間で移行する。本形態においては、開閉鍵のキーシリンダは、可動シリンダ部12が開錠位置及び回転途中である場合には開閉鍵を可動シリンダ部12から抜脱できず、可動シリンダ部12が施錠位置にある場合には可動シリンダ部12から開閉鍵を挿抜できる構成となっている。
【0042】
ここで、キー操作連動カム13、スライダ14及びベース15について説明する。図6は、ベース、スライダ及びキー操作連動カムの一例を表す斜視図であり、図6(A)が上面視を表し、図6(B)が底面視を表している。なお、図6(A)及び図6(B)には、本形態のキー操作連動カム13、スライダ14及びベース15の正確な構造が示されている。
【0043】
キー操作連動カム13は、図6(A)、図6(B)及び図5に示されたように、可動シリンダ部12の回動軸を柱軸とする円柱形状の基部13Aと、基部13Aから可動シリンダ12側に突出し、可動シリンダ部12と連結される連結部13B(図6(A)及び図6(B)のみ)と、連結部13Bとは反対側に基部13Aから突出する円柱形状の摺動連結部13C(図6(A)及び図6(B)のみ)と、基部13Aからその回転軸の放射方向に突出し、放射方向に向かって先細りする尖頭形状の押圧突起部13D(〔押圧突起部〕の一種)と、基部13Aからその回動軸の放射方向に突出する係合突起部13E(〔係合突起部〕の一種)とで構成されている。
【0044】
スライダ14は、図6(A)、図6(B)及び図5に示されたように、キー操作連動カム13の摺動連結部13Cが挿通される貫通孔14Aが形成された底板14B(〔接続部〕の一種の一部)と、底板14Bの長手方向の一端において底板部14Bから垂設された動力変換壁14C(〔動力変換部〕の一種)と、動力変換壁14Cと反対側の底板14Bの長手方向の一端において底板部14Bから垂設された垂設壁14D(〔接続部〕の一種の一部)と、垂設壁14Dから動力変換壁14C側に突出する回転阻止壁14E(〔回転阻止部〕の一種)と、回転阻止壁14Eに対向する対向壁14Fと、垂設壁14Dから動力変換壁14Cと反対側に突出し、柱状のロッド33(図5参照)の連結部33Dと一部において連結される連結軸14G(〔連結部〕の一種の一部)とで構成されている。
【0045】
ベース15は、図6(A)、図6(B)及び図5に示されたように、長手方向の一端において連結軸部14Gの挿通される開口15Aと、長手方向の他端においてスライダ14を挿入する開口15Bと、長手方向の中間に形成され、キー操作連動カム13の摺動連結部13Cが遊挿される貫通孔15Cと、キー操作連動カム13の連結部13Bと可動シリンダ部12との接続空間を確保すると共にキー操作連動カム13の回転空間を確保する切り欠き部15Dとが形成された略角筒状の部材である。
【0046】
ベース15の開口15Bからスライダ14をその連結軸14G側から挿入し、スライダ14の挿入後に、ベース15の切り欠き部15Dからキー操作連動カム13を摺動連結部13C側から挿入して、キー操作連動カム13、スライダ14及びベース15を組み立てる。これによって、摺動連結部13Cが貫通孔14Aを貫通して貫通孔15Cに挿入される。スライダ14の貫通孔14Aの外輪郭は略長方形状であり、摺動連結部13Cが挿通されている状態において貫通孔14Aの長手方向に移動できる。スライダ14がベース15の内側に挿入されていることによって、スライダ14の挿入方向以外の移動は実質的に禁止されている。
【0047】
安全スイッチ1は、図5に示されたように、可動シリンダ部12(図4参照)が開錠位置である開錠状態であり、かつアクチュエータ機能部50のアクチュエータ53が抜脱された抜脱状態である場合(以下、単に「抜脱状態」とも称す)において、ロッド33の先端が挿脱連動カム32の陥没部32Eに挿入されて挿脱連動カム32と当接している。このとき、ロッド33は、コイルバネ16から挿脱連動カム32側へ付勢力を受けている。可動シリンダ部12の鍵穴12Aは、中心軸L1に対して時計回りに45度傾斜した開錠位置であり、キー操作連動カム13は、係合突起部13Eが中心軸L1の方向を向いている。スライダ14は、垂設壁14Dが所定の空隙を隔てて係合突起部13Eと対向し、回転阻止壁14Eが係合突起部13Eの一部の側部を覆うように配置されている。また、接点スイッチ素子41〜44の検出状態は、[オン状態,オフ状態、オン状態、オフ状態]である。
【0048】
ここで、安全スイッチ1の動作について説明する。図7は、安全スイッチの開閉扉操作時の動作過程の一例を模式的に表す縦断面図であり、図7(A)がアクチュエータ機能部のアクチュエータの抜脱状態を表し、図7(B)がアクチュエータの挿抜中の状態を表し、図7(C)がアクチュエータの挿入状態を表している。なお、図7(A)は、図5と同一の状態を表している。図8は、安全スイッチの施錠操作時の動作過程の一例を模式的に表す縦断面図であり、図8(A)が開錠状態(開閉鍵の開錠位置)を表し、図8(B)が施錠状態(開閉鍵の施錠位置)を表している。なお、図8(A)は、図7(D)と同一の状態を表している。図9は、安全スイッチの禁止動作の一例を模式的に表す縦断面図であり、図9(A)は施錠状態においてアクチュエータが抜脱操作された場合を表し、図9(B)はアクチュエータ機能部のアクチュエータの抜脱状態において安全スイッチが施錠操作された場合を表している。図7〜図9においても、図5の場合と同様に、破線によって可動シリンダ部12(図4参照)及びその鍵穴12A(図4参照)が破線で示されている。
【0049】
図5に示された状態において、図3に示されたようにアクチュエータ機能部50のハンドル52を反時計回りに回転させる挿入操作が行われるとアクチュエータ53が回転して、図7(A)に示されたように、アクチュエータ53がヘッド封止部材23の貫通孔23Aから進入する。なお、この状態において、安全スイッチ1の内部状態は図5に示された状態と同一である。
【0050】
アクチュエータ53の回転が更に進行すると、アクチュエータ53が挿脱連動カム32の突出部32Bに当接し、アクチュエータ53からの押力に応じて挿脱連動カム32が反時計回りの回転を開始する。この回転に応じて、図7(B)に示されたように、ロッド33は、挿脱連動カム32との当接状態を維持しながら、一旦、スライダ14側へ移動する。このロッド33の移動に応じてスライダ14も移動し、垂設壁14Dと係合突起部13Eとの空隙が狭まる。なお、この移動を考慮して、図5及び図7(A)において、垂設壁14Dが所定の空隙を隔てて係合突起部13Eと対向するように設計されている。
【0051】
図7(B)に示された状態から更にアクチュエータ53の回転が進行すると、挿脱連動カム32の反時計回りの回転も進行する。この回転に応じて、ロッド33は、挿脱連動カム32との当接状態を維持しながら、挿脱連動カム32側へ移動する。このロッド33の移動に応じてスライダ14も挿脱連動カム32側へ移動し、垂設壁14Dと係合突起部13Eとの空隙が広がる。その後、スライダ14の動力変換壁14Cがキー操作連動カム13と当接することとなり、スライダ14の移動が禁止される。更にアクチュエータ53の回転が進行すると、挿脱連動カム32の反時計回りの回転も進行する。なお、この回転に応じては、スライダ14の動力変換壁14Cがキー操作連動カム13と当接しているために、スライダ14は移動しない。これによって、ロッド33も移動せず、ロッド33と挿脱連動カム32との当接が解除され、挿脱連動カム32の状態のみが変化することとなる。最終的に、図7(C)に示されたように、アクチュエータ53の回転が完了してアクチュエータ53の挿入が完了する。
【0052】
図7(C)及び図8(A)に示されたような可動シリンダ部12(図4参照)が開錠位置である開錠状態であり、かつアクチュエータ53が完全に挿入された挿入状態において、スライダ14の動力変換壁14Cがキー操作連動カム13と当接し、また、スライダ14の回転阻止壁14Eがキー操作連動カム13の係合突起部13Eの側部を覆わない状態が維持されている。また、接点スイッチ素子41〜44の検出状態は、[オン状態,オフ状態、オフ状態、オン状態]となっている。
【0053】
図8(A)に示された状態から開閉鍵を鍵穴12Aに挿入して可動シリンダ部12を反時計回りに回転させると、可動シリンダ12の回転に応じてキー操作連動カム13が回転を開始する。この回転に応じたスライダ14の動力変換壁14Cとキー操作連動カム13の押圧突起部13Dとの当接位置の変化に応じて、コイルバネ16からの付勢力に基づきロッド33が挿抜連動カム32の陥没部32Dの側壁と当接する状態を維持しながら挿抜連動カム32側へ移動する。
【0054】
図8(A)に示された状態からキー操作連動カム13の回転が進行すると、最終的に、図8(B)に示されたように、可動シリンダ部12の鍵穴12Aが中心軸L1に対して反時計回りに45度傾斜した施錠位置となり、安全スイッチ1は施錠状態となる。このとき、接点スイッチ素子41〜44の検出状態は、[オフ状態,オン状態、オフ状態、オン状態]となっている。
【0055】
一方、安全スイッチ1を施錠状態から抜脱状態へ移行させる場合には、開閉鍵を鍵穴12Aに挿入して可動シリンダ部12を時計回りに回転させる開錠操作を行い、可動シリンダ部12を開錠状態に移行させる。図3(A)に示されたようにアクチュエータ機能部50のハンドル52を時計回りに回転させる抜脱操作を行って、アクチュエータ53が抜脱された抜脱状態に移行させる。なお、このときの動作は概ね上記で説明した挿入操作の場合と逆の過程を経るためにその説明を省略する。
【0056】
ここで、安全スイッチ1に対して正常な操作と異なる操作が行われた場合について説明する。安全スイッチ1の施錠状態においてアクチュエータ53の抜脱操作が行われると、図9(A)に示されたように、挿脱連動カム32は回転を開始するが、所定の角度だけ回転した後にロッド33の先端が陥没部32Dの側壁に当接し、それ以上の挿脱連動カム32の回転が禁止される。これによって、アクチュエータ53を完全に抜脱することができなくなり、安全スイッチ1が抜脱状態に移行することが防止される。
【0057】
また、安全スイッチ1の抜脱状態において、可動シリンダ部12に施錠操作が行われると、図9(B)に示されたように、キー操作連動カム13は回転を開始するが、所定の角度だけ回転した後にキー操作連動カム13の係合突起部13Eがスライダ14の回転阻止壁14Eと当接し、それ以上のキー操作連動カム13の回転が禁止される。これによって、可動シリンダ部12を施錠位置に移行させることができなくなり、開閉扉92の開放状態において、安全スイッチ1が施錠状態に移行することが防止される。
【0058】
制御盤60は、産業機器81〜83の運転を選択する運転モード選択状態とそれらの停止を選択する停止モード選択状態との間で移行自在な2値選択型のキースイッチ61と、運転モード選択状態及び停止モード選択状態のうちキースイッチ61で選択されている選択状態と配線ケーブル69を介して伝達される安全スイッチ1における接点スイッチ素子41〜44の検出状態に応じて産業機器81〜83の運転モード又は停止モードを選択して産業機器81〜83の運転モードを切り換える運転モード切換部62とを備えている。制御盤60は、更に、外部電力に基づいて産業機器81〜83へ駆動電力を分配供給する電源部63を備えている。キースイッチ61は、安全スイッチ1の可動シリンダ部12を回動させる場合に使用する開閉鍵を用いて操作される。
【0059】
ここで、運転モード切換部62について説明する。図10は、運転モード切換部の一例を表すブロック図である。運転モード切換部62は、図10に示されたように、接点スイッチ素子41〜44の検出状態を検知する安全スイッチ操作状態検知部71と、キースイッチ61の選択状態を検知するキースイッチ操作状態検知部72と、キースイッチ操作状態検知部72において検知されたキースイッチ61の選択状態と安全スイッチ操作状態検知部71で検知された接点スイッチ素子41〜44の検出状態に基づいて運転モード又は停止モードから1つのモードを決定する運転モード決定部73と、運転モード決定部73で決定された運転モードに対応する運転制御信号を出力する運転制御信号出力部74と、を備えている。キースイッチ61が停止モード選択状態である場合には、運転モード決定部73は停止モードを選択し、運転制御信号出力部74が内部制御装置89に停止信号を出力し、キースイッチ61が運転モード選択状態である場合であって、かつ、安全スイッチ操作状態検知部71で検知された安全スイッチ1の操作状態が施錠状態(接点スイッチ素子41〜44の検出状態が〔オフ状態,オン状態,オフ状態,オン状態〕である状態)である場合には、運転モード決定部73は運転モードを選択し、運転制御信号出力部74が内部制御装置89に作動信号を出力する。内部制御装置89は、停止信号が入力されると、産業機器81〜83が作動中であれば停止させ、それらが停止中であればその状態を維持させるための制御信号を出力する。一方、内部制御装置89は、作動信号が入力されると、産業機器81〜83が作動中であればその状態を維持させ、それらが停止中であれば作動させるための制御信号を出力する。産業機器81〜83は、内部制御装置89から停止を指示する制御信号を受信すると自己の動作を停止し、一方、内部制御装置89から運転を指示する制御信号を受信すると自己の動作を実行する。
【0060】
ここで、安全システムの動作について説明する。正常に産業機器81〜83が内部制御装置89に基づいて連携動作している場合において、制御盤60のキースイッチ61には開閉鍵が挿入され、キースイッチ61は運転モード選択状態となっている。一方、安全スイッチ1の可動シリンダ部12には開閉鍵は挿入されておらず、安全スイッチ1はアクチュエータ53の挿入状態であり、かつ施錠状態である。安全スイッチ1の作業等の目的のために立入規制領域A1に進入する場合には、まず、キースイッチ61に挿入されている開閉鍵を回転させて、停止モード選択状態に移行させる。これによって、キースイッチ操作状態検知部72が停止モード選択状態に移行されたことを検知する。この検知に応じて、運転モード決定部73が、キースイッチ61によって停止モード選択状態が選択されているために、運転モードを作動モードから停止モードに変更する。この変更に応じて、運転制御信号出力部74が停止信号を内部制御装置89へ出力する。停止信号を受信した内部制御装置89は、停止を指示する制御信号を産業機器81〜83に出力する。停止を指示する制御信号を受信した産業機器81〜83は即座に自己の動作を停止させる。キースイッチ61を停止モード選択状態に移行させた後に、キースイッチ61から開閉鍵を抜脱して、安全スイッチ1の設置場所に移動する。その後は、上記で説明したように、安全スイッチ1を施錠状態から抜脱状態に移行させて、立入規制領域A1内における作業を実行する。
【0061】
一方、産業機器81〜83を作動状態に戻すためには、まず、立入規制領域A1から退出した後に、安全スイッチ1を抜脱状態から施錠状態に移行させる。その後、可動シリンダ部12から開閉鍵を抜脱して、制御盤60の設置場所に移動する。その後、制御盤60のキースイッチ61に開閉鍵を挿入して、停止モード選択状態から運転モード選択状態に移行させる。これによって、キースイッチ操作状態検知部72が運転モード選択状態に移行されたことを検知する。なお、このとき、安全スイッチ操作状態検知部71においては、接点スイッチ素子41〜44の検出状態が[オフ状態,オン状態、オフ状態、オン状態]であり、安全スイッチ1が施錠状態であることが検知されている。これらの検知に応じて、運転モード決定部73が、キースイッチ61によって運転モード選択状態が選択され、かつ、安全スイッチ1が施錠状態であるために、運転モードを停止モードから運転モードに変更する。この変更に応じて、運転制御信号出力部74が作動信号を内部制御装置89へ出力する。作動信号を受信した内部制御装置89は、作動を指示する制御信号を産業機器81〜83に出力する。これによって、産業機器81〜83が運転を開始する。
【0062】
本実施形態の安全スイッチ1であれば、従来のソレノイドに代えて、キーシリンダ、キー操作連動カム13、スライダ14、ベース15及びコイルバネ16からなり機構的に作動する挿抜規制機構を用いるために、電気的な構成が簡素化されると共に使用環境の選択性に対する自由度が増加する。また、本発明に係る安全システムであれば、従来のソレノイドに代えて機構的に作動する挿抜規制機構を用いること及び安全スイッチ1の挿抜規制機構を操作する開閉鍵と制御盤60のキースイッチ61を操作する鍵とを共通化して、キースイッチ61に対して産業機器81〜83を停止させる操作を行わなければ安全スイッチ1の挿抜規制機構を操作できない構成としたこととによって、従来の安全システムに対して安全性を同等に確保又は向上させると共に電気的な構成が簡素化される。更に、挿抜規制機構は機構的に作動するために、ソレノイドを含む安全スイッチやそれを用いた安全システムの場合のようなソレノイドへの配線が不要となり、配線ケーブル69の接続操作を簡便かつ迅速に行える。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、安全スイッチ及びその安全スイッチを用いた安全システムに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】安全システムを適用した製造現場の一例を模式的に表す説明図。
【図2】安全システムを適用した製造現場の開閉扉近傍の一例を模式的に表す正面図。
【図3】アクチュエータ機能部の一例を模式的に表す正面図であり、図3(A)がアクチュエータ機能部の非作動状態を表し、図3(B)がアクチュエータ機能部の作動状態を表している。
【図4】安全スイッチの一例を表す斜視図であり、図4(A)が上面視を表し、図4(B)が底面視を表している。
【図5】安全スイッチの一例を模式的に表す縦断面図。
【図6】安全スイッチのベース、スライダ及びキー操作連動カムの一例を表す斜視図であり、図6(A)が上面視を表し、図6(B)が底面視を表している。
【図7】安全スイッチの開閉扉操作時の動作過程の一例を模式的に表す縦断面図であり、図7(A)がアクチュエータ機能部のアクチュエータの抜脱状態を表し、図7(B)がアクチュエータの挿抜中の状態を表し、図7(C)がアクチュエータの挿入状態を表している。
【図8】安全スイッチの施錠操作時の動作過程の一例を模式的に表す縦断面図であり、図8(A)が開錠状態を表し、図8(B)が施錠状態を表している。
【図9】安全スイッチの禁止動作の一例を模式的に表す縦断面図であり、図9(A)は施錠状態においてアクチュエータ機能部のアクチュエータが抜脱操作された場合を表し、図9(B)はアクチュエータの抜脱状態において安全スイッチが施錠操作された場合を表している。
【図10】制御盤の運転モード切換部の一例を表すブロック図。
【図11】従来の典型的な安全システムを適用した製造現場の開閉扉近傍を表す正面図。
【図12】従来の典型的な安全スイッチの動作を表す断面図。
【図13】従来の典型的な安全システムを適用した製造現場の一例を模式的に表す説明図。
【符号の説明】
【0065】
1: 安全スイッチ
11: 固定シリンダ部
12: 可動シリンダ部
13: キー操作連動カム
14: スライダ
15: ベース
16: コイルバネ
21: 本体収容部材
22: 本体封止部材
23: ヘッド封止部材
31: 支軸
32: 挿抜連動カム
33: ロッド
41〜44: 接点スイッチ素子
50: アクチュエータ機能部
51: 筐体
52: ハンドル
53: アクチュエータ
54: 動力伝達機構
60: 制御盤
61: キースイッチ
62: 運転モード切換部
63: 電源部
69: 配線ケーブル
81〜83: 産業機器
89: 内部制御装置
91: 安全柵
92: 開閉扉
93: 収納固定カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内側に配設され、アクチュエータの挿抜動作に連動する挿抜連動機構と、
前記挿抜連動機構の動作を規制する挿抜規制機構と、
前記筐体の内側に配置され、前記挿抜連動機構及び前記挿抜規制機構の少なくとも一方の動作に応じて作動するスイッチ部と、
を備える安全スイッチであって、
前記挿抜規制機構が、前記筐体の外側からの機構的な所定の操作に機構的に連動して、前記挿抜連動機構からの前記アクチュエータの抜脱を許容する抜脱許容状態と前記挿抜連動機構からの前記アクチュエータの抜脱を禁止する抜脱禁止状態との間で機構的に前記挿抜連動機構を状態移行させることを特徴とする安全スイッチ。
【請求項2】
前記挿抜連動機構が、
前記アクチュエータの挿抜動作に応じて回動する挿抜連動回動体と、
前記挿抜連動回動体の回動に連動して並進移動し、前記スイッチ部の作動状態を変化させる棒状体と、
を備え、
前記挿抜規制機構が、
前記筐体に固定された外筒、及び、前記外筒の内側に回動自在に配設されて開錠位置と前記開錠位置と回転角度の異なる施錠位置との間で移行自在であり、所定の鍵部材の挿入される鍵穴が形成され、前記鍵穴に挿入された前記鍵部材による施錠操作に応じて前記開錠位置から前記施錠位置に移行し、前記鍵穴に挿入された前記鍵部材による開錠操作に応じて前記施錠位置から前記開錠位置に移行する内筒を含むキーシリンダと、
前記キーシリンダの前記内筒に連結され、前記キーシリンダの動作に機構的に連動して回動するキー操作連動回動体と、
前記棒状体に連結され、前記キー操作連動回動体の回動に機構的に連動して前記棒状体の並進移動と実質的に同一方向に並進移動する並進移動体と、
前記筐体に対して固定され、前記並進移動体の移動方向を制限する移動方向制限体と、
前記並進移動体を前記挿抜連動回動体側に付勢する付勢体と、
を備え、
前記挿抜規制機構が、前記挿抜連動機構への前記アクチュエータの挿入状態における前記施錠操作に応じて、前記施錠操作に基づく前記キー操作連動回動体の回転に伴う前記挿抜連動回動体に近づく方向への前記並進移動体の移動により、前記棒状体と前記挿抜連動回動体とを係合させて前記挿抜連動機構を前記抜脱禁止状態へ移行させ、前記挿抜連動機構への前記アクチュエータの挿入状態における前記開錠操作に応じて、前記開錠操作に基づく前記キー操作連動回動体の回転に伴う前記挿抜連動回動体から離れる方向への前記並進移動体の移動により、前記棒状体と前記挿抜連動回動体とを乖離させて前記挿抜連動機構を前記抜脱許容状態へ移行させる請求項1に記載の安全スイッチ。
【請求項3】
前記キー操作連動回動体が、前記キー操作連動回動体の回動軸に対する放射方向に突出し、前記放射方向に向かって先細りする尖頭形状の押圧突起部を含み、
前記並進移動体が、
前記棒状体に連結される連結部と、
前記アクチュエータの挿入状態において前記キー操作連動回動体と当接し、前記開錠操作に基づく前記キー操作連動回動体の回転に伴う押力を並進力に変換する動力変換部と、
前記連結部と前記動力変換部とを接続する接続部と、
を含む請求項2に記載の安全スイッチ。
【請求項4】
前記キー操作連動回動体が、前記キー操作連動回動体の前記回動軸に対する放射方向に突出する係合突起部を更に含み、
前記並進移動体が、前記アクチュエータの抜脱状態における前記施錠操作に基づく前記キー操作連動回動体の回転を前記係合突起部との当接により阻止する回転阻止部を更に含む請求項3に記載の安全スイッチ。
【請求項5】
前記キーシリンダは、前記内筒が前記施錠位置である場合のみにおいて前記鍵部材が挿抜自在である構造である請求項2、3又は4に記載の安全スイッチ。
【請求項6】
前記キーシリンダは、前記内筒が前記開錠位置である場合のみにおいて前記鍵部材が挿抜自在である構造である請求項2、3又は4に記載の安全スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−123306(P2010−123306A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294040(P2008−294040)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)