説明

安全入浴装置

【課題】安全に浴槽へ進入でき、湯面の変動にも安全を図れる安全入浴装置を提供する。
【解決手段】浴槽2と、載台3と、載台支持体4と、安全停止機構5とからなり、浴槽2と載台3のどちらか一方又は両方が昇降して浴槽2内の湯に載台3を進退させ、載台3上の入浴者を入退浴させる安全入浴装置1であって、安全停止機構5には、載台3の水深を任意に設定し及び検出する検出部21と、前記昇降に係る駆動源であるモータ22と、入浴スイッチ又は検出部21の出力を得てモータ22を制御する制御部23とが設けられ、入浴の当初には、介助者が手動操作によって浴槽2の湯へ載台3を進入させ、載台3が好適な水深に至ると前記手動操作を止めるが、この時介助者が前記手動操作を止めず継続すると検出部21及び制御部23が作動し前記進入を停止することを特徴とする安全入浴装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体障害者及び高齢者(以下、要介護者)の入浴を介助する安全入浴装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来装置の特許文献1のものは、入浴深さを指定する指定ボタンを有しており、支え板が、指定ボタンで指定した所定深さに達すると、下降を停止するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平6−9588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された構成では、水面検知センサの故障時の安全対策、水位の増大に対する安全対策、等が開示されていない。
異常時に支え板の進入を止める構成、水面が上昇した時、支え板も上昇させる構成、等の安全対策が課題である。
又、一般浴槽用リフトにおいて、該リフトが複数台設置している場合、入浴しているリフト(=載台が入水しているリフト)の数によって水面高さに大幅な変化がある。この水面高さの変化による事故防止も課題である。
【0005】
本発明は、これらの諸課題を解決すべくなされたものであってその目的は、安全に浴槽へ進入でき、湯面の変動に対しても安全を図れる安全入浴装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現する本発明は、浴槽2と、載台3と、載台支持体4と、安全停止機構5とからなり、浴槽2と載台3のどちらか一方又は両方が昇降して浴槽2内の湯に載台3を進退させ、載台3上の入浴者を入退浴させる安全入浴装置1であって、安全停止機構5には、載台3の水深を任意に設定し及び検出する検出部21と、前記昇降に係る駆動源であるモータ22と、入浴スイッチ33又は検出部21の出力を得てモータ22を制御する制御部23とが設けられ、入浴の当初には、介助者が手動操作によって浴槽2の湯へ載台3を進入させ、載台3が好適な水深に至ると前記手動操作を止めるが、この時介助者が前記手動操作を止めず継続すると検出部21及び制御部23が作動し前記進入を停止することを特徴とする安全入浴装置である。
又、載台3と、載台3を昇降させる載台支持体4と、安全停止機構5とで旋回型入浴リフト6が構成されており、検出部21は、適位載台水位センサ20aと、適位載台水位センサ20aより高位置に設けられる上位載台水位センサ20bとから構成され、入浴中に浴槽2の水面が上がると、上位載台水位センサ20bが信号出力し、制御部23は載台3を浴槽2から退出する方向へ適宜移動させるものであって、適位載台水位センサ20a及び上位載台水位センサ20bはその取り付け位置を変更可能に載台3に設けられる。
更に、載台3と、載台支持体4と、安全停止機構5とで前進型入浴リフト46が構成されており、載台3には、水深目盛59が設けられ、載台支持体4は載台3を昇降させる巻き式昇降機構50を有し、検出部21は、巻き式昇降機構50に設けられ載台3の位置を検出するポテンショメータ56と、フロート58と区間スイッチ57をもって水位を検出する水位検出器54と、載台3の水深を設定する水深設定器60と、載台3の水深を算出すると共に算出した値と設定した値とを比較する演算部53とで構成され、入浴中に、載台3の水深が大きくなると、演算部53が信号出力し、制御部23は載台3を浴槽2から退出方向へ移動させるものであって、載台3の水深は予め任意に水深設定器60へインプットし設定できる。
更に又、制御部23は載台3を上昇させる上昇判断処理メモリ19を有し、入浴中に浴槽2の水位が上がると、検出部21及び上昇判断処理メモリ19が作動し、制御部23は載台3を上昇させる。
又、安全停止機構5は遅延時間設定器38を有し、安全停止機構5が浴槽2の水位の変動に反応して載台3を退出方向へ追従させる際、遅延時間設定器38は、水位の変動に対する載台3の追従の遅れ時間を設定するものであり、この設定により載台3の追従遅れ時間を任意に調節できる。
更に、安全停止機構5は、水位変動の値に係る閾値を決める閾値設定器61を有し、制御部23が載台3を浴槽2の水位の変動に反応して退出方向へ追従させる際、閾値設定器61は、水位の変動に対する制御部23の反応感度を設定するものであり、この設定により制御部23の反応感度を任意に調節できる。
更に又、安全停止機構5は、検出部21と、検出部21に接続される入浴報知部25とを有し、検出部21は、載台3と水面と距離を検出するものであり、
入浴の当初に、下降中の載台3が浴槽2の水面に接近した時、検出部21及び入浴報知部25が作動し、入浴報知部25は載台3の入水を事前に報知する。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、入浴の当初には、介助者が手動操作によって浴槽2に載台3を進入させ、載台3が好適な水深に至ると、介助者は、前記手動操作を止めるがこの時介助者が過って前記手動操作を止めず継続しても、検出部21及び制御部23が作動し、安全停止機構5は前記進入を停止させるものであるから、入浴操作を過っても、安全停止機構5が作動して載台3の前記進入は停止し、安全であり、入浴者の水没を防げ、好都合である。
又、入浴スイッチ33が壊れた時にも、安全停止機構5が作動して載台3の前記進入は停止し、安全であり、入浴者の水没を防げ、好都合である。
【0008】
又、本発明は、入浴中に、浴槽2の湯面が上がると、載台水位センサ20及び制御部23が作動し、安全停止機構5は載台3を浴槽2から退出する方向へ適宜移動させるものであって、載台水位センサ20はその取り付け位置を変更可能に載台3に設けられるから、載台水位センサ20の位置は調節可変でありその位置を入浴者の状況に合わせて取り付けることによって入浴者の水没を防げ、好都合である。
【0009】
又、本発明に係る検出部21は載台支持体4に設けられ、介助者は水深目盛59を参考にして水深の値を任意に水深設定器60へインプットし設定できるから、
水深を、水深設定器60へのインプットをもって任意に設定でき、入浴者に好適な水深で入浴を付与でき、好都合である。
【0010】
又、本発明に係る制御部23は、載台3を上昇させる上昇判断処理メモリ19を有し、入浴中に浴槽2の水位が上がると上昇判断処理メモリ19が作動し、制御部23は載台3を上昇させるものであるから、浴槽2の水位が変動した場合これに対応して載台3が上がり、安全であり、好都合である。即ち、水位が上がった時、載台3も上がるので、入浴者の水没を防げる。複数の入浴者がいて水位が上昇する時、又、給湯バルブの締め忘れで水位が上昇する時、又、不慮の事故で水位が上昇する時、等に、安全に処理でき、好都合である。
【0011】
又、本発明に係る安全停止機構5は遅延時間設定器38を有し、安全停止機構5が浴槽2の水位の変動に反応して載台3を退出方向へ追従させる際、遅延時間設定器38は、水位の変動に対する載台3の追従の遅れ時間を設定するものであり、この設定により載台3の追従遅れ時間を任意に調節できるから、遅延時間を適宜に調節すれば、載台3の動きは安定し、頻繁に動くことはなく、好都合である。
また、水位が上がった時には、早期に載台3を追従するように設定すれば安全が図れ、好都合である。
【0012】
又、本発明に係る安全停止機構5は、水位変動の値に係る閾値を決める閾値設定器61を有し、制御部23が載台3を浴槽2の水位の変動に反応して退出方向へ追従させる際、閾値設定器61は、水位の変動に対する制御部23の反応感度を設定するものであり、この設定により制御部23の反応感度を任意に調節できるから、閾値を適宜に調節すれば、載台3の動きは安定し、好都合である。
また、水位が上がった時には、小幅でも反応させ載台3を上昇させれば安全を図れ、好都合である。
【0013】
又、本発明に係る安全停止機構5は、検出部21と、検出部21に接続される入浴報知部25とを有し、検出部21は、載台3の水深を検出すると共に、載台3が浴槽2の水面に接近したことを検出するものであり、入浴の当初に、下降中の載台3が浴槽2の水面に所定距離まで接近した時、検出部21と入浴報知部25が順次作動し、入浴報知部25は載台3の入水を事前に報知するから、入水直前に報知音が聞こえるので、心の準備ができ、驚愕感を押えることができ、好都合である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1、2を示したブロック図である。
【図2】本発明の実施例1を示した詳細ブロック図である。
【図3】本発明の実施例1を示した右側面図である。
【図4】本発明の実施例2を示した詳細ブロック図である。
【図5】本発明の実施例2を示した右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
安全に浴槽2へ進入でき、湯面の変動にも安全を図れる安全入浴装置1を提供するという目的を、浴槽2と、載台3と、載台支持体4と、安全停止機構5とからなり、浴槽2と載台3のどちらか一方又は両方が昇降して浴槽2内の湯に載台3を進退させ、載台3上の入浴者を入退浴させる安全入浴装置1であって、安全停止機構5には、載台3の水深を任意に設定し及び検出する検出部21と、前記昇降に係る駆動源であるモータ22と、入浴スイッチ33又は検出部21の出力を得てモータ22を制御する制御部23とが設けられ、入浴の当初には、介助者が手動操作によって浴槽2の湯へ載台3を進入させ、載台3が好適な水深に至ると前記手動操作を止めるが、この時介助者が前記手動操作を止めず継続すると検出部21及び制御部23が作動し前記進入を停止することを特徴とする安全入浴装置をもって、実現した。
【実施例1】
【0016】
図1乃至図3に本発明の実施例1を示す。図1はブロック図、図2は詳細なブロック図、図3は右側面図である。
【0017】
図1に示す安全入浴装置1は、浴槽2と、載台3と、載台支持体4と、安全停止機構5とからなる。
【0018】
図3に示す安全入浴装置1は、浴槽2に旋回型入浴リフト6を付設したものである。
載台3が昇降して浴槽2内の湯に載台3を進退させ、載台3上の入浴者を入退浴させる安全入浴装置1である。
他の具体例として、図示を省略するが、浴槽2を昇降浴槽とし、載台3を固定載台とし、昇降浴槽を昇降して昇降浴槽内の湯に固定載台を進退させ、固定載台上の入浴者を入退浴させる浴槽昇降式安全入浴装置であってもよい。
又、浴槽2と載台3の両方が昇降するものであってもよい。
【0019】
浴槽2は、内部に湯温検知部7を有し、湯を溜めるものである。
載台支持体4は、載台3を支持するものであり、支柱部8と、支柱ヘッド部9と、昇降機構10と、リフト台部11と、リモコン操作部12と、ベース部13と、旋回機構14とからなる。
載台支持体4には、上限感知器28と、下限感知器29とが設けられる。
【0020】
載台3は、入浴者を乗せるものであり、横アーム15と、縦アーム16と、掛止部17と、ハンドル18と、載部24とからなる。載台3には、上位載台水位センサ20bと、適位載台水位センサ20aと、下位載台水位センサ20cとからなる載台水位センサ20が取着される。載台3は、モータ22の駆動により昇降するものである。
【0021】
載部24は、台車35と、台車35上に分離可能に載置される座席部36からなる。台車35と座席部36とで分離式車椅子が形成される。
縦アーム16の掛止部17は、入浴する時に、座席部36の背凭れ37を縦アーム16に掛止するものである。
【0022】
図2に示す安全停止機構5は、載台3の水深を検出する検出部21と、前記昇降に係る駆動源であるモータ22と、検出部21の出力を得てモータ22を制御する制御部23と、手動操作を行なうリモコン操作部12と、モータ22をスロースタートさせるスロースタート機能27とを有する。
【0023】
検出部21は入浴者の身長及び体形等に合わせて任意高さに設定できるものである。検出部21は、載台水位センサ20で構成され、載台水位センサ20は、適位載台水位センサ20aと、適位載台水位センサ20aより高位置に設けられる上位載台水位センサ20bとを有する。
【0024】
制御部23には、電源トランス30の出力と、検出部21の出力と、上限感知器28の出力と、下限感知器29の出力と、操作パネル31の出力と、リモコン操作部12の出力とが接続される。
又、制御部23の出力は、スロースタート機能27と、表示パネル32と、へ接続される。
上限感知器28は上昇する載台3の位置を検出し上限を規制するものであり、下限感知器29は下降する載台3の位置を検出し下限を規制するものである。
【0025】
リモコン操作部12は、入浴スイッチ33と、退浴スイッチ34とを有する。
入浴スイッチ33は、介助者がスイッチ33を手動操作(=押し操作)によって浴槽2に載台3を進入させ、放し操作によって前記進入を止めるスイッチである。
退浴スイッチ34は、介助者がスイッチ34を手動操作(=押し操作)によって浴槽から載台3を退出させるスイッチである。
【0026】
載台水位センサ20は、載台3が湯中の適切位置に至った時作動するものであり、その作動によって載台3の進入を止めるものである。
上位載台水位センサ20bは、入浴中に湯面が上がると作動するものであり、安全停止機構5は、載台3を浴槽2から退出方向へ適宜移動させるものである。
【0027】
下位載台水位センサ20cは、入浴中に湯の水位が下がった時に作動するスイッチである。
載台水位センサ20は座席部36にその取り付け位置を変更可能に取り付けられる。
【0028】
報知部42は、上位載台水位センサ20b及び下位載台水位センサ20cの出力を得て湯面が不適切位置へ変動したことを報知するものである。
図2中、39は電源プラグ、40は適位載台水位センサ20aの故障を検知する水位検出安全装置、41は下限感知器29の故障を検知する位置検出安全装置、又図3中、43はヘッドレスト、44はキャスター、45はフットレストである。
【0029】
実施例1を使用して、入浴する時は、介助者は入浴者を座席部36へ乗せ替える。
入浴者を乗せた座席部36を旋回型入浴リフト6の縦アーム16へ掛止する。前記掛止により座席部36から台車35がロック解除される。
【0030】
介助者は、座席部36を浴槽2の上方位置へ回動させた後、入浴スイッチ33を押し、載台3を下降させる。
座席部36上の入浴者が湯中の好適位置へ至ると入浴スイッチ33の押し操作を止める。押し操作を止めると、載台3は下降を停止し、湯への進入を停止する。
【0031】
介助者が過って入浴スイッチ33を押し続けた場合は、検出部21及び制御部23が作動して載台3は下降を停止する。
【0032】
実施例1では、載台3が下降し湯に進入すると、載台水位センサ20が作動する。即ち、介助者が過って入浴スイッチ33を押し続けた場合は、先ず、適位載台水位センサ20aが作動し、前記停止を行なう。
載台水位センサ20の取り付け位置を、入浴者の身長や体形等に合わせて変更調節し、入浴者が浸かる湯の水深を好適位置にする。
入浴者は、湯中の好適位置で入浴を行なう。安全な水深のもとで入浴を行なう。
【0033】
入浴中に、浴槽2の水面が上がった時、その水面高さを上位載台水位センサ20bが検出する。該検出に基づき制御部23が載台3を上昇させる。
浴槽2の水面が下がった時、水面高さを下位載台水位センサ20cが検出するが、危険防止のため、制御部23は昇降部49を下降させることはしない。
上位載台水位センサ20bが水面を検出した時、及び、下位載台水位センサ20cが水面を検出した時には、報知部42が作動し、水面が変動したことを報知する。
【0034】
入浴中に、適宜時間が経過すると退浴する。退浴時に際し介助者が退浴スイッチ34を押すと、載台3が上昇し、入浴者は湯から出る。
【0035】
介助者は、座席部36を台車35側へ移動させ、台車35へ載せる。ハンドル18を操作して、縦アーム16から座席部36を外す。
【0036】
適位載台水位センサ20aが故障したときは、水位検出安全装置40が作動し、載台3は昇降を停止する。
又、下限感知器29、又は上限感知器28が故障したときは、位置検出安全装置41が作動し、載台3は昇降を停止する。
【実施例2】
【0037】
次に、実施例2を説明する。図4は、詳細なブロック図、図5は、右側面図である。
図5に示す安全入浴装置1は、浴槽2に前進型入浴リフト46を付設したものである。
前進型入浴リフト46は、載台3と、載台支持体4と、安全停止機構5とからなる。
【0038】
載台3は、昇降部49と、座席部36とからなる。座席部36と、座席部36を載せる台車35とから分離式車椅子が形成される。座席部36には水深目盛59が設けられる。
昇降部49にガイドレール48が設けられる。ガイドレール48はその上に台車35から分離した座席部36を載置するものである。
【0039】
載台支持体4は、継ぎレール47と、巻き式昇降機構50と、フレーム51と、筐体52とからなる。
継ぎレール47は、ガイドレール48と台車35の間を中継するレールである。
継ぎレール47、ガイドレール48及び台車35は、座席部36を摺動可能に支持する。
上昇したガイドレール48は、継ぎレール47の延長状に位置し、座席部36は、台車35、継ぎレール47及びガイドレール48との間を往復移動可能に載置され、入浴の際は、台車35から分離した座席部36は、継ぎレール47を経由してガイドレール48へ移乗され載置される。
【0040】
載台支持体4は、ガイドレール48に載せた座席部36を、フレーム51に沿わせて昇降させるものである。
載台支持体4は、座席部36を下降により浴槽2の湯中へ進入させ、又、座席部36を上昇により湯から退出させるものである。
【0041】
図4に示す安全停止機構5は、検出部21と、制御部23と、リモコン操作部12と、モータ22と、設定器26とからなる。
検出部21は、筐体52に設けられており、演算部53と、水位検出器54と、位置検出器55と、水深設定器60とを有する。
【0042】
位置検出器55は巻き式昇降機構50に付設されるポテンショメータ56でなり、ポテンショメータ56は昇降部49の昇降に連動し昇降部49の位置を検出するものである。
【0043】
水位検出器54は、載台支持体4に付設される区間スイッチ57と、区間スイッチ57に作用するフロート58とからなる。フロート58は湯面に浮いており、湯面が昇降すると湯面に追随して、水位検出器54に沿って昇降するものである。
区間スイッチ57は、筐体52から前方へ突出された継ぎレール47の先部に垂下状に設けられており、浴槽2内側に、多数個のスイッチ57a、57b、57c・・・57nが縦状に一連に設けられてなる。
【0044】
演算部53は、ポテンショメータ56の出力と、区間スイッチ57の出力とを得て、水深を算出するものである。更に、算出した水深の値と、設定した水深の値とを比較するものである。
【0045】
水深設定器60は、介助者により座席部36の水深が設定されるものである。即ち、介助者は、水深目盛59を参考にして、水深設定器60へ水深値を任意にインプットし設定するものであり、この設定により、座席部36の水深が調節できる。
【0046】
設定器26には、遅延時間設定器38と、閾値設定器61とが有る。
水位の変動に反応して安全停止機構5が座席部36を退出方向へ追従させる際、遅延時間設定器38は、水位の変動に対する座席部36の追従遅れ時間を任意に設定するものであり、この設定により座席部36の追従遅れ時間を調節するものである。
【0047】
安全停止機構5が座席部36を水位の変動に反応して退出方向へ追従させる際、閾値設定器61は、水位変動に対して安全停止機構5が作動を開始する信号の閾値を決めるものである。即ち、閾値設定器61は、水位の変動に対する安全停止機構5の反応感度を任意に設定するものであり、この設定により安全停止機構5の反応感度を調節するものである。
【0048】
制御部23は、入浴スイッチ33の押し操作で座席部36を下降及び停止させるものであり、又、入浴スイッチ33の押し操作中でも演算部53の停止指示があれば座席部36を停止させるものである。
又、制御部23は異常時に座席部36を上昇させる上昇判断処理メモリ19を有する。具体例では、入浴中に水位が、入浴の当初の水位より上がった時に、上昇判断処理メモリ19は、演算部53の指示により作動しこの作動により制御部23へ載台上昇の指示を出すものである。
【0049】
上昇判断処理メモリ19が作動した時、設定器26の設定値の下に、制御部23は座席部36を浴槽2から退出方向へ適宜移動させるものである。
安全停止機構5は、検出部21に接続される入浴報知部25を有する。
入浴報知部25は検出部21の信号を得て、座席部36の入水を事前に入浴者及び介助者に報知するものである。
尚、図4中、57aは最上位区間スイッチ、57nは最下位区間スイッチである。
【0050】
実施例2を使用して、入浴する時は、介助者は、水深設定器60へ、入浴者の身長や体形等に応じて水深目盛59を参考にして、水深の値をインプットする。入浴者は好適な水深で入浴する。
介助者は入浴者を一般の車椅子その他のものから座席部36へ移し替える。入浴者を乗せた座席部36を前進型入浴リフト46へ移乗する。座席部36を、継ぎレール47上を前進移動しガイドレール48上へ至らせる。
【0051】
介助者は入浴スイッチ33を押し、昇降部49と共に座席部36を下降させる。
下降中の座席部36が浴槽2の水面に所定距離まで接近した時、検出部21の演算部53と入浴報知部25が順次作動し、入浴報知部25は座席部36の入水を事前に報知する。
尚、水位検知器54を用いて入水直前に載台3の下降速さを速度調節(=低速化など)することも可能である。
【0052】
入浴の当初に、介助者は、入浴者が湯中の好適位置へ至ると入浴スイッチ33の押し操作を止める。この停止操作により、座席部36は、下降を停止し、進入作動を停止し、湯中の好適位置へ滞留する。
介助者が過って入浴スイッチ33を押し続けた場合は、検出部21の区間スイッチ57(=適位区間スイッチ57f)、演算部53及び制御部23が順次作動して座席部36は下降を停止する。
【0053】
この下降停止は、水深の実測値が設定値に至ったことにより制御部23がモータ22を停止させたものであり、入浴者は、湯中の好適位置で、安全な好適な水深のもとで、入浴を行なう。
入浴中に、湯面が上がり水深の実測値が設定した値を超えると、制御部23が作動し、モータ22は座席部36を浴槽2から退出方向へ適宜移動させる。
【0054】
入浴中に、水面が上がった時、その水面高さを、適位区間スイッチ57fより上位に設けられた比較上位区間スイッチ57eが検出する。該検出に基づき制御部23が座席部36を上昇させる。
即ち、比較上位区間スイッチ57eの出力が制御部23が擁する上昇判断処理メモリ19を作動させ、この作動により制御部23は座席部36を上昇させ、安全を図る。尚、制御部23は、危険防止のため、入浴途中に座席部36を自動的に下降させることはしない。
【0055】
水位の上昇に対して座席部36を追従して上昇させる。その際、水位の上昇量に対して閾値を設定する。閾値設定器61で設定した閾値に係る値以上に浴槽2の水位が変動すると、制御部23が反応する。この反応により制御部23は座席部36を上昇させ、安全を図る。閾値の適宜設定により制御部23の反応感度を任意に調節する。
【0056】
比較上位区間スイッチ57eの出力が制御部23に付与されると遅延時間設定器38で設定した遅延時間だけ遅延した後に、制御部23はモータ22を駆動させる。
水面が下がった時、水面高さを、適位区間スイッチ57fより下位に設けられた比較下位区間スイッチ57gが検出する。
【0057】
比較上位区間スイッチ57eが水面を検出した時、及び、比較下位区間スイッチ57gが水面を検出した時には、報知部42が作動し、水面が変動したことを報知する。
尚、比較下位区間スイッチ57gが作動した時は、報知音等の報知信号を発生させるのみとし、危険防止のため、制御部23は昇降部49を下降させることはしない。
【0058】
入浴を適宜時間行なった後退浴に移る。退浴に際し、介助者が退浴スイッチ34を押すと、座席部36が上昇し、入浴者は湯から出る。
座席部36を入浴者と共に後方へ移動させ、継ぎレール47から台車35へ移乗させ、入浴を終わる。
【0059】
区間スイッチ57が故障したときは、水位検出安全装置40が作動し座席部36は昇降を停止する。
ポテンショメータ56が故障したときは、位置検出安全装置41が作動し座席部36は昇降を停止する。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、浴槽2と、載台3と、載台支持体4と、安全停止機構5とからなり、浴槽2と載台3のどちらか一方又は両方が昇降して浴槽2内の湯に載台3を進退させ、載台3上の入浴者を入退浴させる安全入浴装置1であって、安全停止機構5には、載台3の水深を設定及び検出する検出部21と、前記昇降に係る駆動源であるモータ22と、検出部21の出力を得てモータ22を制御する制御部23とが設けられ、検出部21は載台3の水深を入浴者の体形に合わせて任意に設定できるものであり、入浴の当初には、介助者が手動操作によって浴槽2に載台3を進入させ、載台3が好適な水深に至ると前記手動操作を止めるが、この時介助者が前記手動操作を止めず継続すると検出部21及び制御部23が作動し、前記進入を停止することを特徴とする安全入浴装置に、適用できる。
【符号の説明】
【0061】
1 安全入浴装置
2 浴槽
3 載台
4 載台支持体
5 安全停止機構
6 旋回型入浴リフト
19 上昇判断処理メモリ
20 載台水位センサ
20a 適位載台水位センサ
20b 上位載台水位センサ
21 検出部
22 モータ
23 制御部
25 入浴報知部
38 遅延時間設定器
42 報知部
46 前進型入浴リフト
50 巻き式昇降機構
53 演算部
56 ポテンショメータ
57 区間スイッチ
58 フロート
59 水深目盛
60 水深設定器
61 閾値設定器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽2と、載台3と、載台支持体4と、安全停止機構5とからなり、浴槽2と載台3のどちらか一方又は両方が昇降して浴槽2内の湯に載台3を進退させ、載台3上の入浴者を入退浴させる安全入浴装置1であって、安全停止機構5には、載台3の水深を任意に設定し及び検出する検出部21と、前記昇降に係る駆動源のモータ22と、入浴スイッチ33又は検出部21の出力を得てモータ22を制御する制御部23とが設けられ、
入浴の当初には、介助者が手動操作によって載台3を浴槽2の湯へ進入させ、載台3が好適な水深に至ると前記手動操作を止めるが、この時介助者が前記手動操作を止めず継続すると検出部21及び制御部23が作動し前記進入を停止することを特徴とする安全入浴装置。
【請求項2】
載台3と、載台3を昇降させる載台支持体4と、安全停止機構5とで旋回型入浴リフト6が構成されており、検出部21は、適位載台水位センサ20aと、適位載台水位センサ20aより高位置に設けられる上位載台水位センサ20bとから構成され、
入浴中に浴槽2の水面が上がると、上位載台水位センサ20bが信号出力し、制御部23は載台3を浴槽2から退出する方向へ適宜移動させるものであって、適位載台水位センサ20a及び上位載台水位センサ20bはその取り付け位置を変更可能に載台3に設けられることを特徴とする請求項1記載の安全入浴装置。
【請求項3】
載台3と、載台支持体4と、安全停止機構5とで前進型入浴リフト46が構成されており、載台3には、水深目盛59が設けられ、載台支持体4は載台3を昇降させる巻き式昇降機構50を有し、検出部21は、巻き式昇降機構50に設けられ載台3の位置を検出するポテンショメータ56と、フロート58と区間スイッチ57をもって水位を検出する水位検出器54と、載台3の水深が設定される水深設定器60と、載台3の水深を算出すると共に算出した値と設定された値とを比較する演算部53とで構成され、
入浴中に、載台3の水深が大きくなると、演算部53が信号を出力し、制御部23は載台3を浴槽2から退出方向へ移動させるものであって、載台3の水深は予め任意に水深設定器60へインプットし設定できることを特徴とする請求項1記載の安全入浴装置。
【請求項4】
制御部23は載台3を上昇させる上昇判断処理メモリ19を有し、入浴中に浴槽2の水位が上がると、検出部21及び上昇判断処理メモリ19が作動し、制御部23は載台3を上昇させることを特徴とする請求項3記載の安全入浴装置。
【請求項5】
安全停止機構5は遅延時間設定器38を有し、安全停止機構5が浴槽2の水位の変動に反応して載台3を退出方向へ追従させる際、遅延時間設定器38は、水位の変動に対する載台3の追従の遅れ時間を設定するものであり、この設定により載台3の追従遅れ時間を任意に調節できることを特徴とする請求項3又は4記載の安全入浴装置。
【請求項6】
安全停止機構5は、水位変動の値に係る閾値を決める閾値設定器61を有し、制御部23が載台3を浴槽2の水位の変動に反応して退出方向へ追従させる際、閾値設定器61は、水位の変動に対する制御部23の反応感度を設定するものであり、
この設定により制御部23の反応感度を任意に調節できることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の安全入浴装置。
【請求項7】
安全停止機構5は、検出部21と、検出部21に接続される入浴報知部25とを有し、検出部21は、載台3と水面の距離を検出するものであり、
入浴の当初に、下降中の載台3が浴槽2の水面に接近した時、検出部21及び入浴報知部25が作動し、入浴報知部25は載台3の入水を事前に報知することを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載の安全入浴装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−115448(P2011−115448A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276540(P2009−276540)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000103471)オージー技研株式会社 (109)
【Fターム(参考)】